JPH0513767Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は例えば道路橋等の橋梁を組立施工する
際に使用されるもので、架台上に並置される複数
の床版の目地幅内に設置され、かつ、前記床版群
内をその床版並置方向に一連に貫通してそれら床
版にプレストレスを付与するワイヤを貫通させる
ための貫通孔が圧縮変形方向に沿つた姿勢で形成
される筒状部材と、その筒状部材の端面を床版の
端面に前記貫通孔が床版に形成のワイヤ貫通孔に
連通する状態に接着させる為の接着手段とを設け
てある床版目地用スペーサに関する。

この床版目地用スペーサを使用した施工法につ
いて道路橋を参考に更に説明すると、架台として
の橋桁に対してプレキヤスト（プレストレスを与
えたものでもよい）製床版を複数個橋軸方向に並
置するとともに、これら床版の目地施工部に前記
スペーサとしての筒状部材を装入して、対応する
前記貫通孔とワイヤ挿通孔とが連通すべく筒状部
材を床版端面に接着する。次に、前記ワイヤ挿通
孔を介して全床版群に亘つてワイヤを挿通し、目
地材を封入した状態で、前記ワイヤを利用して床
版群をその並置方向に圧縮してプレストレスを与
える。この施工法のなかで前記スペーサは目地施
工空間内での前記ワイヤ挿通空間を確保する点に
その機能を有する。

〔従来の技術〕

従来、この種のスペーサは圧縮変形可能な筒状
部材だけで形成され、前記床版端面に接着固定さ
れる直前に、あらかじめ用意された接着手段とし
ての粘着剤をその筒状部材の端面に塗布されてい
た。

〔考案が解決しようとする課題〕

したがつて、前記スペーサを床版に接着する度
に、前記筒状部材に粘着剤を塗布する作業が必要
になり、単一の床版当り複数個のスペーサが必要
となるこの種の目地構造では、人為的作業に頼る
だけにそれに要する作業手間は軽視できなかつ
た。特に床版を現地に搬入した後にそのスペーサ
接着作業を行う場合には作業環境も整わず、作業
負担も相当なものであつた。

本考案の目的は前記スペーサに対して簡単な改
善を施すだけで前記作業手間を軽減できるものを
提供する点にある。

〔課題を解決するための手段〕

本考案による特徴構成は、前記接着手段を形成
するに、前記筒状部材の端面に接着用粘着剤を塗
布するとともに、その塗布粘着剤を被覆する剥離
紙を設けてある点にあり、その作用効果は次の通
りである。

〔作用〕

スペーサを床版端面に接着する際には、剥離紙
を取つて粘着剤塗布側を床版端面に向けて押付け
るだけの作業でよい。

〔考案の効果〕

したがつて、接着する直前に前記筒状部材に粘
着剤を塗布する作業が必要でなく、又、粘着剤を
別に用意することもなく、現地での施工が主とな
るこの種の工事において、作業負担の軽減と省力
化を図ることができるに至つた。

〔実施例〕

道路橋の施工について説明する。第３図に示す
ように、 橋軸方向（図中矢印の方向）に沿つて、架台
１としてのＨ型鋼製橋桁を複数個架設するとと
もに、これら橋桁１上にプレストレスを与えら
れた複数個のプレキヤスト製床版２を並置す
る。

前記橋桁１における床版２載置面には丸棒状
の突起３が突設され、床版２の対応位置に形成
された上下厚さ方向の箱抜き貫通孔２Ａ内に貫
入して、床版２の位置決めをなす。

前記床版２は配筋４とPC鋼材５の枠組をコ
ンクリートで固めたプレストレス付与のプレキ
ヤスト版であつて、プレストレス付与によつて
強度向上を図られたもので床版厚さを薄くでき
る特徴を有する。この床版２にはその並置方向
（橋軸方向）に沿つて後記するプレストレスワ
イヤ６挿通孔７が形成され、この挿通孔７にシ
ース９が内嵌されるとともに、これら挿通孔７
が橋軸と直交する方向に複数個形成される。

次に、隣接する床版２，２間の目地施工空間
にスペーサ１０を位置させるが、このスペーサ
１０は円形発泡材の軸心位置に前記床版のワイ
ヤ挿通孔７と連通する貫通孔１０ａを形成した
筒状部材１０Ａと、この筒状部材１０Ａの１端
面に塗布してある接着手段ａとしての粘着剤１
０Ｂと、その粘着剤１０Ｂを被覆する剥離紙１
０Ｃとからなる。そこで、このスペーサ１０を
前記貫通孔１０ａとワイヤ挿通孔７とを連通さ
せる状態で床版２端面に貼着すると、両隣の床
版２におけるワイヤ挿通孔７を前記貫通孔１０
ａによつて連通させることができ、床版群全長
に亘つてワイヤ空間を形成できる。

このスペーサ１０の取付タイミングとしては
外れる虞れがなければ床版２を架台１上に並置
する以前に設定してもよい。

前記ワイヤ挿通孔７、貫通孔１０ａを介して
床版２群に亘つてワイヤ６を挿通する。それか
らコンクリートモルタル等の目地材１１を流し
込み施工する（勿論、目地材１１施工をワイヤ
挿通に先行して行つてもよい）。

ここに、前記ワイヤ６を利用して床版２を互
いに近接する方向に押し込み、プレストスを与
え、床版２群を一体化する。ここで一定期間養
生を行う。

次に、床版２の上下厚さ方向に穿設された貫
通孔２Ａ内にコンクリートモルタル等の接着剤
を流し込み、床版２と架台１とを接着固定す
る。ここでまた一定期間養生する。

で与えたプレストレスを設定以上に与えて
おいて、の養生後逆向きストレスを与えてプ
レストレスを調整する。こうすると、床版２に
対してはプレストレスを残存させ乍ら、床版２
と橋桁１との合成桁には逆モーメントを与える
ことができ、実荷重が作用した場合の曲げモー
メントを平準化できる。

以上作業を終えれば、シース９内にグラウト
して、地層、高欄、舗装工事によつて施工を完
了する。

〔別実施例〕 粘着剤１０Ｂは筒状部材１０Ａの両端側に塗
布してもよい。

前記筒状部材１０Ａとしては目地幅担当長さ
に圧縮変形できるものであれば、他の軟性樹脂
でもよく、材質、形態に制約はない。

又、目地幅相当長さのものであれば軟質度の
低いものでもよい。

床版２としてはプレストレスの与えられてい
ない鉄筋コンクリート製プレキヤスト板でもよ
い。

この種の床版目地用スペーサ１０としては、
橋梁以外の道盤工事に使用してもよい。

尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面との対
照を便利にする為に符号を記すが、該記入により
本考案は添付図面の構造に限定されるものではな
い。

【図面の簡単な説明】

第１図は全体斜視図、第２図は目地施工状態を
示す縦断面図、第３図は床版設置状態を示す斜視
図である。 １……架台、２……床版、６……ワイヤ、７…
…ワイヤ挿通孔、１０……スペーサ、１０Ａ……
筒状部材、１０Ｂ……粘着剤、１０Ｃ……剥離
紙、１０ａ……貫通孔、ａ……接着手段。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 架台１上に並置される複数の床版２の目地幅内
   に設置され、かつ、前記床版群内をその床版並置
   方向に一連に貫通してそれら床版２にプレストレ
   スを付与するワイヤ６を貫通させるための貫通孔
   １０ａが圧縮変形方向に沿つた姿勢で形成される
   筒状部材１０Ａと、その筒状部材１０Ａの端面を
   床版２の端面に前記貫通孔１０ａが床版２に形成
   のワイヤ挿通孔７に連通する状態に接着させる為
   の接着手段ａとを設けてある床版目地用スペーサ
   であつて、前記接着手段ａを形成するに、前記筒
   状部材１０Ａの端面に接着用粘着剤１０Ｂを塗布
   するとともに、その塗布粘着剤１０Ｂを被覆する
   剥離紙１０Ｃを設けてある床版目地用スペーサ。