JPH05125259A - サーモトロピツク液晶ポリマー組成物 - Google Patents

サーモトロピツク液晶ポリマー組成物

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JPH05125259A
JPH05125259A JP3321108A JP32110891A JPH05125259A JP H05125259 A JPH05125259 A JP H05125259A JP 3321108 A JP3321108 A JP 3321108A JP 32110891 A JP32110891 A JP 32110891A JP H05125259 A JPH05125259 A JP H05125259A
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acid
higher fatty
fatty acid
liquid crystal
crystal polymer
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JP3321108A
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Tetsuo Shimizu
徹男 清水
Rikio Kuroda
力雄 黒田
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Eneos Corp
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Nippon Petrochemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 成形、特に射出成形の際にポリマーの可塑化
を安定に行うことができるサーモトロピック液晶ポリマ
ー組成物を提供する。 【構成】 サーモトロピック液晶ポリマー100重量部
に対し、高級脂肪酸金属塩0.001〜5重量部および
高級脂肪酸0.001〜5重量部を配合してなるサーモ
トロピック液晶ポリマー組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、成形、特に射出成形の
際にポリマーの可塑化を安定に行うことができるサーモ
トロピック液晶ポリマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】サーモトロピック液晶ポリマーは、耐熱
性が高いと共に一旦溶融したときの溶融粘度が低く流動
性がよいところから、射出成形や押出成形により、形状
の簡単なものから複雑なものまで各種製品が成形されて
いる。これらの成形は、いずれも通常はスクリュー式押
出機を用いるものである。液晶ポリマーは、上記のよう
に溶融すると低粘度となり、この粘度低下の度合は通常
のポリオレフィン樹脂などよりも著しい。この性質は、
射出成形における金型内部への溶融ポリマーの流動性の
点では好ましい。しかし、その反面、成形機を構成する
スクリュー式押出機内部における可塑化工程において
は、この低粘度に起因して問題が生ずる。すなわち、押
出機のスクリュー溝へ搬送された液晶ポリマーは、可塑
化工程で加熱され、まず部分的にポリマー表面が溶融し
可塑化するが、このとき、可塑化した表面の粘度が極端
に低下してポリマーが極めて滑り易くなる結果、ポリマ
ーの搬送が円滑に行われない。このような現象が生じた
場合、とりわけサーモトロピック液晶ポリマーにおいて
は次のような問題が生じる。すなわち、(1)一定の時
間内に一定量の可塑化ができないため、射出成形の冷却
時間内に可塑化が終了せず、一定のサイクルで成形する
ことが不可能となり、安定した成形品が得られないと同
時に生産性の低下をきたす、(2)スクリューが空転し
て材料の搬送が不十分になり、部分的にスクリューフラ
イトに材料が詰め込まれた状態となり、スクリューの回
転に対して大きな抵抗を生じてトルクオーバーとなり、
最悪の場合スクリューの回転が停止する、(3)材料の
可塑化工程で脱気が十分に行われないため、成形品中に
ボイドが生じたり、成形品が高温にさらされた時などに
ブリスターといわれるふくれ現象が生ずる、などの問題
が発生する。
【0003】一方、サーモトロピック液晶ポリマーは、
比較的多量の充填剤を配合して成形される。その際、充
填剤を所定量配合したポリマー(ペレット)をあらかじ
め造粒し、次にこれを射出成形機に供給するいわば二段
階工程による成形方法が取られている。このような方法
は、多量の充填剤をポリマー中に均一に分散させるため
にも好ましい方法である。所定量の充填剤が配合された
ポリマーを製造する第1の工程においては、ポリマーと
多量の充填剤が押出機内へ供給されるが、押出機内にお
いてポリマーが可塑化する際には多量の充填剤が並存す
るため、前述の好ましくない現象が比較的生じ難い。し
かし、充填剤が配合されたポリマーを用いて成形する第
2の工程においては、前述の現象が生じるのは避けられ
ない。
【0004】従来、一般的なポリマーについてはこのよ
うな現象の発生を抑制するために、適当な添加剤をあら
かじめポリマー中に配合することが行われていた。しか
し、この方法では多量の添加剤を必要とし、かつ製品の
機械的特性や電気特性を劣化させる原因にもなる。しか
も、サーモトロピック液晶ポリマーは一般に溶融温度が
高いので、この高温に耐えて、かつ製品物性に対し影響
が少なく、実用上有効な添加剤は未だ見出されていな
い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上のような事情に鑑
み、本発明は、成形、特に射出成形の際にポリマーの可
塑化を安定した状態で行うことができるサーモトロピッ
ク液晶ポリマー組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、サー
モトロピック液晶ポリマー100重量部、高級脂肪酸金
属塩0.001〜5重量部および高級脂肪酸0.001〜
5重量部からなるサーモトロピック液晶ポリマー組成物
に関するものである。
【0007】以下、本発明を更に詳細に説明する。本発
明でいうサーモトロピック液晶ポリマーとは、溶融時に
光学的異方性を示し、かつ熱可塑性を有するポリマーで
ある。このように溶融時に光学的異方性を示すポリマー
は、溶融状態でポリマー分子鎖が規則的な平行配列をと
る性質を示す。光学的異方性溶融相の性質は、直交偏光
子を利用した通常の偏光検査法により確認することがで
きる。上記液晶ポリマーとしては、例えば、液晶性ポリ
エステル、液晶性ポリカーボネート、液晶性ポリエステ
ルイミド等、具体的には、(全)芳香族ポリエステル、ポ
リエステルアミド、ポリアミドイミド、ポリエステルカ
ーボネート、ポリアゾメチン等が挙げられる。サーモト
ロピック液晶ポリマーは、一般に細長く、偏平な分子構
造からなり、分子の長鎖に沿って剛性が高く、同軸また
は平行のいずれかの関係にある複数の連鎖伸長結合を有
している。本発明において用いるサーモトロピック液晶
ポリマーには、一つの高分子鎖の一部が異方性溶融相を
形成するポリマーのセグメントで構成され、残りの部分
が異方性溶融相を形成しないポリマーのセグメントから
構成されるポリマーも含まれる。また、複数のサーモト
ロピック液晶ポリマーを複合したものも含まれる。
【0008】サーモトロピック液晶ポリマーを構成する
モノマーの代表例としては (A)芳香族ジカルボン酸の少なくとも1種、(B)芳
香族ヒドロキシカルボン酸系化合物の少なくとも1種、
(C)芳香族ジオール系化合物の少なくとも1種、
(D)(D1)芳香族ジチオール、(D2)芳香族チオフ
ェノール、(D3)芳香族チオールカルボン酸化合物の
少なくとも1種、(E)芳香族ヒドロキシアミン、 芳
香族ジアミン系化合物の少なくとも1種等の芳香族化合
物が挙げられる。 これらは単独で用いられる場合もあるが、 多くは
(A)と(C); (A)と(D); (A)、(B)と
(C); (A)、(B)と(E); あるいは(A)、
(B)、(C)と(E)等のように組合せて構成され
る。
【0009】上記(A)芳香族ジカルボン酸系化合物と
しては、テレフタル酸、4,4'−ジフェニルジカルボン
酸、4,4'−トリフェニルジカルボン酸、 2,6−ナフ
タレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン
酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、 ジフェニルエー
テル−4,4'−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−
4,4'−ジカルボン酸、ジフェノキシブタン−4,4'−
ジカルボン酸、 ジフェニルエタン−4,4'−ジカルボ
ン酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテル−3,3'−ジ
カルボン酸、ジフェノキシエタン−3,3'−ジカルボン
酸、ジフェニルエタン−3,3'−ジカルボン酸、 1,6
−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、
またはクロロテレフタル酸、 ジクロロテレフタル酸、
ブロモテレフタル酸、メチルテレフタル酸、ジメチルテ
レフタル酸、エチルテレフタル酸、メトキシテレフタル
酸、エトキシテレフタル酸等で代表される上記芳香族ジ
カルボン酸のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換
体が挙げられる。
【0010】(B)芳香族ヒドロキシカルボン酸系化合
物としては、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ
安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒド
ロキシ−1−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン
酸、または3−メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3,
5−ジメチル−4−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ジメ
チル−4−ヒドロキシ安息香酸、 3−メトキシ−4−
ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロ
キシ安息香酸、6−ヒドロキシ−5−メチル−2−ナフ
トエ酸、6−ヒドロキシ−5−メトキシ−2−ナフトエ
酸、2−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−クロロ
−4−ヒドロキシ安息香酸、 2,3−ジクロロ−4−ヒ
ドロキシ安息香酸、3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ
安息香酸、2,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香
酸、 3−ブロモ−4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒド
キシ−5−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−
7−クロロ−2−ナフトエ酸、 6−ヒドロキシ−5,7
−ジクロロ−2−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカル
ボン酸のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が
挙げられる。
【0011】(C)芳香族ジオールとしては、4,4'−
ジヒドロキシジフェニル、3,3'−ジヒドロキシジフェ
ニル、 4,4'−ジヒドロキシトリフェニル、 ハイドロ
キノン、レゾルシン、2,6−ナフタレンジオール、
4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(4−
ヒドロキシフェノキシ)エタン、3,3'−ジヒドロキシ
ジフェニルエ−テル、1,6−ナフタレンジオール、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)メタン等の芳香族ジオール、
またはクロロハイドロキノン、メチルハイドロキノン、
tert−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノ
ン、メトキシハイドロキノン、フェノキシハイドロキノ
ン、4−クロロレゾルシン、4−メチルレゾルシン等の
芳香族ジオールのアルキル、アルコキシまたはハロゲン
置換体が挙げられる。
【0012】(D1)芳香族ジチオールとしては、ベン
ゼン−1,4−ジチオール、ベンゼン−1,3−ジチオー
ル、2,6−ナフタレン−ジチオール、 2,7−ナフタ
レン−ジチオール等が挙げられる。 (D2)芳香族チオフェノールとしては、 4−メルカプ
トフエノール、3−メルカプトフェノール、6−メルカ
プトフェノール等が挙げられる。 (D3)芳香族チオールカルボン酸としては、 4−メル
カプト安息香酸、3−メルカプト安息香酸、6−メルカ
プト−2−ナフトエ酸、7−メルカプト−2−ナフトエ
酸等が挙げられる。
【0013】(E)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジ
アミン系化合物としては、4−アミノフェノール、N−
メチル−4−アミノフェノール、 1,4−フェニレンジ
アミン、N−メチル−1,4−フェニレンジアミン、N,
N'−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、3−アミ
ノフェノール、3−メチル−4−アミノフェノール、2
−クロロ−4−アミノフェノール、4−アミノ−1−ナ
フトール、4−アミノ−4'−ヒドロキシジフェニル、
4−アミノ−4'−ヒドロキシジフェニルエーテル、4
−アミノ−4'−ヒドロキシジフェニルメタン、4−ア
ミノ−4'−ヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4'
−ジアミノフェニルスルフィド(チオジアニリン)、
4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、2,5−ジアミ
ノトルエン、4,4'−エチレンジアニリン、4,4'−ジ
アミノジフェノキシエタン、 4,4'−ジアミノジフェ
ニルメタン(メチレンジアニリン)、4,4'−ジアミノ
ジフェニルエーテル(オキシジアニリン)等が挙げられ
る。
【0014】本発明で用いるサーモトロピック液晶ポリ
マーは、上記モノマーから溶融アシドリシス法やスラリ
ー重合法等の多様なエステル形成法などにより製造する
ことができる。これらのモノマーから得られるサーモト
ロピック液晶ポリマーのうち、一般式化1で表わされる
モノマー単位を必須成分として含む(共)重合体である
芳香族ポリエステルが好ましい。
【0015】
【化1】
【0016】本発明の特に好ましい全芳香族ポリエステ
ルは、p−ヒドロキシ安息香酸、フタル酸およびビフェ
ノールの3種の化合物からそれぞれ誘導される繰返し単
位を有する化2で表わされるポリエステル、p−ヒドロ
キシ安息香酸およびヒドロキシナフトエ酸の2種の化合
物からそれぞれ誘導される繰返し単位を有する化3で表
わされるポリエステル、またはp−ヒドロキシ安息香酸
およびエチレンテレフタレートの2種の化合物からそれ
ぞれ誘導される繰返し単位を有する化4で表わされるポ
リエステルである。
【0017】
【化2】
【化3】
【化4】
【0018】本発明に使用する高級脂肪酸金属塩を構成
する高級脂肪酸としては、炭素数が10以上、好ましく
は14〜30の高級脂肪酸、 例えばカプリン酸、 ラウ
リン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、
アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、モンタン酸等
の高級脂肪酸が挙げられ、特にステアリン酸が好まし
い。炭素数が10未満の脂肪酸から誘導される金属塩で
は、本発明の効果が少ないので好ましくない。 これら
の金属塩を構成する金属としては、 周期律表の第IA、
IB族または第IIA、IIB族の金属類が用いられる。好
ましい金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム等
のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、バリウム等
のアルカリ土類金属、あるいは亜鉛などが挙げられ、特
にアルカリ土類金属が好ましく用いられる。高級脂肪酸
金属塩の具体例としては、ステアリン酸カルシウム、ス
テアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸
マグネシウム、パルミチン酸カルシウム、パルミチン酸
マグネシウム、パルミチン酸バリウム等が挙げられ、特
にステアリン酸カルシウムが好ましく用いられる。高級
脂肪酸金属塩の配合量は、サーモトロピック液晶ポリマ
ー100重量部当り0.001〜5重量部である。高級
脂肪酸金属塩が 0.001重量部未満では、十分な効果
が得られない。また高級脂肪酸金属塩の配合量が5重量
部を超える場合には、得られた成形品の機械的強度が低
下し、高温にさらされたときなどに成形品の色相が悪化
する。
【0019】本発明に用いられる高級脂肪酸としては、
前述の高級脂肪酸金属塩の高級脂肪酸成分として挙げた
ものが同様に使用される。すなわち、炭素数が10以
上、好ましくは14〜30の高級脂肪酸、例えばカプリ
ン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステ
アリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、モ
ンタン酸等の高級脂肪酸が挙げられ、特にステアリン酸
が好ましく用いられる。炭素数が10未満の脂肪酸で
は、本発明の効果が少ないので好ましくない。併用する
高級脂肪酸および高級脂肪酸金属塩については、それぞ
れの脂肪酸基の種類に特に制限はない。高級脂肪酸金属
塩と高級脂肪酸とは異なる脂肪酸由来のものでもよい
が、実用上は同じ脂肪酸基の酸とそれに対応する金属塩
の組合せが適当である。高級脂肪酸金属塩と高級脂肪酸
を併用することにより、相乗効果が得られ本発明の効果
が得られる。高級脂肪酸の使用量は、サーモトロピック
液晶ポリマー100重量部に対して0.001〜5重量
部である。 0.001 重量部未満では十分な効果が得
られない。5重量部を超えると得られた成形品の機械的
強度が低下し、高温にさらされたときなどに成形品の色
相の悪化が生ずる。また、高級脂肪酸と高級脂肪酸金属
塩との割合は、 重量比で高級脂肪酸金属塩1に対して
高級脂肪酸0.01〜20の範囲が好ましい。なお、高
級脂肪酸金属塩と高級脂肪酸との割合が適当である限
り、高級脂肪酸の部分中和物として得られる高級脂肪酸
金属塩と高級脂肪酸との混合物を利用することができ
る。高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸および高級脂肪酸の
部分中和物としての高級脂肪酸金属塩と高級脂肪酸との
混合物は、市販品として入手できる粉末状のものを適宜
使用することができる。顆粒状または団塊状のものは適
宜粉砕して用いる。
【0020】高級脂肪酸金属塩および高級脂肪酸の他に
別の添加剤を加えて用いることもできるが、あまり多量
に混合すると、これらの共存によって高級脂肪酸金属塩
および高級脂肪酸による本発明の効果が低減あるいは滅
失することがある。従って、他の添加剤の共存量は必要
最少量に抑えるのが好ましい。
【0021】組成物を得る方法は特に限定されず、常法
に従い粉末状の高級脂肪酸金属塩および高級脂肪酸とサ
ーモトロピック液晶ポリマーとをタンブラーミキサー、
ヘンシェルミキサー等の任意の撹拌機を用いて混合した
後、混練機、押出機等で混練するなどの任意の方法で行
うことができる。サーモトロピック液晶ポリマーの形
状、大きさは混合、混練、押出等に供し得るものであれ
ば、任意のものを使用することができる。粉砕粒子、重
合容器から取り出した粉末粒子状のものあるいは適当な
粒径に造粒したもの等いずれも用いられる。高級脂肪酸
金属塩および高級脂肪酸とサーモトロピック液晶ポリマ
ーとの濃縮組成物をあらかじめ製造しておき、これを高
級脂肪酸金属塩および高級脂肪酸もしくはその一方を含
有しないサーモトロピック液晶ポリマーもしくはその組
成物と配合、混練する方法も用いることができる。
【0022】サーモトロピック液晶ポリマーは、許容量
以上の水分を含んでいる場合には、造粒前に水分除去の
ために乾燥を行うことが必要である。粉末状のサーモト
ロピック液晶ポリマーはもちろんであるが、ペレット状
のポリマーの場合も同様である。ポリマーに充填剤が配
合されている場合に、含まれている充填剤が吸湿性であ
るときには特に乾燥する必要がある。上記の乾燥は、水
分の除去を目的とするため、 一般に100℃以上、 例
えば100〜150℃の温度で行われる。
【0023】サーモトロピック液晶ポリマー組成物は、
好ましくは無機または有機充填剤を含む。通常、無機ま
たは有機充填剤の配合量は、サーモトロピック液晶ポリ
マー100重量部当り90重量部以下、好ましくは10
〜80重量部、より好ましくは20〜60重量部であ
る。無機または有機充填剤のうち、特に無機充填剤が重
要であって、サーモトロピック液晶ポリマーの加工性や
成形品の物性等を改良するためにしばしば用いられる。
無機充填剤としては、従来公知の二硫化モリブデン、タ
ルク、マイカ、クレー、セリサイト、炭酸カルシウム、
珪酸カルシウム、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウ
ム、水酸化カルシウム、黒鉛、非晶質炭素、チタン酸カ
リウム、ガラス繊維、炭素繊維、各種ウィスカー等が挙
げられる。
【0024】本発明においては、実用上の物性を改良す
るために無機または有機充填剤の他に各種の添加剤をポ
リマーに配合することができる。このような添加剤とし
て、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、
改質剤等が挙げられる。
【0025】また本発明の目的の範囲内において、サー
モトロピック液晶ポリマーに他の熱可塑性樹脂、例えば
ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ン、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹
脂、ポリスルホン系樹脂等、更には天然ゴム、合成ゴム
等のエラストマーなどを配合することができる。これら
の樹脂類は本発明においては必須の成分ではないが、目
的に応じて、その種類および量を適宜選択することがで
きる。
【0026】これら充填剤、 他の添加剤、 他のポリマ
ー等の配合方法は特に制限されないが、例えばあらかじ
めポリマーにこれらを配合しておく方法、上記の方法で
組成物を得る際に同時に配合する方法、あるいは上記の
方法で組成物を得た後に、粒子状の組成物にこれらを混
合して混練、押出する方法等が挙げられる。
【0027】本発明のサーモトロピック液晶ポリマー組
成物は、従来公知の方法により押出成形、射出成形等の
成形に供せられる。成形設備、成形条件等は、サーモト
ロピック液晶ポリマー用として公知のものを採用するこ
とができる。いずれの成形方法においても、スクリュー
による可塑化工程を利用する押出成形機、射出成形機等
の成形機による成形方法において、本発明の効果が最も
よく発揮される。このような射出成形機の例としては、
いわゆるインラインスクリュー式射出成形機が挙げられ
る。スクリューによる可塑化工程を利用する成形機であ
るならば、いかなる成形機でもよく、例えば、ペレタイ
ザーなどの造粒機でもよい。
【0028】
【作用】サーモトロピック液晶ポリマー組成物から成形
品を得る際に、組成物が成形機内で溶融するとき高級脂
肪酸金属塩と高級脂肪酸が共存することにより、ポリマ
ーと成形機のスクリューとの間の界面状態が改善され、
組成物のスクリューへの食い込み、搬送、可塑化等の問
題点が解決される。また、サーモトロピック液晶ポリマ
ーと充填剤など他の材料との組成物を製造する際に、高
級脂肪酸金属塩および高級脂肪酸を共存させることによ
り上記と同様の作用を生じ、かつ充填剤とポリマーとの
相互作用を改善し均一に分散させる作用を有する。これ
らの作用は、高級脂肪酸金属塩または高級脂肪酸の一方
だけでは達成し難い。
【0029】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。実施例1 サーモトロピック液晶ポリマーとしてポリエチレンテレ
フタレートおよび4−ヒドロキシ安息香酸の重量比
1:4からなる共重合体(熱変形温度120℃ @18.6
kg/cm2)70重量%に、グラスファイバー30重量%、
およびこれらの総量100重量部に対して、ステアリ
ン酸およびステアリン酸カルシウムの重量比1:1から
なる粉末状混合物0.05重量部を加えて配合し、 溶
融、混練、造粒してペレット状のポリマー組成物を製造
した。このポリマー組成物を用いて、常法に従いスクリ
ュー式可塑化機能を備えた射出成形機にホッパーから供
給して、ゲートを介して金型への射出成形を行った。2
0回連続して射出成形を行い、ポリマーの金型への充填
時間の変動率を下記式により求めた。その結果を表1に
示した。 充填時間変動率(%)=(充填時間の標準偏差/平均充
填時間)×100 また、得られた成形品を150℃の高温に3時間さらし
たが、ブリスターの発生は認められなかった。
【0030】実施例2〜5 ステアリン酸およびステアリン酸カルシウムの重量比お
よび配合量を表1に示す通りに変えた以外は実施例1と
同様にして射出成形を行った。それぞれ連続20回の射
出成形を行い、実施例1と同様に充填時間変動率を求め
て、それぞれの結果を表1に示した。また、得られた成
形品を150℃×3時間の高温にさらしたが、いずれも
ブリスターの発生は見られなかった。
【0031】実施例6 高級脂肪酸金属塩として、ステアリン酸カルシウムの代
わりにステアリン酸亜鉛を用いた以外は実施例1と同様
にして行った。その結果を表1に示した。
【0032】実施例7 ステアリン酸およびステアリン酸カルシウムの混合物の
代わりに、ラウリン酸およびラウリン酸カルシウムの混
合物を用いた以外は実施例1と同様にして行った。その
結果を表1に示した。
【0033】比較例1 ステアリン酸およびステアリン酸カルシウムの混合物を
用いなかった以外は実施例1と同様にして行った。連続
20回の射出成形を行い、実施例と同様に充填時間変動
率を求めたところ、充填時間はばらつきが大きく、時に
は冷却時間内にポリマーの充填が終了せず成形性は悪か
った。結果を表1に示した。また、実施例1と同様に得
られた成形品を150℃×3時間の高温にさらした結
果、ゲート付近にブリスターの発生が認められた。
【0034】比較例2 ステアリン酸およびステアリン酸カルシウムの混合物の
代わりに、ステアリン酸カルシウムのみを用いた以外は
実施例1と同様にして行った。その結果を表1に示し
た。実施例と比較して充填時間変動率ははるかに増大し
た。
【0035】比較例3 ステアリン酸およびステアリン酸カルシウムの混合物の
代わりに、ステアリン酸のみを用いた以外は実施例1と
同様にして行った。その結果を表1に示した。実施例と
比較して充填時間変動率がはるかに増大している。
【0036】
【表1】
【0037】
【発明の効果】本発明の組成物を用いることにより、サ
ーモトロピック液晶ポリマーの可塑化成形において以下
の諸点が改良される。 (1)一定の時間内に一定量の可塑化ができるため、一
定のサイクルで成形することが可能となり、安定した成
形品が得られると同時に生産性が向上する。 (2)材料の搬送が円滑に行われるので、スクリューフ
ライトに材料が詰め込まれた状態によるトルクオーバー
やスクリュー回転の停止が生じない。 (3)可塑化工程で脱気が十分に行われるので、成形品
にボイドを生じたり、成形品が高温にさらされた時にブ
リスターを生じることがない。 (4)高級脂肪酸金属塩および高級脂肪酸は、使用量が
少量であっても上記の効果を奏するので、これらの添加
剤に起因する成形品の物性に対する影響を最小限にする
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 79/08 LRB 9285−4J

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 サーモトロピック液晶ポリマー100重
    量部、高級脂肪酸金属塩0.001〜5重量部および高
    級脂肪酸0.001〜5重量部からなるサーモトロピッ
    ク液晶ポリマー組成物。
  2. 【請求項2】 前記サーモトロピック液晶ポリマー組成
    物が、充填剤を該ポリマー100重量部当り0〜90重
    量部含むものである請求項1に記載のサーモトロピック
    液晶ポリマー組成物。
JP3321108A 1991-11-08 1991-11-08 サーモトロピツク液晶ポリマー組成物 Pending JPH05125259A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6702956B2 (en) 2001-06-28 2004-03-09 Sumitomo Chemical Company, Limited Liquid crystal polyester resin mixture

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