JPH05104101A - H形鋼の圧延方法 - Google Patents

H形鋼の圧延方法

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JPH05104101A
JPH05104101A JP3267889A JP26788991A JPH05104101A JP H05104101 A JPH05104101 A JP H05104101A JP 3267889 A JP3267889 A JP 3267889A JP 26788991 A JP26788991 A JP 26788991A JP H05104101 A JPH05104101 A JP H05104101A
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rolls
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ユニバーサル圧延機とエッジャー圧延機とを
用いるH形鋼の中間圧延段階において、圧延素材の全長
に亘りウエブ中心偏りを小さくする。 【構成】 凸部を有するアーバと、前記アーバの回転軸
方向に移動自在にして設けられるスリーブとからなる2
重式のロールで構成されたH形鋼圧延用のエッジャー圧
延機と、ユニバーサル圧延機とを用いて可逆圧延を行う
H形鋼の圧延方法であって、圧延の各パス毎に前記スリ
ーブを回転軸方向に移動させることにより、圧延素材の
フランジ内面を前記凸部により、また圧延素材のフラン
ジ外面を前記スリーブによりそれぞれ拘束しながらエッ
ジングを行う際に、前記エッジャー圧延機の入側または
入・出側で、ウエブ中心偏りを測定し、該ウエブ中心偏
りに応じて、圧延素材の各フランジの拘束度を調整す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱間におけるH形鋼の
圧延方法に関し、特にユニバーサル圧延機とエッジャー
圧延機とを用いるH形鋼の中間圧延段階において、圧延
素材の全長にわたりウエブ中心偏りを小さくすることが
できるH形鋼の圧延方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、H形鋼に代表される形鋼の熱間
圧延は、例えば熱間圧延の工程説明図である図5(a) に
示すように、ブレークダウン圧延機3、粗ユニバーサル
圧延機4、エッジャー圧延機5および仕上げユニバーサ
ル圧延機6の組み合わせによる設備で行われる。すなわ
ち、スラブや矩形鋼片さらにはH形鋼用鋼片といった圧
延素材をブレークダウン圧延機3で所定の形状に粗造形
して圧延素材とした後、粗ユニバーサル圧延機4および
エッジャー圧延機5による複数パスの可逆圧延を行う中
間段階の圧延を経て、仕上げユニバーサル圧延機6にお
いて1パスで仕上げ圧延を行い、製品形鋼を得ている。
【0003】形鋼としてH形鋼を例にとって、このとき
の圧延過程を図6(a) に詳細に示す。図中、粗ユニバー
サル圧延機(UR)4ではH形鋼のウエブ2cが水平ロー
ル7によって圧延され、フランジ2a、2bは垂直ロール8
によってテーパを付けて支持されている。次いで、エッ
ジャー圧延機(E)5では、、エッジャーロール9によ
って各フランジ2a、2bの上下端部が圧下され、そして仕
上げユニバーサル圧延機(UF)6では水平ロール10と
垂直ロール11との協同によってフランジ2a、2bが起こさ
れ、所定の形状とされる。
【0004】また、高能率なH形鋼の製造方法として、
特公昭50−21984 号公報により提案されているように、
直列で配設された2基の粗ユニバーサル圧延機の中央部
にエッジャー圧延機を設置し、同時噛み込みが可能なよ
うに互いに近接して3基の圧延機を串型に配列してブレ
ークダウン圧延後の圧延素材を前記3基の圧延機からな
る圧延機群で可逆複数パス圧延を行い、仕上げユニバー
サル圧延機群に送り製品にする方法がある。この方法に
おける各圧延機の配置を図5(b) に示す。ブレークダウ
ン圧延機3で粗造形された圧延素材は、第1粗ユニバー
サル圧延機4、エッジャー圧延機5、そして第2粗ユニ
バーサル圧延機12の間で可逆圧延され、最終的に仕上げ
ユニバーサル圧延機6によって最終形状とされる。この
ときの各圧延機の圧延過程を図6(b)に詳細に示す。同図
中、第1粗ユニバーサル圧延機 (UR1)4では、H形
鋼のウエブ2cが水平ロール13によって圧延され、フラン
ジ2a、2bは垂直ロール14によってテーパを付けて支持さ
れている。次いで、エッジャー圧延機 (E)5では、エ
ッジャーロール15によって各フランジ2a、2bの上下端部
が圧下され、そして第2粗ユニバーサル圧延機 (UR
2)12では水平ロール16と垂直ロール17との協同によっ
てフランジ2a、2bが起こされて、仕上げユニバーサル圧
延機 (UF)6の水平ロール18と垂直ロール19とにより
最終形状とされる。
【0005】このように、従来、図6(a) および図6
(b) のエッジャー圧延機 (E)5では、フランジ2aおよ
び2bの両端のみを圧延し、フランジ幅の拡がり規制とフ
ランジ端部の整形および鍛錬効果とを出すことを目的と
するものである。よって、エッジャーロール9または15
の中央の凸状の径大部は、ウエブ2cに接触させないのが
一般的であった。
【0006】しかしながら、このようなH形鋼の圧延工
程の中で、圧延素材が有する上下左右の4カ所のフラン
ジの断面積の不揃い、あるいは水平ロールや垂直ロール
の相対的な位置関係の不良等によりウエブ中心偏りが発
生する。このウエブ中心偏りは、ウエブ中心偏りが発生
したH形鋼の略式断面図である図7に示すように、(a−
b)/2で定義される。ただし、a、bは各々上下フラン
ジ両端から上下ウエブ面までの距離である。
【0007】従来、こうしたウエブ中心偏りの発生に対
しては、特公昭59−13921 号公報に提案されているよう
に、粗ユニバーサル圧延機の水平ロール対を圧延機の入
側または出側に移動させることにより圧延素材のウエブ
位置を上下に付け替える方法や、特開昭62−263801号公
報に提案されているように、図5(c) に示すような、第
1および第2粗ユニバーサル圧延機4、12からなる中間
圧延機群とブレークダウン圧延機3と、さらに仕上げユ
ニバーサル圧延機6とを有する圧延機列において、第2
粗ユニバーサル圧延機12の垂直ロールでフランジ面の一
部を圧下しつつ、該第2粗ユニバーサル圧延機の水平ロ
ールでウエブ2cの面全部とフランジ端部との圧下を同時
に行う方法が提案されている。このときの第1粗ユニバ
ーサル圧延機4および第2粗ユニバーサル圧延機12によ
る圧延の様子を図8に示す。同図において、水平ロール
対20、20' 、垂直ロール対21、21' によってウエブが圧
延されるとともにこの垂直ロール対21、21' によってフ
ランジ外面の圧下が行われる。
【0008】さらに、H形鋼のフランジ幅の圧下を行う
際に、ウエブ中心偏りを発生させずにフランジ幅の減少
を可能にする技術として、本出願人は、特開平3−1749
07号公報または特願平2−298051号により、圧延素材の
フランジ内面を拘束するアーバと前記アーバの回転軸方
向に移動自在に設けられて前記圧延素材のフランジ外面
を拘束するスリーブロールとを有するH形鋼のエッジャ
ー圧延機を用い、該エッジャー圧延機とユニバーサル粗
圧延機とによりH形鋼の圧延を行う技術を提案した。
【0009】これらの提案にかかる圧延機および圧延方
法を図9(a) 、図9(b) および図10に示す。図9(a) は
圧延時における圧延素材1とスリーブロール22、22'
よびアーバ23、23' との接触状況を、図9(b) は圧延機
に用いるロールの構成を、さらに図10は圧延機全体の概
要をそれぞれ模式的に示す略式説明図である。図9(a)
または図9(b) からも分かるように、圧延素材1のフラ
ンジ内面を拘束することができる断面形状の凸部を有す
るアーバ23と、該アーバ23の回転軸方向に移動自在に設
けられ前記圧延素材1のフランジ外面を拘束することが
可能なスリーブロール22、22とからなる2重式のロール
で構成されたエッジャーロール24を用いて、圧延パス毎
または数パス毎に前記スリーブロール22を前記アーバ23
の回転軸方向に移動させることにより圧延素材1のフラ
ンジ部2a、2bを拘束しながらエッジング圧延を行う。す
なわち、図10において、圧延素材1のフランジ内面を拘
束する断面形状の凸部25を有するアーバ23、23' を用い
る。前記アーバ23、23' のフランジ内面を拘束する面が
アーバ23、23' の回転軸に直角な面となす角をθ1
し、一般にH形鋼の粗ユニバーサル圧延とそれに続くエ
ッジャー圧延においては、圧延素材のフランジは鉛直面
に対して最大5゜程度の傾斜を有していることから、0
゜≦θ1 ≦5゜とする。このアーバ23、23' の回転軸方
向に移動・固定自在であって、前記圧延素材1のフラン
ジ外面を拘束することが可能なスリーブロール22、22'
が前記凸部25の左右に位置するように2個挿着されてい
る。このスリーブロール22、22' は、前記アーバ23、2
3' の一般部 (凸部以外の部位) に装着されるための内
孔を有する円筒部材である。そして、アーバ23、23' と
スリーブロール22、22' とにより形成されるエッジャー
圧延機のロール孔型は、ウエブ中央部を支持する凸部で
ある孔型を有するアーバ23、23' に、2つのスリーブロ
ール22、22' 、22、22' がネジまたは油圧またはそれら
の複合手段により、嵌め合わされることにより形成され
ており、例えばネジ止めの場合は、ネジ相当部は孔型の
位置から左右にずれたところにある。スリーブロール2
2、22' の外表面のうち、フランジの外面を拘束するの
はアーバ23、23' の回転軸に直角な面とθ2 の角度を成
す面であって、図10に示すように、当該角θ2 は0゜≦
θ2 ≦10゜の範囲に設定するのが望ましい。なぜなら、
θ2 <0となると圧延素材のフランジ部を当該エッジャ
ーロールの孔型に噛み込ませることが困難になり、また
θ2 >10゜となると、フランジ外面の拘束効果が薄れる
からである。フランジ先端を圧下する位置は、図10に示
すように、前記アーバ23、23' の回転軸とθ3 の角度を
成すスリーブロール外表面であり、当該角θ3 は前記ア
ーバ23、23' のフランジ内面を拘束する面がアーバ23、
23' の回転軸に直角な面となす角θ1 に等しくしてフラ
ンジ先端の直角度を維持することが肝要である。したが
って、θ3 としては0゜≦θ3 ≦5゜とするのがよい。
【0010】ところで、前述のように図6(a) または図
6(b)に示す従来のエッジャー圧延機 (E)5によるエ
ッジング圧延の基本条件から、製品のウエブ中心偏りを
悪化させないために、製品のH形鋼のフランジ片幅は表
1に示すように規格化されており、各呼称シリーズ内に
おいて一定にせざるを得ないのが実情である。
【0011】
【表1】
【0012】なぜなら、各呼称シリーズ内でフランジ片
幅を大きく変化させようとすると、図6(a) または図6
(b) のエッジャーロール5の中央凸型の径大部と圧延素
材1のウエブ面2cとの隙間を予め大きく設定しておく必
要があり、後述の如く、これが製品のウエブ中心偏りの
悪化の原因となるからである。このことは、利用技術面
ではフランジ全幅が各呼称シリーズ内で一定である方が
好都合であることと矛盾しており問題となっていた。
【0013】このようなフランジ片幅が一定である問題
点を解決し、ウエブ中心偏りの悪化を防止しつつフラン
ジ全幅を各呼称シリーズ内で一定とすべく、フランジの
片幅調整をオンラインで無段階で行うことが可能なエッ
ジング圧延装置が提案されている。
【0014】例えば、特開昭62−77107 号公報には、図
11(a) ないし図11(c) に示すように、エッジングロール
26の作動面から軸方向に近接した外周面に軸受け29を介
して偏心リング27を嵌装し、さらに該偏心リング27と同
心に、前記偏心リング27の外周面に軸受け29' を介して
ウエブ拘束リング28を嵌装してなる偏心リング型エッジ
ング圧延装置が提案されている。なお、図11(a) および
図11(c) は、水平断面図であり、図11(b) は縦断面図で
ある。このエッジング圧延装置は、圧延素材のフランジ
先端部分を圧延し、成形と鍛練とを行うエッジングロー
ル (分割型水平ロール)26 が上下に各一対あり駆動軸を
介して矯正的に駆動されている。エッジングロール26の
外周には、軸受29を介して偏心リング27が装着され、さ
らに圧延素材1を適正圧延位置へ誘導しかつウエブを拘
束するためのウエブ拘束リング28が前記偏心リング27の
外周同心円状に軸受29を介して回転自在に装着されてい
る。偏心リング27は偏心リング位置設定装置30により、
圧延条件に応じた適正位置へ回転させてのち固定され
る。かくして、ウエブの拘束面とフランジ先端のエッジ
ング面との相対距離が無段階に変更できるため、製品の
フランジ全幅を無段階に造り分けることが可能となる。
【0015】また、特開昭62−77101 号公報には、図12
(a) または図12(b) に示すように、ウエブ拘束カラー31
と軸部32を有する水平ロール33と、前記軸部32の外周面
に転動自在に当接する一対のバックアップロール34およ
び該バックアップロール34に支承される、圧延材フラン
ジ圧下用作動ロール35と前記水平ロール33および圧延材
フランジ圧下用作動ロール35それぞれの軸心を結ぶ直線
に交叉する方向にバックアップロール34を変位せしめる
手段とを有してなる、フランジを有する形材のエッジン
グ圧延装置が提案されている。このエッジング圧延装置
において、分割型水平ロール33は、圧延素材1のウエブ
のその外周面が転動自在に当接し圧延過程において、圧
延素材のウエブを狭持し拘束する。さらに、ウエブ拘束
カラー31と、テーパを有する軸部32とを有してお
り、駆動軸によって回転せしめられる。バックアップロ
ール34は、一対で圧延材フランジ圧下用作動ロール35を
回転自在に支承する。一対のバックアップロール34は、
分割型水平ロール33および圧延材フランジ圧下用作動ロ
ール35それぞれの軸心を結ぶ直線に交叉する方向、すな
わち図示例では矢印K、K' の方向に変位 (開閉) せし
められる。バックアップロール34の矢印K、K' の方向
への変位により、圧延材フランジ圧下用作動ロール35は
矢印A方向に変位する。バックアップロール34の矢印
K、K' 方向の変位は、それ自体公知の、通常のスクリ
ュー、油圧機構等によるロール位置調整機構(圧下機
構)を用いてなされる。また、圧延材フランジ圧下用作
動ロール35は、予圧力でバックアップロール34を介して
駆動ロールの軸部32に圧接されて予備駆動されており、
円滑な通板を保証している。さらに、圧延材圧下用作動
ロール35の一方のロール端面は図の如く水平ロール33の
側壁と密着するように構成されており、フランジ先端部
の圧下・成形上の不都合が生じないようになされてい
る。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】まず、図5(a) または
図5(b) に示すようなH形鋼の製造方法においては、図
6(a) または図6(b) の圧延過程で示したように、エッ
ジャー圧延機5でフランジの両端のみを圧延し、エッジ
ャーロール9または15の中央の凸型の径大部はウエブ2c
に接触させないで1〜3mm程度の隙間を確保するのが一
般的である。従って、エッジャー圧延中のH形鋼のフラ
ンジ部2a、2bは上下端面をエッジャーロール9または15
で拘束されており、フランジ部2a、2bが圧延機のパスセ
ンターに対してほぼ上下対称に位置決めされるのに比較
し、ウエブ部2cはエッジャーロール9または15で拘束さ
れないために上下に自由に移動して、ウエブ中心偏りを
生じる可能性を残している。
【0017】したがって、上流のブレークダウン圧延に
おいて上下左右4カ所のフランジ断面積に不揃いが見ら
れる圧延素材1 (ビームブランク) に造形された場合、
エッジャー圧延機5を含む中間圧延機群で複数パスの圧
延を繰り返す過程において、ウエブ2cが圧延機のパスセ
ンターに対して上下非対称に容易に付け替わり、図7に
示したようなウエブ中心偏りが発生するおそれがある。
【0018】一方、特公昭59−13921 号公報に開示され
ている技術では、圧延パス毎あるいは圧延中にオンライ
ンでユニバーサル圧延機の水平ロールを圧延機の入側あ
るいは出側に数100 mmも移動する必要があるが、これは
設備的に容易ではない。また、一般的な粗ユニバーサル
圧延機にみられるように垂直ロールが紡錘型の場合に
は、水平ロールを圧延機の入側あるいは出側に移動する
に伴ない垂直ロールと水平ロールの側面との間隙が変化
し、圧延後の材料のフランジ厚が変化することになる。
このため、水平ロール位置変更に対応して垂直ロールの
開度の変更を行う必要があり、制御方法が複雑になる。
【0019】また、図8を用いて説明した特開昭62−26
3801号公報により開示された方法によれば、ウエブ中心
偏りは多少改善されるものの未だ充分ではなく、そのう
え次のような問題点があるため実用的手段とは言えな
い。
【0020】すなわち、図13(a) および図13(b) は、図
8に示すロール配置をそれぞれ初期パス、最終パスの段
階に分けて拡大して示すもので、特に水平ロール20と垂
直ロール21との隙間を強調して示す。そこで、ブレーク
ダウン圧延機で圧延された圧延素材を図8、図13(a) お
よび図13(b) のような構造のユニバーサル圧延機で圧延
していくと、図8、図13(a) および図13(b) から明らか
なように垂直ロール21、21' のそれぞれの幅は上下水平
ロール20、20' 間を最小間隙とした時の上下水平ロール
20、20' 間の垂直方向の距離よりも小さいために、該垂
直ロール21、21' によるフランジの圧下はロールの接触
している部分のみに限られる。従って、上記垂直ロール
21、21' と接触せずに圧下を受けていない部分が圧延の
開始から最終まで全パスについて程度の差こそあれ常に
未圧延部36として存在し、所定のフランジ厚が得られな
いほか、未圧延部と圧延部との境界部が圧延方向に線上
疵となって残ることになる。
【0021】さらに、図8の構造のユニバーサル圧延機
を実現する際には、製品フランジ幅が変更される毎に水
平ロール対20、20' のほかに、水平ロール20、20' の形
状、寸法 (上下水平ロール20、20' の最小間隙) に応じ
た垂直ロール対21、21' に交換する必要が生じる。この
ため、ロール保有数の増加とロール交換作業時間の増加
とにつながるといった問題点が新たに発生する。
【0022】一方、図12(a) および図12(b) を用いて説
明した特開昭62−77101 号公報により提案されたウエブ
中心偏りを悪化させずに製品のフランジ片幅を自由に調
整するエッジング圧延装置には、 圧延材フランジ圧下用作動ロール35を現状のエッジャ
ー圧延機の同ロールに比べて小径とせざるを得ず、圧延
素材1の噛み込み性が悪化するためフランジ幅の圧下量
が制約を受けること、および 分割型の水平ロール33と圧延材フランジ圧下用作動ロ
ール35とは全く異なる回転運動をするため、両ロールを
接触させることはできないことから、両ロールの側面間
隙を適度に保つ必要がある。そのため、フランジ先端部
の圧下時に上記間隙に圧延素材1が噛み込みトラブルを
発生させる恐れがあることといった問題があり、本技術
は実用的とは言えない。
【0023】また、同様に、図11(a) ないし図11(c) を
用いて説明した特開昭62−77107 号公報により提案され
たウエブ中心偏りを防止しつつフランジ片幅を調整する
エッジング圧延装置には、 偏心機構を有するために装置全体が極めて複雑となる
こと、および 水平ロール26と偏心リング27との間、および偏心リン
グ27とウエブ拘束リング28との間に軸受を介しているた
め、軸受の潤滑方法や周囲の水やスケールからのシール
方法等に難点が生じて耐久性が極めて悪くなる恐れがあ
ることといった問題があり、本技術も実用的とは言えな
い。
【0024】最後に、本出願人が先に出願したエッジャ
ー圧延機およびエッジャー圧延方法については、従来の
エッジャー圧延機によるH形鋼の形状不良例を示す図14
(a)または図14(b) にあるような、フランジ先端部のド
ッグボーン変形やフランジの座屈を防止し、エッジング
圧延時のウエブ中心偏りの発生を抑制する効果が見られ
るものの、エッジャーロールの胴部 (径大部) と圧延素
材のウエブ部との間隙を数mm程度確保せざるを得ない点
は従来のエッジャーロールと同様であり、エッジング圧
延時に生じるウエブ中心のフランジ中心からのズレ、す
なわちウエブ中心偏りの低減には自ずと限界が存在す
る。さらに、同一のサイズのエッジャーロールでフラン
ジ幅を自在に調整しようとする際には、このエッジャー
圧延機およびエッジャー圧延方法を用いたとしてもウエ
ブ中心偏りの悪化は否めない。
【0025】ここに、本発明の目的とするところは、ユ
ニバーサル圧延機とエッジャー圧延機とを用いるH形鋼
の中間圧延段階において、圧延素材の全長に亘りウエブ
中心偏りを小さくすることができるH形鋼の圧延方法を
提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するため種々検討を重ねた結果、ユニバーサル圧延
時の状況を示す圧延方向の縦断面図である図15(a) およ
び図15(b) に示すような上下でフランジ先端厚の異なる
圧延素材にユニバーサル圧延を行った場合のウエブ中心
偏りの変化を調査し、以下の知見を得た。
【0027】すなわち、図15(a) および図15(b) におい
て、上下フランジ片幅が同じで見かけ上のウエブ中心偏
りがなく、( (a−b)/2≒0) 、フランジ先端厚が上下
で異なる(tfu>tfd または tfu<tfd)H形鋼の圧延素材
をユニバーサル圧延機でフランジ厚とウエブ厚の減肉を
行う圧延を行った結果、同図に示すように、素材のフラ
ンジ先端厚が tfu>tfd の場合は、圧延後の材料には負
のウエブ中心偏り ((a−b)/2<0) が発生し、逆に素
材のフランジ先端厚が tfu<tfd の場合には、圧延後の
材料には正のウエブ中心偏り ((a−b)/2>0) の発生
がみられた。
【0028】本発明者は、この原因は、ユニバーサル圧
延の際にフランジ先端厚の大なる方のフランジ部が小な
る方のフランジ部に先行してユニバーサル圧延機の水平
ロール側面と垂直ロールとの間に噛み込み、かつ素材フ
ランジ先端厚の大なる方がフランジ減面率も大であるた
めに、上下フランジの延伸 (圧延方向の伸び) の差が生
じ、フランジ上下方向へのウエブの移動 (付け替え) が
発生するためであると考えた。
【0029】本発明者は、このような前提に立って、さ
らに検討を重ねた結果、ウエブ中心偏りが予め存在する
H形鋼をエッジング圧延する際には、前述の図9(a) ま
たは図9(b) に示すロールを用いたエッジャー圧延機で
の上下非対称の圧延を利用して、図1(a) または図1
(b) に示すように、H形鋼の圧延素材において、ウエブ
中心偏りが正の時には、圧延素材の上部フランジ先端厚
が下部フランジ先端厚よりも大きくなるように、逆に上
記ウエブ中心偏りが負の時には、圧延素材の下部フラン
ジ先端厚が上部フランジ先端厚よりも大きくなるように
エッジャー圧延機によるフランジ拘束度を調整すること
によりフランジの上下先端厚 (ドッグボーン形状) を調
整し、その後にユニバーサル圧延を行うことが有効であ
ることを知見した。
【0030】すなわち、本発明は、前記の如く、従来の
H形鋼の熱間圧延にかかるウエブ中心偏りやフランジ片
幅を自在に調整できないといった従来の問題点を解決す
るものであって、その要旨とするところは、圧延素材の
フランジ内面を拘束する断面形状の凸部を有するアーバ
と、前記アーバの回転軸方向に移動自在にして設けら
れ、前記圧延素材のフランジ外面を拘束するスリーブロ
ールとからなる2重式のロールで構成されたH形鋼圧延
用のエッジャー圧延機と、ユニバーサル圧延機とを用い
て可逆圧延を行うH形鋼の圧延方法であって、圧延の各
パス毎あるいは複数パス毎に前記スリーブロールを回転
軸方向に移動させることにより、圧延素材のフランジ内
面を前記凸部により、また圧延素材のフランジ外面を前
記スリーブロールによりそれぞれ拘束しながらエッジン
グを行う際に、前記エッジャー圧延機の入側または入・
出側で、 ウエブ中心偏り値: (a−b)/2 (ただし、a、bはそれぞれ上下のフランジ片幅を示
す)を測定し、該ウエブ中心偏り値が正のときは圧延素
材のフランジ下部の拘束度がフランジ上部の拘束度より
も大きくなるように、前記ウエブ中心偏り値が負のとき
には圧延素材のフランジ上部の拘束度がフランジ下部の
拘束度よりも大きくなるように、前記2重式のロールの
前記凸部と前記スリーブロールとの回転軸方向の間隙を
上下でそれぞれ調整することを特徴とするH形鋼の圧延
方法である。
【0031】
【作用】添付図面を参照して、本発明の構成と作用をさ
らに具体的に説明する。本発明を適用したH形鋼の圧延
ラインの基本構成としては、粗ユニバーサル圧延機−エ
ッジャー圧延機の配置 (UR−E 配置) の例では図5(a)
に示す通りであり、図6(a) には当該圧延ラインによる
場合のH形鋼の加工の様子をその断面形状について示
す。
【0032】また、第1粗ユニバーサル圧延機−エッジ
ャー圧延機−第2粗ユニバーサル圧延機の配置 (UR1 −
E −UR2 配置)の例において本発明を適用した場合の圧
延ラインの別の配置例は、図5(b) に示す通りである。
図6(b) には当該圧延ラインによる場合のH形鋼の断面
形状の変化を示す。各工程における圧延素材が受ける圧
下による状態は、従来と同じである。
【0033】まず、本発明にかかる圧延方法によれば、
ブレークダウン圧延は従来法と同様に行えば良く、それ
により圧延素材をビームブランク (粗形鋼片) に圧延す
る。次に、UR-E配置もしくはUR1-E-UR2 配置の粗ユニバ
ーサル圧延機およびエッジャー圧延機を用いた中間圧延
段階で、圧延素材は最終寸法のフランジ幅、フランジ厚
およびウエブ厚にまで仕上げられる。
【0034】そこで、前述の図9(a) および図9(b) ま
たは図10に示すような2重式のロールで構成されたH形
鋼圧延用のエッジャー圧延機を該中間圧延機群に導入
し、ユニバーサル圧延機でウエブ厚とフランジ厚とを減
少させるとともに、前記エッジャー圧延機でフランジ幅
を所定の値にまで圧下するための可逆圧延の各パスにお
いて、該エッジャー圧延機の上下ロールの孔型拘束度を
それぞれ調整しながら、望ましくは10〜15パスの可逆圧
延を行うことによりウエブ中心偏りの発生を大幅に抑制
する。
【0035】次に、図9(a) 、図9(b) または図10に示
す2重式のロールで構成されたH形鋼圧延用のエッジャ
ー圧延機を用いる本発明にかかるH形鋼の圧延方法につ
いて説明する。図1(a) に示すように、正のウエブ中心
偏りを有する圧延素材1の圧延の場合、エッジャー圧延
において、上部のフランジ先端厚が下部のフランジ先端
厚に比し所定量大きくなるようにフランジ幅の圧下の際
に整形しておく。これにより、後のユニバーサル圧延時
に上下フランジに延伸の差が生じ、ウエブの付け替えが
行われて、H形鋼のウエブ中心偏り (=(a' −b') /
2) をほぼ0にすることができる。
【0036】また、図1(b) に示すように、負のウエブ
中心偏り(=(a−b)/2<0) を有する圧延素材1'
圧延の場合は、エッジャー圧延において、下部のフラン
ジ先端厚が上部のフランジ先端厚に比し所定量大きくな
るようにフランジ幅の圧下の際に整形しておく。これに
より、同様に、後のユニバーサル圧延後のH形鋼のウエ
ブ中心偏り (=(a' −b') /2) をほぼ0にすることが
できる。図3(a) または図3(b) は、本発明における、
エッジャー圧延とその後引き続いて行われるユニバーサ
ル圧延とによるウエブ中心偏りの制御の原理をまとめて
説明するための略式説明図である。
【0037】本発明では、図2に示すように、エッジャ
ー圧延においてアーバの凸部とスリーブロールとの間隔
を上下の2重式のロールについて変更し、孔型による各
フランジの拘束度が上下で異なるエッジャーロールによ
るエッジング圧延を行った後のウエブ中心偏りを、図3
(a) に示すように、S0 (=a0−b0) /2) とし、水平ロ
ール37および垂直ロール38からなるユニバーサル圧延機
によるユニバーサル圧延後のウエブ中心偏りをS1 (=(a
1 −b1) /2) と表す。図3(a) において、エッジング
圧延後の上下フランジ先端厚を各々tfu 、tfd とし、か
つ tfu>tfd とすると、次のユニバーサル圧延機におい
ては、フランジ外面とユニバーサル圧延機の垂直ロール
の投影接触長の最大値は上下で異なり、非対称圧延とな
る。ここで、上下フランジ外面と垂直ロールの最大投影
接触長を各々(1df)u、(1df)dとすると、当然ながら(1d
f)u>(1df)dとなる。さらに、これら最大投影接触長の
差をΔldf とすると、 Δ1df =(1df)u−(1df)d≒〔2・Rv・(tfu−tfd)〕1/2 で表される。ここで、Rvは垂直ロール半径である。
【0038】そして、図3(b) は、本発明者の実験結果
から得られた、このΔ1df とユニバーサル圧延前後のH
形鋼のウエブ中心偏りの差ΔS (=S1−S2) との関係を
模式的に表したグラフである。同図から、Δ1df が正の
場合、すなわちユニバーサル圧延前のH形鋼の上部フラ
ンジ先端厚を下部フランジ先端厚よりも大きくし、ユニ
バーサル圧延におけるフランジ外面の上部と垂直ロール
との接触を下部に対して先行させることにより、フラン
ジセンターを下方に移動させてΔSをマイナスにできる
ことが判る。また、逆にΔ1df が負の場合には、同様な
原理でΔSを正にでき、両者の間には線形の関係が成立
する。ただし、Δ1df に対するΔSの変化量、すなわち
図3(b) の直線の勾配はユニバーサル圧延条件によって
変化するため、種々の圧延条件 (圧延素材形状・材質、
フランジ・ウエブの圧下率、圧延温度等) に対して、前
記勾配を実験的または理論的に求めておき、適宜使い分
けることが本発明の実施にあたり望ましい。
【0039】以上のように、本発明でウエブ中心偏りを
制御するには、エッジャー圧延前のH形鋼のウエブ中心
偏りの測定結果に基づき、前述のΔSとΔ1df との関係
を基に、次のユニバーサル圧延でのウエブ中心偏りの矯
正に必要なΔ1df を算出し、続いてエッジャー圧延での
上下ロールの孔型拘束度を演算する。しかる後、所定の
孔型拘束度になるように、上下の可動スリーブの回転軸
方向の位置調整を行う。もちろん、この際に、H形鋼の
ウエブ中心偏りが左右 (圧延機の駆動側と操作側) で異
なる場合には、エッジャーロールの上下孔型拘束度に加
えて、左右の孔型拘束度をも変更すればユニバーサル圧
延機でのウエブ中心偏りの矯正効果は一層増すことはい
うまでもない。
【0040】図4(a) および図4(b) には、本発明にか
かるH形鋼の圧延方法におけるウエブ中心偏り制御フロ
ーを例示してある。まず、図4(a) は、ウエブ中心偏り
計測装置38をユニバーサル圧延機39とエッジャー圧延機
40との間、すなわちエッジャー圧延機40の入り側に設置
し、ユニバーサル圧延後の圧延素材1のウエブ中心偏り
データに基づいてエッジャー圧延機40の上下ロール孔型
拘束度を制御する。すなわち、同図に示す制御では、予
め決められた圧延スケジュール情報、圧延温度情報、圧
延荷重情報および圧延材のウエブ中心偏り測定値に基づ
いて、主演算装置41において、各圧延パス毎の最適なフ
ランジ先端厚み差を求めて、当該フランジ厚み差が得ら
れるように、上下エッジャーロールのスリーブロール位
置調整 (開度設定) 用モータを駆動・制御する指令を出
力する。なお、上記フランジ先端厚み差の算定におい
て、圧延温度と圧延荷重情報を取り込んだのは、より信
頼性の高い制御を行うためである。
【0041】一方、図4(b) は、ウエブ中心偏り計測装
置38、38' をエッジャー圧延機の入側および出側に設置
し、ユニバーサル圧延後およびエッジング圧延後の圧延
素材1のウエブ中心偏りデータに基づいてエッジャー圧
延機の上下孔型拘束度を制御する方法について示してい
る。すなわち、予め決められた圧延スケジュール情報お
よび圧延材のウエブ中心偏り測定値に基づいて主演算装
置において各圧延パス毎の最適なフランジ先端厚み差を
求めて、当該フランジ厚み差が得られるように上下エッ
ジャーロールのスリーブロール位置調整 (開度設定) 用
モータとガイドローラ位置調整用モータを駆動・制御す
る指令を出力する。なお、上記フランジ先端厚み差の算
定においては、ユニバーサル圧延およびエッジング圧延
前後のウエブ中心偏りの値、両圧延機の圧延温度、さら
に圧延荷重情報を取り込むことにより、より信頼性の高
い制御を行うことができる。
【0042】なお、上記ウエブ中心偏り計測装置は、何
ら限定を要するものではなく、例えば特開昭58−179515
号公報に開示されている測定装置を利用すればよい。さ
らに、本発明を実施例を参照しながら説明するが、これ
はあくまでも本発明の例示であり、これにより本発明が
限定されるものではない。
【0043】
【実施例】本発明を実施例により詳細に説明する。 (実施例1)図5(a) に示す圧延ラインにおいて、図1に
示す本発明にかかるH形鋼の圧延方法を導入し、JIS サ
イズH形鋼H800×300 シリーズの製造を行った。
【0044】まず、連続鋳造スラブを加熱後、ローラ孔
型を持つブレークダウン圧延機で可逆圧延を行い、ビー
ムブランクに造形した。さらに、粗ユニバーサル圧延機
(UR)とエッジャー圧延機(E) とで可逆圧延を行い、製品
のフランジ厚、ウエブ厚およびフランジ幅に近い形状、
寸法にまで圧延した。
【0045】実施例で用いた前記エッジャー圧延機の仕
様は、図10に示す回転軸方向に摺動可能なスリーブロー
ルとアーバとからなる2重式のロールで構成される孔型
のエッジャーロールを採用し、図のアーバの凸部の形状
として、θ1 =5°に設定し、またスリーブロールの形
状として、θ2=0°、θ3 =5°に設定した。これら
アーバの凸部とスリーブロールとで構成される孔型形状
は、当該スリーブロールを図示しない電動機、減速機お
よび位置調整機構により圧延パス毎に適宜動かすことに
より、孔型拘束度の調整を可能とした。また、図示しな
いウエブ中心偏り計をUR-E間に設置して、粗ユニバーサ
ル圧延後のウエブ中心偏り測定値に基づき前記2重式の
エッジャー圧延機のスリーブロールの位置のフィードフ
ォワード制御を各パス毎に行った。
【0046】次に、上記中間圧延後の圧延材は、仕上げ
ユニバーサル圧延機(UF)で1パス圧延により、ウエブお
よびフランジの厚さを若干減ずると共に、フランジ外面
を平坦にし、さらにフランジとウエブの開度が直角とな
るように仕上げて製品とした。
【0047】表2に、H800×300 シリーズの3サイズに
ついて、本発明により製造した製品のウエブ中心偏りの
測定結果を示す。また、同表には、従来例として同一圧
延ラインで図10に示す可動スリーブロールを設けない従
来のエッジャー圧延機を適用した場合の製品のウエブ中
心偏りの測定結果を併記する。
【0048】
【表2】
【0049】この表から、本発明にかかるH形鋼の圧延
方法を用いれば、どのサイズのH形鋼についても製品の
ウエブ中心偏りは全長に亘り格段に小さくなり、寸法精
度の優れた製品が得られたことが分かる。
【0050】(実施例2)図5(b) に示す圧延ラインにお
いて、図1に示す本発明にかかるH形鋼の圧延方法を導
入し、製品のフランジ幅が一定のH形鋼として、H500×
200 シリーズの内の3サイズH形鋼の製造を行った。
【0051】本実施例の場合にも、連続鋳造ブルームを
加熱後、ブレークダウン圧延機で可逆圧延を行い、ビー
ムブランクを造形するまでは先の実施例1と同様のプロ
セスとした。次に、2基の粗ユニバーサル圧延機(UR1、
UR2)とその中間に位置するエッジャー圧延機(E) とで可
逆圧延を行い、製品のフランジ厚、ウエブ厚およびフラ
ンジ幅に近い形状、寸法にまで圧延した。
【0052】本実施例で用いたエッジャー圧延機の仕様
としては、実施例1の場合と同様であって、図10に示す
ような回転軸方向に摺動可能なスリーブロールとアーバ
とで構成される孔型エッジャーロールを採用し、図のア
ーバの凸部の形状として、θ1 =5°に設定し、またス
リーブロールの形状として、θ2 =0°、θ3 =5°に
設定した。これらアーバの凸部とスリーブロールで構成
される孔型形状に関しては、当該スリーブロールを図示
しない電動機、減速機および位置調整機構により圧延パ
ス毎に動かすことにより孔型拘束度の調整を行った。ま
た、図示しないウエブ中心偏り計をUR1-E およびE-UR2
間に設置して、UR1 あるいはUR2 圧延後のウエブ中心偏
り測定値に基づきエッジャー圧延機のスリーブロールの
位置のフィードフォワードおよびフィードバック制御を
各パス毎に行った。
【0053】次に、上記中間圧延後の圧延材は、仕上げ
ユニバーサル圧延機(UF)で1パス圧延により、ウエブお
よびフランジの厚さを若干減ずると共に、フランジ外面
を平坦にし、さらにフランジとウエブの開度が直角とな
るように仕上げられて製品とした。表3に、H500×200
シリーズの3サイズについて、本発明により製造した製
品のウエブ中心偏りの測定結果を示す。実施例1と同様
に、従来例を示す。
【0054】
【表3】
【0055】従来例による圧延では、製品のフランジ全
幅が一定の場合には、製品のウエブ厚(tw)が小さくなる
に従い、フランジ片幅が大きくなるため、エッジャー圧
延機の胴部 (径大部) と圧延材のウエブ面との距離を大
きくせざるを得ない。そのため、ウエブのセンターが上
下に付け替えられる可能性が高まり、製品のウエブ中心
偏りは悪化する。
【0056】これに対して、本発明のH形鋼の圧延方法
を導入することにより、製品フランジ片幅の変化、およ
びウエブ中心偏りの変化に対応してオンラインで上下エ
ッジャーロールの孔型拘束度を制御することで、製品の
ウエブ中心偏りは、圧延材全長に亘り、従来法に比較し
て格段に向上したことがわかる。
【0057】
【発明の効果】本発明は、以上説明した通り構成された
ことにより、H形鋼のユニバーサル圧延に際して、ウエ
ブ中心偏りを著しく減少することができ、かつ外寸法一
定のH形鋼等各種サイズのH形鋼を高寸法精度で製造す
ることができるもので、産業上極めて有益である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a) および図1(b) は、ともに、本発明に
かかるH形鋼の圧延方法の圧延過程を模式的に示す略式
説明図である。
【図2】本発明において、エッジャー圧延機によるH形
鋼の圧延時の一例を説明する略式断面図である。
【図3】図3(a) は、本発明によるユニバーサル圧延機
でのウエブ中心偏りの矯正原理を示す略式説明図であ
り、図3(b) は上下フランジ外面と垂直ロールの最大投
影長の差Δldf とユニバーサル圧延前後のウエブ中心偏
りの差ΔSとの関係を示すグラフである。
【図4】図4(a) および図4(b) は、ともに、本発明に
おける制御例のフローの説明図である。
【図5】図5(a) ないし(c) は、従来からのH形鋼圧延
ラインの構成図である。
【図6】図6(a) および図6(b) は、それぞれ図5(a)
および図5(b) に示す従来のH形鋼の熱間圧延の過程を
詳細に示す説明図である。
【図7】ウエブ中心偏りの説明図である。
【図8】従来のH形鋼のウエブ中心偏り防止方法の実施
におけるユニバーサル圧延機の正面図である。
【図9】図9(a) および図9(b) は、本発明にかかるH
形鋼の圧延方法の実施に用いる、2重式のロールで構成
されたH形鋼圧延用のエッジャー圧延機の構造の一例を
示す、それぞれ説明図である。
【図10】図9(a) および図9(b) に示すエッジャー圧
延機による圧延状況を示す説明図である。
【図11】図11(a) ないし図11(c) は、それぞれ従来の
ウエブ中心偏り防止方法におけるエッジャー圧延機の構
造を示す説明図である。
【図12】図12(a) および図12(b) は、従来のウエブ中
心偏り防止方法におけるエッジャー圧延機の構造を示す
略式縦断面図、側面図である。
【図13】図13(a) または図13(b) は、従来のウエブ中
心偏り防止方法におけるそれぞれ初期パスおよび最終パ
スでのユニバーサル圧延過程を示す略式説明図である。
【図14】図14(a) および図14(b) は、ともに、従来の
エッジャー圧延の問題点を示す説明図である。
【図15】図15(a) および図15(b) は、ユニバーサル圧
延機における非対称圧延によるウエブ中心偏りの発生状
況を説明する説明図である。
【符号の説明】
1,1': 圧延素材 2a,2b:フランジ 2c:ウエブ 3:ブレークダウ
ン圧延機 4:第1粗ユニバーサル圧延機 5:エッジャー圧
延機 6:仕上げユニバーサル圧延機 7:水平ロール 8:垂直ロール 9:エッジャーロ
ール 10:水平ロール 11:垂直ロール 12:第2粗ユニバーサル圧延機 13:水平ロール 14:垂直ロール 15:エッジャーロ
ール 16:水平ロール 17:垂直ロール 18:水平ロール 19:垂直ロール 20,20':水平ロール 21,21':垂直ロー
ル 22,22':スリーブ 23,23':アーバ 24:エッジャーロール 25:凸部 26:エッジングロール 27:偏心リング 28:ウエブ拘束リング 29,29':軸受け 30:偏心リング位置設定装置 31:ウエブ拘束カ
ラー 32:軸部 33:水平ロール 34:バックアップロール 35:圧延材フランジ圧下用作動ロール 36:未圧延部 37:水平ロール 38:ウエブ中心偏り計測装置 39:ユニバーサル
圧延機 40:エッジャー圧延機 41:主演算装置

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧延素材のフランジ内面を拘束する断面
    形状の凸部を有するアーバと、前記アーバの回転軸方向
    に移動自在にして設けられ、前記圧延素材のフランジ外
    面を拘束するスリーブロールとからなる2重式のロール
    で構成されたH形鋼圧延用のエッジャー圧延機と、ユニ
    バーサル圧延機とを用いて可逆圧延を行うH形鋼の圧延
    方法であって、 圧延の各パス毎あるいは複数パス毎に前記スリーブロー
    ルを回転軸方向に移動させることにより、圧延素材のフ
    ランジ内面を前記凸部により、また圧延素材のフランジ
    外面を前記スリーブロールによりそれぞれ拘束しながら
    エッジングを行う際に、前記エッジャー圧延機の入側ま
    たは入・出側で、 ウエブ中心偏り値: (a−b)/2 (ただし、a、bはそれぞれ上下のフランジ片幅を示
    す)を測定し、該ウエブ中心偏り値が正のときは圧延素
    材のフランジ下部の拘束度がフランジ上部の拘束度より
    も大きくなるように、前記ウエブ中心偏り値が負のとき
    には圧延素材のフランジ上部の拘束度がフランジ下部の
    拘束度よりも大きくなるように、前記2重式のロールの
    前記凸部と前記スリーブロールとの回転軸方向の間隙を
    上下ロールのそれぞれについて調整することを特徴とす
    るH形鋼の圧延方法。
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