JP2007196089A - 廃棄物最終処分場の施工方法 - Google Patents

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文昭 平野
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Abstract

【課題】廃棄物最終処分場において、廃棄物層上面に雨水排除材を敷設することによる簡単な構造で、廃棄物層内へ適度な水分と空気の供給を確実なものにでき、廃棄物層の早期安定化を促進することができる廃棄物最終処分場の施工方法を提供する。
【解決手段】廃棄物最終処分場において、中間覆土や最終覆土を行う前の廃棄物層上面に波状の雨水排除材を傾斜させて敷設するとともに、この雨水排除材の波状の凸部5に開口部4を任意に設置することで、廃棄物層への降雨の浸透量を制御でき、さらに開口部4を設けることで通気機能も有している。
【選択図】図1

Description

本発明は、廃棄物最終処分場の廃棄物埋立に際して廃棄物層への降雨の浸透の制御をする雨水排除材を使用する施工方法に関するものである。
一般的に、廃棄物最終処分場においては、廃棄物が飛散、露出しないように、廃棄物層上部に土砂等の土質材料による覆土および遮水シートやアスファルト等の遮水材料によるキャッピングが用いられる。
遮水シートや不透水性の遮水材料によるキャッピングを用いれば、廃棄物層への雨水の浸透はほとんどない。そのため、埋立地から排出される浸出水量が減り、浸出水処理費用を低減することができる。
しかし、キャッピングでは、廃棄物層へ空気と水分が供給されず、廃棄物層上部が嫌気的雰囲気になるので、有機物の分解による埋立層の早期安定化の促進が阻害される。
一方、土砂等の土質材料による覆土工法には、キャピラリーバリア構造がある。これは、土質材料を使用するため、通気性と透水性を有し、廃棄物層内が好気的雰囲気となり有機物の分解を促進することが期待される。キャピラリーバリアは、一定の降雨強度以内では遮水機能を果たすことが可能であるが、降雨強度が一定値を超えると雨水が廃棄物層へ浸透する。自然降雨において、異常降雨などが発生した場合、廃棄物層への浸透量を制御することは容易ではない。
特開2005−007265号公報 特開2005−254067号公報
従来、廃棄物層に適度な水分と空気を供給できる覆土の遮水材は、透水係数が異なる遮水材を積層することによって廃棄物層への浸透を制御している場合が多い。しかし、このような遮水材は構造が複雑で材料費が高いこと、低透水係数の遮水材を使用するため空気の供給も困難であることが考えられる。
ここで、廃棄物層に適度な水分と空気を供給できる技術に関し、以下の特許文献において開示されている。
特許文献1に記載されている最終覆土用積層工法では、廃棄物層と最終覆土層の間に3層の積層シート、すなわち、不織布からなる保護シート、所定の孔を有する合成樹脂性の凹凸シート及び不織布からなる分離シートが形成されている。最終覆土用積層シートには、不織布等を用いるため、積層工法は、土質材料による覆土工法に比べて材料費用が比較的高いことが考えられる。
特許文献2では、埋立地に埋立てられた廃棄物層を覆う最終覆土層に雨水を一時的に貯留可能な凹部を上面に形成し、土砂等の土質材料および透水係数を制御可能なシート材料から成る浸透制御層を設けて、廃棄物層に浸透する水分量をコントロールできるようにしている。この浸透制御層において、雨水を貯留するためには、透水係数の低い土質材料ならびに低透水材料のシート材料を使用しなければならないことが考えられる。そのため、貯留された水の浸透速度よりも蒸発による減水速度が大きいこと及び空気の供給が阻害されることなどが考えられる。
本発明の目的は、廃棄物層上面に雨水排除材を敷設することによる簡単な構造で、廃棄物層内へ適度な水分と空気の供給を確実なものにでき、廃棄物層の早期安定化を促進することができる廃棄物最終処分場の施工方法を提供することである。
本発明は上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、断面が波状を呈し、その凸部に通水及び通気用の開口部を設け、廃棄物層への降雨の浸透の制御を可能とするPE(ポリエチレン以後PEという)やPVC(ポリ塩化ビニル以後PVCという)やPP(ポリプロピレン以後PPという)及び生分解性プラスチックなどのプラスチック材または、天然ゴムや合成ゴムなどのゴム材または、木材などを素材とする雨水排除材を用いることを特徴とする。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の廃棄物最終処分場の施工方法において、中間覆土を行う前の廃棄物層上面や最終覆土を行う前の廃棄物層上面に請求項1記載の波状の雨水排除材を傾斜させて直接敷設することを特徴とする。
また、請求項3記載の発明は、請求項1記載の廃棄物最終処分場の施工方法において、中間覆土を行う前の廃棄物層上面や最終覆土を行う前の廃棄物層上面に請求項1記載の波状の雨水排除材を直接敷設し、その上方に砂層や礫層を形成させることを特徴とする。
また、請求項4記載の発明は、請求項1記載の廃棄物最終処分場の施工方法において、中間覆土を行う前の廃棄物層上面や最終覆土を行う前の廃棄物層上面に請求項1記載の波状の雨水排除材を直接敷設し、雨水排除材から廃棄物層内へ形成させるアンカーボルトなどにより固定されることを特徴とする
また、請求項5記載の発明は、請求項1記載の廃棄物最終処分場の施工方法において、廃棄物の埋立処分における砂などから形成される中間覆土層の上面や最終覆土層の上面に請求項1記載の波状の雨水排除材を傾斜させて敷設させることを特徴とする。
本発明は、断面が波状を呈し、その凸部に通水及び通気用の開口部を設け、廃棄物層への降雨の浸透の制御を可能とするPE(ポリエチレン以後PEという)やPVC(ポリ塩化ビニル以後PVCという)やPP(ポリプロピレン以後PPという)及び生分解性プラスチックなどのプラスチック材または、天然ゴムや合成ゴムなどのゴム材または、木材などを素材とする雨水排除材を用いて、中間覆土を行う前の廃棄物層上面や最終覆土を行う前の廃棄物層上面に波状の雨水排除材を直接傾斜させて敷設することで図られるようになる。
また廃棄物の埋立処分における砂などから形成される中間覆土層の上面や最終覆土層の上面においても前記雨水排除材を傾斜させて敷設させることによって、廃棄物層に必要な水分と空気を供給することができ、廃棄物層の早期安定化を促進することができる。
廃棄物層上部に前記雨水排除材を用いることで、廃棄物層に浸透する雨水浸透量を制御でき、異常降雨時においても浸出水調整池の許容量を超過する浸出水量の発生を防止できる。
このため、異常降雨時においても浸出水を廃棄物層内に内部貯留することがないで、底部の遮水シートに高い水圧がかからないばかりか、廃棄物の分解も促進される。したがって、最終処分場廃止に至るまでの期間を短縮でき、廃止に至るまでの維持・管理にかかる費用、すなわち浸出水処理費用などを低減できる。
廃棄物層上面に雨水排除材を敷設することによる簡単な構造で、廃棄物層内へ適度な水分と空気の供給を確実に行い廃棄物層の早期安定化を促進することを実現した。
以下に実施例を挙げ、本発明の廃棄物最終処分場の施工方法について、図面を参照して詳細に説明する。図1に、本発明の実施の形態に係る雨水排除材の平面構造図である。図2に、本発明の実施の形態に係る雨水排除材の断面図である。図3に、本発明の実施の形態に係る雨水排除材の重ね合わせを示す概要図である。図4に、本発明の実施の形態に係る他のタイプの雨水排除材の第1例を示す断面図である。図5に、本発明の実施の形態に係る他のタイプの雨水排除材の第2例を示す断面図である。図6に、本発明の実施の形態に係る本雨水排除材の施工方法を示す概要図である。図7に、本発明の実施の形態に係る本雨水排除材の施工方法を示す概要図である。図8に、本発明の実施の形態に係る雨水排除材の施工方法を示す概要図である。図9に、本発明の実施の形態に係る本雨水排除材の施工方法を示す概要図である。図10に、本発明の実施の形態に係る時間降雨強度と排除率の測定図である。
図1において、雨水排除材1、排除水2、開口部4、凸部5、凹部6である。雨水排除材1を廃棄物層上面にある勾配をもたせて敷設し、雨水排除材1の開口部4に直接入る降雨は、廃棄物層へ浸透し、その他の排除水2は、雨水排除材1の凹部6に集水されて、勾配に従って側方に排水される。すなわち、雨水排除材1の開口部4の面積によって、廃棄物層に浸透する降雨量を制御することができる。また、一部を重ね合わせて使用するため、開口部4の位置と大きさを全て同一にする必要がある。
図2において、雨水排除材1の開口部4以外の凸部5に降った雨は、凹部6に集水されその後勾配によって下方へ排除される。この雨水排除材1の凸部5から凹部6までの高さについては、凹部6を流れる排除水2が開口部4へ流入しない十分な高さを必要とする。そのため、雨水排除材1には、波状を形成するための十分な強度、排除水2が速やかに流すために不透水性の材料を使用する必要がある。
図3において、雨水排除材1を一部重ね合わせることで、順次雨水排除の領域を拡げることができるし、雨水排除材1は分割して構成することも可能であり、持ち運び易く廃棄物層上部のあらゆる領域に適応が可能である。さらに、凸部5を重ね合わせているため、雨水排除材1の繋ぎ目からの漏水はなく、安定した雨水排除が可能である。
図4において、また例えば凹部6は排除水2を勾配によって速やかに流すために平らな形状でもよい。凸部5が平らな形状では、雨水排除材1の設置には勾配を有しており、平らな形状の凸部5を雨が流れ開口部4へ流入するため、開口率による排除効果を得ることはできない。そのため、凸部5における開口部4以外に降った雨が、凹部6へ速やかに流れる傾斜を設ける。
図5において、また例えば波状の雨水排除材1の凹凸部が丸みを帯びている形状でもよい。前記凸部5の開口部4以外に降った雨が、凸部5の開口部4への流れを生じないように、凹部6へ速やかに流れる。
図6において、中間覆土を行う前の廃棄物層8の上面や最終覆土を行う前の廃棄物層8の上面に前記波状の雨水排除材1を傾斜させて直接敷設する廃棄物最終処分場の覆土の施工方法となっている。
図7において、中間覆土を行う前の廃棄物層8の上面や最終覆土を行う前の廃棄物層8の上面に前記波状の雨水排除材1を傾斜させて敷設し、その上方に砂層9や礫層10を形成させる廃棄物最終処分場の覆土の施工方法となっている。廃棄物層8からの汚臭の拡散防止のため、雨水排除材1の固定のために、上部に砂や礫を用いる構造も考えられる。
図8において、雨水排除材1を、中間覆土を行う前の廃棄物層8の上面や最終覆土を行う前の廃棄物層8の上面に直接敷設し、雨水排除材1から廃棄物層8の内部へ形成させるアンカーボルト11などにより固定される廃棄物最終処分場の施工方法となっている。雨水排除材1において砂層9や礫層10による固定が困難である場合、アンカーボルト11などにより固定することも考えられる。
図9において、廃棄物の埋立処分における砂層9などから形成される中間覆土層の上面や最終覆土層の上面に雨水排除材1を傾斜させて敷設させる廃棄物最終処分場の覆土の施工方法となっている。すでに埋立完了した中間覆土層や最終覆土層の上部においても、雨水排除材1を敷設することにより、降水の浸透を制御できる。
図10において、雨水排除材1を用いた室内雨水浸透実験を行い、その実験結果を示している。降雨には一定降雨可能である人工降雨装置を用いており、降雨強度は、10〜60mm/hrとしている。本雨水排除材の開口率を5%とし、その勾配を3%としている。図10に示しているように、各降雨強度における排除率を示しており、降雨強度が変化しても排除率は約95%以上であり、雨水排除材の開口部の開口率によって廃棄物層への浸透量を制御することが可能である。
本発明は、廃棄物層上面に敷設することで廃棄物層への浸透量の制御、通気性の確保ができるため、廃棄物層の早期安定化が期待できる。例えば、区画埋立において、第一区画完了時に本雨水排除材を使用することで、雨水排除材は埋立地に幅広く適用可能で効果が期待できる。
雨水排除材の平面構造の図である。 雨水排除材の断面構造の図である。 雨水排除材の重ね合わせを示す図である。 他のタイプの雨水排除材の第1例を示す断面構造の図である。 他のタイプの雨水排除材の第2例を示す断面構造の図である。 請求項目2における本雨水排除材の施工方法を示す図である。 請求項目3における本雨水排除材の施工方法を示す図である。 請求項目4における本雨水排除材の施工方法を示す図である。 請求項目5における本雨水排除材の施工方法を示す図である。 時間降雨強度と排除率の関係を示す図である。
符号の説明
1 雨水排除材
2 排除水
3 浸透水
4 開口部
5 凸部
6 凹部
7 降雨
8 廃棄物層
9 砂層
10礫層
11アンカーボルト

Claims (5)

  1. 断面が波状を呈し、その凸部に通水及び通気用の開口部を設け、廃棄物層への降雨の浸透の制御を可能とするPE(ポリエチレン以後PEという)やPVC(ポリ塩化ビニル以後PVCという)やPP(ポリプロピレン以後PPという)及び生分解性プラスチックなどのプラスチック材または、天然ゴムや合成ゴムなどのゴム材または、木材などを素材とする雨水排除材を用いることを特徴とする廃棄物最終処分場の施工方法。
  2. 請求項1記載の廃棄物最終処分場の施工方法において、中間覆土を行う前の廃棄物層上面や最終覆土を行う前の廃棄物層上面に請求項1記載の波状の雨水排除材を傾斜させて直接敷設することを特徴とする廃棄物最終処分場の施工方法。
  3. 請求項1記載の廃棄物最終処分場の施工方法において、中間覆土を行う前の廃棄物層上面や最終覆土を行う前の廃棄物層上面に請求項1記載の波状の雨水排除材を直接敷設し、その上方に砂層や礫層を形成させることを特徴とする廃棄物最終処分場の施工方法。
  4. 請求項1記載の廃棄物最終処分場の施工方法において、中間覆土を行う前の廃棄物層上面や最終覆土を行う前の廃棄物層上面に請求項1記載の波状の雨水排除材を直接敷設し、雨水排除材から廃棄物層内へ形成させるアンカーボルトなどにより固定されることを特徴とする廃棄物最終処分場の施工方法。
  5. 請求項1記載の廃棄物最終処分場の施工方法において、廃棄物の埋立処分における砂などから形成される中間覆土層の上面や最終覆土層の上面に請求項1記載の波状の雨水排除材を傾斜させて敷設させることを特徴とする廃棄物最終処分場の施工方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2021090935A (ja) * 2019-12-12 2021-06-17 日本国土開発株式会社 廃棄物埋設構造及び浸透水供給方法

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