JPH0511940Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、クランク軸にクランクケースを中心
の軸穴に装着したベアリングのインナレース部分
において圧入するようにした圧入装置に関する。

（従来の技術） 従来、クランクケースの圧入に際しては圧入治
具を用いて手作業により組込むようにしている。

（考案が解決しようとする問題点） 上記の如き手作業では生産性が悪く、その自動
化を図ることが望まれている。

この場合、クランクケースを着脱自在に把持す
る把持手段を備える組付ヘツドを設け、該把持手
段にクランクケースを把持させた状態で該組付ヘ
ツドをクランク軸の軸線方向に前進させて圧入す
るようにすることが考えられる。

然し、定位置に支持したクランク軸にクランク
ケースを軸線方向に前進させて圧入したのでは圧
入押力がそのままクランク軸に作用し、クランク
ピン部に無理な力が作用するためこれを傷めてし
まう問題がある。

また、クランク室の軸方向一方の半部を構成す
るケーシングにクランク軸を組付けた後に、該ケ
ーシングにクランク室の軸方向他方の半部を構成
するクランクケースをクランク軸に圧入しつつ組
付ける場合、クランク軸に連結したピストンがぶ
らつかないように、予めケーシングにシリンダを
仮組みしてこれにピストンを挿入しておくことが
望まれるが、これではクランクケースの圧入時に
これがシリンダに干渉するおそれがある。

本考案は、以上の点に鑑み、クランク室の半部
を構成するケーシングとシリンダとクランク軸と
を組合わせてサブアツシーを組立てた後のクラン
クケースのクランク軸への圧入をクランク軸に無
理をかけずに且つシリンダとの干渉を生ずること
なく円滑に行い得られるようにした装置を提供す
ることをその目的としている。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成すべく、本考案は、エンジンの
クランク室の軸方向一方の半部を構成するケーシ
ングにエンジンのシリンダを仮組みすると共に該
ケーシングにピストンを連結したクランク軸をピ
ストンがシリンダに挿入されるように組付けて成
るエンジンのサブアツシーを搬入するステーシヨ
ンに、クランク室の軸方向他方の半部を構成する
クランクケースを中心の軸穴に装着したベアリン
グのインナレース部分においてクランク軸に圧入
すべく配置する圧入装置において、クランクケー
スを着脱自在に把持する把持手段を備える組付ヘ
ツドを該把持手段に把持されるクランクケースの
軸穴が該クランク軸の軸線に合致するような所定
の組付位置に移動自在に且つ該クランク軸の軸線
方向に進退自在に設け、該組付ヘツドに該クラン
ク軸の先端のねじ部に咬合自在な先端のチヤツク
を有する引抜き軸を該クランクケースの軸穴に臨
むように回転自在に且つ進退自在に設けると共
に、該組付ヘツドに該引抜軸の回転用の駆動源と
進退用の駆動源とを設け、更に前記ケーシングに
仮組みされた前記シリンダを仮組みの遊びの範囲
内で該ケーシングから離間する方向に移動させる
スライド部材を前記組付ヘツドに設けたことを特
徴とする。

（作用） クランクケースを把持手段に把持させた状態で
組付ヘツドを組付位置に移動させて引抜軸を駆動
源により回転しつつクランク軸側に前進させ、チ
ヤツクにクランク軸のねじ部が螺入され而もベア
リングのインナレースの端部がこれと嵌合するク
ランク軸のジヤーナル部の端部に合致したところ
で引抜軸の回転と組付ヘツドの前進を停止し、次
いで駆動源により引抜軸を後退するもので、これ
によれば組付ヘツドにクランク軸の引抜き力の反
力が作用し、この反力により組付ヘツドが前進し
てクランクケースが圧入される。

然して、クランク軸に引抜軸を介して作用する
引張力は、インナーレースとジヤーナル部の嵌合
部分で受けられ、従つてクランク軸のねじ部とジ
ヤーナル部との間の部分に作用するだけであり、
クランクピン部には無理な力が作用せずこれを傷
めることが無い。

また、クランクケースの圧入に際しては、スラ
イド部材によりシリンダをケーシングから離間さ
せ、クランクケースがシリンダに干渉しないよう
にする。

（実施例） 図面は第７図に示すクランクケースＡをクラン
ク室の軸方向一方の半部を構成するケーシングに
兼用される伝動ケースＢに軸支したクランク軸Ｃ
に圧入する圧入装置に本考案を適用した実施例を
示し、伝動ケースＢを所定の組付ステーシヨンに
クランク軸Ｃが垂直姿勢で保持されるように搬送
セツトし、圧入装置によりクランクケースＡを中
心の軸穴Aaに装着したベアリングAbのインナレ
ース部分において圧入するようにした。

尚、伝動ケースＢにはシリンダＤを仮組みし、
クランク軸Ｃに連結したピストンをシリンダＤに
挿入してピストンがぶらつかないようにしてい
る。

第１図乃至第３図を参照して、１は図示しない
ロボツトに取付けられる組付ヘツドを示し、該組
付ヘツド１は、治具枠２に、下側の把持手段３
と、引抜軸４と、上側の回転用の駆動源たるモー
タ５と、進退用の駆動源たる油圧シリンダ６とを
設けて成り、該把持手段３は、クランクケースＡ
をその周囲３箇所において把持する３個の把持ア
ーム３ａと、軸穴Aaに挿入してベアリングAbの
インナレースの上端面を受ける該治具枠２の下面
に固設した１対の受け具３ｂ，３ｂとで構成さ
れ、該治具枠２に該各把持アーム３ａを夫々上側
の軸３ｃで放射方向に開閉自在に且つばね３ｄで
閉じ方向に付勢して枢着し、組付ヘツド１の下降
によりクランクケースＡの周面に該各把持アーム
３ａの下端のガイド面３ｅが当接し該ガイド面３
ｅにガイドされ該各把持アーム３ａが該各ばね３
ｄに抗して開放し該クランクケースＡの段部に係
合すると共に、該受け具３ｂにインナレースの上
端面が当接して該把持手段３にクランクケースＡ
を上下方向に不動に把持し得るようにした。

又、油圧シリンダ６は、上記治具枠２に垂設さ
れて、上下方向に貫通するガイド孔７ａを有する
中空のピストンロツド７を備えて成るものとし、
又引抜軸４は、上側部を該ガイド孔７ａに挿通さ
れて該ピストンロツド７と、下側部をベアリング
４ａを介して治具枠２とに回転自在に且つ上下動
自在に支持されており、該引抜軸４の下半部４ｂ
をばね４ｃで下方に付勢して設け、該ピストンロ
ツド７の上端に支持板７ｂを固設し、該支持板７
ｂ上に前記モータ５を設け、該モータ５の出力軸
５ａを該引抜軸４に連結して、該引抜軸４に該モ
ータ５の作動による回転が与えられるようにし、
更に該治具枠２に垂設したガイドロツド２ａにブ
ラケツト８を摺動自在に支持させ、該ブラケツト
８の上板８ａを上記ピストンロツド７の下端部に
ばね７ｃに抗して上動自在に連結すると共に、該
ブラケツト８の側板８ｂに突設した突起８ｃを引
抜軸４の前記下半部４ｂに設けた上下１対のフラ
ンジ間の係合溝４ｄに係合させ、該引抜軸４に該
油圧シリンダ６の作動により該ブラケツト８を介
して上下方向の進退動が与えられるようになつ
た。

引抜軸４の下端部には内周にねじ山を刻設した
チヤツク爪９ａの複数個から成るチヤツク９が放
射方向に開閉自在に取付けられており、該引抜軸
４の外周に、該各チヤツク爪９ａの先端部のテー
パ面に当接してこれを閉じ方向に押圧するスリー
ブ９ｂをばね９ｃで下方に付勢して嵌挿し、更に
前記ブラケツト８の側板８ｂに一端において軸着
したレバー１０の突起１０ａを該スリーブ９ｂの
上端の上下１対のフランジ間の係合溝９ｄに係合
させると共に、該ブラケツト８にステー１１ａを
介して垂設したシリンダ１１のピストンロツドを
該レバー１０の他端部に連結し、該スリーブ９ｂ
に該シリンダ１１の縮み側への作動により該レバ
ー１０を介し該ばね９ｃに抗しての上動が与えら
れるようにし、引抜軸４を回転することによりク
ランク軸Ｃのねじ部Caを該チヤツク９内に螺入
し得るようにし、又該スリーブ９ｂの上動により
該スリーブ９ｂの内側に設けたボール９ｅを該各
チヤツク爪９ａの尾端のテーパ面に当接させてこ
れらを開放しクランク軸Ｃとの咬合を解き得るよ
うにした。

図示のものでは、組付ヘツド１に、伝動ケース
Ｂに仮組したシリンダＤを外方に移動するスライ
ド部材１２を設け、クランクケースＡの圧入に際
しこれがシリンダＤの端部に干渉しないようにし
た。

更に詳述するに、スライド部材１２はシリンダ
Ｄの端面に当接する支持板１２ａを取付けたスラ
イダ１２ｂと、該スライダ１２ｂを横方向に移動
する駆動源たるシリンダ１２ｃとで構成され、前
記治具枠２にガイドブロツク２ｂを突設し、スラ
イダ１２ｂを挿通支持する支持ブロツク１２ｄを
これに垂設した１対のガイドロツド１２ｅ，１２
ｅにおいて該ガイドブロツク２ｂに挿通すると共
に、該治具枠２に垂設した前記シリンダ１２ｃの
ピストンロツドを該支持ブロツク１２ｄに連結
し、更に該ガイドブロツク２ｂの端部の上下方向
に長手のガイド溝２ｃに該スライダ１２ｄの端部
のローラ１２ｆを係合させ、該シリンダ１２ｃの
作動による該支持ブロツク１２ｄの上下動によ
り、該ガイド溝２ｃを転動する該ローラ１２ｆを
介して該スライダ１２ｂに横方向への移動が与え
られるようにした。

図面で１３はピストンロツド７の端部に螺着し
た上板８ａの抜止用のナツト、１４は把持手段３
に把持されるクランクケースＡの上面に当接して
これの有無を検知する検知部材、１４ａは該検知
部材１４を下方に付勢するばね、１５は治具枠２
の下面に突設した複数本の位置決めピンを示し、
これら位置決めピン１５を把持手段３に把持され
るクランクケースＡの伝動ケースＢとの給着要ボ
ルト孔に挿通して、該クランクケースＡの水平方
向の位置決めを行なうようにした。

次いで実施例の作用を説明するに、先ず組付ヘ
ツド１をロボツトの作動により組付ステーシヨン
の側方のクランクケース供給位置に移動すると共
に下方に前進させて、クランクケースＡを把持手
段３に把持させ、次いで組付ヘツド１をロボツト
の作動により組付ステーシヨンに移動し、把持手
段３に把持されるクランクケースＡの軸穴Aaが
該ステーシヨンに搬入セツトされる伝動ケースＢ
に軸支したクランク軸Ｃの軸線に合致するように
組付ヘツド１を位置決めした状態でこれをロボツ
トの作動により下方に前進させると共に、シリン
ダ１２ｃを縮み側に作動して伝動ケースＢに仮組
したシリンダＤを外方（第４図で左方）に移動さ
せ、クランクケースＡのベアリングAaのインナ
レースの端部がこれと嵌合するクランクシヤフト
Ｃのジヤーナル部の端部に合致したところで組付
ヘツドの前進を停止する。

この場合、引抜軸４の先端のチヤツク９がクラ
ンク軸Ｃのねじ部Caの先端に当接して引抜軸４
がばね４ｃ，７ｃに抗して上方の後退位置に存し
（第４図示の状態）、次いでモータ５の作動により
引抜軸４を回転させてチヤツク９にクランク軸Ｃ
の先端のねじ部Caを螺入し（第５図示の状態）、
次いで油圧シリンダ６を作動して引抜軸４を上方
に後退するもので、これによれば組付ヘツド１に
クランク軸Ｃの引き抜き力の反力が作用し、この
反力により組付ヘツド１が下方に前進してクラン
クケースＡが圧入される（第６図示の状態）。

この場合、クランク軸Ｃに引抜軸４を介して作
用する引張力は、インナレースとジヤーナル部の
嵌合部分で受けられ、従つてクランク軸Ｃのねじ
部Caとジヤーナル部との間の部分に作用するだ
けであり、クランク軸Ｃのクランクピン部には無
理な力が作用しない。

次いでシリンダ１１を作動しスリーブ９ｂを後
退させてチヤツク９を開放し、組付ヘツド１をロ
ボツトの作動により後退させてクランクケース供
給位置に移動し、上記の作動を繰返してクランク
ケースＡの圧入を連続して行なう。

尚、各把持アーム３ａによるクランクケースＡ
の把持力はクランクケースＡの自重により脱落し
ない程度とし、圧入後には組付ヘツド１をそのま
ま後退することによりクランクケースＡから把持
アーム３ａが外れるものとする。

又、実施例の如くチヤツクを開閉自在としクラ
ンクケースＡ圧入後にこれを開放してクランク軸
Ｃとの咬合を解き得るように構成した場合、チヤ
ツクを一々逆転させてクランク軸Ｃとの係合を解
く必要が無く比較的単時間で係合を解くことがで
き、作業能率をより一層向上できて有利である。

（考案の効果） このように本考案によるときは、把持具を備え
る組付ヘツドにクランク軸を引張る引抜軸とこれ
の回転用の駆動源と進退用の駆動源とを設けるも
ので、クランクケースを能率良く自動的に圧入で
き、生産性の向上が図れ、而もクランク軸を引張
りその反力でクランクケースを圧入することから
クランク軸を傷めることが無く、而も組付ヘツド
にケーシングに仮組みされたシリンダを該ケーシ
ングから離間させるスライド部材を設けるため、
シリンダを離間させた状態でこれとの干渉を生ず
ることなくクランクケースを圧入できる効果を有
する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案装置の１例の截断正面図、第２
図はその下面図、第３図は第１図の−線矢視
図、第４図乃至第６図は夫々その作動状態を示す
截断側面図、第７図はクランク軸とクランクケー
スとの圧入状態の截断正面図である。 Ａ……クランクケース、Aa……ベアリング、
Ab……ベアリング、Ｃ……クランク軸、Ca……
ねじ部、１……組付ヘツド、３……把持手段、４
……引抜軸、５……モータ（回転用の駆動源）、
６……油圧シリンダ（進退用の駆動源）、９……
チヤツク。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジンのクランク室の軸方向一方の半部を構
   成するケーシングにエンジンのシリンダを仮組み
   すると共に該ケーシングにピストンを連結したク
   ランク軸をピストンがシリンダに挿入されるよう
   に組付けて成るエンジンのサブアツシーを搬入す
   るステーシヨンに、クランク室の軸方向他方の半
   部を構成するクランクケースを中心の軸穴に装着
   したベアリングのインナレース部分においてクラ
   ンク軸に圧入すべく配置する圧入装置において、
   クランクケースを着脱自在に把持する把持手段を
   備える組付ヘツドを該把持手段に把持されるクラ
   ンクケースの軸穴が該クランク軸の軸線に合致す
   るような所定の組付位置に移動自在に且つ該クラ
   ンク軸の軸線方向に進退自在に設け、該組付ヘツ
   ドに該クランク軸の先端のねじ部に咬合自在な先
   端のチヤツクを有する引抜き軸を該クランクケー
   スの軸穴に臨むように回転自在に且つ進退自在に
   設けると共に、該組付ヘツドに該引抜軸の回転用
   の駆動源と進退用の駆動源とを設け、更に前記ケ
   ーシングに仮組みされた前記シリンダを仮組みの
   遊びの範囲内で該ケーシングから離間する方向に
   移動させるスライド部材を前記組付ヘツドに設け
   たことを特徴とするクランクケースのクランク軸
   の圧入装置。