JPH05125002A - フツ素置換シクロヘキサン誘導体とそれを含有する液晶組成物 - Google Patents

フツ素置換シクロヘキサン誘導体とそれを含有する液晶組成物

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JPH05125002A
JPH05125002A JP28638091A JP28638091A JPH05125002A JP H05125002 A JPH05125002 A JP H05125002A JP 28638091 A JP28638091 A JP 28638091A JP 28638091 A JP28638091 A JP 28638091A JP H05125002 A JPH05125002 A JP H05125002A
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JP
Japan
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liquid crystal
compound
crystal composition
phase
formula
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Application number
JP28638091A
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English (en)
Inventor
Masashi Osawa
政志 大沢
Sadao Takehara
貞夫 竹原
Kayoko Nakamura
佳代子 中村
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 一般式(I) 【化1】 (式中、R1及びR2;炭素原子数1〜18のアルキル
基、X;−O−又は単結合)で表わされる化合物。 【効果】 この一般式(I)の化合物は、低粘性で且つ
液晶性が高い。更にこの化合物を含有する強誘電性液晶
組成物は高速応答が可能で、温度範囲が広く、配向性に
優れる。従って、液晶表示素子の材料として有用であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
【0002】本発明は電気光学的表示材料として有用な
液晶化合物とそれを含有する液晶組成物に関する。
【0003】
【従来の技術】現在、広く用いられている液晶表示素子
は、主にネマチック液晶を利用したTN型、あるいはS
TN型と呼ばれるものであり、多くの利点を有している
ものの、その応答性においてはCRT等の発光型の表示
方式と比較すると格段に遅いという大きな欠点があり、
そのためにその応用に大きな制限があった。その他の液
晶表示方式もいろいろと検討されているが、その応答性
における改善は余りなされていないのが実情である。
【0004】ところが、最近見いだされた強誘電性キラ
ルスメクチック液晶を利用した液晶表示素子において
は、従来のTN型などの表示素子の100倍以上の高速
応答が可能となった。更に、双安定性を有するため、電
源を切っても表示の記憶が得られることが明らかになっ
た。このため、大画面高解像度ディスプレイ、薄型テレ
ビ、光シャッター、プリンターヘッド等への利用可能性
が大きく、現在、その実用化に向けて活発に開発研究が
なされている。
【0005】強誘電性液晶の液晶相は、チルト系のキラ
ルスメクチック相に属するが、その中でも最も低粘性の
キラルスメクチックC(以下、SC*と省略する。)相
が実用上望ましい。既に数多くのSC*相を示す液晶化
合物(以下、SC*化合物という。)が合成され、検討
されているが、強誘電性液晶表示用光スイッチング素子
として用いるのに十分な性質を有するものは未だ知られ
ていない。
【0006】従って、他の液晶化合物と混合して、SC
*相を示す液晶組成物(以下、SC*液晶組成物とい
う。)として用いられている。このようなSC*液晶組
成物の検討は活発に行われており、現在では、キラルで
ないスメクチックC(以下、SCと省略する。)相を示
す母体液晶に、光学活性化合物からなるキラルドーパン
トを添加する方式が一般的である。これによって高速応
答性、良好な配向性、広い駆動温度範囲等の特性を合わ
せ持つSC*液晶組成物が得られるようになってきた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】しかしながら、前記のSC*液晶組成物
は、その応答性においてはまだ充分とはいい難く、更に
高速応答性が望まれているのが実情である。
【0009】強誘電性液晶において応答を高速化するに
は液晶材料の自発分極を大きくするか、粘度を小さくす
る必要があることは知られている。しかしながら、この
うち自発分極についてはあまり大きくするとメモリー性
等に悪影響を与える傾向があるため、ある程度以上に大
きくできないのが実情である。
【0010】そこで、液晶材料の粘度を小さくする必要
があるが、そのためには、前記SC*液晶組成物の大部
分を占めるSC相を示す母体液晶(以下、SC母体液晶
と省略する。)の粘度を小さくすることが最も重要であ
る。
【0011】SC母体液晶の粘度を小さくするために
は、非常に粘度の小さい液晶化合物を、いわゆる減粘液
晶として添加することが非常に有効である。(特開平2
−88692号公報)
【0012】ところが、このような減粘液晶は、そのほ
とんどがSC相を示さないので、減粘液晶を添加するこ
とにより、液晶組成物の応答性は確かに向上するが、そ
のSC相の温度範囲を狭くしてしまうという問題点があ
った。
【0013】本発明が解決しようとする課題は、粘性の
非常に小さい化合物であって、SC母体液晶に添加した
際に、液晶組成物のSC相の温度範囲をあまり狭くしな
い化合物を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
【0015】本発明は前記課題を解決するために、一般
式(I)
【0016】
【化2】
【0017】(式中、R1及びR2は各々独立的に、炭素
原子数1〜18のアルキル基を表わすが、好ましくは炭
素原子数6〜12の直鎖状アルキル基を表わす。Xは−
O−又は単結合を表わすが、好ましくは−O−を表わ
す。)で表わされる化合物を提供する。
【0018】更に本発明はこの一般式(I)で表わされ
る化合物を含有する液晶組成物を提供する。
【0019】本発明の液晶組成物は、一般式(I)で表
わされる化合物の少なくとも1種を構成成分として含有
するものであり、特に好ましくは、一般式(I)の化
合物を含有するSC母体液晶及び光学活性化合物から
なるキラルドーパントからなる強誘電性液晶組成物であ
る。
【0020】更に本発明は、この液晶組成物を構成要素
とする液晶表示素子を提供する。
【0021】本発明の一般式(I)で表わされる化合物
は新規の化合物であり、例えば、以下のようにして製造
することができる。
【0022】即ち、一般式(II)
【0023】
【化3】
【0024】(式中、R1及びXはそれぞれ一般式
(I)におけると同じ意味をもつ。)で表わされるグリ
ニヤール化合物を反応させることにより、一般式(II
I)
【0025】
【化4】
【0026】で表わされる1,4−ジ置換シクロヘキサ
ノール誘導体を得て、これを三フッ化ジエチルアミノ硫
黄(DAST)等のフッ素化剤と反応させることによ
り、本発明の一般式(I)
【0027】
【化5】
【0028】で表わされる化合物を得ることができる。
【0029】斯くして得られる一般式(I)で表わされ
る化合物の代表的なものの例として、R1及びR2が共に
オクチル基である式(I−a)の化合物の相転移温度を
以下に示す。
【0030】
【化6】
【0031】(上記中、Crは結晶相を、SBはスメク
チックB相を、Iは等方性液体相をそれぞれ表わし、相
転移温度は℃を表わす。)
【0032】また、比較のために、式(I−a)の化合
物と側鎖が同一であり、類似構造を有するが、シクロヘ
キサン環に直接結合するフッ素原子を持たない式(IV
−a)の化合物の相転移温度を以下に示す。
【0033】
【化7】
【0034】(上記中、Crは結晶相を、SBはスメク
チックB相を、Iは等方性液体相をそれぞれ表わし、相
転移温度は℃を表わす。)
【0035】この式(IV−a)の化合物、あるいはこ
の化合物の側鎖のアルキル鎖が異なっただけの同族体は
非常に低粘性の化合物であり、減粘液晶としてSC母体
液晶に添加することにより、その粘性を大きく低下させ
ることが知られている。従って、これにキラルドーパン
トを加えて、応答性を大きく改善することができる強誘
電性液晶組成物を得ることができる。
【0036】しかしながら、この式(IV−a)の化合
物をSC母体液晶に添加すると、SC相の上限温度が大
きく低下してしまい、そのためにその使用量が制限され
るという欠点があった。
【0037】ところが、上記の相転移温度から明らかな
ように、本発明に係わる式(I−a)の化合物は、公知
の式(IV−a)の化合物に比べて液晶性が向上し、液
晶相の上限温度が大きく上昇していることが理解でき
る。
【0038】一般に液晶化合物における側方置換基の導
入は、液晶性を低下させる場合が多いが、本発明に係わ
る式(I−a)の化合物は、驚くべき高い液晶性を示し
ていることが明らかである。
【0039】本発明の一般式(I)で表わされる誘導体
は、SB相という非チルト系のスメクチック相のみを示
し、SC相を示さない。しかしながら、SC母体液晶に
添加した場合に、そのSC相の上限温度の低下はわずか
であることは、以下に示す例からも明らかである。
【0040】まず、フェニルピリミジン誘導体からなる
以下の組成のSC母体液晶(B−a)
【0041】
【化8】
【0042】を調製した。このSC母体液晶(B−a)
は、67.5℃以下でSC相を示し、71.5℃以下で
SA相を示し、80.5℃以下でN相を示した。
【0043】このSC母体液晶(B−a)85重量%及
び本発明の式(I−a)の化合物15重量%からなるS
C母体液晶(B−1)を調製したところ、SC相の上限
温度は59℃であった。
【0044】このSC母体液晶(B−1)において、式
(I−a)の化合物に代えて、式(IV−a)の化合物
15重量%を用いたSC母体液晶(B−2)を調製した
ところ、SC相の上限温度は54℃であった。
【0045】このことから、本発明の式(I−a)の化
合物は式(IV−a)の化合物に比べて、SC相の上限
温度をあまり低下させないことが理解できる。
【0046】しかも、式(I−a)の化合物は式(IV
−a)の化合物と比べて、やや低粘性である。また、後
述するように、SC母体液晶(B−1)を用いた強誘電
性液晶組成物は、SC母体液晶(B−2)を用いた場合
と同程度以上の高速応答性を示す。
【0047】本発明の液晶組成物に使用できるSC母体
液晶の構成成分としては、比較的室温に近い温度域でS
C相を示す化合物(以下、SC化合物と省略する。)と
して、下記に示す一般式(Va)で表わされるフェニル
ピリミジン誘導体、一般式(Vb)で表わされるフェニ
ルピリジン誘導体、一般式(Vc)で表わされるフェニ
ルピラジン誘導体、一般式(Vd)で表わされるフッ素
置換ビフェニル誘導体あるいは一般式(Ve)で表わさ
れるフェニルベンゾエート誘導体
【0048】
【化9】
【0049】(式中、Ra及びRbは各々独立的に、アル
キル基、アルコキシル基又はアルケニルオキシ基を表わ
すが、少なくとも一方はアルコキシル基又はアルケニル
オキシ基を表わす。)等を挙げることができる。
【0050】これらのうち、一般式(Va)で表わされ
るフェニルピリミジン誘導体において、Raが直鎖状ア
ルキル基、Rbがアルコキシル基又はアルケニルオキシ
基である化合物が特に好ましい。
【0051】また、高温域までSC相を示す化合物とし
ては、下記に示す一般式(VIa)で表わされるフッ素
置換ピリミジン誘導体、一般式(VIb)で表わされる
ビフェニリルピリミジン誘導体、一般式(VIc)で表
わされるターフェニル誘導体、一般式(VId)で表わ
されるフッ素置換オキシメチレン化合物あるいは一般式
(VIe)で表わされるピリミジン誘導体
【0052】
【化10】
【0053】(式中、Rc及びRdは各々独立的に、アル
キル基又はアルコキシル基を表わすが、少なくとも一方
はアルキル基を表わし、m及びnは各々独立的に、0又
は1を表わす。)等を挙げることができる。
【0054】本発明の液晶組成物は、上記の化合物を主
成分とするSC母体液晶中に、一般式(I)で表わされ
る化合物を2〜35重量%含有することが好ましいが、
あまり少量ではその効果が少なく、またあまり多量に用
いるとSC相の温度範囲を低くし過ぎる傾向を有するの
で、より好ましくはSC母体液晶中に5〜25重量%含
有することが望ましい。
【0055】こうして得られた一般式(I)で表わされ
る化合物を含有するSC母体液晶に、光学活性化合物か
らなるキラルドーパントを添加することにより、本発明
に係わるSC*液晶組成物を得ることができる。
【0056】ここでキラルドーパントとして用いる光学
活性化合物としては、必ずしもSC*相を示す必要はな
く、また、液晶相すら示す必要もないが、SC化合物と
比べると粘性の大きい化合物が多いので、その使用量は
あまり多くないことが好ましい。
【0057】従って、少量の添加でも充分大きな自発分
極を誘起できる化合物が好ましく、そのためには分子内
に大きい双極子モーメントを有する基が、不斉中心及び
液晶分子の中心骨格(コア)に近接していることや、複
数の不斉中心を有することが好ましい。
【0058】斯くして本発明の液晶組成物が得られる
が、本発明のSC*液晶組成物の特徴は、その応答が非
常に高速であることである。
【0059】前述のSC母体液晶(B−a)80重量%
及び下記の組成からなるキラルドーパント(P)
【0060】
【化11】
【0061】(式中、Prはn−プロピル基を表わ
す。)20重量%からなるSC*液晶組成物(M−a)
は、67℃以下でSC*相を示し、その25℃における
応答は47μ秒であった。
【0062】次に、本発明の式(I−a)の化合物を含
有するSC母体液晶(B−1)80重量%及び前述のキ
ラルドーパント(P)20重量%からなるSC*液晶組
成物(M−1)では、その応答は25℃で34μであ
り、SC*液晶組成物(M−a)と比べてかなり高速で
あった。
【0063】このことから、本発明の液晶組成物は応答
が速く、非常に低粘性であることが明らかである。ま
た、本発明のSC*液晶組成物(M−1)のSC*相の上
限温度は60℃と高く、SC*液晶組成物(M−a)と
比べてあまり低下していないことがわかる。
【0064】このため、本発明の強誘電性液晶組成物
は、実際の表示用デバイス作成上、非常に好適な液晶材
料である。
【0065】これに対して、式(IV−a)の化合物を
含有するSC母体液晶(B−2)80重量%及び前記の
キラルドーパント(P)20重量%からなるSC*液晶
組成物(M−2)は、55.5℃以下でSC*相を示
し、その25℃における応答は35μ秒であった。
【0066】このことから、本発明の式(I−a)の化
合物を用いることにより、公知の式(IV−a)の化合
物を用いた場合よりも温度範囲が広く、同程度以上の高
速応答性を示す液晶組成物を得られることが理解でき
る。
【0067】また、本発明は前述のように液晶表示素子
をも提供するが、特に上記の強誘電性液晶組成物を用い
た高速応答性表示素子を提供する。
【0068】本発明に係わる液晶表示素子は、本発明の
SC*液晶組成物を、2枚の透明ガラス電極間に1〜2
0μm、好ましくは1.5〜10μm程度の薄膜として
封入することにより、表示用素子として使用できる。素
子として良好なコントラストを得るためには、均一に配
向したモノドメインとする必要がある。このため多くの
方法が試みられているが、良好な配向性を示すためには
液晶材料としては、高温側からI相−N*(キラルネマ
チック)相−SA相−SC*相という相系列を示し、N*
相及びSC*相における螺旋ピッチを大きくすることが
必要であるといわれている。
【0069】一般に、螺旋ピッチは用いるキラルドーパ
ントに依存するのに対し、液晶組成物の相系列は用いる
全ての化合物に依存するとされている。減粘液晶として
用いることができる低粘性の化合物は、液晶組成物のS
A相を拡大し、N*相を消失させやすい傾向を有するも
のが多いが、本発明の一般式(I)で表わされる化合物
は特定の相を消失させたり、あるいは拡大したりする傾
向はほとんどないので、本発明の強誘電性液晶組成物に
おいて所望の相系列を得ることは容易である。
【0070】
【実施例】
【0071】以下に実施例をあげて本発明を具体的に説
明するが、本発明の主旨及び適用範囲はこれらの実施例
によって制限されるものではない。
【0072】実施例において、化合物の構造は核磁気共
鳴スペクトル(NMR)、赤外吸収スペクトル(I
R)、質量スペクトル(MS)等により決定した。ま
た、相転移温度の測定は温度調節ステージを備えた偏光
顕微鏡及び示差走査熱量計(DSC)を併用して行っ
た。また、組成物中における「%」はすべて「重量%」
を表わす。
【0073】(実施例1) 1−(4−オクチルオキシ
フェニル)−4−フルオロ−4−オクチルシクロヘキサ
ン(式(I−a)の化合物)の合成
【0074】シクロヘキサン−1,4−ジオンのモノエ
チレンアセタールと臭化4−オクチルオキシフェニルマ
グネシウムと反応させた後、脱水、水素添加し、次いで
アセタール基を加水分解することによって、4−(4−
オクチルオキシフェニル)シクロヘキサノンを得た。
【0075】この4−(4−オクチルオキシフェニル)
シクロヘキサノン4.62gをテトラヒドロフラン(T
HF)40mlに溶解した。この溶液に4−オクチルオ
キシ−1−ブロモベンゼン4.43g及び金属マグネシ
ウム0.70gから調製したグリニヤール化合物の40
mlTHF溶液を室温で加え、更に3時間反応させた。
反応終了後、1N塩酸を加え、反応生成物をエーテルで
抽出し、抽出液を水及び飽和食塩水で洗滌した後、有機
層を無水硫酸ナトリウムで脱水した。この有機層の溶媒
を減圧下で溜去して、1−(4−オクチルオキシフェニ
ル)−4−オクチルシクロヘキサン−1−オールの粗製
物4.50gを得た。更にこの粗製物をカラムクロマト
グラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=10
/1)を用いて精製して、精製物の結晶1.67gを得
た。
【0076】この1−(4−オクチルオキシフェニル)
−4−オクチルシクロヘキサン−1−オール1.42g
をジクロロメタン15mlに溶解し、−40℃で三フッ
化ジエチルアミノ硫黄(DAST)0.43gの2ml
溶液を5分間で滴下した。滴下終了後、室温で2時間反
応させた後、反応液にエーテル及び水を加え、水層から
反応生成物をエーテルで抽出し、この抽出液を有機層に
加えた。有機層を水及び飽和食塩水で洗滌した後、無水
硫酸ナトリウムで脱水し、次いで、溶媒を減圧下で溜去
して粗製物1.20gを得た。更にこの粗製物をカラム
クロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチ
ル=10/1)を用いて精製し、更にエタノールから再
結晶させて精製して、1−(4−オクチルオキシフェニ
ル)−4−フルオロ−4−オクチルシクロヘキサンの結
晶0.70gを得た。
【0077】この化合物の融点は57.6℃であり、7
4.7℃までSB相を示した。1 H NMR:0.89(t,6H),1.28〜1.9
9(m,34H),2.41(m,1H),3.92
(t,2H),6.82(d,2H),7.14(d,
2H) IR:1620,1520,1250,1180,83
0cm-1
【0078】(実施例2) 液晶組成物の調製
【0079】
【化12】
【0080】からなるSC母体液晶(B−a)を調製し
た。
【0081】この液晶組成物は67.5℃以下でSC相
を、71.5℃以下でSA相を、80.5℃以下でN相
をそれぞれ示した。また、その融点は13℃であった。
【0082】次に、このSC母体液晶(B−a)85%
及び実施例1で得られた
【0083】
【化13】
【0084】の化合物15%からなるSC母体液晶(B
−1)
【0085】
【化14】
【0086】を調製した。この液晶組成物は58.5℃
以下でSC相を示し、71℃以下でSA相を、79℃以
下でN相をそれぞれ示した。
【0087】このSC母体液晶(B−1)80%及び以
下の組成からなるキラルドーパント(P)
【0088】
【化15】
【0089】(式中、Prはn−プロピル基を表わ
す。)20%からなるSC*液晶組成物(M−1)を調
製した。
【0090】このSC*液晶組成物は60℃までSC*
を、70.5℃までSA相を、72℃までN*相を、そ
れぞれ示した。
【0091】(実施例3) 液晶表示素子の作成 実施例2で得られたSC*液晶組成物(M−1)を用い
て、以下の手順で液晶表示素子を作成した。
【0092】まず、EHC社より市販されているITO
蒸着ガラス板(電極面積70mm2)を洗浄、乾燥した。
これにポリイミド形成溶液「PIQ」(日立化成工業社
製)をスピナー塗布機で塗布し、ポリイミド被膜を形成
した(基板A)。
【0093】同様にして、グラスファイバーのスペーサ
ーを混合した、上記のポリイミド形成溶液を用いて、ス
ペーサーを含んだポリイミド被膜を形成した(基板
B)。
【0094】基板A及び基板Bをナイロン布でラビング
処理を施した後、一方の基板に熱硬化型エポキシ接着剤
を塗布して、基板A及び基板Bをそのラビング方向が互
いに平行かつ逆向きになるように重ね合わせ、80℃で
3時間放置し、硬化させ、セルを作成した。
【0095】こうして作成したセルに、上記のSC*
晶組成物(M−1)を加熱して等方性液体相とした状態
で注入し、次いで、1分間に1℃の割合で徐冷を行い、
*相、SA相、SC*相を順次配向させ、液晶表示素子
を得た。得られた液晶表示素子のセル厚を測定したとこ
ろ、2.0μmであった。
【0096】このセルに電界強度10Vp-p/μmの矩
形波を印加してその電気光学的応答速度を測定したとこ
ろ、25℃で34μ秒という高速応答が確認できた。こ
の時の自発分極は19.7nC/cm2であり、チルト
角は25.8゜であった。また、コントラストは良好で
あった。
【0097】(比較例1)実施例1において、SC母体
液晶(B−1)を用いる代わりに、SC母体液晶(B−
a)を用い、この液晶組成物80%及びキラルドーパン
ト(P)20%からなるSC*液晶組成物(M−a)を
調製した。
【0098】このSC*液晶組成物(M−a)は67℃
までSC*相を、69.5℃以下でSA相を、76℃以
下でN*相をそれぞれ示した。
【0099】実施例1と全く同様にして測定した電気光
学的応答速度は、25℃において47μ秒であった。ま
た、このときの自発分極は21.7nC/cm2であ
り、チルト角は27.6゜であった。
【0100】このように、SC*液晶組成物(M−a)
は、SC*液晶組成物(M−1)に比べてSC*相の温度
範囲は高温域に広がったが、その応答性がかなり低下し
た。
【0101】(比較例2)SC母体液晶(B−a)85
%及び実施例1で得られた式(I−a)の化合物と側鎖
が同一であり、類似構造を有するが、シクロヘキサン環
に直接結合するフッ素原子を持たない式(IV−a)
【0102】
【化16】
【0103】の化合物15%からなるSC母体液晶(B
−2)を調製した。
【0104】この液晶組成物のSC相の上限温度は54
℃であり、SC液晶組成物(B−1)と比べてかなり低
くなった。
【0105】このSC液晶組成物(B−2)80%及び
前述のキラルドーパント(P)20%からなるSC*
晶組成物(M−2)を調製した。
【0106】この液晶組成物は、55.5℃以下でSC
*相を、68℃以下でSA相を、71℃以下でN*相をそ
れぞれ示した。
【0107】実施例1と全く同様にして測定した電気光
学的応答速度は、25℃において35μ秒であった。ま
た、このときの自発分極は18.5nC/cm2であ
り、チルト角は24.2゜であった。
【0108】このように、SC*液晶組成物(M−2)
は、その応答性においてはSC*液晶組成物(M−1)
とあまり変わらなかったが、そのSC*相の上限温度は
かなり低くなった。
【0109】
【発明の効果】本発明の一般式(I)で表わされる化合
物は、SC母体液晶に添加することにより、SC相の上
限温度を低くすることがほとんどないので、広い温度範
囲でSC*相を示す強誘電性液晶組成物を容易に調製す
ることができる。
【0110】しかも、この液晶組成物は低粘性であるの
で、40μ秒以下という高速応答が可能である。
【0111】従って、本発明の一般式(I)で表わされ
る化合物は、表示用光スイッチング素子の構成材料とし
て極めて有用である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (式中、R1及びR2は各々独立的に、炭素原子数1〜1
    8のアルキル基を表わし、Xは−O−又は単結合を表わ
    す。)で表わされる化合物。
  2. 【請求項2】 一般式(I)において、R1及びR2が各
    々独立的に、炭素原子数6〜12の直鎖状アルキル基を
    表わし、Xが−O−を表わす化合物である請求項1記載
    の化合物。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の一般式(I)で表わされ
    る化合物を含有する液晶組成物。
  4. 【請求項4】 キラルスメクチック相を示し、強誘電性
    を有する請求項3記載の液晶組成物
  5. 【請求項5】 請求項3又は4記載の液晶組成物を構成
    要素とする液晶表示素子。
JP28638091A 1991-10-31 1991-10-31 フツ素置換シクロヘキサン誘導体とそれを含有する液晶組成物 Pending JPH05125002A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5968410A (en) * 1997-07-30 1999-10-19 Merck Patent Gesellschaft Mit Beschrankter Haftung Fluorocyclohexane derivatives, and liquid-crystalline medium

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