JP2020171989A - ロボット教示システム - Google Patents

ロボット教示システム Download PDF

Info

Publication number
JP2020171989A
JP2020171989A JP2019075154A JP2019075154A JP2020171989A JP 2020171989 A JP2020171989 A JP 2020171989A JP 2019075154 A JP2019075154 A JP 2019075154A JP 2019075154 A JP2019075154 A JP 2019075154A JP 2020171989 A JP2020171989 A JP 2020171989A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
robot
singularity
teaching
articulated robot
avoidance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019075154A
Other languages
English (en)
Inventor
良文 森田
Yoshifumi Morita
良文 森田
秀紀 犬塚
Hideki Inuzuka
秀紀 犬塚
朋也 中西
Tomoya Nakanishi
朋也 中西
酒井 昌夫
Masao Sakai
昌夫 酒井
善夫 鈴木
Yoshio Suzuki
善夫 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Aichi Prefecture
Nagoya Institute of Technology NUC
Kondo Seisakusho KK
Original Assignee
Aichi Prefecture
Nagoya Institute of Technology NUC
Kondo Seisakusho KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Aichi Prefecture, Nagoya Institute of Technology NUC, Kondo Seisakusho KK filed Critical Aichi Prefecture
Priority to JP2019075154A priority Critical patent/JP2020171989A/ja
Publication of JP2020171989A publication Critical patent/JP2020171989A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Numerical Control (AREA)
  • Manipulator (AREA)

Abstract

【課題】多関節ロボットが教示中に特異姿勢に近づいても、特異点及びその近傍でロボットが停止することを回避する。【解決手段】ロボット関節R5位置が肩特異点及びその近傍にある場合、ロボット手先の進行ベクトルをX−Y平面に射影したロボット手先のXY進行ベクトルを計算し、進行方向に対する回避ベクトルを求めることにより、ロボット手先目標位置を補正し、その後、逆運動学を用いて、関節角度を計算して肩特異点回避を行う。R5関節角度が、手首特異点及びその近傍にある場合、R5関節角度の符号に依存して、単調増加あるいは単調減少を行い、手首特異点回避後のR5関節角度を計算する。その後、ロボット手先目標位置のR4関節角度、R5関節角度、R6関節角度に近づけるなまし動作を行い、得られた関節角度で多関節ロボットを駆動する。【選択図】 図14

Description

本発明は、複数の回転関節を持つ多関節ロボットに対して、複雑な動きを教示する際に、相対位置姿勢測定システムを搭載した教示デバイスを備えた多関節ロボットが特異姿勢になり、追従動作が停止する事を回避するためのロボット姿勢制御が可能なロボット教示システムに関する。
従来、ロボットを用いて作業を行わせるためには、あらかじめロボットの行うべき動作、作業の内容をロボットに対して指示することが必要である。このことをティーチング(教示)という。かかる教示の方法としては、教示ペンダントを用いて入力された動作指令に基づいて、ロボットを駆動制御することにより、ロボットアームの各関節の角度、あるいはアーム先端の基準位置、姿勢などを制御する方法や、ロボットを移動させたい方向に力を作用させることにより、ロボットを直接的に誘導し、それにより、ロボットを直交座標系上における所望の位置、姿勢に移動させることができる直接教示が知られている。
しかしながら、教示ペンダントを用いた教示方法では、複雑な動作を教示する際に、操作が煩雑になることで、教示にかかる時間と労力が膨大になり、教示が困難になる問題がある。また、力を作用させた直接教示による教示方法の場合、人の動きに対するロボットの応答遅れがあるために教示中に違和感を与え、意図した軌道と異なる動作をロボットが行うという問題や、人間がロボットに与える力とエンドエフェクタが作業対象物に接触した時に受ける反力との区別がつかず、意図しない動作となる問題がある。
そこで、前述の教示方法の問題を解決する方法として、非特許文献1には、教示者が与える教示点とロボットとを6本のワイヤを介して接続し、そのワイヤの引き出された長さから教示点の相対位置と相対姿勢を計測するパラレルワイヤ機構を用いた教示方法が提案されている。
一方、複数の関節を持つ、いわゆる多関節ロボットには、特異点という機構上の制約を受ける問題がある。かかる特異点とは、関節から延びるアームの機構的な制約により、ある特定の方向の自由度の機能が失われる姿勢を表している。即ち、直交座標系における経路速度を維持しようとすると、関節空間における関節速度が数学的に無限大となり、ロボットの各軸の角速度が急激に上昇し、その結果、ロボットの動作が停止することになる。この問題を回避する方法としては、特異点を考慮した協調運動回避方法や、特異点低感度運動分解回避方法などがある。
非特許文献2には、特異点を考慮した協調運動回避方法が提案されている。前記協調運動回避方法とは、運動の始端、終端条件が与えられたとき、それを満足する運動軌道は無限に存在し、この解の中から作業内容により課せられる制限条件を満たす運動軌道を選ぶために、ロボットの鉛直軸と一致する直交座標系と、作業内容により課せられる制限条件だけでなく特異点の分布を考慮に入れて協調運動を決定するために運動軌道を記述する座標系として円筒座標系と、手先の位置、姿勢が与えられたときのロボットの関節角度の解は、制限しても8通りあるので、運動軌道を記述する座標系として関節角度の各成分を座標値とする固有の座標系の3種類の座標系を適宜使い分けることにより、作業内容により課せられる複雑な制限条件を満たす運動軌道を可動範囲内の全域にわたって計算することができる方法である。
非特許文献3には、特異点低感度運動分解回避方法が提案されている。前記特異点低感度運動分解回避方法とは、ロボットの手先の位置、姿勢と関節角度の関係は、一般的に非線型方程式で表され、これは、位置制御系を構成して制御する場合の運動分解であり、速度制御、加速度制御、トルク制御の際の運動分解もヤコビ行列を係数行列とする線型方程式で表され、これを解くことにより関節角度が計算できる。特異点に近づくとき、関節角度空間により現状関節角度に最も近く、現実可能な動作を生じる関節角度を求めることで特異点を通過する手先の軌道を修正し、特異点を通る軌道を修正する際、手先の位置、姿勢のうち一方はできるだけ正しく保ちたいということがあり、このような場合、優先される変数に対応する成分の値を大きくとって、重み付けをし、優先度の高い変数と低い変数の両方にそれぞれ特異点低感度分解を適用して、低い変数のスケールファクタを大きくすることが有効であり、これによって、動きやすい方向の成分はほぼ実現し、動きにくい方向の成分を修正することで、修正パラメータを特異点と手先の距離から自動調整することで、修正より生じる特異点における不連続な動作をなめらかに補完し、多少軌道からずれているが、特異点に留まることなく通過する方法である。
酒井 昌夫、佐藤 徳孝、森田 良文、"ロボット教示用パラレルワイヤ機構の開発"、[online]、2013年7月23日、日本機械学会、[2018年8月30日]、インターネット、〈URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/kikaic/79/807/79_4321/_pdf/-char/ja〉 内山 勝、"人口の手の運動制御に関する研究"、[online]、昭和51年10月17日、第54期全国大会講演会、[2018年10月10日]、インターネット、〈URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/kikaic1979/45/391/45_391_314/_pdf〉 中村 仁彦、花房 秀朗、"関節系ロボットアームの特異点低感度運動分解"、[online]、昭和59年5月、計測自動制御学会論文集、[2018年10月10日]、インターネット、〈URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/sicetr1965/20/5/20_5_453/_pdf〉 John J.Craig著、三浦 宏文、下山 勲訳 「ロボティクス−機構・力学・制御−」、共立出版株式会社 1991年1月初版1刷発行、2010年9月初版12刷発行
しかしながら、非特許文献2に記載の特異点回避方法では、ロボットの運動の始点と終点が確定している場合でなくては使用できず、ロボットが教示された軌道を再生する場合に、移動開始前に特異点及びその近傍でロボットが停止することを回避するように軌道を修正する方法であり、教示の段階での特異点及びその近傍でロボットが停止することを回避することはできないという問題がある。また、非特許文献3は処理に求められる計算量が膨大なため、教示作業中の特異点をリアルタイムで回避するような処理には適さない。
そこで、本発明は、多関節ロボットが教示中に特異姿勢に近づいても、特異点及びその近傍でロボットが停止することを回避することができるロボット姿勢制御が可能なロボット教示システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明の第1の態様は、複数の回転関節を有する多関節ロボットと、前記多関節ロボットと移動可能な教示点との間の相対位置姿勢を計測する教示デバイスを備えたロボット装置とを用いて、前記教示点を人間が動かすことで前記教示デバイスにより、前記多関節ロボットが追従しながら、前記多関節ロボットに人間が動かした前記教示点の軌道を教示できるロボット教示システムにおいて、教示作業時に前記多関節ロボットが特異点及びその近傍を移動する場合、前記特異点及びその近傍で前記多関節ロボットが停止することを回避しながら教示作業を行うことができる制御手段を有することを特徴とするロボット教示システムを提供する。
また、本発明の第2の態様は、前記第1の態様のロボット教示システムにおいて、前記制御手段は、前記多関節ロボットが前記特異点及びその近傍にあることを判定する特異点判定手段と、前記特異点判定手段により前記多関節ロボットが前記特異点及びその近傍にあると判定されるときの前記複数の回転関節の現在位置に応じて、前記特異点及びその近傍で前記多関節ロボットが停止することを回避するように前記多関節ロボットを駆動する特異点回避制御手段とを有することを特徴とするロボット教示システムを提供する。
また、本発明の第3の態様は、前記第2の態様のロボット教示システムにおいて、前記特異点回避制御手段は、前記多関節ロボットの肩特異点及びその近傍を避けて移動するように前記多関節ロボットを駆動する肩特異点回避駆動制御手段と、前記多関節ロボットの手首特異点及びその近傍で止まらずに通過するように前記多関節ロボットを駆動する手首特異点回避駆動制御手段とを有することを特徴とするロボット教示システムを提供する。
また本発明の第4の態様は、前記第3の態様のロボット教示システムにおいて、前記肩特異点制御手段は、前記特異点判定手段により前記多関節ロボットが前記肩特異点及びその近傍にあると判定されるときの前記複数の回転関節の現在位置に応じて、前記肩特異点及びその近傍を避けて移動するように前記多関節ロボットが教示動作結果を基にロボットが特異点から遠ざかるように追従する軌道の補正を行う肩特異点回避補正手段と、前記肩特異点回避補正手段の補正に基づいて、前記複数の回転関節のそれぞれを回転駆動させて、前記多関節ロボットを駆動する肩特異点回避駆動制御手段を有することを特徴とするロボット教示システムを提供する。
本発明の第5の態様は、前記第3の態様のロボット教示システムにおいて、前記手首特異点制御手段は、前記特異点判定手段により前記多関節ロボットが前記手首特異点及びその近傍にあると判定されるとき、前記多関節ロボットが前記手首特異点及びその近傍で止まらずに通過するように補正を加える手首特異点回避補正手段と、前記手首特異点回避補正手段の補正に基づいて、前記複数の回転関節のそれぞれを回転駆動させて、前記多関節ロボットを駆動する手首特異点回避駆動制御手段を有することを特徴とするロボット教示システムを提供する。
本発明の第6の態様は、前記第1の態様乃至前記第5の態様のロボット教示システムであって、前記教示デバイスが、前記多関節ロボットと移動可能な教示点との間の相対位置姿勢の計測をすることのできる複数のワイヤにより連結されたパラレルワイヤ機構を有するロボット装置であることを特徴とするロボット教示システムを提供する。
本発明の第7の態様は、前記第1の態様乃至前記第5の態様のロボット教示システムであって、前記教示デバイスが、前記多関節ロボットと移動可能な教示点との間の相対位置姿勢の計測をすることのできる複数のリンクにより連結されたパラレルリンク機構を有するロボット装置であることを特徴とするロボット教示システムを提供する。
本発明の第8の態様は、前記第1の態様乃至前記第5の態様のロボット教示システムであって、前記教示デバイスが、前記多関節ロボットと移動可能な教示点との間の相対位置姿勢の計測をすることのできる非接触センサー機構を有するロボット装置であることを特徴とするロボット教示システムを提供する。
本発明の第1の態様によれば、複数の回転関節を有する多関節ロボットが、教示作業中に特異姿勢に近づいたとしても、多関節ロボットの姿勢を制御することにより、特異点及びその近傍で多関節ロボットが停止することを回避することができ、また、複雑な動作を教示する際に、教示ペンダントを用いた教示方法のような煩雑な操作を行う必要が無く、また、従来の直接教示のような人の動きに対するロボットの応答遅れに起因する教示中の違和感をなくすことができる。更に連続する大量の位置情報を与えることで、その軌道を再現する際になめらかな動作ができる。
本発明の第2の態様によれば、複数の回転関節を有する多関節ロボットが、教示中に特異点及びその近傍に近づく際に、特異点近傍だと判定する範囲を設定することで、その範囲内においてロボットが停止しないように補正を加える。その結果特異点近傍においても多関節ロボットの駆動制御を行うことができる。
本発明の第3の態様によれば、複数の回転関節を有する多関節ロボットの肩特異点及びその近傍に近づく際に、肩特異点及びその近傍を避けて移動するように多関節ロボットの駆動制御をすることができ、且つ、多関節ロボットの手首特異点及びその近傍に近づく際に、手首特異点及びその近傍で止まらずに通過するように多関節ロボットの駆動制御を行うことができる。
本発明の第4の態様によれば、複数の回転関節を有する多関節ロボットが肩特異点及びその近傍に近づいたと判定される際に、複数の回転関節の現在の位置に応じて、肩特異点及びその近傍を避けて移動するように多関節ロボットの教示結果を基に追従する軌道の補正を行い、各回転関節のそれぞれの回転駆動の制御を行うことができる。
本発明の第5の態様によれば、複数の回転関節を有する多関節ロボットが手首特異点及びその近傍に近づいたと判定される際に、手首特異点及びその近傍で止まらずに通過するように補正を行い、各回転関節のそれぞれの回転駆動の制御を行うことができる。
本発明の第6の態様によれば、多関節ロボットと教示点との間を複数のワイヤでつなぐことで教示点の移動を可能にし、多関節ロボットと移動可能な教示点との間の相対位置姿勢を計測することができる。
本発明の第7の態様によれば、多関節ロボットと教示点の間を複数のリンクでつなぐことで教示点の移動を可能にし、多関節ロボットと移動可能な教示点との間の相対位置姿勢を計測することができる。
本発明の第8の態様によれば、多関節ロボットと移動可能な教示点との間の相対位置姿勢を、非接触センサーを用いることで計測することができる。
本発明の第1の実施形態に係るロボット教示システムの全体構造を模式的に示す斜視図。 本発明の第1の実施形態に係る多関節ロボットの軸と特異点を説明する説明図。 本発明の第1の実施形態に係る多関節ロボットの追従アルゴリズムを説明する説明図。 本発明の第4の実施形態に係る肩特異点を説明するロボット装置の側面図。 本発明の第4の実施形態に係る肩特異点を説明するロボット装置の上面図。 本発明の第4の実施形態に係る肩特異点回避手段を説明するロボット装置の上面図。 本発明の第4の実施形態に係る肩特異点回避方向を説明する説明図1。 本発明の第4の実施形態に係る肩特異点回避方向を説明する説明図2。 本発明の第4の実施形態に係る肩特異点回避方向を説明する説明図3。 本発明の第4の実施形態に係る肩特異点回避に関する目標位置と移動量の関係を示す推移図。 本発明の第4の実施形態に係る肩特異点回避方向を説明する説明図4。 本発明の第4の実施形態に係る肩特異点回避方向を説明する説明図5。 本発明の第5の実施形態に係る手首特異点回避を説明する説明図。 本発明の第3の実施形態に係る特異点回避を行う教示サイクルのフローチャートを説明する制御ブロック図。 本発明の第3の実施形態に係る肩特異点回避動作判定領域通過時の肩特異点回避駆動手段を適用しないロボット手先の軌道を説明する実験図。 本発明の第3の実施形態に係る肩特異点回避動作判定領域通過時の肩特異点回避駆動手段を適用するロボット手先の軌道を説明する実験図。 本発明の第3の実施形態に係る肩特異点回避駆動制御手段の適用の有無を示す教示中におけるロボット関節R1角度θ1の時間変化を説明する実験図。 本発明の第3の実施形態に係る肩特異点回避駆動制御手段の適用の有無を示す教示中におけるロボット関節R4角度θ4の時間変化を説明する実験図。 本発明の第3の実施形態に係る肩特異点回避駆動制御手段の適用の有無を示す教示中におけるロボット関節R6角度θ6の時間変化を説明する実験図。 本発明の第3の実施形態に係る手首特異点回避動作判定領域通過時の手首特異点回避駆動手段を適用しないロボット手先の軌道を説明する実験図。 本発明の第3の実施形態に係る手首特異点回避動作判定領域通過時の手首特異点回避駆動手段を適用するロボット手先の軌道を説明する実験図。 本発明の第3の実施形態に係る手首特異点回避駆動制御手段の適用の有無を示す教示中におけるロボット関節R5角度θ5の時間変化を説明する実験図。 前述の図22の実験図の手首特異点回避動作判定領域を通過する部分の拡大図。 本発明の第3の実施形態に係る手首特異点回避駆動制御手段の適用の有無を示す教示中におけるロボット関節R4角度θ4の時間変化を説明する実験図。 本発明の第3の実施形態に係る手首特異点回避駆動制御手段の適用の有無を示す教示中におけるロボット関節R6角度θ6の時間変化を説明する実験図。
以下、本発明のロボット教示システムの実施形態について、図1から図25を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態のロボット教示システムの全体構造を模式的に示す斜視図である。ロボット装置1は、複数の関節を供えた垂直多関節ロボット(以下、「多関節ロボット」という)2と、多関節ロボット2の先端に取り付けられるエンドエフェクタ3とを備える。これに加えて多関節ロボット2を駆動する制御装置4を備える。かかる構造において、エンドエフェクタ3は、多関節ロボット2の先端に着脱自在に取り付けられており、作業に基づいて交換可能であり、例えば、エアシリンダを使ったハンドや、バリ取り作業用のブラシなどが用いられる。
多関節ロボット2の特異点について以下に説明する。尚、一般の特異点の説明として、非特許文献4、144頁〜145頁には、普通、産業用ロボットには逆ヤコビ行列が存在しない関節角度が存在し、その状態が特異点と記載されている。
図2は、本発明の実施形態の多関節ロボット2の軸と特異点を説明する説明図である。図2に示すように、本実施形態の多関節ロボット2は、6つの回転関節(R1〜R6)と、6つの関節軸(R1軸〜R6軸)を中心に回転駆動する駆動部を備えている。
例えば、本発明の実施形態の6軸の多関節ロボット2には、肩特異点、肘特異点、手首特異点の3つの特異点が存在する。このため、多関節ロボット2が3つの特異点に同時に近づく場合もある。以下に、多関節ロボット2が有する3つの特異点について説明する。一般的に産業用ロボットにおいて、R1軸の方向とR2軸の方向とは直交し、R2軸の方向とR3軸の方向とは平行になり、R3軸の方向とR4軸の方向は直交し、R4軸の方向とR5軸の方向は直交し、R5軸とR6軸の方向は直交し、R4軸、R5軸及びR6軸はR5軸上で交わるように設計されるため、この条件に基づいて説明する。
多関節ロボット2において、肩特異点は、R4軸、R5軸及びR6軸が交わる点がR1軸上にある場合である。肘特異点は、R2軸とR3軸とがR4軸上にある場合である。手首特異点は、R4軸とR6軸とが同軸上にあり、R5の角度が0になる場合である。
前記各特異点上において、ロボットの角速度が無限大の値が必要になるが、ロボットの関節は、無限大の速度で回転することができないため、動作が停止してしまう。また、前記各特異点の近傍では、エンドエフェクタ3を一定速度で動かそうとすると、ロボットの関節が高速で動かなければならないので、ロボットの動作が不安定になり、特異点に近いほど不安定な動作を起こすようになる。
多関節ロボット2に教示ペンダントなどを用いて動作を教示する際には、上述した3つの特異点に近づかないようにしなければならない。なお、肘特異点の特異姿勢は、教示システムにおいて多関節ロボット2の可動範囲を超える教示をしていることになるので、本発明の実施形態では、教示に関係しないことから説明の対象としない。
ロボットが指定した位置、姿勢になるために各関節角度を求める必要がある。例えば、非特許文献4、110頁〜114頁には、逆運動学の解法によって、多関節ロボット2の各関節角度を求めることが記載されている。
次に、ロボットの追従アルゴリズムについて説明する。図3は、本発明の実施形態の多関節ロボット2の追従アルゴリズムを説明する説明図である。多関節ロボット2の先端部にエンドエフェクタ3として、教示デバイス10を取り付け、教示デバイス10の先端にある教示点11を移動させることによって、教示動作を行うと教示デバイス10にロボットが追従しながら教示が行われる。ここで、R1軸と同じ軸をZ軸とし、Z軸に垂直な軸をそれぞれX軸、Y軸としている。
本発明の実施形態で用いている教示デバイス10は、非特許文献1に記載されているパラレルワイヤ機構を用いた教示装置であり、パラレルワイヤ機構のベース13と可動プラットフォーム12を6本のワイヤでつなげ、6本のワイヤの既知の位置、姿勢を初期値として、移動後の位置、姿勢と引き出されたワイヤの長さの関係より教示点を求める方法を利用しているが、別の方法でもよい。例えば、ワイヤを用いずに、ベース13と可動プラットフォーム12を複数のリンクでつなぐパラレルリンク機構や、ベース13と可動プラットフォーム12間の位置、姿勢の関係を非接触センサーなどによって測定することで教示点を求める方法でもよい。非接触センサーは、例えば、光センサー、磁気センサー、カメラなどがある。
可動プラットフォーム12とベース13とは、6本のワイヤによって連結されているために、機構が剛体として連結していないので、教示時にベース13は、人の動きに対するロボットの応答遅れを吸収して追従するように駆動することができる。
図1の制御装置4がロボット装置1から得られた現状のロボット関節角度を下記の式とする。
制御装置4においてロボット手先目標位置17を計算する。上記の式より順運動学を用いて計算した現在のロボット手先位置14(XR)と、ベース13から移動させた可動プラットフォーム12までの相対位置15(XP)と、可動プラットフォーム12に対し、ベース13の姿勢が平行で一定距離離れるための追従オフセット16(Xd)からロボット手先目標位置17(XbT)の計算を行うと、下記の式になる。ここで、XHは、教示点である。
上記の式で求めた、ロボット手先目標位置17から逆運動学を用いて多関節ロボット2の各関節角度を求め、ロボット装置1に送ることでロボットが駆動する。
教示することにより得られたデータをもとに多関節ロボット2を再生する時には、可動プラットフォーム12とベース13をホルダで固定させ、その時のスキマ量を追従オフセット16の値とすることでロボット再生目標位置を得ることができ、多関節ロボット2は教示したとおりの軌道で駆動することができる。
次に、肩特異点とその回避方法について説明する。図4は、本発明の実施形態の肩特異点を説明するロボット装置1の側面図であり、図5は、本発明の実施形態の肩特異点を説明するロボット装置1の上面図である。図4及び図5は、多関節ロボット2が肩特異点回避駆動制御手段を適用せず、肩特異点の影響で多関節ロボット2が停止する時の側面図及び上面図である。R1軸をZ軸とし、X−Y平面上の(0,0)座標において、R4軸、R5軸及びR6軸が交わる点がZ軸上に移動した時、つまり、R5の位置XY成分がx=0、y=0となる時が肩特異点となり、その近傍では多関節ロボット2の動作が停止する。
図6は本発明の実施形態の肩特異点回避手段を説明するロボット装置1の上面図である。図6は、図4及び図5と同じ軌道で教示動作を行い、多関節ロボット2が肩特異点回避を行う場合の動作を表す上面図である。XYZ軸の配置はそれぞれ前述の図4、図5と同じとする。多関節ロボット2の先端部に取り付けられた教示デバイス10の先端部にある教示点11を移動させることで教示動作を行う。R5が肩特異点回避動作判定領域18に近づくと、R5が肩特異点回避動作判定領域18の中心に近づかないように、つまり特異点及びその近傍を避けて移動するように制御装置4が多関節ロボット2を駆動する。そのため、図6の移動後の図ではR5がZ軸上から離れて位置するので、ロボット手先位置14が図5のロボット手先位置14と異なる。この位置の違いを、教示デバイス10が可動プラットフォーム12とベース13の位置の違いとして吸収する。なお、図6に記載の肩特異点回避動作判定領域18は、肩特異点の近傍を表しており、X−Y平面上の(0,0)座標を中心に円柱状になっているが、別の形になるように設定してもよい。例えば、楕円柱状になってもよい。
図7、図8及び図9を説明する。図7は、本発明の実施形態の肩特異点回避方向を説明する説明図1であり、図8は、本発明の実施形態の肩特異点回避方向を説明する説明図2であり、図9は、本発明の実施形態の肩特異点回避方向を説明する説明図3である。図7、図8及び図9において、X−Y平面上の(0,0)座標を肩特異点20とする。
図7の説明図1は、ロボット手先位置14からロボット手先目標位置17に向かうロボット手先の進行ベクトルをX−Y平面に射影したロボット手先のXY進行ベクトル21に対して、ベース13が90度の方向へ肩特異点回避をした場合の説明図である。可動プラットフォーム12を次の可動プラットフォーム12’の位置に移動させた場合、ベース13は可動プラットフォーム12’に追従するようにベース13’に移動しようとするが、R5の目標位置24が肩特異点回避動作判定領域18に進入する場合は、ロボット手先のXY進行ベクトル21に対して、90度の方向に移動するような補正が加わることで、ベース13’’の位置に移動する。
図8の説明図2は、ロボット手先のXY進行ベクトル21に対して、ベース13が0度の方向へ肩特異点回避をした場合の説明図である。90度の方向へ特異点回避動作をした場合と同様に、可動プラットフォーム12を次の可動プラットフォーム12’の位置に移動させた場合、ベース13は可動プラットフォーム12’に追従するようにベース13’に移動しようとするが、R5の目標位置24が肩特異点回避動作判定領域18に進入する場合は、ロボット手先のXY進行ベクトル21に対して、0度の方向に移動するような補正が加わることで、ベース13’’の位置に移動する。しかし、この場合は、可動プラットフォーム12’とベース13’’が接近しすぎてしまい、衝突してしまう可能性があるので使用することができない。
図9の説明図3は、ロボット手先のXY進行ベクトル21に対して、ベース13が180度の方向へ肩特異点回避をした場合の説明図である。90度の方向へ肩特異点回避をした場合と同様に、可動プラットフォーム12を次の可動プラットフォーム12’の位置に移動させた場合、ベース13は可動プラットフォーム12’に追従するようにベース13’に移動しようとするが、R5の目標位置24が肩特異点回避動作判定領域18に進入する場合は、ロボット手先のXY進行ベクトル21に対して、180度の方向に移動するような補正が加わることで、ベース13’’の位置に移動する。しかし、この場合は、可動プラットフォーム12’とベース13’’が離れすぎてしまい、動作遅れが増大してしまう為に使用することができない。
以上、図7、図8及び図9の説明により、本発明の実施形態では、図7のロボット手先のXY進行ベクトル21に対して、90度の方向へ肩特異点回避動作を行うように補正を行う。
ロボット手先の進行ベクトル(VT)は、以下の式で求められる。
ロボット手先の進行ベクトル(VT)をX−Y平面に射影したロボット手先のXY進行ベクトル21(VTxy)を計算し、これに対して、90度の方向へ肩特異点回避を行う回避ベクトル22(ΔXd)を求めることにより、ロボット手先回避目標位置23(XhT1)を下記の式で表せる。
上記の式より、図7のロボット手先回避目標位置23を求めた後に、逆運動学を用いて、多関節ロボット2の各関節角度を求め、ロボット手先回避目標位置23にロボットの手先が移動することで、多関節ロボット2が肩特異点回避動作を行うことができる。
図10は、本発明の実施形態の肩特異点回避に関するR5の目標位置24と移動量との関係を示す推移図である。図10は、図7における肩特異点20とR5の目標位置24間の距離rと、肩特異点回避による移動量との関係を示したグラフ図である。横軸をX−Y平面上の肩特異点20とR5の目標位置24との距離r、縦軸を肩特異点回避による移動量f0、c0は、肩特異点回避を行う時の最大移動量であり、l0は、肩特異点回避動作判定領域18の円半径である。肩特異点20とR5の距離rと、肩特異点回避による移動量f0との関係は、図10のようなグラフになる。
本発明の実施形態では、ベース13と可動プラットフォーム12間の距離は、教示動作中は通常50mmに保たれており、肩特異点回避を行う時の最大移動量c0が30mmより大きくなると、ロボット手先の姿勢によってはベース13上にある可動プラットフォーム12を再生時に固定するホルダと可動プラットフォーム12が衝突する事があるので、衝突しないようにc0=25mmとした。また、肩特異点回避動作判定領域18は、ロボットの原点座標から半径l0=40mmの円柱状にした。ここで、今回は、最大移動距離c0=25mmとしたが、教示デバイス10の形状によって変化する物である。また、肩特異点回避動作判定領域18を円柱状で表しているが、別の形にしてもよい。例えば、楕円柱状などでもよい。その場合は、肩特異点20とR5の目標位置24の距離と、肩特異点回避による移動量との関係は別のグラフに表される。
肩特異点回避を行う場合、多関節ロボット2の肩特異点回避による移動量f0は、最大移動量c0、肩特異点回避動作判定領域18の半径l0、X−Y平面上の肩特異点20とR5の目標位置24との距離より、下記の式に表せる。
図11を説明する。図11は、本発明の実施形態の肩特異点回避方向を説明する説明図4である。図7の説明において、ロボット手先のXY進行ベクトル21に対して、90度の方向へ肩特異点回避動作を行うように補正を行う際に、図11の説明図4は、Z軸回り+90°方向へ肩特異点回避動作を行った時の説明図である。移動前のR5位置30がロボット手先のXY進行ベクトル21により、移動後のR5位置31に移動した時に、移動後のR5位置31が肩特異点回避動作判定領域18内にある場合、Z軸回り+90°方向の回避ベクトルL32(ΔXdL)は、肩特異点回避による移動量f0、Z軸回りの+90°回転行列(RzL)、ロボット手先のXY進行ベクトル21(VTxy)より、以下の式で求められる。
次に、Z軸回り+90°方向に移動した場合のロボット手先回避目標位置L33(XhTL)は以下の式で表せる。
図12を説明する。図12は、本発明の実施形態の肩特異点回避方向を説明する説明図5である。図7の説明において、ロボット手先のXY進行ベクトル21に対して、90度の方向へ肩特異点回避動作を行うように補正を行う際に、図12の説明図5は、Z軸回り−90°方向へ肩特異点回避動作を行った時の説明図である。移動前のR5位置30がロボット手先のXY進行ベクトル21により、移動後のR5位置31に移動した時に、移動後のR5位置31が肩特異点回避動作判定領域18内にある場合、Z軸回り−90°方向の回避ベクトルR32’(ΔXdR)は、肩特異点回避による移動量f0、Z軸回りの−90°回転行列(RzR)、ロボット手先のXY進行ベクトル21(VTxy)より、以下の式で求められる。
次に、Z軸回り−90°方向に移動した場合のロボット手先回避目標位置R33’(XhTR)は以下の式で表せる。
ロボット手先回避目標位置L33に移動した時のR5回避目標位置L34と、ロボット手先回避目標位置R33’に移動した時のR5回避目標位置R34’の二つを比べて、特異点20から離れている方の回避ベクトルL32(ΔXdL)もしくは回避ベクトルR32’(ΔXdR)を回避ベクトル22(ΔXd)とする事で、図7のロボット手先回避目標位置23(XhT1)を求める。ロボット手先回避目標位置23より逆運動学を用いて、多関節ロボット2の各関節角度を求め、ロボット手先回避目標位置23にロボットの手先が移動することで、多関節ロボット2が肩特異点回避動作を行うことができる。以上により、多関節ロボット2を駆動する肩特異点回避駆動制御手段を説明した。
肩特異点回避駆動制御手段を適用した各目標関節角度の成分は、下記のように表される。
次に、手首特異点とその回避方法について説明する。手首特異点回避は肩特異点回避動作判定を行った後に行う。図13は、本発明の実施形態の多関節ロボット2が手首特異点回避を行う場合を説明する説明図である。前述したように、手首特異点とは、R4軸とR6軸とが同軸上にある場合、つまり、回転関節R5の関節角度θ5=0になる時である。多関節ロボット2が手首特異点の条件を満たす時、回転関節R4の関節角度θ4及びR6の関節角度θ6の値は求めることができず、手首特異点近傍では、関節角度θ4及び関節角度θ6の値が急激に上昇し、関節速度の制限以上の速さで動作しようとして、多関節ロボット2は安全性のため停止する。図13に記載の手首特異点回避動作判定領域40のR5関節角度の制限値θlimitの範囲内が、手首特異点の近傍を表している。ロボット追従動作になるべく支障にならないようにθlimit=2.0degとした。
手首特異点回避動作判定後における手先目標位置の各関節角度の成分は、下記のように表す。R1からR3は修正しないのでそのまま肩特異点回避動作判定後の角度を使用する。
目標関節角度θht15が手首特異点回避動作判定領域40に入ったら出るまでR5の逆運動学計算をやめる。
R4の目標関節角度は逆運動学計算より求め、それから求めた角速度が上限値もしくは下限値を超える場合、上限値もしくは下限値となるように補正する。R6の目標関節角度も逆運動学計算より求め、それから求めた角速度が上限値もしくは下限値を超える場合、上限値もしくは下限値となるように補正する。R5の目標関節角度は、手首特異点回避動作判定領域40を通過するように計算する。手首特異点回避動作判定領域40に入る前のR5の現在角度の符号に依存し、負の場合は、手首特異点回避動作判定領域40を通過するまで目標関節角度を増加させ、正の場合は、手首特異点回避動作判定領域40を通過するまで減少させる。例えば、単調増加あるいは単調減少がある。
手首特異点回避動作判定時の目標関節角度を計算するときのステップ数をnステップとすると、この時点での現在ロボットR5関節角度はθR5(n-1)である。R5の目標関節角度θhT15(n)が手首特異点回避動作判定領域40に入った時、角度の変化量ΔθT5>0(一定)とし、手首特異点回避動作判定後のR5目標関節角度θhT25(n)は、現在のR5関節角度θR5(n-1)の符号により決まり、以下のような式になる。ΔθT5はθlimitの値より小さい値とする。
R5の目標関節角度が手首特異点回避動作判定領域40から出た後、手先目標位置が不連続になることを避けるために、ロボット手先位置14を図3のロボット手先目標位置17に徐々に近づける。ロボット手先回避目標位置は、手首特異点回避動作判定領域40から出た時のロボット手先位置14と、ロボット手先目標位置17に基づいて、ロボット手先位置がロボット手先目標位置17に遅れながら近づくものである。例えば、なまし処理がある。ロボット手先目標位置17に近づくときの時定数をtcと設定する。継続してロボットの追従動作ができるようにtc=0.5secとした。
上記の工程を行うことにより、多関節ロボット2が手首特異点回避動作を行うことができる。以上で多関節ロボット2を駆動する手首特異点回避駆動制御手段を説明した。
手首特異点回避動作時に肩特異点に近づく場合は、肩特異点回避動作は、移動後のR5位置31の位置成分のみを修正し、姿勢を修正せず、手首特異点回避動作は、ロボット手先の姿勢のみを修正し、位置を修正しない為、お互いの回避動作に影響を及ぼさずに同時に回避動作を行うことができる。
肩特異点回避動作時に手首特異点に近づく場合は、6軸多関節ロボットのリンク構造より、手首特異点回避動作が肩特異点回避動作に影響を及ぼし動作が不安定になってしまうので肩特異点回避動作時には手首特異点回避動作をしないようにする必要がある。
図14を説明する。図14は、本発明の実施形態の特異点回避を行う教示サイクルのフローチャートを示すブロック図である。教示開始前に、回避パラメータである肩特異点回避動作判定領域18の円半径l0、肩特異点回避を行う時の最大移動量c0、手首特異点回避動作判定領域40の境界角度θlimit、なまし処理の時定数tcの設定を行う。次に、現在のロボット手先位置14(XR)と、教示デバイス10からの情報を利用して、ロボット手先目標位置17(Xbt)の位置計算を行う。このとき、移動後のR5位置31が肩特異点回避動作判定領域18内にあるなしの判定を行い、範囲内にない場合は、ロボット手先目標位置17より、逆運動学を用いて、関節角度θhT1を計算する。このとき、R5の目標関節角度θhT1が、手首特異点回避動作判定領域40内にあるなしの判定を行い、範囲内にない場合は、関節角度θhT1で制御装置4が多関節ロボット2を駆動する。
移動後のR5位置31が肩特異点回避動作判定領域18内にある場合は、ロボット手先位置14からロボット手先目標位置17までとするロボット手先の進行ベクトル(VT)を計算し、次に、この進行ベクトルをX−Y平面に射影したロボット手先のXY進行ベクトル21(VTxy)を計算し、ロボット手先XY進行ベクトル21に対して、R5の目標位置24が特異点20から離れる90度の方向へ肩特異点回避を行う回避ベクトル22(ΔXd)を求めることにより、ロボット手先回避目標位置23(XhT1)を求める。その後、逆運動学を用いて、目標関節角度θhT1を計算することで、肩特異点回避を行う。
R5の関節角度θhT15が、手首特異点回避動作判定領域40内にある場合は、R5の逆運動学計算をやめ、R4及びR6の速度を制限し、特異点回避動作判定領域40に入る前のR5現在関節角度θR5の符号に依存して、単調増加あるいは単調減少を行い、手首特異点を通過するR5関節角度θhT25を計算する。手首特異点回避動作判定領域40を出た後、R4、R5及びR6のなまし処理を行うことで、ロボット手先目標位置17のR4関節角度θhT14、R5関節角度θhT15、R6関節角度θhT16に近づけるなまし動作を行う。そして、得られた関節角度θhT2で制御装置4が多関節ロボット2を駆動することで、手首特異点回避を行う。以上により、多関節ロボット2の特異点回避を行う教示サイクルを説明した。
図15及び図16を説明する。これらの図は本発明の実施形態のロボット制御システムで肩特異点を通過する動作を試行した実験の結果であり、これらは図5のY軸方向にR5が肩特異点を通過するよう教示点11を人が動かした例である。ロボット手先の進行方向に対して肩特異点回避方向を90°で実施したが、この肩特異点回避を行う方向は80°から100°程度に収めることが望ましい。教示点11に追従するR5の軌道として図5のX−Y平面上の位置で表したものである。図15は肩特異点回避駆動制御手段を適用しない場合であり、教示点11の移動にR5が追従しているが、肩特異点付近で動作停止している。図16は肩特異点回避駆動制御手段を適用した場合であり、移動後のR5位置31が肩特異点動作判定領域18に入ると+X方向に補正しながら教示点11に追従し、さらに肩特異点回避動作判定領域内18であっても特異点から離れるにつれて、本来の軌道に戻って追従を継続することができる。
動作中のロボットのうち、肩特異点で関節角度の変化が過大になるロボットの関節R1、R4及びR5について説明する。図17乃至図19を説明する。図15及び図16の教示を行ったときの関節角度の時間変化を示す。縦軸は関節角度を示し、横軸は教示開始からの時間経過を示す。肩特異点回避駆動制御手段を適用しない場合は特異点近傍で、R1、R4及びR6の関節角度θ1、θ4、θ6が急激に増加してロボットが停止するのに対し、肩特異点回避駆動制御手段を適用した場合は、肩特異点回避動作判定領域通過時の関節角度θ1、θ4、θ6の変化量が抑制され、動作停止することなく教示点の追従動作を継続している。
図20及び図21を説明する。これらの図は本発明の実施形態のロボット制御システムで手首特異点(θ5=0)を通過する動作を試行した結果であり、これらはZ軸方向にR5が手首特異点を通過するよう教示点11を人が動かし、ロボット手先が追従した例である。図20は手首特異点回避駆動制御手段を適用しない場合であり、特異点近傍であるZ=600付近で追従動作が停止してしまうのに対し、図21に示す様に手首特異点回避機能を適用することで手首特異点を通過後もロボット手先が教示点11に追従しており、手首特異点回避駆動制御手段により教示点を追従する機能は維持している。
教示中のロボットのうち、手首特異点で関節角度の変化が過大になるロボットの関節R4、R5及びR6について説明する。図22乃至図25を説明する。図20及び図21の教示を行ったときの関節角度の時間変化を示す。縦軸は関節角度を示し、横軸は教示開始からの時間経過を示す。図22はR5の角度を示し、図23は前述の図22の手首特異点回避動作判定領域40を通過する付近の拡大図である。手首特異点回避駆動制御手段を適用しない場合は手首特異点回避動作判定領域40を通過出来ずロボットが停止しているが、手首特異点回避駆動制御手段を適用する場合は手首特異点(θ5=0)を通過している。
また、図20、図21におけるR4、R6の関節角度の変化を図24、図25に示す。手首特異点回避駆動制御手段を適用しない場合は特異点近傍で、R4、R6の関節角度θ4、θ6が急激に増加してロボットが停止するのに対し、手首特異点回避駆動制御手段を適用した場合は、手首特異点(θ5=0)通過時の関節角度θ4、θ6の変化量が抑制され、動作停止することなく教示動作を継続できる。
肩特異点回避駆動制御手段及び手首特異点回避駆動制御手段により、肩及び手首特異点へ近づいても教示点11へロボット手先が追従するため、特異点とその近傍でも教示が可能になり、肩特異点回避駆動制御手段及び手首特異点回避駆動制御手段は有効である。
1 ロボット装置
2 多関節ロボット
3 エンドエフェクタ
4 制御装置
10 教示デバイス
11 教示点
12 可動プラットフォーム
13 ベース
14 ロボット手先位置
15 12と13の相対位置
16 追従オフセット
17 ロボット手先目標位置
18 肩特異点回避動作判定領域
20 肩特異点
21 ロボット手先のXY進行ベクトル
22 回避ベクトル
23 ロボット手先回避目標位置
24 R5の目標位置
30 移動前のR5位置
31 移動後のR5位置
32 回避ベクトルL
32’ 回避ベクトルR
33 ロボット手先回避目標位置L
33’ ロボット手先回避目標位置R
34 R5回避目標位置L
34’ R5回避目標位置R
40 手首特異点回避動作判定領域

Claims (8)

  1. 複数の回転関節を有する多関節ロボットと、前記多関節ロボットと移動可能な教示点との間の相対位置姿勢を計測する教示デバイスを備えたロボット装置とを用いて、前記教示点を人間が動かすことで前記教示デバイスにより、前記多関節ロボットが追従しながら、前記多関節ロボットに人間が動かした前記教示点の軌道を教示できるロボット教示システムにおいて、教示作業時に前記多関節ロボットが特異点及びその近傍を移動する場合、前記特異点及びその近傍での前記多関節ロボットの停止を回避しながら教示作業を行うことができる制御手段を有することを特徴とするロボット教示システム。
  2. 前記制御手段は、前記多関節ロボットが前記特異点及びその近傍にあることを判定する特異点判定手段と、前記特異点判定手段により前記多関節ロボットが前記特異点及びその近傍にあると判定されるときの前記多関節ロボットの複数の回転関節の現在位置に応じて、前記特異点及びその近傍を前記多関節ロボットが停止するのを回避するように前記多関節ロボットを駆動する特異点回避制御手段とを有することを特徴とする請求項1記載のロボット教示システム。
  3. 前記特異点回避制御手段は、前記多関節ロボットの肩特異点及びその近傍を避けて移動するように前記多関節ロボットを駆動する肩特異点回避制御手段と、前記多関節ロボットの手首特異点及びその近傍で止まらずに通過するように前記多関節ロボットを駆動する手首特異点回避制御手段とを有することを特徴とする請求項2記載のロボット教示システム。
  4. 前記肩特異点制御手段は、前記特異点判定手段により前記多関節ロボットが前記肩特異点及びその近傍にあると判定されるときの前記多関節ロボットの複数の回転関節の現在位置に応じて、前記肩特異点及びその近傍を避けて移動するように前記多関節ロボットが教示動作の結果を基に追従するロボットが特異点から遠ざかる様に軌道の補正を行う肩特異点回避補正手段と、前記肩特異点回避補正手段の補正に基づいて、前記多関節ロボットの複数の回転関節のそれぞれを回転駆動させて、前記多関節ロボットを駆動する肩特異点回避駆動制御手段を有することを特徴とする請求項3記載のロボット教示システム。
  5. 前記手首特異点制御手段は、前記特異点判定手段により前記多関節ロボットが前記手首特異点及びその近傍にあると判定されるとき、前記多関節ロボットが前記手首特異点及びその近傍で止まらずに通過するように補正を加える手首特異点回避補正手段と、前記手首特異点回避補正手段の補正に基づいて、前記多関節ロボットの複数の回転関節のそれぞれを回転駆動させて、前記多関節ロボットを駆動する手首特異点回避駆動制御手段とを有することを特徴とする請求項3記載のロボット教示システム。
  6. 請求項1乃至請求項5に記載のいずれか一つのロボット教示システムであって、前記教示デバイスが、前記多関節ロボットと移動可能な教示点との間の相対位置姿勢の計測をすることのできる複数のワイヤにより連結されたパラレルワイヤ機構を有するロボット装置であることを特徴とするロボット教示システム。
  7. 請求項1乃至請求項5に記載のいずれか一つのロボット教示システムであって、前記教示デバイスが、前記多関節ロボットと移動可能な教示点との間の相対位置姿勢の計測をすることのできる複数のリンクにより連結されたパラレルリンク機構を有するロボット装置であることを特徴とするロボット教示システム。
  8. 請求項1乃至請求項5に記載のいずれか一つのロボット教示システムであって、前記教示デバイスが、前記多関節ロボットと移動可能な教示点との間の相対位置姿勢の計測をすることのできる非接触センサーを持つ非接触センサー機構を有するロボット装置であることを特徴とするロボット教示システム。
JP2019075154A 2019-04-10 2019-04-10 ロボット教示システム Pending JP2020171989A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019075154A JP2020171989A (ja) 2019-04-10 2019-04-10 ロボット教示システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019075154A JP2020171989A (ja) 2019-04-10 2019-04-10 ロボット教示システム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2020171989A true JP2020171989A (ja) 2020-10-22

Family

ID=72830371

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019075154A Pending JP2020171989A (ja) 2019-04-10 2019-04-10 ロボット教示システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2020171989A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112621713A (zh) * 2020-11-30 2021-04-09 珠海格力电器股份有限公司 机器人示教器、控制器及其示教、控制方法、装置和介质
JP2021062445A (ja) * 2019-10-15 2021-04-22 ファナック株式会社 制御システム、制御装置、及びロボット
CN117817654A (zh) * 2023-11-23 2024-04-05 佛山科学技术学院 一种重载机器人运动规划方法
KR102694217B1 (ko) * 2023-08-22 2024-08-12 주식회사 주원테크놀러지 무선통신을 이용한 로컬 유닛 로봇의 선행 예측 모션 플래닝 방법 및 장치

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021062445A (ja) * 2019-10-15 2021-04-22 ファナック株式会社 制御システム、制御装置、及びロボット
JP7294980B2 (ja) 2019-10-15 2023-06-20 ファナック株式会社 制御システム、制御装置、及びロボット
US11806876B2 (en) 2019-10-15 2023-11-07 Fanuc Corporation Control system, control apparatus, and robot
CN112621713A (zh) * 2020-11-30 2021-04-09 珠海格力电器股份有限公司 机器人示教器、控制器及其示教、控制方法、装置和介质
KR102694217B1 (ko) * 2023-08-22 2024-08-12 주식회사 주원테크놀러지 무선통신을 이용한 로컬 유닛 로봇의 선행 예측 모션 플래닝 방법 및 장치
CN117817654A (zh) * 2023-11-23 2024-04-05 佛山科学技术学院 一种重载机器人运动规划方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2020171989A (ja) ロボット教示システム
US9764462B2 (en) Robot apparatus and robot controlling method
US6845295B2 (en) Method of controlling a robot through a singularity
JP4736607B2 (ja) ロボット制御装置
JP4976883B2 (ja) マニピュレータシステム
JP5565302B2 (ja) ロボットの制御装置及びロボットの姿勢補間方法
JP5790840B2 (ja) ロボットの制御装置及びロボットの姿勢補間方法
JP2013049102A (ja) ロボットの制御装置及びロボットの姿勢決定方法
KR20110041950A (ko) 여유자유도 제어를 이용한 로봇의 교시 및 재현 방법
US20130310973A1 (en) Method of controlling seven-axis articulated robot, control program, and robot control device
JPWO2002066210A1 (ja) ロボット制御装置
CN114952838B (zh) 一种基于末端测量反馈的机械臂关节轨迹规划方法
WO2017175340A1 (ja) 最適化装置及びそれを備えた垂直型多関節ロボット
CN113263496B (zh) 一种六自由度机械臂优化路径的方法和计算机设备
WO2021166842A1 (ja) バリ取り装置、及び制御システム
Cong Combination of two visual servoing techniques in contour following task
KR20160003774A (ko) 다관절 링크 기구의 역운동학 해법, 및 이 역운동학 해법을 이용한 교시 데이터 작성 장치
JP2013111684A (ja) ロボットアームの制御装置及び制御方法、ロボット、ロボットアームの制御プログラム、並びに、ロボットアームの制御用集積電子回路
JP2017127932A (ja) ロボット装置、ロボット制御方法、部品の製造方法、プログラム及び記録媒体
JPH0693209B2 (ja) ロボツトの円弧補間姿勢制御装置
JPH08155647A (ja) 溶接ロボットのウィービング制御装置
JPH11239988A (ja) 多関節ロボットのダイレクトティーチングにおける特異点回避方法
JP6429977B2 (ja) ロボット装置及びロボット制御方法
JPS62199383A (ja) ロボツトの制御方式
CN112654469A (zh) 机器人的直接示教装置及直接示教方法