JPH0511473A - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JPH0511473A
JPH0511473A JP16444391A JP16444391A JPH0511473A JP H0511473 A JPH0511473 A JP H0511473A JP 16444391 A JP16444391 A JP 16444391A JP 16444391 A JP16444391 A JP 16444391A JP H0511473 A JPH0511473 A JP H0511473A
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義英 藤巻
Hajime Tadokoro
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 半導体レーザ等の長波長光に対して高感度特
性を有し、電荷保持性が良好で、さらに、画像欠陥、特
に反転現像時における黒色斑点の少い、特にモアレ発生
を防止した電子写真感光体及びこれら要求を満足させる
画像形成方法。 【構成】 導電性円筒状基体上に感光層を有する電子写
真感光体において、円筒状基体上の円周方向に幅が10μ
m〜1mmで、山から谷への深さが0.1〜5μmである溝を
並列的に有し、各溝の幅方向に沿った断面が規則的形状
になっており、感光層に電荷発生物質としてCuKα特
性X線(波長1.1541Å)に対するブラッグ角2θの27.2
±0.2°にピークを有するもの、又は9.1±0.2°、27.2
±0.2°にピークを有するもので、かつ示差熱分析にお
いて150℃以上400℃以下に発熱ピークを有するチタニル
フタロシニアンとバナジルフタロシニアンの混晶を用い
ることを特徴とする電子写真感光体及び前記感光体を用
いて画像を形成する画像形成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は円筒状基体上にフタロシ
アニン系顔料を含有する感光層を設けて成る電子写真感
光体及びそれによる画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来円筒状電子写真感光体においては、
例えばアルミニウム、銅、真鍮、スチール、ステンレス
等の金属基体又はプラスチック基体上にアルミニウム、
パラジウム、金等の金属薄層をラミネート若しくは蒸着
して導電性を付与した円筒状基体上に感光層を設けて構
成される。
【0003】一方、複写業界において、一層の画質の改
善及び画像の編集機能が要請され、これに対応したデジ
タル方式の複写機又はプリンタ等の記録装置の開発が進
められており、そのための記録媒体としての感光体の改
善が切望されている。前記デジタル方式の記録装置にお
いては、一般に、画像信号により変調されたレーザ光を
用いてドット状に露光して感光体上にドット潜像を形成
し、これを反転現像方式により現像して像形成を行うよ
うにしている。この場合、前記レーザ光としては、露光
装置の単純化、小型化及び低価格化が可能な半導体レー
ザ装置が好ましく用いられ、その発振波長は750nm以上
の赤外領域とされている。従って、用いられる感光体と
しては、少なくとも750〜850nmの波長領域に高感度を有
することが要求される。
【0004】これまで、レーザビームでライン走査する
方式の電子写真プリンタは、レーザビームとしてヘリウ
ム−カドミウムレーザ、アルゴンレーザやヘリウム−ネ
オンレーザなどの比較的短波長のガスレーザが使用さ
れ、しかもそれに用いる電子写真感光体としては肉厚の
感光層を形成するCdS−バインダ系感光層、電荷移動錯
体(IBM Journal of the Reseach and Develop-ment、1
971年1月、P.75〜P.89)が用いられていたので、感光
層内でレーザビームが多重反射を生じることがなく、従
って実際上画像形成時にモアレが現れることがなかっ
た。
【0005】ところが、前述のガスレーザに代わって、
前記のような機能要求の推移から半導体レーザが使用さ
れる様になって来て、これに対応して長波長領域で高感
度特性をもつ電子写真感光体が必要となり、このための
電子写真感光体が開発されて来た。
【0006】この様な長波長光に対して感光性をもつ感
光体をレーザビーム走査方式電子写真プリンタに取り付
けて、レーザビーム露光を行なうと、形成されたトナー
画像にはモアレが現出し、良好な再生画像が形成できな
かった。即ち、長波長レーザが感光層内で完全に吸収さ
れず、その透過光が基体表面で反射し、この感光層内か
らのレーザビームの反射光が感光層表面の反射光との間
で干渉を生じることが原因とされている。
【0007】この欠点を解消する方法としては、これま
で電子写真感光体で用いる導電性基体の表面を陽極酸化
法やサンドブラスト法などにより粗面化する方法、感光
層と基体の間に光吸収層あるいは反射防止層を用いる方
法などにより感光層内で生じる多重反射を解消すること
が提案されて来ているが、実際問題として画像形成時に
現出するモアレを完全に解消することはできなかった。
特に、導電性基体の表面を粗面化する方法では均一な粗
さをもつ粗面が形成され難く、ある割合で比較的大きな
粗さ部を形成することがあって、この大きな粗さ部が感
光層内へのキャリア注入部として作用し、画像形成時の
白ポチ(あるいは反転現像方式を用いた場合では黒ポ
チ)の原因となり、好ましい方法ではなかった。しか
も、製造上同一ロット内で均一な粗面をもつ導電性基体
の製造が困難で、改善すべき点が数多く存在している。
又、光吸収層あるいは反射防止層を用いる方法について
も十分にモアレを解消することができず、しかも製造上
コストが上昇するなどの欠点を有している。
【0008】前記長波長分光増感及び高感度化の要望に
対応するものとして、特開昭64-17066号及び特開平2-25
6059号により高感度チタニル系フタロシアニン感光体が
提案された。この感光体は、キャリア発生物質としてCu
Kα特性X線(波長1.541Å)に対応するブラッグ角度2
θの主要ピークが少くとも27.2°±0.2°及び9.6°±0.
2°にあるチタニルフタロシアニン顔料を用いた点に特
徴がある。
【0009】即ち、この顔料は、従来公知のチタニル系
フタロシアニン顔料とは全く異なった前記X線回折スペ
クトルを有していて、可視及び近赤外の吸収スペクトル
が780nm〜860nmに最大吸収を示す凝集状態を有し、前記
レーザ光に対応して極めて高感度な特性を発揮しうるも
のである。
【0010】前記チタニルフタロシアニン顔料は優れた
感度特性を有し、また、感光体上への像形成に際して、
画像信号により変調されたレーザ光によりドット露光し
て前記感光体上にドット潜像を形成し、該潜像のドット
露光部を反転現像してドット状のトナー画像を良好に得
ることができる。ところが、このようなタチニルフタロ
シアニン顔料を用いた感光体の感度特性や電荷保持性
は、その分散方法によって左右されることがあり、分散
方法の確立によって安定した特性を得ることが望まれて
いる。
【0011】
【発明の目的】本発明は上記従来の課題に鑑みなされた
もので、その目的は、特に半導体レーザ等の長波長光に
対して高感度特性を有し、電荷保持性が良好で、さら
に、画像欠陥、特に反転現像時における黒色斑点の少
い、特にモアレ発生を防止した電子写真感光体及びこれ
ら要求を満足させる画像形成方法を提供することにあ
る。
【0012】
【発明の構成】前記本発明の目的は;導電性円筒状基体
上に感光層を有する電子写真感光体において、円筒状基
体上の円周方向に幅が10μm〜1mmで山から谷への深さ
が0.1〜5μmである溝を並列的に有し、各溝の幅方向に
沿った断面が規則的形状になっており、感光層に電荷発
生物質として、CuKα特性X線(波長1.1541Å)に対す
るブラッグ角2θの27.2±0.2°にピークを有し、かつ
示差熱分析において150℃以上400℃以下に発熱ピークを
有するチタニルフタロシアニンとバナジルフタロシアニ
ンの混晶を用いることを特徴とする電子写真感光体によ
って達成される。
【0013】尚前記構成態様においては、前記ブラック
角2θの9.1±0.2°にピークを有するチタニルフタロシ
アニンとバナジルフタロシアニンの混晶を用いることが
好ましい。
【0014】更に本発明の目的は;導電性円筒状基体上
に感光層を有する電子写真感光体において、円筒状基体
上の円周方向に幅が10μm〜1mmで山から谷への深さが
0.1〜5μmである溝を並列的に有し、各溝の幅方向に沿
った断面が規則的形状になっており、感光層に電荷発生
物質として、CuKα特性X線(波長1.1541Å)に対する
ブラッグ角2θの9.1±0.2°、27.2±0.2°にピークを
有し、かつ示差熱分析において150℃以上400℃以下に発
熱ピークを有するチタニルフタロシアニンとバナジルフ
タロシアニンの混晶を用いることを特徴とする電子写真
感光体によっても達成できる。
【0015】前記した本発明の電子写真感光体において
は、前記感光層の電荷発生層及び電荷輸送層がこの順序
に積層してなり、該電荷発生層に前記チタニルフタロシ
アニンとバナジルフタロシアニンの混晶を含有すること
が好ましい。
【0016】また、本発明はの目的は;導電性円筒状基
体上に感光層を有する電子写真感光体において、円筒状
基体上の円周方向に幅が10μm〜1mmで山から谷への深
さが0.1〜5μmである溝を並列的に有し、各溝の幅方向
に沿った断面が規則的形状になっており、感光層に電荷
発生物質として、CuKα特性X線(波長1.1541Å)に対
するブラッグ角2θの27.2±0.2°にピークを有するか
9.1±0.2°、27.2±0.2°にピークを有し、かつ示差熱
分析において150℃以上400℃以下に発熱ピークを有する
チタニルフタロシアニンとバナジルフタロシアニンの混
晶を用いることを特徴とする電子写真感光体に、電荷を
印加する第1工程、画像信号で変調された可干渉光を照
射する第2の工程、トナーを含有する現像剤で現像する
第3工程を有することを特徴とする画像形成方法によっ
て具体的にその価値を発揮する。
【0017】尚前記画像形成方法の態様としては、前記
可干渉光がレーザビームであることが好ましい。また、
前記第3工程が第1の工程で印加される電荷極性と同一
極性のトナーを有する現像剤で現像する工程であること
が好ましい。
【0018】次に本発明の電子写真感光体の構成を例示
した図1によって説明する。
【0019】図1(a)は感光層その他の構成層を塗設
する前の円筒状基体の軸を含んだ面による断面図、図1
(b)は該基体上に構成層を塗設した時の断面図であ
る。
【0020】図1に示す導電性基体1は微小幅d毎に規
則的に線状突起体2とテーパ反射面3(切削ラインに相
当する)が形成されている。線状突起体2とテーパ反射
面3は、導電性基体1が円筒状基体である場合には螺旋
形状で形成することができるが、その他例えば円筒状基
体の長手方向に平行に、波型に形成することができ、さ
らには線状突起体2とテーパ反射面3を長手方向に対し
て直角及び平行に同時に形成することができる。
【0021】図1に1mm幅当たり5個の線状突起体2と
テーパ反射面3が形成された態様を例示している。勿
論、本発明では前述の例に限らず、微小幅dは10μm〜
1mmの範囲に設定される。
【0022】図1(a)に示すテーパ反射面3は切刃な
どにより規則的に切削することによって形成された切削
ラインに相当する面で、その断面形状は図示する如く半
円周形状であってもよく、あるいはその他の形状例えば
U字形状、V字形状、鋸歯型状、台形状あるいは半楕円
形状とすることができる。
【0023】テーパ反射面3は山から谷の深さhのテー
パを有し、このテーパの高さhは画像形成時に現出する
モアレを有効に解消する上でλ/2(λ;像露光時にお
ける入射光の波長)以上とすることが好ましい。具体的
には、テーパの深さhは0.15〜5μmである。テーパの
深さhが5μmを越えると、その表面上に形成するバリ
ヤー層が線状突起体2のほとんどの部分を覆うことがで
きず、しかも表面を導電処理した酸化チタンを樹脂中に
分散させた導電層を形成しても、なおかつその導電層の
表面は導電性基体1の線状突起体2に対応した突起部を
形成することになり、この突起部をバリヤー層で十分に
覆うことができないので、この場合でもその突起部から
感光層内へのキャリア注入が生じ、このためキャリア注
入部が画像形成時には白ポチとなって現出し、(反転現
像の場合には黒ポチとなって現出する)画像形成上望ま
しいことではない。また0.1μm未満ではモアレ防止効果
を失う。
【0024】テーパ反射面3は、例えば半円形状、半楕
円形状、U字形状、V字形状又は台形状の切刃をもつバ
イトをフライス盤や施盤に固定し、導電性基体を規則的
に移動させることによる切削加工処理によって形成する
ことができる。
【0025】この際に用いるバイトとしては複数個のバ
イトを並列的に連結した多重バイトを用いることにより
製造上の生産性を高めることもできる。
【0026】又、本発明は前述の切削加工処理した後
に、陽極酸化処理法や珪酸ソーダ、弗化ジルコニウム酸
カリウムなどの溶液に浸漬する表面処理法を採用するこ
とができ、さらには特公昭47-5125号に開示された陽極
酸化処理した後にアルカリ金属珪酸塩の水溶液に浸漬処
理する方法も用いることができる。前述の陽極酸化処理
法は、例えば燐酸、クロム酸、硫酸、硼酸などの無機酸
あるいは蓚酸、スルファミン酸などの有機酸の水溶液又
は非水溶液中で導電性基体を陽極として電流を流すこと
によって行なうことができる。
【0027】本発明で用いる導電性基体1としては、ア
ルミニウム、真鍮、銅、ステンレスなどの金属あるいは
アルミニウム、酸化錫、酸化インジウムをポリエステル
などのプラスチックの上に蒸着したフイルムなどを用い
ることができる。
【0028】図1(b)は、本発明の感光体の好ましい
具体例を表している。同図に示す電子写真感光体は、線
状突起体2とテーパ反射面3を有する導電性基体1の上
に導電層6、バリヤー層7と電荷発生層8及び電荷輸送
層9からなる積層構造の感光層10が順次塗設されてい
る。
【0029】前述の導電層6としては、例えばアルミニ
ウム、錫や金などの導電性金属の蒸着膜又は樹脂中に導
電性粉体を分散含有せしめた被膜を用いることができ
る。この際に用いる導電性粉体としては、アルミニウ
ム、錫、鉄などの金属粉体、カーボン粉体や酸化チタ
ン、硫酸バリウム、酸化亜鉛や酸化錫などの金属酸化物
を主体とした導電性顔料などを挙げることができる。
又、この導電層6に光吸収剤を含有させることもでき
る。
【0030】前記の様なテーパ反射面3を有する導電性
基体1の上に形成した感光層10を帯電した後に、レーザ
ビームによる像露光とトナー現像を順次施して画像を形
成すると、この画像中にはモアレが全く発生しない。テ
ーパ反射面3を感光層10と導電性基体1の間に設けるこ
とによって、これまでの方法では画像形成時に現出して
いたモアレを完全に消去する画像形成方法が得られる。
【0031】次に本発明に用いる帯電性が良好で高感度
なチタニルフタロシアニンとバナジルフタロシアニンの
混晶について説明する。
【0032】一般にフタロシアニンを電子写真感光体に
用いる場合、中心金属の種類や結晶型によって特性は著
しく変化することは良く知られている。したがって、電
子写真感光体用のフタロシアニンとしては帯電性が良好
で高い感度を有する安定な結晶型が必要である。一方、
ブラッグ角2θの27.2±0.2°にピークを有するチタニ
ルフタロシアニンは公知の光導電性物質の中では極めて
高い感度を有していることは良く知られているが、この
チタニルフタロシアニンを電子写真感光体に用いた場合
には帯電性が不十分で、高い特性が要求される電子写真
感光体においては高い感度を維持し、さらに帯電能の優
れた電荷発生物質が望まれる。この点から更に詳細な検
討を行って、CuKαの特性X線(波長1.541Å)に対
するブラッグ角2θの27.2±0.2°にピークを有し、か
つ示差熱分析において150℃以上400℃以下に発熱ピーク
を有するチタニルフタロシアニンとバナジルフタロシア
ニンの混晶、或はブラッグ角2θの9.5±0.2°及び27.2
±0.2°にピークを有するチタニルフタロシアニンとバ
ナジルフタロシアニンの混晶、或はブラッグ角2θの9.
1±0.2°及び27.2±0.2°にピークを有するチタニルフ
タロシアニンとバナジルフタロシアニンの混晶(以後混
晶フタロシアニンと称す)を得た。
【0033】ここで混晶とは一般に2種またはそれ以上
の物質が混合し、均一な溶相となった結晶をつくる場
合、その結晶のことをいうが、明礬類に見られるような
同形の塩や結晶格子が類似、或いは原子半径のあまり違
わない金属間においては混晶が形成されることが知られ
ている。本発明の結晶型をとるフタロシアニンの混晶に
ついても良く似た傾向が見られ、チタニルフタロシアニ
ンと比較的類似の構造のものが混晶を形成しやすい傾向
が見られた。チタニルフタロシアニンはW.Hillerら
によって結晶構造解析がなされており(Z.Kristallo
gr.,159,173(1982))その構造はTi=Oがフタロ
シアニン環の共役平面に対して上方に突き出たような構
造をしている。このチタニルフタロシアニンに対して例
えば平面構造を有する無金属フタロシアニンとの間では
結晶純度の高い本発明の結晶型の混晶を得るのは困難
で、本発明の結晶型に他の結晶が混入してくるなどの問
題が生じ、性能低下の原因となりやすい。一方、バナジ
ルフタロシアニンにおいても結晶構造解析がなされてお
り(R.Ziolo et al.,J.Chem.Soc.Dalton,
2300(1980))、チタニルフタロシアニンとはTi=O
結合とV=O結合にわずかに違いはあるものの良く似た
立体構造をとっていることが報告されている。したがっ
て、バナジルフタロシアニンはチタニルフタロシアニン
と混晶を形成するのに有利な立体構造を有していると考
えられ、実際にバナジルフタロシアニンにおいて他のい
くつかのフタロシアニンとは異なり、本発明の結晶型の
混晶を得ることができた。
【0034】本発明で用いられるチタニルフタロシアニ
ンはつぎの一般式〔I〕で表され、またバナジルフタロ
シアニンは一般式〔II〕で表される。
【0035】
【化1】
【0036】但し、一般式〔I〕及び〔II〕におい
て、X1、X2、X3、X4は水素原子、ハロゲン原子、ア
ルキル基、或いはアルコキシ基、アリールオキシ基を表
し、k、l、m、nは0〜4の整数を表す。
【0037】X線回折スペクトルは次の条件で測定さ
れ、ここでいうピークとはノイズとは異なった明瞭な鋭
角の突出部のことである。
【0038】 X線管球 Cu 電 圧 40.0 KV 電 流 100 mA スタート角度 6.0 deg. ストップ角度 35.0 deg. ステップ角度 0.02 deg. 測定時間 0.50 sec. 示差熱分析は1回の測定につき10〜50mgの試料量にて測
定し、昇温速度については30(゜K/min)で測定した。
測定試料の状態としては合成した本発明の結晶型の混晶
フタロシアニンの粉末結晶を用いた。しかしながらこの
粉末試料を用いて作製した感光体ドラムより剥離したチ
タニルフタロシアニン−バナジルフタロシアニン混晶に
ついても同様の測定を行い粉末結晶との比較を行った
が、同一の結果が得られた。
【0039】また示差熱分析により150〜400℃に見られ
る発熱ピークは種々存在するフタロシアニンの結晶型の
中でも本発明の結晶型のフタロシアニンに固有のもので
あり、通常この発熱ピークの観測のみでも本発明の結晶
型の混晶フタロシアニンかどうかの判別は可能である。
【0040】更に示差熱分析の発熱ピークとは熱示差曲
線上の明瞭なピークのことを指しており、発熱ピーク温
度はピークの極大となる点に相当する温度を示す。
【0041】本発明の結晶型の混晶フタロシアニンに見
られるこの発熱ピークはこの温度において本発明の結晶
型が熱的に安定な結晶に転移するという結晶転移点を表
している。従ってこの値はフタロシアニンの熱的な安定
性を示す物性値であり、結晶の配列と密接に関係してい
る。つまり、この結晶転移点が異なる結晶は熱的な挙動
も異なることを示している。例えば実施例に示したよう
に本発明の混晶フタロシアニンの結晶転移点はチタニル
フタロシアニンとバナジルフタロシアニンの組成比で異
なってくるが、複数の組成比の異なった混晶を混合して
示差熱分析を行うと各組成比の混晶の結晶転移点は独立
に観測される。また本発明の結晶型のチタニルフタロシ
アニンにいかなる結晶型のバナジルフタロシアニンを混
合しても観測されるのはチタニルフタロシアニンの結晶
転移点でありバナジルフタロシアニンとの混晶とは異な
っている。これは混晶におけるチタニルフタロシアニン
とバナジルフタロシアニンの成分が固体状態で均一な溶
相を形成しているためで混合とは本質的に異なるためで
ある。
【0042】また、赤外吸収スペクトルは次のような条
件で測定した。
【0043】 装置: ニコレー社製 FT−IR 60SX 分解能: 0.25cm-1 測定法: 拡散反射、KBr粉末 本発明に用いられるチタニルフタロシアニンの合成には
種々の方法を用いることができるが、代表的には次の反
応式(1)或いは(2)に従って合成することができ
る。
【0044】
【化2】
【0045】式中、R1〜R4は脱離基を表す。
【0046】また、本発明に用いられるバナジルフタロ
シアニンはチタニルフタロシアニンと同様にo-フタロニ
トリルや1,3-ジイミノイソインドリンと五酸化バナジウ
ム、アセチルアセトンバナジウムに代表されるバナジウ
ム試薬を1-クロルナフタレン等の不活性溶媒中で反応さ
せることにより得ることができる。
【0047】上記のようにして得られたチタニルフタロ
シアニンとバナジルフタロシアニンの混晶の形成は従来
技術としては共蒸着の方法のみが知られているにすぎな
かったが、本発明者らによる詳細な検討の結果、そのほ
かにも溶媒中に均一に溶解させた後析出させる方法、或
は固体状態にて混合後、ミリング等の剪断力を付与する
方法などによっても混晶の形成が可能であることが判っ
た。
【0048】具体的には再結晶、再沈殿、アシッドペー
スト処理、或は乾式又は湿式によるミリングによる方法
などが挙げられるが、このような混晶の形成法の確立に
より本発明の結晶型を得るに至った。しかしながら混晶
を形成させる方法はこれらの方法に限定されるものでは
ない。
【0049】次に本発明に用いられる結晶型の混晶フタ
ロシアニンを得る方法を例示的に示す。例えば通常のア
シッドペースト処理により任意の結晶型のチタニルフタ
ロシアニン及びバナジルフタロシアニンを濃硫酸に溶解
し、その硫酸溶液を水にあけて析出した結晶を濾取する
方法、或は任意の結晶型のチタニルフタロシアニンとバ
ナジルフタロシアニンを混合し、その混合物をミリング
等の機械的な力により粉砕する方法などによってチタニ
ルフタロシアニン−バナジルフタロシアニンより構成さ
れるアモルファス結晶が得られる。ここでアシッドペー
スト処理によりアモルファス化を行う場合は一般的な条
件にて達成され、フタロシアニンに対する濃硫酸の重量
比は特に限定されないが、5倍から200倍程度が望まし
い。また、濃硫酸に対する水あけに用いる水の量は重量
比で通常、5倍から100倍程度が望ましい。更に、フタ
ロシアニンを濃硫酸に溶解する温度は5℃以下、水あけ
温度は通常0℃以上50℃以下が望ましい。
【0050】次いでこのアモルファス結晶を特定の有機
溶媒で処理することによって本発明に用いられる結晶型
を得ることができる。用いられる有機溶媒としては炭化
水素系溶媒、芳香族系溶媒、ハロゲン系溶媒、アルコー
ル、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、有機酸、有機ア
ミン類、複素環化合物などが挙げられるが、必要に応じ
てスルホン酸やトリクロル酢酸等の酸を添加してもよ
い。一方、アモルファス結晶の状態は水分を含んだウエ
ットペーストの状態或は水分を含んでいない乾燥状態の
もののどちらも用いることができるが、これは処理する
有機溶媒の種類や目的によって選択する事ができる。さ
らにこの溶媒処理においては必要に応じて加熱あるいは
ミリング処理等の操作を行うことができる。また合成例
6に示したように一旦これらの方法にて本発明の結晶型
に変換された結晶に対して更に上述の有機溶媒で処理す
るなどの必要に応じた結晶処理を行うことができる。し
かしながら結晶変換の方法は必ずしもこのような方法に
限定されるものではない。
【0051】本発明の混晶フタロシアニンにおけるチタ
ニルフタロシアニンとバナジルフタロシアニンの組成比
は両方のフタロシアニンが存在していれば特に限定され
ないが、チタニルフタロシアニンの存在比は50%以上が
望ましい。さらに望ましくはチタニルフタロシアニンの
存在比が80%以上である。さらにはチタニルフタロシア
ニンの存在比が90%以上が最も望ましい。ここでいう存
在比とは全重量に対しての含有されているチタニルフタ
ロシアニンの重量比を表す。
【0052】本発明の電子写真感光体は上記の混晶フタ
ロシアニンの他に光導電性物質を併用してもよい。他の
光導電性物質としてはA、B、C、アモルファス、その
他Y型に代表されるブラッグ角2θの27.2゜にピークを
有する各チタニルフタロシアニンやバナジルフタロシア
ニン、更には無金属フタロシアニンの各結晶型、銅フタ
ロシアニン等に代表される各種の金属フタロシアニン、
ナフタロシアニン、その他ポルフィリン誘導体、アゾ化
合物、ジブロモアンスアンスロンに代表される多環キノ
ン化合物、ピリリウム化合物及びピリリウム化合物の共
晶錯体、スクエアリウム化合物などが挙げられる。
【0053】また、本発明の電子写真感光体はキャリア
輸送物質を併用してもよい。キャリア輸送物質としては
種々のものが使用できるが、代表的なものとして例えば
オキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、チアジ
アゾール、イミダゾール等に代表される含窒素複素環
核、及びその縮合環核を有する化合物、ポリアリールア
ルカン系の化合物、ピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系
化合物、トリアリールアミン系化合物、スチリル系化合
物、ポリス(ビス)スチリル系化合物、スチリルトリフ
ェニルアミン系化合物、β-フェニルスチリルトリフェ
ニルアミン系化合物、ブタジエン系化合物、ヘキサトリ
エン系化合物、カルバゾール系化合物、縮合多環系化合
物等が挙げられる。このキャリア輸送物質の具体例とし
ては例えば特開昭61-107356号に記載のキャリア輸送物
質を挙げることができるが、特に代表的なものの構造を
次に示す。
【0054】
【化3】
【0055】
【化4】
【0056】
【化5】
【0057】
【化6】
【0058】
【化7】
【0059】感光体の層構成は前記の通りであるが、感
光層の形成においてはキャリア発生物質域はキャリア輸
送物質を単独でもしくはバインダや添加剤とともに溶解
させた溶液を塗布する方法が有効である。しかし、一般
にキャリア発生物質の溶解度は低いため、そのような場
合キャリア発生物質を超音波分散機、ボールミル、サイ
ドミル、ホモミキサ等の分散装置を用いて適当な分散媒
中に微粒子分散させた液を塗布する方法が有効となる。
この場合、バインダや添加剤は分散液中に添加して用い
られるのが通常である。
【0060】感光層の形成に使用される溶剤或は分散媒
としては広く任意のものを用いることができる。例え
ば、ブチルアミン、エチレンジアミン、N,N-ジメチルホ
ルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイ
ソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘ
キサノン、4-メトキシ-4-メチル-2-ペンタノン、テトラ
ヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、
酢酸-t-ブチル、メチルセロソルブ、エチルセロソル
ブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコールジメチルエ
ーテル、トルエン、キシレン、アセトフェノン、クロロ
ホルム、ジクロルメタン、ジクロルエタン、トリクロル
エタン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタ
ノール等が挙げられる。
【0061】キャリア発生層もしくはキャリア輸送層の
形成にバインダを用いる場合に、バインダとして任意の
ものを選ぶことができるが、特に疎水性でかつフィルム
形成能を有する高分子重合体が望ましい。このような重
合体としては例えば次のものをあげることができるが、
これらに限定されるものではない。 ポリカーボネート ポリカーボネートZ樹脂 アクリル樹脂 メタクリル樹脂 ポリ塩化ビニル ポリ塩化ビニリデン ポリスチレン スチレン-ブタジエン共
重合体 ポリ酢酸ビニル ポリビニルホルマール ポリビニルブチラール ポリビニルアセタール ポリビニルカルバゾール スチレン-アルキッド樹
脂 シリコーン樹脂 シリコーン-アルキッド
樹脂 シリコーン-ブチラール樹脂 ポリエステル ポリウレタン ポリアミド エポキシ樹脂 フェノール樹脂 塩化ビニリデン-アクリロニトリル共重合体 塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体 塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸共重合体 バインダに対するキャリア発生物質の割合は10〜600wt
%が望ましく、さらには、50〜400wt%とするのが望ま
しい。バインダに対するキャリア輸送物質の割合は10〜
500wt%とするのが望ましい。キャリア発生層の厚さは
0.01〜20μmとされるが、さらには0.05〜5μmが好まし
い。キャリア輸送層の厚みは1〜100μmであるが、さら
には5〜30μmが好ましい。
【0062】上記感光層には感度の向上や残留電位の減
少、或は反復使用時の疲労の低減を目的として電子受容
性物質を含有させることができる。このような電子受容
性物質としては例えば、無水琥珀酸、無水マレイン酸、
ジブロム無水琥珀酸、無水フタル酸、テトラクロル無水
フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、3-ニトロ無水フ
タル酸、4-ニトロ無水フタル酸、無水ピロメリット酸、
無水メリット酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノ
キノジメタン、o-ジニトロベンゼン、m-ジニトロベンゼ
ン、1,3,5-トリニトロベンゼン、p-ニトロベンゾニトリ
ル、ピクリルクロライド、キノンクロルイミド、クロラ
ニル、ブロマニル、ジクロルジシアノ-p-ベンゾキノ
ン、アントラキノン、ジニトロアントラキノン、9-フル
オレニリデンマロノニトリル、ポリニトロ-9-フルオレ
ニリデンマロノニトリル、ピクリン酸、o-ニトロ安息香
酸、p-ニトロ安息香酸、3,5-ジニトロ安息香酸、ペンタ
フルオル安息香酸、5-ニトロサリチル酸、3,5-ジニトロ
サリチル酸、フタル酸、メリット酸、その他の電子親和
力の大きい化合物を挙げることができる。電子受容性物
質の添加割合はキャリア発生物質の重量100に対して0.0
1〜200が望ましく、さらには0.1〜100が好ましい。
【0063】また、上記感光層中には保存性、耐久性、
耐環境依存性を向上させる目的で酸化防止剤や光安定剤
等の劣化防止剤を含有させることができる。そのような
目的に用いられる化合物としては例えばトコフェロール
等のクロマノール誘導体及びそのエーテル化化合物もし
くはエステル化化合物、ポリアリールアルカン化合物、
ハイドロキノン誘導体及びそのモノ及びジエーテル化化
合物、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導
体、チオエーテル化合物、ホスホン酸エステル、亜燐酸
エステル、フェニレンジアミン誘導体、フェノール化合
物、ヒンダードフェノール化合物、直鎖アミン化合物、
環状アミン化合物、ヒンダードアミン化合物などが有効
である。特に有効な化合物の具体例としては「IRGANOX
1010」、「IRGANOX 565」(チバ・ガイギー社製)、「スミラ
イザー BHT」、「スミライザーMDP」(住友化学工業社製)
等のヒンダードフェノール化合物、「サノール LS-262
6」、「サノール LS-622LD」(三共社製)等のヒンダード
アミン化合物が挙げられる。
【0064】中間層、保護層等に用いられるバインダと
しては、上記のキャリア発生層及びキャリア輸送層用に
挙げたものを用いることができるが、そのほかにナイロ
ン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢
酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−酢酸ビ
ニル−メタクリル酸共重合体等のエチレン系樹脂、ポリ
ビニルアルコール、セルロース誘導体等が有効である。
また、メラミン、エポキシ、イソシアネート等の熱硬化
或は化学的硬化を利用した硬化型のバインダを用いるこ
とができる。
【0065】
【実施例】
:チタニルフタロシアニンの合成:1,3-ジイミノイソイ
ンドリン29.2gとo-ジクロルベンゼン200ml及びチタニウ
ムテトラブトキシドシド20.4gを混合し、窒素気流下に
て3時間還流させた。放冷して室温に戻した後析出した
結晶を濾取し、o-ジクロルベンゼンで洗浄し、更にメタ
ノールで洗浄した。更に得られた結晶を2%塩酸水溶液
中室温にて数回撹拌洗浄し、さらに脱イオン水で数回洗
浄を繰返した。その後メタノールで洗浄後、乾燥して青
紫色のチタニルフタロシアニン結晶24.2gを得た。
【0066】:バナジルフタロシアニンの合成:1,3-ジ
イミノイソインドリン29.2gとo-ジクロルベンゼン200ml
及びバナジルアセチルアセトナート8gを混合し、窒素
気流下にて5時間還流させた。その後放冷して室温に戻
した後析出した結晶を濾取し、o-ジクロルベンゼンで洗
浄し、更にメタノールで洗浄した。更に得られた結晶を
2%塩酸水溶液中室温にて数回撹拌洗浄し、さらに脱イ
オン水で数回洗浄を繰返した。乾燥後この結晶を1-クロ
ルナフタレンで再結晶して紫色のバナジルフタロシアニ
ン結晶18.9gを得た。
【0067】:混晶の合成: 合成例1 チタニルフタロシアニン4g及びバナジルフタロシアニ
ン1gを氷冷下250gの96%硫酸に溶解し、この硫酸溶液
を5lの水にあけて析出したアモルファス状態のウエッ
トペーストを濾取した。
【0068】更にこのウエットペーストとo-ジクロルベ
ンゼン50gを混合し、50℃の温度で2時間撹拌した。こ
の反応液をメタノールで希釈後濾過し、更に得られた結
晶をメタノールで数回洗浄して青色結晶を得た。この結
晶は図2に示すようにブラッグ角2θの9.5°及び27.2
°にピークを有し、かつ示差熱分析によって237℃に発
熱ピークを有する本発明の混晶フタロシアニンであるこ
とが判った。更にこの結晶は赤外吸収スペクトルを図7
に示すが、本発明の結晶は特に950〜1050cm-1の領域に
特徴的な吸収を示す。比較合成例(1)と異なり994cm
-1に本発明の結晶に特徴的な吸収が見られるが、これは
バナジルフタロシアニンのV=O結合に由来する吸収と
考えられる。また961cm-1にも吸収を示しており、これ
は比較合成例(3)と同様のチタニルフタロシアニンの
Ti=O吸収と考えられる。このように本発明のチタニ
ルフタロシアニンとバナジルフタロシアニンの混晶は2
種のフタロシアニンが互いに独立に本発明の結晶型に由
来する吸収を示し、この2種のフタロシアニンの存在を
支持している。
【0069】合成例2 合成例1においてチタニルフタロシアニン2.5g及びバナ
ジルフタロシアニン2.5gを用いた他は合成例1と同様に
して青色結晶を得た。この結晶は図3に示すようにブラ
ッグ角2θの9.5°及び27.2°にピークを有し、また示
差熱分析において228℃に発熱ピークを示した。さらに
赤外吸収スペクトルにおいては図8に示すように994cm
-1と961cm-1に吸収を示した。
【0070】合成例3 合成例1においてチタニルフタロシアニン1g及びバナ
ジルフタロシアニン4gを用いた他は合成例1と同様に
して青色結晶を得た。この結晶は図4に示すようにブラ
ッグ角2θの9.5°及び27.2°にピークを有し、また示
差熱分析において219℃に発熱ピークを示した。更に赤
外吸収スペクトルにおいては図9に示すように995cm-1
と961cm-1に吸収を示した。
【0071】合成例4 合成例1においてチタニルフタロシアニン0.5g及びバナ
ジルフタロシアニン4.5gを用いた他は合成例1と同様に
して青色結晶を得た。この結晶はブラッグ角2θの9.5
°及び27.2°にピークを有し、また示差熱分析において
216℃に発熱ピークを示した。更に赤外吸収スペクトル
においては1003cm-1と965cm-1及び961cm-1に吸収を示し
た。
【0072】合成例5 合成例1においてチタニルフタロシアニン4.75g及びバ
ナジルフタロシアニン0.25gを用いた他は合成例1と同
様にして青色結晶を得た。この結晶はブラッグ角2θの
9.5°及び27.2°にピークを有し、また示差熱分析にお
いて247℃に発熱ピークを示した。
【0073】合成例6 合成例2において得られた図3の混晶フタロシアニンを
THF中でミリングを行い、更にメタノールで洗浄して
図5に示したようにブラッグ角2θの9.1゜及び27.2゜
にピークを有するチタニルフタロシアニンを得た。この
チタニルフタロシアニンは示差熱分析において300℃に
発熱ピークが観測された。更に赤外吸収スペクトルにお
いては図10に示すように994cm-1及び961cm-1に吸収を示
した。
【0074】比較合成例(1) バナジルフタロシアニンとして1,3-ジイミノイソインド
リンとバナジルアセチルアセトナートの反応によって得
られた再結晶していない粗結晶を用い、この粗結晶5g
を合成例1と同様に96%硫酸250gに氷冷下溶解し、この
硫酸溶液を5lの水にあけて析出したアモルファス状態
のウエットペーストを濾取した。
【0075】更にこのウエットペーストとo-ジクロルベ
ンゼン50gを混合し、50℃の温度で2時間撹拌した。こ
の反応液をメタノールで希釈後濾過し、更に得られた結
晶をメタノールで数回洗浄して青色結晶を得た。この結
晶はブラッグ角2θの7.5゜、9.5゜、27.2゜及び28.6゜
にピークを有したが、示差熱分析における明瞭な発熱ピ
ークは見られなかった。更に赤外吸収スペクトルにおい
ては1003cm-1に吸収を示した。
【0076】比較合成例(2) 比較合成例(1)においてバナジルフタロシアニンとし
て1-クロルナフタレンにて再結晶精製したバナジルフタ
ロシアニンを用いた他は合成例1と同様にして青色結晶
を得た。この結晶はブラッグ角2θの7.5゜及び28.6゜
にピークを有し、示差熱分析においても明瞭な発熱ピー
クは認められなかった。更に赤外吸収スペクトルにおい
ては1003cm-1に吸収を示した。
【0077】比較合成例(3) 比較合成例(1)においてバナジルフタロシアニンの代
りに上記合成例によって得られるチタニルフタロシアニ
ンを用いた他は比較合成例(1)と同様にして青色結晶
を得た。この結晶はブラッグ角2θの9.5゜及び27.2゜
にピークを有し、示差熱分析において255℃に発熱ピー
クを有するチタニルフタロシアニンであった。更に、こ
の結晶は赤外吸収スペクトルにおいて961cm-1に吸収を
示した。
【0078】比較合成例(4) 比較合成例(3)によって得られるチタニルフタロシア
ニンをTHF中でミリングし、更にメタノールで洗浄し
て青色結晶を得た。この結晶はブラッグ角2θの9.0゜
及び27.2゜にピークを有し、また示差熱分析において36
1℃に発熱ピークを有するチタニルフタロシアニンであ
った。
【0079】比較合成例(5) 合成例1によって得られるウエットペーストを十分乾燥
させて得られた粉末を1-クロルナフタレンにより再結晶
した。得られた結晶は図6に示すようにブラッグ角2θ
の9.2゜、10.5゜、13.1゜、15.0゜、26.2゜、27.1゜に
ピークを有するA型結晶で、示差熱分析では150℃以上4
00℃以下の領域に発熱ピークを示さなかった。
【0080】比較合成例(6) 合成例2によって得られるウエットペーストを十分乾燥
させて得られる粉末2gを150mlの1,1,2,2-テトラクロル
エタン中で加熱還流してブラッグ角2θの7.5゜、28.6
゜にピークを有するB型結晶を得た。この結晶の示差熱
分析を行ったところ150℃以上400℃以下の領域には明瞭
な発熱ピークは観測されなかった。
【0081】比較合成例(7) 比較合成例(3)によって得られるチタニルフタロシア
ニン2.5gと比較合成例(1)によって得られるバナジル
フタロシアニン2.5gを結晶転移を起こさないような条件
により乳鉢をもちいて十分均一に混合した。この混合物
の示差熱分析を行ったところ255℃に発熱ピークが観測
され比較合成例(3)のチタニルフタロシアニンの値と
一致した。また赤外吸収スペクトルにおいては961cm-1
と1003cm-1にピークを示し、それぞれ比較合成例(3)
のチタニルフタロシアニンと比較合成例(1)のバナジ
ルフタロシアニンの値と一致した。しかしながら合成例
2に見られるような994cm-1のピークは観測されなかっ
た。
【0082】実施例1 外径60.6mm、長さ272mmの円筒状アルミニウム基体を送
り速度200μm,多結晶ダイヤモンドバイトの切削深さ0.
5μmで切削加工した。基体の表面粗さは基体粗さ計「S
E−3E」(小坂製作所製)を用いて測定した。
【0083】次に共重合ポリアミド樹目「アラミンCM
8000」(東レ社製)3部をメタノール/ブタノール90/1
0の混合溶媒100部に溶解し、0.6μmのフィルタで濾過し
た後、浸漬塗布法により上記アルミニウム基上に塗布
し、膜厚0.4μmの下引き層を形成した。
【0084】一方、合成例1において得られた図2のX
線回折パターンを有する混晶フタロシアニン3部、バイ
ンダ樹脂としてポリビニルブラチール「エスレックBH
S」(積水化学社製)固形分3部、分散媒としてメチル
エチルケトン100部、をサンドミルを用いて分散した液
を、先の中間層の上に、浸漬塗布法によって塗布して、
膜厚0.2μmのキャリア発生層を形成した。次いで、キャ
リア輸送物質(13)の1部、ポリカーボネート樹脂「ユー
ピロンZ 200」1.5部、AO剤IRGANOX1010(チバ・ガイ
ギー社製)及び微量のシリコーンオイル「KF−54」
を、1,2−ジクロルエタン10部に溶解した液を用いて浸
漬塗布し乾燥の後、膜厚25μmのキャリア輸送層を形成
した。このようにして得られた感光体を試料1とする。
【0085】実施例2〜4 実施例1において、合成例1で得られた混晶フタロシア
ニンを用いる代りに、それぞれ合成例2,3及び6で得
られた混晶フタロシアニンを用いた他は実施例1と全く
同様にして感光体を作成した。これを試料2〜4とす
る。
【0086】実施例5 アルミニウム基体の加工条件をバイトの送り速度100μ
m、切削の深さを5μmとした以外は実施例1と同様にし
て感光体を作成した。
【0087】これを試料5とする。
【0088】比較例(1),(2) 実施例1において、合成例1で得られた混晶フタロシア
ニンを用いる代りに、それぞれ比較合成例(5),
(7)で得られたバナジルフタロシアニン及びチタニル
フタロシアニンとバナジルフタロシアニンの混晶を用い
た他は実施例1と全く同様にして感光体を作成した。こ
れを比較試料(1),(2)とする。
【0089】比較例(3) 実施例1において、アルミニウム基体の加工条件を下記
の液体ホーミング加工とした。基体表面の面粗度は4.3
Sであった。
【0090】基体加工条件以外は、実施例1と同様にし
て感光体を作成した。これを比較試料(3)とする。
【0091】:液体ホーミング加工条件: 加工装置;「F−5型」(不二精機製造所社製) 研磨剤;珪石粉末「#2000」 加工液;水道水(研磨剤/加工液=4:1(重量比)) 水道圧;3.0kg/cm2 ノズルと基体との距離;80mm 吹付角度;60度 (評価)前記試料1〜5及び比較試料(1)〜(3)を
「LP-3015」(コニカ社製)(半導体レーザ光源搭載)
改造機に搭載し、未露光部電位VHが-650〔V〕になる
ようにグリッド電圧VGを調節し、ドラム面上の露光量
を8erg/cm2としたときの露光部の電位VLを測定した。
また、連続1万プリント後のVH,VLを測定した。
【0092】更に10℃、RH20%の環境条件で現像バイ
アス-560〔V〕で反転現像を行い複写画像の白地部分の
黒斑点を評価した。
【0093】なお、黒斑点の評価は、連続1万プリント
後に画像解析装置「オムニコン3000形」(島津製作所社
製)を用いて黒斑点の粒径と個数を測定し、φ(径)0.
05mm以上の黒斑点が1cm2当たり何個あるかにより判定
した。黒斑点評価の判定基準は、下記に示す通りであ
る。
【0094】 〔φ;0.05mm以上の黒斑点〕:〔黒斑点判定〕 1個/cm2以下 : ○ 2個/cm2以上 : × またモアレ発生の有無を露光量3erg/cm2、8erg/cm2
全面スキャンした画像の目視により確認した。
【0095】 ○…モアレ発生なし ×…モアレ発生あり 評価の結果を表1に示す。
【0096】
【表1】
【0097】表1から、本発明の感光体は、比較感光体
に比して高感度特性を有し、かつ画像欠陥が少なく、反
転現像時の黒斑点が少い、さらにモアレ発生がないこと
がわかる。
【0098】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の感
光体によれば、反転現像時の黒斑点等の発生が少なく、
しかもモアレ発生を防止し、高感度、高画質の画像が安
定して得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】円筒状基体及び感光体の断面図
【図2】合成例1によって得られる混晶フタロシニアン
のX線回折図
【図3】合成例2によって得られる混晶フタロシニアン
のX線回折図
【図4】合成例3によって得られる混晶フタロシニアン
のX線回折図
【図5】合成例6によって得られる混晶フタロシニアン
のX線回折図
【図6】比較合成例(5)によって得られるフタロシア
ニンのX線回折図
【図7】合成例1によって得られる混晶フタロシニアン
の赤外吸収スペクトル図
【図8】合成例2によって得られる混晶フタロシニアン
の赤外吸収スペクトル図
【図9】合成例3によって得られる混晶フタロシニアン
の赤外吸収スペクトル図
【図10】合成例6によって得られる混晶フタロシニア
ンの赤外吸収スペクトル図
【符号の説明】
1 導電性基体 2 線状突起体 3 テーパ反射面 6 導電層 7 バリヤー層 8 電荷発生層 9 電荷輸送層

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性円筒状基体上に感光層を有する電
    子写真感光体において、円筒状基体上の円周方向に幅が
    10μm〜1mmで山から谷への深さが0.1〜5μmである溝
    を並列的に有し、各溝の幅方向に沿った断面が規則的形
    状になっており、感光層に電荷発生物質として、CuKα
    特性X線(波長1.1541Å)に対するブラッグ角2θの2
    7.2±0.2°にピークを有し、かつ示差熱分析において15
    0℃以上400℃以下に発熱ピークを有するチタニルフタロ
    シアニンとバナジルフタロシアニンの混晶を用いること
    を特徴とする電子写真感光体。
  2. 【請求項2】 前記ブラック角2θの9.5±0.2°、27.2
    ±0.2°にピークを有するチタニルフタロシアニンとバ
    ナジルフタロシアニンの混晶を用いることを特徴とする
    請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 【請求項3】 導電性円筒状基体上に感光層を有する電
    子写真感光体において、円筒状基体上の円周方向に幅が
    10μm〜1mmで山から谷への深さが0.1〜5μmである溝
    を並列的に有し、各溝の幅方向に沿った断面が規則的形
    状になっており、感光層に電荷発生物質として、CuKα
    特性X線(波長1.1541Å)に対するブラッグ角2θの9.
    1±0.2°、27.2±0.2°にピークを有し、かつ示差熱分
    析において150℃以上400℃以下に発熱ピークを有するチ
    タニルフタロシアニンとバナジルフタロシアニンの混晶
    を用いることを特徴とする電子写真感光体。
  4. 【請求項4】 前記感光層の電荷発生層及び電荷輸送層
    がこの順序に積層してなり、該電荷発生層に前記チタニ
    ルフタロシアニンとバナジルフタロシアニンの混晶を含
    有する請求項1又は3に記載の電子写真感光体。
  5. 【請求項5】 導電性円筒状基体上に感光層を有する電
    子写真感光体において、円筒状基体上の円周方向に幅が
    10μm〜1mmで山から谷への深さが0.1〜5μmである溝
    を並列的に有し、各溝の幅方向に沿った断面が規則的形
    状になっており、感光層に電荷発生物質として、CuKα
    特性X線(波長1.1541Å)に対するブラッグ角2θの2
    7.2±0.2°にピークを有するか9.1±0.2°、27.2±0.2
    °にピークを有し、かつ示差熱分析において150℃以上4
    00℃以下に発熱ピークを有するチタニルフタロシアニン
    とバナジルフタロシアニンの混晶を用いることを特徴と
    する電子写真感光体に、電荷を印加する第1工程、画像
    信号で変調された可干渉光を照射する第2の工程、トナ
    ーを含有する現像剤で現像する第3工程を有することを
    特徴とする画像形成方法。
  6. 【請求項6】 前記可干渉光がレーザビームである請求
    項5に記載の画像形成方法。
  7. 【請求項7】 前記第3工程が第1の工程で印加される
    電荷極性と同一極性のトナーを有する現像剤で現像する
    工程である請求項5又は6に記載の画像形成方法。
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