JPH0511626B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

［産業上の利用分野］ 本発明は、電子写真、静電記録及び静電印刷等
における静電潜像を現像するための、新規な乾式
負荷電トナーに関するものである。 ［従来の技術］ 元来、静電潜像は、その静電引力で以てトナー
を付着せしめることにより、現像して可視化する
ことができるが、この静電潜像の現像剤として、
液体現像の他に粉末現像剤が、広く用いられてい
る。 この粉末現像剤は、天然樹脂または合成樹脂に
着色剤、荷電制御剤、流動化剤等を分散させた平
均粒径15μmの微細トナーと、100〜200μmの鉄粉
またはフエライト粉等のキヤリアとの混合物より
成る２成分系現像剤と、天然樹脂または合成樹脂
に着色剤、荷電制御剤、流動化剤、磁性体等を分
散させた平均粒径15μmの微細トナーのみより成
る１成分系現像剤とに大別することができる。 ２成分系現像剤は、キヤリアとの摩擦により荷
電せしめたトナーを静電潜像に付着せしめること
により現像を達成するものであり、１成分系現像
剤には、キヤリアの代りにこれと同様の機能を有
するブラシ状、板状の摩擦部材との摩擦によつて
荷電されるトナーが知られており、又最近、磁性
体微粉末を分散状態に保ち、該磁性体微粉末との
相互摩擦によつて荷電されるトナーが知られてい
る。而して、これらの現像用トナーは、現像され
る静電潜像の極性に応じて、正または負の電荷が
保たれる。 トナーに該電荷を保有せしめるためには、トナ
ーに主成分である樹脂の摩擦帯電性を利用するこ
とも提案されているが、この方法ではトナーの荷
電性が小さく、かつ、固体表面抵抗値が大きいた
め、得られた画像はかぶり易く、不鮮明なものと
なる。そこで所望の摩擦帯電性をトナーに付与す
るために、電荷を付与する染料、顔料、更には荷
電制御剤なるものを添加することが行なわれてお
り、今日、当該技術分野で実用されているものと
しては、トナーに正電荷を付与する場合には、特
公昭41−2427号公報等に示されているニグロシン
系の油溶性染料等があり、負電荷を付与する場合
には、特公昭41−202153号公報、同43−17955号
公報、同45−26478号公報等に示されている如き
含金属錯塩染料等がある。 しかし、これら公報に記載されている荷電制御
剤は、(1)単位当りの荷電量が小さい（｜25｜
μC／ｇｒ以下）、(2)嵩が低い（3.0cc／gr以下）、
(3)粉砕性に劣る（350meshで10％以上残る）等の
欠点を有する。 ［発明が解決しようとする問題点］ 本発明は、如上の従来荷電制御剤の欠点に鑑
み、荷重量に優れ、嵩が高く、而も微粉砕性に優
れたキレート化合物を荷電制御剤とする静電荷像
現像用トナーを提供し、以て斯界の懸案を解決せ
んとするものである。 ［問題点を解決するための手段］ 本発明は、次の一般式 ［式中、Ｒは、アルキル基（C₁〜C₈）を示し、
Ｙは、水素、アルキル基（C₁〜C₈）、カルボキシ
ル基あるいはアルキル基または芳香族置換基があ
つてもよいカルバモイル基を示し、Meは、金属
を示す。］ で表わされるキレート化合物を含有することを特
徴とする、静電荷像現像用トナーにある。 ［実施例］ 本発明におけるキレート化合物は、次の一般式 ［式中、Ｒは、C₁〜C₈のアルキル基を示す。］ で表わされる４−ニトロ−２−アミノフエノール
誘導体をジアゾ化し、次いで次の一般式 ［式中、Ｙは、水素、アルキル基（C₁〜C₈）、
カルボキシル基あるいはアルキル基または芳香族
置換基があつてもよいカルバモイル基を示す。］ で表わされるナフトール誘導体にカツプリングし
て得られる金属化可能のアゾ化合物を、公知の方
法によつて金属付与剤で処理した後、必要なら
ば、酸性または鉱酸を含む水で稀釈して沈殿せし
め、濾取することによつて得られる。 この場合における対イオンは、例えば、濾過前
のPHを３以下となし、濾取後、PHが６〜７位にな
るまで洗浄すれば、水素イオン（H⁺）として得
られる。 一般式［］で表わされるジアゾ成分を例示す
ると、６−メチル−４−ニトロ−２−アミノフエ
ノール、６−プロピル−４−ニトロ−２−アミノ
フエノール、６−ｎ−ブチル−４−ニトロ−２−
アミノフエノール、６−ｔ−ブチル−４−ニトロ
−２−アミノフエノール、６−ｔ−アミル−４−
ニトロ−２−アミノフエノール等が挙げられる。 一般式［］で表わされるカツプリング成分を
例示すると、β−ナフトール、２−オキシ−３−
ナフトエ酸、ナフトールAS類、アルキル（C₁〜
C₈）−２−オキシ−３−ナフトエ酸等が挙げられ
る。 金属付与剤としては、有機または無機のクロム
塩、コバルト塩および鉄塩を用いることが出来
る。 化合物例 本発明の一般式［］で表わされるキレート化
合物の具体例を例示すると共に、それぞれの物性
を示し、これに比較例とその物性を付記した。

【式】

物性の評価方法： 荷電量：100ccポリ瓶に試料1grとキヤリア（日
本鉄粉社製、TEFV200／300）50grを精秤し
充分混合して、ブローオフ（東芝ケミカル社
製）にて荷電量を測定した。 嵩：JIS Ｋ−5101−18による。 粉砕性：試料15grを卓上粉砕器（日本理化学機
器社製、分析粉砕器Ｒ−８）に入れ３分間粉
砕し、350mesh標準ふるいで測定した。測定
値は、350meshふるい残分の％を表わす。 吸湿性：試料10grを50℃、80％の恒温恒湿器
（東洋科学産業社製）に７日間放置し、その
重量増加を測定した。 本発明トナーは、上記一般式［］のキレート
化合物の外に、公知のトナー用樹脂中、接着性、
保存性、流動性、粉砕性等を考慮して、スチレン
樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、スチレン−ブ
タジエン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹
脂、パラフインワツクス等の１種又は数種を混合
して用いられる。また着色剤としては、公知の多
数の染料、顔料を用いることが出来る。 また本発明のトナーには、必要に応じて、上記
のトナー用樹脂及び着色剤以外の添加剤を混合し
てもよい。該添加剤としては、例えばテフロン、
ステアリン酸亜鉛の如き滑剤、コロイダルシリ
カ、酸化チタン、酸化アルミニウム等の流動性付
与剤、ケーキング防止剤、カーボンブラツク、酸
化錫等の導電性付与剤、あるいは低分子量ポリエ
チレンなどの定着助剤等がある。 本発明においてトナー成分中に添加される一般
式［］のキレート化合物の量は、樹脂100重量
部に対し、0.1〜10重量部、就中0.3〜５重量部の
割合が好ましい。 本発明トナーは、キヤリアと混合して２成分系
現像剤を提供するが、キヤリアとしては公知のも
のがすべて使用可能である。また、１成分系トナ
ーとして現像を形成する場合も、公知の磁性粉
（例えば、マグネタイト、フエライト等）と混練
することが可能である。 以下実施例１〜５及び比較例１〜３で、本発明
の具体例を説明する。なお、実施例・比較例中に
おいて、重量部を部と略して記載する。 実施例 １ スチレン−アクリル共重合物（三洋化成社製，
ハイマーSBM600） ……100部 カーボンブラツク（三菱化成社製，＃44）
……７部 化合物例(1) ……1.2部 上記配合物をボールミルで均一に予備混合し、
プレミツクスを調整する。次いで二軸押出し機
（池貝製作所社製，PCM−30）を用いて溶融混練
し、冷却後、振動ミルで粗粉砕し、更にラボジエ
ツト（日本ニユーマチツク社製）を用いて微粉砕
した。得られた微粉末を分級して、粒径５〜
15μmを有する黒色トナーを得た。 得られたトナー３部に対して鉄粉キヤリア（日
本鉄粉社製、TEFV200／300）97部を混合して、
現像剤を調整した。本現像剤の初期ブローオフ荷
電量は、−36.8μC／grであつた。また、市販の複
写機（シヤープSF−815）で複写したところ、か
ぶりのない細線再現性の良好な、その上、べた部
反射濃度が1.5以上という鮮明な画像が得られた。
また、連続複写10000枚後においても、変化のな
い安定な複写画像が得られた。 実施例 ２ ポリエステル樹脂（花王石鹸社製，ATR−
2010） ……100部 カーボンブラツク（三菱化成社製，＃44）
……５部 青色染料（オリエント化学工業社製，Valifast
Blue 2606） ……１部 化合物例(2) ……１部 上記配合物を実施例１と同様に処理して、トナ
ーを調整した。 得られたトナー３部に対して鉄粉キヤリア97部
を混合して、現像剤を調整した。本現像剤の初期
ブローオフ荷電量は、−34.2μC／grであつた。 本現像剤を市販の複写機（シヤープSF−815）
にてトナー画像を形成したところ、かぶりのない
細線再現性の良好な鮮明な画像が得られた。連続
複写10000枚後においても、変化のない安定な複
写画像が得られた。 実施例 ３ スチレン−２−エチルヘキシルメタクリレート
共重合樹脂（80／20） ……100部 四三酸化鉄（戸田工業社製，EPT−500）
……50部 低重合度ポリプロピレン（三洋化成社製，ビス
コール550P） ……４部 化合物例(1) ……２部 上記配合物をボールミルで均一に予備混合し、
プレミツクスを調整する。次いで二軸押出し機
（池貝製作所社製，PCM−30）を用いて溶融混練
し、冷却後、振動ミルで粗粉砕し、更に微粉砕、
分級して、粒径５〜35μmを有する１成分系トナ
ーを得た。 本トナー２部と鉄粉キヤリア（日本鉄粉社製，
TEFV200／300）98部を混合してブローオフ荷電
量を測定したところ、−30.1μC／gerであつた。市
販の複写機（キヤノン）NP−201）にてトナー
画像を形成したところ、かぶりのない細線再現性
の良好な、その上、べた部反射濃度が1.4という
鮮明な画像が得られた。連続複写10000枚後にお
いても、変化のない安定な複写画像が得られた。 実施例 ４ 実施例１において、化合物例(1)の代りに化合物
例(3)1.2部を用い、爾余の点においては実施例１
と同様にトナーを調整した。 得られたトナー３部に対して鉄粉キヤリア97部
を混合して、現像剤を調整した。本現像剤の初期
ブローオフ荷電量は、−31.6μC／grであつた。本
現像剤を市販の複写機にてトナー画像を形成した
ところ、かぶりのない、細線再現性の良好な、そ
の上、べた部反射濃度が1.5という鮮明な画像が
得られた。連続複写10000枚後においても、変化
のない安定な複写画像が得られた。 実施例 ５ 実施例１において、化合物例(1)の代りに化合物
例(4)1.2部を用い、爾余の点においては実施例１
と同様にトナーを調整した。 得られたトナー３部に対して鉄粉キヤリア97部
を混合して、現像剤を調整した。本現像剤の初期
ブローオフ荷電量は、−32.6μC／grであつた。本
現像剤を市販の複写機にてトナー画像を形成した
ところ、かぶりのない、細線再現性の良好な、そ
の上、べた部反射濃度が1.48という鮮明な画像が
得られた。連続複写10000枚後においても、変化
のない安定な複写画像が得られた。 実施例 ６ 実施例３において、化合物例(1)の代りに化合物
例(2)２部を用い、爾余の点においては実施例３と
同様に１成分系トナーを調整した。 本トナー２部と鉄粉キヤリア98部を混合してブ
ローオフ荷電量を測定したところ、29.6μC／grで
あつた。市販の複写機にてトナー画像を形成した
ところ、かぶりのない、細線再現性の良好な、そ
の上、べた部反射濃度が1.41という鮮明な画像が
得られた。連続複写10000枚後においても、変化
のない安定な複写画像が得られた。 比較例 １ 実施例１において、化合物例(1)の代りに比較化
合物例(1)1.2部を用い、爾余の点においては実施
例１と同様にトナーを調整した。 得られたトナー３部に対して鉄粉キヤリア97部
を混合して、現像剤を調整した。本現像剤の初期
ブローオフ荷電量は、−20.1μC／grとやや低く、
市販の複写機（シヤープSF−815）にてトナー画
像を形成したところ、初期複写では良好な画像が
得れたが、長期間繰返し使用すると（5000枚後）、
かぶりが生じ、不鮮明な複写画像となつた。 比較例 ２ 実施例３において、化合物例(1)の代りに比較化
合物(1)２部を用い、爾余の点においては実施例３
と同様に１成分系トナーを調整した。 得られたトナー２部に対して鉄粉キヤリア98部
を混合してブローオフ荷電量を測定したところ、
−8.2μC／grとかなり低く、市販の複写機（キヤ
ノンNP−201）にてトナー画像を形成したとこ
ろ、かぶりの多い不鮮明な複写画像が得られた。 比較例 ３ 実施例３において、化合物例(1)の代わりに比較
化合物例(2)２部を用い、爾余の点においては実施
例３と同様にして、１成分系トナーを調整した。 得られたトナー２部に対して鉄粉キヤリア98部
を混合してブローオフ荷電量を測定したところ、
−9.8μC／grとかなり低く、市販の複写機（キヤ
ノンNP−201）にてトナー画像を形成したとこ
ろ、かぶりの多い不鮮明な複写画像が得られた。 ［発明の効果］ 本発明に用いる上記のキレート化合物は、前述
の如く、荷電量に優れ（｜30｜μC／gr以上）、嵩
が高く（4.0cc／gr以上）、微粉砕性に優れている
（５％以下）ため、トナー用樹脂への分散性が極
めて良好であるという特性を有する。 従つて、荷電制御剤として一般式〔〕のキレ
ート化合物を含む本発明のトナーは、トナー粒子
間の摩擦荷電量が均一であり、且つ安定な荷電量
を持ち、耐環境性（耐湿度）に優れている。また
使用中、変質して摩擦荷電量がばらついたり減少
することなく、極めて安定したトナーである。而
してこのため現像かぶり、トナー飛散による汚染
等の障害が除去されると共に、従来大きな問題点
であつた保存中の凝集、塊状化および低温流動性
の現象が起こらず、長期保存に耐え、鮮明なトナ
ー画像が得られ、且つトナー画像の耐摩耗性、定
着性および接着性にもすぐれている。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 一般式 ［式中、Ｒは、アルキル基（C₁〜C₈）を示し、
   Ｙは、水素、アルキル基（C₁〜C₈）、カルボキシ
   ル基あるいはアルキル基または芳香族置換基があ
   つてもよいカルバモイル基を示し、Meは、金属
   を示す。］ で表わされるキレート化合物を含有することを特
   徴とする、静電荷像現像用トナー。 ２ 一般式［］におけるNeが、Co，Crまたは
   Feのいずれかである、特許請求の範囲第１項記
   載の静電荷像現像用トナー。 ３ 一般式［］で表わされるキレート化合物
   が、樹脂100重量部に対して0.3〜５重量部であ
   る、特許請求の範囲第１項記載の静電荷像現像用
   トナー。