JPH05125403A - 金属粉末射出成形用組成物 - Google Patents
金属粉末射出成形用組成物Info
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- JPH05125403A JPH05125403A JP31400491A JP31400491A JPH05125403A JP H05125403 A JPH05125403 A JP H05125403A JP 31400491 A JP31400491 A JP 31400491A JP 31400491 A JP31400491 A JP 31400491A JP H05125403 A JPH05125403 A JP H05125403A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 スチレン−ブタジエン共重合体からなる骨格
構造に官能基としてイミニウムイオンを持つ分散剤を、
バインダ−と焼結用粉末との合計量に対して1〜10容
量%を含み、かつ、軟化点が50〜90℃のワックス類
と、メルトフロ−レ−トが100〜300g/10分の
熱可塑性樹脂とからなり、当該焼結用粉末の合計量が全
体の35〜70容量%からなる金属粉末射出成形用組成
物。 【効果】 金属粉末射出成形法による最終焼結製品を、
高い寸法精度で、かつ欠陥のない状態で製造することが
できる。
構造に官能基としてイミニウムイオンを持つ分散剤を、
バインダ−と焼結用粉末との合計量に対して1〜10容
量%を含み、かつ、軟化点が50〜90℃のワックス類
と、メルトフロ−レ−トが100〜300g/10分の
熱可塑性樹脂とからなり、当該焼結用粉末の合計量が全
体の35〜70容量%からなる金属粉末射出成形用組成
物。 【効果】 金属粉末射出成形法による最終焼結製品を、
高い寸法精度で、かつ欠陥のない状態で製造することが
できる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属粉末射出成形用組
成物に関し、より具体的には、金属粉末を射出成形後、
焼結して複雑な形状の精密機械部品を生産する際に用い
られる金属粉末射出成形用組成物に関するものである。
なお、適用できる金属は特に限定するものではないが、
例えば鉄系、ニッケル系、銅系等の単体金属および合金
の粉末があげられる。
成物に関し、より具体的には、金属粉末を射出成形後、
焼結して複雑な形状の精密機械部品を生産する際に用い
られる金属粉末射出成形用組成物に関するものである。
なお、適用できる金属は特に限定するものではないが、
例えば鉄系、ニッケル系、銅系等の単体金属および合金
の粉末があげられる。
【0002】
【従来の技術】従来、粉末冶金法によって製造される焼
結製品は、成形用組成物としての金属粉末あるいはセラ
ミックス粉末を単にプレス成形後焼結する方法によって
製造されていた。しかし、この方法では3次元的に複雑
な形状を有する製品、ナイフエッジ部等の薄肉部を有す
る製品は製造が困難であった。このような困難を解決す
る製造法としては、例えば特開昭57−16103号公
報、特開昭57−26105号公報に開示されている方
法がある。これらの方法を概略的にのべると、金属粉末
とバインダ−からなる射出成形用組成物を所定形状の金
型に射出成形し、得られた成形体を加熱して脱バインダ
−処理した後に焼結処理を施して金属の焼結製品を製造
する方法である。通常、金属粉末とバインダ−とを混合
して作成する射出成形用組成物に要求される特性として
均一に金属粉末が分散した組成物であること、金属
粉末と熱可塑性樹脂が成形工程中に分離しないこと、等
が重要な特性である。この条件を満たさない場合は、脱
バインダ−時あるいは焼結時に不均一分散に起因する変
形、膨れ、陥没、クラック等の種々の欠陥が発生する。
しかしながら、前記公報に開示された金属粉末射出成形
用組成物は特に金属の分散性において充分でなく、脱バ
インダ−処理時、焼結時等に変形等の欠陥を生じやす
い。
結製品は、成形用組成物としての金属粉末あるいはセラ
ミックス粉末を単にプレス成形後焼結する方法によって
製造されていた。しかし、この方法では3次元的に複雑
な形状を有する製品、ナイフエッジ部等の薄肉部を有す
る製品は製造が困難であった。このような困難を解決す
る製造法としては、例えば特開昭57−16103号公
報、特開昭57−26105号公報に開示されている方
法がある。これらの方法を概略的にのべると、金属粉末
とバインダ−からなる射出成形用組成物を所定形状の金
型に射出成形し、得られた成形体を加熱して脱バインダ
−処理した後に焼結処理を施して金属の焼結製品を製造
する方法である。通常、金属粉末とバインダ−とを混合
して作成する射出成形用組成物に要求される特性として
均一に金属粉末が分散した組成物であること、金属
粉末と熱可塑性樹脂が成形工程中に分離しないこと、等
が重要な特性である。この条件を満たさない場合は、脱
バインダ−時あるいは焼結時に不均一分散に起因する変
形、膨れ、陥没、クラック等の種々の欠陥が発生する。
しかしながら、前記公報に開示された金属粉末射出成形
用組成物は特に金属の分散性において充分でなく、脱バ
インダ−処理時、焼結時等に変形等の欠陥を生じやす
い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な問題を解決するためになされたもので、金属粉末を原
料とする精密部品の射出成形にあたって、金属粉末射出
成形用組成物中の金属粉末の分散性を向上させることに
よって脱バインダ−処理時の欠陥の発生、焼結時の変形
の発生を解消し、健全で寸法精度の優れた焼結体を得る
ことのできる金属粉末射出成形用組成物を提供するため
になされたものである。
な問題を解決するためになされたもので、金属粉末を原
料とする精密部品の射出成形にあたって、金属粉末射出
成形用組成物中の金属粉末の分散性を向上させることに
よって脱バインダ−処理時の欠陥の発生、焼結時の変形
の発生を解消し、健全で寸法精度の優れた焼結体を得る
ことのできる金属粉末射出成形用組成物を提供するため
になされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意研究を
進めた結果、金属粉末射出成形用組成物のバインダ−と
してスチレン−ブタジエン共重合体からなる骨格構造に
官能基としてイミニウムイオンを持つ分散剤と、ワック
ス類、熱可塑性樹脂を選ぶことによって前記の課題を解
決できることを見いだした。すなわち、本発明は、 単体金属または合金よりなる焼結用粉末と、バインダ
−からなる金属粉末射出成形用組成物であって、前記バ
インダ−として、スチレン−ブタジエン共重合体からな
る骨格構造に官能基としてイミニウムイオンを持つ分散
剤を、バインダ−と焼結用粉末との合計量に対して1〜
10容量%を含み、かつ、軟化点が50〜90℃のワッ
クス類とメルトフロ−レ−ト(ASTM D 123
6,230℃)が100〜300g/10分の熱可塑性
樹脂とからなり、当該焼結用粉末の合計量が全体の35
〜70容量%からなることを特徴とする金属粉末射出成
形用組成物であり、また 前記ワックス類と前記熱可塑性樹脂は、重量基準で
4:1〜1:4の割合で使用されることを特徴とする金
属粉末射出成形用組成物であり、また 前記ワックス類として、パラフィンワックス、マイク
ロクリスタリンワックス、低分子量ポリエチレンワック
ス、変性ワックス、ポリプロピレン、アタクチックポリ
プロピレンのうちの1種または2種以上を使用すること
を特徴とする金属粉末射出成形用組成物であり、また 前記熱可塑性樹脂として、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アク
リレ−ト共重合体、ポリスチレンのうちのいずれかを使
用することを特徴とする金属粉末射出成形用組成物であ
る。
進めた結果、金属粉末射出成形用組成物のバインダ−と
してスチレン−ブタジエン共重合体からなる骨格構造に
官能基としてイミニウムイオンを持つ分散剤と、ワック
ス類、熱可塑性樹脂を選ぶことによって前記の課題を解
決できることを見いだした。すなわち、本発明は、 単体金属または合金よりなる焼結用粉末と、バインダ
−からなる金属粉末射出成形用組成物であって、前記バ
インダ−として、スチレン−ブタジエン共重合体からな
る骨格構造に官能基としてイミニウムイオンを持つ分散
剤を、バインダ−と焼結用粉末との合計量に対して1〜
10容量%を含み、かつ、軟化点が50〜90℃のワッ
クス類とメルトフロ−レ−ト(ASTM D 123
6,230℃)が100〜300g/10分の熱可塑性
樹脂とからなり、当該焼結用粉末の合計量が全体の35
〜70容量%からなることを特徴とする金属粉末射出成
形用組成物であり、また 前記ワックス類と前記熱可塑性樹脂は、重量基準で
4:1〜1:4の割合で使用されることを特徴とする金
属粉末射出成形用組成物であり、また 前記ワックス類として、パラフィンワックス、マイク
ロクリスタリンワックス、低分子量ポリエチレンワック
ス、変性ワックス、ポリプロピレン、アタクチックポリ
プロピレンのうちの1種または2種以上を使用すること
を特徴とする金属粉末射出成形用組成物であり、また 前記熱可塑性樹脂として、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アク
リレ−ト共重合体、ポリスチレンのうちのいずれかを使
用することを特徴とする金属粉末射出成形用組成物であ
る。
【0005】
【作用】本発明では、射出成形における脱バインダ−性
や焼結時の変形等の欠陥を改良する因子を金属粉末射出
成形用組成物の組成および配合比にもとめて成型性を制
御するようにしたものである。分散剤としては、スチレ
ン−ブタジエン共重合体からなる骨格構造に官能基とし
てイミニウムイオンを持つ分散剤を使用する。これは化
1に示す構造をもつもので官能基としてイミニウムイオ
ンを持つために、これが金属粉末と弱い結合(2次結
合)をすることにより、金属粉末と熱可塑性樹脂との橋
渡しをするものであり、金属粉末の重力による沈降ある
いはバインダ−との分離を防ぎ、金属粉末の分散性を良
好にする。さらに熱可塑性樹脂との相溶性が良好なため
に、極めて均一な金属粉末射出成形用組成物が得られる
のである。なお、化1でSはスチレン、Bはブタジエ
ン、Mはイミニウムイオンを持つ官能基である。
や焼結時の変形等の欠陥を改良する因子を金属粉末射出
成形用組成物の組成および配合比にもとめて成型性を制
御するようにしたものである。分散剤としては、スチレ
ン−ブタジエン共重合体からなる骨格構造に官能基とし
てイミニウムイオンを持つ分散剤を使用する。これは化
1に示す構造をもつもので官能基としてイミニウムイオ
ンを持つために、これが金属粉末と弱い結合(2次結
合)をすることにより、金属粉末と熱可塑性樹脂との橋
渡しをするものであり、金属粉末の重力による沈降ある
いはバインダ−との分離を防ぎ、金属粉末の分散性を良
好にする。さらに熱可塑性樹脂との相溶性が良好なため
に、極めて均一な金属粉末射出成形用組成物が得られる
のである。なお、化1でSはスチレン、Bはブタジエ
ン、Mはイミニウムイオンを持つ官能基である。
【0006】
【化1】
【0007】分散剤の配合比を1〜10容量%に限定し
た理由は次の通りである。すなわち、分散剤の配合比が
1容量%未満では金属粉末の分散性の改良効果が充分に
得られず、不均一な射出成形体となり脱バインダ−時、
焼結時に欠陥が生じ易くなる。一方、10容量%をこえ
ると、成型体の強度が低下し、射出成形後に金型から成
型体を取り出す際に破壊しやすくなり、射出成形作業が
非常に困難になる。なお、分散剤は、分子量が10,0
00以下のものが望ましい。分子量が10,000をこ
えると分散剤の粘性係数が高くなり、混練物の射出成型
性が劣化し、成型が困難になる。
た理由は次の通りである。すなわち、分散剤の配合比が
1容量%未満では金属粉末の分散性の改良効果が充分に
得られず、不均一な射出成形体となり脱バインダ−時、
焼結時に欠陥が生じ易くなる。一方、10容量%をこえ
ると、成型体の強度が低下し、射出成形後に金型から成
型体を取り出す際に破壊しやすくなり、射出成形作業が
非常に困難になる。なお、分散剤は、分子量が10,0
00以下のものが望ましい。分子量が10,000をこ
えると分散剤の粘性係数が高くなり、混練物の射出成型
性が劣化し、成型が困難になる。
【0008】ワックス類は、射出成形時の流動性向上に
寄与するものであり、このようなワックス類としては例
えばパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワック
ス、低分子量ポリエチレンワックス、変性ワックス、ポ
リプロピレン、アタクチックポリプロピレン等をあげる
ことができる。ワックス類の軟化点が50℃未満の場合
には、射出成形作業のサイクルタイムが長くなり、ま
た、軟化し易いために射出成形時の作業性が著しく低下
する。また、ワックス類の軟化点が90℃をこえる場合
には、流動性が低下し、さらに熱分解点が高くなるので
脱バインダ−性が低下する。熱可塑性樹脂は、射出成形
後の成形体の形状保持に寄与するものであり、例えば、
ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル
共重合体、エチレン−アクリレ−ト共重合体、ポリスチ
レン等を例示することができる。熱可塑性樹脂のメルト
フロ−レ−ト(以下MFRと略す)が100g/10分
未満の場合は、射出成形性が不満足なものとなり、一
方、300g/10分をこえる場合は射出成形体の強度
や形状保持性が劣化する。
寄与するものであり、このようなワックス類としては例
えばパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワック
ス、低分子量ポリエチレンワックス、変性ワックス、ポ
リプロピレン、アタクチックポリプロピレン等をあげる
ことができる。ワックス類の軟化点が50℃未満の場合
には、射出成形作業のサイクルタイムが長くなり、ま
た、軟化し易いために射出成形時の作業性が著しく低下
する。また、ワックス類の軟化点が90℃をこえる場合
には、流動性が低下し、さらに熱分解点が高くなるので
脱バインダ−性が低下する。熱可塑性樹脂は、射出成形
後の成形体の形状保持に寄与するものであり、例えば、
ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル
共重合体、エチレン−アクリレ−ト共重合体、ポリスチ
レン等を例示することができる。熱可塑性樹脂のメルト
フロ−レ−ト(以下MFRと略す)が100g/10分
未満の場合は、射出成形性が不満足なものとなり、一
方、300g/10分をこえる場合は射出成形体の強度
や形状保持性が劣化する。
【0009】金属粉末射出成形用組成物中の単体金属ま
たは合金からなる焼結用粉末の配合比を35〜70容量
%としたのは次の理由による。すなわち、金属粉末射出
成形用組成物中の単体金属あるいは合金の焼結用粉末の
配合比が35容量%未満では、金属粉末射出成形用組成
物の流動性を確保しにくくなり、射出成形作業が不可能
になるとともに、射出成形体の金属粉末の充填度が低く
なって最終焼結部品の密度を向上させることが困難にな
る。一方、金属粉末射出成形用組成物中の単体金属また
は合金の焼結用粉末の配合比が70容量%をこえると、
射出成形体の強度が低下し、あるいは金属粉末射出成形
用組成物の流動性が低下して射出成形作業が困難にな
る。バインダ−中のワックス類と熱可塑性樹脂との混合
比は重量比で4:1〜1:4の範囲に限定する。特に好
ましい範囲は重量比で3:1〜1:3の範囲である。ワ
ックス類が4:1より多いと、射出成形体の強度が低下
し成形体の形状維持が不可能となる。逆に熱可塑性樹脂
が1:4より多いと、金属粉末射出成形用組成物の粘性
係数が高くなり、射出成形作業が困難になるとともに脱
バインダ−性が著しく劣化する。
たは合金からなる焼結用粉末の配合比を35〜70容量
%としたのは次の理由による。すなわち、金属粉末射出
成形用組成物中の単体金属あるいは合金の焼結用粉末の
配合比が35容量%未満では、金属粉末射出成形用組成
物の流動性を確保しにくくなり、射出成形作業が不可能
になるとともに、射出成形体の金属粉末の充填度が低く
なって最終焼結部品の密度を向上させることが困難にな
る。一方、金属粉末射出成形用組成物中の単体金属また
は合金の焼結用粉末の配合比が70容量%をこえると、
射出成形体の強度が低下し、あるいは金属粉末射出成形
用組成物の流動性が低下して射出成形作業が困難にな
る。バインダ−中のワックス類と熱可塑性樹脂との混合
比は重量比で4:1〜1:4の範囲に限定する。特に好
ましい範囲は重量比で3:1〜1:3の範囲である。ワ
ックス類が4:1より多いと、射出成形体の強度が低下
し成形体の形状維持が不可能となる。逆に熱可塑性樹脂
が1:4より多いと、金属粉末射出成形用組成物の粘性
係数が高くなり、射出成形作業が困難になるとともに脱
バインダ−性が著しく劣化する。
【0010】本発明の金属粉末射出成形用組成物によっ
て射出成形作業を実施する際は、通常用いられる設備、
装置をそのまま利用することができる。また、その際の
成形体の加熱温度は80〜200℃、射出圧力は500
〜2000kg/cm2 程度である。射出成形体中に含
まれるバインダ−は、その後、種々の雰囲気で脱バイン
ダ−処理されることになる。通常の射出成形作業時の射
出成形体の製品率は体積比で25〜85%程度であり、
したがって残りの75〜15%(主としてスプル−部、
ランナ−部)が再び射出成形作業に使用され、略同上の
比率で製品となり、残りは再びリサイクルされる。この
ようなリサイクルは通常数回程度繰り返されることにな
る。また、本発明の金属粉末射出成形用組成物を用いた
精密成形品を脱バインダ−処理する場合、酸化されやす
い金属の場合は不活性ガスまたは還元性ガスの雰囲気下
で、また、酸化されにくい金属の場合は大気中または不
活性ガスの雰囲気下で、12〜30℃/h程度の昇温速
度で、250〜300℃に加熱することによって脱バイ
ンダ−処理をすることができる。
て射出成形作業を実施する際は、通常用いられる設備、
装置をそのまま利用することができる。また、その際の
成形体の加熱温度は80〜200℃、射出圧力は500
〜2000kg/cm2 程度である。射出成形体中に含
まれるバインダ−は、その後、種々の雰囲気で脱バイン
ダ−処理されることになる。通常の射出成形作業時の射
出成形体の製品率は体積比で25〜85%程度であり、
したがって残りの75〜15%(主としてスプル−部、
ランナ−部)が再び射出成形作業に使用され、略同上の
比率で製品となり、残りは再びリサイクルされる。この
ようなリサイクルは通常数回程度繰り返されることにな
る。また、本発明の金属粉末射出成形用組成物を用いた
精密成形品を脱バインダ−処理する場合、酸化されやす
い金属の場合は不活性ガスまたは還元性ガスの雰囲気下
で、また、酸化されにくい金属の場合は大気中または不
活性ガスの雰囲気下で、12〜30℃/h程度の昇温速
度で、250〜300℃に加熱することによって脱バイ
ンダ−処理をすることができる。
【0011】
【実施例】平均粒径が約5μmのカ−ボニル鉄粉末と、
表1に示した実施例1〜6の配合比のバインダ−とを混
合、混練後、ピッチ円直径20mm、厚さ5mm、歯数
18のギヤ形状を有する射出成形体および焼結製品を製
造した。バインダ−の配合は以下のようにしておこなっ
た。すなわち、官能基としてイミニウムイオンを持つ分
散剤は日本ゼオン製のゼオファインAW−06(商標
名)(分子量1000)を用いた。ゼオファインAW−
06は前述のスチレン−ブタジエン共重合体からなる骨
格構造をもっている分散剤である。ワックス類としては
パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、
低分子量ポリエチレンワックス、変性ワックスを用い
た。なお、変性ワックスは軟化点70℃のものを使用し
た。熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル重合体、エ
チレン−アクリレ−ト共重合体を用いた。アクリル樹脂
のMFRは200g/10分のものを使用した。金型は
図1に示すようにピンポイントゲ−ト方式の金型を使用
した。すなわち、ギヤ1、ピンポイントゲ−ト部2、ラ
ンナ−部3およびスプル−部4に対応した形の金型を使
用した。射出成形の射出速度は100mm/秒で実施し
た。
表1に示した実施例1〜6の配合比のバインダ−とを混
合、混練後、ピッチ円直径20mm、厚さ5mm、歯数
18のギヤ形状を有する射出成形体および焼結製品を製
造した。バインダ−の配合は以下のようにしておこなっ
た。すなわち、官能基としてイミニウムイオンを持つ分
散剤は日本ゼオン製のゼオファインAW−06(商標
名)(分子量1000)を用いた。ゼオファインAW−
06は前述のスチレン−ブタジエン共重合体からなる骨
格構造をもっている分散剤である。ワックス類としては
パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、
低分子量ポリエチレンワックス、変性ワックスを用い
た。なお、変性ワックスは軟化点70℃のものを使用し
た。熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル重合体、エ
チレン−アクリレ−ト共重合体を用いた。アクリル樹脂
のMFRは200g/10分のものを使用した。金型は
図1に示すようにピンポイントゲ−ト方式の金型を使用
した。すなわち、ギヤ1、ピンポイントゲ−ト部2、ラ
ンナ−部3およびスプル−部4に対応した形の金型を使
用した。射出成形の射出速度は100mm/秒で実施し
た。
【0012】射出成形性は、金型への充填不良、成形体
のクラック、金型から取り出すときの成形体の破損の有
無で評価した。調査結果は比較例とともに表1にまとめ
て示した。さらに、射出成形体を大気気流中で加熱して
脱バインダ−処理を行い、バインダ−残量が成形体の1
重量%以下になるまで脱バインダ−処理した後、脱バイ
ンダ−処理した成形体の外観を観察した。次いで、これ
らの脱バインダ−体を真空中、1350℃で2時間の焼
結処理を施した。以上のようにして得られた焼結体の変
形の有無を測定した。なお、この場合の目標寸法はピッ
チ円直径の20mmである。
のクラック、金型から取り出すときの成形体の破損の有
無で評価した。調査結果は比較例とともに表1にまとめ
て示した。さらに、射出成形体を大気気流中で加熱して
脱バインダ−処理を行い、バインダ−残量が成形体の1
重量%以下になるまで脱バインダ−処理した後、脱バイ
ンダ−処理した成形体の外観を観察した。次いで、これ
らの脱バインダ−体を真空中、1350℃で2時間の焼
結処理を施した。以上のようにして得られた焼結体の変
形の有無を測定した。なお、この場合の目標寸法はピッ
チ円直径の20mmである。
【0013】次に、本発明と同一の分散剤を下限未満で
配合した例(比較例1)、および本発明と同一の分散剤
を上限を超えて配合した例(比較例2)について同様の
脱バインダ−処理および焼結処理を施した。さらに、本
発明の分散剤を使用せず、従来通りカルナバワックスを
使用して同様の処理を施して(比較例3)、および(比
較例4)とし、表1に併記した。表1より明らかなごと
く、本発明にかかる金属粉末射出成形用組成物を使用し
た場合は、射出成形性が良好で、脱バインダ−処理時お
よび焼結処理時の欠陥がなく、かつ、得られる焼結体の
寸法のばらつき幅を従来方法の1/3〜1/10と大幅
に低減することができる。
配合した例(比較例1)、および本発明と同一の分散剤
を上限を超えて配合した例(比較例2)について同様の
脱バインダ−処理および焼結処理を施した。さらに、本
発明の分散剤を使用せず、従来通りカルナバワックスを
使用して同様の処理を施して(比較例3)、および(比
較例4)とし、表1に併記した。表1より明らかなごと
く、本発明にかかる金属粉末射出成形用組成物を使用し
た場合は、射出成形性が良好で、脱バインダ−処理時お
よび焼結処理時の欠陥がなく、かつ、得られる焼結体の
寸法のばらつき幅を従来方法の1/3〜1/10と大幅
に低減することができる。
【0014】
【表1】
【0015】
【発明の効果】以上のように、本発明にかかる金属粉末
射出成形用組成物を用いることによって、欠陥のない最
終焼結製品を高い寸法精度で製造することができる。
射出成形用組成物を用いることによって、欠陥のない最
終焼結製品を高い寸法精度で製造することができる。
【図1】本発明の金属粉末射出成形用組成物を使用して
金型で成形された直後のギヤを示す斜視図である。
金型で成形された直後のギヤを示す斜視図である。
1 ギヤ 2 ピンポイントゲ−ト部 3 ランナ−部 4 スプル−部
Claims (4)
- 【請求項1】 単体金属または合金よりなる焼結用粉末
と、バインダ−からなる金属粉末射出成形用組成物であ
って、前記バインダ−として、スチレン−ブタジエン共
重合体からなる骨格構造に官能基としてイミニウムイオ
ンを持つ分散剤を、バインダ−と焼結用粉末との合計量
に対して1〜10容量%を含み、かつ、軟化点が50〜
90℃のワックス類と、メルトフロ−レ−ト(ASTM
D1236,230℃)が100〜300g/10分
の熱可塑性樹脂とからなり、当該焼結用粉末の合計量が
全体の35〜70容量%からなることを特徴とする金属
粉末射出成形用組成物。 - 【請求項2】 前記ワックス類と前記熱可塑性樹脂は、
重量基準で4:1〜1:4の割合で使用されることを特
徴とする請求項1記載の金属粉末射出成形用組成物。 - 【請求項3】 前記ワックス類として、パラフィンワッ
クス、マイクロクリスタリンワックス、低分子量ポリエ
チレンワックス、変性ワックス、ポリプロピレン、アタ
クチックポリプロピレンのうちの1種または2種以上を
使用することを特徴とする請求項1記載の金属粉末射出
成形用組成物。 - 【請求項4】 前記熱可塑性樹脂として、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、
エチレン−アクリレ−ト共重合体、ポリスチレンのうち
のいずれかを使用することを特徴とする請求項1記載の
金属粉末射出成形用組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31400491A JPH05125403A (ja) | 1991-10-31 | 1991-10-31 | 金属粉末射出成形用組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31400491A JPH05125403A (ja) | 1991-10-31 | 1991-10-31 | 金属粉末射出成形用組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05125403A true JPH05125403A (ja) | 1993-05-21 |
Family
ID=18048060
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP31400491A Pending JPH05125403A (ja) | 1991-10-31 | 1991-10-31 | 金属粉末射出成形用組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05125403A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022215472A1 (ja) * | 2021-04-07 | 2022-10-13 | 旭化成株式会社 | 焼結成形体用組成物及び焼結成形体 |
-
1991
- 1991-10-31 JP JP31400491A patent/JPH05125403A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022215472A1 (ja) * | 2021-04-07 | 2022-10-13 | 旭化成株式会社 | 焼結成形体用組成物及び焼結成形体 |
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