JPH05124534A - 車両の操舵装置 - Google Patents

車両の操舵装置

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JPH05124534A
JPH05124534A JP29272291A JP29272291A JPH05124534A JP H05124534 A JPH05124534 A JP H05124534A JP 29272291 A JP29272291 A JP 29272291A JP 29272291 A JP29272291 A JP 29272291A JP H05124534 A JPH05124534 A JP H05124534A
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JP
Japan
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steering
pinion
motor
gear
crankshaft
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Application number
JP29272291A
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English (en)
Inventor
Fumiaki Murakami
文章 村上
Hajime Suguro
肇 勝呂
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Denso Corp
Original Assignee
NipponDenso Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 操舵角を増大させる必要のない運転状態や、
システムの一部に故障が生じたときにも、操舵状態を安
定させること。 【構成】 操向車輪のリンク機構に出力回転を与える内
歯車1と、内歯車1に対して内接状態で噛み合って偏心
運動を行う大径のピニオン2と、ピニオン2を軸承する
ために偏心軸部7aを有するクランク軸7と、クランク
軸7を駆動するモータ8と、モータ8を駆動制御する制
御装置12と、ピニオン2とステアリングホイール3か
らの入力軸4とを直接に接続する段違い軸継手5と、ク
ランク軸7に設けられ制御装置12によって作動されて
ピニオン2の公転を拘束する電磁ブレーキ16とを備え
ていることを特徴とする車両の操舵装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両の操舵装置に係る
もので、特に、走行条件に応じてステアリング・ギヤ比
を変化させることができる操舵装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】一般に使用されている車両においては、
運転者が操作するステアリングホイールの操舵角と操向
車輪(多くは前輪)の実舵角との比(操舵角/実舵角)
であるステアリング・ギヤ比は、車速等の走行条件に関
係なく一定であるものが多い。しかし、車速が低い状態
での車庫入れや急旋回等の場合には、ステアリングホイ
ールを回転させる角度が大きく、運転者に大きな労力を
強いることになるので、低速運転状態においてはステア
リング・ギヤ比は小さい方がよいが、その反面、ステア
リング・ギヤ比が小さいと、車速が高い状態では実舵角
を比較的小さく変化させても車両の走行方向が大きく変
化するので、直進性とか走行安定性の保持という面か
ら、中高速運転状態においてステアリング・ギヤ比を小
さくすることには問題がある。
【0003】そこで、低速運転状態ではステアリング・
ギヤ比を従来よりも小さくして運転者の労力を軽減する
と共に、中ないし高速運転状態においてはステアリング
・ギヤ比を従来と同程度の大きさまで戻して直進性や走
行安定性を確保するという方法が考えられ、ステアリン
グ・ギヤ比を車速等の走行条件に応じて可変とする試み
がなされて来た。例えば特開昭64−247168号公
報には、そのような車速感応型の操舵装置の一例が記載
されている。
【0004】従来の車速感応型操舵装置においては、中
央のサンギヤと外周のリングギヤとの間に、それら両者
に対して同時に噛み合う複数個の小さなピニオンギヤを
キャリヤによって軸承してなる複雑な構造の遊星歯車機
構を利用し、サンギヤにステアリングホイールの回転を
入力すると共に、別の減速機構によってステッピングモ
ータの回転を減速してからキャリヤに入力することによ
って、加え合わせられた回転をリングギヤから出力回転
として取り出し、それを操向車輪のタイロッドを含むリ
ンク機構に伝えるように構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の車速感応型操舵
装置は、部品点数が多く構造が複雑な遊星歯車機構を利
用しているため伝動効率が比較的低く、摩擦抵抗も大き
くて運転者が比較的大きな操舵力を加える必要があるの
と、遊星歯車機構の減速比が小さいため、ステッピング
モータの回転をそのまま遊星歯車機構のキャリヤに加え
ることができず、別の減速機構を介してステッピングモ
ータの回転を加えるとか、リングギヤを大型化する必要
があり、機構が更に複雑になるとか、或いは大型で高価
なものになるという問題があった。
【0006】更に、従来の車速感応型操舵装置において
は、車速が高い時に、コントローラによるステッピング
モータの駆動を停止し、ステアリング・ギヤ比を大きく
した場合や、コントローラ或いはステッピングモータ等
が故障したような場合には、ステッピングモータの停止
によって遊星歯車機構のキャリヤの回転やピニオンギヤ
の公転も停止すべきであるが、ステアリング装置の入力
軸及び出力軸に作用する外力によってステッピングモー
タが逆に駆動されてしまい、キャリヤが停止位置から動
かされるというような、所謂非制御状態に陥る恐れがあ
る。その結果、車両の走行中に操舵状態が不安定になる
ことも考えられ、車両の安全性という点から問題が残
る。本発明は、従来技術のこれらの問題に対処し、構造
が簡単で安全性の高い小型の操舵装置を提供することを
目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は前記の課題を解
決するために、操向車輪のリンク機構に出力回転を与え
る内歯車と、前記内歯車に対して内接状態で噛み合って
偏心運動を行う大径のピニオンと、前記ピニオンを軸承
するために偏心軸部を有するクランク軸と、前記クラン
ク軸を駆動するモータと、前記モータを駆動制御する制
御装置と、前記ピニオンとステアリングホイールからの
入力軸とを直接に接続する段違い軸継手と、前記クラン
ク軸に設けられ前記制御装置によって作動されて前記ピ
ニオンの公転を拘束する電磁ブレーキとを備えているこ
とを特徴とする車両の操舵装置を提供する。
【0008】
【作用】例えば車速が高いとき、制御装置によってモー
タを停止させると、運転者によるステアリングホイール
の回転はピニオンの自転運動だけをもたらし、ピニオン
と内歯車との噛み合いによって、自転速度よりも僅かに
減速された回転が内歯車に取り出される。しかし、例え
ば車速が低いときに制御装置によってモータを駆動し、
クランク軸を回転させると、モータの回転は大幅に減速
されてピニオンに公転運動を与えるので、ピニオンは自
転に加えて公転分を付加される結果、内歯車には大きな
出力回転角が取り出される。
【0009】本発明においては特に、制御装置によって
作動されてピニオンの公転を拘束する電磁ブレーキをク
ランク軸に設けるので、操舵角を増大させる必要がある
時には、電磁ブレーキによるクランク軸の拘束を解くの
で、前述のような作用が行われれて、内歯車に大きな出
力回転角が取り出されるが、操舵角を増大する必要がな
い時は、電磁ブレーキによってクランク軸を拘束し、外
力が作用してもクランク軸が回転するのを防止し、ピニ
オンに公転を生じさせないようにする。その結果、ステ
アリングホイールの操舵角は、ピニオンと内歯車の単な
る噛み合いによる歯車比によって、ピニオンの自転成分
として伝達され、操舵角に対し外乱として正又は負の回
転角が付加されることはないから、出力角に不規則な変
動が生じる恐れがない。このようなクランク軸のロック
作用は制御装置やモータの故障の場合にも生じるので、
操舵装置にフェイルセーフの機能をもたらす。
【0010】
【実施例】図1は、本発明の第1実施例である操舵装置
の全体構成を示したもので、1は歯数ZC の内歯車、2
はそれに対して噛み合う歯数ZBのピニオンで、ピニオ
ン2は従来技術におけるリングギヤとサンギヤに同時に
噛み合っている複数個のピニオンギヤのような小径の歯
車ではなく、サンギヤがない分だけ大径の歯車を1個だ
け使用する。従って、ピニオン2の歯数ZB は内歯車1
の歯数ZC より僅かに少ないが、比較的それに近く、そ
れらの差を1までのきわめて少数とすることができる。
3は運転者が操作するステアリングホイール3を示し、
その軸即ち入力軸4は、オルダム継手5を介してピニオ
ン2に連結される。これは、ピニオン2が内歯車1及び
入力軸4の軸芯に対して常に一定の距離だけ偏心して旋
回するためで、中心が段違いになっているピニオン2と
入力軸4を伝動可能に連結するために図示例においては
オルダム継手5を使用している。オルダム継手5に代え
て、各種のユニバーサルジョイントやピン継手等の段違
い軸継手を使用することができることは言うまでもな
い。なお、内歯車1、ピニオン2、オルダム継手5等は
操舵装置本体のハウジング6内に収容されている。
【0011】ピニオン2が内歯車1に噛み合った状態で
偏心して旋回することができるように、クランク軸7が
内歯車1と同軸心上に軸承され、その偏心軸部7aがピ
ニオン2の中心を回転自由に支承している。クランク軸
7にはモータ8が連結され、人力による操舵角に対し
て、機械力による回転角を付加するようになっている。
内歯車1の回転を外部に取り出してタイロッド等の操向
車輪のリンク機構に伝えるために、図示実施例において
は歯車9及び歯車10からなる歯車列が設けられてお
り、歯車10の軸11が出力軸となっている。
【0012】しかしながら、このような歯車9及び歯車
10からなる歯車列は、本発明にとっては必須のもので
はなく、この歯車列は内歯車1の回転を出力軸11へ取
り出すための他の手段によって置き換えることができ
る。例えば、歯車9を省略して内歯車1の外周等に直接
に歯を設け、それに歯車10を噛み合わせるとか、内歯
車1にピンを取り付けて、それに操向車輪のリンク機構
を連結するとかの色々な変形が考えられる。従って、図
1に示された出力軸11も本発明の操舵装置にとって必
須のものではないので、一般的には内歯車1の軸自体を
出力軸と考えるべきである。
【0013】モータ8はサーボモータに属するもので、
電気的に電子式制御装置(ECU)12に接続される。
ECU12は車両の走行速度を検出する車速センサ13
や、ステアリングホイール3の操舵角(入力回転角)を
検出する操舵角センサ14、出力角(出力回転角)を検
出する出力角センサ15等からの信号を受けて、モータ
8の必要な回転角(正又は逆転方向の付加回転角)を演
算し、それに見合う駆動信号をモータ8に送り出して、
操舵角に付加するような回転をモータ8によって発生さ
せ、クランク軸7の偏心軸部7aを回転させる。その結
果、内歯車1とピニオン2の噛み合いによって、ピニオ
ン2にはモータ8の回転速度に対して非常に減速された
公転成分が発生し、それが入力回転角に付加されて、そ
の分だけ入力回転角よりも大きい出力回転角が内歯車1
に取り出される。
【0014】図1に示した第1実施例の操舵装置は、車
速センサ13が検出した信号の大きさに応じて、ECU
12によりモータ8を作動させることにより、例えば図
2として示した特性図のように、ステアリング・ギヤ比
Nを所定の様式に従って制御することができる。
【0015】まず、車速が中程度よりも高い状態におい
てECU12がモータ8を停止させた場合は、図3に示
したようにピニオン2の中心2aはその点に一応固定さ
れるので、ステアリングホイール3からの入力回転角θ
inはピニオン2の自転運動だけをもたらし、ピニオン2
と内歯車1との歯車比ZB/ZC によって、僅かに減速
されて内歯車1の回転角θout として伝達され、歯車9
と歯車10による歯車列を介して、出力軸11へ一定の
歯車比をもって取り出される。つまり、モータ8が停止
しているときは、 θout /θin=ZB /ZC …(1) となる。
【0016】本発明の構成によれば、例えば歯数ZB
29、歯数ZC を30として、それらの差を1とするこ
ともできるから、モータ8を停止させた場合における歯
車比ZB /ZC の値は1に近くなり、この場合の内歯車
1の出力回転角θout は殆ど入力回転角θinと同じにな
る。従って、中高速運転状態においては、運転者にとっ
ては特別の操舵装置を使用しているという感覚はない。
この状態が図2におけるNmax の線であって、従来の車
両が斜線で示したような範囲の一定の大きさのステアリ
ング・ギヤ比を有するのに対して、それよりも若干高い
値に設定して、従来以上に高速安定性や高速における直
進性を高めることもできる。
【0017】これは、車速センサ13が中高速の信号を
出すことによってECU12がモータ8を停止させ、モ
ータ8が外力に対してその位置を保持することができる
場合だけではなく、モータ8やECU12等における何
らかの故障によってモータ8が回転不能になった場合に
も同じ結果となる。これらの場合には、従来の車両と同
様に、入力軸4と出力軸11が不定の要素がない伝動機
構によって確実に連結されたのと同様な状態になるの
で、ステアリングホイール3の回転を一義的に操向車輪
のリンク機構に伝えることができる。従って、もし故障
等の時にモータ8が停止位置から動かないようにロック
されるとすれば、実施例の操舵装置はフェイルセーフの
機能を備えていることになる。
【0018】図2の左半分に示すように、車速が所定値
以下の状態において、車速の大きさに応じてステアリン
グ・ギヤ比Nの値をNmax の線から漸次低下させてN
min まで減少させるには、図4に示すように、ピニオン
2の中心2aの位置を移動させる。つまり、ECU12
の指令によってモータ8を回転させ、クランク軸7の偏
心軸部7aによってピニオン2に付加回転角θm に応じ
た公転運動を与えることになる。それによって、内歯車
1にはステアリングホイール3によるピニオン2の自転
運動としての入力回転角θinだけでなく、モータ8によ
ってピニオン2の公転として与えられる付加回転角θm
も加算されることになる。その結果、この場合の出力回
転角θout は次式のようになる。 θout =(ZB ・θin+ZC ・θm −ZB ・θm )/ZC …(2)
【0019】このように、モータ8をECU12の指令
に応じて回転させることにより、ステアリングホイール
3に同一の操舵角(入力回転角)θinを与えても、モー
タ8の停止状態よりも大きな出力回転角θout が得られ
るので、モータ8の回転量、即ち付加回転角θm を車速
に応じて制御することにより、ステアリング・ギヤ比N
を最大のNmax から最小のNmin まで連続的に低下さ
せ、それによって低車速時には、同じ大きさの出力回転
角θout を得るために必要なステアリングホイール3の
入力回転角θinを、モータ8による付加回転角θmに見
合う分だけ少なくして、運転者の労力を軽減し、車庫入
れや、低速での急旋回を容易にすることができる。
【0020】ところで、前記(2) 式の一部から明らかな
ように、モータ8からピニオン2と内歯車1とのかみ合
いによって内歯車1に伝えられる回転の減速比NG は、 NG =ZC /(ZC −ZB )…(3) であるが、この減速比NG が大きいほどモータ8の負荷
は減少し、モータ8の小型化や省電力化を図ることがで
きるし、モータ8の回転を予め別の減速機によって減速
してから与える必要もなくなるから、全体の機構が簡略
化される。
【0021】前述のように、従来技術においては、リン
グギヤとサンギヤの間に入る小さなピニオンギヤを使用
しているため、構造が複雑で大型化するにもかかわら
ず、大きな減速比を得ることができないので、ステッピ
ングモータとピニオンギヤとの間に減速歯車を設けてい
るが、本発明の操舵装置においては、サンギヤを使用し
ていない分だけピニオン2を大径として、その歯数を内
歯車1の歯数に近づけることができる。最大の場合は内
歯車1に対して歯数1だけ少ないものまで使用すること
ができるので、式(3) から明らかなように、きわめて大
きな減速比のものを製作することが可能である。また、
このような操舵装置は構造が簡単で機械的強度も大きく
高効率であり、小型、軽量で安価に製作することができ
る。
【0022】第1実施例の操舵装置は基本的に前述のよ
うな作用、効果を奏するが、例えば車速が高いときにE
CU12によるモータ8の駆動を停止させて、ステアリ
ングホイール3の入力角のみが内歯車1の出力角をもた
らすようにした場合、モータ8が停止位置を確実に維持
することができれば問題はないが、実際にはステアリン
グホイール3に加えられる操舵力や、出力軸11を介し
て伝達される操向車輪からの操舵反力等の外力が操舵装
置に作用することによって、モータ8が停止位置に止ま
ることが出来ない場合が起こり得る。そして、そのよう
な場合にモータ8が外力によって不規則な回転を強いら
れることによって、内歯車1の出力回転角θout が不規
則な変動をするようになり、結果として車両の操舵状態
が不安定になってしまう恐れがある。
【0023】そこで、図1に示した本発明の第1実施例
においては、モータ8の軸であるクランク軸7に電磁ブ
レーキ16を設けて、それをECU12によって自動的
に操作させ、必要な場合にクランク軸7を確実に拘束す
ることができるように構成している。図1において、電
磁ブレーキ16はクランク軸7に固定された電磁石17
と、クランク軸7に対して滑りキー18によって軸方向
にのみ摺動可能に結合されたブレーキパッド19と、ブ
レーキパッド19と係合離脱し得る位置に固定的に設け
られた固定板20、及びブレーキパッド19を固定板2
0に向かって付勢するスプリング21等からなってい
る。
【0024】常時は電磁石17に通電されていないの
で、ブレーキパッド19はスプリング21によって固定
板20に押し付けられ、回動ができないように拘束され
ているが、たとえば車速が低い時等において操舵角を増
大させる場合には、ECU12によって電磁石17が付
勢され、スプリング21に抗してブレーキパッド19を
引きつけて、固定板20から引き離し、クランク軸7が
自由に回転することができるようにする。従って、EC
U12が指令した分だけ回転するモータ8が発生した付
加回転角θm は、図4に示すようにクランク軸7を介し
てピニオン2に公転運動を起こさせ、それがステアリン
グホイール3の入力回転角θinによって起こるピニオン
2の自転運動に付加されて、内歯車1には入力回転角θ
inよりも増大した出力回転角θout が取り出される。こ
れは図2におけるステアリング・ギヤ比Nが低い状態で
あって、小さい操舵角(入力回転角θin)によって大き
い出力回転角θout を得るという、本装置の基本的な目
的が達せられる。
【0025】これに対して、例えば車速が高い時には、
ECU12によって電磁石17への通電が遮断されるの
で、ブレーキパッド19はスプリング21によって固定
板20に押しつけられ、クランク軸7は回転することが
できない状態となる。従ってピニオン2の公転は阻止さ
れて、図3に示すように、ピニオン2の中心2aはその
位置から移動することがない。ステアリングホイール3
の入力回転角θinはピニオン2の自転となって、ピニオ
ン2と内歯車1の歯車比により、内歯車1に僅かに減速
された出力回転角θout を生じさせる。この時は、クラ
ンク軸7が電磁ブレーキ16によって確実に拘束されて
いるので、内歯車1の出力回転角θout は入力回転角θ
inのみの函数となり、外力によって不規則な変動をする
ようなことがなく、操舵の状態が安定して車両に及ぶ危
険等も回避される。
【0026】設計にあたり、ECU12やモータ8等が
故障した時にも電磁石17への通電が遮断されるように
配慮すれば(これはきわめて自然な態様であるが)、故
障によって操舵装置が本来の回転角付加の機能を失った
場合でも、電磁ブレーキ16は係合状態となり、クラン
ク軸7がロックされピニオン2の公転が阻止されること
によって、ステアリングホイール3のピニオン2と内歯
車1とは、それらの間の歯車比によって定速の伝動系を
構成し、従来の場合と同様に確実な操舵状態を維持する
ことを可能にする。これは本発明を実施する装置におけ
るフェイルセーフの機能として、車両の安全性を保障す
るために重要なことである。
【0027】図5に本発明の操舵装置の第2実施例を示
す。図1に示した第1実施例と基本的に異なる点はない
が、モータ8と電磁ブレーキ16をコンパクトにまとめ
て、操舵装置本体のハウジング6と一体化している点
で、より実際的な構造になっている。第1実施例におけ
る固定板20に相当するものとして、第2実施例では電
磁ブレーキのハウジングの壁面を利用している。その
他、第2実施例において図1の第1実施例の場合と実質
的に同じ構造部分については、同じ参照符号を付すこと
によって詳細な説明を省略する。
【0028】図6は、実施例の操舵装置の作動状態にお
いて、ECU12によって実行される制御の手順を例示
したものである。車両のエンジンが始動されると同時に
ステップ100においてプログラムがスタートし、ステ
ップ101でシステムに異常がないかどうか、イニシア
ルチェックが行われる。異常がなければステップ102
へ進み、電磁ブレーキ16に通電して、ブレーキパッド
19及びクランク軸7の拘束を解く。ステップ103で
は車速センサ13が出力する現在の車速Vを読み込み、
ステップ104で現在の車速Vが所定値VO よりも小さ
いかどうか判定する。所定値VO よりも小さい、即ち低
速運転中である時は、ステップ105で操舵角センサ1
4が検出している操舵角(入力回転角θin)を読み込
み、ステップ106で入力回転角θinが0又はそれに近
い値であるかどうかを判定することによって、車両が現
在非操舵状態にあるか否か、つまり直進中であるかどう
かが判定される。もし直進中であればステップ103に
戻る。
【0029】ステップ106で直進中でないと判定され
た時は、ステップ107でステアリング・ギヤ比Nの目
標値を算出する。更に、ステップ108では出力角(出
力回転角θout )の目標値θ0 を算出し、ステップ10
9でモータ8に対して駆動信号を出力する。ステップ1
10でモータ8が回転し、操舵装置内部でステアリング
ホイール3による入力回転角θinに対してモータ8の付
加回転角θm による公転運動の回転角が付加されて、増
大された回転角が出力回転角θout として操向車輪を操
舵する。
【0030】モータ8が回転したt秒(モータ8の応答
時間)後に、ステップ111で出力角センサ15が検出
する出力回転角θout が読み込まれて、ステップ112
で目標出力角θ0 に対する出力回転角θout の偏差の絶
対値が、所定の許容出力角偏差Δθよりも小さいかどう
かが判定される。これは、ECU12やモータ8等の作
動が正常であるかどうかをチェックするためで、偏差が
小さい時は作動が正常であって、正確に操舵が行われた
ことを示しているから、ステップ113でモータ8を停
止させ、ステップ103に戻って制御を続行する。
【0031】ステップ104で車速が所定値VO よりも
小さくない、即ち高速で運転中であると判定された時
は、ステップ114に進んで電磁ブレーキ16への通電
を遮断する。従って、ブレーキパッド19はスプリング
21により固定板20に押しつけられて拘束され、クラ
ンク軸7と共に回転することができなくなり、図3のよ
うに、入力回転角θinによるピニオン2の自転運動のみ
が、内歯車1の歯車比によって伝達されて出力回転角θ
out となるが、クランク軸7及びピニオン2の中心2a
の位置が妄動しないため、その状態が安定化する。その
後はステップ103に戻って制御が繰り返される。
【0032】ステップ112において、出力角の偏差の
絶対値が所定の許容出力角偏差Δθよりも小さくない
(大きい)と判定された時は異常であり、どこかに故障
があるものと考えられる。そこで、ステップ115に進
んで電磁ブレーキ16への通電を絶ち、クランク軸7を
拘束して操舵角(入力回転角θin)へのいかなる回転角
の付加も許さない状態にして、操舵装置の安定化を図
る。そして、ステップ116でモータ8が回転しないよ
うに電源を遮断し、ステップ117で装置に故障がある
ことを示す警告灯やブザーを鳴らして異常を知らせる。
制御はこれによって終了する。
【0033】装置が正常に作動しているときは、図6の
制御プログラムは短時間毎に繰り返し実行される。ステ
ップ101でシステムに異常があると判定された時は、
ステップ115に進んで、前述の場合と同様に制御を終
了させる。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、操舵角(入力回転角)
に対するモータによる回転角を付加する必要のない運転
状態や、システムの一部に故障が生じたときには、機構
の一部をロックして妄動しないようにするので、操舵状
態が安定し、同時にフェイルセーフの機能も得られる。
また、サンギヤのない簡単な構成の歯車機構によってき
わめて高い減速比を得ているので、モータの省電力化、
操舵装置全体の小型化を容易に実現することができ、ま
た、減速機構が小型であることから、慣性力も小さいの
で、操舵の応答性が高いという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例としての操舵装置の全体構
成を示す一部断面図である。
【図2】本発明の操舵装置の作動特性を例示する線図で
ある。
【図3】本発明の操舵装置の一作動状態を示す説明図で
ある。
【図4】本発明の操舵装置の図3とは異なる作動状態を
示す説明図である。
【図5】本発明の第2実施例としての操舵装置の要部を
示すを示す断面図である。
【図6】本発明の操舵装置の制御例を示すフローチャー
トである。
【符号の説明】
1…内歯車(歯数ZC ) 2…ピニオン(歯数ZB ) 3…ステアリングホイール 4…入力軸 5…オルダム継手(段違い軸継手) 7…クランク軸 8…モータ 12…電子式制御装置(ECU) 13…車速センサ 14…操舵角センサ 15…出力角センサ 16…電磁ブレーキ 17…電磁石 18…滑りキー 19…ブレーキパッド 20…固定板 21…スプリング

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 操向車輪のリンク機構に出力回転を与え
    る内歯車と、前記内歯車に対して内接状態で噛み合って
    偏心運動を行う大径のピニオンと、前記ピニオンを軸承
    するために偏心軸部を有するクランク軸と、前記クラン
    ク軸を駆動するモータと、前記モータを駆動制御する制
    御装置と、前記ピニオンとステアリングホイールからの
    入力軸とを直接に接続する段違い軸継手と、前記クラン
    ク軸に設けられ前記制御装置によって作動されて前記ピ
    ニオンの公転を拘束する電磁ブレーキとを備えているこ
    とを特徴とする車両の操舵装置。
JP29272291A 1991-11-08 1991-11-08 車両の操舵装置 Pending JPH05124534A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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