JPH0510281B2 - - Google Patents
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- JPH0510281B2 JPH0510281B2 JP61123260A JP12326086A JPH0510281B2 JP H0510281 B2 JPH0510281 B2 JP H0510281B2 JP 61123260 A JP61123260 A JP 61123260A JP 12326086 A JP12326086 A JP 12326086A JP H0510281 B2 JPH0510281 B2 JP H0510281B2
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Landscapes
- Photoreceptors In Electrophotography (AREA)
Description
産業上の利用分野
本発明は電子写真感光体、撮像管、光センサ
ー、光電池、整流器、読取り素子などの光導電素
子の材料として用いられるセレンの改質方法に関
するものである。 従来の技術 セレンは電子写真用感光体その他の光導電素子
の材料としてよく知られている。特に電子写真感
光体や撮像管などの材料としては現在も広く利用
されている。ごく一般的に用いられている電子写
真法は、C.F.カールソンの米国特許2297691号に
記載されているものである。この方法ではまず光
導電材料から成る感光層をコロナ帯電器などによ
り帯電し、次にこの感光体を像露光して静電潜像
を形成し、その次にこの潜像の極性と逆極性に帯
電した着色粒子を、この感光体に接触させたり近
づけたりして、静電的に付着させることにより現
像を行う。現像されたトナー像はそのまま感光体
に定着させるか、又は別の画像支持体、例えば紙
などに転写させてから定着させる。トナー像の転
写の終わつた感光体は除電され、残存トナーも除
去されて再使用されることが多い。多数回の再使
用をしても画質が安定するように、上記基本プロ
セスの他に様々な付加的なステツプが提案され、
実用に供されて来た。また、上記の電子写真方式
とは異なる方式も提案されている。その例として
は、たとえば特公昭42−23910にみられる様なも
のがあげられる。この方式に用いる感光体は支持
体上に感光層、その上に透明絶縁層が順次積層さ
れた構造を持つ。まず感光体を正又は負に帯電
し、次に像露光をしながら交流コロナ放電などで
除電を行なう。この後感光体全面を一様露光すれ
ば静電コントラストが得られるので、これを現像
することにより可視像が得られる。 この様な感光体としては大面積化が容易である
ところから非晶質のセレン、けい素あるいはこれ
らと他の適当な元素(Te、As、Bi、Sb、Ge、
C、H、Nなど)との合金や有利に用いられる。 このような種々の材料の中でも非晶質セレンや
セレンを主成分とするセレン合金は電子写真技術
の初期から最も使い易い感光材料の1つとして広
く使われて来た。その用途は単に通常の可視光に
よる像露光を用いる電子写真には限らず、X線用
の感光材料として、あるいは半導体レーザーの近
赤外光を光源を利用した、よりインテリジエント
でかつ小型のプロセスのための感光体として幅広
い応用が考えられて来た。 セレンをこのような用途に用いる場合には一般
99.99%以上の化学的に高純度のものが必要であ
る。99.9%以下の純度のものを用いたときには、
多くの場合に暗抵抗の減少から来るSN比の低下
や光疲労などの現像が見られる。例えば、電子写
真感光体の場合には、帯電電位の低く、くり返し
特性の劣化、ゴーストと呼ばれる残像現象などが
起き易くなるので、通常の電子写真プロセスで使
用することは困難である。従つて、セレンの精製
がどうしても必要になる。セレンの精製法には
種々のものが提案されているが、ごく一般的な方
法は以下のものである。すなわち、セレンは多く
の場合に銅の電解精練の際に発生する陽極スライ
ム(陽極泥)や硫酸製造の際に発生するダストか
ら回収される。これらのスライムやダストを一旦
燃焼させてSeO2とし、これを水に溶解させてか
らSO2、N2H4などで還元すると高純度のセレン
が析出して来る。この様な方法でも純度の点で不
充分な場合は、こうして得られたセレンを蒸溜す
ることにより、さらに高純度のセレンとすること
が出来る。けい素などの精製に一般に用いられる
いわゆる帯域溶融法の使用は、セレンが非常にガ
ラス化し易い材料であるために、一般に困難であ
る。 また、セレンを加熱蒸発してセレンの蒸気を溶
融点付近に導き、液状のセレンとして、酸素の影
響を受けない雰囲気中でアルミニウム容器に放出
凝固させる、いわゆる真空蒸溜法によるセレンの
精製方法も知られている。(特開昭51−111420号
公報) さらに、蒸着前に脱ガスによりSeO2を昇華さ
せる方法も知られている。 発明が解決しようとする問題点 ところが、この様にして得られるセレンを用い
た光導電素子の特性は、必ずしも完全に解明され
てはおらず、時として異常とも思える様な性質を
示すことがしばしばある。例えば電子写真用感光
体の場合には、通常のカールソンプロセスでは残
留電位の低いセレン感光体が、それとは多少異な
るプロセスの下では高い残留電位を示すことがあ
る。また、あるプロセスの下では大きな光疲労を
示すのに別のプロセスの下では光疲労が小さいこ
とがある。そしてこれらの性質はたとえ入手可能
な限り高い純度のセレンを用いてみても、そのセ
レンの供給メーカーが異なると全く違つてくるこ
とがある。また必ずしもより高純度なセレンが良
い特性を示すとも限らない。撮像管やその他の光
導電素子の場合にも疲労現像や残像特性にセレン
の供給メーカーごとの差やセレン精製の際の原因
不明のロツト差が現われることがある。 セレンのこのようなやつかいな特性は、これま
で多くの技術者を悩ませて来た問題であり、電子
写真感光体その他の光導電素子の安定した生産を
妨げる大きな原因となつて来た。 本発明者等は、これらの現象が、原料セレンの
中に依然として含まれているごく微量で検出の困
難な不純物や非晶質セレンの構造欠陥に深くかか
わるものであることを見出し、本発明を完成する
に至つた。 したがつて、本発明の目的は上記の様なセレン
又はセレン合金素子の製造安定性を向上させるこ
とにある。本発明の他の目的は上記の様なセレン
又はセレン合金素子の光疲労現象を改善すること
にある。さらに本発明の他の目的は、特にセレン
又はセレン合金系の電子写真感光体の残留電位を
下げることにある。さらに本発明の他の目的は既
知の種々の電子写真プロセスのどのようなものの
中で使用しても、安定した電子写真特性を示す様
なセレン感光体を得ることにある。 問題点を解決するための手段及び作用 本発明の上記目的は、材料として用いる純度
99.99%以上の高純度セレンのみを密閉容器に真
空封入し、300℃以上の温度で30分以上加熱処理
し、そのまま容器ごと、即ち、真空状態を維持し
たまま密閉容器を冷却することにより達成され
る。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明において、材料として用いる高純度セレ
ンは99.99%以上の純度のものが使用される。こ
の様なセレンは通常粒状又は粉体状のものが市販
品として入手可能である。この様な市販品は多く
の場合前述したごとき欠点を有するので、そのま
までは使用不可能である。そこで入手したセレン
だけを何も加えずに密閉容器内に真空封入する。
容器内の真空度は10-1Torr以下で、数回の不活
性ガス又は窒素ガス置換をすることが望ましい。
最も望ましい真空度は10-2Torr以下である。 次に、セレンを真空封入した密閉容器を加熱
し、セレンを溶融させる。この加熱処理は、300
℃以上の温度で30分以上行なう必要があるが、温
度400℃以上で1.5時間以上行なうのがより一層望
ましい。さらにこの加熱処理中の容器を低い振動
数で振動させたり、ゆり動かしたりすることによ
り、より一層好ましい結果が得られる。加熱の終
つた容器はそのままゆつくり冷却するか又は冷水
中に容器ごと投入することにより急冷する。本発
明においては、容器を開いて溶融セレンを直接水
中へ投入するのは避けることが必要である。 本発明による方法は、高純度セレン(純度
99.99%以上)のどの様なものにも適用可能であ
つて、そのセレンが真空蒸溜されたものであるか
否かにかかわらず実施をすることができる。 実施例 以下、実施例及び比較例によつて本発明を説明
する。 実施例 1 市販の純度99.99%のセレンをガラスアンプル
中に真空封入した。この時のアンプル内の真空度
は7×10-3Torrであつた。次にこのアンプルを
400℃で5時間加熱し、加熱の間中0.5Hzの振動数
でゆり動かした。加熱が終了した後、セレン封入
アンプルを自然冷却し、温度が室温まで完全に下
がつてからアンプルを割りセレンを取り出した。 得られたセレンを材料として、アルミニウムプ
レート上に非晶質セレン層を真空蒸着した。蒸発
用ルツボとしてはタンタル製のものを使用した。 また、アルミニウムプレート表面は、脱脂処理
し、大気中で加熱することによつて、あらかじめ
約20Åの厚さの酸化被膜を設けておいた。基板で
あるこのアルミニウムプレートは、タングステン
ランプにより背面から加熱し、温度を75℃に保つ
た。 タンタルるつぼに上記セレンを入れ、蒸着槽内
を約10-6Torrに保つて所定のるつぼ昇温プログ
ラムによりるつぼを加熱し、アルミニウムプレー
ト表面に厚さ約50μのセレン蒸着層を形成した。
蒸着終了後、アルミニウムプレートごとセレン層
を取り出し、帯電、露光をくり返す通常のカール
ソン方式の電子写真法で電気的特性の変化を測定
した。その結果、残留電位は次の様に極めて低い
良好な値を示した。
ー、光電池、整流器、読取り素子などの光導電素
子の材料として用いられるセレンの改質方法に関
するものである。 従来の技術 セレンは電子写真用感光体その他の光導電素子
の材料としてよく知られている。特に電子写真感
光体や撮像管などの材料としては現在も広く利用
されている。ごく一般的に用いられている電子写
真法は、C.F.カールソンの米国特許2297691号に
記載されているものである。この方法ではまず光
導電材料から成る感光層をコロナ帯電器などによ
り帯電し、次にこの感光体を像露光して静電潜像
を形成し、その次にこの潜像の極性と逆極性に帯
電した着色粒子を、この感光体に接触させたり近
づけたりして、静電的に付着させることにより現
像を行う。現像されたトナー像はそのまま感光体
に定着させるか、又は別の画像支持体、例えば紙
などに転写させてから定着させる。トナー像の転
写の終わつた感光体は除電され、残存トナーも除
去されて再使用されることが多い。多数回の再使
用をしても画質が安定するように、上記基本プロ
セスの他に様々な付加的なステツプが提案され、
実用に供されて来た。また、上記の電子写真方式
とは異なる方式も提案されている。その例として
は、たとえば特公昭42−23910にみられる様なも
のがあげられる。この方式に用いる感光体は支持
体上に感光層、その上に透明絶縁層が順次積層さ
れた構造を持つ。まず感光体を正又は負に帯電
し、次に像露光をしながら交流コロナ放電などで
除電を行なう。この後感光体全面を一様露光すれ
ば静電コントラストが得られるので、これを現像
することにより可視像が得られる。 この様な感光体としては大面積化が容易である
ところから非晶質のセレン、けい素あるいはこれ
らと他の適当な元素(Te、As、Bi、Sb、Ge、
C、H、Nなど)との合金や有利に用いられる。 このような種々の材料の中でも非晶質セレンや
セレンを主成分とするセレン合金は電子写真技術
の初期から最も使い易い感光材料の1つとして広
く使われて来た。その用途は単に通常の可視光に
よる像露光を用いる電子写真には限らず、X線用
の感光材料として、あるいは半導体レーザーの近
赤外光を光源を利用した、よりインテリジエント
でかつ小型のプロセスのための感光体として幅広
い応用が考えられて来た。 セレンをこのような用途に用いる場合には一般
99.99%以上の化学的に高純度のものが必要であ
る。99.9%以下の純度のものを用いたときには、
多くの場合に暗抵抗の減少から来るSN比の低下
や光疲労などの現像が見られる。例えば、電子写
真感光体の場合には、帯電電位の低く、くり返し
特性の劣化、ゴーストと呼ばれる残像現象などが
起き易くなるので、通常の電子写真プロセスで使
用することは困難である。従つて、セレンの精製
がどうしても必要になる。セレンの精製法には
種々のものが提案されているが、ごく一般的な方
法は以下のものである。すなわち、セレンは多く
の場合に銅の電解精練の際に発生する陽極スライ
ム(陽極泥)や硫酸製造の際に発生するダストか
ら回収される。これらのスライムやダストを一旦
燃焼させてSeO2とし、これを水に溶解させてか
らSO2、N2H4などで還元すると高純度のセレン
が析出して来る。この様な方法でも純度の点で不
充分な場合は、こうして得られたセレンを蒸溜す
ることにより、さらに高純度のセレンとすること
が出来る。けい素などの精製に一般に用いられる
いわゆる帯域溶融法の使用は、セレンが非常にガ
ラス化し易い材料であるために、一般に困難であ
る。 また、セレンを加熱蒸発してセレンの蒸気を溶
融点付近に導き、液状のセレンとして、酸素の影
響を受けない雰囲気中でアルミニウム容器に放出
凝固させる、いわゆる真空蒸溜法によるセレンの
精製方法も知られている。(特開昭51−111420号
公報) さらに、蒸着前に脱ガスによりSeO2を昇華さ
せる方法も知られている。 発明が解決しようとする問題点 ところが、この様にして得られるセレンを用い
た光導電素子の特性は、必ずしも完全に解明され
てはおらず、時として異常とも思える様な性質を
示すことがしばしばある。例えば電子写真用感光
体の場合には、通常のカールソンプロセスでは残
留電位の低いセレン感光体が、それとは多少異な
るプロセスの下では高い残留電位を示すことがあ
る。また、あるプロセスの下では大きな光疲労を
示すのに別のプロセスの下では光疲労が小さいこ
とがある。そしてこれらの性質はたとえ入手可能
な限り高い純度のセレンを用いてみても、そのセ
レンの供給メーカーが異なると全く違つてくるこ
とがある。また必ずしもより高純度なセレンが良
い特性を示すとも限らない。撮像管やその他の光
導電素子の場合にも疲労現像や残像特性にセレン
の供給メーカーごとの差やセレン精製の際の原因
不明のロツト差が現われることがある。 セレンのこのようなやつかいな特性は、これま
で多くの技術者を悩ませて来た問題であり、電子
写真感光体その他の光導電素子の安定した生産を
妨げる大きな原因となつて来た。 本発明者等は、これらの現象が、原料セレンの
中に依然として含まれているごく微量で検出の困
難な不純物や非晶質セレンの構造欠陥に深くかか
わるものであることを見出し、本発明を完成する
に至つた。 したがつて、本発明の目的は上記の様なセレン
又はセレン合金素子の製造安定性を向上させるこ
とにある。本発明の他の目的は上記の様なセレン
又はセレン合金素子の光疲労現象を改善すること
にある。さらに本発明の他の目的は、特にセレン
又はセレン合金系の電子写真感光体の残留電位を
下げることにある。さらに本発明の他の目的は既
知の種々の電子写真プロセスのどのようなものの
中で使用しても、安定した電子写真特性を示す様
なセレン感光体を得ることにある。 問題点を解決するための手段及び作用 本発明の上記目的は、材料として用いる純度
99.99%以上の高純度セレンのみを密閉容器に真
空封入し、300℃以上の温度で30分以上加熱処理
し、そのまま容器ごと、即ち、真空状態を維持し
たまま密閉容器を冷却することにより達成され
る。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明において、材料として用いる高純度セレ
ンは99.99%以上の純度のものが使用される。こ
の様なセレンは通常粒状又は粉体状のものが市販
品として入手可能である。この様な市販品は多く
の場合前述したごとき欠点を有するので、そのま
までは使用不可能である。そこで入手したセレン
だけを何も加えずに密閉容器内に真空封入する。
容器内の真空度は10-1Torr以下で、数回の不活
性ガス又は窒素ガス置換をすることが望ましい。
最も望ましい真空度は10-2Torr以下である。 次に、セレンを真空封入した密閉容器を加熱
し、セレンを溶融させる。この加熱処理は、300
℃以上の温度で30分以上行なう必要があるが、温
度400℃以上で1.5時間以上行なうのがより一層望
ましい。さらにこの加熱処理中の容器を低い振動
数で振動させたり、ゆり動かしたりすることによ
り、より一層好ましい結果が得られる。加熱の終
つた容器はそのままゆつくり冷却するか又は冷水
中に容器ごと投入することにより急冷する。本発
明においては、容器を開いて溶融セレンを直接水
中へ投入するのは避けることが必要である。 本発明による方法は、高純度セレン(純度
99.99%以上)のどの様なものにも適用可能であ
つて、そのセレンが真空蒸溜されたものであるか
否かにかかわらず実施をすることができる。 実施例 以下、実施例及び比較例によつて本発明を説明
する。 実施例 1 市販の純度99.99%のセレンをガラスアンプル
中に真空封入した。この時のアンプル内の真空度
は7×10-3Torrであつた。次にこのアンプルを
400℃で5時間加熱し、加熱の間中0.5Hzの振動数
でゆり動かした。加熱が終了した後、セレン封入
アンプルを自然冷却し、温度が室温まで完全に下
がつてからアンプルを割りセレンを取り出した。 得られたセレンを材料として、アルミニウムプ
レート上に非晶質セレン層を真空蒸着した。蒸発
用ルツボとしてはタンタル製のものを使用した。 また、アルミニウムプレート表面は、脱脂処理
し、大気中で加熱することによつて、あらかじめ
約20Åの厚さの酸化被膜を設けておいた。基板で
あるこのアルミニウムプレートは、タングステン
ランプにより背面から加熱し、温度を75℃に保つ
た。 タンタルるつぼに上記セレンを入れ、蒸着槽内
を約10-6Torrに保つて所定のるつぼ昇温プログ
ラムによりるつぼを加熱し、アルミニウムプレー
ト表面に厚さ約50μのセレン蒸着層を形成した。
蒸着終了後、アルミニウムプレートごとセレン層
を取り出し、帯電、露光をくり返す通常のカール
ソン方式の電子写真法で電気的特性の変化を測定
した。その結果、残留電位は次の様に極めて低い
良好な値を示した。
【表】
比較例
実施例で用いたものと同一ロツトの市販セレン
を材料として実施例1と全く同一の条件でアルミ
ニウムプレート上への真空蒸着を行ない、実施例
1と全く同一の条件で残留電位の測定を行なつた
ところ、次の様に高い値を示した。
を材料として実施例1と全く同一の条件でアルミ
ニウムプレート上への真空蒸着を行ない、実施例
1と全く同一の条件で残留電位の測定を行なつた
ところ、次の様に高い値を示した。
【表】
実施例 2
実施例1と比較例で用いたセレンを使つて全く
同様の方法でそれぞれ1枚づつのセレンプレート
を真空蒸着した。その2枚のセレンプレートの表
面に厚さ20μの透明な絶縁性高分子膜を形成し、
絶縁層つきの感光体を得た。次にこれを米国特許
3041167号に記載の負帯電、正帯電、像露光とい
うステツプを持つ電子写真法に適用し、このプロ
セスにおける残留電位を測定したところ下記の様
な結果が得られた。この結果から、本発明による
改質処理が極めて大きな効果を示すことがわかつ
た。
同様の方法でそれぞれ1枚づつのセレンプレート
を真空蒸着した。その2枚のセレンプレートの表
面に厚さ20μの透明な絶縁性高分子膜を形成し、
絶縁層つきの感光体を得た。次にこれを米国特許
3041167号に記載の負帯電、正帯電、像露光とい
うステツプを持つ電子写真法に適用し、このプロ
セスにおける残留電位を測定したところ下記の様
な結果が得られた。この結果から、本発明による
改質処理が極めて大きな効果を示すことがわかつ
た。
【表】
発明の効果
本発明によつて処理された高純度セレンは、製
造ロツトが異なつてもロツト差があらわれず、安
定した光導電特性を示す。例えば、電子写真感光
体として用いた場合には、残留電位が低く、光疲
労も小さい。またどのような電子写真プロセスの
感光体として用いても安定した電子写真特性を示
す。 また例えば、撮像管、その他の光導電素子とし
て用いた場合にも、疲労現像あるいは残像特性に
製造ロツトごとの差異はあらわれない。
造ロツトが異なつてもロツト差があらわれず、安
定した光導電特性を示す。例えば、電子写真感光
体として用いた場合には、残留電位が低く、光疲
労も小さい。またどのような電子写真プロセスの
感光体として用いても安定した電子写真特性を示
す。 また例えば、撮像管、その他の光導電素子とし
て用いた場合にも、疲労現像あるいは残像特性に
製造ロツトごとの差異はあらわれない。
Claims (1)
- 1 純度99.99%以上の高純度セレンを密閉容器
に真空封入し、300℃以上の温度で30分以上加熱
処理した後、真空状態を維持したまま密閉容器を
冷却することを特徴とするセレンの改質方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12326086A JPS62283804A (ja) | 1986-05-30 | 1986-05-30 | 高純度セレンの改質方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12326086A JPS62283804A (ja) | 1986-05-30 | 1986-05-30 | 高純度セレンの改質方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS62283804A JPS62283804A (ja) | 1987-12-09 |
JPH0510281B2 true JPH0510281B2 (ja) | 1993-02-09 |
Family
ID=14856160
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12326086A Granted JPS62283804A (ja) | 1986-05-30 | 1986-05-30 | 高純度セレンの改質方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS62283804A (ja) |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS59137308A (ja) * | 1983-01-25 | 1984-08-07 | Fuji Electric Co Ltd | セレン材料の精製方法 |
-
1986
- 1986-05-30 JP JP12326086A patent/JPS62283804A/ja active Granted
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS59137308A (ja) * | 1983-01-25 | 1984-08-07 | Fuji Electric Co Ltd | セレン材料の精製方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS62283804A (ja) | 1987-12-09 |
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