JPH05125494A - フエライト系耐熱鋳鋼およびそれからなる排気系部品 - Google Patents
フエライト系耐熱鋳鋼およびそれからなる排気系部品Info
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- JPH05125494A JPH05125494A JP11413692A JP11413692A JPH05125494A JP H05125494 A JPH05125494 A JP H05125494A JP 11413692 A JP11413692 A JP 11413692A JP 11413692 A JP11413692 A JP 11413692A JP H05125494 A JPH05125494 A JP H05125494A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 フェライト系耐熱鋳鋼は、重量比率で、C:
0.15〜0.45%,Si:2.0%以下,Mn:
1.0%以下,Cr:17.0〜22.0%,W:1.
0〜3.0%,Nbおよび/またはV:0.01〜0.
45%,REM:0.01〜0.5%,残部:Feおよ
び不可避不純物からなる組成を有し、通常のα相のほか
にγ相から(α+炭化物)に変態したα’相を有すると
ともに、α’相の面積率{α’/(α+α’)}が20
〜80%である。このフェライト系耐熱鋳鋼は、自動車
用排気系部品に使用される。 【効果】 高温引張強度、耐熱疲労性、耐酸化性につい
て、従来の耐熱鋳鋼を上回る特性を示し、また、鋳造
性、加工性に優れているので、安価に製造することがで
る。この排気系部品は熱亀裂を生じることなく、極めて
優れた耐久性を示す。
0.15〜0.45%,Si:2.0%以下,Mn:
1.0%以下,Cr:17.0〜22.0%,W:1.
0〜3.0%,Nbおよび/またはV:0.01〜0.
45%,REM:0.01〜0.5%,残部:Feおよ
び不可避不純物からなる組成を有し、通常のα相のほか
にγ相から(α+炭化物)に変態したα’相を有すると
ともに、α’相の面積率{α’/(α+α’)}が20
〜80%である。このフェライト系耐熱鋳鋼は、自動車
用排気系部品に使用される。 【効果】 高温引張強度、耐熱疲労性、耐酸化性につい
て、従来の耐熱鋳鋼を上回る特性を示し、また、鋳造
性、加工性に優れているので、安価に製造することがで
る。この排気系部品は熱亀裂を生じることなく、極めて
優れた耐久性を示す。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車エンジンの排気
系部品などに適する耐熱鋳鋼に関し、特に熱疲労寿命、
耐酸化性といった耐久性に優れているとともに、鋳造
性、加工性に優れ安価なコストで製造可能な耐熱鋳鋼お
よびそれからなる排気系部品に関する。
系部品などに適する耐熱鋳鋼に関し、特に熱疲労寿命、
耐酸化性といった耐久性に優れているとともに、鋳造
性、加工性に優れ安価なコストで製造可能な耐熱鋳鋼お
よびそれからなる排気系部品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の耐熱鋳鉄、耐熱鋳鋼としては、例
えば表1に比較例として示すようなものがある。自動車
のエキゾーストマニフォールドやタービンハウジングな
どの排気系部品等においては、使用条件が高温過酷とな
ることから、表1に示すような高Si球状黒鉛鋳鉄、ニ
レジスト鋳鉄(Ni−Cr−Cu系オーステナイト鋳
鉄)等の耐熱鋳鉄や、特例的にはオーステナイト鋳鋼等
の高価な高合金耐熱鋳鋼が採用されている。
えば表1に比較例として示すようなものがある。自動車
のエキゾーストマニフォールドやタービンハウジングな
どの排気系部品等においては、使用条件が高温過酷とな
ることから、表1に示すような高Si球状黒鉛鋳鉄、ニ
レジスト鋳鉄(Ni−Cr−Cu系オーステナイト鋳
鉄)等の耐熱鋳鉄や、特例的にはオーステナイト鋳鋼等
の高価な高合金耐熱鋳鋼が採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の耐熱
鋳鉄、耐熱鋳鋼のうち、例えば高Si球状黒鉛鋳鉄やニ
レジスト鋳鉄は、比較的鋳造性が良好であるものの、耐
熱疲労性、あるいは耐酸化性といった耐久性が劣ること
から、900℃以上の高温となる部材には適用できな
い。また、オーステナイト系耐熱鋳鋼等の高合金耐熱鋳
鋼は、900℃以上での耐久性に優れているものの熱膨
張が大きいことに起因して熱疲労寿命が短いという欠点
を有する。また、鋳造性が悪いために、鋳造時にひけ巣
や湯廻り不良等の鋳造欠陥が発生しやすく、さらに機械
加工性が悪いために、それから部品等を製造する場合
に、生産性が低いという問題点もあった。なお、その他
にフェライト系ステンレス鋳鋼は、高温強度を改善しよ
うとすると、室温における延性に乏しくなり機械的衝撃
等の加わる部材には使用できないという問題がある。
鋳鉄、耐熱鋳鋼のうち、例えば高Si球状黒鉛鋳鉄やニ
レジスト鋳鉄は、比較的鋳造性が良好であるものの、耐
熱疲労性、あるいは耐酸化性といった耐久性が劣ること
から、900℃以上の高温となる部材には適用できな
い。また、オーステナイト系耐熱鋳鋼等の高合金耐熱鋳
鋼は、900℃以上での耐久性に優れているものの熱膨
張が大きいことに起因して熱疲労寿命が短いという欠点
を有する。また、鋳造性が悪いために、鋳造時にひけ巣
や湯廻り不良等の鋳造欠陥が発生しやすく、さらに機械
加工性が悪いために、それから部品等を製造する場合
に、生産性が低いという問題点もあった。なお、その他
にフェライト系ステンレス鋳鋼は、高温強度を改善しよ
うとすると、室温における延性に乏しくなり機械的衝撃
等の加わる部材には使用できないという問題がある。
【0004】従って、本発明は、上記従来の耐熱鋳鉄、
耐熱鋳鋼の問題点を解決し、耐熱疲労性、耐酸化性とい
った耐久性、更に室温の強度、延性、鋳造性、および加
工性に優れ、安価に製造可能な耐熱鋳鋼を提供すること
を目的とする。
耐熱鋳鋼の問題点を解決し、耐熱疲労性、耐酸化性とい
った耐久性、更に室温の強度、延性、鋳造性、および加
工性に優れ、安価に製造可能な耐熱鋳鋼を提供すること
を目的とする。
【0005】本発明のもう一つの目的は、かかる耐熱鋳
鋼からなる排気系部品を提供することを目的とする。
鋼からなる排気系部品を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者らは、W,Nbおよび/またはV,R
EM等を適量添加することにより、フェライト基地およ
び結晶粒界を強化し、室温のおける延性を損なわずに変
態点を上昇させ、高温強度を向上することができること
を見いだし本発明に想到した。
の結果、本発明者らは、W,Nbおよび/またはV,R
EM等を適量添加することにより、フェライト基地およ
び結晶粒界を強化し、室温のおける延性を損なわずに変
態点を上昇させ、高温強度を向上することができること
を見いだし本発明に想到した。
【0007】すなわち、本発明のフェライト系耐熱鋳鋼
は、重量比率で、 C : 0.15〜 0.45%, Si: 2.0 %以下, Mn: 1.0 %以下, Cr:17.0 〜22.0 %, W : 1.0 〜 3.0 %, Nbおよび/またはV:0.01〜0.45%, REM:0.01〜0.5 %, 残部:Feおよび不可避不純物 からなる組成を有し、通常のα相のほかにγ相からα+
炭化物に変態したα’相を有するとともに、α’相の面
積率{α’/(α+α’)}が20〜80%であること
を特徴とする。
は、重量比率で、 C : 0.15〜 0.45%, Si: 2.0 %以下, Mn: 1.0 %以下, Cr:17.0 〜22.0 %, W : 1.0 〜 3.0 %, Nbおよび/またはV:0.01〜0.45%, REM:0.01〜0.5 %, 残部:Feおよび不可避不純物 からなる組成を有し、通常のα相のほかにγ相からα+
炭化物に変態したα’相を有するとともに、α’相の面
積率{α’/(α+α’)}が20〜80%であること
を特徴とする。
【0008】本発明のフェライト系耐熱鋳鋼において、
α’相からγ相への変態点は1000℃以上である。
α’相からγ相への変態点は1000℃以上である。
【0009】さらに、本発明のフェライト系耐熱鋳鋼お
いて、残留歪の除去や加工上の必要性がある場合は、
α’相がγ相に変態しない温度域で焼鈍処理を行う。
いて、残留歪の除去や加工上の必要性がある場合は、
α’相がγ相に変態しない温度域で焼鈍処理を行う。
【0010】さらに、本発明のフェライト系耐熱鋳鋼か
らなる排気系部品は、上記組成を有する耐熱鋳鋼により
形成され、エキゾーストマニフォールド、タービンハウ
ジングであることを特徴とする。
らなる排気系部品は、上記組成を有する耐熱鋳鋼により
形成され、エキゾーストマニフォールド、タービンハウ
ジングであることを特徴とする。
【0011】
【作用】上述したように、フェライト系ステンレス材料
に、重量比率で、Wを1.0〜3.0%、Nbおよび/
またはVを0.01〜1.0%、REMを0.01〜
0.5%添加すると、α’相を含有する組織が得られ、
それにより、従来の高合金鋼を上回る耐熱疲労性および
耐酸化性を有し、室温における延性を損なうことなく耐
熱鋳鉄と同等の鋳造性、加工性を有し、かつ低価格な耐
熱鋳鋼が得られる。さらに変態点温度が1000℃以上
となるので、耐熱疲労性が向上する。
に、重量比率で、Wを1.0〜3.0%、Nbおよび/
またはVを0.01〜1.0%、REMを0.01〜
0.5%添加すると、α’相を含有する組織が得られ、
それにより、従来の高合金鋼を上回る耐熱疲労性および
耐酸化性を有し、室温における延性を損なうことなく耐
熱鋳鉄と同等の鋳造性、加工性を有し、かつ低価格な耐
熱鋳鋼が得られる。さらに変態点温度が1000℃以上
となるので、耐熱疲労性が向上する。
【0012】以下、本発明フェライト系耐熱鋳鋼の各合
金元素の組成範囲および組織範囲の限定理由について詳
細に説明する。
金元素の組成範囲および組織範囲の限定理由について詳
細に説明する。
【0013】(1) C(炭素):0.15〜0.45
% Cは溶湯の流動性すなわち鋳造性を良くするとともに、
α’相を適量生成する作用を有し、さらには900℃以
上の高温における強度を高く維持する働きがある。この
ような作用を有効に発揮するためには、Cは0.15%
以上必要である。なお、一般のフェライト系耐熱鋳鋼で
は室温でα相のみであるが、炭素量の調整により、高温
から常温まで存在するα相のほかに、高温ではCが固溶
したγ相ができる。このいγ相は冷却中に炭化物を析出
して(α相+炭化物)に変態する。このような相をα’
相と呼ぶ。
% Cは溶湯の流動性すなわち鋳造性を良くするとともに、
α’相を適量生成する作用を有し、さらには900℃以
上の高温における強度を高く維持する働きがある。この
ような作用を有効に発揮するためには、Cは0.15%
以上必要である。なお、一般のフェライト系耐熱鋳鋼で
は室温でα相のみであるが、炭素量の調整により、高温
から常温まで存在するα相のほかに、高温ではCが固溶
したγ相ができる。このいγ相は冷却中に炭化物を析出
して(α相+炭化物)に変態する。このような相をα’
相と呼ぶ。
【0014】一方、Cの含有量が0.45%を越えると
α’相が存在しにくくなって、マルテンサイト組織にな
り、また耐酸化性、耐蝕性および加工性の低下を引き起
こすCr炭化物の析出が顕著になる。このため、Cは
0.15〜0.45%とする。望ましくは、Cは、0.
20〜0.40%である。
α’相が存在しにくくなって、マルテンサイト組織にな
り、また耐酸化性、耐蝕性および加工性の低下を引き起
こすCr炭化物の析出が顕著になる。このため、Cは
0.15〜0.45%とする。望ましくは、Cは、0.
20〜0.40%である。
【0015】(2) Si(ケイ素):2.0%以下 Siは、本発明のFe−Cr系合金のγ相の範囲を狭
め、組織の安定性を増し、耐酸化性の改善効果もある。
さらに鋳造性の改善、脱酸剤としての作用、鋳物のピン
ホール欠陥の低減効果等もある。しかし多すぎると、C
とのバランス(炭素当量)により一次炭化物を粗大化
し、鋳鋼の加工性を低下したり、またフェライト基地組
織中のSi含有量が過多となって延性の低下を起こした
り、高温でのδ相を形成したりする。このためSiの含
有量は2.0%以下とする。望ましくは、Siは、0.
5〜1.5%である。
め、組織の安定性を増し、耐酸化性の改善効果もある。
さらに鋳造性の改善、脱酸剤としての作用、鋳物のピン
ホール欠陥の低減効果等もある。しかし多すぎると、C
とのバランス(炭素当量)により一次炭化物を粗大化
し、鋳鋼の加工性を低下したり、またフェライト基地組
織中のSi含有量が過多となって延性の低下を起こした
り、高温でのδ相を形成したりする。このためSiの含
有量は2.0%以下とする。望ましくは、Siは、0.
5〜1.5%である。
【0016】(3) Mn(マンガン):1.0%以下 Mnは、Siと同様に溶湯の脱酸剤として有効であり、
また鋳造時の湯流れ性を向上させて生産性を改善する。
しかし、多すぎると靱性を低下させるので、Mnの含有
量を1.0%以下とする。望ましくは、Mnは、0.4
〜0.7%である。
また鋳造時の湯流れ性を向上させて生産性を改善する。
しかし、多すぎると靱性を低下させるので、Mnの含有
量を1.0%以下とする。望ましくは、Mnは、0.4
〜0.7%である。
【0017】(4) Cr(クロム):17.0〜2
2.0% Crは耐酸化性を改善し、フェライト組織を安定にする
元素であるが、その効果を確実にするため17.0%以
上とする。一方、多量の添加はCrの一次炭化物を粗大
化させ、高温でのδ相形成を助長し、著しく脆化を起こ
す。そのため、Crの上限を22.0%以下とする。望
ましくは、Crは、18.0〜21.0%である。
2.0% Crは耐酸化性を改善し、フェライト組織を安定にする
元素であるが、その効果を確実にするため17.0%以
上とする。一方、多量の添加はCrの一次炭化物を粗大
化させ、高温でのδ相形成を助長し、著しく脆化を起こ
す。そのため、Crの上限を22.0%以下とする。望
ましくは、Crは、18.0〜21.0%である。
【0018】(5) W(タングステン):1.0〜
3.0% Wはフェライト基地を強化して、室温の延性を損なわず
高温強度を向上させる作用を持つ。従って、耐クリープ
性および変態点温度上昇による耐熱疲労性向上の目的
で、Wを1.0%以上とする。しかし、Wの含有量が
3.0%を越えると粗大な共晶炭化物が生成し、延性の
低下および機械加工性の悪化を引き起こすのだ3.0%
以下とする。望ましくは、Wは、1.2〜2.5%であ
る。
3.0% Wはフェライト基地を強化して、室温の延性を損なわず
高温強度を向上させる作用を持つ。従って、耐クリープ
性および変態点温度上昇による耐熱疲労性向上の目的
で、Wを1.0%以上とする。しかし、Wの含有量が
3.0%を越えると粗大な共晶炭化物が生成し、延性の
低下および機械加工性の悪化を引き起こすのだ3.0%
以下とする。望ましくは、Wは、1.2〜2.5%であ
る。
【0019】なお、Wとほぼ同様の効果は、Moを添加
しても得られるが(ただし、Moは原子比でWの2倍で
あるので、重量比率では添加量が1/2となる)、Wの
方がMoより融点が高く、高温での拡散速度が遅く、高
温特に900℃の高温強度に大きく寄与すること、また
耐酸化性が優れるので、本発明ではMoを含有せず、W
のみを含有する。
しても得られるが(ただし、Moは原子比でWの2倍で
あるので、重量比率では添加量が1/2となる)、Wの
方がMoより融点が高く、高温での拡散速度が遅く、高
温特に900℃の高温強度に大きく寄与すること、また
耐酸化性が優れるので、本発明ではMoを含有せず、W
のみを含有する。
【0020】(6) Nb(ニオブ)および/またはV
(バナジウム):0.01〜0.45% NbおよびVは、Cと結合して微細な炭化物を形成し、
高温での引張強さならびに耐熱疲労性を増大させる。ま
た、Crの炭化物の生成を抑制することによって耐酸化
性と切削性を向上させる。このような目的で、Nbおよ
び/またはVの含有量は0.01%以上とする。しか
し、多量に添加すると、結晶粒界に炭化物を形成し、ま
たNbおよびVの炭化物を生成することによりCが消費
され、α’相が形成されにくくなり、強度と延性が著し
く低下する。このため、Nbおよび/またはVの含有量
は0.45%以下とする。望ましくは、Nbおよび/ま
たはVの含有量は、0.02〜0.40%である。
(バナジウム):0.01〜0.45% NbおよびVは、Cと結合して微細な炭化物を形成し、
高温での引張強さならびに耐熱疲労性を増大させる。ま
た、Crの炭化物の生成を抑制することによって耐酸化
性と切削性を向上させる。このような目的で、Nbおよ
び/またはVの含有量は0.01%以上とする。しか
し、多量に添加すると、結晶粒界に炭化物を形成し、ま
たNbおよびVの炭化物を生成することによりCが消費
され、α’相が形成されにくくなり、強度と延性が著し
く低下する。このため、Nbおよび/またはVの含有量
は0.45%以下とする。望ましくは、Nbおよび/ま
たはVの含有量は、0.02〜0.40%である。
【0021】なお、NbとVでは炭化物を形成する温度
域が異なるので、広い温度域にわたり析出強化(硬化)
作用が期待できる。従って、どちらか一方の単独含有の
みならず、複合添加により大きな効果が期待できる。
域が異なるので、広い温度域にわたり析出強化(硬化)
作用が期待できる。従って、どちらか一方の単独含有の
みならず、複合添加により大きな効果が期待できる。
【0022】(7) REM(希土類金属):0.01
〜0.5% REMとは、Ce(セリウム)、La(ランタン)等を
主とした軽希土類元素であり、安定な酸化物を形成し、
耐酸化性を改善し、また結晶粒界を微細にする作用があ
る。さらに、非金属介在物を球状化し、室温延性を向上
する。このような作用を有効にするため、REMを0.
01%以上添加する。一方、多量に添加すると、非金属
介在物となって特に延性に対して有害である。そのた
め、REMの上限を0.5%とする。なお、REM添加
はα’相の量や変態点には影響を及ぼさない。望ましく
は、REMは、0.05〜0.3%である。
〜0.5% REMとは、Ce(セリウム)、La(ランタン)等を
主とした軽希土類元素であり、安定な酸化物を形成し、
耐酸化性を改善し、また結晶粒界を微細にする作用があ
る。さらに、非金属介在物を球状化し、室温延性を向上
する。このような作用を有効にするため、REMを0.
01%以上添加する。一方、多量に添加すると、非金属
介在物となって特に延性に対して有害である。そのた
め、REMの上限を0.5%とする。なお、REM添加
はα’相の量や変態点には影響を及ぼさない。望ましく
は、REMは、0.05〜0.3%である。
【0023】以上を要約すると。本発明のフェライト系
耐熱鋳鋼の組成は以下の通りである。本発明の組成は、
重量比率で、 C : 0.15〜 0.45%, Si: 2.0 %以下, Mn: 1.0 %以下, Cr:17.0 〜22.0 %, W : 1.0 〜 3.0 %, Nbおよび/またはV:0.01〜0.45%, REM:0.01〜0.5 %, 残部:Feおよび不可避不純物からなる。
耐熱鋳鋼の組成は以下の通りである。本発明の組成は、
重量比率で、 C : 0.15〜 0.45%, Si: 2.0 %以下, Mn: 1.0 %以下, Cr:17.0 〜22.0 %, W : 1.0 〜 3.0 %, Nbおよび/またはV:0.01〜0.45%, REM:0.01〜0.5 %, 残部:Feおよび不可避不純物からなる。
【0024】そして、本発明の好ましい組成範囲は、 C : 0.20〜 0.40 %, Si: 0.5 〜1.5 %, Mn: 0.4 〜 0.7 %, Cr:18.0 〜21.0 %, W : 1.2 〜 2.5 %, Nbおよび/またはV:0.02〜0.4%, REM:0.05〜0.3 %, 残部:Feおよび不可避不純物からなる。
【0025】上記組成を有する本発明のフェライト系耐
熱鋳鋼は、通常のα相のほかにγからα+炭化物に変態
したα’相を有する。なお通常のα相とは、δ(デル
タ)フェライトを意味する。また、析出した炭化物は、
Fe,Cr,W,Nb等の炭化物(M23C6 ,M7C3,
MC等)である。
熱鋳鋼は、通常のα相のほかにγからα+炭化物に変態
したα’相を有する。なお通常のα相とは、δ(デル
タ)フェライトを意味する。また、析出した炭化物は、
Fe,Cr,W,Nb等の炭化物(M23C6 ,M7C3,
MC等)である。
【0026】このα’相の面積率{α’/(α+
α’)}が20%未満では、室温における延性が低く、
極めて脆い。一方、80%を越えると硬くなりすぎ、室
温の延性が低下するとともに、機械加工性が著しく悪く
なる。そのため面積率{α’/(α+α’)}は20〜
80%とする。
α’)}が20%未満では、室温における延性が低く、
極めて脆い。一方、80%を越えると硬くなりすぎ、室
温の延性が低下するとともに、機械加工性が著しく悪く
なる。そのため面積率{α’/(α+α’)}は20〜
80%とする。
【0027】また、フェライト系耐熱鋳鋼に対して、残
留歪の除去や加工上の必要がある場合、鋳造後にα’相
がγ相に変態しない温度域で焼鈍処理を施す。このとき
の焼鈍処理の温度は、一般に700〜850℃であり、
焼鈍時間は1〜10時間である。
留歪の除去や加工上の必要がある場合、鋳造後にα’相
がγ相に変態しない温度域で焼鈍処理を施す。このとき
の焼鈍処理の温度は、一般に700〜850℃であり、
焼鈍時間は1〜10時間である。
【0028】なお、使用温度域にα’相からγ相に変態
点が存在すると、加熱−冷却のサイクルを受けて発生す
る熱応力が増大し、熱疲労寿命が短くなる。そのため、
900℃以上の変態点を有する必要がある。このように
高い変態点を有するためには、フェライト生成元素であ
るCr,Si,W,V,Nbとオーステナイト生成元素
であるC,Mnのバランスが適正であることが必要であ
る。そして、本発明のフェライト系耐熱鋳鋼における変
態点は、1000℃以上である。
点が存在すると、加熱−冷却のサイクルを受けて発生す
る熱応力が増大し、熱疲労寿命が短くなる。そのため、
900℃以上の変態点を有する必要がある。このように
高い変態点を有するためには、フェライト生成元素であ
るCr,Si,W,V,Nbとオーステナイト生成元素
であるC,Mnのバランスが適正であることが必要であ
る。そして、本発明のフェライト系耐熱鋳鋼における変
態点は、1000℃以上である。
【0029】このような本発明のフェライト系耐熱鋳鋼
は、特に自動車の排気系部品を製造するのに適してい
る。自動車の排気系部品として、過給機付き直列4気筒
エンジンに取り付けられた一体構造型エキゾーストマニ
フォールドを図1に示す。エキゾーストマニフォールド
1はターボチャージャのタービンハウジング2に結合し
ており、またタービンハウジング2には、エキゾースト
アウトレットパイプ3を介して、排気ガス浄化用触媒コ
ンバータ容器4が接続している。さらにコンバータ容器
4にはメインキャタライザ5が接続している。メインキ
ャタライザ5の出口はマフラー(D)に連通している。
一方、タービンハウジング2は、インテークマニフォー
ルド(B)に連通しており、かつ(C)より吸気される
ようになっている。なお排気ガスは、(A)よりエキゾ
ーストマニフォールド1に流入する。
は、特に自動車の排気系部品を製造するのに適してい
る。自動車の排気系部品として、過給機付き直列4気筒
エンジンに取り付けられた一体構造型エキゾーストマニ
フォールドを図1に示す。エキゾーストマニフォールド
1はターボチャージャのタービンハウジング2に結合し
ており、またタービンハウジング2には、エキゾースト
アウトレットパイプ3を介して、排気ガス浄化用触媒コ
ンバータ容器4が接続している。さらにコンバータ容器
4にはメインキャタライザ5が接続している。メインキ
ャタライザ5の出口はマフラー(D)に連通している。
一方、タービンハウジング2は、インテークマニフォー
ルド(B)に連通しており、かつ(C)より吸気される
ようになっている。なお排気ガスは、(A)よりエキゾ
ーストマニフォールド1に流入する。
【0030】このようなエキゾーストマニフォールド1
やタービンハウジング2は、熱容量を小さくするため
に、できるだけ薄肉にするのが好ましい。エキゾースト
マニフォールド1およびタービンハウジング2の肉厚
は、例えば、それぞれ2.5〜3.4mm、2.7〜
4.1mmである。
やタービンハウジング2は、熱容量を小さくするため
に、できるだけ薄肉にするのが好ましい。エキゾースト
マニフォールド1およびタービンハウジング2の肉厚
は、例えば、それぞれ2.5〜3.4mm、2.7〜
4.1mmである。
【0031】このような薄肉のフェライト系耐熱鋳鋼か
らなるエキゾーストマニフォールド1やタービンハウジ
ング2は、加熱−冷却の熱サイクルを受けても、亀裂が
生じることがなく、優れた耐久性を有する。
らなるエキゾーストマニフォールド1やタービンハウジ
ング2は、加熱−冷却の熱サイクルを受けても、亀裂が
生じることがなく、優れた耐久性を有する。
【0032】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。
る。
【0033】実施例1〜10、比較例1〜5 表1に示す種類のフェライト系耐熱鋳鋼について、鋳造
によりJIS規格のY形B号供試材を作製した。なお、
鋳造にあたっては、100kg用高周波炉を用いて大気
溶解し、直ちに1550℃以上で出湯して約1500℃
で注湯した。
によりJIS規格のY形B号供試材を作製した。なお、
鋳造にあたっては、100kg用高周波炉を用いて大気
溶解し、直ちに1550℃以上で出湯して約1500℃
で注湯した。
【0034】実施例1〜10のフェライト系耐熱鋳鋼に
ついては、鋳造時の湯流れが良く、鋳造欠陥の発生が見
られなかった。次に鋳造した実施例1〜10供試材(Y
ブロック)を加熱炉中にて800℃で2時間保持後空冷
する熱処理を行った。一方、従来材(比較例1〜5)に
ついては全て鋳放しのまま試験に供した。
ついては、鋳造時の湯流れが良く、鋳造欠陥の発生が見
られなかった。次に鋳造した実施例1〜10供試材(Y
ブロック)を加熱炉中にて800℃で2時間保持後空冷
する熱処理を行った。一方、従来材(比較例1〜5)に
ついては全て鋳放しのまま試験に供した。
【0035】なお、表1において、従来材(比較例1〜
5)はいずれも自動車のターボチャージャー用ハウジン
グやエキゾーストマニフォールド等の耐熱部品に使用さ
れているもので、比較例1の供試材は高Si球状黒鉛鋳
鉄であり、比較例2の供試材はニレジスト鋳鉄であり、
比較例3の供試材はACI(Alloy Castin
g Institute)規格のCB−30であり、ま
た比較例4の供試材はオーステナイト系耐熱鋳鋼(JI
S規格SCH12相当)と称されるものの一種であり、
さらに比較例5の供試材は、特開平2−175841号
公報に示されるフェライト系耐熱鋳鋼である。
5)はいずれも自動車のターボチャージャー用ハウジン
グやエキゾーストマニフォールド等の耐熱部品に使用さ
れているもので、比較例1の供試材は高Si球状黒鉛鋳
鉄であり、比較例2の供試材はニレジスト鋳鉄であり、
比較例3の供試材はACI(Alloy Castin
g Institute)規格のCB−30であり、ま
た比較例4の供試材はオーステナイト系耐熱鋳鋼(JI
S規格SCH12相当)と称されるものの一種であり、
さらに比較例5の供試材は、特開平2−175841号
公報に示されるフェライト系耐熱鋳鋼である。
【0036】表1に示す通り、本発明材である実施例1
〜10は、変態点温度が1000℃以上あり、比較例1
および3に従来して高いことがわかる。
〜10は、変態点温度が1000℃以上あり、比較例1
および3に従来して高いことがわかる。
【0037】次に、各供試材を用いて、以下に述べる各
種の評価試験を行った。 (1) 室温引張試験 標点間距離が50mm、標点間の直径が14mmの丸棒
試験片(JIS4号試験片)を用いて行った。
種の評価試験を行った。 (1) 室温引張試験 標点間距離が50mm、標点間の直径が14mmの丸棒
試験片(JIS4号試験片)を用いて行った。
【0038】(2) 高温引張試験 標点間距離が50mm、標点間の直径が10mmのつば
つき試験片を用いて、900℃で行った。
つき試験片を用いて、900℃で行った。
【0039】(3) 熱疲労試験 標点間距離が20mm、標点間の直径が10mmの丸棒
試験片を用い、加熱−冷却による伸び縮みを完全に拘束
した状態で、下記の条件で、加熱−冷却サイクルを繰り
返し、熱疲労破壊を起こさせた。 下限温度:150℃ 上限温度:900℃および1000℃ 各サイクル:12分 なお、試験機として、電気−油圧サーボ方式の熱疲労試
験機を用いた。
試験片を用い、加熱−冷却による伸び縮みを完全に拘束
した状態で、下記の条件で、加熱−冷却サイクルを繰り
返し、熱疲労破壊を起こさせた。 下限温度:150℃ 上限温度:900℃および1000℃ 各サイクル:12分 なお、試験機として、電気−油圧サーボ方式の熱疲労試
験機を用いた。
【0040】(4) 酸化試験 直径10mm、長さ20mmの丸棒試験片を作製し、9
00℃において200時間の大気中に保持し、取り出し
後にショットブラスト処理を施して酸化スケールを除去
し、酸化試験前後の単位面積当たりの重量変化(酸化減
量;mg/cm2 )を求めることにより、耐酸化性を評
価した。
00℃において200時間の大気中に保持し、取り出し
後にショットブラスト処理を施して酸化スケールを除去
し、酸化試験前後の単位面積当たりの重量変化(酸化減
量;mg/cm2 )を求めることにより、耐酸化性を評
価した。
【0041】以上の室温引張試験結果を表2に、900
℃および1000℃それぞれにおいての高温引張試験、
熱疲労試験および酸化試験の結果を表3および表4に示
す。
℃および1000℃それぞれにおいての高温引張試験、
熱疲労試験および酸化試験の結果を表3および表4に示
す。
【0042】
【表1】 化学成分(重量%) 実施例 C Si Mn Cr W Nb V REM Ni No.1 0.15 0.82 0.44 18.6 1.52 0.05 - 0.03 ー 2 0.21 1.44 0.51 20.8 2.32 - 0.22 0.15 - 3 0.31 1.02 0.66 21.6 2.52 0.4 0.03 0.08 - 4 0.41 1.14 0.58 18.3 2.85 0.11 0.16 0.17 - 5 0.33 1.82 0.95 21.8 2.04 0.25 0.03 0.15 - 6 0.20 1.05 0.42 18.5 1.06 0.10 0.05 0.1 - 7 0.30 0.88 0.63 20.6 2.45 0.38 0.13 0.04 - 8 0.41 0.80 0.49 21.5 2.25 0.05 0.20 0.08 - 9 0.30 0.95 0.58 20.5 2.09 0.05 0.05 0.09 - 10 0.14 0.89 0.43 20.7 2.49 0.25 0.21 0.42 - 比較例 No.1 3.33 4.04 0.35 - - - - - 0.62* 2 2.01 4.82 0.45 1.91 - - - - 35.3 3 0.28 1.05 0.44 17.9 - - - - - 4 0.21 1.24 0.50 18.8 - - - - 9.1 5 0.12 1.05 0.48 18.1 - 1.12 - - - (注) *:Mo 表1(続き) α’/(α+α’) 変態点 実施例 (%) (℃) No.1 55 1010 2 68 1040 3 58 1070 4 72 1010 5 48 >1100 6 78 1040 7 60 >1100 8 68 1020 9 70 >1100 10 38 >1100 比較例 No.1 - 800〜850 2 - - 3 93 910 4 - - 5 0 >1100
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】 900℃ 0.2% 引張 熱疲労 酸化 耐力 強さ 伸び 寿命 減量 実施例 (MPa) (MPa) (%) (サイクル) (mg/cm2) No. 1 22 36 55 185 2 2 24 42 50 200 2 3 26 41 42 230 1 4 28 45 48 350 2 5 25 38 55 340 1 6 29 44 50 450 2 7 22 40 70 390 2 8 30 45 38 490 1 9 26 44 50 330 1 10 21 40 58 295 2 比較例 No. 1 20 40 33 9 200 2 40 90 44 23 20 3 25 42 58 18 1 4 65 128 31 35 2 5 15 28 93 185 2
【0045】
【表4】 1000℃ 0.2% 引張 熱疲労 酸化 耐力 強さ 伸び 寿命 減量 実施例 (MPa) (MPa) (%) (サイクル) (mg/cm2) No. 1 15 25 84 90 29 2 16 25 88 180 10 3 18 28 96 200 13 4 17 28 96 300 11 5 14 25 120 235 22 6 19 30 115 340 33 7 16 24 84 250 13 8 19 30 92 355 18 9 16 24 76 260 15 10 14 26 84 210 9
【0046】表2、表3および表4から明らかなよう
に、本発明による実施例1〜10は、従来材である比較
例1〜5の供試材と比較して、高温強度、耐酸化性およ
び熱疲労寿命が著しく改善されていることがわかる。こ
れは、適量のW,Nbおよび/またはV,REMを含有
することにより、フェライト基地が強化され、室温の延
性を損なわずに変態点が1000℃以上に上昇したため
である。0.2%耐力、引張強さ、伸び、熱疲労寿命お
よび酸化減量等の材料特性を各々単独で比較すると、従
来材のなかに本発明材より優れるものがあるが、総合的
にみると本発明材は、諸性質のバランスが良好で、排気
系部品材料として極めて優れている。
に、本発明による実施例1〜10は、従来材である比較
例1〜5の供試材と比較して、高温強度、耐酸化性およ
び熱疲労寿命が著しく改善されていることがわかる。こ
れは、適量のW,Nbおよび/またはV,REMを含有
することにより、フェライト基地が強化され、室温の延
性を損なわずに変態点が1000℃以上に上昇したため
である。0.2%耐力、引張強さ、伸び、熱疲労寿命お
よび酸化減量等の材料特性を各々単独で比較すると、従
来材のなかに本発明材より優れるものがあるが、総合的
にみると本発明材は、諸性質のバランスが良好で、排気
系部品材料として極めて優れている。
【0047】また、表2に示す通り、本発明材(実施例
1〜10)は硬さ(HB)が170〜201と比較的低
く、機械加工性にも優れていることがわかる。
1〜10)は硬さ(HB)が170〜201と比較的低
く、機械加工性にも優れていることがわかる。
【0048】なお、実施例7の耐熱鋳鋼について、顕微
鏡写真(100倍)を図2に示す。図2の白色部はδ−
フェライトと呼ばれる通常のα相で、ふちどりの内部の
やや黒色部はγ相から変態したα’相で、α’の面積率
{α’/(α+α’)}は60%である。
鏡写真(100倍)を図2に示す。図2の白色部はδ−
フェライトと呼ばれる通常のα相で、ふちどりの内部の
やや黒色部はγ相から変態したα’相で、α’の面積率
{α’/(α+α’)}は60%である。
【0049】また、比較例5の耐熱材料の顕微鏡写真
(100倍)を図3に示す。図3の白色部はδ−フェラ
イトと呼ばれる通常のα相で、粒界にNbの炭化物のN
bCが観察される。比較例5のα’相の面積率は0%で
ある。
(100倍)を図3に示す。図3の白色部はδ−フェラ
イトと呼ばれる通常のα相で、粒界にNbの炭化物のN
bCが観察される。比較例5のα’相の面積率は0%で
ある。
【0050】次に、実施例7のフェライト系耐熱鋳鋼を
用いて、図1に示すエキゾーストマニフォールド(肉
厚:2.5〜3.4mm)およびタービンハウジング
(肉厚:2.7〜4.1mm)を鋳造した。得られた耐
熱鋳鋼部品はいずれも健全なものであった。
用いて、図1に示すエキゾーストマニフォールド(肉
厚:2.5〜3.4mm)およびタービンハウジング
(肉厚:2.7〜4.1mm)を鋳造した。得られた耐
熱鋳鋼部品はいずれも健全なものであった。
【0051】更に、これらの鋳鋼部品に機械加工を施し
て、切削性の評価を行ったが、いずれのものにも何等問
題は生じなかった。
て、切削性の評価を行ったが、いずれのものにも何等問
題は生じなかった。
【0052】次に、図1に示すように、エキゾーストマ
ニホールドとタービンハウジングを組み付けた直列4気
筒で排気量2000ccの高性能ガソリンエンジン相当
の排気ガスを発する排気シミュレータにより、耐久試験
を実施した。試験条件として、6000回転相当での全
負荷運転(連続14分)−アイドリング(1分)−完全
停止(14分)−アイドリング(1分)を1サイクルと
する熱冷(GO−STOP)サイクルを、500サイク
ルまで実施した。全負荷時の排気ガス温度は、タービン
ハウジングの入口温度で、930℃であった。この条件
下でのエキゾーストマニホールドの表面温度は、エキゾ
ーストマニホールドの集合部で、約870℃、タービン
ハウジングの表面温度は、ウエストゲート部で約890
℃であった。評価試験の結果、熱変形によるガスの漏洩
や熱亀裂は生じず、優れた耐久性および信頼性を有する
ことが確認された。
ニホールドとタービンハウジングを組み付けた直列4気
筒で排気量2000ccの高性能ガソリンエンジン相当
の排気ガスを発する排気シミュレータにより、耐久試験
を実施した。試験条件として、6000回転相当での全
負荷運転(連続14分)−アイドリング(1分)−完全
停止(14分)−アイドリング(1分)を1サイクルと
する熱冷(GO−STOP)サイクルを、500サイク
ルまで実施した。全負荷時の排気ガス温度は、タービン
ハウジングの入口温度で、930℃であった。この条件
下でのエキゾーストマニホールドの表面温度は、エキゾ
ーストマニホールドの集合部で、約870℃、タービン
ハウジングの表面温度は、ウエストゲート部で約890
℃であった。評価試験の結果、熱変形によるガスの漏洩
や熱亀裂は生じず、優れた耐久性および信頼性を有する
ことが確認された。
【0053】一方、表5に示す化学成分の高Si球状黒
鉛鋳鉄によりエキゾーストマニフォールドを作製し、ま
た同表の化学成分のNI−RESIST D2(INC
O社の商標)なるオーステナイト系球状黒鉛鋳鉄により
タービンハウジングを作製した。この結果、高Si球状
黒鉛鋳鉄製エキゾーストマニフォールドは、98サイク
ルで集合部近傍に酸化による熱亀裂が生じ、使用不能と
なった。その後、エキゾーストマニフォールドを実施例
7のものに取り替え、試験を続行したところ、324サ
イクル目にオーステナイト系球状黒鉛鋳鉄のタービンハ
ウジングのスクロール部に肉厚を貫通する亀裂が生じ
た。以上の結果、本発明品であるエキゾーストマニフォ
ールドおよびタービンハウジングは、優れた耐久性を有
していることが明らかとなった。
鉛鋳鉄によりエキゾーストマニフォールドを作製し、ま
た同表の化学成分のNI−RESIST D2(INC
O社の商標)なるオーステナイト系球状黒鉛鋳鉄により
タービンハウジングを作製した。この結果、高Si球状
黒鉛鋳鉄製エキゾーストマニフォールドは、98サイク
ルで集合部近傍に酸化による熱亀裂が生じ、使用不能と
なった。その後、エキゾーストマニフォールドを実施例
7のものに取り替え、試験を続行したところ、324サ
イクル目にオーステナイト系球状黒鉛鋳鉄のタービンハ
ウジングのスクロール部に肉厚を貫通する亀裂が生じ
た。以上の結果、本発明品であるエキゾーストマニフォ
ールドおよびタービンハウジングは、優れた耐久性を有
していることが明らかとなった。
【0054】
【表5】 材種 C Si Mn P S Cr Ni Mo Mg 高Si 球状黒鉛鋳鉄 3.15 3.95 0.47 0.024 0.008 0.03 - 0.55 0.048オーステナイト 系 球状黒鉛鋳鉄 2.91 2.61 0.81 0.018 0.010 2.57 21.5 - 0.084
【0055】
【発明の効果】以上の説明の通り、本発明によれば、特
にW,Nbおよび/またはV,REMを適量添加するこ
とにより、それぞれフェライト基地および結晶粒界を強
化し、室温の延性を損なわずに変態点を上昇させ、特に
重要な高温引張強度、耐熱疲労性、耐酸化性について、
従来の耐熱鋳鋼を上回る特性を示す。また、鋳造性、加
工性に優れているので、安価に製造することがでる。こ
のような本発明のフェライト系耐熱鋳鋼は、エンジン排
気系部品に特に好適である。本発明のフェライト系耐熱
鋳鋼からなる排気系部品は熱亀裂を生じることなく、極
めて優れた耐久性を示す。
にW,Nbおよび/またはV,REMを適量添加するこ
とにより、それぞれフェライト基地および結晶粒界を強
化し、室温の延性を損なわずに変態点を上昇させ、特に
重要な高温引張強度、耐熱疲労性、耐酸化性について、
従来の耐熱鋳鋼を上回る特性を示す。また、鋳造性、加
工性に優れているので、安価に製造することがでる。こ
のような本発明のフェライト系耐熱鋳鋼は、エンジン排
気系部品に特に好適である。本発明のフェライト系耐熱
鋳鋼からなる排気系部品は熱亀裂を生じることなく、極
めて優れた耐久性を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフェライト系耐熱鋳鋼により作製し得
るエキゾーストマニフォールドおよびタービンハウジン
グを示す概略図である。
るエキゾーストマニフォールドおよびタービンハウジン
グを示す概略図である。
【図2】実施例7のフェライト系耐熱鋳鋼の金属組織を
示す顕微鏡写真(100倍)である。
示す顕微鏡写真(100倍)である。
【図3】比較例5の耐熱材料の金属組織を示す顕微鏡写
真(100倍)である。
真(100倍)である。
1 エキゾーストマニフォールド 2 タービンハウジング 3 エキゾーストアウトレット 4 コンバータ容器 5 メインキャタライザ
Claims (6)
- 【請求項1】 重量比率で、 C : 0.15〜 0.45%, Si: 2.0 %以下, Mn: 1.0 %以下, Cr:17.0 〜22.0 %, W : 1.0 〜 3.0 %, Nbおよび/またはV:0.01〜0.45%, REM:0.01〜0.5 %, 残部:Feおよび不可避不純物 からなる組成を有し、通常のα相のほかにγ相からα+
炭化物に変態した相(以下α’相という)を有するとと
もに、α’相の面積率{α’/(α+α’)}が20〜
80%であることを特徴とするフェライト系耐熱鋳鋼。 - 【請求項2】 請求項1記載のフェライト系耐熱鋳鋼に
おいて、α’相からγ相への変態点が1000℃以上で
あることを特徴とするフェライト系耐熱鋳鋼。 - 【請求項3】 請求項1および2記載のフェライト系耐
熱鋳鋼において、残留歪の除去や加工上の必要性がある
場合、α’相がγ相に変態しない温度域で焼鈍処理を施
すことを特徴とするフェライト系耐熱鋳鋼。 - 【請求項4】 請求項1乃至3いずれかに記載のフェラ
イト系耐熱鋳鋼からなる排気系部品。 - 【請求項5】 請求項4記載の排気系部品において、エ
キゾーストマニフォールドであることを特徴とする排気
系部品。 - 【請求項6】 請求項4記載の排気系部品において、タ
ービンハウジングであることを特徴とする排気系部品。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11413692A JPH05125494A (ja) | 1991-08-21 | 1992-04-07 | フエライト系耐熱鋳鋼およびそれからなる排気系部品 |
EP92114225A EP0530604B1 (en) | 1991-08-21 | 1992-08-20 | Heat-resistant, ferritic cast steel, and exhaust equipment member made thereof |
US07/932,574 US5259887A (en) | 1991-08-21 | 1992-08-20 | Heat-resistant, ferritic cast steel, exhaust equipment member made thereof |
DE69216176T DE69216176T2 (de) | 1991-08-21 | 1992-08-20 | Hitzebeständiger ferritischer Gussstahl und daraus hergestellte Bauteile einer Abgasanlage |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3-234129 | 1991-08-21 | ||
JP23412991 | 1991-08-21 | ||
JP11413692A JPH05125494A (ja) | 1991-08-21 | 1992-04-07 | フエライト系耐熱鋳鋼およびそれからなる排気系部品 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05125494A true JPH05125494A (ja) | 1993-05-21 |
Family
ID=26452966
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11413692A Pending JPH05125494A (ja) | 1991-08-21 | 1992-04-07 | フエライト系耐熱鋳鋼およびそれからなる排気系部品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05125494A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007254885A (ja) * | 2006-02-23 | 2007-10-04 | Daido Steel Co Ltd | 薄肉鋳物部品及びその製造方法 |
-
1992
- 1992-04-07 JP JP11413692A patent/JPH05125494A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007254885A (ja) * | 2006-02-23 | 2007-10-04 | Daido Steel Co Ltd | 薄肉鋳物部品及びその製造方法 |
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