JPH0513419U - 二重式おむつ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 尿水の吸収量を大きくして排尿の度毎の交換
を少なくし、介護者の労力負担を軽減し、また、使用中
の被介護者に対して背漏れ、脇漏れを生じさせず、安心
して使用できるようにする。 【構成】 透水性の表面材２、吸収性素材の吸水材４、
非透水性の防漏材３から成るおむつ本体１内に、同様に
表面材６、吸水材７、防漏材８から成り、おむつ本体１
に比し小型に形成した吸水パット５を配装した二重構造
とする。股部分にあてがわれた吸水パット５は、透水性
の表面材２，６を通じて吸水材８にて第一次的に捕捉吸
収する。この吸水パット５による吸収限界以上の尿水
は、おむつ本体１自体の吸水材４によって第二次的に捕
捉吸収する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、主として、起居が困難な老人、病人、その他の介護を必要とする 人の尿水を長時間に亙って保持でき、簡易に処理できる二重式おむつに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来から、病院、老人ホーム、家庭介護において、起居が困難な老人、病人等 のいわゆる寝たきり老人の介護に際し、これらの介護を必要とする病臥中の被介 護者から排出される尿水を受けるおむつをあてがっておき、不意の排尿その他に 対処できるようにしている。

【０００３】 このとき、被介護者が排尿する量は、昼夜間において異なり、排尿量が多いと きには、それを十分に吸収できないと尿水をおむつ外に漏出させてしまうことが ある。そうすると、それが被介護者の背中がわに回ったり、脇から浸み出たりし 衣服を汚損するばかりでなく、被介護者自身も不快な感じを抱き、精神的にも負 担を感じるものである。また、被介護者は、自身の意思及び状況を介護者に十分 に伝達できないことがあると、それがそのまま放置され、皮膚がかぶれたり、炎 症を起こしたりし、不潔であり、二次的な障害を生じることもある。

【０００４】 こうした従来の諸欠点を解消すべく、従来から各種の大人用のおむつが提供さ れているが、これらのものは、十分な吸収量を備えておらず、介護者は、被介護 者が排尿した頃を見計らい、定期的におむつを交換しているものである。そのた め、昼間であれば介護者の日常の家事作業中等に簡単にこれを行なえても、夜間 の場合に所定時間毎に起きることは介護者にとって極めて苦痛であり、これが長 期に亙る場合には、介護者自身の健康を損なうことにもなる。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

すなわち、従来提案されていたおむつにあっては、大人が排尿したものを受容 するに足りる十分な吸収容量を有していないために、背漏れ、脇漏れが度々生じ 、被介護者の着替え、汚損した衣類の洗濯等に多大な労力を必要としていたもの である。

【０００６】 そこで、この考案は、叙上のような従来存した諸事情に鑑み案出されたもので 、吸収量を大きくすることで、排尿の度毎の交換を少なくし、介護者の労力負担 を軽減し、また、使用者である被介護者にはその使用中に背漏れ、脇漏れを生じ させず、安心して使用できる二重式おむつを提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上述した目的を達成するため、この考案にあっては、身体に当接装着されるよ う内表面に配された透水性の表面材２と、外表面に配された非透水性の軟質フィ ルム製の防漏材３と、これらの表面材２、防漏材３相互間に配装される吸水材４ とから成るおむつ本体１と、このおむつ本体１の表面材２裏面に当接されるよう 内表面に配された透水性の表面材６と、外表面に配された非透水性の軟質フィル ム製の防漏材７と、これらの表面材６、防漏材７相互間に配装される吸水材８と から成り、前記おむつ本体１に比し小型に形成され、おむつ本体１内に配装され る吸水パット５とを備えたことを特徴とする。

【０００８】 このとき、吸水パット５は、おむつ本体１内に固定配装されているものとして 構成することができる。

【０００９】 また、おむつ本体１における表面材２に、互いに重なり合うオーバーラップし た端縁を有するスリット状の開口部９を形成し、この開口部９によって吸水パッ ト５をおむつ本体１内に自在に装入できるものとして構成することができる。

【００１０】 更に、おむつ本体１における表面材２部位には、おむつ本体１内に投入する吸 水剤１０の投入孔１１を開口して構成することができる。

【００１１】

【作用】

この考案に係る二重式おむつにあっては、おむつ本体１内に吸水パット５を配 装した状態で、おむつ本体１の表面材２がわを被介護者の身体に当接させ、吸水 パット５部分を股部分にあてがう。

【００１２】 股部分にあてがわれた吸水パット５は、排出された尿水を透水性の表面材２及 び吸水パット５自身の表面材６を通じて吸収し、これを捕捉する。吸水パット５ による吸収限界以上の尿水は、この吸水パット５から溢水状となっても、おむつ 本体１自体の吸水材４によって吸収する。

【００１３】 表面材２表面に形成した開閉自在な開口部９は、おむつ本体１内に吸水パット ５を着脱自在に装入させ、排尿量に変動があるとき、これに対応した吸収量が設 定されている吸水パット５を組合せる。

【００１４】 また、表面材２に開口した投入孔１１は、吸水剤１０をおむつ本体１内に投入 させ、その投入量の調整によって吸収量を自在に設定する。

【００１５】

【実施例】

図において示される符号１はおむつ本体であり、このおむつ本体１は、身体に 当接装着されるよう内表面に配された透水性の表面材２と、外表面に配された非 透水性の軟質フィルム製の防漏材３と、これらの表面材２、防漏材３相互間に配 装される吸水材４とから成る。

【００１６】 このおむつ本体１自体は、図に示すように、被介護者の股部分及び腰部分にあ てがわれるような大きさの平面で縦長の長方形状を呈するものとして形成され、 透水性の表面材２を通過して尿水が内部の吸水材４にて捕捉吸水され、防漏材３ によって外部に漏水させないようにしてある。

【００１７】 表面材２は、肌触りが良く、サラっとした感じを被介護者に与えるよう、例え ばポリエチレン系、ポリエステル系、ポリオレフイン系の不織布にて形成され、 防漏材３は、水分を全く通過させないよう、例えばポリエチレンフイルムにて形 成され、吸水材４は、吸水性に富むよう、例えば吸水紙、綿状のバルブ材、高分 子吸収材にて形成されている。

【００１８】 また、このおむつ本体１内には、吸水性に富む吸収量を強化した吸水パット５ が配装されて、二重の防水構造のものとして構成されている。

【００１９】 この吸水パット５は、おむつ本体１と同様に平面で縦長の長方形状を呈し、お むつ本体１に比し小型に形成されており、表面材２裏面に位置されておむつ本体 １内に配装され、身体の股部分に装着されたとき、望ましくは尿道口部位に直接 的にあてがわれるような位置に配装される。

【００２０】 この吸水パット５の構成は、おむつ本体１とほぼ同様に、内表面に配された透 水性の表面材６と、外表面に配された非透水性の軟質フィルム製の防漏材７と、 これらの表面材６、防漏材７相互間に配装される吸水材８とから成り、これらの 表面材６、防漏材７、吸水材８等は、おむつ本体１のそれと同様なもので形成さ れる。そして、吸水パット５の表面材６は、おむつ本体１の表面材２裏面に当接 し、吸水パット５自体は、おむつ本体１における表面材２と吸水材４の間にサン ドイッチ状に挟み込まれた状態で配装される。

【００２１】 また、図示のように、吸水パット５は、おむつ本体１の中央位置に対し、おむ つ本体１の長さ方向のいずれかの端縁がわにずれて配置されている。これは、男 性用、女性用に各別に対応させて使用できる汎用性を考慮したがためであり、男 性に使用する場合には吸水パット５が身体の前方がわに、女性に使用する場合に は吸水パット５が身体の後方がわに夫々位置するようにする。

【００２２】 こうすることで、男女に対する使い分けができ、男性用、女性用に夫々を別個 に構成する手間を省略することができ、また、安価な提供を可能にする。

【００２３】 しかして、図１、図２にあっては、吸水パット５をおむつ本体１内に固定配装 してこれらを一体状に構成する埋め込み式とした構造を示してあり、吸水パット ５はおむつ本体１内部で、例えば表面材２と吸水材４の間で適当に固定されてい る。これによると、従来同様に、一体性あるものとして使用できる。

【００２４】 また、図３、図４にあっては、吸水パット５をおむつ本体１内に着脱装入させ て構成する着脱式とした構造を示しており、図に示すように、おむつ本体１にお ける表面材２のほぼ中央部分に、互いに重なり合うオーバーラップした端縁を有 するスリット状の開口部９を形成し、この開口部９の開閉操作によって吸水パッ ト５をおむつ本体１内に自在に装入できるようにしたものである。

【００２５】 これによると、例えば大型の長時間用、小型の短時間用の吸水パット５を選択 使用でき、使用する時間を任意に設定できる。そればかりでなく、使用中に排尿 があった場合に、尿水を吸水した吸水パット５のみを取り除き、新たな吸水パッ ト５を再び装入することで、おむつ本体１と共に再使用でき、省資源に役立てる ことができる。

【００２６】 更に、図５にあっては、おむつ本体１内に配装した吸水パット５に対し、おむ つ本体１内に高分子タイプの吸水剤１０を投入できる投入孔１１をおむつ本体１ における表面材２に開口形成して成る吸水剤投入式とした構造を示している。す なわち、前述したように、おむつ本体１における吸水パット５をずれせた位置と 反対がわの表面材２部位に投入孔１１を開口し、おむつ本体１内に配装されてい る吸水パット５への案内路１２を形成したものであり、この投入孔１１から投入 された吸水剤１０が吸水パット５と共に吸収作用を発揮し、一層多くの尿水を吸 水捕捉するようにしてある。

【００２７】 この吸水剤１０は、粉末状のものであり、例えば細長い袋内に収容してステッ ク状に形成しておき、その袋端を破断することで、投入孔１１を経てのおむつ本 体１内への投入が容易となるようにしておくとよい。また、投入孔１１自体は、 ミシン目状のものであってもよく、必要があれば、着脱可能な蓋シール１３によ って開閉できるようにしておく。

【００２８】 これによると、吸水剤１０の投入量によって長時間用、短時間用に使い分けが でき、使用時間の調整を容易にし、便利である。なお、投入された吸水剤１０は 、おむつ本体１内で平均に分布されている必要はなく、遍在したものとなっても 、尿水の吸収作用には影響はない。

【００２９】 次に使用の一例を説明すると、おむつカバーと共に従来と同様に使用装着させ ればよいのであり、おむつ本体１内に吸水パット５を配装した状態で、おむつ本 体１の表面材２がわを被介護者の身体に当接させながら、吸水パット５部分が股 部分にあてがわれるようにする。そして、おむつカバーにてしっかりと固定して おけばよい。

【００３０】 排尿があると、交換するのであり、例えば昼間であれば朝食前後、昼食前後、 夕食前後とし、夜間であれば就寝前として１日で計３乃至４回前後で新たなもの に交換使用する。このとき、排尿量が多い場合あるいは少ない場合には、吸水パ ット５において、その吸収量の大小のあるものを適宜使い分け、また、投入させ る吸水剤１０量を適宜調整する。

【００３１】

【考案の効果】

この考案は以上のように構成されており、これがため、吸収量が大きくなり、 排尿の度毎の交換を少なくし、介護者の労力負担を大きく軽減でき、人手不足の 解消にも寄与するのであり、また、使用者である被介護者にはその使用中に背漏 れ、脇漏れを生じさせず、安心して使用できるものである。

【００３２】 そのため、尿水が外部に漏出することに起因する被介護者自身の身体の冷えが なく、良好な体調を維持でき、被介護者が排尿したことの意思伝達が十分にでき ないことで、介護者が度々行なっていた交換チェックを少なくでき、その結果、 介護者が時間を見計らっての外出や日常の家事作業、仕事を円滑に遂行でき、来 客時でも安心なものである。

【００３３】 また、尿漏れがないから、衣服を汚損せず、洗濯量を大幅に減少させ、更には 、被介護者自身にとっても着替えのための体力を消耗せず、病気、障害等の回復 にも大きく役立つ。しかも、被介護者の股部分にあてがわれた状態では、二重の 状態で装着されるから、被介護者にとっても安心であり、精神的な負担をも軽減 させ得るものである。

【００３４】 すなわち、これらは、この考案において、おむつ本体１内に吸水パット５を配 装した二重構造としたことで、従来では期待できなかった排尿された尿水の吸水 量を著しく増大できたからである。

【００３５】 しかも、股部分にあてがわれた吸水パット５は、排出された尿水をおむつ本体 １自身の透水性の表面材２及び吸水パット５自身の表面材６を通じて吸水材８に 吸収し、これを第一次的に捕捉するのであり、この吸水パット５による吸収限界 以上の尿水は、これから溢水状となっても、おむつ本体１自体の吸水材４によっ て吸収し、第二次的に捕捉し、全体として吸収量を極めて大きくしているもので ある。

【００３６】 また、表面材２表面に形成したオーバーラップ状の開閉自在な開口部９は、そ のオーバーラップ部分を離反、開口することで、おむつ本体１内部を開放でき、 おむつ本体１内に吸水パット５を着脱自在に装入させられる。そのため、昼間、 夜間等において排尿量に変動があるとき、これに対応した吸収量に大小がある任 意の吸水パット５をおむつ本体１内に装入配置でき、おむつ本体１との適宜な組 合せを可能にするばかりでなく、おむつ本体１をカバー体として使用するような 吸水パット５のみを交換をも可能にし、便利である。

【００３７】 更には、表面材２に開口した投入孔１１によって、所定の高分子タイプの吸水 剤１０をおむつ本体１内に投入させることができ、その投入量の調整によって吸 収量を自在に設定することで、排尿量の変動に対応できるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】一部を省略した断面図である。

【図２】平面図である。

【図３】他の実施例における断面図である。

【図４】図３に示した実施例における平面図である。

【図５】更に他の実施例における平面図である。

【符号の説明】

１ おむつ本体 ２ 表面材 ３ 防漏材 ４ 吸水材 ５ 吸水パット ６ 表面材 ７ 防漏材 ８ 吸水材 ９ 開口部 １０ 吸水剤 １１ 投入孔 １２ 案内路 １３ 蓋シール

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 身体に当接装着されるよう内表面に配さ
   れた透水性の表面材と、外表面に配された非透水性の軟
   質フィルム製の防漏材と、これらの表面材、防漏材相互
   間に配装される吸水材とから成るおむつ本体と、このお
   むつ本体の表面材裏面に当接されるよう内表面に配され
   た透水性の表面材と、外表面に配された非透水性の軟質
   フィルム製の防漏材と、これらの表面材、防漏材相互間
   に配装される吸水材とから成り、前記おむつ本体に比し
   小型に形成され、おむつ本体内に配装される吸水パット
   とを備えたことを特徴とする二重式おむつ。
2. 【請求項２】 吸水パットは、おむつ本体内に固定配装
   されている請求項１記載の二重式おむつ。
3. 【請求項３】 おむつ本体における表面材に、互いに重
   なり合うオーバーラップした端縁を有するスリット状の
   開口部を形成し、この開口部によって吸水パットをおむ
   つ本体内に自在に装入できるようにした請求項１記載の
   二重式おむつ。
4. 【請求項４】 おむつ本体における表面材部位には、お
   むつ本体内に投入する吸水剤の投入孔を開口してある請
   求項１または２記載の二重式おむつ。