JPH05135713A - 反射防止兼帯電防止被膜付き陰極線管及びその被膜の製造方法 - Google Patents

反射防止兼帯電防止被膜付き陰極線管及びその被膜の製造方法

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JPH05135713A
JPH05135713A JP3324114A JP32411491A JPH05135713A JP H05135713 A JPH05135713 A JP H05135713A JP 3324114 A JP3324114 A JP 3324114A JP 32411491 A JP32411491 A JP 32411491A JP H05135713 A JPH05135713 A JP H05135713A
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coating
antireflection
ray tube
cathode ray
antistatic
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JP3324114A
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Hiromitsu Kawamura
啓溢 河村
Katsumi Obara
克美 小原
Takao Kawamura
孝男 河村
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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  • Formation Of Various Coating Films On Cathode Ray Tubes And Lamps (AREA)
  • Vessels, Lead-In Wires, Accessory Apparatuses For Cathode-Ray Tubes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 1回の塗布により特性良好な1層構造の反射
防止兼帯電防止被膜12が得られる前記被膜12付き陰
極線管及び前記被膜12の製造方法の提供。 【構成】 アルキルシリケート(Si(OR)4 )(Rはアル
キル基)を含んだアルコールを主成分とする溶液内に、
平均粒子径が70nm以下の酸化錫(SnO2)、酸化イン
ジウム(In2O3)、酸化アンチモン(Sb2O3 )の中の少
なくとも1種以上の導電微粒子を0.1乃至10.0重
量%の割合で添加した塗布用混合溶液を作成する工程
と、この混合溶液を陰極線管のガラスパネル1前表面に
スプレー法によって塗布する工程と、次に、この塗布部
分を焼成する工程とからなり、これら工程により前記パ
ネル1前表面に反射防止兼帯電防止被膜12を形成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガラスパネル前表面に
反射防止兼帯電防止被膜を設けた陰極線管及びその反射
防止兼帯電防止被膜の製造方法に関し、特に、前記被膜
を形成する混合溶液を改良したことにより、前記被膜を
1層構造により形成可能にしたものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、画像の表示を行なう陰極線管バ
ルブのガラスパネル面は、光沢を持った状態に作られて
いるため、前記パネル面に外来光が入射すると、前記パ
ネル面からの反射光により表示画像が見にくくなるとい
う弊害を有している。
【0003】また、最近、防爆型陰極線管の普及によ
り、テレビジョン受像機または各種電子機器のディスプ
レー装置においては、陰極線管前面に配置される保護板
(保護ガラス)が省略され、陰極線管の前記パネル面が
直接露出する構造のものが比較的多く出回るようになっ
た。しかるに、このような構造のものは前記受像機また
は前記電子機器の電源スイッチの投入または切断時に前
記パネル面に静電誘導により高圧静電気が発生し、利用
者が露出している前記パネル面に触れると、前記高圧静
電気の電撃を受けるという弊害があるばかりか、前記高
圧静電気が大気中の塵や埃を前記パネル面に吸着させ、
表示画像が見えにくくなるという弊害もあった。
【0004】そこで、従来、これらの弊害を除くため
に、陰極線管において、陰極線管のガラスパネル前表面
に入射される外来光に対する反射防止機能と、陰極線管
のガラスパネル前表面における帯電防止機能を持たせる
ための提案がなされている。
【0005】これらの提案の中には、例えば、特開昭6
1−16452号に示すように、リチウム安定化シリカ
ゾルと、白金、パラジウム、錫、金等の水溶性金属化合
物とを混合した溶液を作り、それを陰極線管のガラスパ
ネル前表面にスプレーコーティングすることにより、前
記パネル前表面に反射防止兼帯電防止被膜を形成した陰
極線管、特開昭63−124331号に示すように、ハ
ロゲン化珪素、シランアルコキシド等のシリカゾル溶液
と、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(N
i)、銅(Cu)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、アルミ
ニューム(Al)、インジウム(In)等の金属ハロゲ
ン化物、硝酸塩、硫酸塩とを混合した溶液を作り、それ
を陰極線管のガラスパネル前表面にスプレーコーティン
グすることにより、前記パネル前表面に反射防止兼帯電
防止被膜を形成した陰極線管、また、特開昭64−35
835号に示すように、シリカ形成剤と酸化インジウム
からなる反射防止兼帯電防止被膜を陰極線管のガラスパ
ネル前表面に設けた防眩形陰極線管が含まれている。
【0006】ところが、従来、提案されているこれらの
陰極線管においては、一応、前記弊害を除くことはでき
るものの充分ではなく、依然として種々の問題を残して
いるものである。即ち、特開昭61−16452号に示
されているものは、リチウム安定化シリカゾルと、白
金、パラジウム、錫及び金等の水溶性金属化合物との混
合溶液をスプレーコーティングして反射防止兼帯電防止
被膜を形成したものであって、前記被膜成分中にリチウ
ム等のアルカリ成分が含まれているため、高音多湿条件
のもとでは前記被膜が変質するという問題を有してい
る。また、白金、パラジウム、錫及び金等の水溶性金属
化合物は高価であり、しかも、形成された前記被膜が着
色することもあるという問題を有している。また、特開
昭63−124331号に示されているものは、導電物
質として鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(N
i)、銅(Cu)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、アルミ
ニューム(Al)、インジウム(In)等の金属ハロゲ
ン化物、硝酸塩、硫酸塩を使用しているもので、これら
の導電物質を使用すると、前記パネル前表面に反射防止
兼帯電防止被膜を形成する際の分解過程において、陰極
線管のエミッションに有害なハロゲンガス、硫酸ガスを
発生するため、前記被膜の形成工程を通常の陰極線管製
造工程の流れから隔離しなければならない。このため、
陰極線管製造プロセスが著しく煩雑になり、製造コスト
が高くなってしまうという問題を有している。さらに、
特開昭64−35835号に示されているものは、導電
物質として酸化インジウムを使用しているので、この酸
化インジウムでは帯電防止のために必要とする導電性が
得られないという問題を有しているものである。
【0007】従来のこうした技術的背景の中で、本発明
者等は、前記各問題点を除去するための技術手段を特開
平1−186533号で提案した。この提案による技術
手段は、アルキルシリケート(Si(OR)4 )(Rはアルキ
ル基)を含んだアルコールを主成分とする溶液に、酸化
錫(SnO2)、酸化インジウム(In2O3)、酸化アンチモ
ン(Sb2O3 )の中の1つ以上を添加して形成した混合溶
液を陰極線管バルブのガラスパネル前表面に塗布し、こ
の塗布部分を仮焼成して前記前表面に導電性の透明膜を
形成し、その上にアルキルシリケート(Si(OR)4 )(R
はアルキル基)のアルコール溶液をスプレー方法により
塗布し、その後、塗布部分を本焼成して前記前表面に導
電性があり、かつ、表面に酸化珪素(SiO2)の微細な凹
凸を有する反射防止兼帯電防止被膜を形成させた前記被
膜の製造方法に係わるものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記提
案による技術手段(特開平1−186533号)は、形
成された反射防止兼帯電防止被膜における反射防止特性
及び帯電防止特性はともに充分満足できるものであるけ
れども、反射防止兼帯電防止被膜を製造するに当たっ
て、2回にわたる塗布(コーティング)を行なって2層
構造の前記被膜を製造するものであるため、製造工程が
増えるという新たな問題が生じることになる。特に、最
近では、陰極線管の分野において、陰極線管の製造コス
トを低くするとの要求が強く出されており、前記製造工
程の増大は製造コストを高くする点で不利になる。
【0009】本発明は、前述の新たな問題点を除去する
ものであって、その目的は、1回の塗布を行なうだけで
充分満足できる1層構造の反射防止兼帯電防止被膜が得
られる反射防止兼帯電防止被膜付き陰極線管及び前記反
射防止兼帯電防止被膜の製造方法を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明は、アルキルシリケート(Si(OR)4 )(Rは
アルキル基)を含んだアルコールを主成分とする溶液
に、酸化錫(SnO2)、酸化インジウム(In2O3)、酸化
アンチモン(Sb2O3 )の中の少なくとも1種以上の導電
微粒子を添加した混合溶液を、陰極線管のガラスパネル
前表面に塗布して1層構造の反射防止兼帯電防止用被膜
を形成した第1の手段を備える。
【0011】また、前記目的を達成するため、本発明
は、アルキルシリケート(Si(OR)4 )(Rはアルキル
基)を含んだアルコールを主成分とする溶液内に、平均
粒子径が70nm以下の酸化錫(SnO2)、酸化インジウ
ム(In2O3)、酸化アンチモン(Sb2O3 )の中の少なく
とも1種以上の導電微粒子を0.1乃至10.0重量%
の割合で添加した塗布用混合溶液を作成する工程と、こ
の混合溶液を陰極線管のガラスパネル前表面にスプレー
法によって塗布する工程と、次に、この塗布部分を焼成
する工程とからなり、これら工程により前記パネル前表
面に反射防止兼帯電防止被膜を形成する第2の手段を備
える。
【0012】
【作用】前記第1の手段によれば、陰極線管のガラスパ
ネル前表面に1層構造の反射防止兼帯電防止用被膜を形
成することができる。そして、この1層構造の反射防止
兼帯電防止用被膜は、ガラスからなる前記パネル面に対
する接着力が強く、良好な防眩特性を持った表面を構成
している。また、1回の塗布(コーティング)により前
記被膜が製造できるので、製造工程が少なくなり、その
分だけ陰極線管を安価に製造することができる。
【0013】前記第2の手段によれば、陰極線管のガラ
スパネル前表面に特性の良好な1層構造の反射防止兼帯
電防止用被膜を、少ない製造工程によって製造すること
ができる。この場合、塗布用混合溶液内の導電粒子の平
均粒子径を70nm以下に選定したので、前記被膜の白
化を抑えることができ、また、前記導電粒子の添加量を
0.1乃至10.0重量%の範囲に選択したので、所望
の帯電防止特性を得ることができ、さらに、日本工業規
格(JIS Z8741)による光沢度を45乃至95
%の範囲に選択したので、良好な反射防止特性を得るこ
とができる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を用いて説明す
る。
【0015】図1は、本発明に係わる反射防止兼帯電防
止被膜付きカラー陰極線管の一実施例を示す概略構成図
である。
【0016】図1において、1はパネル部、2はファン
ネル部、3はネック部、4は蛍光膜(画面)、5はシャ
ドウマスク、6は磁気シールド、7は偏向ヨーク、8は
ピュリテイ調整マグネット、9はセンタービームスタテ
ィックコンバーゼンス調整マグネット、10はサイドビ
ームスタティックコンバーゼンス調整マグネット、11
は電子銃であり、また、Bcはセンタービーム、Bsは
サイドビームである。
【0017】このようなカラー陰極線管のコンバーゼン
ス調整(スタティックコンバーゼンス)は、まず2本の
サイドビームBs、Bsのコンバーゼンスを取った後、
センタービームBcと前記サイドビームBsのコンバー
ゼンス点とを集中させるようにしている。
【0018】なお、図示はないが、ファンネル部2、ネ
ック部3の内表面には黒鉛等からなる内装導電膜が被着
されており、この導電膜としてはアーク抑制を目的とし
て黒鉛に加えて2酸化チタン(TiO2)等を含み抵抗値を
抑制している。なお、この導電膜は高圧端子(図示な
し)と電子銃11とを電気的に接続している。
【0019】また、図2は、図1に示されたカラー陰極
線管のフロントパネル部分を強調して示したカラー陰極
線管の一部断面構成図である。
【0020】図2において、12は反射防止兼帯電防止
被膜、13はアルミニューム膜であり、その他、図1に
示した構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付けてい
る。
【0021】そして、パネル1の前表面には反射防止兼
帯電防止被膜12、本実施例においては、酸化錫(Sn
O2)、酸化インジウム(In2O3)、酸化アンチモン(Sb2
O3 )の中から選ばれた少なくとも1種以上の導電粒子
を含む1層構造の反射防止兼帯電防止被膜12が設けら
れ、また、パネル1の内面に塗布されている蛍光膜4の
上に薄い均一のアルミニューム膜13が蒸着されてい
る。
【0022】さらに、図3は、パネル1の前表面に設け
られた反射防止兼帯電防止被膜の一部の断面構成図であ
る。
【0023】図3において、14は反射防止兼帯電防止
被膜12の突起部、15は反射防止兼帯電防止被膜12
の平坦部、16は導電微粒子であり、その他、図1及び
図2に示した構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付
けている。
【0024】そして、パネル1の前表面に設けられた反
射防止兼帯電防止被膜12は、その表面が突起部14と
平坦部15とにより構成されており、被膜12の内部に
多数の導電微粒子16が含有されている。これらの導電
微粒子16は、その粒子径が選択されたことにより、互
いにその一部が接触し合って、それらが恰も連続してい
るように分布されており、この導電微粒子16の連続に
よって前記被膜12は所定の表面抵抗値を示すようにな
っている。
【0025】次に、このような反射防止兼帯電防止被膜
を陰極線管のガラスパネル1上に形成する製造工程の幾
つかの例について以下の表1を用いて説明する。
【0026】
【表1】
【0027】製造工程1(表1の実施例1) 始めに、エチルシリケートを3.0重量%含んだエタノ
ールを主成分とする溶媒80.0重量%内に、平均粒子
径が5乃至10nmの酸化アンチモン(Sb2O3)をドー
プした酸化錫(SnO2)の導電微粒子を2.0重量%と、
触媒としての水及び酸を15.0重量%加えた塗布用混
合溶液を作成する。一方、所定の製造過程を経て完成さ
れた、例えば、34cm(14吋)の陰極線管のガラス
パネル1の表面を洗剤等を用いて清浄化する。次に、前
記パネル1の表面を加熱してその温度を40℃に上昇さ
せ、そのパネル1の表面にエア圧力2.5Kg/cm2で前記
塗布用混合溶液を約45秒間スプレーする。そして、前
記スプレー後に前記パネル1の温度を160℃に高め、
前記スプレー部分を30分間焼成し、前記パネル1の前
表面に反射防止兼帯電防止被膜12を形成させる。
【0028】こうして得られた反射防止兼帯電防止被膜
12は、以下に述べるような特性を有している。
【0029】まず、前記被膜12の特性については、日
本工業規格(JIS Z8741)による光沢度の測定
を行なったところ、グロス値が60%であって良好な反
射防止効果を示した。また、日本工業規格(JIS K
5401)による鉛筆を用いた強度測定を行なったとこ
ろ、9Hまで傷が付かなかった。さらに、消しゴムを用
いた摩耗試験を行なったところ、200回こすった後の
グロス値の変化は3.0%であって、強度的に全く問題
がなかった。最後に、前記被膜12の表面抵抗値を測定
したところ、1×108 Ω/sqであって必要とする表
面抵抗値を満たすものであった。
【0030】次に、実球における特性については、温度
20℃、相対湿度20%において、帯電減衰時間を測定
したところ、2秒以下であって充分な帯電防止を達成で
きることがわかった。また、解像度をバーチャード法に
より測定したところ、識別可能な走査線本数は80本/
cmであって、従来のシリカコートを設けた場合の解像
度75本/cmと比べて優れたものであった。この理由
は、本実施例1の製造工程により得られる前記被膜12
の突起部14の輪郭は細かくかつ緻密であり、その形状
も平坦であるためであると考えられる。さらに、画面の
ギラツキもなく、しかも、ハレーションが生じることな
くフォーカス特性も良好であった。
【0031】製造工程2(表1の実施例2) この工程においては、塗布用混合溶液を作成する場合
に、製造工程1においては、エタノールを主成分とする
溶媒の量を80.0重量%にしているのに対して、それ
より少ない75.0重量%にし、その代わりにジアセト
ンアルコールを主成分とする高沸点溶媒を5.0重量%
添加しているもので、それ以外の点は、製造工程1と全
く同じ条件を用いて、前記ガラスパネル1の前表面に反
射防止兼帯電防止被膜12を形成した。
【0032】ここで得られた反射防止兼帯電防止被膜1
2の特性は、被膜12の特性にあっては、鉛筆を用いた
強度測定においては8Hまで傷が付かなかった点、及
び、消しゴムを用いた摩耗試験においては200回こす
った後のグロス値の変化が4.0%であった点で、製造
工程1の特性よりもやや特性の劣化が見られることを除
けば、製造工程1の特性と同じであり、また、実球にお
ける特性にあっては、解像度が90本/cmと製造工程
1のものより特性が向上している点を除けば、製造工程
1の特性と同じであった。
【0033】製造工程3(表1の実施例3) この工程においては、エチルシリケートを1.0重量%
含んだエタノールを主成分とする溶媒70.0重量%と
ジアセトンアルコールを主成分とする高沸点溶媒3.0
重量%との混合溶液内に、平均粒子径が5乃至10nm
の酸化アンチモン(Sb2O3 )をドープした酸化錫(Sn
O2)の導電微粒子を1.0重量%と、触媒としての水及
び酸を25.0重量%加えた塗布用混合溶液を作成す
る。一方、完成された陰極線管のガラスパネル1の表面
を洗剤等を用いて清浄化し、次いで、前記パネル1の表
面を加熱してその温度を40℃に上昇させ、そのパネル
1の表面にエア圧力3.5Kg/cm2において前記塗布用混
合溶液を約60秒間スプレーする。そして、前記スプレ
ー後に前記パネル1の温度を160℃に高め、前記スプ
レー部分を30分間焼成し、前記パネル1の前表面に反
射防止兼帯電防止被膜12を形成した。
【0034】このようにして得られた反射防止兼帯電防
止被膜12の特性は、次のとおりである。
【0035】前記被膜12の特性にあっては、前記光沢
度の測定では、グロス値が90%であってこれまでの製
造工程の中では最良の反射防止効果を示しており、鉛筆
を用いた強度測定では8Hまで傷が付かなかった。消し
ゴムを用いた摩耗試験では、200回こすった後のグロ
ス値の変化は4.0%であり、前記被膜12の表面抵抗
値の測定では、5×108 Ω/sqであって、必要とす
る表面抵抗値の許容範囲を充分満たしている。
【0036】また、実球における特性にあっては、温度
20℃、相対湿度20%における帯電減衰時間の測定で
は、5秒以内であって実用上問題なく帯電防止を達成で
きる値であり、解像度の測定では、100本/cmであ
ってこれまでの製造工程の中では最も優れた特性を示し
ている。また、画面のギラツキもなく、しかも、ハレー
ションが生じることなくフォーカス特性も良好であっ
た。
【0037】本例において得られた反射防止兼帯電防止
被膜12は、比較的透明感を持った外観を呈している
が、外光を柔らげる反射防止効果は通常のポリッシュ球
と比べると充分前記効果を達成することができた。
【0038】表1においては、反射防止兼帯電防止被膜
12を製造するに際して、製造工程1乃至3の3つの例
を示しているが、本発明による製造方法は、前記製造工
程1乃至3を用いた場合に限られるものではなく、もち
ろん、その他の製造工程を用いることもできる。例え
ば、前記その他の製造工程を得るには、塗布用混合溶液
の含有成分及び含有量を前記製造工程1乃至3のものと
変更させるようにしてもよく、また、前記塗布用混合溶
液の吹付け条件を前記製造工程1乃至3の条件と変更さ
せるようにしてもよい。
【0039】ところで、本発明の製造方法においては、
塗布用混合溶液中に添加されている酸化錫(SnO2)、酸
化インジウム(In2O3)、酸化アンチモン(Sb2O3 )の
中の少なくとも1種以上の導電微粒子16の平均粒子径
を70nm以下、その含有量を0.1乃至10.0重量
%の範囲に特定し、良好な反射防止兼帯電防止被膜12
が得られるようにしている。
【0040】即ち、始めに、前記導電微粒子16の平均
粒子径においては、それが70nm以上になると、拡散
反射により反射防止兼帯電防止被膜12の白化が発生す
る。従来の2回コート(2層構造)の場合は、最表面に
有る保護シリカコーティングにより前記白化が発生して
もそれをカバーすることができたが、本発明の場合は1
回コート(1層構造)であるため、前記カバーをするこ
とができず、白化の発生は直接的な弊害となる。次に、
前記導電微粒子16の添加量においては、それが10.
0重量%を超えると、反射防止兼帯電防止被膜12の表
面抵抗値が低くなり、アースが不完全の場合には前記パ
ネル1の表面に人体が接触すると電撃を受けるようにな
り、かつ、前記被膜12の機械的、化学的強度が低下
し、白化も生じるようになる。一方、前記導電微粒子1
6の添加量が0.1重量%未満のときには、前記被膜1
2の表面抵抗値が1×1011Ω/sq以上になり、帯電
防止機能が損なわれるようになる。
【0041】さらに、本発明の製造方法においては、エ
チルシリケート、エタノールを主成分とする溶媒、及
び、水と触媒については、特に、その含有量についての
限定をしていないが、例えば、エチルシリケート(SiO2
固形分として)が0.5乃至5.0重量%、エタノール
を主成分とする溶媒が65.0乃至80.0重量%、水
と触媒が5.0乃至55.0重量%、高沸点溶媒が0乃
至10.0重量%の各範囲内に定めれば、反射防止兼帯
電防止被膜12に所定の反射防止機能を付与させるため
に最適な前記被膜12の表面形状にすることができる。
【0042】なお、塗布用混合溶液には、前述の成分の
他に、イソプロピルアルコール(IPA)、ブチルアル
コール、メタノール等と単独または合計で5.0乃至1
5.0重量%を含有させれば、前記被膜12の表面形状
を最適にすることができるとともに、溶媒群の蒸発が規
制され、前記被膜12の突起部14周辺の盛り上がりが
少なくなって、表示画像のゆがみをなくすことができる
ようになる。
【0043】また、本発明により形成される反射防止兼
帯電防止被膜12は、日本工業規格(JIS Z874
1)により規定された光沢度が45乃至95%の範囲に
なるようにしている。ここにおいて、前記被膜12の光
沢度が45%以下の場合は、スプレー条件、塗布用混合
溶液の組成を如何に最適化したとしても、高解像度の画
像が得られる前記被膜12は形成されない。一方、前記
被膜12の光沢度が95%以上の場合には、反射像の輪
郭が鮮明に見えるようになり、反射防止の役目を果たさ
なくなるためである。
【0044】さらに、本発明により形成される反射防止
兼帯電防止被膜12の表面抵抗値は、その下限を1×1
6 Ω/sq程度に選択することが好ましい。しかしな
がら、アースを完全にとれば、前記値以下にした場合に
おいても、人体の接触により電撃を受けることはない。
【0045】この他に、塗布用混合溶液内に、有機染料
を主成分とする着色材、例えば、酸性染料、カチオン染
料、反応性染料、直接染料、分散染料の中で、耐光性及
び化学的耐久性の優れたものを少なくとも1種以上選択
して得た着色材を添加すると、形成された反射防止兼帯
電防止被膜12に選択吸収特性が付与される。そして、
画像のコントラストを向上させたときには、くっきりし
た画像が再現可能な高性能の陰極線管を得ることができ
る。
【0046】以上述べたように、前記製造方法によれ
ば、1回コートを行なうだけで、所期の帯電防止機能と
反射防止機能を持った1層構造の反射防止兼帯電防止被
膜12を得ることができる。
【0047】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、陰極
線管のガラスパネル1前表面に反射防止機能と帯電防止
機能に優れた1層構造の反射防止兼帯電防止用被膜12
を形成することができる。前記被膜12は、ガラスパネ
ル1の面に対する接着力が強く、良好な防眩特性を持っ
た表面からなっている。前記被膜12は、1回の塗布
(コーティング)により形成することができるので、製
造工程が少なく、その分だけ安価な陰極線管を得ること
ができるという効果がある。
【0048】また、本発明の製造方法によれば、陰極線
管のガラスパネル1前表面に特性の良好な1層構造の反
射防止兼帯電防止用被膜12を、少ない製造工程によっ
て製造することができる。この製造に際して、塗布用混
合溶液内の導電微粒子16の平均粒子径を70nm以下
に選定したので、前記被膜12の白化を抑えることがで
き、また、前記導電微粒子16の添加量を0.1乃至1
0.0重量%の範囲に選択したので、所望の帯電防止特
性を発揮させることができ、さらに、日本工業規格(J
IS Z8741)により規定された光沢度を45乃至
95%の範囲に選択したので、良好な反射防止特性を発
揮させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるカラー陰極線管の一実施例を示
す概略構成図である。
【図2】図1のカラー陰極線管におけるフロントパネル
部分の一部断面構成図である。
【図3】図1のカラー陰極線管に設けた反射防止兼帯電
防止被膜の断面構成図である。
【符号の説明】
1 パネル部 2 ファンネル部 3 ネック部 4 蛍光膜(画面) 5 シャドウマスク 6 磁気シールド 7 偏向ヨーク 8 ピュリテイ調整マグネット 9 センタービームスタティックコンバーゼンス調整マ
グネット 10 サイドビームスタティックコンバーゼンス調整マ
グネット 11 電子銃 12 反射防止兼帯電防止被膜 13 アルミニューム膜 14 突起部 15 平坦部 16 導電微粒子 Bc センタービーム Bs サイドビーム

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルキルシリケート(Si(OR)4 )(Rは
    アルキル基)を含んだアルコールを主成分とする溶液
    に、酸化錫(SnO2)、酸化インジウム(In2O3)、酸化
    アンチモン(Sb2O3 )の中の少なくとも1種以上の導電
    微粒子を添加した混合溶液を、陰極線管のガラスパネル
    前表面に塗布して1層構造の反射防止兼帯電防止用被膜
    を形成したことを特徴とする反射防止兼帯電防止被膜付
    き陰極線管。
  2. 【請求項2】 前記混合溶液内に有機染料を主成分とす
    る着色剤を加え、前記被膜に反射防止兼帯電防止特性の
    他に選択吸収特性を付与したことを特徴とする請求項1
    記載の反射防止兼帯電防止被膜付き陰極線管。
  3. 【請求項3】 前記反射防止兼帯電防止被膜は、日本工
    業規格(JIS Z8741)により規定された光沢度
    が45乃至95%の範囲内にあることを特徴とする請求
    項1及び2記載の反射防止兼帯電防止被膜付き陰極線
    管。
  4. 【請求項4】 アルキルシリケート(Si(OR)4 )(Rは
    アルキル基)を含んだアルコールを主成分とする溶液内
    に、平均粒子径が70nm以下の酸化錫(SnO2)、酸化
    インジウム(In2O3)、酸化アンチモン(Sb2O3 )の中
    の少なくとも1種以上の導電微粒子を0.1乃至10.
    0重量%の割合で添加した塗布用混合溶液を作成する工
    程と、この混合溶液を陰極線管のガラスパネル前表面に
    スプレー法によって塗布する工程と、次に、この塗布部
    分を焼成する工程とからなり、これら工程により前記パ
    ネル前表面に反射防止兼帯電防止被膜を形成することを
    特徴とする陰極線管の反射防止兼帯電防止被膜の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記塗布用混合溶液を作成する工程に、
    さらに、酸性染料、カチオン染料、反応性染料、直接染
    料、分散染料の中で耐光性及び化学的耐久性の優れたも
    のを少なくとも1種以上選択して得た有機染料を主成分
    とする着色剤を加える工程を付加したことを特徴とする
    請求項4記載の陰極線管の反射防止兼帯電防止被膜の製
    造方法。
JP3324114A 1991-11-13 1991-11-13 反射防止兼帯電防止被膜付き陰極線管及びその被膜の製造方法 Pending JPH05135713A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR970012944A (ko) * 1995-08-10 1997-03-29 윤종용 음극선관 및 그 제조방법

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