JPH05134099A - 2結晶x線モノクロメーター - Google Patents

2結晶x線モノクロメーター

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JPH05134099A
JPH05134099A JP3296935A JP29693591A JPH05134099A JP H05134099 A JPH05134099 A JP H05134099A JP 3296935 A JP3296935 A JP 3296935A JP 29693591 A JP29693591 A JP 29693591A JP H05134099 A JPH05134099 A JP H05134099A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】X線ビーム位置が移動せず、任意波長の単色性
の高いX線を選択可能とする小形2結晶X線モノクロメ
ーターを実現することにある。 【構成】2枚の平板結晶2、3は互いに回折面が並行と
なるように回転可能なテーブル7上に配置され、平板結
晶3の回折面は回転軸中心に、平板結晶2は偏心して直
線移動台10の設置台12に、それぞ保持され、テーブ
ル7の回転により回折角θを定め、直線移動台10で2
枚の平板結晶間の並行間隔距離を所定値に定め、これら
2個のパラメータの制御で、平板結晶2に入射するX線
ビーム1と平板結晶3からの回折X線ビーム4とを並行
とし、かつその並行間隔距離を変化させずに単色化され
たX線ビームを取り出すことができるようにした。8は
平板結晶3の設置台で、微回転用モーター9により回転
し、平板結晶3の回折面を並行状態から微小角度回転さ
せることにより高次光の抑制をも可能とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、X線を利用した試料の
分析装置に用いられるX線モノクロメーターに係り、特
に小型で広い波長帯域をもつ高精度な2結晶X線モノク
ロメーターに好適な構造に関する。
【0002】
【従来の技術】2結晶X線モノクロメーターは、一般に
2枚の平板結晶、入射するX線ビームと出射するX線ビ
ームが平行になるように2枚の平板結晶の相対的位置関
係を設置するための回転及び移動機構、これらを取付け
るための真空容器及び真空排気装置と装置全体の動作制
御を行う制御装置とから構成されている。
【0003】従来の装置では、X線源からの入射X線ビ
ームを第一の平板結晶のほぼ中央で回折させ、さらに第
二の平板結晶のほぼ中央にX線ビームが来るようにこれ
ら両平板結晶の位置を相対的に移動して入射X線ビーム
と出射X線ビームとが平行になるようにしていた。
【0004】このとき、これら両方のX線ビームが平行
で、しかも位置(平行間隔)を変えないという条件を設
定すると例えば、特開61−117436号公報、ある
いは大柳:PF−Activity Report(1
989)#7の報告にあるように、大形の2結晶モノク
ロメーターとなり、最小4組のパラメーターを高精度に
制御する必要が生じる。すなわち、2枚の平板結晶につ
いてのあおり角と回転角とをそれぞれ正確に制御する必
要がある。特に、これら2枚の平板結晶の回折角度の制
御は1角度秒以下の角度制御を必要とし、非常に困難で
あった。
【0005】このような構成では、2結晶モノクロメー
ターが大形となり、必然的にX線源からモノクロメータ
ーを介して試料までの距離が長くなることで、試料を照
射するX線ビームの強度が小さくなるという不具合が生
じていた。周知のとおり、これら両方のX線ビームが平
行で、しかもビーム間の垂直距離(平行間隔)が常に一
定であることは、装置の小型化と操作性を向上させる上
から極めて重要な条件である。すなわち、これらの条件
が満たされればX線源、検出器、試料の位置が固定でき
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
課題は、従来と同等なX線源を用いた場合でも、入射す
るX線ビームと出射するX線ビームとが並行で、かつビ
ーム間の垂直距離(並行間隔)が移動しない小形X線モ
ノクロメーターを実現し、試料に入射するX線ビームの
波長を自在に選択して種々の測定を可能とすることにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記課題を
達成するため、2結晶X線モノクロメーターにおいて、
回転テーブルの回転軸に一方の平板結晶表面の回折面を
一致させ、同一回転テーブル上に並行に設置した他方の
平板結晶の回折面との垂直距離(両平板結晶の並行間
隔)を制御することにより、如何なる回折角度でも入射
するX線ビームと出射するX線ビームとが並行で、しか
もこれら両X線ビームの並行間隔を一定距離に固定でき
るようにした。
【0008】また、モノクロメーター出射するX線ビー
ムに含まれる高次の回折線の強度を抑制するため、2つ
の平板結晶の回折角度を数角度秒程度ずらして設定でき
るようにするか、または2結晶X線モノクロメーターの
X線ビームの入射側、もしくは出射側位置のいずれかに
X線全反射鏡を設置し、全反射の臨界波長を基本回折線
と高次の回折線の中間に設置するようにした。また、こ
れら2つの平板結晶の回折角度を数角度秒程度ずらして
設定することと、X線全反射鏡を設置することとの両者
を組み合わせることにより、高次の回折線を更に一層抑
制できるようにした。
【0009】更にまた、空気によるX線ビームの散乱や
吸収を排除するため、容器内部を真空排気し、X線ビー
ムの行路を真空容器内に設置することにより長波長のX
線の単色化をも可能な2結晶X線モノクロメーターとし
たものである。
【0010】
【作用】本発明の2結晶モノクロメーターでは、回転テ
ーブル上に2枚の平板結晶を設置することにより、1つ
の回転軸で2枚の平板結晶の回折角度を設定することが
できる。この回転テーブル上に2枚の平板結晶の回折面
の距離(平板結晶間の並行間隔)を制御可能な直線移動
台を設置し、一方の平板結晶の回折面を同一回転テーブ
ルの回転軸中心に一致させ、更に直線移動台に保持され
た他方の平板結晶の回折面を所定の位置に直線移動する
ことにより、2個のパラメーター(回転テーブルの回転
による回折角度の設定と、直線移動台の駆動による2枚
の平板結晶の回折面の並行間隔距離の設定)のみで高精
度にモノクロメーターを制御することができる。
【0011】このような機構とし、2枚の平板結晶のう
ち一方の結晶に比較して他方の結晶のX線ビーム進行方
向の長さを大きくとり、X線ビームを回折する位置(回
折面)を直線移動台で所定位置に制御することにより、
回折角度が変わっても入射X線ビームと出射エック線ビ
ームとの並行間隔(距離)は変化しないので、モノクロ
メータから出射する単色化X線ビームの位置を変化させ
ないようにすることができる。
【0012】また、モノクロメーターの制御パラメータ
は1個増加するが、モノクロメーターから出射するX線
ビームに含まれる高次の回折線は基本波の回折の角度幅
より狭いことを利用して、2つの平板結晶の回折角度を
数角度秒程度ずらして設定することにより高次の回折線
を除去することができる。この場合、2枚の平板結晶の
回折面を相対的に微動回転させればよく、直線移動台の
上に平板結晶の微回転機構を設けてもよいが、装置が複
雑となるので実用的には回転テーブルの回転軸に回折面
を一致させた平板結晶を微回転させる機構とする方が望
ましい。
【0013】また、2結晶X線モノクロメーターのX線
ビームの入射側、もしくは出射側位置の何れかにX線全
反射鏡を設置し、全反射の臨界波長を基本回折線と高次
の回折線の中間に設置することにより波長の長い基本波
のみを選択的に反射し、高次の回折線を全反射鏡で吸収
することにより出射側での高次の回折線を抑制すること
もできる。更には、これら回折面の微動回転機構と、X
線全反射鏡との両方の手段を設ければ、更に一層高次の
回折線を抑制することができる。
【0014】なお、上記平板結晶の微回転機構により回
折角度を数角度秒程度ずらすに際しては、高次の回折線
の発生が平板結晶の材質や回折X線の波長に依存するた
め、これらを勘案して好ましい移動角度を設定すること
になる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面により説明す
る。まず、図1にしたがって説明すると、これは本発明
の一実施例となる小形2結晶モノクロメーターの概念図
を示したものである。同図において、1は入射X線ビー
ム、2はX線ビーム1が入射する側の第一平板結晶、3
は第二平板結晶、4は2枚の平板結晶で単色化された出
射X線ビームである。5は回折角設定用モーター、6は
回折角設定用ウォームギヤ、7はモーター5により回転
する回転テーブル、8は第二平板結晶3の設置台であ
り、回転テーブル7の回転軸中心に第二平板結晶3の回
折面が位置するようになっている。9は第二平板結晶3
の回折面を微小角度回転させるモーター、10は第一平
板結晶2の直線移動台、11は直線移動台10を構成す
る移動量設定用モーター、そして12は第一平板結晶2
の設置台であり、モーター11の回転により回転テーブ
ル7に固定されたスライドレール13上を直線移動でき
るようになっている。
【0016】なお、この例では高次の回折線を抑制する
好ましい事例を示しているため第二平板結晶3の設置台
8は、テーブル7とは同軸であるが独立に微小角度回転
できる構成となっている。通常は、平板結晶2と3との
回折面が並行を保ち、高次の回折線を抑制する時にのみ
モーター9の回転によりウォームギア6´を介して送り
ネジ14が繰り出すことによって、繰り出し量に見合っ
た分だけ設置台8に固定された回転レバー15がバネ1
6の張力に抗して移動し、平板結晶3の回折面が微小角
度移動できるようになっている。送りネジ14を元の位
置に戻せば平板結晶2と3との位置関係は元に戻り並行
となる。
【0017】X線ビームは第一平板結晶2で式(1)の
ブラッグの法則を満たす波長のX線のみが回折され、第
二平板結晶3に入射する。2枚の平板結晶の回折面を並
行に配置することにより、第一平板結晶2に入射するX
線ビーム1と第二平板結晶3からの回折X線ビーム4と
は並行となり、単色化されたX線ビーム4を取り出すこ
とができる。
【0018】
【数1】2d・sinθ=n・λ …(1) ここで、dはX線を回折する原子面の面間隔、nは回折
の次数、λは回折されるX線の波長を意味する。
【0019】図2は入射X線ビーム1と出射X線ビーム
4との並行間隔l(エルで表示)を一定とする位置制御の
概念図を示したものである。同図により入射X線ビーム
1と回折X線ビーム4とが並行、かつ並行間隔距離l
(エル)が移動しないための第一平板結晶2の移動量
(yの変化量で表示)制御について説明する。X線ビー
ムの回折角をθとし、θa=30°、θb=45°、θ
c=60°の場合について表すと平板結晶2、3の状態
は図2のそれぞれ2a、2b、2c及び3a、3b、3
cのようになる。ここで、第二平板結晶3の回転軸(回
折面に相当)を通る垂線と第一平板結晶2上の入射X線
ビーム照射点17の距離をx、2枚の平板結晶間距離を
yとすると、図示の通りya<yb<ycであり、xa
>xb>xcとなり、回折角θが小さいところではxを
大きく、かつyを小さく、回折角θが大きいところでは
xを小さくかつyを大きくなるように第一平板結晶2の
距離を制御すれば、入射X線ビーム1と回折X線ビーム
4とが並行、かつ並行間隔距離l(エル)が移動しない
ことが判る。すなわち、図1に示した回転テーブル7を
回転させることによりX線の入射角θを変化させると共
に、直線移動台10を駆動させて2枚の平板結晶2、3
の並行間隔距離yを所定値に変化、設定すれば、入射X
線ビーム1と回折X線ビーム4とを並行に保持した状態
で、並行間隔距離l(エル)を一定に固定することがで
きる。
【0020】次に、図3を用いてx、y及び入射X線ビ
ーム1と回折X線ビーム4との並行間隔距離l(エル)
との関係について詳述する。第二平板結晶3の回転軸を
座標原点とすると、第一平板結晶2の入射X線ビーム1
の照射点17の座標は(x,y)で表される。回折角を
θとして、それぞれのパラメーターの関係を求めると次
式(2)、(3)で表される。
【0021】
【数2】l=2・y・cosθ …(2)
【0022】
【数3】x=y/tanθ …(3) 従って、式(2)に基づいて第一平板結晶2の位置yを
制御すれば入射X線ビーム1と回折X線ビーム4との距
離l(エル)を一定とすることができる。すなわち、y
とθを変化させてl(エル)を一定にしている。回折角
θにより入射X線ビーム1の照射点17が移動するた
め、第一平板結晶2のサイズSをある程度必要とする。
このサイズS及び2枚の結晶の並行間隔のストロークL
(yの最大値−yの最小値)は式(2)及び式(3)と
回折角の範囲から式(4)及び式(5)でそれぞれ決定
される。
【0023】
【数4】 S=0.5・l・(secθ1−secθ2) …(4)
【0024】
【数5】 L=0.5・l・(cosecθ2−cosecθ1) …(5) ここで、θ1及びθ2はそれぞれ回折角の最大値及び最小
値である。
【0025】l(エル)を10mm、θ1及びθ2を80
°及び10°とすると、S及びLは47.4mmとな
る。実際の第一平板結晶2のサイズは、これに第一平板
結晶上の入射X線ビーム1の照射幅の1/2を加えた値
となり、1mmの入射X線ビームを用いる場合は50.
4mm程度を必要とする。
【0026】モノクロメーターに使用される平板結晶
2、3としては、InSbやSi等の単結晶が用いられ
るが、これらは何れも少なくとも3インチ径程度のもの
が容易に入手できるので、モノクロメーター用の平板結
晶として十分に使用できる。平板結晶としてInSb
(111)、Si(311)を使用する場合には、式
(1)のdがそれぞれ0.3740nm、0.1602
nmであるから、回折角の最大値及び最小値からそれぞ
れ表1のようになる。
【0027】
【表1】 結 晶 λの範囲(単位:nm) InSb(111) 0.7366>λ>0.1299 Si(311) 0.3155>λ>0.0556 結晶の種類としては、その他一般的な分光用結晶が使用
可能であり、KAP、ADP、Ge、GaAs、SiO
2、LiF等波長の分解能や使用する波長範囲に応じて
選択し、取替えが可能である。
【0028】次に図4を用いて回折X線ビーム4の中に
含まれる高次光の除去方法の一例について説明する。式
(1)に示したようにブラッグの法則に従った回折では
n次の高次光が混入する。n次の高次光はn=1のX線
のn分の1の波長であり、高次光が混入していると測定
データのS/Nが悪化し、高精度な測定には妨害とな
る。平板結晶による回折の角度幅はダーウィン幅(ω)
として下記の式(6)のように表される。
【0029】
【数6】 ω≒8.5r|F(nk)|tanθ/(πdn2|k|2) …(6) ここで、rは電子の古典半径、Fは構造因子、kは回折
面の回折ベクトルである。式(6)によればn次光の1
次光に対するωの比αは次の式(7)のように表され
る。
【0030】
【数7】 α=ω(n)/ω(1)=|F(nk)|/|n2F(k)| …(7) ここで、|F(nk)|/|F(k)|≦1であるた
め、回折の次数が大きくなるほど次数の自乗に反比例し
て、回折の幅が小さくなる。そこで、第一平板結晶2と
第二平板結晶3の回折角を微小角Δθずらすことによ
り、回折X線ビーム4の中に含まれる高次光の強度を抑
制することができる。この回折強度の角度分布は図4の
ようになる。すなわち、図4(a)は第二平板結晶3の
回折角を変化させない状態、図4(b)は微小角Δθず
らした状態、図4(c)はその結果、高次光の強度が抑
制された状態を、それぞれ示している。この方法はデチ
ューンと呼ばれ、高次光除去の簡便かつ有効な方法であ
る。
【0031】次ぎに回折X線ビーム4の中に含まれる高
次光の除去方法について、他の例を説明する。2結晶モ
ノクロメーターのX線源が発生するX線ビームには、波
長が連続的な制動輻射によるX線の他、特定の波長のみ
強度が大きな特性X線も含まれる。この特性X線の強度
は連続波長のX線の約100倍になることもある。この
特定の波長が高次光付近になるような回折角では、デチ
ューン法だけでは高次光の強度を充分に抑制できない場
合がある。この場合にはモノクロメーターとX線源との
中間、またはモノクロメーターの回折X線ビーム4の出
射部にX線の全反射鏡を設置し、高次光の強度を抑制す
ることが有効である。
【0032】X線も電磁波であり、可視光のように鏡で
全反射させることができる。全反射の反射率は波長と全
反射鏡の材質により異なるが、60から100%程度で
ある。波長を短くすると、この反射率が急激に減少する
波長があり、この波長を臨界波長λc(nm)と呼び、
波長と全反射の反射角度β(ラジアン)及び全反射鏡表
面の密度ρ(Mg/m3)から次の式(8)のように決
定される。
【0033】
【数8】β=0.016×λc×√ρ …(8) Moを対陰極としたX線源から放射されるX線ビームに
は強度の大きな特性X線として、MoKα1、Kα2及び
Kβ1、Kβ2、Kβ3があり、それぞれの波長は0.0
70930、0.071359、0.063229、
0.062099及び0.063287nmである。こ
れらの波長をn次の高次光とするような波長のX線をモ
ノクロメーターから取り出そうとするとき、回折X線ビ
ーム4の中に非常に強度の大きな高次光が含まれること
になる。したがって、波長λが0.186〜0.213
nm程度のX線ビームをモノクロメーターから取り出そ
うとするとき、デチューン法だけではX線ビームの中に
は波長が1/3のMoの特性X線が含まれることにな
る。一方、溶融石英の表面にNi(ρ≒9)を蒸着した
全反射鏡をX線ビームに対して0.44°に設置すると
λc≒0.16nmとなり、高次光の反射率が小さく、
高次光が抑制されたビームを取り出すことができる。表
面の物質は金属としては、Au、Pt、Cr等Ni以外
のものを利用することもできる。使用する波長によって
は、溶融石英の表面をそのまま利用することも可能であ
る。
【0034】図5は、本発明のモノクロメーターの入射
側に全反射鏡を配設したX線源・モノクロメーターシス
テムの全体構成図を示したもので、X線源からモノクロ
メーターのX線の経路を全て高真空に排気し、波長の長
いX線をも単色化して取り出すことができるようにした
ものである。同図に示したようにX線源18から発生し
たX線ビーム1´は、高次光抑制用全反射鏡23に入射
し、式(8)で設定した臨界波長より短い波長のX線は
反射率が小さいため、短波長の特性X線の強度は充分減
衰させた上で、2結晶モノクロメーター26に入射す
る。使用するX線の波長により全反射角を変更する必要
があり、全反射角βに対して、2結晶モノクロメーター
の入射X線ビーム1とX線源18から全反射鏡23まで
の光軸の角度を2βに設定する必要がある。全反射角の
設定は真空チャンバー19の外部から回転軸を介して行
う。
【0035】2結晶モノクロメーター26に直結された
全反射鏡真空チャンバー19とX線源連結パス20との
間はOリング21を介して回転可動式真空シールとし
た。全反射鏡真空チャンバー19には真空外部からの回
転導入機構22を介して全反射鏡23を設置し、真空外
部に設置した回転導入機構22により全反射角βとX線
源角度設定機構24により全反射角を設定する。全反射
鏡23と2結晶モノクロメーター26の間には4象限ス
リット25を設置し、全反射鏡23で反射されたX線ビ
ームのみを入射X線ビーム1として2結晶モノクロメー
ター26に入射させ、内部で発生する迷光を抑制した。
【0036】2結晶モノクロメーター26で単色化され
たX線ビーム4は2結晶モノクロメーター26内部で発
生する散乱X線や蛍光X線を抑制するためスリット27
を通して測定装置に入射する。図5では、単色化された
X線ビーム4は試料への入射強度を測定するX線検出器
28を通して試料チャンバー29内に設置された試料3
0を照射する。この時、試料30表面で全反射させたX
線ビームを反射強度測定用X線検出器31で測定し、所
望のX線波長での反射率を測定し、表面の構造解析を行
う。これらの装置は、架台32上に設置される。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、従
来の2結晶モノクロメーターと比較して、制御するパラ
メーターが少ないため、高精度に波長を設定することが
可能となった。
【0038】また、波長分解能が高くかつ高次光をほと
んど含まない単色性の高いX線ビームを取り出すことが
できるため、X線ビームを利用した物質の分析や構造解
析用測定データの精度を従来より高くとることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理を説明するための小形2結晶モノ
クロメーターの概念図。
【図2】入射X線ビームと出射X線ビームの並行間隔を
一定距離とする位置制御の概念図。
【図3】同じく入射X線ビームと出射X線ビームの並行
間隔を一定距離とする位置制御の説明図。
【図4】デチューン法による高次光除去法についての説
明図。
【図5】本実施例のX線源・モノクロメーターシステム
についての説明図。
【符号の説明】
1…入射X線ビーム、 2…第一平板
結晶、3…第二平板結晶、 4…単
色化されたX線ビーム、5…回折角設定用モーター、
6、6´…回折角設定用ウォームギヤ、7…回転テ
ーブル、 8…第二平板結晶の設置台、9…第二
平板結晶微回転用モーター、 10…直線移動台、11
…移動量設定用モーター、 12…第一平板結晶
設置台、13…スライドレール、 14…
送りネジ、15…回転レバー、 16…バネ、17…
入射X線ビーム照射点、 18…X線源、19…
全反射鏡真空チャンバー、 20…X線源連結パ
ス、21…Oリング、 22…回転導入機構、2
3…全反射鏡、 24…X線源角度
設定機構、25…4象限スリット、 26
…2結晶モノクロメーター、27…スリット、
28…X線検出器、29…試料チャンバ
ー、 30…試料、31…反射強度測定用
X線検出器、 32…架台。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2枚の平板結晶の表面でX線を回折させ、
    X線を単色化するモノクロメーターにおいて、一方の平
    板結晶表面ではX線ビームの回折面の位置を固定し、他
    方の平板結晶表面では移動させる機構と、如何なる回折
    角度でも入射するX線ビームと出射するX線ビームとが
    並行で、しかもこれら両X線ビーム間の並行間隔を常に
    一定距離に固定する機構とを具備して成る2結晶X線モ
    ノクロメーター。
  2. 【請求項2】請求項1記載の2結晶X線モノクロメータ
    ーにおいて、回転テーブルの回転軸に一方の平板結晶の
    回折面を一致させ、同一回転テーブル上に並行に設置し
    た他方の平板結晶の回折面との垂直距離を所定値に制御
    する位置決め手段と、これにより如何なる回折角度にお
    いても入射するX線ビームと出射するX線ビームとが並
    行で、しかもこれら両X線ビーム間の並行間隔を常に一
    定距離に固定する手段とを有して成る2結晶X線モノク
    ロメーター。
  3. 【請求項3】請求項1もしくは2記載の2結晶X線モノ
    クロメーターにおいて、2枚の平板結晶の回折面を相対
    的に並行状態から微小角度ずらすことのできる微小角度
    回転機構を付加して成り、これによりモノクロメーター
    から出射するX線ビームの中に含まれる高次の回折線の
    強度を抑制し得るように成した2結晶X線モノクロメー
    ター。
  4. 【請求項4】2枚の平板結晶の表面でX線を回折させ、
    X線を単色化するモノクロメーターにおいて、回転テー
    ブルと、回転駆動手段と、前記回転テーブル上の回転軸
    中心に一方の平板結晶の回折面が位置するように保持さ
    れる平板結晶設置台と、前記回転テーブル上に偏心して
    設置され、他方の平板結晶の回折面を前記一方の平板結
    晶のそれと並行に保持しつつ、X線の入射角に応じて前
    記平板結晶を直線移動せしめ得る直線移動台とを具備し
    て成り、前記回転テーブルの回転角により定まるX線の
    入射角と、前記他方の平板結晶の直線移動量とを制御す
    ることにより、常時、入射X線と出射X線とを並行、か
    つ両者の並行間隔を一定距離に保持した状態で単色化さ
    れたX線を得るようにして成る2結晶X線モノクロメー
    ター。
  5. 【請求項5】請求項4記載の2結晶X線モノクロメータ
    ーにおいて、回転テーブル上の回転軸中心に一方の平板
    結晶の回折面が位置するように保持される平板結晶設置
    台に、前記回転テーブルと同一回転軸上で互いに独立に
    回転し得る回転手段を設け、かかる回転手段により両平
    板結晶の並行状態から一方の平板結晶の回折面を微小角
    度ずらすことにより、モノクロメーターから出射するX
    線ビームの中に含まれる高次の回折線の強度を抑制し得
    るように成した2結晶X線モノクロメーター。
  6. 【請求項6】請求項1乃至5何れか記載の2結晶X線モ
    ノクロメーターにおいて、X線ビームの入射側、もしく
    は出射側位置の何れかにX線全反射鏡を設置し、全反射
    の臨界波長を基本回折線と高次の回折線の中間に設置し
    て成り、これによりX線ビームの中に含まれる高次の回
    折線の強度を抑制し得るように成した2結晶X線モノク
    ロメーター。
  7. 【請求項7】請求項1乃至6何れか記載の2結晶X線モ
    ノクロメーターにおいて、一方の平板結晶から単色化さ
    れた回折X線を出射せしめ、他方の平板結晶にX線源か
    らのX線を入射せしめる構成と成した2結晶X線モノク
    ロメーター。
  8. 【請求項8】請求項1、2、4、6もしくは7記載の2
    結晶X線モノクロメーターにおいて、X線ビームの行路
    を真空容器内に設置し、平板結晶の回折角度、2枚の平
    板結晶の回折面の垂直移動距離を真空容器外部から制御
    できる機構を具備して成る2結晶X線モノクロメータ
    ー。
  9. 【請求項9】請求項3、5、6もしくは7記載の2結晶
    X線モノクロメーターにおいて、X線ビームの行路を真
    空容器内に設置し、平板結晶の回折角度、2枚の平板結
    晶の回折面の垂直移動距離及び並行からの微小ずれ角度
    を真空容器外部から制御できる機構を具備して成る2結
    晶X線モノクロメーター。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100442828B1 (ko) * 1997-09-12 2004-09-18 삼성전자주식회사 모노크로메이터
US20100077873A1 (en) * 2007-07-13 2010-04-01 Keisuke Kishita Monitoring device of gas introducing device for analyzer
US8276470B2 (en) 2007-07-12 2012-10-02 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Device and method for introducing gas for analysis device
CN103940837A (zh) * 2014-04-01 2014-07-23 中国科学院物理研究所 一种SiC晶体单色器

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