JP2661495C - - Google Patents
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、建設、土木などの分野で用いられるH形鋼の熱間圧延方法、特にH
形鋼のウエブ中心偏り制御圧延方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 従来、圧延にてH形鋼を製造する場合、同一圧延チャンスでは同一幅のロール
を使用するため、H形鋼のフランジ内幅を一定にすることができるが、フランジ
厚みなどの断面寸法を変更する場合には、それに伴いウエブ高さが変化するため
、同一シリーズでありながら呼称寸法とウエブ高さが合致しないものが多く得ら
れる。これらの関係は図1に示すが、図中、H形鋼10のH0、H1、H2はウエブ高さ
、W0はフランジ内幅である。tf0<tf1<tf2であるとすると、W0が一定のときはH
0<H1<H2となる。 【0003】 これに対して、H形鋼を溶接にて製造する場合には、所定のサイズになるよう
に厚板を選択して用いることができるため、同一シリーズにおいては断面寸法が
変化してもウエブ高さを一定にできる。これらの関係は図2に示すが、図中の符
号は図1に同じである。W0、W1、W2を変更できるためH0、H1、H2を一定とするこ
ともできる。 【0004】 本出願人は、以上述べた従来のフランジを有する形材の圧延方法に関する問題
を解決する手段として既にいくつかの方法を提案した。 特願平1−149851号(特開平3−18401 号公報参照)においては図3に示すよ
うな垂直ロール34と幅可変2分割水平ロール32を有するユニバーサルミル(圧延
機)30を図4(a)、(b)に示すような圧延ラインに仕上げユニバーサルミル(圧延
機)として適用し、そのときの仕上げユニバーサルミルにおいて、1パスまたは
複数パスのリバース圧延を行うことでウエブ高さ(ウエブ内幅)の縮小を行う方
法を提案した。 【0005】 さらには、同特願平1−149851号において、図5(a)、(b)に示すように固定幅
水平ロールからなる仕上げユニバーサルミル(UF1)と幅可変水平ロールからなる
仕上げユニバーサルミル(UF2)の2基の仕上げユニバーサルミルを用いて、ウエ
ブ高さ(ウエブ内幅)の縮小圧延を行う方法について提案した。 【0006】 これらの発明によれば、1種類のロールで同一シリーズのH形鋼のウエブ高さ
外寸法を一定化することが可能となり、また、粗ユニバーサルミルの水平ロール
幅に制約されることなく、自由なウエブ高さのH形鋼が同一圧延チャンスで同一
圧延ロールで製造でき、ロール保有数の大幅削減、ロール原単位の大幅向上が実
現できる。 【0007】 しかしながら、本出願人が提示したフランジを有する形材の圧延方法によりH
形鋼の製造を行う際に、ウエブ高さの縮小量によっては、図6に示すような製品
のウエブ中心偏りが問題になることがある。ここで、ウエブ中心偏り量SはS=
(a−b)/2で表わされる。 【0008】 すなわち、ウエブ高さ(ウエブ内幅)の縮小量がある範囲を越えると、急激に
ウエブの中心偏りが増大し、所定の公差を満足しない製品になる。JIS G 3192で
は、ウエブ中心偏りの許容範囲をウエブ高さ300 mm以下のものでは±2.5 mm、ウ
エブ高さ300 mmを越えるものについては±3.5 mmと規定している。 【0009】 そこで、上記ウエブ高さ縮小圧延におけるH形鋼のウエブ中心偏りの悪化を防
止する方法として、本出願人は例えば特願平2−7812号(特開平3−216201号公
報参照)に開示した技術を開発したが、これはウエブ高さ(ウエブ内幅)縮小圧
延前のH形鋼素材のウエブ中心偏りをウエブ高さ(ウエブ内幅)縮小圧延により
一層悪化させないための方法であって、一旦悪くなった中心偏りを矯正させる技
術ではない。従って、仕上げ圧延以前の圧延過程で生じた大きなウエブ中心偏り
については、本出願人が提示した上述のウエブ高さ(ウエブ内幅)縮小圧延で矯
正されることなく、製品のウエブ中心偏りとして残存して寸法公差はずれの原因
となる。 【0010】 このような問題点を解決するために本発明者は、特開平4−143009号公報にお
いて、幅可変水平ロールを有する仕上げユニバーサルミルを用いて、H形鋼のウ エブ高さ(ウエブ内幅)縮小圧延を行うに際して、該圧延機の上流側および/ま
たは下流側に設置したウエブ中心偏り測定器によって検出された圧延材全長に亘
るウエブ中心偏り測定値に基づき、上記仕上げユニバーサルミルの入側に近接配
置したローラガイドにより被圧延材のフランジ部のミルパスセンターに対する上
下方向の位置を圧延中に調整することを特徴とするH形鋼のウエブ中心偏り制御
圧延方法を提案した。この発明の好適態様によれば、図7(a)、(b)に示す通り、
垂直ロール70と分割タイプの水平ロール72から成る仕上げユニバーサルミル74の
入側に近接配置したローラガイドが、被圧延材のフランジ端部を上下から拘束す
るフランジガイド82である。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】 図7(a)は圧延前の被圧延材76がS=(a1-b1)/2 でa1<b1のウエブ中心偏りS
を有している場合を表わし、図7(b)は圧延前の被圧延材76がS=(a1-b1)/2 でa
1>b1のウエブ中心偏りSを有している場合を表わしている。ここに、a1および
b1は仕上げ圧延前のそれぞれ上下のフランジ高さである、a2、b2は圧延後の
それである。 【0012】 図7(a)ではa1<b1であることから、e>0すなわちフランジセンターをパス
センターに対して上側に|e|離れた位置に保持するようにフランジローラガイ
ド82の位置を調整する。また図7(b)ではa1>b1であることから、e<0すなわ
ちフランジセンターをパスセンターに対して下側に|e|離れた位置に保持する
ようにフランジローラガイド82の位置を調整する。これによって、ウエブ高さ縮
小圧延後の製品はa2≒b2となりウエブ中心偏りの矯正が可能となる。 【0013】 ところが、本出願人が提示した上述のようなH形鋼のウエブ中心偏り制御圧延
方法に関して、本発明者は実際の圧延機を用いた膨大な回数のテストを行い、次
のような問題点を明らかにした。 【0014】 (1) 一般に熱間圧延H形鋼のウエブ中心偏りは、既述のように幅可変あるいは幅 固定の水平ロールを有するユニバーサルミルによるウエブ高さ(ウエブ内幅)縮
小圧延によるもの以外に、ブレークダウンミルや粗ユニバーサルミル、エッジャ
ーミルといった、より上流側の圧延工程において発生することが少なくない。ま
た、その発生形態としても、図6に例示するような左右のフランジ部で中心偏り
量が等しくなることはまずなく、さらに左右のフランジで中心偏りの正負が逆転
していることも頻繁に生じる。 【0015】 (2) 従って、H形鋼のウエブ高さ(ウエブ内幅)の縮小圧延を行うユニバーサル
ミルの入側あるいは出側で検出した被圧延材のウエブ中心偏り測定値がミル駆動
側および操作側でほぼ等しい場合には、それら測定値の平均値を基に、前述のよ
うに本出願人が特開平4−143009号公報で開示した方法により、最適なフランジ
ガイドローラの位置を決定することは容易であるが、当該中心偏りの測定値がミ
ル駆動側、操作側で大きく異なる場合、特に正負の異なった値を検出した場合に
はフランジローラガイドの適正な位置を決定することが難しくなる。 ここに、ミル駆動側とはミル駆動用電動機の位置する側であり、ミル操作側と
はミルを挟んでミル駆動側と反対に位置する側をいう。具体的にはそれぞれH形
鋼の両フランジのそれぞれ一方に相当する。 【0016】 (3) ミル駆動側、操作側で大きく異なるウエブ中心偏り値を検出した際に、本出
願人が特開平4−143009号公報で開示したようなフランジローラガイドあるいは
ウエブローラガイドでは、被圧延材のフランジ両端あるいはウエブ面をミル駆動
側、操作側で別個に適正位置に調整を行うことはできない。 (4) 従って、ミル駆動側と操作側のいずれについても、製品のウエブ中心偏りが
所定の公差範囲に収まるような小さなレベルに制御することは困難であった。 【0017】 ここに、本発明の目的とするところは、ウエブ内幅寸法を変更自在として、複
数シリーズのH形鋼を同じユニバーサルミルで製造する場合において、同一のユ
ニバーサルミルの水平ロールを用いて、フランジ厚みの異なるサイズについても
ウエブ高さの外寸法一定のH形鋼を製造する際、製品のウエブ中心偏りが全長に わたり、かつミルの駆動側および操作側のいずれについても所定の公差を外れる
ことのないように小さなレベルに抑制することを可能にするH形鋼のウエブ中心
偏り制御圧延方法とそのための装置を提供することにある。 【0018】 【課題を解決するための手段】 ここに、上述の課題を解決すべく種々検討を重ねた結果、ミル駆動側、操作
側各々別個にウエブセンターまたはフランジセンターを上下方向の適正位置に調
整し得る機構を設けるとが効果的であること、そのための被圧延材の誘導装置
として、ミル駆動側、操作側各々別個にウエブまたはフランジの上下拘束位置調
整可能としたローラガイドを設ける必要があること、を知り本発明を完成した。 【0019】 よって、本発明の要旨とするところは、H形鋼の熱間圧延方法であって、ユニ
バーサル圧延機の水平ロールを分割し、オンラインで幅調整可能な構造とし、該
ユニバーサル圧延機における1パスあるいは複数パスの圧延によってウエブ内幅
の縮小を行う圧延方法において、当該圧延機の上流側および/または下流側に設
置したウエブ中心偏り測定装置によって検出された圧延材全長にわたる駆動側お
よび操作側のウエブ中心偏り測定値に基づき、上記ユニバーサル圧延機の入側に
近接配置したH形鋼誘導装置により被圧延材のフランジ部のミルパスセンターに
対する上下方向の位置を駆動側および操作側各々別個に圧延中に調整することを
特徴とするH形鋼のウエブ中心偏り制御圧延方法である。 【0020】 ここに、ウエブ中心偏りは前述のSで定義されるが、本発明にあってはこれを
ウエブセンターあるいはフランジセンターとして捉え、ミルパスセンターに一致
させるのである。そしてそのために本発明にあってはウエブロールあるいはフラ
ンジロールから成る誘導装置を用いるのである。 【0021】 したがって、本発明は、別の面からは、被圧延材のウエブの両端部を駆動側お
よび操作側各々個別に上下から拘束し各々個別に上下方向にパスライン調整が可
能な少なくとも一対のローラガイドを備えたことを特徴とするH形鋼の誘導装置 である。 また、本発明は、被圧延材のフランジの両端部を駆動側および操作側各々別個
に上下から拘束し各々個別に上下方向にパスライン調整が可能な少なくとも一対
のローラガイドを備えたことを特徴とするH形鋼の誘導装置である。 【0022】 さらに、本発明は被圧延材のフランジの両端部を上下から拘束する少なくとも
一対の鼓型ローラガイドであって、かつローラガイド全体の上下位置が調整可能
であるとともに、上下の該ローラガイドをその回転軸方向に各々相反する方向に
移動させることが可能であるように構成したことを特徴とするH形鋼のの誘導装
置である。 【0023】 【作用】 添付図面を参照して、本発明をさらに具体的に説明する。 本発明にかかる圧延方法は、例えば第4図(a)にその1例を示す圧延ラインに
よって実施することができる。 【0024】 まず、本発明にかかる圧延方法によれば、ブレークダウン圧延は従来法と同様
に行えばよく、これにより圧延素材をビームブランクにまで圧延する。その後の
粗ユニバーサルミル(圧延機:UR)およびエッジャーミル(圧延機:E)を用いた
中間圧延で、圧延素材は最終寸法に近いフランジ幅、フランジ厚、ウエブ厚にま
で仕上げる。 【0025】 このようにして得られた中間圧延形鋼は、2分割幅可変水平ロールおよび垂直
ロールからなる仕上げユニバーサルミル(圧延機:UF)により、1パスまたは複
数パスのウエブ高さ縮小圧延を施され、数10mmの範囲内でH形鋼のウエブ高さの
外寸法は自由に変更できる。この仕上げユニバーサルミルによる圧延は必要によ
り複数パスのレバース圧延としてもよい。 【0026】 本発明によれば、仕上げユニバーサルミルの上流側および/または下流側に設 置したウエブ中心偏り測定装置によってウエブ中心偏り(S)を検出し、前記ユ
ニバーサル圧延機の入側に近接配置したH形鋼誘導装置により被圧延材のフラン
ジ部のミルパスセンターに対する上下方向の位置、つまりミルパスセンターから
見て被圧延材のフランジセンターがウエブの付け替え方向に所定量(=e)だけ
シフトするように駆動側および操作側各々別個に圧延中に調整する。駆動側およ
び操作側におけるそれぞれの誘導装置の調整操作自体は、図7に関連して説明し
た従来例に準じて行えばよい。なお、図7はフランジローラガイドの例を示すも
のであるが、ウエブローラガイドの場合も同様である。 【0027】 このように左右独立してウエブ中心偏りを調整するということで、当初は、被
圧延材の捩れや倒れなどの不都合が予想されたが、予想外にもそのような問題は
生じなかった。上記ガイドによる被圧延材の拘束効果が大きいためであるためと
考えらる。 【0028】 図8(a)、(b)は、本発明のH形鋼誘導装置の1例を正面からみた状態を示すも
のである。幅可変水平ロールを有する仕上げユニバーサルミル(図示せず、図7
参照)の入側に近接してミル駆動側およびミル操作側にぞれぞれ配置した上下一
対のウエブローラガイド80、82により、被圧延材であるH形鋼84のウエブ86の面
両端部を上下から拘束しつつ、フランジ88の上下位置を圧延中に調整するもので
ある。 【0029】 このように本発明にかかるローラガイド80、82は、図示例では、ミル駆動側、
操作側で別個にフランジの上下位置調整が可能なように、左右(ミル駆動側、操
作側)各一対のローラガイド80、82をそれぞれ軸90、92で片持ちで支える構造を
有し、いずれのガイドも互いに独立して上下に移動可能であるように、例えば油
圧機構を使った適宜調整機構94によって、計測されたウエブ中心偏りに応じてそ
の位置が調整される。図示例では左右のローラガイド80、82は互いに独立して上
下の方向にその位置が変更される。 【0030】 図8(a)が通常のウエブ拘束状態を示しており、左右のウエブセンターはユニ
バーサルミルのパスセンターに対して上下同じ位置に支持されており、被圧延材
のウエブ中心偏り測定値が左右でほぼ均等な場合には、この状態に保たれる。一
方、図8(b)は左右で非対称なウエブ拘束状態を示しており、左右のウエブセン
ターはユニバーサルミルのパスセンターに対して上下位置が異なった状態に支持
されており、被圧延材のウエブ中心偏り測定値が左右で異なる場合には、この状
態に変更する。 【0031】 図9(a)、(b)は、本発明の別のH形鋼誘導装置を正面からみた状態を示すもの
である。幅可変水平ロールを有する仕上げユニバーサルミル(図示せず、図7参
照)の入側に近接してミル駆動側およびミル操作側のぞれぞれ配置した上下一対
のフランジローラガイド96、98により、被圧延材であるH形鋼84のフランジ88の
端部を上下から拘束しつつ、フランジ88の上下位置を圧延中に調整するものであ
る。 【0032】 この例のローラガイドの特徴は、ミル駆動側および操作側で別個にフランジの
上下位置調整が可能なように、左右(ミル駆動側、操作側)各一対のローラガイ
ドを軸100、102 で片持ちで支える構造とし、いずれのガイドも互いに独立して
上下に移動可能であるように、例えば油圧機構を使った適宜調整機構104 によっ
て、計測されたウエブ中心偏りに応じてその位置が調整される。図示例では左右
のローラガイド80、82は互いに独立して上下の方向にその位置が変更される。 【0033】 なお、図中のローラガイドのローラは軸芯に対してθの角度を有する円錐状で
あるが、これは被圧延材のフランジが鉛直線に対して角度θ(一般に5度前後)
だけ傾いていることに対応して、フランジ先端部とガイドローラの表面とを面接
触させるためである。 【0034】 図9(a)が通常のウエブ拘束状態を示しており、左右のフランジセンターはユ
ニバーサルミルのパスセンターに対して上下同じ位置に支持されており、被圧延 材のウエブ中心偏り測定値が左右でほぼ均等な場合には、この状態に保たれる。
一方、図9(b)は左右で非対称なフランジ拘束状態を示しており、左右のフラン
ジセンターはユニバーサルミルのパスセンターに対して上下位置が異なった状態
に支持されており、被圧延材のウエブ中心偏り測定値が左右で異なる場合には、
この状態に変更する。 【0035】 図10(a)、(b)は本発明のさらに別のH形鋼誘導装置の例を示す正面図である。
図中、幅可変水平ロールを有する仕上げユニバーサルミルの入側に近接配置した
フランジローラガイド110、112 により、被圧延材であるH形鋼のウエブ端部を
上下から拘束しつつ、フランジの上下位置を圧延中に調整するものである。 【0036】 本例における各対のローラガイド110、112 は、ミル駆動側および操作側(つま
り左右側)で別個にフランジ88の上下位置が同時に調整可能なように、ローラ
ガイドのローラは軸芯に対してθの角度を有する鼓型とし、かつ上下ローラは
それぞれ同一軸114、116 によって連結されており、その回転軸方向に各々相反
する方向に移動させることができるようにしてあり、そして各軸114、116 は
適宜調整機構120、122 によってその全体が上下方向に位置が調整されるように
した点にある。なお、ガイドによるスリ疵防止の面からローラガイド110 と112
は互いに独立して回転できるように(無駆動)しておくことが望ましい。 【0037】 図10(a)が通常のフランジ拘束状態を示しており、左右のフランジセンターは
ユニバーサルミルのパスセンターに対して上下同じ位置に支持されており、被圧
延材のウエブ中心偏り測定値が左右でほぼ均等な場合には、この状態に保たれる
。一方、図10(b)は左右で非対称なフランジ拘束状態を示しており、左右のフラ
ンジセンターは互いに上下位置が2δtan θ(δ:上下ローラの回転軸方向の移
動量)だけ異なった状態に支持されており、被圧延材のウエブ中心偏り測定値が
左右で異なる場合には、この状態に変更する。 【0038】 図8ないし図10から分かるように、ウエブローラガイドおよびフランジローラ ガイドはそれぞれH形鋼のウエブおよびフランジを図面で云えば上下方向に押圧
できるように上下各々で1個以上のローラを備えたものであればよく特に制限さ
れない。例えば、図8、図9ではミル駆動側、操作側各々に上下ローラ2個(1
対)で計4個(2対)、図10では上下ローラ2個を備えたものである。 【0039】 各ローラガイドから構成される本発明にかかるH形鋼誘導装置の設置箇所であ
るが、これは仕上げユニバーサルミルに可及的に近接して設けることが望ましい
。 【0040】 次に図11〜図13は、本発明にかかるウエブ中心偏り制御方法を実施するための
各制御方式のブロック図を示している。 図11は、仕上げユニバーサルミル130 の上流側にウエブ中心偏り測定器132 を
設置し、この測定器で検出したミル駆動側および操作側における圧延素材(H形
鋼)134全長にわたるウエブ中心偏りSの測定値に基づき、圧延機入側に近接配置
したフランジガイド位置調整装置136 を経てフランジローラガイド138 の開度(
さらに図10のフランジローラガイドについてはローラの軸方向オフセット量)を
圧延中に制御して、圧延後のH形鋼のウエブ中心偏りを極小化しようとするもの
である。ウエブ中心偏り測定器132 は従来のように例えば光電式によって前述の
a、b の値を計測するものであってもよい。 【0041】 フランジガイド位置調整装置の位置調整指令にあたっては、入側ウエブ中心偏
り検出値とメインプロセスコンピューターから圧延パス毎に指示される圧延条件
および温度計で計測された圧延中の材料温度に基づき、演算器で適正なガイドの
位置修正量が算出され、ウエブ中心偏りSの測定位置が圧延機で圧延される時点
でガイド位置調整がなされるようにタイミングよく指令が出される。 【0042】 図12は、仕上げユニバーサルミルの下流側にウエブ中心偏り測定器140 を設置
し、この測定器で検出したミル駆動側および操作側における圧延素材(H形鋼)
全長にわたるウエブ中心偏りSの測定値に基づき、圧延機入側に近接配置したフ
ランジガイド位置調整装置を経てフランジローラガイドの開度(さらに図10のフ ランジローラガイドについてはローラの軸方向オフセット量)を圧延中に制御し
て、圧延後のH形鋼のウエブ中心偏りを極小化しようとするものである。 【0043】 フランジガイド位置調整装置の位置調整指令にあたっては、出側ウエブ中心偏
り検出値とメインプロセスコンピューターから圧延パス毎に指示される圧延条件
および温度計で計測された圧延中の材料温度に基づき、演算器で適正なガイドの
位置修正量が算出され、遅滞なくフランジガイド位置調整装置へ位置調整指令が
なされる。 【0044】 図12の場合にはフィードバック制御であるため、圧延機の出側に設置するウエ
ブ中心偏り測定器140 は圧延機に極力近接させることが望ましく、演算器の処理
時間、ガイド位置調整装置の調整時間は極力短くする必要がある。 【0045】 図13は、幅可変水平ロールを有する仕上げユニバーサルミル130 の上流側と下
流側の双方にウエブ中心偏り測定器132、140 を設けて、各々の測定器で得られ
たミル駆動側および操作側の圧延材の全長にわたるウエブ中心偏り測定値を演算
器に入力する。そこで、メインプロセスコンピューターから圧延パス毎に入力さ
れる圧延条件および温度計で計測された圧延中の材料温度に基づき、圧延後のH
形鋼のウエブ中心偏りSが最小になるように適正なガイド位置修正量が算出され
、フランジガイド位置調整装置136 へ適正なタイミングで上下位置調整指令(図
10のガイドに付いてはガイドローラの上下位置調整指令+ローラの軸方向のオフ
セット量の調整指令)がなされる。 【0046】 本構成の制御システムによれば、図11および図12に示したようなフィードフォ
ワード制御やフィードバック制御を単独で行う場合に比べて、より高精度なウエ
ブ中心偏り制御が可能になる。 【0047】 以上の説明では、フランジローラガイドによりフランジセンターを上下に位置
調整することで、ウエブ中心偏りを制御する方法であったが、前述の通りウエブ ガイドによりフランジセンターを上下に位置調整することで、ウエブ中心偏りを
制御する場合にも上記説明は当てはまることは言うまでもない。 【0048】 また、幅可変水平ロールを有する仕上げユニバーサルミルで1パスでウエブ高
さ(ウエブ内幅)の縮小を行い、所定の寸法のH形鋼に仕上げる場合について述
べたが、複数パスのウエブ高さ(ウエブ内幅)縮小圧延で製品に仕上げる場合に
ついても同様であって、各パスについて図11から図13に示した構成で本発明を適
用すればよい。この場合には、圧延機の上流側でウエブ中心偏り測定に用いた計
測装置を、次パスでは下流側のウエブ中心偏り測定器として併用してもよく、そ
の逆の使われ方をしてもよい。 【0049】 さらには、幅可変水平ロールを有する仕上げユニバーサルミルにおいてH形鋼
のウエブ高さ(ウエブ内幅)縮小圧延を行う際に本発明を適用した場合を前提と
したが、例えば図4(b)に示す圧延レイアウトにおいて2次粗ユニバーサルミル
に幅可変水平ロールを組み込み、当該ユニバーサルミルにおいてH形鋼のウエブ
高さ縮小圧延を行う場合に本発明を適用することも可能である。なぜなら、仕上
げユニバーサルミルと異なり、粗ユニバーサルミルの水平ロール側面には5度前
後の傾斜が付与されているのが一般的であるが、この傾斜角度がH形鋼のウエブ
高さ縮小圧延に及ぼす影響はほとんど何もなく、本発明で開示したH形鋼のウエ
ブ中心偏り制御圧延の原理がそのまま粗ユニバーサルミルでのウエブ高さ(ウエ
ブ内幅)縮小圧延に対しても当てはまるからである。 【0050】 なお、本発明の実施において用いられるウエブ中心偏り測定器としては、例え
ば特開昭58−179515号に開示されているようなものが利用可能である。 本発明の作用効果についてその実施例をもとにさらに具体的に説明する。 【0051】 【実施例】 (実施例1) 本実施例では、図4(a)に示す圧延ラインでH400×200 シリーズのウエブ高さ 外寸法一定H形鋼の熱間圧延を行う際に、本発明の方法を適用した まず、連続鋳造ブルームを加熱後、ロール孔型をもつブレークダウンミルでリ
バース圧延を行い、ビームブランクを造形した。さらに粗ユニバーサルミル(UR)
とエッジャーミル(E)とでリバース圧延を行い、製品のフランジ厚、ウエブ厚、
フランジ幅に近い形状・寸法にまで仕上げた。 【0052】 ここでURの水平ロール幅は 386mmであり、水平ロール側面は5度のテーパを有
している。UR圧延後の材料は、幅可変2分割水平ロールからなる仕上げユニバー
サルミルにおいて、フランジ内面がこの水平ロールに接するようにウエブ高さ(
ウエブ内幅)の縮小圧延を最大3パス行い、かつ同時にウエブ厚とフランジ厚の
均一化とフランジとウエブの直角度の矯正を主目的とした整形圧延を行って製品
とした。 【0053】 表1に、本発明を実施した場合の製品のウエブ中心偏り測定結果を、ミル駆動
側および操業側のそれぞれに関して平均値と標準偏差の形でまとめて示す。本実
施例では、図8(a)、(b)に示すウエブローラガイドタイプのH形鋼誘導装置を採
用し、幅可変水平ロールを有する仕上げユニバーサルミル上流側に設けたウエブ
中心偏り測定器で圧延各パス毎にウエブ中心偏りの検出を行い、図11に示す制御
系に相当する制御系を用いてミル入側に近接配置したウエブローラガイドの上下
位置調整をミル駆動側および操作側で独立して行うウエブ中心偏り制御を行った
。 【0054】 同表には、本発明の制御を行わずに、図8(a)に示すようなミル駆動側と操作
側とで全く同じ上下位置調整を行う中心偏り制御を行った場合の結果について比
較のために併記してある。 表1の結果から、本発明を実施した場合には、実施しなかった場合に比べてミ
ル駆動側および操業側のいずれについても、中心偏りが小さな寸法精度の優れた
製品が得られていることが判る。 【0055】 【表1】 【0056】 (実施例2) 本例では実施例1と同じく、図4(a)に示す圧延ラインでH400×200 シリーズ のウエブ高さ外寸法一定H形鋼の熱間圧延を行う際に、本発明を適用した。 【0057】 本実施例の場合、ブレークダウン圧延から粗ユニバーサル圧延およびエッジャ
ー圧延までの工程は、前述の実施例1の場合と同様であった。UR圧延後の材料は
、幅可変2分割水平ロールからなる仕上げユニバーサルミルにおいて、フランジ
内面が該水平ロール側面に接するようにウエブ高さ(ウエブ内幅)の縮小圧延を
1パス行い、かつ同時にウエブ厚とフランジ厚の均一化とフランジとウエブの直
角度の矯正を主目的とした整形圧延を行って製品とした。 表2に、本発明を実施した場合の製品のウエブ中心偏り測定結果を平均値と標
準偏差の形でまとめて示す。 【0058】 本実施例では、幅可変仕上げユニバーサルミルの上流側および下流側に設けた
ウエブ中心偏り測定器でウエブ中心偏りの検出を行い、図13に示す制御系に相当
する制御系を用いてミル入側に近接配置した図10(a)、(b)に示すタイプのフラン
ジローラガイドの上下位置調整および軸方向位置調整によるウエブ中心偏り制御
を行った。同表には、本発明の制御を行わずに、図10(a)に示すようにミル駆動
側と操作側とで全く同じ上下位置調整を行う中心偏り制御を行なった場合、つま
り上下位置調整装置 120、122 だけで位置調整を行い上下フランジガイドローラ
の軸方向位置調整を行わない場合の結果について比較のため併記してある。 表2に示す結果から、本発明を実施した場合には、実施しなかった場合に比べ
てミル駆動側および操作側のいずれについても、ウエブ中心偏りの小さな寸法制
度の優れた製品が得られていることが判る。 【0059】 【表2】 【0060】 【発明の効果】 以上詳述したように、本発明によれば、複数シリーズのH形鋼を同じ幅可変水
平ロールを有するユニバーサルミルで製造する場合、あるいは同一の幅可変水平
ロールを用いて厚みの異なるサイズについてもウエブ高さの外寸法一定のH形鋼
を製造する場合において、ミル駆動側および操作側のいずれについても、製品の
ウエブ中心偏りを圧延材全長にわたり極小化しながらH形鋼を熱間圧延すること
ができる。これにより、大幅なウエブ高さ(ウエブ内幅)の変更を要する場合に
ついても寸法精度の優れた製品が圧延でき、本発明は産業上の利用価値の極めて
高いものである。
形鋼のウエブ中心偏り制御圧延方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 従来、圧延にてH形鋼を製造する場合、同一圧延チャンスでは同一幅のロール
を使用するため、H形鋼のフランジ内幅を一定にすることができるが、フランジ
厚みなどの断面寸法を変更する場合には、それに伴いウエブ高さが変化するため
、同一シリーズでありながら呼称寸法とウエブ高さが合致しないものが多く得ら
れる。これらの関係は図1に示すが、図中、H形鋼10のH0、H1、H2はウエブ高さ
、W0はフランジ内幅である。tf0<tf1<tf2であるとすると、W0が一定のときはH
0<H1<H2となる。 【0003】 これに対して、H形鋼を溶接にて製造する場合には、所定のサイズになるよう
に厚板を選択して用いることができるため、同一シリーズにおいては断面寸法が
変化してもウエブ高さを一定にできる。これらの関係は図2に示すが、図中の符
号は図1に同じである。W0、W1、W2を変更できるためH0、H1、H2を一定とするこ
ともできる。 【0004】 本出願人は、以上述べた従来のフランジを有する形材の圧延方法に関する問題
を解決する手段として既にいくつかの方法を提案した。 特願平1−149851号(特開平3−18401 号公報参照)においては図3に示すよ
うな垂直ロール34と幅可変2分割水平ロール32を有するユニバーサルミル(圧延
機)30を図4(a)、(b)に示すような圧延ラインに仕上げユニバーサルミル(圧延
機)として適用し、そのときの仕上げユニバーサルミルにおいて、1パスまたは
複数パスのリバース圧延を行うことでウエブ高さ(ウエブ内幅)の縮小を行う方
法を提案した。 【0005】 さらには、同特願平1−149851号において、図5(a)、(b)に示すように固定幅
水平ロールからなる仕上げユニバーサルミル(UF1)と幅可変水平ロールからなる
仕上げユニバーサルミル(UF2)の2基の仕上げユニバーサルミルを用いて、ウエ
ブ高さ(ウエブ内幅)の縮小圧延を行う方法について提案した。 【0006】 これらの発明によれば、1種類のロールで同一シリーズのH形鋼のウエブ高さ
外寸法を一定化することが可能となり、また、粗ユニバーサルミルの水平ロール
幅に制約されることなく、自由なウエブ高さのH形鋼が同一圧延チャンスで同一
圧延ロールで製造でき、ロール保有数の大幅削減、ロール原単位の大幅向上が実
現できる。 【0007】 しかしながら、本出願人が提示したフランジを有する形材の圧延方法によりH
形鋼の製造を行う際に、ウエブ高さの縮小量によっては、図6に示すような製品
のウエブ中心偏りが問題になることがある。ここで、ウエブ中心偏り量SはS=
(a−b)/2で表わされる。 【0008】 すなわち、ウエブ高さ(ウエブ内幅)の縮小量がある範囲を越えると、急激に
ウエブの中心偏りが増大し、所定の公差を満足しない製品になる。JIS G 3192で
は、ウエブ中心偏りの許容範囲をウエブ高さ300 mm以下のものでは±2.5 mm、ウ
エブ高さ300 mmを越えるものについては±3.5 mmと規定している。 【0009】 そこで、上記ウエブ高さ縮小圧延におけるH形鋼のウエブ中心偏りの悪化を防
止する方法として、本出願人は例えば特願平2−7812号(特開平3−216201号公
報参照)に開示した技術を開発したが、これはウエブ高さ(ウエブ内幅)縮小圧
延前のH形鋼素材のウエブ中心偏りをウエブ高さ(ウエブ内幅)縮小圧延により
一層悪化させないための方法であって、一旦悪くなった中心偏りを矯正させる技
術ではない。従って、仕上げ圧延以前の圧延過程で生じた大きなウエブ中心偏り
については、本出願人が提示した上述のウエブ高さ(ウエブ内幅)縮小圧延で矯
正されることなく、製品のウエブ中心偏りとして残存して寸法公差はずれの原因
となる。 【0010】 このような問題点を解決するために本発明者は、特開平4−143009号公報にお
いて、幅可変水平ロールを有する仕上げユニバーサルミルを用いて、H形鋼のウ エブ高さ(ウエブ内幅)縮小圧延を行うに際して、該圧延機の上流側および/ま
たは下流側に設置したウエブ中心偏り測定器によって検出された圧延材全長に亘
るウエブ中心偏り測定値に基づき、上記仕上げユニバーサルミルの入側に近接配
置したローラガイドにより被圧延材のフランジ部のミルパスセンターに対する上
下方向の位置を圧延中に調整することを特徴とするH形鋼のウエブ中心偏り制御
圧延方法を提案した。この発明の好適態様によれば、図7(a)、(b)に示す通り、
垂直ロール70と分割タイプの水平ロール72から成る仕上げユニバーサルミル74の
入側に近接配置したローラガイドが、被圧延材のフランジ端部を上下から拘束す
るフランジガイド82である。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】 図7(a)は圧延前の被圧延材76がS=(a1-b1)/2 でa1<b1のウエブ中心偏りS
を有している場合を表わし、図7(b)は圧延前の被圧延材76がS=(a1-b1)/2 でa
1>b1のウエブ中心偏りSを有している場合を表わしている。ここに、a1および
b1は仕上げ圧延前のそれぞれ上下のフランジ高さである、a2、b2は圧延後の
それである。 【0012】 図7(a)ではa1<b1であることから、e>0すなわちフランジセンターをパス
センターに対して上側に|e|離れた位置に保持するようにフランジローラガイ
ド82の位置を調整する。また図7(b)ではa1>b1であることから、e<0すなわ
ちフランジセンターをパスセンターに対して下側に|e|離れた位置に保持する
ようにフランジローラガイド82の位置を調整する。これによって、ウエブ高さ縮
小圧延後の製品はa2≒b2となりウエブ中心偏りの矯正が可能となる。 【0013】 ところが、本出願人が提示した上述のようなH形鋼のウエブ中心偏り制御圧延
方法に関して、本発明者は実際の圧延機を用いた膨大な回数のテストを行い、次
のような問題点を明らかにした。 【0014】 (1) 一般に熱間圧延H形鋼のウエブ中心偏りは、既述のように幅可変あるいは幅 固定の水平ロールを有するユニバーサルミルによるウエブ高さ(ウエブ内幅)縮
小圧延によるもの以外に、ブレークダウンミルや粗ユニバーサルミル、エッジャ
ーミルといった、より上流側の圧延工程において発生することが少なくない。ま
た、その発生形態としても、図6に例示するような左右のフランジ部で中心偏り
量が等しくなることはまずなく、さらに左右のフランジで中心偏りの正負が逆転
していることも頻繁に生じる。 【0015】 (2) 従って、H形鋼のウエブ高さ(ウエブ内幅)の縮小圧延を行うユニバーサル
ミルの入側あるいは出側で検出した被圧延材のウエブ中心偏り測定値がミル駆動
側および操作側でほぼ等しい場合には、それら測定値の平均値を基に、前述のよ
うに本出願人が特開平4−143009号公報で開示した方法により、最適なフランジ
ガイドローラの位置を決定することは容易であるが、当該中心偏りの測定値がミ
ル駆動側、操作側で大きく異なる場合、特に正負の異なった値を検出した場合に
はフランジローラガイドの適正な位置を決定することが難しくなる。 ここに、ミル駆動側とはミル駆動用電動機の位置する側であり、ミル操作側と
はミルを挟んでミル駆動側と反対に位置する側をいう。具体的にはそれぞれH形
鋼の両フランジのそれぞれ一方に相当する。 【0016】 (3) ミル駆動側、操作側で大きく異なるウエブ中心偏り値を検出した際に、本出
願人が特開平4−143009号公報で開示したようなフランジローラガイドあるいは
ウエブローラガイドでは、被圧延材のフランジ両端あるいはウエブ面をミル駆動
側、操作側で別個に適正位置に調整を行うことはできない。 (4) 従って、ミル駆動側と操作側のいずれについても、製品のウエブ中心偏りが
所定の公差範囲に収まるような小さなレベルに制御することは困難であった。 【0017】 ここに、本発明の目的とするところは、ウエブ内幅寸法を変更自在として、複
数シリーズのH形鋼を同じユニバーサルミルで製造する場合において、同一のユ
ニバーサルミルの水平ロールを用いて、フランジ厚みの異なるサイズについても
ウエブ高さの外寸法一定のH形鋼を製造する際、製品のウエブ中心偏りが全長に わたり、かつミルの駆動側および操作側のいずれについても所定の公差を外れる
ことのないように小さなレベルに抑制することを可能にするH形鋼のウエブ中心
偏り制御圧延方法とそのための装置を提供することにある。 【0018】 【課題を解決するための手段】 ここに、上述の課題を解決すべく種々検討を重ねた結果、ミル駆動側、操作
側各々別個にウエブセンターまたはフランジセンターを上下方向の適正位置に調
整し得る機構を設けるとが効果的であること、そのための被圧延材の誘導装置
として、ミル駆動側、操作側各々別個にウエブまたはフランジの上下拘束位置調
整可能としたローラガイドを設ける必要があること、を知り本発明を完成した。 【0019】 よって、本発明の要旨とするところは、H形鋼の熱間圧延方法であって、ユニ
バーサル圧延機の水平ロールを分割し、オンラインで幅調整可能な構造とし、該
ユニバーサル圧延機における1パスあるいは複数パスの圧延によってウエブ内幅
の縮小を行う圧延方法において、当該圧延機の上流側および/または下流側に設
置したウエブ中心偏り測定装置によって検出された圧延材全長にわたる駆動側お
よび操作側のウエブ中心偏り測定値に基づき、上記ユニバーサル圧延機の入側に
近接配置したH形鋼誘導装置により被圧延材のフランジ部のミルパスセンターに
対する上下方向の位置を駆動側および操作側各々別個に圧延中に調整することを
特徴とするH形鋼のウエブ中心偏り制御圧延方法である。 【0020】 ここに、ウエブ中心偏りは前述のSで定義されるが、本発明にあってはこれを
ウエブセンターあるいはフランジセンターとして捉え、ミルパスセンターに一致
させるのである。そしてそのために本発明にあってはウエブロールあるいはフラ
ンジロールから成る誘導装置を用いるのである。 【0021】 したがって、本発明は、別の面からは、被圧延材のウエブの両端部を駆動側お
よび操作側各々個別に上下から拘束し各々個別に上下方向にパスライン調整が可
能な少なくとも一対のローラガイドを備えたことを特徴とするH形鋼の誘導装置 である。 また、本発明は、被圧延材のフランジの両端部を駆動側および操作側各々別個
に上下から拘束し各々個別に上下方向にパスライン調整が可能な少なくとも一対
のローラガイドを備えたことを特徴とするH形鋼の誘導装置である。 【0022】 さらに、本発明は被圧延材のフランジの両端部を上下から拘束する少なくとも
一対の鼓型ローラガイドであって、かつローラガイド全体の上下位置が調整可能
であるとともに、上下の該ローラガイドをその回転軸方向に各々相反する方向に
移動させることが可能であるように構成したことを特徴とするH形鋼のの誘導装
置である。 【0023】 【作用】 添付図面を参照して、本発明をさらに具体的に説明する。 本発明にかかる圧延方法は、例えば第4図(a)にその1例を示す圧延ラインに
よって実施することができる。 【0024】 まず、本発明にかかる圧延方法によれば、ブレークダウン圧延は従来法と同様
に行えばよく、これにより圧延素材をビームブランクにまで圧延する。その後の
粗ユニバーサルミル(圧延機:UR)およびエッジャーミル(圧延機:E)を用いた
中間圧延で、圧延素材は最終寸法に近いフランジ幅、フランジ厚、ウエブ厚にま
で仕上げる。 【0025】 このようにして得られた中間圧延形鋼は、2分割幅可変水平ロールおよび垂直
ロールからなる仕上げユニバーサルミル(圧延機:UF)により、1パスまたは複
数パスのウエブ高さ縮小圧延を施され、数10mmの範囲内でH形鋼のウエブ高さの
外寸法は自由に変更できる。この仕上げユニバーサルミルによる圧延は必要によ
り複数パスのレバース圧延としてもよい。 【0026】 本発明によれば、仕上げユニバーサルミルの上流側および/または下流側に設 置したウエブ中心偏り測定装置によってウエブ中心偏り(S)を検出し、前記ユ
ニバーサル圧延機の入側に近接配置したH形鋼誘導装置により被圧延材のフラン
ジ部のミルパスセンターに対する上下方向の位置、つまりミルパスセンターから
見て被圧延材のフランジセンターがウエブの付け替え方向に所定量(=e)だけ
シフトするように駆動側および操作側各々別個に圧延中に調整する。駆動側およ
び操作側におけるそれぞれの誘導装置の調整操作自体は、図7に関連して説明し
た従来例に準じて行えばよい。なお、図7はフランジローラガイドの例を示すも
のであるが、ウエブローラガイドの場合も同様である。 【0027】 このように左右独立してウエブ中心偏りを調整するということで、当初は、被
圧延材の捩れや倒れなどの不都合が予想されたが、予想外にもそのような問題は
生じなかった。上記ガイドによる被圧延材の拘束効果が大きいためであるためと
考えらる。 【0028】 図8(a)、(b)は、本発明のH形鋼誘導装置の1例を正面からみた状態を示すも
のである。幅可変水平ロールを有する仕上げユニバーサルミル(図示せず、図7
参照)の入側に近接してミル駆動側およびミル操作側にぞれぞれ配置した上下一
対のウエブローラガイド80、82により、被圧延材であるH形鋼84のウエブ86の面
両端部を上下から拘束しつつ、フランジ88の上下位置を圧延中に調整するもので
ある。 【0029】 このように本発明にかかるローラガイド80、82は、図示例では、ミル駆動側、
操作側で別個にフランジの上下位置調整が可能なように、左右(ミル駆動側、操
作側)各一対のローラガイド80、82をそれぞれ軸90、92で片持ちで支える構造を
有し、いずれのガイドも互いに独立して上下に移動可能であるように、例えば油
圧機構を使った適宜調整機構94によって、計測されたウエブ中心偏りに応じてそ
の位置が調整される。図示例では左右のローラガイド80、82は互いに独立して上
下の方向にその位置が変更される。 【0030】 図8(a)が通常のウエブ拘束状態を示しており、左右のウエブセンターはユニ
バーサルミルのパスセンターに対して上下同じ位置に支持されており、被圧延材
のウエブ中心偏り測定値が左右でほぼ均等な場合には、この状態に保たれる。一
方、図8(b)は左右で非対称なウエブ拘束状態を示しており、左右のウエブセン
ターはユニバーサルミルのパスセンターに対して上下位置が異なった状態に支持
されており、被圧延材のウエブ中心偏り測定値が左右で異なる場合には、この状
態に変更する。 【0031】 図9(a)、(b)は、本発明の別のH形鋼誘導装置を正面からみた状態を示すもの
である。幅可変水平ロールを有する仕上げユニバーサルミル(図示せず、図7参
照)の入側に近接してミル駆動側およびミル操作側のぞれぞれ配置した上下一対
のフランジローラガイド96、98により、被圧延材であるH形鋼84のフランジ88の
端部を上下から拘束しつつ、フランジ88の上下位置を圧延中に調整するものであ
る。 【0032】 この例のローラガイドの特徴は、ミル駆動側および操作側で別個にフランジの
上下位置調整が可能なように、左右(ミル駆動側、操作側)各一対のローラガイ
ドを軸100、102 で片持ちで支える構造とし、いずれのガイドも互いに独立して
上下に移動可能であるように、例えば油圧機構を使った適宜調整機構104 によっ
て、計測されたウエブ中心偏りに応じてその位置が調整される。図示例では左右
のローラガイド80、82は互いに独立して上下の方向にその位置が変更される。 【0033】 なお、図中のローラガイドのローラは軸芯に対してθの角度を有する円錐状で
あるが、これは被圧延材のフランジが鉛直線に対して角度θ(一般に5度前後)
だけ傾いていることに対応して、フランジ先端部とガイドローラの表面とを面接
触させるためである。 【0034】 図9(a)が通常のウエブ拘束状態を示しており、左右のフランジセンターはユ
ニバーサルミルのパスセンターに対して上下同じ位置に支持されており、被圧延 材のウエブ中心偏り測定値が左右でほぼ均等な場合には、この状態に保たれる。
一方、図9(b)は左右で非対称なフランジ拘束状態を示しており、左右のフラン
ジセンターはユニバーサルミルのパスセンターに対して上下位置が異なった状態
に支持されており、被圧延材のウエブ中心偏り測定値が左右で異なる場合には、
この状態に変更する。 【0035】 図10(a)、(b)は本発明のさらに別のH形鋼誘導装置の例を示す正面図である。
図中、幅可変水平ロールを有する仕上げユニバーサルミルの入側に近接配置した
フランジローラガイド110、112 により、被圧延材であるH形鋼のウエブ端部を
上下から拘束しつつ、フランジの上下位置を圧延中に調整するものである。 【0036】 本例における各対のローラガイド110、112 は、ミル駆動側および操作側(つま
り左右側)で別個にフランジ88の上下位置が同時に調整可能なように、ローラ
ガイドのローラは軸芯に対してθの角度を有する鼓型とし、かつ上下ローラは
それぞれ同一軸114、116 によって連結されており、その回転軸方向に各々相反
する方向に移動させることができるようにしてあり、そして各軸114、116 は
適宜調整機構120、122 によってその全体が上下方向に位置が調整されるように
した点にある。なお、ガイドによるスリ疵防止の面からローラガイド110 と112
は互いに独立して回転できるように(無駆動)しておくことが望ましい。 【0037】 図10(a)が通常のフランジ拘束状態を示しており、左右のフランジセンターは
ユニバーサルミルのパスセンターに対して上下同じ位置に支持されており、被圧
延材のウエブ中心偏り測定値が左右でほぼ均等な場合には、この状態に保たれる
。一方、図10(b)は左右で非対称なフランジ拘束状態を示しており、左右のフラ
ンジセンターは互いに上下位置が2δtan θ(δ:上下ローラの回転軸方向の移
動量)だけ異なった状態に支持されており、被圧延材のウエブ中心偏り測定値が
左右で異なる場合には、この状態に変更する。 【0038】 図8ないし図10から分かるように、ウエブローラガイドおよびフランジローラ ガイドはそれぞれH形鋼のウエブおよびフランジを図面で云えば上下方向に押圧
できるように上下各々で1個以上のローラを備えたものであればよく特に制限さ
れない。例えば、図8、図9ではミル駆動側、操作側各々に上下ローラ2個(1
対)で計4個(2対)、図10では上下ローラ2個を備えたものである。 【0039】 各ローラガイドから構成される本発明にかかるH形鋼誘導装置の設置箇所であ
るが、これは仕上げユニバーサルミルに可及的に近接して設けることが望ましい
。 【0040】 次に図11〜図13は、本発明にかかるウエブ中心偏り制御方法を実施するための
各制御方式のブロック図を示している。 図11は、仕上げユニバーサルミル130 の上流側にウエブ中心偏り測定器132 を
設置し、この測定器で検出したミル駆動側および操作側における圧延素材(H形
鋼)134全長にわたるウエブ中心偏りSの測定値に基づき、圧延機入側に近接配置
したフランジガイド位置調整装置136 を経てフランジローラガイド138 の開度(
さらに図10のフランジローラガイドについてはローラの軸方向オフセット量)を
圧延中に制御して、圧延後のH形鋼のウエブ中心偏りを極小化しようとするもの
である。ウエブ中心偏り測定器132 は従来のように例えば光電式によって前述の
a、b の値を計測するものであってもよい。 【0041】 フランジガイド位置調整装置の位置調整指令にあたっては、入側ウエブ中心偏
り検出値とメインプロセスコンピューターから圧延パス毎に指示される圧延条件
および温度計で計測された圧延中の材料温度に基づき、演算器で適正なガイドの
位置修正量が算出され、ウエブ中心偏りSの測定位置が圧延機で圧延される時点
でガイド位置調整がなされるようにタイミングよく指令が出される。 【0042】 図12は、仕上げユニバーサルミルの下流側にウエブ中心偏り測定器140 を設置
し、この測定器で検出したミル駆動側および操作側における圧延素材(H形鋼)
全長にわたるウエブ中心偏りSの測定値に基づき、圧延機入側に近接配置したフ
ランジガイド位置調整装置を経てフランジローラガイドの開度(さらに図10のフ ランジローラガイドについてはローラの軸方向オフセット量)を圧延中に制御し
て、圧延後のH形鋼のウエブ中心偏りを極小化しようとするものである。 【0043】 フランジガイド位置調整装置の位置調整指令にあたっては、出側ウエブ中心偏
り検出値とメインプロセスコンピューターから圧延パス毎に指示される圧延条件
および温度計で計測された圧延中の材料温度に基づき、演算器で適正なガイドの
位置修正量が算出され、遅滞なくフランジガイド位置調整装置へ位置調整指令が
なされる。 【0044】 図12の場合にはフィードバック制御であるため、圧延機の出側に設置するウエ
ブ中心偏り測定器140 は圧延機に極力近接させることが望ましく、演算器の処理
時間、ガイド位置調整装置の調整時間は極力短くする必要がある。 【0045】 図13は、幅可変水平ロールを有する仕上げユニバーサルミル130 の上流側と下
流側の双方にウエブ中心偏り測定器132、140 を設けて、各々の測定器で得られ
たミル駆動側および操作側の圧延材の全長にわたるウエブ中心偏り測定値を演算
器に入力する。そこで、メインプロセスコンピューターから圧延パス毎に入力さ
れる圧延条件および温度計で計測された圧延中の材料温度に基づき、圧延後のH
形鋼のウエブ中心偏りSが最小になるように適正なガイド位置修正量が算出され
、フランジガイド位置調整装置136 へ適正なタイミングで上下位置調整指令(図
10のガイドに付いてはガイドローラの上下位置調整指令+ローラの軸方向のオフ
セット量の調整指令)がなされる。 【0046】 本構成の制御システムによれば、図11および図12に示したようなフィードフォ
ワード制御やフィードバック制御を単独で行う場合に比べて、より高精度なウエ
ブ中心偏り制御が可能になる。 【0047】 以上の説明では、フランジローラガイドによりフランジセンターを上下に位置
調整することで、ウエブ中心偏りを制御する方法であったが、前述の通りウエブ ガイドによりフランジセンターを上下に位置調整することで、ウエブ中心偏りを
制御する場合にも上記説明は当てはまることは言うまでもない。 【0048】 また、幅可変水平ロールを有する仕上げユニバーサルミルで1パスでウエブ高
さ(ウエブ内幅)の縮小を行い、所定の寸法のH形鋼に仕上げる場合について述
べたが、複数パスのウエブ高さ(ウエブ内幅)縮小圧延で製品に仕上げる場合に
ついても同様であって、各パスについて図11から図13に示した構成で本発明を適
用すればよい。この場合には、圧延機の上流側でウエブ中心偏り測定に用いた計
測装置を、次パスでは下流側のウエブ中心偏り測定器として併用してもよく、そ
の逆の使われ方をしてもよい。 【0049】 さらには、幅可変水平ロールを有する仕上げユニバーサルミルにおいてH形鋼
のウエブ高さ(ウエブ内幅)縮小圧延を行う際に本発明を適用した場合を前提と
したが、例えば図4(b)に示す圧延レイアウトにおいて2次粗ユニバーサルミル
に幅可変水平ロールを組み込み、当該ユニバーサルミルにおいてH形鋼のウエブ
高さ縮小圧延を行う場合に本発明を適用することも可能である。なぜなら、仕上
げユニバーサルミルと異なり、粗ユニバーサルミルの水平ロール側面には5度前
後の傾斜が付与されているのが一般的であるが、この傾斜角度がH形鋼のウエブ
高さ縮小圧延に及ぼす影響はほとんど何もなく、本発明で開示したH形鋼のウエ
ブ中心偏り制御圧延の原理がそのまま粗ユニバーサルミルでのウエブ高さ(ウエ
ブ内幅)縮小圧延に対しても当てはまるからである。 【0050】 なお、本発明の実施において用いられるウエブ中心偏り測定器としては、例え
ば特開昭58−179515号に開示されているようなものが利用可能である。 本発明の作用効果についてその実施例をもとにさらに具体的に説明する。 【0051】 【実施例】 (実施例1) 本実施例では、図4(a)に示す圧延ラインでH400×200 シリーズのウエブ高さ 外寸法一定H形鋼の熱間圧延を行う際に、本発明の方法を適用した まず、連続鋳造ブルームを加熱後、ロール孔型をもつブレークダウンミルでリ
バース圧延を行い、ビームブランクを造形した。さらに粗ユニバーサルミル(UR)
とエッジャーミル(E)とでリバース圧延を行い、製品のフランジ厚、ウエブ厚、
フランジ幅に近い形状・寸法にまで仕上げた。 【0052】 ここでURの水平ロール幅は 386mmであり、水平ロール側面は5度のテーパを有
している。UR圧延後の材料は、幅可変2分割水平ロールからなる仕上げユニバー
サルミルにおいて、フランジ内面がこの水平ロールに接するようにウエブ高さ(
ウエブ内幅)の縮小圧延を最大3パス行い、かつ同時にウエブ厚とフランジ厚の
均一化とフランジとウエブの直角度の矯正を主目的とした整形圧延を行って製品
とした。 【0053】 表1に、本発明を実施した場合の製品のウエブ中心偏り測定結果を、ミル駆動
側および操業側のそれぞれに関して平均値と標準偏差の形でまとめて示す。本実
施例では、図8(a)、(b)に示すウエブローラガイドタイプのH形鋼誘導装置を採
用し、幅可変水平ロールを有する仕上げユニバーサルミル上流側に設けたウエブ
中心偏り測定器で圧延各パス毎にウエブ中心偏りの検出を行い、図11に示す制御
系に相当する制御系を用いてミル入側に近接配置したウエブローラガイドの上下
位置調整をミル駆動側および操作側で独立して行うウエブ中心偏り制御を行った
。 【0054】 同表には、本発明の制御を行わずに、図8(a)に示すようなミル駆動側と操作
側とで全く同じ上下位置調整を行う中心偏り制御を行った場合の結果について比
較のために併記してある。 表1の結果から、本発明を実施した場合には、実施しなかった場合に比べてミ
ル駆動側および操業側のいずれについても、中心偏りが小さな寸法精度の優れた
製品が得られていることが判る。 【0055】 【表1】 【0056】 (実施例2) 本例では実施例1と同じく、図4(a)に示す圧延ラインでH400×200 シリーズ のウエブ高さ外寸法一定H形鋼の熱間圧延を行う際に、本発明を適用した。 【0057】 本実施例の場合、ブレークダウン圧延から粗ユニバーサル圧延およびエッジャ
ー圧延までの工程は、前述の実施例1の場合と同様であった。UR圧延後の材料は
、幅可変2分割水平ロールからなる仕上げユニバーサルミルにおいて、フランジ
内面が該水平ロール側面に接するようにウエブ高さ(ウエブ内幅)の縮小圧延を
1パス行い、かつ同時にウエブ厚とフランジ厚の均一化とフランジとウエブの直
角度の矯正を主目的とした整形圧延を行って製品とした。 表2に、本発明を実施した場合の製品のウエブ中心偏り測定結果を平均値と標
準偏差の形でまとめて示す。 【0058】 本実施例では、幅可変仕上げユニバーサルミルの上流側および下流側に設けた
ウエブ中心偏り測定器でウエブ中心偏りの検出を行い、図13に示す制御系に相当
する制御系を用いてミル入側に近接配置した図10(a)、(b)に示すタイプのフラン
ジローラガイドの上下位置調整および軸方向位置調整によるウエブ中心偏り制御
を行った。同表には、本発明の制御を行わずに、図10(a)に示すようにミル駆動
側と操作側とで全く同じ上下位置調整を行う中心偏り制御を行なった場合、つま
り上下位置調整装置 120、122 だけで位置調整を行い上下フランジガイドローラ
の軸方向位置調整を行わない場合の結果について比較のため併記してある。 表2に示す結果から、本発明を実施した場合には、実施しなかった場合に比べ
てミル駆動側および操作側のいずれについても、ウエブ中心偏りの小さな寸法制
度の優れた製品が得られていることが判る。 【0059】 【表2】 【0060】 【発明の効果】 以上詳述したように、本発明によれば、複数シリーズのH形鋼を同じ幅可変水
平ロールを有するユニバーサルミルで製造する場合、あるいは同一の幅可変水平
ロールを用いて厚みの異なるサイズについてもウエブ高さの外寸法一定のH形鋼
を製造する場合において、ミル駆動側および操作側のいずれについても、製品の
ウエブ中心偏りを圧延材全長にわたり極小化しながらH形鋼を熱間圧延すること
ができる。これにより、大幅なウエブ高さ(ウエブ内幅)の変更を要する場合に
ついても寸法精度の優れた製品が圧延でき、本発明は産業上の利用価値の極めて
高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
圧延によるH形鋼の現状の製品寸法体系の説明図である。
【図2】
溶接によるH形鋼の現状の製品寸法体系の説明図である。
【図3】
本発明方法を適用する幅可変水平ロールを有する仕上げユニバーサルミルの様
子を示す説明図である。 【図4】 図4(a)、(b)は、本発明を実施する際のH形鋼の圧延ミルレイアウトの一例を
示す説明図である。 【図5】 図5(a)、(b)は、本発明を実施する際のH形鋼の別の圧延ミルレイアウトの一
例を示す説明図である。 【図6】 H形鋼のウエブ中心偏りの説明図である。 【図7】 図7(a)、(b)は、H形鋼のウエブ中心偏りを矯正する圧延の様子を示す説明図
である。 【図8】 図8(a)、(b)は、本発明のH形鋼誘導装置によるH形鋼の拘束状態を示す説明
図である。 【図9】 図9(a)、(b)は、本発明の別のH形鋼誘導装置によるH形鋼の拘束状態を示す
説明図である。 【図10】 図10(a)、(b)は、本発明のさらに別のH形鋼誘導装置によるH形鋼の拘束状態
を示す説明図である。 【図11】 本発明を実施する際のウエブ中心偏り制御方式のブロック図である。 【図12】 本発明を実施する際の別のウエブ中心偏り制御方式のブロック図である。 【図13】 本発明を実施する際のさらに別のウエブ中心偏り制御方式のブロック図である
。 【符号の説明】 32 : 水平ロール 34 : 垂直ロール 84 : H形鋼 80 、82 : ウエブローラガイド 110、112 : フランジローラガイド 130 : 仕上げユニバーサルミル
子を示す説明図である。 【図4】 図4(a)、(b)は、本発明を実施する際のH形鋼の圧延ミルレイアウトの一例を
示す説明図である。 【図5】 図5(a)、(b)は、本発明を実施する際のH形鋼の別の圧延ミルレイアウトの一
例を示す説明図である。 【図6】 H形鋼のウエブ中心偏りの説明図である。 【図7】 図7(a)、(b)は、H形鋼のウエブ中心偏りを矯正する圧延の様子を示す説明図
である。 【図8】 図8(a)、(b)は、本発明のH形鋼誘導装置によるH形鋼の拘束状態を示す説明
図である。 【図9】 図9(a)、(b)は、本発明の別のH形鋼誘導装置によるH形鋼の拘束状態を示す
説明図である。 【図10】 図10(a)、(b)は、本発明のさらに別のH形鋼誘導装置によるH形鋼の拘束状態
を示す説明図である。 【図11】 本発明を実施する際のウエブ中心偏り制御方式のブロック図である。 【図12】 本発明を実施する際の別のウエブ中心偏り制御方式のブロック図である。 【図13】 本発明を実施する際のさらに別のウエブ中心偏り制御方式のブロック図である
。 【符号の説明】 32 : 水平ロール 34 : 垂直ロール 84 : H形鋼 80 、82 : ウエブローラガイド 110、112 : フランジローラガイド 130 : 仕上げユニバーサルミル
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 H形鋼の熱間圧延方法であって、ユニバーサル圧延機の水平ロ
ールを分割し、オンラインで幅調整可能な構造とし、該ユニバーサル圧延機にお
ける1パスあるいは複数パスの圧延によってウエブ内幅の縮小を行う圧延方法に
おいて、当該圧延機の上流側および/または下流側に設置したウエブ中心偏り測
定装置によって検出された圧延材全長にわたる駆動側および操作側のウエブ中心
偏り測定値に基づき、上記ユニバーサル圧延機の入側に近接配置したH形鋼誘導
装置により被圧延材のフランジ部のミルパスセンターに対する上下方向の位置を
駆動側および操作側各々別個に圧延中に調整することを特徴とするH形鋼のウエ
ブ中心偏り制御圧延方法。 【請求項2】 被圧延材のウエブの両端部を駆動側および操作側各々個別に上
下から拘束し各々個別に上下方向にパスライン調整が可能な少なくとも一対のロ
ーラガイドを備えたことを特徴とするH形鋼の誘導装置。 【請求項3】 被圧延材のフランジの両端部を駆動側および操作側各々別個に
上下から拘束し各々個別に上下方向にパスライン調整が可能な少なくとも一対の
ローラガイドを備えたことを特徴とするH形鋼の誘導装置。 【請求項4】 被圧延材のフランジの両端部を上下から拘束する少なくとも一
対の鼓型ローラガイドであって、かつローラガイド全体の上下位置が調整可能で
あるとともに上下の該ローラをその回転軸方向に各々相反する方向に移動させる
ことが可能であるように構成したことを特徴とするH形鋼の誘導装置。
Family
ID=
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