JPH05117046A - 焼付補修材および焼付補修材を用いた窯炉焼付補修方法 - Google Patents
焼付補修材および焼付補修材を用いた窯炉焼付補修方法Info
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- JPH05117046A JPH05117046A JP3303878A JP30387891A JPH05117046A JP H05117046 A JPH05117046 A JP H05117046A JP 3303878 A JP3303878 A JP 3303878A JP 30387891 A JP30387891 A JP 30387891A JP H05117046 A JPH05117046 A JP H05117046A
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- furnace
- repair
- refractory
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- Furnace Housings, Linings, Walls, And Ceilings (AREA)
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明の目的は、高温下において、窯炉の内
張り耐火物中の金属酸化物や、スラグ中の鉄酸化物を還
元することなく、接着強度の低下を起こさない焼付補修
材であって、かつ、緻密な組織の施工体を形成し、高温
下でも耐火度の低下のない焼付補修材を提供することで
ある。 【構成】 耐火材料と、フェノール樹脂と、焼結剤とか
らなる焼付補修材であり、1000℃、かつ無酸化条件下で
3時間保持した後の残留カーボン量が0.5〜2.5%となる
ように、前記フェノール樹脂を添加するとともに、前記
焼結剤として、金属シリコン粉と金属アルミニウム粉と
からなり、両者の比が1:3〜3:1の範囲となるもの
を添加することを特徴とする。
張り耐火物中の金属酸化物や、スラグ中の鉄酸化物を還
元することなく、接着強度の低下を起こさない焼付補修
材であって、かつ、緻密な組織の施工体を形成し、高温
下でも耐火度の低下のない焼付補修材を提供することで
ある。 【構成】 耐火材料と、フェノール樹脂と、焼結剤とか
らなる焼付補修材であり、1000℃、かつ無酸化条件下で
3時間保持した後の残留カーボン量が0.5〜2.5%となる
ように、前記フェノール樹脂を添加するとともに、前記
焼結剤として、金属シリコン粉と金属アルミニウム粉と
からなり、両者の比が1:3〜3:1の範囲となるもの
を添加することを特徴とする。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属精錬炉等の冶金工
業炉の局部損傷部を熱間にて短時間に補修するための焼
付補修材に関する。
業炉の局部損傷部を熱間にて短時間に補修するための焼
付補修材に関する。
【0002】
【従来の技術】溶融金属容器や精錬炉等の各種窯炉内張
り耐火物の熱間補修は、炉全体の損傷バランスを保ちな
がら、高寿命化を図るために、なくてはならないもので
あり、従来吹付補修材、焼付補修材、溶射補修材を用い
た補修法が実施されている。このうち、焼付材による補
修法は、作業が比較的容易なため広く用いられている。
焼付材の結合剤には、一般にピッチや各種樹脂が用いら
れている。これら結合剤は、加熱により炭化し、強固な
カーボン結合組織を形成するので、マグネシア−カーボ
ンれんが等のカーボン含有耐火物への接着力に優れてい
る。
り耐火物の熱間補修は、炉全体の損傷バランスを保ちな
がら、高寿命化を図るために、なくてはならないもので
あり、従来吹付補修材、焼付補修材、溶射補修材を用い
た補修法が実施されている。このうち、焼付材による補
修法は、作業が比較的容易なため広く用いられている。
焼付材の結合剤には、一般にピッチや各種樹脂が用いら
れている。これら結合剤は、加熱により炭化し、強固な
カーボン結合組織を形成するので、マグネシア−カーボ
ンれんが等のカーボン含有耐火物への接着力に優れてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような焼付材はたとえば、窯炉内張り表面に金属酸化
物、例えばFe2O3等を多く含むスラグ層が付着している
場合や、窯炉がCr2O3等の比較的還元されやすい金属酸
化物を含有する耐火材で内張りされている場合、高温下
でFe2O3やCr2O3が焼付材のカーボン結合部と反応し、 2Fe2O3(Cr2O3)+3C → 4Fe+3CO2(4Cr+3CO2) の反応で還元されてしまい、内張り材は脆化し、同時に
焼付材の結合をつかさどるカーボン結合が消失してしま
う。このため、焼付直後の接着強度が大幅に低下し、実
使用において剥離が生じ、耐用性が不十分となってしま
う。
ような焼付材はたとえば、窯炉内張り表面に金属酸化
物、例えばFe2O3等を多く含むスラグ層が付着している
場合や、窯炉がCr2O3等の比較的還元されやすい金属酸
化物を含有する耐火材で内張りされている場合、高温下
でFe2O3やCr2O3が焼付材のカーボン結合部と反応し、 2Fe2O3(Cr2O3)+3C → 4Fe+3CO2(4Cr+3CO2) の反応で還元されてしまい、内張り材は脆化し、同時に
焼付材の結合をつかさどるカーボン結合が消失してしま
う。このため、焼付直後の接着強度が大幅に低下し、実
使用において剥離が生じ、耐用性が不十分となってしま
う。
【0004】一方、このような問題に対し、特開平2−
26874号に開示されかつ実用化されている無機結合
剤を用いた粉末状焼付材を使用することも考えられる
が、これは結晶水を含む化合物をバインダーとして多量
に用いるため、水の沸騰状態によっては、かなりポーラ
スな組織となることがあり、また、これら無機結合剤化
合物は、高温までそのまま残存し、耐火骨材との反応で
耐火度を低下してしまうという問題がある。
26874号に開示されかつ実用化されている無機結合
剤を用いた粉末状焼付材を使用することも考えられる
が、これは結晶水を含む化合物をバインダーとして多量
に用いるため、水の沸騰状態によっては、かなりポーラ
スな組織となることがあり、また、これら無機結合剤化
合物は、高温までそのまま残存し、耐火骨材との反応で
耐火度を低下してしまうという問題がある。
【0005】本発明は、従来技術の以上のような問題に
鑑み創案されたもので、その目的は、高温下において、
窯炉の内張り耐火物中の金属酸化物や、スラグ中の鉄酸
化物を還元することなく、接着強度の低下を起こさない
焼付補修材であって、かつ、緻密な組織の施工体を形成
し、高温下でも耐火度の低下のない焼付補修材およびそ
の補修材を用いた補修方法を提供することにある。
鑑み創案されたもので、その目的は、高温下において、
窯炉の内張り耐火物中の金属酸化物や、スラグ中の鉄酸
化物を還元することなく、接着強度の低下を起こさない
焼付補修材であって、かつ、緻密な組織の施工体を形成
し、高温下でも耐火度の低下のない焼付補修材およびそ
の補修材を用いた補修方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
図るため、耐火材料とフェノール樹脂と焼結材とからな
る焼付補修材について、鋭意検討・研究を重ねた結果、
添加すべきフェノール樹脂を調整し、また所定内容の焼
結剤を添加することで、本発明に係る焼付補修材を完成
するに至った。
図るため、耐火材料とフェノール樹脂と焼結材とからな
る焼付補修材について、鋭意検討・研究を重ねた結果、
添加すべきフェノール樹脂を調整し、また所定内容の焼
結剤を添加することで、本発明に係る焼付補修材を完成
するに至った。
【0007】すなわち、本発明に係る焼付補修材は、耐
火材料と、フェノール樹脂と、焼結剤とからなる焼付補
修材において、1000℃かつ無酸化条件下で3時間保持し
た後の残留カーボン量が0.5〜2.5%となるように、前記
フェノール樹脂を添加するとともに、前記焼結剤とし
て、金属シリコン粉と金属アルミニウム粉とからなり、
両者の比が1:3〜3:1の範囲となるものを添加する
ことを特徴とするものである。
火材料と、フェノール樹脂と、焼結剤とからなる焼付補
修材において、1000℃かつ無酸化条件下で3時間保持し
た後の残留カーボン量が0.5〜2.5%となるように、前記
フェノール樹脂を添加するとともに、前記焼結剤とし
て、金属シリコン粉と金属アルミニウム粉とからなり、
両者の比が1:3〜3:1の範囲となるものを添加する
ことを特徴とするものである。
【0008】次に、以上からなる焼付補修材を詳述す
る。
る。
【0009】本発明に使用する耐火材料は、アルミナ、
シャモット、シリカ、マグネシア、ドロマイト、カルシ
ア、クロミア、スピネル等の一般に耐火材料として用い
られているものが使用できる。中でも塩基性のマグネシ
ア、ドロマイト、カルシア等を含む材料が、耐食性の面
で好ましい。耐火材料の粒度は、通常用いられている各
種の不定形耐火物と同様の粒度範囲内にあれば、特に限
定されるものではない。耐火材料の配合量は、後述する
フェノール樹脂および焼結剤の添加量との比率によって
決定され、およそ70〜88%程度が良い。
シャモット、シリカ、マグネシア、ドロマイト、カルシ
ア、クロミア、スピネル等の一般に耐火材料として用い
られているものが使用できる。中でも塩基性のマグネシ
ア、ドロマイト、カルシア等を含む材料が、耐食性の面
で好ましい。耐火材料の粒度は、通常用いられている各
種の不定形耐火物と同様の粒度範囲内にあれば、特に限
定されるものではない。耐火材料の配合量は、後述する
フェノール樹脂および焼結剤の添加量との比率によって
決定され、およそ70〜88%程度が良い。
【0010】本発明に使用するフェノール樹脂は、通常
の焼付材に用いられている液体タイプのものが使用出来
る。流動性・接着性の面からは、熱可塑性のものが好ま
しい。ここでフェノール樹脂の添加量を決定する上で、
最も重要な点は、加熱後の残留カーボン量である。本発
明の重要な目的の一つは、前述したように、窯炉内張り
材、もしくは表層スラグ中の金属酸化物の還元による脆
化、および焼付材の接着面付近のカーボン結合消失によ
る剥離を防止することにある。したがって、本発明の焼
付材では、焼付材中に残留するカーボン量を抑制するこ
とにより、補修施工後炉熱により高温に保たれている間
にこの残留カーボンの大部分を酸化させる一方で、炉を
使用する時点では内張り耐火物中や表層スラグの金属酸
化物を還元するには不十分なカーボン量となるようにし
たものである。
の焼付材に用いられている液体タイプのものが使用出来
る。流動性・接着性の面からは、熱可塑性のものが好ま
しい。ここでフェノール樹脂の添加量を決定する上で、
最も重要な点は、加熱後の残留カーボン量である。本発
明の重要な目的の一つは、前述したように、窯炉内張り
材、もしくは表層スラグ中の金属酸化物の還元による脆
化、および焼付材の接着面付近のカーボン結合消失によ
る剥離を防止することにある。したがって、本発明の焼
付材では、焼付材中に残留するカーボン量を抑制するこ
とにより、補修施工後炉熱により高温に保たれている間
にこの残留カーボンの大部分を酸化させる一方で、炉を
使用する時点では内張り耐火物中や表層スラグの金属酸
化物を還元するには不十分なカーボン量となるようにし
たものである。
【0011】すなわち、焼付材中のフェノール樹脂を起
源とする加熱後残留カーボン量が2.5%を超えるような
場合には、熱間補修後、高温で放置されても、酸化が不
十分であり、その後、炉が使用されるときまでカーボン
が残留し、内張り耐火物中の表面付近および表層スラグ
中の金属酸化物を還元してしまうため、本発明の焼付材
では、加熱後残留カーボン量を2.5%以下に抑制しなけ
ればならない。一方、残留カーボン量が0.5%未満であ
ると、一次結合剤となるものを別途添加しないと、液体
分の揮発後全く結合力のない状態となり、粉状となって
しまうため、0.5%以上が必要である。したがって、本
発明では補修材の残留カーボン量が0.5〜2.5%となるよ
うな範囲でフェノール樹脂を添加する。ここでの残留カ
ーボン量とは、1000℃で無酸化条件下において、3時間
保持した後の残留カーボン量である。液体フェノール樹
脂には残留カーボン量の多いものも、少ないものもある
が、一般には耐火物用としては、カーボン結合を最終目
的としているので、残留カーボン量の多いものが好まれ
る。しかし、本発明の焼付材では、前記したように、む
しろ残留カーボン量の少ない液体フェノール樹脂を用い
た方が好都合であり、また、液体樹脂量は、材料全体の
流動性や、粒の分離・沈降に影響を与えるので、液体フ
ェノール樹脂中の残留カーボン量が5〜20%のものを焼
付材全体の10〜20%混合する方法が使いやすい。フェノ
ール樹脂には、レゾールタイプとノボラックタイプとが
あるが、経時変化の点でノボラックタイプの方が好まし
い。
源とする加熱後残留カーボン量が2.5%を超えるような
場合には、熱間補修後、高温で放置されても、酸化が不
十分であり、その後、炉が使用されるときまでカーボン
が残留し、内張り耐火物中の表面付近および表層スラグ
中の金属酸化物を還元してしまうため、本発明の焼付材
では、加熱後残留カーボン量を2.5%以下に抑制しなけ
ればならない。一方、残留カーボン量が0.5%未満であ
ると、一次結合剤となるものを別途添加しないと、液体
分の揮発後全く結合力のない状態となり、粉状となって
しまうため、0.5%以上が必要である。したがって、本
発明では補修材の残留カーボン量が0.5〜2.5%となるよ
うな範囲でフェノール樹脂を添加する。ここでの残留カ
ーボン量とは、1000℃で無酸化条件下において、3時間
保持した後の残留カーボン量である。液体フェノール樹
脂には残留カーボン量の多いものも、少ないものもある
が、一般には耐火物用としては、カーボン結合を最終目
的としているので、残留カーボン量の多いものが好まれ
る。しかし、本発明の焼付材では、前記したように、む
しろ残留カーボン量の少ない液体フェノール樹脂を用い
た方が好都合であり、また、液体樹脂量は、材料全体の
流動性や、粒の分離・沈降に影響を与えるので、液体フ
ェノール樹脂中の残留カーボン量が5〜20%のものを焼
付材全体の10〜20%混合する方法が使いやすい。フェノ
ール樹脂には、レゾールタイプとノボラックタイプとが
あるが、経時変化の点でノボラックタイプの方が好まし
い。
【0012】本発明に用いる焼結剤は、金属シリコン粉
と金属アルミニウム粉との混合物であって、両者の比が
1:3〜3:1の範囲になければならない。
と金属アルミニウム粉との混合物であって、両者の比が
1:3〜3:1の範囲になければならない。
【0013】焼結剤としては、一般には、粘土や珪酸
塩、燐酸塩等の無機材料の微粉が用いられることが多い
が、これらは高温では低融点化合物を生成しやすく、好
ましくない。また、珪酸塩や燐酸塩の場合、保管中に液
体フェノール樹脂と反応を生じ、経時変化することがあ
る。そこで、種々の焼結剤を検討したところ、金属シリ
コン粉と金属アルミニウム粉との混合粉が最適であるこ
とを見出した。両金属とも常温では液体フェノール樹脂
と反応しないので、経時変化については問題ない。金属
アルミニウムは、融点が660℃であり、一次結合剤とし
て働いている、フェノール樹脂起因の結合強度が下がり
始めるとほぼ同時に溶融し、耐火骨材間を埋め、さらに
加熱されることにより、徐々に酸化され、Al2O3を形成
する。このAl2O3は更に1200℃以上の高温域では、耐火
材料と徐々に焼結反応を生じ、強固な結合組織を形成す
る。しかしながら、金属アルミニウム単味で使用した場
合には、一つの欠点が見出された。すなわち、耐火材料
の種類によって、焼結反応時の線変化が膨張性となった
り収縮性となるため、膨張する場合には組織がポーラス
となり、収縮の場合には緻密化するが、同時に施工体全
体も収縮してしまうことが判明したのである。そこで、
金属アルミニウムに金属シリコンを混合することで、こ
の問題を解決することが可能となった。金属シリコンの
融点は1400℃以上と高く、前記のような金属アルミニウ
ムの挙動を全く阻害しないが、1200℃以上の高温下では
徐々に酸化されSiO2を形成するとともに、耐火材料およ
び金属アルミニウムの酸化によるAl2O3と反応し、前記
のような金属アルミニウム単独添加による弊害を実用上
問題ない程度に抑制することが可能となった。両金属の
比率が1:3〜3:1の範囲外では、後述する表1より
も明らかなように、上記のような効果を見出すことが出
来ない。以上のことから、本発明では、焼結剤として金
属シリコン粉と金属アルミニウム粉とからなり、両者の
比が1:3〜3:1の範囲となるものを用いる。なお、
焼結剤として用いる金属シリコンと金属アルミニウムと
の混合粉の耐火材料中の混合量は、耐火材料の種類にも
よるが、およそ2%〜10%が適当である。2%未満では十
分な焼結効果が得難く、一方、10%を超えて添加しても
焼結効果の向上はあまり顕著ではないので不経済であ
る。通常3〜8%が最も効果的である。金属シリコン粉お
よび金属アルミニウム粉の粒度は、反応性を考慮すると
200メッシュ以下の粒度がよい。
塩、燐酸塩等の無機材料の微粉が用いられることが多い
が、これらは高温では低融点化合物を生成しやすく、好
ましくない。また、珪酸塩や燐酸塩の場合、保管中に液
体フェノール樹脂と反応を生じ、経時変化することがあ
る。そこで、種々の焼結剤を検討したところ、金属シリ
コン粉と金属アルミニウム粉との混合粉が最適であるこ
とを見出した。両金属とも常温では液体フェノール樹脂
と反応しないので、経時変化については問題ない。金属
アルミニウムは、融点が660℃であり、一次結合剤とし
て働いている、フェノール樹脂起因の結合強度が下がり
始めるとほぼ同時に溶融し、耐火骨材間を埋め、さらに
加熱されることにより、徐々に酸化され、Al2O3を形成
する。このAl2O3は更に1200℃以上の高温域では、耐火
材料と徐々に焼結反応を生じ、強固な結合組織を形成す
る。しかしながら、金属アルミニウム単味で使用した場
合には、一つの欠点が見出された。すなわち、耐火材料
の種類によって、焼結反応時の線変化が膨張性となった
り収縮性となるため、膨張する場合には組織がポーラス
となり、収縮の場合には緻密化するが、同時に施工体全
体も収縮してしまうことが判明したのである。そこで、
金属アルミニウムに金属シリコンを混合することで、こ
の問題を解決することが可能となった。金属シリコンの
融点は1400℃以上と高く、前記のような金属アルミニウ
ムの挙動を全く阻害しないが、1200℃以上の高温下では
徐々に酸化されSiO2を形成するとともに、耐火材料およ
び金属アルミニウムの酸化によるAl2O3と反応し、前記
のような金属アルミニウム単独添加による弊害を実用上
問題ない程度に抑制することが可能となった。両金属の
比率が1:3〜3:1の範囲外では、後述する表1より
も明らかなように、上記のような効果を見出すことが出
来ない。以上のことから、本発明では、焼結剤として金
属シリコン粉と金属アルミニウム粉とからなり、両者の
比が1:3〜3:1の範囲となるものを用いる。なお、
焼結剤として用いる金属シリコンと金属アルミニウムと
の混合粉の耐火材料中の混合量は、耐火材料の種類にも
よるが、およそ2%〜10%が適当である。2%未満では十
分な焼結効果が得難く、一方、10%を超えて添加しても
焼結効果の向上はあまり顕著ではないので不経済であ
る。通常3〜8%が最も効果的である。金属シリコン粉お
よび金属アルミニウム粉の粒度は、反応性を考慮すると
200メッシュ以下の粒度がよい。
【0014】以上のような本発明の焼付補修材は、耐火
材料と液体フェノール樹脂と焼結剤とを、混合混練した
スラリー状を呈する材料であり、この混練物をフレコン
バッグ等の可燃性バッグで梱包し、窯炉の補修にあたっ
ては、この可燃性梱包のまま、高温の炉内に投入する。
炉の保有熱により投入初期は、フェノール樹脂の硬化も
しくは炭化によって、一次的な接着強度および施工体の
強度を保持する。さらに、加熱されることにより、樹脂
の分解、残留カーボンの酸化が生じるため、一時的に強
度の低下傾向を示すが、焼付材中の焼結剤の働きによ
り、焼結強度が与えられ、高強度の補修施工体が得られ
る。
材料と液体フェノール樹脂と焼結剤とを、混合混練した
スラリー状を呈する材料であり、この混練物をフレコン
バッグ等の可燃性バッグで梱包し、窯炉の補修にあたっ
ては、この可燃性梱包のまま、高温の炉内に投入する。
炉の保有熱により投入初期は、フェノール樹脂の硬化も
しくは炭化によって、一次的な接着強度および施工体の
強度を保持する。さらに、加熱されることにより、樹脂
の分解、残留カーボンの酸化が生じるため、一時的に強
度の低下傾向を示すが、焼付材中の焼結剤の働きによ
り、焼結強度が与えられ、高強度の補修施工体が得られ
る。
【0015】そして特に、本発明の焼付材は、窯炉内面
温度が800℃以上でそれを炉内に投入し、かつ炉内雰囲
気温度が800℃以上で1時間以上保持することにより補
修を行うことで、より大きな効果を得ることが出来る。
すなわち、本発明の焼付材は、従来のようなカーボン結
合組織を保つものではないので、前記したようにフェノ
ール樹脂は一次結合強度を与えた後は、酸化・消失する
ことが好ましい。そして、同時に焼結剤として添加した
金属粉の作用による結合力を得なければならない。従っ
て、フェノール樹脂の酸化・消失、金属アルミニウムの
溶融・酸化を促進するために、補修時および補修直後の
窯炉内温度をある程度高温に保つことで、より良好な補
修効果を与えることができる。種々試験を行った結果、
補修およびその直後の炉内温度が800℃未満であると、
結果的に焼付補修材の耐用性向上が大きくなく、800℃
以上で耐用性向上が認められ、補修効果が大きくなる。
温度の上限は特に無く、高温のほうが好ましいが、実用
上は加熱コスト等を考慮すると1300℃程度迄である。ま
た、補修直後、800℃以上に保つ時間については、1時
間未満では、温度が低い場合と同様、焼付補修材の耐用
性向上が大きくなく、1時間以上で耐用性向上の効果が
大きく認められた。なお、この800℃以上での保持時間
は、長ければ長いほどよいが、実際には実炉の操業スケ
ジュールにより決定されることになる。
温度が800℃以上でそれを炉内に投入し、かつ炉内雰囲
気温度が800℃以上で1時間以上保持することにより補
修を行うことで、より大きな効果を得ることが出来る。
すなわち、本発明の焼付材は、従来のようなカーボン結
合組織を保つものではないので、前記したようにフェノ
ール樹脂は一次結合強度を与えた後は、酸化・消失する
ことが好ましい。そして、同時に焼結剤として添加した
金属粉の作用による結合力を得なければならない。従っ
て、フェノール樹脂の酸化・消失、金属アルミニウムの
溶融・酸化を促進するために、補修時および補修直後の
窯炉内温度をある程度高温に保つことで、より良好な補
修効果を与えることができる。種々試験を行った結果、
補修およびその直後の炉内温度が800℃未満であると、
結果的に焼付補修材の耐用性向上が大きくなく、800℃
以上で耐用性向上が認められ、補修効果が大きくなる。
温度の上限は特に無く、高温のほうが好ましいが、実用
上は加熱コスト等を考慮すると1300℃程度迄である。ま
た、補修直後、800℃以上に保つ時間については、1時
間未満では、温度が低い場合と同様、焼付補修材の耐用
性向上が大きくなく、1時間以上で耐用性向上の効果が
大きく認められた。なお、この800℃以上での保持時間
は、長ければ長いほどよいが、実際には実炉の操業スケ
ジュールにより決定されることになる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例について説明す
る。
る。
【0017】まず、耐火材料として、MgO含有量98%の
マグネシアクリンカーを用い、フェノール樹脂として、
残留カーボン量の異なる数種のノボラック型液体フェノ
ール樹脂を、また、焼結剤として、金属シリコン、金属
アルミニウム共200メッシュ以下の粒度としたものを、
それぞれ原料として、表1に示すような配合で実験を行
った。1000℃に加熱したマグネシア−クロムれんが面
に、各焼付材を焼き付けて接着させ、これを1200℃で8
時間加熱した後の、れんが−焼付材面状態を観察した結
果を同表中「マグ−クロれんがとの反応」として示す。
また、この時の接着強度を剪断力として測定した結果も
同表に示す。なお、実際に用いたマグネシア−クロムれ
んがの化学成分は、MgO=50%、Cr2O3=35%、Fe2O3=7
%、Al2O3=5%である。表1から明らかなように、本実
施例1〜5はいずれもれんがと焼結を示しており、500〜7
00kg/cm2の接着力を示すが、比較例1および2は、焼付
材中の残留カーボン量が多く、れんがの金属酸化物を還
元し、金属を析出しており、れんが表面部は脆化してい
る。また、接着力も弱い。
マグネシアクリンカーを用い、フェノール樹脂として、
残留カーボン量の異なる数種のノボラック型液体フェノ
ール樹脂を、また、焼結剤として、金属シリコン、金属
アルミニウム共200メッシュ以下の粒度としたものを、
それぞれ原料として、表1に示すような配合で実験を行
った。1000℃に加熱したマグネシア−クロムれんが面
に、各焼付材を焼き付けて接着させ、これを1200℃で8
時間加熱した後の、れんが−焼付材面状態を観察した結
果を同表中「マグ−クロれんがとの反応」として示す。
また、この時の接着強度を剪断力として測定した結果も
同表に示す。なお、実際に用いたマグネシア−クロムれ
んがの化学成分は、MgO=50%、Cr2O3=35%、Fe2O3=7
%、Al2O3=5%である。表1から明らかなように、本実
施例1〜5はいずれもれんがと焼結を示しており、500〜7
00kg/cm2の接着力を示すが、比較例1および2は、焼付
材中の残留カーボン量が多く、れんがの金属酸化物を還
元し、金属を析出しており、れんが表面部は脆化してい
る。また、接着力も弱い。
【0018】
【表1】
【0019】次に、上記の焼付材を用いて実炉での耐用
性を計測した。
性を計測した。
【0020】表2は、実炉での試用結果を示したもので
ある。実施例6〜8は、表1中の実施例4の焼付材を用
いたものであり、比較例3、4は、表1中の比較例の焼
付材を、比較例5は表1中の比較例1の焼付材を用いた
ものである。炉はマグ−クロれんがを主体にライニング
されている精錬炉である。本発明の範囲と比較して、補
修時の炉内温度が低いか、保持温度が低いか、もしくは
保持時間が短い場合には、十分な耐用性が得られない
が、本実施例のように、補修時の炉内温度および保持温
度が800℃以上であり、保持時間が1時間以上である
と、耐用性が大幅に向上しているのがわかる。
ある。実施例6〜8は、表1中の実施例4の焼付材を用
いたものであり、比較例3、4は、表1中の比較例の焼
付材を、比較例5は表1中の比較例1の焼付材を用いた
ものである。炉はマグ−クロれんがを主体にライニング
されている精錬炉である。本発明の範囲と比較して、補
修時の炉内温度が低いか、保持温度が低いか、もしくは
保持時間が短い場合には、十分な耐用性が得られない
が、本実施例のように、補修時の炉内温度および保持温
度が800℃以上であり、保持時間が1時間以上である
と、耐用性が大幅に向上しているのがわかる。
【0021】
【表2】
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る焼付
補修材によれば、高温下において、窯炉の内張り耐火物
中の金属酸化物や、スラグ中の鉄酸化物を還元すること
がないため、接着強度の低下を防ぐことができ、かつ、
緻密な組織の施工体を形成し、高温下でも耐火度の低下
を防げるものとなる。さらに、この焼付補修材を用いた
本発明法によれば、上記効果がより良好な形で得られる
ものとなる。
補修材によれば、高温下において、窯炉の内張り耐火物
中の金属酸化物や、スラグ中の鉄酸化物を還元すること
がないため、接着強度の低下を防ぐことができ、かつ、
緻密な組織の施工体を形成し、高温下でも耐火度の低下
を防げるものとなる。さらに、この焼付補修材を用いた
本発明法によれば、上記効果がより良好な形で得られる
ものとなる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西 正明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 山村 隆 岡山県岡山市四御神700−121 (72)発明者 中村 良介 岡山県備前市伊部1931 (72)発明者 竹下 安生 広島県福山市春日町能島206−6
Claims (2)
- 【請求項1】 耐火材料と、フェノール樹脂と、焼結剤
とからなる焼付補修材において、1000℃、かつ無酸化条
件下で3時間保持した後の残留カーボン量が0.5〜2.5%
となるように、前記フェノール樹脂を添加するととも
に、前記焼結剤として、金属シリコン粉と金属アルミニ
ウム粉とからなり、両者の比が1:3〜3:1の範囲と
なるものを添加することを特徴とする焼付補修材。 - 【請求項2】 前項記載の焼付補強材を、窯炉内面温度
が800℃以上で炉内に投入し、かつ炉内雰囲気温度が800
℃以上で1時間以上保持することにより補修を行うこと
を特徴とする請求項1の焼付補修材を用いた窯炉焼付補
修方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3303878A JP2556786B2 (ja) | 1991-10-24 | 1991-10-24 | 焼付補修材および焼付補修材を用いた窯炉焼付補修方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3303878A JP2556786B2 (ja) | 1991-10-24 | 1991-10-24 | 焼付補修材および焼付補修材を用いた窯炉焼付補修方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05117046A true JPH05117046A (ja) | 1993-05-14 |
JP2556786B2 JP2556786B2 (ja) | 1996-11-20 |
Family
ID=17926364
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3303878A Expired - Lifetime JP2556786B2 (ja) | 1991-10-24 | 1991-10-24 | 焼付補修材および焼付補修材を用いた窯炉焼付補修方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2556786B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007313539A (ja) * | 2006-05-25 | 2007-12-06 | Nippon Steel Corp | 精錬容器の補修方法 |
JP2011105522A (ja) * | 2009-11-12 | 2011-06-02 | Kurosaki Harima Corp | 焼付け補修材 |
JP2011207702A (ja) * | 2010-03-30 | 2011-10-20 | Kurosaki Harima Corp | 焼付け補修材 |
JP2011245493A (ja) * | 2010-05-24 | 2011-12-08 | Kobe Steel Ltd | 取鍋の地金除去方法 |
-
1991
- 1991-10-24 JP JP3303878A patent/JP2556786B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007313539A (ja) * | 2006-05-25 | 2007-12-06 | Nippon Steel Corp | 精錬容器の補修方法 |
JP2011105522A (ja) * | 2009-11-12 | 2011-06-02 | Kurosaki Harima Corp | 焼付け補修材 |
JP2011207702A (ja) * | 2010-03-30 | 2011-10-20 | Kurosaki Harima Corp | 焼付け補修材 |
JP2011245493A (ja) * | 2010-05-24 | 2011-12-08 | Kobe Steel Ltd | 取鍋の地金除去方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2556786B2 (ja) | 1996-11-20 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 19960604 |