JPH05127725A - 円筒座標ロボツトの駆動制御方法 - Google Patents

円筒座標ロボツトの駆動制御方法

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JPH05127725A
JPH05127725A JP9882192A JP9882192A JPH05127725A JP H05127725 A JPH05127725 A JP H05127725A JP 9882192 A JP9882192 A JP 9882192A JP 9882192 A JP9882192 A JP 9882192A JP H05127725 A JPH05127725 A JP H05127725A
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angle
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Masakazu Kobayashi
正和 小林
Shigeki Fujinaga
茂樹 藤長
Shigeki Ochi
重貴 越智
Shunei Kuroda
俊英 黒田
Jiyunko Momozaki
潤子 桃崎
Kiyoshi Takeuchi
清 武内
Ryuhei Mifuji
龍平 美藤
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Shinmaywa Industries Ltd
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Shin Meiva Industry Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 連続的且つ滑らかに変化する駆動出力を各ア
ームの駆動機構に与えることができる円筒座標ロボット
の駆動制御方法を提供する。 【構成】 交差角度δS1,δS2が既知である2点を抽出
し、それらの交差角度δS1,δS2より、ロボットのトー
チの先端が移動する点に於ける交差角度の近似値δa
求める。更に、交差角度の近似値δa ,位置p及び天頂
角θより方位角の近似値φa を求める。そして、位置
p,天頂角θ,交差角度の近似値δa 及び方位角の近似
値φa を用いて、ロボットのトーチの先端が移動する点
において各アームの駆動機構に与えるべき駆動出力
(Θ,xS ,zS ,α,β)を求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、産業用ロボット、特
に円筒座標ロボットの駆動制御方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】産業用ロボットに所望の動作を行わせる
方法として、ロボットのエンドエフェクタの先端がたど
るべき経路上の点を順次ティーチングし、これらのティ
ーチング点を滑らかに結ぶ曲線又は直線で補間する方法
が広く知られている(ティーチングプレイバック)。従
って、この方法を用いてロボットの駆動を制御するに
は、ロボットのエンドエフェクタの先端の位置と姿勢を
表現するXYZ絶対座標系(X系)からロボットの関節
変位(並進自由度と回転自由度を含む。)を表現する関
節座標系(α系)への座標変換が、即ち逆変換が必要と
なる。しかも、この逆変換をロボットの動作に同期して
実時間で行う必要性があるため、効率の良い逆変換の方
法が求められる。
【0003】一般にロボットの座標変換には、α系から
x系への順変換と、前述の逆変換がある。前者は、ロボ
ットの軸構成がどのようなものであっても解析的に厳密
解を求めることができることが知られている。同様に、
後者に関しても解析的に厳密解を求める方法が試みられ
ており、例えばR.C.Paul,“Robot Ma
nipulators;Mathematics,Pr
ogrammingand Control”MIT
Press(1981)にその具体例が示されている。
即ち、順変換の変換式から代数学的に逆変換の変換式を
求めるわけである。
【0004】しかし、ロボットの軸構成いかんによって
は厳密な解析解の求まる場合と求まらない場合があり、
一般的には解析的に厳密解を求めることができない場合
が大部分であって、この発明が対象とする円筒座標ロボ
ットにおいても例にもれることなく、逆変換の変換式よ
り代数学的に直接厳密解を求めることができなかった。
そのため、数値解析による手法を用いて逆変換の解を近
似的に求めることが行われていた。
【0005】そこでかかる問題点を解決すべくなされた
発明が、本出願人の出願に係る特願平2−261184
号に開示されたものである。この発明の詳細については
後述する「実施例」において述べることとし、ここでは
この発明の概要について触れることとする。
【0006】即ち、この発明は、まず円筒座標ロボット
の逆変換を求めるに際して「交差角度」なる概念を導入
する。この交差角度とは、エンドエフェクタの軸を含
み、しかもロボット設置面に平行な平面に垂直な平面
が、エンドエフェクタの軸方向を法線方向とする平面と
交差した際に生ずる交線と、エンドエフェクタが取付け
られた円筒座標ロボットの第3のアームの軸とがなす角
度である。そして、逆変換の変換式を交差角度を変数と
する方程式に変換し、この方程式を解くことにより交差
角度を求め、得られた交差角度の値から円筒座標ロボッ
トの各アームの駆動量を求めようとするものであり、こ
れらの駆動量は逆変換の変換式の厳密解となっている。
【0007】以上の制御方法を、出願人は「幾何学的方
法」又は「g法」と呼んでいる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述した通りg法によ
れば、円筒座標ロボットの逆変換の厳密解を容易に求め
ることができ、その結果、エンドエフェクタの先端を指
定した姿勢にて指定位置へ厳密に移動させることができ
る。
【0009】しかし、本出願人は更に上記g法について
検討した結果、エンドエフェクタの先端の姿勢のうち、
ある限られた範囲内での姿勢にてエンドエフェクタの先
端を移動させる場合には、前述した交差角度δについて
の方程式の解が不連続解となることが判明した。例え
ば、エンドエフェクタの先端の姿勢のうち、天頂角θが
θ=90deg.付近の姿勢においては、交差角度δの
値が不連続値となる。
【0010】もし、この様な不連続解を交差角度δの値
として採用し、なお円筒座標ロボットの駆動制御を続行
するならば、交差角度δが不連続解となる2点間をエン
ドエフェクタの先端が移動する際には、各アームの駆動
量がステップ関数的に急激に大きく変化するため、作業
者が安全にロボットを動作させることができなくなるの
みならず、各アームを駆動すべき移動機構に大きな負荷
が加わる結果、移動機構が破壊されるという事態が生ず
るおそれもある。この様な動作は、ロボットにとっては
好ましくないものである。従って、g法によるロボット
の駆動制御を行ないつつエンドエフェクタ先端を移動さ
せるためには、上記交差角度δの解が不連続解となる領
域を避けて移動させなければロボットを使用できないと
いう制限が課される結果となっていた。そのため、エン
ドエフェクタの先端の姿勢のいかんにかかわらず、常に
逆変換の変換式の厳密解を求めることができ、各アーム
の駆動機構を連続的に且つ滑らかに駆動することができ
る様な駆動制御方法の実現が強く要望されていた。
【0011】この発明はこの様な要望に応えるべくなさ
れたものであって、エンドエフェクタ先端の姿勢のいか
んにかかわらず、常に連続且つ滑らかに変化する駆動出
力を各アームの駆動機構に与え続けることができる高機
能な円筒座標ロボットの駆動制御方法を提供することを
目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明は、円筒座標ロ
ボットでは、エンドエフェクタの先端の位置については
常に正確であることが求められるが、姿勢については或
程度の範囲内なら指定値からずれていても実用上は何ら
問題にはならないであろうという考え方を基礎としてい
る。即ち、エンドエフェクタの先端の姿勢の一方につい
ては指定値通りの値を用い、姿勢の他方には許容範囲内
で積極的に誤差を導入して、各アームの駆動量の値を連
続値とするという思想を用いている。その具体的手段と
しては、次の通りである。
【0013】この発明の第1の構成では、ロボット設置
面に略垂直に設置された第1アームと、第1アームに結
合してロボット設置面に略平行な平面内に並進自由度を
有するとともに、第1アームに対して定まる所定の平面
内に直接的又は間接的に旋回自由度を有する第2アーム
と、第2アームの先端部に略直角に結合して第2アーム
の軸方向まわりの回転自由度とそれ自身の軸まわりの回
転自由度とを有する第3アームと、第3アームの先端部
に略直角に結合したエンドエフェクタとを有する円筒座
標ロボットの駆動制御方法であって、(a)絶対座標系
で表される空間内の所定の2点におけるエンドエフェク
タの先端の位置及び姿勢を指定し、(b)所定の2点そ
れぞれにおいて、エンドエフェクタの軸を含み且つ所定
の平面に垂直な平面がエンドエフェクタの軸方向を法線
方向とする平面と交差する際に生ずる交線と、第3アー
ムの軸方向とがなす交差角度の値を、交差角度を変数と
する方程式を解くことにより求める。次に、(c)ステ
ップ(b)で求めた所定の2点における交差角度の値よ
り、所定の2点間の点における交差角度の値を近似的に
求め、(d)所定の2点間の点におけるエンドエフェク
タの先端の位置と姿勢の一方とを指定するとともに、
(e)ステップ(c)で決定した交差角度の値及びステ
ップ(d)で指定したエンドエフェクタの先端の位置と
姿勢の一方とを用いて、エンドエフェクタの先端の姿勢
の他方を求めるとともに、更に所定の2点間の点におけ
る第1,第2及び第3アームそれぞれの駆動量を決定す
る。そして、(f)各駆動量に応じた駆動出力をそれぞ
れ対応する第1,第2及び第3アームの駆動機構に与え
ることにより、第1、第2及び第3アームの駆動を行う
様にしたものである。
【0014】また、この発明の第2の構成では、第1の
構成の係る円筒座標ロボットと同一の構成を有するロボ
ットの駆動制御方法において、(a)絶対座標系で表さ
れる空間内の各点におけるエンドエフェクタの先端の位
置及び姿勢を指定し、(b)空間内の各点において、エ
ンドエフェクタの軸を含み且つ所定の平面に垂直な平面
がエンドエフェクタの軸方向を法線方向とする平面と交
差する際に生ずる交線と、第3アームの軸方向とがなす
交差角度の値を、交差角度を変数とする方程式を解くこ
とにより求める。次に、(c)ステップ(b)で求めた
空間内の各点における交差角度の値の内、その値が連続
的となる空間内の点については、当該点における交差角
度の値並びにステップ(a)で指定した当該点における
エンドエフェクタの先端の位置及び姿勢を用いて、第
1,第2及び第3アームそれぞれの駆動量を決定する。
一方、(d)ステップ(b)で求めた空間内の各点にお
ける交差角度の値の内、その値が不連続となる空間内の
点については、当該点における交差角度の値を、その
値が連続的である空間内の他の2点における交差角度の
値を用いて近似的に求め、その近似的に求めた交差角
度の値並びにステップ(a)で指定した当該点における
エンドエフェクタの先端の位置及び姿勢の一方を用い
て、エンドエフェクタの先端の姿勢の他方を新たに求め
るとともに、更に当該点における第1,第2及び第3ア
ームそれぞれの駆動量を決定する様にする。そして、
(e)ステップ(c)又は(d)により決定された各駆
動量に応じた駆動出力を、それぞれ対応する第1,第2
及び第3アームの駆動機構に与えることにより、第1、
第2及び第3アームの駆動を行うこととしたものであ
る。
【0015】更にこの発明の第3の構成では、ロボット
設置面に略垂直に設置された第1アームと、第1アーム
に結合してロボット設置面に略平行な平面内に並進自由
度を有するとともに、第1アームに対して定まる所定の
平面内に直接的又は間接的に旋回自由度を有する第2ア
ームと、第2アームの先端部に略直角に結合して第2ア
ームの軸方向まわりの回転自由度とそれ自身の軸まわり
の回転自由度とを有する第3アームと、第3アームの先
端部に略直角に結合したエンドエフェクタとを有する円
筒座標ロボットにおいて、エンドエフェクタの先端が絶
対座標系で表される空間内の焦点を通って空間内を移動
する場合の駆動制御方法を対象とする。
【0016】まず、(a)空間内の各点におけるエンド
エフェクタの先端の位置及び姿勢を指定し、(b)エン
ドエフェクタの軸を含み且つ所定の平面に垂直な平面が
エンドエフェクタの軸方向を法線方向とする平面と交差
する際に生ずる交線と第3アームの軸方向とがなす交差
角度の値を、交差角度を変数とする方程式を解くことに
より求める。そして(c)ステップ(b)で求めた交差
角度の値より、エンドエフェクタの先端が焦点を通過し
たか否かを判断する。今、(d)焦点を通過していない
と判断した場合には、ステップ(a)で指定したエンド
エフェクタの先端の位置及び姿勢並びにステップ(b)
で求めた交差角度の値を用いて、空間内の点における第
1,第2及び第3アームそれぞれの駆動量を決定する。
一方、(e)焦点を通過したと判断した場合には、ステ
ップ(a)で指定した焦点における姿勢の内の天頂角の
値を所定の値だけ変化させた値を、焦点通過後のエンド
エフェクタの先端の位置する点における天頂角の指定値
とし、当該天頂角の指定値並びにステップ(a)で指定
した当該点におけるエンドエフェクタの先端の位置及び
姿勢の内の方位角の値を用いて、当該点における交差角
度の値を求めた後、第1,第2及び第3アームそれぞれ
の駆動量を決定する。(f)そしてこの様にして決定し
た各駆動量に応じた駆動出力を、それぞれ対応する第
1,第2及び第3アームの駆動機構に与えることによ
り、第1、第2及び第3アームの駆動を行う。
【0017】
【作用】この発明の第1の構成では、まず所定の2点に
おけるエンドエフェクタ先端の交差角度の値をそれぞ
れ、それらの点におけるエンドエフェクタ先端の予め指
定された位置及び姿勢に基づいて求める。そして、それ
らの交差角度の値より、エンドエフェクタの先端が移動
すべき点における交差角度の値を近似的に求め、この交
差角度の近似値と予め指定したエンドエフェクタの先端
の位置及び姿勢の一方とを用いて、逆にエンドエフェク
タの先端の姿勢の他方を求める。これにより、エンドエ
フェクタの先端の姿勢の他方には所定の範囲内で誤差が
生ずる。しかし、これらのエンドエフェクタの先端の位
置,姿勢及び交差角度を用いて各アームの駆動量を求め
れば、得られる各駆動量は常に連続的な値となる。
【0018】又、この発明の第2の構成では、まずエン
ドエフェクタの先端が移動しうる全ての点におけるエン
ドエフェクタの先端の位置及び姿勢を指定し、各点にお
ける交差角度の値が求められる。そのうち、求めた交差
角度の値が連続的となり得る領域内の点へエンドエフェ
クタの先端を移動させる場合には、求められた交差角度
の値及び指定されたエンドエフェクタの先端の位置等か
ら求められた各アームの駆動量を、各アームの移動機構
へ与えて各アームの駆動を制御する。一方、交差角度の
値が不連続的となりうる領域内の点へエンドエフェクタ
の先端を移動させる場合には、当該点における交差角度
の値を、交差角度の値が連続的となりうる領域内の2点
を抽出し、この抽出した2点における交差角度の値よ
り、近似的に求める。そして、この近似値と予め指定さ
れた当該点におけるエンドエフェクタの先端の位置及び
姿勢の一方とを用いて、逆にその点におけるエンドエフ
ェクタの先端の姿勢の他方が求められる。更にこれらの
求められた値を用いて、エンドエフェクタの先端を当該
点へ移動させるために必要な各アームの移動機構に与え
るべき駆動量が決定される。従って、各アームの駆動量
は、常に連続的な値となる。
【0019】更に、この発明の第3の構成では、エンド
エフェクタの先端が焦点を通過した後の点においては、
エンドエフェクタの先端の位置及び姿勢内の方位角には
その点における指定値をそのまま用い、姿勢の内の天頂
角には焦点における天頂角の指定値を所定の量だけステ
ップ関数的に変えて得られる値を用いることとして、そ
の点における交差角度の値を求め、これらの値より各ア
ームの駆動量を決定する。エンドエフェクタの先端が焦
点を通過する際、第1及び第2アームの駆動量は、エン
ドエフェクタ先端の天頂角の値の変化に対して影響を受
けない。従って、求められる第2及び第3のアームそれ
ぞれの駆動量は常に連続的な値となる。
【0020】
【実施例】
(A) 装置の機械的構成 図1及び図2は、それぞれこの発明の一実施例である円
筒座標ロボットとしてのレーザ溶接ロボットRBの機械
的構成を示す斜視図及び模式的側面図であり、図2には
レーザ溶接ロボットRBの各自由度が模式的に表わされ
ている。
【0021】両図において、ロボットRBの設置面10
上に固定された絶対座標系としてX系が定義され、ロボ
ットRBの基台11より第1アーム21がZ軸にそって
延びている。この第1アーム21は、Z軸まわりに、即
ち第1アーム21の軸A1のまわりに、第1アーム21
内部に備えつけられた第1の駆動機構によってΘ方向に
旋回することができる。
【0022】又、第2アーム22が第1アーム21に略
直角に交差して備えつけられており、第1アーム21の
旋回と共にΘ方向に旋回する。従って、第2アーム22
は、第1アーム21の旋回を通じて間接的にXY平面内
に旋回自由度を有しているものと言うことができる。し
かも第2アーム22は、第1アーム21内部に備えつけ
られた第2の駆動機構によってZ軸に平行に昇降するこ
とができ、更に第2アーム22内部に備えつけられた第
3の駆動機構によって、XY平面内を並進運動すること
ができる。尚、第1アーム21の軸A1と第2アーム2
2の軸A2との交点MのX系に対する位置座標を点M
(0,0,Zs )とする。
【0023】又、第2アーム22の先端部31には、第
3アーム23が第2アーム22に略直角に結合されてお
り、第3アーム23は第2アーム22の先端部31の内
部に備えつけられた第4の駆動機構によって、第2アー
ム22の軸A2のまわりのα方向に回転することができ
る。ここで、軸A2と第2アーム22の先端の点Pと点
Mとの相対距離を変数xs で表わす。
【0024】更に、第3アーム23は、それ自身の先端
部32の内部に備えつけられた第5の駆動機構によっ
て、それ自身の軸A3のまわりのβ方向に回転すること
もできる。尚、第3のアーム23の長さは一定値d1
固定されている。
【0025】また、エンドエフェクタとしてのトーチ4
0が第3アーム23の先端部32に略直角に結合されて
おり、トーチ40の長さ、即ちトーチ40の先端の点N
とトーチ40の軸A4と第3アーム23の先端の点Qの
距離は、一定値d2 である。尚、トーチ40にはワーク
検知用センサ(図示せず)が備えつけられており、トー
チ40自身は、自身の軸A4を回転軸としてγ方向に回
転することができる。トーチ40自身はその軸A4まわ
りに完全回転対称性を有しており、そのロール角に相当
する角度γは上記センサの位置を定めるためにのみ意味
を持つ。このため、角度γは座標変換によって決定され
る値ではなく、別個独立に指定すべき角度である。後述
する座標変換において角度γを決定する式がないのはこ
のような事情による。
【0026】以上述べた各アームの自由度の内、トーチ
40自身の回転自由度を除いた全ての自由度の範囲を表
1に例示する。尚、表1における記号z0 は、第2アー
ム22が基台11と接した際の点Mの高さである。
【0027】
【表1】
【0028】一方、図3はトーチ40の先端(点N)の
位置及び姿勢を示す説明図であり、ここでは点Qを原点
としたx系により表わされている。即ち、点Nの姿勢は
ベクトルQNと、z′軸とのなす角度(天頂角)θ及び
ベクトルQNのx′y′平面への射影ベクトルとx′軸
とのなす角度(方位角)φにより決まる。尚、x′系の
各軸方向は、X系の各軸方向に対応する様に設定されて
いる。即ち、x′軸,y′軸及びz′軸は、それぞれX
軸,Y軸及びZ軸に平行である。又、点Nの位置は、X
系で現わした位置座標(x,y,z)により決まる。 (B) 装置の電気的構成 図4は、レーザ溶接ロボットRBの制御系の電気的構成
を示すブロック図である。この制御系は、CPUやメモ
リ等からなるコントローラ51を有しており、ソフト的
に制御される。又、ティーチングボックス52を操作す
ることによってティーチングデータの取込みなどが行な
われる。
【0029】一方、第1の駆動機構531を構成するモ
ータM1 に駆動信号D1 が送信され、モータM1 に取付
けられたエンコーダE1 が第2のアーム22の軸A1の
まわりの旋回角Θを検出する。同様に、第2〜第5の駆
動機構532〜535にそれぞれ駆動信号D2 〜D5
送信され、各モータM2 〜M5 が動作し、変位zs ,x
s 及び回転角度α,βがそれぞれエンコーダE2 〜E5
によって検出される。
【0030】又、レーザ電源54はレーザ発振器55に
電力を供給するための電源である。レーザ発振器55で
発生したレーザビームLBは、ロボットRBの各アーム
内に設けたミラーによって順次に反射されつつトーチ4
0の先端からワークに向けて照射される。 (C) g法について 本発明においては、基本的には「従来の技術」の欄で簡
単に述べたg法を用いて逆変換を行う。そこで、まず以
下においては、この基本となるg法の詳細について述べ
ることとする。尚、このg法自身は、新規な発明であ
る。
【0031】まず、トーチ40と第2アーム22及び第
3アーム23との幾何学的関係を考察する。ここに図7
は、図2で示した4点M,N,P,Qの位置関係を、X
YZ空間において示した立体図である。
【0032】今、第2アーム22が軸A1のまわりに角
度Θで旋回し、第3アーム23が軸A2のまわりに角度
αで回転し、更に軸A3のまわりに角度βで回転した状
態にある場合を考える。
【0033】同図において、トーチ40の先端の位置N
(x,y,z)と姿勢(θ,φ)が与えられると、自動
的に点Qの位置も定まる。
【0034】ここで次の(i)〜(iii)の条件を満
足する円Cを定義する。即ち、(i)その中心が点Qで
あること。(ii)半径がdであること。(iii)ベ
クトルQNを法線とする平面内に存在すること。このと
き点Pは円Cの円周上に存在し、ベクトルQPは円Cの
半径ベクトルとなっている。そしてロボットRBの各軸
構成から明らかなように、点Pについて、ベクトルQP
とベクトルQNとの間及びベクトルQPとベクトルMP
との間には、それぞれ直交関係が成立する。
【0035】今、ベクトルQNを含みXY平面に垂直な
平面Sが円Cと交差している場合を考え、平面Sと円C
との交点をそれぞれ点R及び点Tとする。そしてベクト
ルQRとベクトルQPとのなす角度を考え、この角度を
交差角度δと定義する。
【0036】又、ベクトルQN及び円CをXY平面へ射
影する場合を考える。即ち、ベクトルQNのXY平面へ
の射影ベクトルをベクトルQ′N′、円CをXY平面へ
射影した場合にできる楕円を楕円E′とし、各点P,
R,Tに対応するXY平面上の各点をそれぞれ点P′,
R′,T′とする。
【0037】そこで以上の幾何学的関係を基にして、逆
変換の厳密解を求めることとする。まず、第2アーム2
2をZ軸のまわりに仮想的に旋回することを考え、第2
アーム22の先端の点が点Pにある状態から仮想的な角
度φ(すなわち、トーチ40の先端の点Nの方位角に相
当。尚、図7の例においては、角度Θとは逆まわりとな
っている。)だけ旋回することによって、トーチ40の
軸A4方向のベクトルQ1 1 のXY平面への射影ベク
トルQ1′N1 ′がX軸に平行になったものとする。こ
の状態における円Cに対応する円を円C1 、円C1 のX
Y平面への射影により生じる楕円を楕円E1 ′とする。
又、ベクトルQ1 1 を含みXY平面に垂直な平面S1
が円C1 と交差する点を点R1 ,T1 とし、円C1 上の
3点P1 ,R1 ,T1 の楕円E1 ′上の対応する点をそ
れぞれ点P1 ′,R1 ′,T1 ′とする。
【0038】今、平面S1 と円C1 を含む平面との交線
を交線CLとすると、ベクトルP1 1 の交線CL方向
の成分ベクトル(大きさは、d1 ′cosδ)はXZ平
面に平行であり、ベクトルP1 1 の面S1 の法線方向
の成分ベクトル(大きさは、d1 ′sinδ)はY軸に
平行である。従って、点Q1 及び点P1 の位置座標を点
1 (x0 .y0 ,z0 )及び点P1 (x.y,z)と
すると、点P1 と点Q1 との関係は、図7においては余
弦cosδが負、正弦sinδが正であることを考慮し
て数1〜数3により表わされる。
【0039】
【数1】
【0040】
【数2】
【0041】
【数3】
【0042】尚、余弦,正弦の記載方法としてCδ=c
osδ及びSδ=sinδの様な簡略形を用いたが、以
後の説明においてもこれらの簡略形を使用する。
【0043】更に、ベクトルQ1 1 とベクトルMP1
は直交しているので、
【0044】
【数4】
【0045】
【数5】
【0046】の関係式が成立する。従って、数4に数1
〜数3及び数5を代入し、x0 及びy0 をd1 により正
規化すれば、数4は
【0047】
【数6】
【0048】となる。
【0049】この数6で表わされる関係式はg法におけ
る基本式であって、g法による逆変換の出発点となる式
である。即ち、この数6を変形すれば、交差角度のδの
余弦Cδを変数とする解析可能な4次方程式が得られ
る。従って、この4次方程式を解くことにより、交差角
度δの余弦Cδが求められる。又、数6を別途変形すれ
ば、交差角度の正弦Sδを変数とする解析可能な4次方
程式も得られ、この4次方程式を解いて、交差角度δの
正弦Sδが求められる。従って、交差角度δは、数7に
より与えられることとなる。
【0050】
【数7】
【0051】ここでatan2(x,y)とは、x=S
ξ,y=Cξとなる角度ξを一意に与える関数である。
【0052】以上の考察によって交差角度δの値が求め
られたので、次にこの交差角度δの値を用いて、逆関数
の解(Θ,xs ,zs ,α,β)を与える式を導出する
ことを考えるのであるが、その導出の説明については、
前述の特許出願(特願平2−261184号)に委ねる
として、ここではそれらの結果のみを示すこととする。
即ち、トーチ40の先端(点N)の位置ベクトルp及び
姿勢ベクトルの一つaが、それぞれベクトルp(X,
Y,Z)及びベクトルa(ax ,ay ,az )として与
えられているものとすれば、旋回角度Θは、
【0053】
【数8】
【0054】のように与えられる。尚、数8中の点P1
のx,y座標値は、それぞれ数1及び数2に数9で与え
られるx0 及び数10で与えられるyを代入することに
より求められる。
【0055】
【数9】
【0056】
【数10】
【0057】又、数9及び数10中のpxm,pym及びψ
は、それぞれ数11,数12及び数13により与えられ
る量である。
【0058】
【数11】
【0059】
【数12】
【0060】
【数13】
【0061】又、第2アーム22のXY平面内の並進自
由度xs は、
【0062】
【数14】
【0063】により与えられ、回転角度αは、数15で
与えられる角度αの正弦及び数16で与えられる角度α
の余弦を用いて、数17により与えられる。
【0064】
【数15】
【0065】
【数16】
【0066】
【数17】
【0067】又、並進自由度zs は数18により与えら
れ、回転角度βは数19により与えられる。
【0068】
【数18】
【0069】
【数19】
【0070】以上の説明のより明らかな様に、g法と
は、交差角度δなる量を導入し、トーチ40と各アーム
との幾何学的関係を考察することにより数6で表わされ
る基本式を与え、この基本式を解くことにより交差角度
δの値を算出するとともに、更に、交差角度δと各逆変
換の解との関係を明らかとして、逆変換の厳密解を算出
しようとする方式である。尚、上記一連の手順を整理す
ると、図8に示される様なフローとなる。同図において
( )の中の数字は、上述した数式の番号を表示してい
る。
【0071】(D) Dゾーンについて 上述したg法を用いれば、トーチ40の位置p(x,
y,z)及び姿勢(θ,φ)がいかなる値であっても、
最終的に厳密な逆変換の解を求めることができる様にも
思える。実際、トーチ40が取り得る姿勢領域内の殆ど
の領域において、逆変換の厳密解が求められる。しか
し、g法を用いて様々な条件でシミュレーションを行な
ってみると、トーチ40の姿勢のうち方位角θが90d
eg.付近では、交差角度δの値が不連続に変化する領
域が存在することが判明した。その様な交差角度δの不
連続領域を示したのが図9である。即ち、図9は、g法
の基本式である数6を、交差角度δを変数とするy0
関数形に変形した数20を、方位角θをパラメータとし
てx=1500mm,z=1000mm及びφ=0の条
件の下で図示した説明図である。
【0072】
【数20】
【0073】同図において、曲線f1 〜f6 は、それぞ
れ方位角θが86.5deg.,88.0deg.,8
9deg.,91deg.,92.25deg.および
93.5deg.である場合のy0 の曲線である。又、
曲線f0 は方位角θが90deg.の場合のy0の曲線
である。これらの曲線を概観すると、これらの関数は次
の様な特徴を有していることがわかる。
【0074】 交差角度δ>0の範囲では、図中全て
の曲線は点F0 (δ=90deg.,y0 =1)を通
り、交差角度δ<0の範囲では、同様に全ての曲線が点
0 ′(δ=−90deg.,y0 =−1)を通る。そ
こで、点F0 及び点F0 ′を以後、焦点と呼ぶこととす
る。
【0075】 全ての曲線は、原点に対して点対象と
なっている。
【0076】 図中、太わくで囲まれた領域(DZ1
〜DZ4)では、y0 の曲線は単調関数とならず、極小
点又は変曲点を有する様な関数となる。従って、この領
域内では、以下に一例を示す様に交差角度δの値が不連
続に変化することとなる。そこで、以後この4つの不連
続領域DZ1〜DZ4を、総称して「Dゾーン」と呼ぶ
こととする。又、各不連続領域DZ1〜DZ4を、それ
ぞれ第1Dゾーン〜第4Dゾーンと呼んで区別すること
とする。尚、図9における各Dゾーンの範囲を具体的に
示すと、表2に示す通りとなる。
【0077】
【表2】
【0078】 より、曲線f0 は丁度Dゾーンの漸
近線となる。
【0079】図9における曲線群の性質は以上の通りで
あるが、以下に上記性質で述べた交差角度δの不連続
値の発生について、具体的に考察する。
【0080】図10は、図9に示した曲線群の内、θ=
89deg.のy0の曲線,即ち関数f3 を抜き出して
示した図であり、交差角度δの値に不連続が発生するこ
とを明らかにするための説明図である。今トーチ40の
先端(点N)を、その位置x及びzをそれぞれ1500
mm,1000mmに保ち、且つ天頂角θ=89de
g.,方位角φ=0deg.で定まる姿勢を保ちなが
ら、移動させる場合を考える。即ち、トーチ40の先端
を、y01で与えられる位置からy04で与えられる位置ま
で移動させるものとする(点M1 →点M5 )。図10に
示す様に、y0 =y01では交差角度δの解は2個存在
し、y0 =y02では交差角度δの解は3個存在する。
又、y0 =y03及びy0 =y04ではそれぞれ交差角度δ
の解は4個及び3個存在する。この様に交差角度δの解
の数は2個〜4個そして3個へと変化するが、この場合
には、交差角度δの値として、δ1 からδ4 までの連続
的な値を採用することができるので、交差角度δに不連
続値が生ずることはない。
【0081】しかし、y0 =1からy0 =y04へとトー
チ40の先端が移動する場合には、交差角度δの値に不
連続的変化が生じる。即ち、y0 =y04では、交差角度
δの解は2個存在するが、そのうち交差角度δ4 に最も
近い解であるδ5 においてさえも、その値はδ5 =8d
eg.であり、δ4 とδ5 との差は82deg.とな
る。この様な交差角度δの変化を示したのが、図11で
あり、交差角度δのステップ関数的な変化が顕著に現わ
れていることか理解できる。
【0082】以上説明した様にDゾーン内の点にトーチ
40の先端が移動する場合には、交差角度δの値に不連
続的な変化が生じるのであるが、交差角度δの値に急激
な不連続的変化が生じるということは、その値δより導
き出される各逆変換の解にも当然不連続的な変化が生ず
るということであり、この様な急激な各アームの動き
は、アームの駆動部の破壊を引き起こす等、安全性の面
からロボットの動作としては好ましくない。この様な問
題点の解決策として考え出されたのが、g法の改良に係
る「δ法」と本出願人が呼ぶ方法であり、本発明の核心
部をなす部分である。
【0083】(E) 動作原理(δ法)について トーチ40の先端の位置(x,y,z)及び姿勢(θ,
φ)はいずれも厳密でなければならないという考え方に
固執するならば、前述した様にある条件下では各アーム
の駆動量(Θ,xs ,zs ,α,β)に必ず不連続が発
生してしまう。
【0084】しかし、実際の溶接ロボット等において
は、位置(X,Y,Z)については正確であることが要
求されるが、姿勢(θ,φ)については10deg.程
度指定値からシフトしたとしても実際上は問題とはなら
ないと考えられる。一方、姿勢θ,φの値のいずれか又
は両方共その値を変えると、数20で与えられる方程式
の曲線形は、様々に変化する。従って、姿勢(θ,φ)
に許容される範囲内で姿勢(θ,φ)のいずれか一方に
意図的に誤差を導入することにより、交差角度δの解の
不連続性を解消することができるものと考えられる。こ
の様な考え方を前提としたのがδ法であり、δ法には、
方位角φには指定値通りの値を用い、天頂角θには誤差
を導入するというδ−φ法と、δ−φ法とは逆のδ−θ
法がある。まずδ−φ法について詳細を述べることとす
る。
【0085】(E−1) δ−φ法について 上述した基本的な考え方に基づけば、δ法では交差角度
δの変化が不連続とならない様に、方位角φの誤差Δφ
を決定するという問題に帰着する。この問題は一般的に
は、数6の微分形式を用いて定式化されるが、この方法
では微分係数の変化が大きいときには解析的に解くこと
ができない。
【0086】そこで本発明では、逆にDゾーン内の点に
おける交差角度δの値自身をDゾーン外の点の既知の交
差角度δの値より近似的に求め、それらの値,即ち交差
角度δの近似値δa 並びに天頂角θ及び位置(x,y,
z)の指定値を満足する様な方位角φの近似値φa を求
めることとする。
【0087】ここに図12は、その様な近似値δa の求
め方を示す説明図である。同図は、次の様なケースを取
り扱っている。即ち、トーチ40の先端は、曲線f0
び曲線f6 により形成される第4のDゾーンDZ4を横
切って、第4のDゾーン外の点Ps1から同じく第4のD
ゾーン外の点Ps2へ移動するものとする。
【0088】そこで、第4のDゾーンDZ4内の点Pi
における交差角度δi の値を、g法により連続的な厳密
解として求められた2点Ps1,Ps2における交差角度δ
S1,δS2の値を用いて近似的に与えることを考える。即
ち、2点Ps1,Ps2を結ぶ線上の点Pi における交差角
度δi の値を、線形近似により求めることとする。この
とき、交差角度δi は、一般的には数21により決定さ
れる。
【0089】即ち、係数k1i,k2iの値を各点Pi ごと
に定めることにより、交差角度δi の値は決定される。
【0090】
【数21】
【0091】但し、本実施例では簡単化のために、2点
s1,Ps2における交差角度δs1,δs2の差(δs1−δ
s2)をn等分するものとして、点Pi における交差角度
δi の値を求めることとする。従って、第4のDゾーン
DZ4内には、トーチ40の先端が移動すべき点がn−
1個存在するものとしている。〔i≦(n−1)〕。こ
のとき、交差角度δi は、
【0092】
【数22】
【0093】によって与えられる。
【0094】尚、交差角度δi の値を近似する方法とし
ては、上述の線形近似によるのではなく、既知の交差角
度δs1,δs2の値を与える曲線δ=f(y0 )を適当に
定め、この曲線によって各交差角度δi の値を近似して
もよい。又第4のDゾーンDZ4中にティーチング点P
s3を取り、3点Ps1,Ps2,Ps3における交差角度
δs1,δs2,δs3より交差角度δi の近似値を線形近似
等により求める様にしてもよい。この場合には、交差角
度δi の近似値としてより適した近似値が得られ、方位
角φの誤差もより小さくすることができる。
【0095】更に、2点Ps1,Ps2は、必ずしもDゾー
ンの外にある点でなければならないわけではなく、Dゾ
ーンの境界上の点であってもよい。
【0096】次に、Dゾーン内の点Pi における交差角
度δi の近似値δa が数22により求められたものとし
て、点Piにおける方位角φi の近似値φa を与える式
を導出する。今、点Pi におけるトーチ40の先端の位
置がPi (x,y,z)、天頂角がθ、交差角度がδa
であるとし、数23及び数24により定義される量LD
及びLE を用いて数20を表わすならば、数20は、数
25で表わされる。
【0097】
【数23】
【0098】
【数24】
【0099】
【数25】
【0100】ここで、点Pi における姿勢ベクトルaの
x成分ax 及びy成分ay は、それぞれax =CφSθ
及びay =SφSθで与えられるので、数11,数12
より明らかな通り、pxm及びpymはともに方位角φを変
数とする関数としてみることができる。従って、数9,
数10よりx0 及びy0 も方位角φを変数とする関数と
なる。そこで、数26により与えられる関数S(φ)を
考え、関数S(φ)がS(φ′)=0となる様なφ′を
決定することによって、求めるべき数25の解、即ち点
i における方位角φaを求めることができる。
【0101】
【数26】
【0102】尚、この様な解φ′を求めるには、New
ton法による収束演算を用いることができる。
【0103】以上述べた方法により、交差角度δa 及び
方位角φa が求められたならば、以後は、g法と同一の
手順によって、点Piにおける逆変換の解(Θ,xs
s ,α,β)を求めることになる。即ち、数8〜数1
9に交差角度δa ,方位角φa 、位置(x,y,z)及
び天頂角θを代入することにより、逆変換の解が求めら
れる。
【0104】以上述べたδ−φ法における一連の手順を
整理すれば、図13におけるフローの様になる。同図に
おいて( )中の数字は、上記説明中において導出した
式の番号を表わしている。
【0105】このδ−φ法を用いれば、方位角φの誤差
を許容範囲内におさえつつ、逆変換の解(Θ,xs ,z
s ,α,β)をDゾーン内においても連続的に変化する
値とすることができる。その様な一例を示したのが、図
14〜図16である。即ち、図14(a),(b)〜図
16(a)はそれぞれ、位置のx,z座標をそれぞれ1
500mm,1000mmと固定し、且つトーチ40の
方位角φを常に0deg.に指定した条件の下で、トー
チ40の先端を点A2 (y=37.5mm,θ=86.
5deg.)から点A2 ′(y=238mm,θ=94
deg.)へ第4のDゾーンDZ4を横切って移動する
場合にδ−φ法に基づいて求められた逆変換の解Θ,x
s ,zs ,α及びβを(実線)、g法に基づいて求めた
場合の逆変換の解(破線)とともに示したシミュレーシ
ョン結果である。また、図16(b)は、点A2 から点
2 ′へのトーチ40の先端の移動に際してδ−φ法に
より方位角φを求めた結果生じた方位角φの誤差Δφ
(Δφ=φa )を示している。図14(a),(b)、
図15(a),(b)及び図16(a)より明らかな通
り、点A2 から点A2 ′へトーチ40の先端を移動する
ために各駆動量をg法で決定すれば、点A2から点
2 ′への移動中に各アームの駆動量が急激に大きく変
化する現象が発生するのに対して、本発明のδ−φ法に
よれば、その様な各アームの駆動量の不連続的変化は一
切生じない。即ち、トーチ40の先端を第4のDゾーン
DZ4を移動中、常にアームを滑らかに連続的に駆動し
続けることができる。しかも、方位角φの誤差Δφは図
16(b)に示す通り、最大1.5deg.程度であ
り、十分許容範囲内(Δφ≦10deg.)に入ってい
る。
【0106】以上より、δ−φ法によって各アームの駆
動量を決定するならば、Dゾーン内においても実用に的
したロボットRBの動作を実現することができ、又、そ
の際生じるトーチ40の方位角φの誤差も実用上問題と
ならない値である。尚、δ−φ法によっても、トーチ4
0の先端の位置及び天頂角θの値は、誤差のない正確な
値となる。
【0107】(E−2) δ−θ法について δ−φ法については、天頂角θを指定値に等しいとし
て、方位角φに誤差を与えることとしたが、その逆、即
ち、方位角φを指定値に保ったまま、天頂角θに誤差を
与える様にすることもできる。その様な方法を、δ−θ
法と呼ぶ。
【0108】今、Dゾーン内の点Pi における交差角度
δi の近似値δa が、δ−φ法において述べたδa の決
定方法と同様にして求められたものとする。即ち、δa
は、数22により与えられたものとする。このとき、各
量LD ,LE ,x0 ,y0 は天頂角θを変数とする関数
としてみることができるので、δ−θ法においても数2
7で与えられる関数S(θ)を考え、S(θ′)=0と
なる解を求めることにより、数6を満足する天頂角θa
を求めることができる。
【0109】
【数23】
【0110】その後の手順は、δ−φ法と同様であり、
求めた交差角度δa及び天頂角θa 並びに位置及び方位
角φの指定値を用いて、逆関数の解(Θ,xs ,zs
α,β)求めることとなる。
【0111】同様に、δ−θ法における手順を、図17
に示す。
【0112】ここに図18及び図19は、図9に示すあ
るDゾーン境界上の点から他のDゾーン境界上の点へト
ーチ40の先端を移動させる際に各アームへ与えられる
べき駆動量をδ−θ法及びδ−φ法を用いて求めた場合
に生ずる姿勢誤差のシミュレーション結果を示す説明図
である。即ち、図18及び図19においては、実線が天
頂角θの誤差Δθ(δ−θ法による結果)を示してお
り、破線が方位角φの誤差Δφ(δ−φ法による結果)
を示している。又、図18(a)、(b)及び図19
(a)、(b)はそれぞれ、トーチ40の先端が図9に
示した点A″から点A1 ′へ,点Aから点A′へ,点B
から点A′へ及び点Cから点C′へ移動した場合の姿勢
誤差を表わした図である。
【0113】図18及び図19より明らかな通り、δ−
θ法及びδ−φ法いずれの方法を用いても姿勢誤差(Δ
θ,Δφ)は許容範囲内となりうるのであるが、δ−θ
法を用いるほうが常に、姿勢誤差Δθを小さくすること
ができることがわかる。この点について鑑みるならば、
δ−φ法よりもδ−θ法のほうがより好ましい方法であ
ると言うことができる。そこで、以後の説明において
は、δ−θ法を基に、話を進めることとする。
【0114】(F) 駆動制御の手順 次に、上記δ−θ法を用いてロボットRBを駆動する場
合の制御手順について述べる。ここで簡単化のため、テ
ィーチング点は全てDゾーン外又は境界上の点であると
し、Dゾーン内にある点は全ての補間点であるものとす
る。又、トーチ40の先端は、連続領域及びDゾーンの
両領域内を移動し得るのとする。
【0115】図5は、ロボットRBを駆動制御するため
のステップを示すフローチャートであり、図6は図5に
おけるステップS4を詳細に説明するフローチャートで
ある。
【0116】 ステップS1はティーチング工程であ
り、ティーチングデータXi 、及び交差角度δi の作成
と記憶とを行なう。即ち、オペレータはマニュアルでト
ーチ40の先端の位置決めを行ない、エンコーダE1
5 により各アームの駆動量(α系の値)が読込まれ
る。そして、順変換することにより各ティーチング点の
ティーチングデータXi が計算され、ひき続いて数7に
基づいて各ティーチング点における交差角度δi の値が
計算された後、i=1,2,…についてのティーチング
データXi 及び交差角度δi の値がコントローラ51内
のメモリに格納される。
【0117】 次のステップ群10は再生動作に対応
し、そのうちのステップS2ではひとつのティーチング
点についてのティーチングデータXi を読出す。そし
て、ステップS3ではそのティーチング点とそれに隣接
するティーチング点(Xi+1 )との間を補間し、補間点
のデータXijを計算する。補間点のデータXijはX系に
よる値であるため、トーチ40を補間点へ移動するため
の適切な各アームの駆動量を決定する必要がある。
【0118】 そこで、ステップS4ではX系からα
系への逆変換が行われるわけであるが、この逆変換につ
いては図6に基づいて説明を行なうこととする。
【0119】まずステップS41においては、補間点
(Xij)における交差角度δijの算出が行われる。即
ち、コントローラ51内のCPUは、メモリより補間点
(Xij)における位置ベクトルp(x,y,z)及び姿
勢(θ,φ)の各値を読出し、数6及び数7より交差角
度δijを計算する。そして、ひき続いて、CPUは、数
20に基づきy0ijを計算する(ステップS42)。
【0120】その後、ステップS43においては、補間
点(Xij)がDゾーン内に位置するのか否かを判定す
る。即ち、CPUは、交差角度δij,y0ij 及び天頂角
θが表2に示された範囲内にあるか否かを判定する。そ
して、補間点(Xij)がDゾーン外の点であるとCPU
が判定した場合には、CPUはg法のプログラムに従っ
て各アームの駆動量Θ,xs ,zs ,α及びβを、数8
〜数19に基づいて計算する(ステップS48)。その
後、図5のステップS5へと移る。
【0121】一方、CPUが補間点(Xij)がゾーン内
の点であると判断した場合には、CPUはδ−θ法に基
づくプログラムに従って、以後の一連のステップを続行
する。即ち、ステップS44では、補間点(Xij)にお
ける交差角度δijの近似値δa を求めるための2つの基
準点Ps1,Ps2の抽出を行う。ここでは便宜上、基準点
s1,Ps2として、i番目のティーチング点(Xi )及
びi+1番目のティーチング点(Xi+1 )を用いること
とし、ティーチング点(Xi )及びティーチング点(X
i+1 )における交差角度δi ,δi+1 をそれぞれ交差角
度δS1,δS2とすることにする。従って、CPUはメモ
リより交差角度δi ,δi+1 の値を読出し、数22に基
づき補間点(Xij)における交差角度δijの近似値δa
を算出する(ステップS45)。
【0122】そして、ステップS46においては、CP
Uは数27の関数S(θ)が0となる解を収束演算法
(Newton法)によって求める。この求めた解θ′
が既述した通り、補間点(Xij)における天頂角θの近
似値θaである。
【0123】更に、ステップS47においては、ステッ
プS45及びS46で求めた交差角度及び天頂角の近似
値δa およびθa並びに、メモリより読出した補間点
(Xij)における位置p(x,y,z)のデータ及び方
位角φのデータを用いて、CPUが各アームの駆動量
Θ,xs ,zs ,α及びβを順次計算することとなる。
そして、以上の手順によりステップS4の動作は終了
し、次にステップS5へと動作は移る。
【0124】 図5のステップS5では、ステップS
4で決定された各アームの駆動量Θ,xs ,zs ,α及
びβがそれぞれ駆動漬浸号D1 ,D2 ,D3 ,D4 ,D
5に変換された後、各駆動機構531〜535に伝達さ
れる。そして、各駆動機構531〜535は各駆動機構
1 〜D5 に応じた量だけ各アームを駆動し、トーチ4
0の先端はステップS3にて計算により求めた補間点
(Xij)へ移動する。その際のトーチ40の先端の位置
及び方位角φは、もちろんその補間点におけるデータX
ijと厳密に一致する。そして、レーザ電源54により電
力の供給を受けたレーザ発振器55はレーザビームLB
を発振し、レーザービームLBはトーチ40の先端より
溶接部に向けて発射されるとともに、補間点(Xij)に
向けて移動しつつワークのレーザ溶接が行われる。
【0125】 ステップS6においては、その補間点
(Xij)が最後の補間点か否かを判断する。尚、その判
断はソフト的にコントローラ51によって行われる。そ
して、補間点(Xij)が最後の補間点でないと判断した
ときには、ステップS3へ戻り次の補間点(Xij+1)が
計算され一連のステップS4〜S5が同様に行われる。
【0126】それに対して、補間点(Xij)が最後の補
間点であると判断したときには、ステップS7へ移る。
【0127】ステップS7では、ティーチング点
(Xi )が最後のティーチング点か否かを判断する。こ
の判断も又、コントローラ51によって行なわれる。
【0128】そして、ティーチング点(Xi )が最後の
チィーチング点でないと判断したときには、ステップS
2へ戻り、次のティーチング点のデータXi+1 が読出さ
れ、一連のステップS3〜S6が再び行われる。
【0129】それに対して、ティーチング点(Xi )が
最後のティーチング点であると判定したときには、レー
ザー溶接ロボットRBの全ての動作が終了する。
【0130】(G) 他の実施例 図6に示した制御方法においては、交差角度δが連
続的に変化する領域内をトーチ40の先端が移動する場
合には、各アームの駆動量をg法で厳密に求め、交差角
度δが不連続値となるDゾーン内をトーチ40の先端が
移動する場合には、各アームの駆動量をδ法で決定する
ことにより、全領域にわたって各アームが連続的にかつ
滑らかに駆動される様に駆動量を決定した。
【0131】ここでδ法においては、位置については常
に厳密解でなければならないが、姿勢については許容範
囲ならば誤差を与えてもよいという考え方に基いてい
た。従って、Dゾーン外に関係なく、全領域にわたって
このδ法を用いて各アームの駆動量を決定することもで
きる。その様な制御方法の逆変換に関する手順を示した
のが図20であり、図20は図5におけるステップS4
(逆変換)を詳細に示したステップS4Aを示してい
る。尚、図20に示した手順も、ティーチング点
(Xi ),(Xi+1 )を基準点Ps1,Ps2として用い
て、補間点Xijにおける交差角度δijの近似値δa を求
める場合を示している。
【0132】 θ法について 数6を更に展開してゆくと、焦点F0 ,F0 ′において
は、数28〜数30で与えられる関係が成立する。
【0133】
【数28】
【0134】
【数29】
【0135】
【数30】
【0136】即ち、旋回角度Θ,並進運動量xs 及び回
転角度αの天頂角θに対する微分係数は、焦点F0 ,F
0 ′においては0となる。又、全てのy0 の曲線は、図
9に示す通り焦点F0 ,F0 ′を通る。これらの関係式
及び性質は、焦点F0 ,F0 ′においては、境界面にお
いて2つの関数が連続となるための連続の条件が、全て
のy0 の曲線について成立することを意味している。従
って、トーチ40の先端がDゾーン外の領域を移動して
きた後、焦点F0 又はF0 ′に到達し、焦点F0 又はF
0′を通過後は、Dゾーン内の点へ移動するという様な
ケースの場合には、トーチ40の先端が焦点F0
0 ′を通過するときに、焦点F0 ,F0 ′を通過後は
0 の曲線がDゾーン外となる様に天頂角θの値を所定
の量だけ変化させるならば、旋回角Θ,並進運動量xs
及び回転角αを連続的に変化させることができる。但
し、並進運動量zs 及び回転角βについては、不連続的
に変化する。この様な点に着眼して各アームの駆動量を
決定する方法を、本出願人はδ法と呼んでいる。
【0137】例えば、図9において、今、トーチ40の
先端をθ=88deg.である関数f2 上の点B′から
関数f2 に沿って点B″へ移動する場合を考える。既述
した通り、点Bから焦点F0 までは、交差角度δの値は
連続となる。そこでトーチ40の先端が焦点F0 を通過
する場合に、天頂角θをθ=88deg.からθ=8
5.5deg.へ変化すれば、トーチ40の先端は、焦
点F0 を通過後は、関数f7 (θ=85.5deg.の
場合)に沿って移動することとなる。従って、旋回角
Θ,並進運動量xs 及び回転角αは、連続的かつ滑らか
に変化することとなる。
【0138】図22〜図24は、その様なθ法によって
各アームの駆動量を決定する場合のシミュレーション結
果(実線)を、g法により決定する場合のシミュレーシ
ョン結果(破線)とともに示した説明図である。即ち、
x=1500mm,z=1000mm,φ=0deg.
という条件の下で、トーチ40の先端を、θ=88de
g.として点B′(y=−142mm)より点B″(y
=278mm)へ向けて移動するとともに、焦点F
0 (y=150mm)において天頂角θを88deg.
から86deg.へ変更した場合の各アームの駆動量
Θ,xs ,zs ,α及びβの計算結果である。これらの
結果より明らかな通り、旋回角Θ,並進運動量xs ,回
転角αの連続性が実現されている。又、並進運動量zs
についてもその不連続性は殆ど無視できる程度である。
【0139】ここに図21は、θ法によるアームの駆動
制御を行う場合の逆変換に関する手順を示すフローチャ
ートであり、図5におけるステップS4を詳細に示した
ステップS4Bを示している。
【0140】同図に示す様に、ステップS4B3にて、
補間点(Xij)が焦点F0 又はF0 ′であるか否かが判
断される。そして補間点(Xij)が焦点F0 又はF0
である場合には、天頂角θをΔθだけ変化させ、θ+Δ
θで与えられる量を新たな天頂角θとすることにより、
以後のアームの駆動量をg法により求めてゆくこととな
る。(ステップS4B4〜S4B5)。
【0141】 尚、この発明は以上説明したレーザ溶
接ロボットに限らず、図2に示す座標系と同様な構成を
有する円筒座標ロボット全般について適用できるもので
ある。
【0142】即ち、図2に示したXYZ座標系を座標変
換して得られる新たなXYZ座標系を有する円筒座標ロ
ボットに関しても、本制御方法を適用することが出来
る。
【0143】その様な一例を示したのが、図25及び図
26に記載されたレーザー溶接ロボットRB1である。
ここで図26は、レーザー溶接ロボットRB1のα系を
示す模式図であり、図25に示したレーザー溶接ロボッ
トRB1を同図の矢印ARの方向から眺めた側面図に対
応している。本ロボットRB1の構成を概観すれば、次
の通りである。
【0144】XY平面に平行なロボット設置面10’に
は第1アーム21’が垂直に設置されており、第1アー
ム21’自身が有する駆動機構(図示せず)の駆動力を
受けて第1アーム21’は、ガイド12に沿ってX方向
に並進運動する(第1軸、駆動量xS )。尚、第1アー
ム21’にはジャバラ機構13が設けられている。
【0145】又、第1アーム21’の一面に取り付けら
れた第2アーム22’は、自身が有する駆動機構(図示
せず)の駆動力を受けてY方向に並進運動するとともに
(第3軸、駆動量yS )、点M’を旋回中心としてYZ
平面内を旋回運動する(第2軸、旋回角Θ)。従って、
第2アーム22’は、第1アーム21’に対して直接的
にYZ平面内に旋回自由度を有しているものと言える。
【0146】更に第3アーム23’は、第4軸と第5軸
とによる回転運動を有している(回転角α、β)。
【0147】以上の構成より、本ロボットRB1は、図
1のロボットRBを図2のX軸のまわりに90度回転し
た構成に対応していることが理解される。その様な座標
変換を図27に示す。尚、図27(a)は図2のXYZ
座標系のX軸まわりの回転を示しており、同図(b)は
回転後の座標系を本ロボットRB1のデカルト座標系と
して適用した場合を示している。本図に示される通り、
本ロボットRB1のX軸、Y軸、Z軸はそれぞれ、図2
のZ軸、X軸、Y軸に対応している。従って、本ロボッ
トRB1の旋回角Θは図2の旋回角Θに対応しており、
本ロボットRB1では、第2アーム22’をX軸の回り
に仮想的に旋回することとなる。この点は、図1のロボ
ットRB1と異なる点である。尚、図6に示した方法
(プログラム)をそのまま使用して先ず図1、図2に適
応した各駆動量を決定しておき、その後、これらの駆動
量を図27の座標変換に従って変換することにより、本
ロボットRB1に適応した駆動量(xS ,yS ,Θ,
α,β)を決定することもできる。この場合には、ロボ
ットの軸構成が変わる毎にプログラムを改めて構築する
必要がなくなり、一つのプログラムに簡単な座標変換用
のプログラムを付加するだけで足りるという利点があ
る。
【0148】更に、本ロボットRB1に於けるトーチ4
0の姿勢角を図28に参考として示す。
【0149】
【発明の効果】請求項1に係る発明によれば、エンドエ
フェクタの姿勢いかんにかかわらず常に、第1,第2及
び第3アームそれぞれの駆動機構を連続的に且つ滑らか
に変化する駆動出力により駆動することができる効果が
ある。しかも、エンドエフェクタの先端の位置に対応す
る各アームの駆動量は厳密に決定することができるの
で、エンドエフェクタの先端の位置決めを誤差なく正確
に実現できる効果がある。この場合、エンドエフェクタ
の先端の姿勢決めの誤差については、実用上、十分許容
できる範囲内にあるほどに小さい。従って、作業上安全
で、しかも実用上作業に適合した円筒座標ロボットを提
供することができる。
【0150】又、請求項2に係る発明によれば、交差角
度の解が連続解となる場合にはいわゆるg法により各ア
ームの駆動量を決定し、交差角度の解がg法によれば不
連続解となる様な場合には、いわゆるδ法により各アー
ムの駆動量を決定するという様にして円筒座標ロボット
の駆動制御を行なうので、請求項1に係る発明と同様
に、エンドエフェクタの先端の姿勢のいかんによらず常
に各アームの駆動機構を連続的に且つ滑らかに変化する
駆動出力によって駆動できる効果があるとともに、交差
角度の解が不連続解となる場合においてはエンドエフェ
クタの先端の位置決めのみ正確に実現できるが、交差角
度の解が連続解となる場合にあっては、エンドエフェク
タの先端の位置決めと姿勢決めの両方を指定値に対して
誤差なく厳密に実現することができる効果がある。従っ
て、請求項1記載の発明に較べて、更に高精度の円筒座
標ロボットの駆動方法を提供することが可能である。
【0151】又、請求項3に係る発明によれば、エンド
エフェクタの姿勢いかんにかかわらず常に、第1及び第
2アームそれぞれの駆動機構を連続的に且つ滑らかに変
化する駆動出力により駆動できる効果がある。更に本発
明では、交差角度の値が不連続となる空間内の点におけ
るエンドエフェクタの先端の姿勢の天頂角の値を、焦点
における天頂角の指定値に対して所定の値だけステップ
関数的に変化させた値をその点における天頂角の指定値
とするだけでよいので、簡便な円筒座標ロボットの駆動
方法を提供できる効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例であるレーザー溶接ロボッ
トの機械的構成を示す斜視図である。
【図2】この発明の一実施例であるレーザー溶接ロボッ
トの機械的構成を示す側面図である。
【図3】トーチの先端の位置及び姿勢を示す説明図であ
る。
【図4】この発明の一実施例であるレーザー溶接ロボッ
トの制御系の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】レーザー溶接ロボットを駆動するための手順を
示すフローチャートである。
【図6】レーザー溶接ロボットを駆動するための手順を
示すフローチャートである。
【図7】図2で示した4点M,N,P,Qの位置関係を
XYZ空間で示した立体図である。
【図8】g法における手順のフローを示す説明図であ
る。
【図9】交差角度の値が不連続に変化するDゾーンを示
した説明図である。
【図10】交差角度の値が不連続に変化することを明ら
かにするために示した説明図である。
【図11】交差角度の値が不連続に変化することを示し
た説明図である。
【図12】Dゾーン内の点における交差角度の値の決定
方法を示した説明図である。
【図13】δ−φ法における手順のフローを示す説明図
である。
【図14】δ−φ法を用いて逆変換を行った場合のシミ
ュレーション結果を示す説明図である。
【図15】δ−φ法を用いて逆変換を行った場合のシミ
ュレーション結果を示す説明図である。
【図16】δ−φ法を用いて逆変換を行った場合のシミ
ュレーション結果を示す説明図である。
【図17】δ−θ法における手順のフローを示す説明図
である。
【図18】δ−φ法とδ−θ法との比較結果を示す説明
図である。
【図19】δ−φ法とδ−θ法との比較結果を示す説明
図である。
【図20】この発明の他の実施例であるレーザー溶接ロ
ボットの駆動制御方法の逆変換に関する手順を示すフロ
ーチャートである。
【図21】この発明の他の実施例であるレーザー溶接ロ
ボットの駆動制御方法の逆変換に関する手順を示すフロ
ーチャートである。
【図22】θ法を用いて逆変換を行った場合のシミュレ
ーション結果を示す説明図である。
【図23】θ法を用いて逆変換を行った場合のシミュレ
ーション結果を示す説明図である。
【図24】θ法を用いて逆変換を行った場合のシミュレ
ーション結果を示す説明図である。
【図25】この発明の更に他の実施例であるレーザ溶接
ロボットの機械的構成を示す斜視図である。
【図26】この発明の更に他の実施例であるレーザ溶接
ロボットのα系を示す説明図である。
【図27】座標変換を示す説明図である。
【図28】トーチの姿勢角を示す説明図である。
【符号の説明】
10 レーザー溶接ロボットの設置面 21 第1アーム 22 第2アーム 23 第3アーム
【数27】
フロントページの続き (72)発明者 黒田 俊英 兵庫県西宮市田近野町6番107号 新明和 工業株式会社開発技術本部内 (72)発明者 桃崎 潤子 兵庫県西宮市田近野町6番107号 新明和 工業株式会社開発技術本部内 (72)発明者 武内 清 兵庫県西宮市田近野町6番107号 新明和 工業株式会社開発技術本部内 (72)発明者 美藤 龍平 兵庫県宝塚市新明和町1番1号 新明和工 業株式会社産業機械事業部内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロボット設置面に略垂直に設置された第
    1アームと、前記第1アームに結合して前記ロボット設
    置面に略平行な平面内に並進自由度を有するとともに、
    前記第1アームに対して定まる所定の平面内に直接的又
    は間接的に旋回自由度を有する第2アームと、前記第2
    アームの先端部に略直角に結合して前記第2アームの軸
    方向まわりの回転自由度とそれ自身の軸まわりの回転自
    由度とを有する第3アームと、前記第3アームの先端部
    に略直角に結合したエンドエフェクタとを有する円筒座
    標ロボットの駆動制御方法であって、 (a) 絶対座標系で表される空間内の所定の2点にお
    ける前記エンドエフェクタの先端の位置及び姿勢を指定
    するステップと、 (b) 前記所定の2点それぞれにおいて、前記エンド
    エフェクタの軸を含み且つ前記所定の平面に垂直な平面
    が前記エンドエフェクタの軸方向を法線方向とする平面
    と交差する際に生ずる交線と、前記第3アームの軸方向
    とがなす交差角度の値を、前記交差角度を変数とする方
    程式を解くことにより求めるステップと、 (c) 前記ステップ(b)で求めた前記所定の2点に
    おける前記交差角度の値より、前記所定の2点間の点に
    おける前記交差角度の値を近似的に求めるステップと、 (d) 前記所定の2点間の点における前記エンドエフ
    ェクタの先端の位置と姿勢の一方とを指定するステップ
    と、 (e) 前記ステップ(c)で決定した前記交差角度の
    値及び前記ステップ(d)で指定した前記エンドエフェ
    クタの先端の位置と姿勢の一方とを用いて、前記エンド
    エフェクタの先端の姿勢の他方を求めるとともに、更に
    前記所定の2点間の点における前記第1,第2及び第3
    アームそれぞれの駆動量を決定するステップと、 (f) 前記各駆動量に応じた駆動出力をそれぞれ対応
    する前記第1,第2及び第3アームの駆動機構に与える
    ことにより、前記第1、第2及び第3アームの駆動を行
    うステップとを備えたことを特徴とする円筒座標ロボッ
    トの駆動制御方法。
  2. 【請求項2】 ロボット設置面に略垂直に設置された第
    1アームと、前記第1アームに結合して前記ロボット設
    置面に略平行な平面内に並進自由度を有するとともに、
    前記第1アームに対して定まる所定の平面内に直接的又
    は間接的に旋回自由度を有する第2アームと、前記第2
    アームの先端部に略直角に結合して前記第2アームの軸
    方向まわりの回転自由度とそれ自身の軸まわりの回転自
    由度とを有する第3アームと、前記第3アームの先端部
    に略直角に結合したエンドエフェクタとを有する円筒座
    標ロボットの駆動制御方法であって、 (a) 絶対座標系で表される空間内の各点における前
    記エンドエフェクタの先端の位置及び姿勢を指定するス
    テップと、 (b) 前記空間内の各点において、前記エンドエフェ
    クタの軸を含み且つ前記所定の平面に垂直な平面が前記
    エンドエフェクタの軸方向を法線方向とする平面と交差
    する際に生ずる交線と、前記第3アームの軸方向とがな
    す交差角度の値を、前記交差角度を変数とする方程式を
    解くことにより求めるステップと、 (c) 前記ステップ(b)で求めた前記空間内の各点
    における前記交差角度の値の内、その値が連続的となる
    空間内の点については、当該点における前記交差角度の
    値並びに前記ステップ(a)で指定した当該点における
    前記エンドエフェクタの先端の位置及び姿勢を用いて、
    前記第1,第2及び第3アームそれぞれの駆動量を決定
    するステップと、 (d) 前記ステップ(b)で求めた前記空間内の各点
    における前記交差角度の値の内、その値が不連続となる
    空間内の点については、 当該点における前記交差角度の値を、その値が連続
    的である空間内の他の2点における前記交差角度の値を
    用いて近似的に求め、 その近似的に求めた前記交差角度の値並びに前記ス
    テップ(a)で指定した当該点における前記エンドエフ
    ェクタの先端の位置及び姿勢の一方を用いて、前記エン
    ドエフェクタの先端の姿勢の他方を新たに求めるととも
    に、更に当該点における前記第1,第2及び第3アーム
    それぞれの駆動量を決定するステップと、 (e) 前記ステップ(c)又は(d)により決定され
    た前記各駆動量に応じた駆動出力を、それぞれ対応する
    前記第1,第2及び第3アームの駆動機構に与えること
    により、前記第1、第2及び第3アームの駆動を行うス
    テップとを備えたことを特徴とする円筒座標ロボットの
    駆動制御方法。
  3. 【請求項3】 ロボット設置面に略垂直に設置された第
    1アームと、前記第1アームに結合して前記ロボット設
    置面に略平行な平面内に並進自由度を有するとともに、
    前記第1アームに対して定まる所定の平面内に直接的又
    は間接的に旋回自由度を有する第2アームと、前記第2
    アームの先端部に略直角に結合して前記第2アームの軸
    方向まわりの回転自由度とそれ自身の軸まわりの回転自
    由度とを有する第3アームと、前記第3アームの先端部
    に略直角に結合したエンドエフェクタとを有する円筒座
    標ロボットにおいて、前記エンドエフェクタの先端が絶
    対座標系で表される空間内の焦点を通って前記空間内を
    移動する場合の駆動制御方法であって、 (a) 前記空間内の各点における前記エンドエフェク
    タの先端の位置及び姿勢を指定するステップと、 (b) 前記エンドエフェクタの軸を含み且つ前記所定
    の平面に垂直な平面が前記エンドエフェクタの軸方向を
    法線方向とする平面と交差する際に生ずる交線と前記第
    3アームの軸方向とがなす交差角度の値を、前記交差角
    度を変数とする方程式を解くことにより求めるステップ
    と、 (c) 前記ステップ(b)で求めた前記交差角度の値
    より、前記エンドエフェクタの先端が焦点を通過したか
    否かを判断するステップと、 (d) 前記ステップ(c)で焦点を通過していないと
    判断した場合には、前記ステップ(a)で指定した前記
    エンドエフェクタの先端の位置及び姿勢並びに前記ステ
    ップ(b)で求めた前記交差角度の値を用いて、前記空
    間内の点における前記第1,第2及び第3アームそれぞ
    れの駆動量を決定するステップと、 (e) 前記ステップ(c)で焦点を通過したと判断し
    た場合には、前記ステップ(a)で指定した前記焦点に
    おける前記姿勢の内の天頂角の値を所定の値だけ変化さ
    せた値を、前記焦点通過後の前記エンドエフェクタの先
    端の位置する点における前記天頂角の指定値とし、当該
    天頂角の指定値並びに前記ステップ(a)で指定した当
    該点における前記エンドエフェクタの先端の位置及び姿
    勢の内の方位角の値を用いて、当該点における前記交差
    角度の値を求めた後、前記第1,第2及び第3アームそ
    れぞれの駆動量を決定するステップと、 (f) 前記ステップ(d)又は(e)で決定した前記
    各駆動量に応じた駆動出力を、それぞれ対応する前記第
    1,第2及び第3アームの駆動機構に与えることによ
    り、前記第1、第2及び第3アームの駆動を行うステッ
    プとを備えたことを特徴とする円筒座標ロボットの駆動
    制御方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103862474A (zh) * 2012-12-12 2014-06-18 北京赛佰特科技有限公司 机器人关节初始参数的辨识方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103862474A (zh) * 2012-12-12 2014-06-18 北京赛佰特科技有限公司 机器人关节初始参数的辨识方法

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