JPH05125289A - 銅フタロシアニン顔料の製造法 - Google Patents

銅フタロシアニン顔料の製造法

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JPH05125289A
JPH05125289A JP3313275A JP31327591A JPH05125289A JP H05125289 A JPH05125289 A JP H05125289A JP 3313275 A JP3313275 A JP 3313275A JP 31327591 A JP31327591 A JP 31327591A JP H05125289 A JPH05125289 A JP H05125289A
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copper phthalocyanine
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高徳 三宅
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】銅フタロシアニン顔料の合成と微粒子化を同時
に行う直接製造法を提供する。 【構成】無水フタル酸またはその誘導体と、尿素または
その誘導体とをモリブデン化合物等の触媒の存在下に、
有機溶媒中またはその不存在下、あらかじめ加熱反応さ
せた後、これを単離する事なく、銅またはその化合物を
単独に、あるいは尿素またはその誘導体と共に添加し、
同時に磨砕助剤となる物質の存在または不存在下、機械
的磨砕力を加えながら反応させる微細な銅フタロシアニ
ン顔料の製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機顔料の中でも耐候
性、耐熱性、耐薬品性等の諸性質が非常に優れており、
また色調鮮明で着色力が大きいことなどから優れた青色
顔料として、インキ、塗料、プラスチック等の着色剤と
して広く使用されている銅フタロシアニン顔料の製造方
法に関するものであり、更に詳しくは銅フタロシアニン
顔料の合成と微粒子化を同時に行う直接製造法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】銅フタロシアニン顔料の製造工程は、一
般的に、粗大な粒子の粗製銅フタロシアニンを合成する
工程と粗製銅フタロシアニンを微粒子化し顔料とする顔
料化工程から成り立っている。
【0003】(1)合成工程 無水フタル酸またはその誘導体、銅またはその化合物、
尿素またはその誘導体および触媒を有機溶媒中またはそ
の不存在下において180〜300℃の温度で加熱反応
させて粗製銅フタロシアニンを得る方法がある。あるい
は、フタロニトリルと銅またはその化合物の混合物を有
機溶媒中またはその不存在下において180〜300℃
の温度で加熱反応させる方法がある。
【0004】(2)顔料化工程 上記合成工程によって得られた銅フタロシアニンは粗大
粒子の凝集体であり、そのままでは色調が不鮮明で着色
力が乏しく実用に供し得ない為、これを微粒子化し、着
色力、鮮明度及び顔料適性を付与する顔料化工程が必要
となる。この工程は、濃硫酸などの酸類に溶解もしくは
湿潤させた後、多量の水の中に注入して再沈殿させ微粒
子を得る化学的方法(アシッド・ペースト法またはアシ
ッドスラリー法)とボールミルやニーダー等を用いる機
械的磨砕により微粒子化する物理的方法がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、粗製銅
フタロシアニンを合成し、次いで顔料化を行う方法は以
下の種々の問題を有する。
【0006】(1)工程が長く、設備が多大になり不経
済である。 (2)化学的処理による顔料化工程では、硫酸処理によ
る装置の腐食や大量に発生する廃酸の処理等が大きな問
題である。 (3)物理的処理による顔料化工程では、機械的磨砕に
多大な動力を必要とする事、処理時間が長く生産性が低
い事、食塩等の多量の磨砕助剤の回収費用が多大である
事、高COD廃水の処理等が大きな問題である。 (4)原料として無水フタル酸またはその誘導体を用い
る場合は、合成工程で親油性溶媒を用いながら、物理的
処理による顔料化工程では親水性溶媒を用いる為、溶媒
の除去・回収工程が2段階となり不経済である。 かかる諸問題を解決する方法として、合成工程と顔料化
工程を同時に行う直接製造方法の開発研究が活発に行な
われている。
【0007】これらを大きく分類するとフタロニトリル
を原料とする方法と無水フタル酸またはその誘導体を原
料とする方法の2つに大別出来る。
【0008】フタロニトリルを原料とする方法は、フタ
ロニトリルが反応性が高く低温で銅フタロシアニンを生
成する事が可能であるため結晶成長を抑制しやすいが、
特に結晶成長能の小さい親水性有機溶媒、例えばグリコ
ール類を使用する場合に微細な粒子を得る事が出来る
(特公昭47−30892号、特開昭50−1032、
同58−23854号公報等)が、フタロニトリルは高
価であり毒性も強い為、環境衛生上取扱いには特別の注
意を要し且つコストも高く工業的価値はない。
【0009】また、無水フタル酸またはその誘導体を原
料とする方法では比較的高温を必要とする為結晶が成長
し易く、特に有機溶媒中で反応せしめる方法では、結晶
成長を更に助長する為、微細な銅フタロシアニンを得る
には、(1)強力な摩砕力の存在下に反応を行なわせる
方法(特公昭45−7662、特開昭48−38332
号公報)、(2)結晶成長阻害物質の存在下で反応を行
なわせる方法(特公昭52−19216、特開昭61−
203175、特開昭63−207858号公報)、
(3)芳香族系高沸点溶媒とパラフィン系あるいはナフ
テン系炭化水素溶媒の混合溶媒中での銅又は、その化合
物の後添加反応方法(特開昭50−41926号公
報)、等が知られている。
【0010】しかしながら、(1)の方法においては、
強力な磨砕力と苛酷な反応条件の為、反応容器の材質に
問題がある。つまり、鉄やステンレス、ハステロイ等で
は腐食による鉄、ニッケル、クロム等の溶出が激しく長
期間使用に耐えない上に溶出成分が反応に関与し鉄フタ
ロシアニン、ニッケルフタロシアニン、クロムフタロシ
アニン等を生成し、色相を不鮮明にする。また、グラス
ライニング、チタン等では、色相鮮明なものが得られる
が摩耗が激しく工業的には難かしい。またセラミックに
ついては上記欠点はないがスケールアップに問題があ
る。 (2)の方法は、結晶阻害物質に高価なものが多く、ま
た添加量も多い事や反応中に激しい発泡を伴なうことが
ある為、経済的、反応操作的に問題がある。 (3)の方法は、得られた銅フタロシアニンの比表面積
が40〜50m2/gと低く、顔料としては着色力不十分
であり、また収率も低い問題がある。また、芳香族系高
沸点溶媒だけでは、微細な銅フタロシアニンが得られな
い。さらに(1)〜(3)のいずれも主として親油性の
反応溶媒を用いねばならず、この溶媒の除去にアルコー
ル抽出、減圧蒸留、水蒸気蒸留等を主とする複雑な工程
が付加され、大幅なコストアップになる。
【0011】以上、(1)、(2)、(3)のいずれの
方法においても十分満足できる方法ではなかった。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、以上の諸
欠点を克服する為、鋭意研究を行った結果、下記の如
く、工業的見地から非常に価値のある微細な銅フタロシ
アニン顔料の直接製造法を見出した。
【0013】すなわち、本発明は無水フタル酸またはそ
の誘導体と、尿素またはその誘導体とを触媒の存在下
に、有機溶媒中あるいはその不存在下、あらかじめ加熱
反応させ中間物を生成させた後、これを単離する事な
く、銅またはその化合物を単独にあるいは尿素またはそ
の誘導体と共に添加し、同時に磨砕助剤となる物質の存
在または不存在下、機械的磨砕力を加えながら反応させ
る事を特徴とする微細な銅フタロシアニン顔料の製造法
である。
【0014】前述の現行の合成工程により得られる銅フ
タロシアニンは粗大な粒子であり、この合成時に同時に
機械的磨砕力を加える事により微細な銅フタロシアニン
が得られるが、反応容器の腐食及び摩耗が非常に激しい
上に、溶出した反応容器成分が反応に関与し、副生成物
(Cu以外のフタロシアニン等)を生成し、色相を不鮮
明にすると共に収率を非常に悪くする。
【0015】我々は無水フタル酸またはその誘導体と、
尿素またはその誘導体を触媒の存在下に、有機溶媒中あ
るいはその不存在下であらかじめ加熱反応させたとき、
ステンレス、ハステロイ等の金属反応容器の腐食がほと
んどないという非常に有用な事実を知見した。更に、中
間物生成後銅またはその化合物を後添加し銅フタロシア
ニンを生成する過程においても非常に腐食が少ない事実
を知見した。
【0016】従ってこの銅またはその化合物を後添加す
る方法により従来摩耗は少ないが腐食の為使用出来なか
った材質の使用が可能となり、銅またはその化合物を後
添加して銅フタロシアニンを生成する時、同時に機械的
磨砕力を加えても腐食、摩耗による品質の低下、収率の
悪化及び反応容器寿命の短期化によるコストアップをみ
ちびく事なく、通常銅フタロシアニン顔料に要求される
諸性質についてなんら遜色のない非常に微細な銅フタロ
シアニン顔料を直接製造する事が出来た。なお、望まし
くは銅またはその化合物の後添加時に尿素またはその誘
導体を共に添加する事によって収率、品質をさらに向上
出来るものである。
【0017】付け加うるに、従来の機械的磨砕力を加え
る直接合成法に比べ、本発明は、同一の機械的磨砕力を
加えた場合の微細化のスピードが速く、費やす動力費が
少なくて済む(図−1参照)。このことは、反応を前段
と後段に分け、前段にて十分銅フタロシアニンを生成す
る環境を整えてから、後段の銅またはその化合物添加に
よる環化反応を行なわせしめているので、従来法に比べ
結晶の種が多量に発生し結晶成長に使われる銅フタロシ
アニン濃度が減少している為と考えられる。
【0018】さらに我々は、無水フタル酸またはその誘
導体と、尿素またはその誘導体とを触媒の存在下にあら
かじめ加熱反応させる前段反応は発泡性が少なく無溶媒
化が可能であり、また銅またはその化合物を後添加して
銅フタロシアニン顔料を生成する後段反応ではアルコー
ル類等の親水性溶媒を用いうる事を知見した。
【0019】従って、従来無水フタル酸またはその誘導
体を用いる銅フタロシアニン合成反応において、他の反
応を誘引し銅フタロシアニンが得られない為用いられな
かったアルコール類等の親水性溶媒が使用可能となっ
た。この結果、現行顔料化工程と同等の水洗プロセスに
て溶媒除去が可能であり、前述の動力費が少なくて済む
事を考え合わせると経済的にきわめて価値のある方法が
確立できたと言える。
【0020】本発明の方法に使用する無水フタル酸また
はその誘導体としては、種々の文献で広く知られてお
り、例えばフタル酸およびその塩またはそのエステル、
無水フタル酸、フタルイミド、フタルアミド酸及びその
塩またはそのエステル、フタロニトリル等があり、ま
た、これらの化合物のベンゼン核上に置換基として、た
とえば塩素原子、臭素原子、アルキル基、フェニル基、
スルホン基を有するものも含む。
【0021】また本発明に使用する尿素またはその誘導
体としては、尿素、アンモニア等がある。その使用量は
無水フタル酸又はその誘導体4モルあたり4〜40モル
程度である。
【0022】本発明において使用する銅またはその化合
物としては、例えば金属銅、ハロゲン化第一銅または第
二銅、硫酸銅、水酸化銅、酢酸銅、炭酸銅、酸化銅、シ
アン化銅、リン酸銅、硝酸銅、硫化銅等がある。銅又は
その化合物等の使用量は無水フタル酸またはその誘導体
4モルあたり0.8〜1.3モル程度である。
【0023】本発明において使用する触媒としては、例
えばモリブデン酸アンモニウム、酸化モリブデン、リン
モリブデン酸などのモリブデン化合物、四塩化チタン、
チタン酸エステル等のチタン化合物、塩化ジルコニウ
ム、炭酸ジルコニウム等のジルコニウム化合物、酸化ア
ンチモン、酸化ヒ素、ホウ酸等がある
【0024】本発明に使用する有機溶剤は、アルキルベ
ンゼン、アルキルナフタレン、テトラリン等の芳香族炭
化水素;アルキルシクロヘキサン、デカリン、アルキル
デカリン等の脂環式炭化水素;デカン、ドデカン等の脂
肪族炭化水素;ニトロベンゼン、o−ニトロトルエン、
トリフロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタ
レン、ジフェニルエーテル、スルホラン、ジメチルスル
ホキシド、メチルスルホラン、ジメチルスルホラン、N
−メチルピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン等があ
る。また、銅またはその化合物を添加してからの後段反
応に使用する有機溶剤は、前記の溶剤は勿論の事、親水
性溶剤であるブタノール、エチレングリコール、ポリエ
チレングリコール等のアルコール類;エチルセロソル
ブ、ジエチレングリコール等のセロソルブ類;ジメチル
ホルムアミド、ホルムアミド、ジメチルアセトアミド等
がある。使用に際して、これら有機溶媒の単独または2
種以上の混合溶媒として用いる。
【0025】本発明に使用する磨砕助剤は、塩化ナトリ
ウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム等
のアルカリ金属塩、塩化カルシウム、塩化バリウム等の
アルカリ土類金属塩等があり、これら2種以上の混合物
であっても良い。その使用量は無水フタル酸またはその
誘導体に対して1〜12倍重量比程度である。また、好
ましくは磨砕の効率化の為金属ビーズ、セラミックビー
ズを用いると良い。
【0026】なお、必要に応じて反応性を上げる為、塩
化アンモニウム、炭酸アンモニウム等のハロゲン化物
や、アンモニウム塩を加える事ができる。その使用量は
無水フタル酸又はその誘導体4モルに対して、1〜40
モル程度である。
【0027】本発明にて使用する反応容器の材質は、水
洗時の耐腐蝕性、耐摩耗、コスト等を考慮するとステン
レスが好ましく、より高度な耐腐蝕性を考慮するならハ
ステロイが好ましいが上記の特性を満足する材質であれ
ば、ステンレス、ハステロイに限定されるものではな
い。
【0028】本発明に使用する機械的磨砕力を加えられ
る反応容器としては、ニーダー、ボールミル、振動ミ
ル、アトライター、サンドミル、バンバリーミキサー、
2軸押出機等がある。なお、機械的磨砕力は反応の初期
から加えても良いが、消費エネルギーを考慮すると銅又
はその化合物を添加し銅フタロシアニンを生成する時に
加える事が好ましい。
【0029】本発明の圧力条件は特に制約はないが、熱
分解の抑制による尿素及びその誘導体の節約および副反
応の抑制による品質の向上を考慮すれば、加圧条件下で
の反応が好ましい。
【0030】本発明の温度条件は150〜250℃が好
ましい。なお、前段反応と後段反応の温度は同一でも同
一でなくてもよい。
【0031】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、顔料に匹
敵する色相、比表面積を有する微細な銅フタロシアニン
が、無水フタル酸類を用いた合成反応工程一段のみで製
造できるものであり、従来の粗製銅フタロシアニンを合
成し、ついで複雑な工程を経て長時間多大な動力を費や
し顔料化を行う製造方法に比べ、非常に簡素化された、
効率的、経済的プロセスであると言える。
【0032】このようにして得られた微細な銅フタロシ
アニン顔料は、樹脂、ワニス、プラスチック等目的に応
じた媒体中へ分散させることにより、塗料、インキ、プ
ラスチック着色剤等を製造することができる。
【0033】
【実施例】以下に実施例、比較例を挙げる。 実施例1 1リットルSUS316L製アトライターに無水フタル
酸100部、尿素200部、モリブデン酸アンモニウム
1部、ハイゾールP(日本石油化学株式会社製アルキル
ベンゼン)170部を入れ、200℃まで加熱後、2mm
φガラスビーズを充填し、塩化第1銅18部を加え、強
撹拌下にて210℃3時間加熱反応する。反応終了後、
生成物を3000部のメタノールにて濾過洗浄し、ケー
キをさらに2%硫酸3000部中に加え、80℃、30
分間加熱撹拌した後、吸引濾過した。ケーキを濾液のpH
が中性になるまで温湯で十分洗浄した後乾燥してβ型銅
フタロシアニン顔料を得る。収率、純度、比表面積、腐
食、摩耗による顔料中の反応容器材質の含有率、着色力
を測定し、結果を以下の実施例、比較例とともに一覧表
(表1)に示した。
【0034】純度の測定方法としては、乾燥サンプルを
98%硫酸に全量溶解後、7%濃度まで希釈し、析出し
てきた顔料を純粋な銅フタロシアニンとするアシッドペ
ースティング法を用いた。
【0035】着色力の測定方法としては、銅フタロシア
ニン顔料4部、ロジン変性樹脂16部、白ワニス500
部をマーラーにてオイルインキに調製し、測色する方法
を用いた。
【0036】実施例2 実施例1にて、塩化第1銅添加時に200部の塩化ナト
リウムを同時に加える以外は、実施例1と同様な処理を
施し、非常に着色力の高い銅フタロシアニン顔料を得
た。
【0037】実施例3〜4 実施例1にてアトライター材質をSUS316L製から
高ニッケルステンレス(ニッケル含有率25%以上)製
(実施例3)あるいはハステロイC−276製(実施例
4)に変えて、実施例1と同様の処理を施し、銅フタロ
シアニン顔料を製造した。
【0038】実施例5 実施例1にて、無水フタル酸100部をフタルイミド1
00部に、塩化第1銅18部を炭酸銅11.2部及び水
酸化銅8.9部に変え、さらに炭酸アンモニウム70部
を加え、それ以外は実施例1と同様な処理を施し、銅フ
タロシアニン顔料を得た。
【0039】実施例6 実施例1において2mmφガラスビーズを充填した1リッ
トルSUS316L製アトライターを3リットルSUS
316L製テストニーダーに変え、さらに塩化第1銅添
加時に400部の塩化ナトリウムを同時に加え、強撹拌
下にて210℃5時間加熱反応する以外は、実施例1と
同様な処理を施し、非常に着色力の高い銅フタロシアニ
ン顔料を得た。
【0040】実施例7 実施例1において、尿素200部を133部と67部に
分け、初期に133部を加え加熱反応させた後、残りの
67部を塩化第1銅添加時に同時に加え、それ以外は実
施例1と同様の処理を施し、高収率、高純度にて色相鮮
明な銅フタロシアニン顔料を得た。
【0041】実施例8 実施例7において、3〜4kg/cm2 Gの加圧条件下にて
反応を行なえば、尿素初期投入量を133部から100
部に減らしても、さらに高収率、高純度にて色相鮮明な
銅フタロシアニン顔料を得る事ができた。
【0042】実施例9 1リットルSUS316L製アトライターに無水フタル
酸100部、尿素200部、モリブデン酸アンモニウム
1部を入れ、無溶媒中にて200℃まで加熱後、2mmφ
ガラスビーズを充填し、ジエチレングリコール170
部、塩化第1銅18部を加え、強撹拌下にて210℃3
時間加熱反応する。反応終了後、生成物を2%硫酸30
00部中に加え、80℃30分間加熱撹拌した後、吸引
濾過した。ケーキを濾液のpHが中性になるまで温湯で十
分洗浄した後乾燥してβ型銅フタロシアニンを得た。
【0043】実施例10 実施例1において、経時にてサンプリングを行ない、比
表面積の変化を測定し、図−1に微細化速度が大である
事を示した。
【0044】比較例1 市販品の粗製銅フタロシアニン100部、食塩400
部、ジエチレングリコール100部を3リットルSUS
316L製テストニーダーにて90〜95℃を維持しな
がら7時間磨砕した。混合物を2%硫酸中にて80℃3
0分間加熱撹拌した後、吸引濾過し、ケーキを濾液が中
性になるまで湯洗した後、乾燥するという従来の顔料化
法にて現行の銅フタロシアニン顔料を製造した。収率、
純度、比表面積、腐蝕、摩耗による顔料中の反応容器材
質の含有率、着色力を測定し、結果を実施例及び以下の
比較例とともに一覧表(表1)に示した。なお、この銅
フタロシアニン顔料の着色力を100として他の実施
例、比較例の着色力を測定した。
【0045】比較例2 反応を分離せず、2mmφガラスビーズを充填した1リッ
トルSUS316L製アトライターに、無水フタル酸1
00部、尿素200部、モリブデン酸アンモニウム1
部、塩化第1銅18部、ハイゾールP170部を加え、
強撹拌下にて210℃5時間加熱反応させた後、生成物
に対して実施例1と同様な洗浄・濾過・乾燥処理を施こ
した結果、反応容器の腐蝕により色相の汚れた銅フタロ
シアニン顔料を得た。
【0046】比較例3〜5 比較例2のアトライター材質を以下の如く変え、それ以
外は比較例2と同様の処理を施こし、銅フタロシアニン
顔料を得た。 比較例3………ハステロイC−276製アトライター 比較例4………チタン製アトライター 比較例5………ガラス製アトライター
【0047】比較例6 特開昭50−41926号公報に則り、1リットルガラ
スフラスコにおいて無水フタル酸30部、尿素50部、
モリブデン酸アンモニウム1.0重量%(無水フタル酸
に対して)、トリクロルベンゼンとイソパラフィン〔ア
イソパールM(エッソ製品)〕の混合溶媒(重量比2:
8)90部を加えて懸濁し、撹拌昇温し、200℃30
分間反応させ、次に反応温度170℃で新たに粉体状の
塩化第二銅8.5部を添加し、撹拌しながら60分反応
させる。反応後得られた生成物を濾過し、次いでメタノ
ールで洗浄した後、希酸、希アルカリで処理し、濾別、
水洗、乾燥して若干着色力の劣るβ型銅フタロシアニン
を得た。
【0048】
【表1】
【0049】比較例7 比較例1において、経時にてサンプリングを行ない、現
行ニーダー法の比表面積の変化を測定し、図1に微細化
速度が小である事を示した。
【0050】比較例8 比較例2において、経時にてサンプリングを行ない、従
来の機械的磨砕力を加える直接合成法での比表面積の変
化を測定し、図1に微細化速度が小である事を示した。
【0051】
【図面の簡単な説明】
図1は微細化速度(時間)と比表面積との関係を示すグ
ラフを表す。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年1月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 銅フタロシアニン顔料の製造法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機顔料の中でも耐候
性、耐熱性、耐薬品性等の諸性質が非常に優れており、
また色調鮮明で着色力が大きいことなどから優れた青色
顔料として、インキ、塗料、プラスチック等の着色剤等
として広く使用されている銅フタロシアニン顔料の製造
方法に関するものであり、更に詳しくは銅フタロシアニ
ン顔料の合成と微粒子化を同時に行う直接製造法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】銅フタロシアニン顔料の製造工程は、一
般的に、粗大な粒子の粗製銅フタロシアニンを合成する
工程と粗製銅フタロシアニンを微粒子化し顔料とする顔
料化工程から成り立っている。
【0003】(1)合成工程 無水フタル酸またはその誘導体、銅またはその化合物、
尿素またはその誘導体および触媒を有機溶媒中またはそ
の不存在下において180〜300℃の温度で加熱反応
させて粗製銅フタロシアニンを得る方法がある。あるい
は、フタロニトリルと銅またはその化合物の混合物を有
機溶媒中またはその不存在下において180〜300℃
の温度で加熱反応させる方法がある。
【0004】(2)顔料化工程 上記合成工程によって得られた銅フタロシアニンは粗大
粒子の凝集体であり、そのままでは色調が不鮮明で着色
力が乏しく実用に供し得ない為、これを微粒子化し、着
色力、鮮明度及び顔料適性を付与する顔料化工程が必要
となる。この工程は、濃硫酸などの酸類に溶解もしくは
湿潤させた後、多量の水の中に注入して再沈殿させ微粒
子を得る化学的方法(アシッド・ペースト法またはアシ
ッドスラリー法)とボールミルやニーダー等を用いる機
械的磨砕により微粒子化する物理的方法がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、粗製銅
フタロシアニンを合成し、次いで顔料化を行う方法は以
下の種々の問題を有する。
【0006】(1)工程が長く、設備が多大になり不経
済である。 (2)化学的処理による顔料化工程では、硫酸処理によ
る装置の腐食や大量に発生する廃酸の処理等が大きな問
題である。 (3)物理的処理による顔料化工程では、機械的磨砕に
多大な動力を必要とする事、処理時間が長く生産性が低
い事、食塩等の多量の磨砕助剤の回収費用が多大である
事、高COD廃水の処理等が大きな問題である。 (4)原料として無水フタル酸またはその誘導体を用い
る場合は、合成工程で親油性溶媒を用いながら、物理的
処理による顔料化工程では親水性溶媒を用いる為、溶媒
の除去・回収工程が2段階となり不経済である。かかる
諸問題を解決する方法として、合成工程と顔料化工程を
同時に行う直接製造方法の開発研究が活発に行なわれて
いる。
【0007】これらを大きく分類するとフタロニトリル
を原料とする方法と無水フタル酸またはその誘導体を原
料とする方法の2つに大別出来る。
【0008】フタロニトリルを原料とする方法は、フタ
ロニトリルが反応性が高く低温で銅フタロシアニンを生
成する事が可能であるため結晶成長を抑制しやすいが、
特に結晶成長能の小さい親水性有機溶媒、例えばグリコ
ール類を使用する場合に微細な粒子を得る事が出来る
(特公昭47−30892号、特開昭50−1032、
同58−23854号公報等)が、フタロニトリルは高
価であり毒性も強い為、環境衛生上取扱いには特別の注
意を要し且つコストも高く工業的価値はない。
【0009】また、比較的高温を必要とする無水フタル
酸またはその誘導体を原料とする方法では、結晶が成長
し易く、特に有機溶媒中で反応せしめる方法では、結晶
成長を更に助長する為、微細な銅フタロシアニンを得る
には、(1)強力な摩砕力の存在下に反応を行なわせる
方法(特公昭45−7662、特開昭48−38332
号公報)、(2)結晶成長阻害物質の存在下で反応を行
なわせる方法(特公昭52−19216、特開昭61−
203175、特開昭63−207858号公報)、
(3)芳香族系高沸点溶媒とパラフィン系あるいはナフ
テン系炭化水素溶媒の混合溶媒中での銅又は、その化合
物の後添加反応方法(特開昭50−41926号公
報)、等が知られている。
【0010】しかしながら、(1)の方法においては、
強力な磨砕力と苛酷な反応条件の為、反応容器の材質に
問題がある。つまり、鉄やステンレス、ハステロイ等で
は腐食による鉄、ニッケル、クロム等の溶出が激しく長
期間使用に耐えない上に溶出成分が反応に関与し鉄フタ
ロシアニン、ニッケルフタロシアニン、クロムフタロシ
アニン等を生成し、色相を不鮮明にする。また、グラス
ライニング、チタン等では、色相鮮明なものが得られる
が摩耗が激しく工業的には難かしい。またセラミックに
ついては上記欠点はないがスケールアップに問題があ
る。 (2)の方法は、結晶阻害物質に高価なものが多く、ま
た添加量も多い事や反応中に激しい発泡を伴なうことが
ある為、経済的、反応操作的に問題がある。 (3)の方法は、得られた銅フタロシアニンの比表面積
が40〜50m2/gと低く、顔料としては着色力不十分
であり、また収率も低い問題がある。さらに、芳香族系
高沸点溶媒とパラフインまたはナフテン系系炭化水素溶
媒との混合溶媒による方法としているが、たとえ混合溶
媒としても不純物が多く、色相が不鮮明である。 さらに(1)〜(3)のいずれも主として親油性の反応
溶媒を用いねばならず、この溶媒の除去にアルコール抽
出、減圧蒸留、水蒸気蒸留等を主とする複雑な工程が付
加され、大幅なコストアップになる。
【0011】以上、(1)、(2)、(3)のいずれの
方法においても十分満足できる方法ではなかった。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、以上の諸
欠点を克服する為、鋭意研究を行った結果、下記の如
く、工業的見地から非常に価値のある微細な銅フタロシ
アニン顔料の直接製造法を見出した。
【0013】すなわち、本発明は無水フタル酸またはそ
の誘導体と、尿素またはその誘導体とを触媒の存在下
に、有機溶媒中あるいはその不存在下、あらかじめ加熱
反応させ中間物を生成させた後、これを単離する事な
く、銅またはその化合物を単独にあるいは尿素またはそ
の誘導体と共に添加し、同時に磨砕助剤となる物質の存
在または不存在下、機械的磨砕力を加えながら反応させ
る事を特徴とする微細な銅フタロシアニン顔料の製造法
である。
【0014】前述の現行の合成工程により得られる銅フ
タロシアニンは粗大な粒子であり、この合成時に同時に
機械的磨砕力を加える事により微細な銅フタロシアニン
が得られるが、反応容器の腐食及び摩耗が非常に激しい
上に、溶出した反応容器成分が反応に関与し、副生成物
(銅以外のフタロシアニン等)を生成し、色相を不鮮明
にすると共に収率を非常に悪くする。
【0015】我々は無水フタル酸またはその誘導体と、
尿素またはその誘導体を触媒の存在下に、有機溶媒中あ
るいはその不存在下であらかじめ加熱反応させたとき、
ステンレス、ハステロイ等の金属反応容器の腐食がほと
んどないという非常に有用な事実を知見した。反応を分
けたことにより、腐食の原因となる水分と金属塩化物と
の共存を避けることができる。なお、本発明において、
一段目または前段の反応で発生する水分を除去すること
が、より好ましい。更に、中間物生成後、銅またはその
化合物を後添加し、機械的磨砕力を加えても銅フタロシ
アニンを生成する過程においても非常に腐食が少ない事
実を知見した。
【0016】従って、この銅またはその化合物を後添加
する方法により従来摩耗は少ないが腐食の為使用出来な
かった材質の使用が可能となり、銅またはその化合物を
後添加して金属フタロシアニンを生成する時、同時に機
械的磨砕力を加えても腐食、摩耗による品質の低下、収
率の悪化及び反応容器寿命の短期化によるコストアップ
をみちびく事なく、通常銅フタロシアニン顔料に要求さ
れる諸性質についてなんら遜色のない非常に微細な銅フ
タロシアニン顔料を直接製造する事が出来た。なお、望
ましくは銅またはその化合物の後添加時に尿素またはそ
の誘導体を共に添加する事によって収率、品質をさらに
向上出来るものである。
【0017】付け加うるに、従来の機械的磨砕力を加え
る直接合成法に比べ、本発明は、同一の機械的磨砕力を
加えた場合の微細化のスピードが速く、費やす動力費が
少なくて済む(図−1参照)。このことは、反応を前段
と後段に分け、前段にて十分銅フタロシアニンを生成す
る環境を整えてから、後段の銅またはその化合物添加に
よる環化反応を行なわせしめているので、従来法に比べ
結晶の種が多量に発生し結晶成長に使われる銅フタロシ
アニン濃度が減少している為と考えられる。
【0018】さらに我々は、無水フタル酸またはその誘
導体と、尿素またはその誘導体とを触媒の存在下にあら
かじめ加熱反応させる前段反応は発泡性が少なく無溶媒
化が可能であることを見出した。つまり、塩化銅等を同
時に添加したのでは、急激な反応が進行し、アンモニア
の発生が激しく、発泡する。ところが、本発明では、前
段反応において急激なアンモニアの発生を伴う塩化銅等
が存在しないため、発泡が少ない。また、従来の方法で
は、発泡等の問題のため、反応溶媒を多量に使用する必
要があったが、本発明では発泡が少なく、反応溶媒の使
用量を減らすことができ、結果として溶媒量に対して反
応物の仕込み量を多くでき、また、反応物濃度が高い
為、反応速度アップにつながり、効率の高い生産技術が
可能である。また銅またはその化合物を後添加して銅フ
タロシアニン顔料を生成する後段反応ではアルコール類
等の親水性溶媒を用いうる事を知見した。
【0019】従って、従来無水フタル酸またはその誘導
体を用いる銅フタロシアニン合成反応において、他の反
応を誘引し銅フタロシアニンが得られない為用いられな
かったアルコール類等の親水性溶媒が使用可能となっ
た。この結果、現行顔料化工程と同等の水洗プロセスに
て溶媒除去が可能であり、前述の動力費が少なくて済む
事を考え合わせると経済的にきわめて価値のある方法が
確立できたと言える。
【0020】本発明の方法に使用する無水フタル酸また
はその誘導体としては、種々の文献で広く知られてお
り、例えばフタル酸およびその塩またはそのエステル、
無水フタル酸、フタルイミド、フタルアミド酸及びその
塩またはそのエステル、フタロニトリル等があり、ま
た、これらの化合物のベンゼン核上に置換基として、た
とえば塩素原子、臭素原子、アルキル基、フェニル基、
スルホン基を有するものも含む。
【0021】また本発明に使用する尿素またはその誘導
体としては、尿素、アンモニア等がある。その使用量は
無水フタル酸又はその誘導体4モルあたり4〜40モル
程度である。
【0022】本発明において使用する銅またはその化合
物としては、例えば金属銅、ハロゲン化第一銅または第
二銅、硫酸銅、水酸化銅、酢酸銅、炭酸銅、酸化銅、シ
アン化銅、リン酸銅、硝酸銅、硫化銅等がある。銅また
はその化合物の使用量は無水フタル酸またはその誘導体
4モルあたり0.8〜1.3モル程度である。
【0023】本発明において使用する触媒としては、例
えばモリブデン酸アンモニウム、酸化モリブデン、リン
モリブデン酸などのモリブデン化合物、四塩化チタン、
チタン酸エステル等のチタン化合物、塩化ジルコニウ
ム、炭酸ジルコニウム等のジルコニウム化合物、酸化ア
ンチモン、酸化ヒ素、ホウ酸等がある
【0024】本発明に使用する有機溶剤は、アルキルベ
ンゼン、アルキルナフタレン、テトラリン等の芳香族炭
化水素;アルキルシクロヘキサン、デカリン、アルキル
デカリン等の脂環式炭化水素;デカン、ドデカン等の脂
肪族炭化水素;ニトロベンゼン、o−ニトロトルエン、
トリフロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタ
レン、ジフェニルエーテル、スルホラン、ジメチルスル
ホキシド、メチルスルホラン、ジメチルスルホラン、N
−メチルピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン等があ
る。また、銅またはその化合物を添加してからの後段反
応に使用する有機溶剤は、前記の溶剤は勿論の事、親水
性溶剤であるブタノール、エチレングリコール、ポリエ
チレングリコール等のアルコール類;エチルセロソル
ブ、ジエチレングリコール等のセロソルブ類;ジメチル
ホルムアミド、ホルムアミド、ジメチルアセトアミド等
がある。使用に際して、これら有機溶媒の単独または2
種以上の混合溶媒として用いる。
【0025】本発明に使用する磨砕助剤は、塩化ナトリ
ウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム等
のアルカリ金属塩、塩化カルシウム、塩化バリウム等の
アルカリ土類金属塩等があり、これら2種以上の混合物
であっても良い。その使用量は無水フタル酸またはその
誘導体に対して1〜12倍重量比程度である。また、好
ましくは磨砕の効率化の為金属ビーズ、セラミックビー
ズを用いると良い。
【0026】なお、必要に応じて反応性を上げる為、塩
化アンモニウム、炭酸アンモニウム等のハロゲン化物
や、アンモニウム塩を加える事ができる。その使用量は
無水フタル酸又はその誘導体4モルに対して、1〜40
モル程度である。
【0027】本発明にて使用する反応容器の材質は、水
洗時の耐腐蝕性、耐摩耗、コスト等を考慮するとステン
レスが好ましく、より高度な耐腐蝕性を考慮するならハ
ステロイが好ましいが上記の特性を満足する材質であれ
ば、ステンレス、ハステロイに限定されるものではな
い。
【0028】本発明に使用する機械的磨砕力を加えられ
る反応容器としては、ニーダー、ボールミル、振動ミ
ル、アトライター、サンドミル、バンバリーミキサー、
2軸押出機等がある。なお、機械的磨砕力は反応の初期
から加えても良いが、消費エネルギーを考慮すると銅ま
たはその化合物を添加し銅フタロシアニンを生成する時
に加える事が好ましい。
【0029】本発明の圧力条件は特に制約はないが、熱
分解の抑制による尿素及びその誘導体の節約および副反
応の抑制による品質の向上を考慮すれば、加圧条件下で
の反応が好ましい。
【0030】本発明の温度条件は150〜250℃が好
ましい。なお、前段反応と後段反応の温度は同一でも同
一でなくてもよい。
【0031】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、顔料に匹
敵する色相、比表面積を有する微細な金属フタロシアニ
ンが、無水フタル酸類を用いた合成反応工程一段のみで
製造できるものであり、従来の粗製銅フタロシアニンを
合成し、ついで複雑な工程を経て長時間多大な動力を費
やし顔料化を行う製造方法に比べ、非常に簡素化され
た、効率的、経済的プロセスであると言える。
【0032】このようにして得られた微細な金属フタロ
シアニン顔料は、樹脂、ワニス、プラスチック等目的に
応じた媒体中へ分散させることにより、塗料、インキ、
プラスチック着色剤等を製造することができる。
【0033】
【実施例】以下に実施例、比較例を挙げる。 実施例1 1リットルSUS316L製アトライターに無水フタル
酸100部、尿素200部、モリブデン酸アンモニウム
1部、ハイゾールP(日本石油化学株式会社製アルキル
ベンゼン)170部を入れ、200℃まで加熱し、反応
させた後、2mmφガラスビーズを充填し、塩化第一銅1
8部を加え、強撹拌下にて210℃、3時間加熱反応す
る。反応終了後、生成物を3000部のメタノールにて
濾過洗浄し、ケーキをさらに2%硫酸3000部中に加
え、80℃、30分間加熱撹拌した後、吸引濾過した。
ケーキを濾液のpHが中性になるまで温湯で十分洗浄した
後乾燥してβ型銅フタロシアニン顔料を得る。収率、純
度、比表面積、腐食、摩耗による顔料中の反応容器材質
の含有率、着色力を測定し、結果を以下の実施例、比較
例とともに一覧表(表1)に示した。
【0034】純度の測定方法としては、乾燥サンプルを
98%硫酸に全量溶解後、7%濃度まで希釈し、析出し
てきた顔料を純粋な銅フタロシアニンとするアシッドペ
ースティング法を用いた。
【0035】着色力の測定方法としては、銅フタロシア
ニン顔料4部、ロジン変性樹脂16部、白ワニス500
部をマーラーにてオイルインキに調製し、測色する方法
を用いた。
【0036】実施例2 実施例1にて、塩化第1銅添加時に200部の塩化ナト
リウムを同時に加える以外は、実施例1と同様な処理を
施し、非常に着色力の高い銅フタロシアニン顔料を得
た。
【0037】実施例3〜4 実施例1にてアトライター材質をSUS316L製から
高ニッケルステンレス(ニッケル含有率25%以上)製
(実施例3)あるいはハステロイC−276製(実施例
4)に変えて、実施例1と同様の処理を施し、銅フタロ
シアニン顔料を製造した。
【0038】実施例5 実施例1にて、無水フタル酸100部をフタルイミド1
00部に、塩化第1銅18部を炭酸銅11.2部及び水
酸化銅8.9部に変え、さらに炭酸アンモニウム70部
を加え、それ以外は実施例1と同様な処理を施し、銅フ
タロシアニン顔料を得た。
【0039】実施例6 実施例1において2mmφガラスビーズを充填した1リッ
トルSUS316L製アトライターを3リットルSUS
316L製テストニーダーに変え、さらに塩化第1銅添
加時に400部の塩化ナトリウムを同時に加え、強撹拌
下にて210℃5時間加熱反応する以外は、実施例1と
同様な処理を施し、非常に着色力の高い銅フタロシアニ
ン顔料を得た。
【0040】実施例7 実施例1において、尿素200部を133部と67部に
分け、初期に133部を加え加熱反応させた後、残りの
67部を塩化第1銅添加時に同時に加え、それ以外は実
施例1と同様の処理を施し、高収率、高純度にて色相鮮
明な銅フタロシアニン顔料を得た。
【0041】実施例8 実施例7において、3〜4kg/cm2 Gの加圧条件下にて
反応を行なえば、尿素初期投入量を133部から100
部に減らしても、さらに高収率、高純度にて色相鮮明な
銅フタロシアニン顔料を得る事ができた。
【0042】実施例9 1リットルSUS316L製アトライターに無水フタル
酸100部、尿素200部、モリブデン酸アンモニウム
1部を入れ、無溶媒中にて200℃まで加熱後、2mmφ
ガラスビーズを充填し、ジエチレングリコール170
部、塩化第1銅18部を加え、強撹拌下にて210℃3
時間加熱反応する。反応終了後、生成物を2%硫酸30
00部中に加え、80℃30分間加熱撹拌した後、吸引
濾過した。ケーキを濾液のpHが中性になるまで温湯で十
分洗浄した後乾燥してβ型銅フタロシアニンを得た。
【0043】実施例10 実施例1において、経時にてサンプリングを行ない、比
表面積の変化を測定し、図−1に微細化速度が大である
事を示した。
【0044】比較例1 市販品の粗製銅フタロシアニン100部、食塩400
部、ジエチレングリコール100部を3リットルSUS
316L製テストニーダーにて90〜95℃を維持しな
がら7時間磨砕した。混合物を2%硫酸中にて80℃3
0分間加熱撹拌した後、吸引濾過し、ケーキを濾液が中
性になるまで湯洗した後、乾燥するという従来の顔料化
法にて現行の銅フタロシアニン顔料を製造した。収率、
純度、比表面積、腐蝕、摩耗による顔料中の反応容器材
質の含有率、着色力を測定し、結果を実施例及び以下の
比較例とともに一覧表(表1)に示した。なお、この銅
フタロシアニン顔料の着色力を100として他の実施
例、比較例の着色力を測定した。
【0045】比較例2 反応を分離せず、2mmφガラスビーズを充填した1リッ
トルSUS316L製アトライターに、無水フタル酸1
00部、尿素200部、モリブデン酸アンモニウム1
部、塩化第1銅18部、ハイゾールP170部を加え、
強撹拌下にて210℃5時間加熱反応させた後、生成物
に対して実施例1と同様な洗浄・濾過・乾燥処理を施こ
した結果、反応容器の腐蝕により収率の低い、色相の汚
れた銅フタロシアニン顔料を得た。
【0046】比較例3〜5 比較例2のアトライター材質を以下の如く変え、それ以
外は比較例2と同様の処理を施こし、銅フタロシアニン
顔料を得た。 比較例3………ハステロイC−276製アトライター 比較例4………チタン製アトライター 比較例5………ガラス製アトライター
【0047】比較例6 1リットルガラスフラスコにおいて無水フタル酸30
部、尿素50部、モリブデン酸アンモニウム1.0重量
%(無水フタル酸に対して)、トリクロルベンゼンとイ
ソパラフィン〔アイソパールM(エッソ製品)〕の混合
溶媒(重量比2:8)90部を加えて懸濁し、撹拌昇温
し、200℃30分間反応させ、次に反応温度170℃
で新たに粉体状の塩化第二銅8.5部を添加し、撹拌し
ながら60分反応させる。反応後得られた生成物を濾過
し、次いでメタノールで洗浄した後、希酸、希アルカリ
で処理し、濾別、水洗、乾燥して若干着色力の劣るβ型
銅フタロシアニンを得た。従って、芳香族系高沸点溶媒
とパラフイン系もしくはナフテン系炭化水素溶媒との混
合溶媒中にて塩化第二銅を後添加するとはいえ、単に攪
拌するだけでは良好なフタロシアニン顔料が得られな
い。
【0048】
【表1】
【0049】比較例7 比較例1において、経時にてサンプリングを行ない、現
行ニーダー法の比表面積の変化を測定し、図1に微細化
速度が小である事を示した。
【0050】比較例8 比較例2において、経時にてサンプリングを行ない、従
来の機械的磨砕力を加える直接合成法での比表面積の変
化を測定し、図1に微細化速度が小である事を示した。
【0051】
【図面の簡単な説明】 図1は微細化速度(時間)と比表面積との関係を示すグ
ラフを表す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清水 英雄 東京都中央区京橋二丁目3番13号 東洋イ ンキ製造株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無水フタル酸またはその誘導体と、尿素
    またはその誘導体とを触媒の存在下に、有機溶媒中また
    はその不存在下、あらかじめ加熱反応させた後、これを
    単離する事なく、銅またはその化合物を単独に、あるい
    は尿素またはその誘導体と共に添加し、同時に磨砕助剤
    となる物質の存在または不存在下、機械的磨砕力を加え
    ながら反応させる事を特徴とする微細な銅フタロシアニ
    ン顔料の製造法。
  2. 【請求項2】 上記前段反応を無溶媒下にて行なった
    後、単離する事なく、親水性溶媒および銅もしくはその
    化合物を単独に、あるいは尿素またはその誘導体と共に
    添加し、同時に磨砕助剤となる物質の存在または不存在
    下、機械的磨砕力を加えながら反応させる事を特徴とす
    る微細な銅フタロシアニン顔料の製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0739951A1 (en) * 1995-04-28 1996-10-30 Toyo Ink Manufacturing Co., Ltd. Process for the production of phthalocyanine pigment
EP0783029A1 (en) * 1996-01-08 1997-07-09 Dainippon Ink And Chemicals, Inc. Production method of beta-type copper phthalocyanine pigment

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EP0739951A1 (en) * 1995-04-28 1996-10-30 Toyo Ink Manufacturing Co., Ltd. Process for the production of phthalocyanine pigment
EP0783029A1 (en) * 1996-01-08 1997-07-09 Dainippon Ink And Chemicals, Inc. Production method of beta-type copper phthalocyanine pigment

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