JPH05124119A - 繊維強化樹脂製細線状物の製造方法 - Google Patents

繊維強化樹脂製細線状物の製造方法

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JPH05124119A
JPH05124119A JP3287544A JP28754491A JPH05124119A JP H05124119 A JPH05124119 A JP H05124119A JP 3287544 A JP3287544 A JP 3287544A JP 28754491 A JP28754491 A JP 28754491A JP H05124119 A JPH05124119 A JP H05124119A
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thermosetting resin
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繁宏 松野
Kenji Kozuka
健次 小塚
Takahisa Takada
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Abstract

(57)【要約】 【目的】光非透過性の補強繊維であっても補強材として
用いることができ、かつ高い生産速度の下に細径の製品
であっても連続的に容易に製造することができる繊維強
化樹脂製細線状物の製造方法を提供する。 【構成】長繊維状の補強繊維束(1a,1b,1c,1
d,1e,1f)に熱硬化触媒を含有する熱硬化性樹脂
(5)を含浸した後に絞り成形し、この絞り成形により
得られた熱可塑性樹脂含浸物(10)の表面に光硬化開
始剤を含有する光硬化性樹脂をコーティングした後に前
記光硬化性樹脂を光硬化させ、次いで前記熱硬化性樹脂
を熱硬化させることにより繊維強化樹脂製細線状物(1
5)を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光ファイバーケーブル
のテンションメンバー、介在線、タイヤビードなどに使
用可能な繊維強化樹脂製細線状物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】繊維強化樹脂製細線状物は、非電気伝導
性、軽量性、高強力性、高弾性回復性などの特徴から、
光ファイバーケーブルのテンションメンバーや介在線な
ど、各種の補強材として利用されている。
【0003】繊維強化樹脂製細線状物の連続製造方法と
しては、(I)補強繊維束に熱硬化性樹脂を含浸させた
状態から余分な樹脂を絞りつつ所望の断面形状に成形
し、得られた成形物の断面形状と同一断面形状の加熱さ
れた金型内に引き込んで熱硬化性樹脂を硬化させつつ引
き抜く方法、(II)成形までは上記(I)の方法と同じ
であるが、熱硬化性樹脂が未硬化の状態で熱可塑性樹脂
により成形物を被覆した後、被覆層を有したままの状態
で熱硬化性樹脂を熱硬化させる方法、(III) 補強繊維束
に紫外線硬化性樹脂などの光硬化性樹脂を含浸させた状
態から余分な樹脂を絞りつつ所望の断面形状に成形した
後、得られた成形物を光線透過性の型などに引き込み、
そこで紫外線などの高エネルギー線を照射して光硬化性
樹脂を硬化させる方法などが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
(I)の方法には、寸法精度の良い製品が得られる反
面、生産速度が遅いという問題や、型内で熱硬化性樹脂
が硬化することに伴って引き抜き抵抗が増すために、細
径の製品を得る場合では引き抜き時の引張り応力が補強
繊維の引張り強度を上回って破断に至ることがあるなど
の問題がある。また、上記(II)の方法では熱硬化性樹
脂の硬化に伴う引き抜き抵抗の増大などがないので生産
速度は速いが、この方法での被覆層(熱可塑性樹脂層)
の肉厚の下限は通常0.1〜0.2mmである。このた
め、細径の光ケーブル用のテンションメンバーなどを製
造した場合には、被覆層の占める面積比(全体に占める
割合)が大きくなる分、所望の特性の繊維強化樹脂製細
線状物を得ることが困難になる。そして、このような不
具合を改善するには熱硬化性樹脂を硬化させた後に被覆
層の熱可塑性樹脂を除去しなければならないため、工程
が煩雑になるという問題が生じる。上記(III) の方法で
は補強繊維の材質が光線透過性のものに限定されるた
め、炭素繊維やアラミド繊維、ポリアリレート繊維など
の光非透過性の高強度繊維は補強材として用いることが
できないという問題がある。
【0005】したがって本発明の目的は、光非透過性の
補強繊維をも補強材として用いることができ、かつ高い
生産速度の下に細径の製品であっても連続的に容易に製
造することができる繊維強化樹脂製細線状物の製造方法
を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の繊維強化樹脂製細線状物の製造方法は、長繊維状の
補強繊維束に熱硬化触媒を含有する熱硬化性樹脂を含浸
した後に絞り成形し、この絞り成形により得られた熱硬
化性樹脂含浸物の表面に光硬化開始剤を含有する光硬化
性樹脂をコーティングした後に前記光硬化性樹脂を光硬
化させ、次いで前記熱硬化性樹脂を熱硬化させることを
特徴とするものである。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
方法では、まず、長繊維状の補強繊維束に熱硬化触媒を
含有する熱硬化性樹脂を含浸した後に絞り成形する。こ
こで、長繊維状の補強繊維束としては、高強度低伸度で
補強効果のある繊維(例えばガラス繊維、芳香族ポリア
ミド繊維、炭素繊維、セラミックス繊維、芳香族ポリエ
ステル繊維、ポリアリレート繊維、ビニロン繊維など)
を所望本数集束させて得た長尺物を用いることができ
る。繊維の種類や集束本数および長尺物の使用本数は特
に限定されるものではなく、目的とする繊維強化樹脂製
細線状物の用途などに応じて適宜選択される。
【0008】また、熱硬化触媒を含有する熱硬化性樹脂
としては、例えばエポキシ樹脂、ビニルエステル[エポ
キシ(メタ)アクリレート]、ウレタンアクリレート、
ポリエステル(メタ)アクリレート、不飽和ポリエステ
ル、ジアリルフタレート樹脂等の重合性モノマー、プレ
ポリマー、ポリマー、またはこれらの混合物に、熱硬化
触媒を含有させたものを用いることができる。このとき
の熱硬化触媒としては、エポキシ系の上記熱硬化性樹脂
に対してはジシアンジアミドや酸無水物など、また他の
ものについてはケトンパーオキサイド、ジアシルパーオ
キサイド、アルキルパーエステル、パーカーボネート、
ハイドロパーオキサイド、パーオキシケタールなどの過
酸化物など、公知の熱硬化触媒を用いることができる。
【0009】前述した長繊維状の補強繊維束に上述した
熱硬化触媒を含有する熱硬化性樹脂を含浸するにあたっ
ては、浸漬法などの方法を適用することができる。そし
て、含浸後の絞り成形は、絞りノズル、絞りガイド、ロ
ーラーなどを所望数用いて行うことができる。この絞り
成形により、過剰の樹脂の除去を行うと共に所望形状に
整形する。
【0010】本発明の方法では、このようにして得られ
た熱硬化性樹脂含浸物の表面に光硬化開始剤を含有する
光硬化性樹脂をコーティングする。ここで、光硬化開始
剤を含有する光硬化性樹脂としては、例えば、(a)エ
ポキシ樹脂、ビニルエステル[エポキシ(メタ)アクリ
レート]、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテ
ル(メタ)アクリレート、ポリエステルアクリレート、
不飽和ポリエステル、ジアリルフタレート樹脂などのプ
レポリマー、ポリマー、あるいはこれらの混合物および
/または(b)単官能または2官能エポキシモノマー、
アクルレート系またはメタクリレート系のモノマー[ヒ
ドロキシプロピルアクリレート(HDPA)、トリメチ
ルプロパントリアクリレート(TMPTA)、ネオペン
チルグリコールジアクリレート(NPGDA)など]、
ビニルモノマー(スチレン、ジビニルベンゼン、酢酸ビ
ニル、無水マレイン酸、N−ビニルピロリドンなど)な
どの重合性モノマーあるいはこれらの混合物に光硬化開
始剤を含有させたものを用いることができる。このとき
の光硬化開始剤としては、エポキシ系の上記光硬化性樹
脂の場合にはジアゾニウム化合物、オニウム化合物など
の公知の光カチオン重合開始剤を用いることができ、他
の上記光硬化性樹脂の場合にはベンゾイン化合物、チオ
キサントンなどの公知の光ラジカル重合開始剤を用いる
ことができる。
【0011】前述した熱硬化性樹脂含浸物の表面に光硬
化開始剤を含有する光硬硬化性樹脂をコーティングする
にあたっては、浸漬法、滴下法、スプレイ法などの方法
を適用することができる。
【0012】光硬化開始剤を含有する光硬化性樹脂をコ
ーティングした後の熱硬化性樹脂含浸物には、余分な光
硬化性樹脂を絞り取ると共に所望形状に整形するため
に、絞り成形を施すことが望ましい。この絞り成形は、
目的とする繊維強化樹脂製細線状物の断面形状(例えば
円形や矩形)に応じた形状のダイ、絞りノズルなどを所
望数用いて行うことができる。絞り成形に際して用いる
ダイなどの口径は、前述した熱硬化性樹脂含浸物を得る
際に最終的に用いた絞りノズルなどの口径よりも1〜1
0%大きいことが特に望ましい。なお本明細書では、光
硬化開始剤を含有する光硬硬化性樹脂をコーティングし
た後の熱硬化性樹脂含浸物とこの熱硬化性樹脂含浸物に
絞り成形を施したものとを総称して、以下、光硬化性樹
脂コーティング物ということがある。
【0013】本発明の方法においては、このようにして
光硬化性樹脂コーティング物を得た後に、このコーティ
ング物表面の光硬化性樹脂を光硬化させ、次いで熱硬化
性樹脂を熱硬化させて、目的とする繊維強化樹脂製細線
状物を得る。光硬化性樹脂の光硬化は、用いた光硬化性
樹脂の種類に応じて、キセノンランプ、高圧水銀ラン
プ、メタルハライドランプなどを光源とした紫外線照射
装置などの高エネルギー線照射装置を用いて常法により
行うことができる。光硬化性樹脂コーティング物を得て
から光硬化性樹脂を光硬化させるまでの所要時間は、寸
法精度の高い製品を得るうえから、できるだけ短くする
ことが好ましい。光硬化性樹脂コーティング物を高エネ
ルギー線照射装置中に速やかに導き、表面層(光硬化性
樹脂層)を短時間のうちに硬化させることにより、形状
の乱れなどがなく、形状保持性能力を有する表面層が得
られる。
【0014】光硬化後に行う熱硬化性樹脂の熱硬化は、
加熱硬化槽、遠赤外ヒーター、熱風発生機などの加熱装
置を用いて常法により行うことができる。なお、本発明
の方法においては、最終的に得られる繊維強化樹脂製細
線状物における補強繊維の体積含有率が概ね40〜60
%となるようにすることが望ましい。
【0015】
【作用】本発明の繊維強化樹脂製細線状物の製造方法で
は、光硬化開始剤を含有する光硬化性樹脂を熱硬化性樹
脂含浸物の表面にコーティングするため、補強繊維の透
光性の有無に拘らず、コーティングされた光硬硬化性樹
脂を光硬化させることができる。したがって本発明の方
法では、炭素繊維やアラミド繊維、ポリアリレート繊維
などの光非透過性の繊維をも補強材として用いることが
できる。また本発明の方法では、光硬化性樹脂コーティ
ング物の外表面を形成する光硬化性樹脂を光硬化させた
段階で形態保持性が付与される。そして、この光硬化は
非常に速く進行するために、形状の乱れが殆ど生じな
い。このため、光硬化後に、金型を用いることなく加熱
硬化槽などで光硬化性樹脂コーティング物内部の熱硬化
性樹脂を熱硬化させるだけで、実用上十分な寸法精度の
繊維強化樹脂製細線状物を得ることができる。
【0016】さらに、熱硬化性樹脂が未硬化の段階で光
硬化性樹脂(光硬化開始剤を含有するもの)をコーティ
ングするため、両層の間には境界が存在せず、連続相と
して得られる。このため、熱硬化後に表面層(光硬化性
樹脂層)が剥離してしまうようなことはない。
【0017】このように、本発明の方法では金型を用い
なくてよいため、金型を用いた従来法の問題点であった
生産速度の低さや引き抜き時の製品の破断などが解消さ
れ、細径の製品であっても高い生産速度の下に連続的に
容易に製造することが可能となる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。 実施例1 補強繊維束として光線不透過性である芳香族ポリアミド
繊維(デュポン社製:ケブラー49)のロービング(3
80de/256f )を6本準備し、図1に示すように、
これらのロービングからの各繊維束1a,1b,1c,
1d,1e,1fをバー2およびガイド3を介して3本
のテンションバー4a,4b,4cに順次通した後、熱
硬化触媒を含有する熱硬化性樹脂5を満たした樹脂含浸
槽6に通して、各補強繊維束1a,1b,1c,1d,
1e,1fに熱硬化触媒を含有する熱硬化性樹脂5を含
浸した。熱硬化触媒を含有する熱硬化性樹脂5として
は、エポキシアクリレート樹脂(新中村化学社製、製品
名:EA−1020)60重量部に、架橋成分として3
官能重合性モノマーであるトリメチロールプロパントリ
アクリレート(日本化薬社製、製品名:TMPTA)3
0重量部と単官能重合性モノマーであるN−ビニルピロ
リドン(東亜合成社製、製品名:NVP)10重量部と
を加え、さらに熱硬化触媒としてベンゾイルパーオキサ
イド(化薬アクゾ社製、製品名:カドックスBCH5
0)2重量部を加えたものを用いた。
【0019】引き続いて、絞りバー7を介した後に、寸
法が0.78mmφから0.65mmφへと順に小さくなる
複数段の透孔を有する絞りノズル8に通して、絞り成形
した。この絞り成形により、熱硬化性樹脂含浸物10を
得た。次いで、光重合開始剤を含有する光硬化性樹脂を
満たしたコーティング樹脂槽11(0.65mmφの入り
口ノズルと0.71mmφの出口ノズルとを有する)に熱
硬化性樹脂含浸物10を通して、光重合開始剤を含有す
る光硬化性樹脂を熱硬化性樹脂含浸物10の表面にコー
ティングするとともに出口ノズルにより絞り成形した。
この絞り成形により、光硬化性樹脂コーティング物12
を得た。なお、光重合開始剤を含有する光硬化性樹脂と
しては、ウレタンアクリレート樹脂(新中村化学社製、
製品名:U−4HA)60重量部に、架橋成分として3
官能重合性モノマーであるトリメチロールプロパントリ
アクリレート(日本火薬社製、製品名:TMPTA)3
0重量部と単官能重合性モノマーであるN−ビニルピロ
リドン(東亜合成社製、製品名:NVP)10重量部と
を加え、さらに光硬化開始剤(チバガイギー社製、製品
名:イルガキュア651)3重量部を加えたものを用い
た。この後、光硬化性樹脂コーティング物12をランプ
長600mm、槽長750mmの紫外線照射装置13(オー
ク社製、製品名:QR4000)中に5m/分の速度で
通して、光硬化性樹脂コーティング物12表面の光硬化
性樹脂を光硬化させ、引き続き内径40mm、長さ200
0mm、槽内温度250℃の乾熱パイプ型熱硬化槽14に
通して熱硬化性樹脂5を硬化させて、繊維強化樹脂製細
線状物15を得た。得られた繊維強化樹脂製細線状物1
5は、ネルソン型引取り機16(引取り速度5m/分)
を介して巻取り機17で巻取った。
【0020】このようにして得られた繊維強化樹脂製細
線状物15の断面を模式的に図2に示す。同図に示すよ
うに、繊維強化樹脂製細線状物15は、熱硬化後の熱硬
化性樹脂20とこの熱硬化性樹脂中に分散した補強繊維
21とからなる繊維強化樹脂層22を有し、この繊維強
化樹脂層22の外周は光硬化後の光硬化性樹脂23によ
り覆われている。
【0021】本実施例1で得られた繊維強化樹脂製細線
状物15は、表1に示すように、補強繊維(ケブラー4
9)の体積含有率が44.1%、外径寸法が0.66〜
0.72mm、真円度が92.4%であり、最小曲げ直径
は10.4mmであった。そして、真円度および最小曲げ
直径の値から明らかなように、例えば光ファイバーケー
ブルのテンションメンバーとしても寸法精度上および物
性上十分実用できるものであった。なお、本実施例1に
おいては、補強繊維(ケブラー49)の張力(クリール
張力、テンションバー4c通過後の値)を、デニール当
り6.0〜12.0×10-3gとした。
【0022】実施例2〜実施例4 ネルソン型引取り機16の引取り速度を表1に示す速度
とした以外は実施例1と同様にして、それぞれ繊維強化
樹脂製細線状物を得た。各実施例で得られたそれぞれの
繊維強化樹脂製細線状物について、補強繊維の体積含有
率、外径寸法、真円度、および最小曲げ直径を表1に示
す。
【0023】比較例1 表1に示すように、エポキシアクリレート樹脂および架
橋成分の種類と使用量がそれぞれ実施例1と同じで、熱
硬化触媒であるベンゾイルパーオキサイド(化薬アクゾ
社製、製品名:カドックスBCH50)の使用量が2重
量部から3重量部に変更され、さらに光硬化開始剤(チ
バガイギー社製、製品名:イルガキュア651)2重量
部が添加された熱硬化性樹脂(熱硬化触媒を含有するも
の)を用いた以外は実施例1と同様にして、熱硬化性樹
脂含浸物を得た。次いで、熱硬化性樹脂含浸物の表面に
光硬化性樹脂をコーティングせずに、熱硬化性樹脂含浸
物をそのまま紫外線照射装置に通して実施例1と同条件
で紫外線を照射し、引き続いて乾熱パイプ型熱硬化槽に
通して実施例1と同条件で熱処理した後、ネルソン型引
取り機(引取り速度5m/分)を介して巻取り機で巻取
った。
【0024】このようにして得られた繊維強化樹脂製細
線状物は、表1に示すように、補強繊維(ケブラー4
9)の体積含有率が52.7%、外径寸法が0.65〜
0.71mm、真円度が80.1%であり、最小曲げ直径
は31.0mmであった。この繊維強化樹脂製細線状物
は、真円度が低いこと、および外径が0.65〜0.7
1mmである割りには最小曲げ直径が大きいことから、例
えば光ファイバーケーブルのテンションメンバーとしは
実用性のないものである。
【0025】
【表1】
【0026】実施例5〜実施例10、比較例2〜比較例
4 補強繊維束、熱硬化触媒を含有する熱硬化性樹脂、光重
合開始剤を含有する光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂含浸物
を得る際の最終ノズルおよび光硬化性樹脂コーティング
物を得る際の最終ノズルとしてそれぞれ表2または表3
に示したものを用い、かつネルソン型引取り機の引取り
速度を表2または表3に示す速度とした以外は実施例1
と同様にして、繊維強化樹脂製細線状物をそれぞれ得た
(実施例5〜実施例10)。
【0027】また、補強繊維束、熱硬化触媒を含有する
熱硬化性樹脂、光重合開始剤を含有する光硬化性樹脂、
および熱硬化性樹脂含浸物を得る際の最終ノズルとして
それぞれ表2または表3に示したものを用い、かつネル
ソン型引取り機の引取り速度を表2または表3に示す速
度とした以外は比較例1と同様にして、繊維強化樹脂製
細線状物をそれぞれ得た(比較例2〜比較例4)。この
ようにして得られた各繊維強化樹脂製細線状物の物性を
表2または表3に示す。
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】表2から明らかなように、実施例5〜実施
例7で得られたいずれの繊維強化樹脂製細線状物も、光
硬化性樹脂で熱硬化性樹脂含浸物の表面をコーティング
せずに得た比較例2または比較例3の繊維強化樹脂製細
線状物に比べて最小曲げ直径が小さい。さらに、実施例
5〜実施例7で得られた各繊維強化樹脂製細線状物の真
円度は、比較例2および比較例3の繊維強化樹脂製細線
状物の真円度よりも高い。これらのことから、本発明に
よれば例えば光ファイバーケーブルのテンションメンバ
ー用として実用的な繊維強化樹脂製細線状物を容易に得
られることがわかる。
【0031】また、口径が矩形のノズルを用いた実施例
8〜実施例10では、得られた各繊維強化樹脂製細線状
物の断面を模式的に図3(a)に示すように、光硬化性
樹脂コーティング物を得る際に最終的に用いたノズルの
口径(形状)とほぼ同一形状の断面を有する細い平型の
繊維強化樹脂製細線状物30が得られた。これに対し、
光重合開始剤を含有する光硬化性樹脂で熱硬化性樹脂含
浸物の表面をコーティングしなかった比較例4では、得
られた繊維強化樹脂製細線状物の断面形状を模式的に図
3(b)に示すように、熱硬化性樹脂含浸物を得る際に
最終的に用いたノズルの口径(形状)とは大きく異なる
形状の断面を有する繊維強化樹脂製細線状物31が得ら
れた。このことから、本発明によれば所望の断面形状の
繊維強化樹脂製細線状物を容易に得られることがわか
る。なお、図3(a)および(b)において図2と共通
する部材については、図2と同じ符号を付してその説明
を省略する。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
補強材として光非透過性の補強繊維または光透過性の補
強繊維のいづれを用いても、所望の断面形状の実用的な
繊維強化樹脂製細線状物を高い生産速度の下に連続的に
容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明に基づいて繊維強化樹脂製細線状物
を得る場合の一連の操作を模式的に示す図である。
【図2】は、実施例1で得られた繊維強化樹脂製細線状
物の断面を模式的に示す図である。
【図3】(a)は、実施例8〜実施例10で得られた繊
維強化樹脂製細線状物の断面を模式的に示す図であり、
(b)は比較例4で得られた繊維強化樹脂製細線状物の
断面を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1a,1b,1c,1d,1e,1f…補強線維束、
5…熱硬化触媒を含有する熱硬化性樹脂、 8…絞りノ
ズル、 10…熱硬化性樹脂含浸物、 11…コーティ
ング樹脂槽、 12…光硬化性樹脂コーティング物、
13…紫外線照射装置、 14…乾熱パイプ型熱硬化
槽、 15…繊維強化樹脂製細線状物。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 11:00 4F 30:00 4F

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長繊維状の補強繊維束に熱硬化触媒を含
    有する熱硬化性樹脂を含浸した後に絞り成形し、この絞
    り成形により得られた熱硬化性樹脂含浸物の表面に光硬
    化開始剤を含有する光硬化性樹脂をコーティングした後
    に前記光硬化性樹脂を光硬化させ、次いで前記熱硬化性
    樹脂を熱硬化させることを特徴とする繊維強化樹脂製細
    線状物の製造方法。
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