JPH0510781U - スタータ用ピニオンシフトレバー構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 電磁スイッチのプランジャの往復運動力をシ
フトレバーに伝達する捩りコイルばねの支点部に於いて
発生する摩擦により生じる電磁スイッチの作動不安定性
を防止するスタータ用ピニオンシフトレバー構造を提供
する。 【構成】 電磁スイッチのプランジャの往復運動力を、
シフトレバーに伝達するシフトスプリングが巻回する枢
支ピンの外周にカラーを嵌装する。 【効果】 作動時にシフトスプリングとシフトレバーの
連結片との間に生じていた摩擦を、シフトスプリングと
カラーとの当接点だけに発生させることができ、シフト
スプリングのワイヤ全体が均一に撓み、シフトスプリン
グの遊端部に係合されている電磁スイッチのプランジャ
がスムーズに作動することができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、スタータ用のピニオンシフトレバー構造に係わり、特にエンジン用 のスタータに適するピニオンシフトレバー構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、スタータ用のピニオンシフト構造には種々のものがあり、例えば実願平 ２−５８９２０号に開示されているように、エンジンのリングギヤを駆動するた めのピニオンギヤを、電磁スイッチのプランジャの往復運動により、シフトレバ ーを介してシフトさせてエンジンのリングギヤに歯合させるものがある。このよ うな場合、ピニオンギヤがリングギヤの歯の側面に衝当して歯合できなかった場 合でも、電磁スイッチのプランジャが完全に吸引され、スタータモータを駆動す る必要があることから、第４図に示すようなシフトレバー３６に、捩りコイルば ね３７を部分４０ａ、４０ｂ、４０ｃの３点で係止させ、捩れコイルばね３７を 介して、シフトレバー３６を枢支ピン３８を中心に回動させることで、ピニオン ギヤをシフトさせることが提案されている。

【０００３】 上記構成のピニオンシフトレバー構造の作動に際して、捩りコイルばね３７の 一端部３７ａが電磁スイッチのプランジャによって矢印Ｂの向きに引かれると、 ピニオンギヤを含むギヤアセンブリの慣性により捩りコイルばね３７が枢支ピン ３８を巻き込むように撓む。この時、シフトレバー３６の左右２つの部分を連結 する連結片３６ａと、捩りコイルばね３７の巻回部４０ｃにおいて摩擦が発生す る。このような摩擦は、ばね力を不安定にさせる傾向を有する。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

このような従来技術の問題点に鑑み、本考案の主な目的は、電磁スイッチのプ ランジャの往復運動力をシフトレバーに伝達する捩りコイルばねの支点部に於い て発生する摩擦により生じる電磁スイッチの作動不安定性を防止するスタータ用 ピニオンシフトレバー構造を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上述した目的は本考案によればスタータ用ピニオンシフト構造であって、スタ ータの固定部分に対して枢支ピンにより枢支され、その一端にシフトフォークが 形成されたシフトレバーをなす左右一対のレバーアームと、前記左右一対のレバ ーアームの枢支部近傍を連結する連結片と、前記両レバーアーム間にあって前記 枢支ピンに巻回されると共に、一端にて前記レバーアームのシフトフォーク側の 部分に係止され、他端にて電磁スイッチのプランジャに係合するべく前記レバー アームのシフトフォークとは相反する側に突出する捩りコイルばねとを有し、前 記捩りコイルばねが前記枢支ピンの外周に嵌装されたカラーを介して前記枢支ピ ンに巻回されたことを特徴とするスタータ用のピニオンシフトレバー構造を提供 することにより達成される。

【０００６】

【作用】

このように、電磁スイッチのプランジャの往復運動力をシフトレバーに伝達す る捩りコイルばねを、シフトレバーが枢支される枢支ピンの外周に嵌装されたカ ラーを介して枢支ピンに巻回したことにより、電磁スイッチが作動した場合に、 捩りコイルばねの巻回部の内面とカラーの外周面との間の当接部においてのみ摩 擦が発生するので、前記捩りコイルばねのワイヤ全体が均一に撓むことができ前 記捩りコイルばねのばね力が安定する。

【０００７】

【実施例】

以下に添付の図面を参照して本考案を特定の実施例について詳細に説明する。

【０００８】 図１は、本考案に基づくピニオンシフトレバー構造が適用されたエンジン始動 用のスタータ２を軸線に沿って示す断面図である。このスタータ２は、直流モー タ３によりエンジンの始動に必要な回転力を発生するものである。

【０００９】 直流モータ３の図の左側には遊星歯車列からなる減速ユニット４が連結されて おり、減速ユニット４の入力部としてのサンギヤは直流モータ３のモータ軸に形 成され、内歯リングギヤが固定されており、プラネタリギヤ支持体としての駆動 軸５に直流モータ３の回転力が減速されて伝達されるようになっている。駆動軸 ５は、エンジンのミッションケースに取付られるギヤカバー６内に受容されてお り、駆動軸５の中間部には一方向クラッチ７が嵌装されている。

【００１０】 一方向クラッチ７のクラッチアウタ７ａには周方向の環状凹部２６が設けられ ており、スタータの固定部分としての支持ブラケット２９により前後に傾動可能 に枢支されたシフトレバー９の二股状の作動端部９ｃが該環状凹部２６に係合し ている。すなわち、ギヤカバー６に一体形成された半径方向外向きの半島状部６ ａに結合された電磁スイッチ１のヨーク１５と半島状部６ａとの間に挾持された 支持ブラッケット２９に設けられた枢支ピン３２により、シフトレバー９の中間 部が揺動自在に枢支されている。

【００１１】 一方向クラッチ７のクラッチインナ７ｂには、エンジンのリングギヤ１１を駆 動するためピニオンギヤ１２が設けられており、電磁スイッチ１のプランジャ８ の往復運動に伴って駆動軸５の軸線方向に一方向クラッチ７が往復駆動されて、 リングギヤ１１にピニオンギヤ１２が選択的に歯合して、直流モータ３の回転に 伴ってピニオンギヤ１２が回転し、リングギヤ１１を回転させることができる。

【００１２】 電磁スイッチ１は、その軸線を直流モータ３と平行になるように配設されてお り、プランジャ８に同軸的に対向するようにヨーク１５とエンドカバー１８との 間に挾持された固定鉄心１３と、その固定鉄心１３を囲繞する円筒状コイル１４ と、コイル１４を外囲する円筒形のヨーク１５とを有している。コイル１４を励 磁することにより、固定鉄心１３によりプランジャ８が吸引され、その励磁を解 除することにより、プランジャ８と固定鉄心１３との間に介装された戻しコイル ばね１６によりプランジャ８が固定鉄心１３から引き離され、このようにしてプ ランジャ８が軸線方向に摺動自在にガイドされている。

【００１３】 コイル１４は、比較的太径の導体を内周側に巻回してなる吸引コイル１４ａと 、比較的細径の導体を外周側に巻回してなる保持コイル１４ｂとからなり、両コ イル１４ａ、１４ｂの一端同士に結合されたスイッチ端子１７が、絶縁体からな るエンドカバー１８の外方に引き出されており、そのスイッチ端子１８には図示 されないイグニッションスイッチが電気的に接続されている。尚、保持コイル１ ４ｂの他端は固定鉄心１３を介して接地され、吸引コイル１４ａの他端は、ボル ト状のモータ接続端子２０によりエンドカバー１８の内壁面に固設されたモータ 接続端子用固定接点体２０ａに接続されている。また、エンドカバー１８の内壁 面にはボルト状のバッテリ接続端子１９により固設されたバッテリ接続端子用固 定接点体１９ａが設けられている。

【００１４】 前記したプランジャ８の固定鉄心１３側が軸線方向にすり鉢状に凹設され、固 定鉄心１３の対向する面には、軸線方向に漸次縮径されたテーパ面を有するボス 部が突設されており、前記した戻しコイルばね１６が、プランジャ８の凹設部の 底面８ａと固定鉄心１３のボス部の突出端部との間に圧縮状態で介装されている 。固定鉄心１３の中心には、軸線方向に貫通して摺動自在に磁性体からなるロッ ド２１がガイドされており、固定鉄心１３に吸引されたプランジャ８がロッド２ １に衝当して、ロッド２１が固定鉄心１３側に押込まれる。ロッド２１の固定鉄 心１３よりも図に於ける右側に突出した端部には、スイッチ手段を構成する環状 の円板状導体からなる可動接点体２２が固定されており、同じくスイッチ手段を 構成する各固定接点体１９ａ、２０ａに当接する。このように、ロッド２１の変 位に応じてスイッチ手段が作動し、即ち前記両端子１９、２０間が可動接点体２ ２を介して電気的に橋絡され、直流モータ３にバッテリからの電流が流れてピニ オンギヤ１２を回転し得る。

【００１５】 可動接点体２２は、ロッド２１の軸線方向端部に熱かしめにより固着されたワ ッシャ２３により絶縁ワッシャ２４を介して抜止めされている。尚、ロッド２１ が前記したように磁性体からなることから、非磁性体からなるものに対して特殊 な材質のものを用いることなく、上記熱かしめを容易に行うことができる。

【００１６】 また、ロッド２１の中間部に形成された半径方向外向きのフランジ部とスライ ド支持体２８との間には、可動接点体２２をエンドカバー１８側に向けて付勢す るためのコンタクトスプリング２５がロッド２１を囲繞するように同軸的に設け られている。ロッド２１のワッシャ２３とエンドカバー１８との間にはコイル状 のリターンスプリング３１が圧縮状態で介装されている。

【００１７】 図２及び図３に詳しく示されているように、本考案に基づくスタータ用ピニオ ンシフトレバー構造に於いては、シフトレバー９は、左右一対のレバーアーム９ ａ、９ｂと、これら両レバーアームを枢支ピン３２の近傍にて連結する連結片３ ４とを有し、後記するシフトスプリング１０の遊端部１０ｂを係止するための係 止部材３５が、作動端部９ｃに近傍するレバーアーム９ａ、９ｂの部分に、連結 片３４と同様に設けられている。レバーアーム９ａ、９ｂを枢支する枢支ピン３ ２には、カラー３３が嵌装されており、該カラー３３の外周には、シフトスプリ ング１０の巻回部１０ｃが嵌装されている。シフトスプリング１０の一方の遊端 部１０ａには、電磁スイッチ１のプランジャ８の遊端部が係合されており、シフ トスプリング１０の他方の遊端部１０ｂは、係止部材３５に係止されている。シ フトレバー９の作動端部９ｃとは相反する側の遊端部９ｄも二股状に形成されて おり、その遊端部９ｄに対して、シフトスプリング１０の一方の遊端部１０ａが 弾発的に当接している。従って、電磁スイッチ１の励磁による吸引力及び非励磁 時の電磁スイッチ１内の戻しばね１６の付勢力によるプランジャ８の移動に伴っ て、シフトレバー９が揺動し得る。

【００１８】

【考案の効果】

本考案によれば、電磁スイッチのプランジャの往復運動力をシフトレバーに伝 達するシフトスプリングが巻回する枢支ピンの外周にカラーを嵌装させたことに より、作動時にシフトスプリングとシフトレバーの連結片との間に生じていた摩 擦を、シフトスプリングとカラーとの当接点だけに発生させることができ、シフ トスプリングのワイヤ全体が均一に撓み、シフトスプリングの遊端部に係合され ている電磁スイッチのプランジャがスムーズに作動することができる。したがっ て、プランジャにより押し込まれる可動接点体の作動もスムーズに作動すること ができ、可動接点体のバウンド等により発生し得る電気接点の接点荒れ等の不具 合が解消される。また、シフトスプリングのワイヤ全体が均一に撓むのでシフト スプリング自身の耐久性も向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に基づくスタータ用ピニオンシフトレバ
ー構造が適用されたエンジン用スタータの軸線方向に沿
って破断して示す図である。

【図２】本考案に基づくスタータ用ピニオンシフトレバ
ー構造の拡大背面図である。

【図３】図２のＩＩＩ−ＩＩＩ線に沿って見た断面図で
ある。

【図４】従来技術に基づくスタータ用ピニオンシフトレ
バー構造を示す図３と同様の図である。

【符号の説明】

１ 電磁スイッチ ２ スタータ ３ 直流電動機 ４ 減速ユニット ５ 駆動軸 ６ ギヤカバー ７ 一方向クラッチ ７ａ クラッチインナ ７ｂ クラッチアウタ ８ プランジャ ８ａ 底面 ９ シフトレバー ９ａ、９ｂ レバーアーム ９ｃ 作動端部 ９ｄ 遊端部 １０ シフトスプリング １０ａ 遊端部 １０ｂ 遊端部 １１ リングギヤ １２ ピニオンギヤ １３ 固定鉄心 １４ コイル １４ａ 吸引コイル １４ｂ 保持コイル １５ ヨーク １６ 戻しコイルばね １７ スイッチ端子 １８ エンドカバー １９ バッテリ接続端子 ２０ モータ接続端子 １９ａ、２０ａ 固定接点体 ２１ ロッド ２２ 可動接点体 ２３ ワッシャ ２４ 絶縁ワッシャ ２５ コンタクトスプリング ２７ コイルボビン ２８ スライド支持体 ２９ 支持ブラケット ３１ リターンスプリング ３２ 枢支ピン ３３ カラー ３４ 連結片 ３５ 係止部材

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項１】 スタータ用のピニオンシフトレバー構造
   であって、スタータの固定部分に対して枢支ピンにより
   枢支され、その一端にシフトフォークが形成されたシフ
   トレバーをなす左右一対のレバーアームと、前記左右一
   対のレバーアームの枢支部近傍を連結する連結片と、前
   記両レバーアーム間にあって前記枢支ピンに巻回される
   と共に、一端にて前記レバーアームのシフトフォーク側
   の部分に係止され、他端にて電磁スイッチのプランジャ
   に係合するべく前記レバーアームのシフトフォークとは
   相反する側に突出する捩りコイルばねとを有し、前記捩
   りコイルばねが前記枢支ピンの外周に嵌装されたカラー
   を介して前記枢支ピンに巻回されたことを特徴とするス
   タータ用のピニオンシフトレバー構造。