JPH05102745A - 高出力増幅回路 - Google Patents

高出力増幅回路

Info

Publication number
JPH05102745A
JPH05102745A JP28553991A JP28553991A JPH05102745A JP H05102745 A JPH05102745 A JP H05102745A JP 28553991 A JP28553991 A JP 28553991A JP 28553991 A JP28553991 A JP 28553991A JP H05102745 A JPH05102745 A JP H05102745A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
output
voltage
power supply
amplification stage
amplifier
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP28553991A
Other languages
English (en)
Inventor
Shigeru Hasegawa
茂 長谷川
Koichi Tomuro
晃一 戸室
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
MESUTETSUKU KK
Original Assignee
MESUTETSUKU KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by MESUTETSUKU KK filed Critical MESUTETSUKU KK
Priority to JP28553991A priority Critical patent/JPH05102745A/ja
Publication of JPH05102745A publication Critical patent/JPH05102745A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Amplifiers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 SEPPアンプのようなB級またはAB級高
出力増幅器において、増幅器を構成する半導体素子に掛
かる電圧を実質的に引き下げることにより、低耐圧、低
許容損失の素子を用いて高出力が得られるようにする。 【構成】 増幅器A4 ,A5 の電源を正電源A2 と負電
源A3 で構成し、その正の出力(A4 ,A5 に対する正
の電源電圧)+HVeを入力信号ei の正部分に(従っ
て出力信号e0 の正部分に)にほぼ比例して変化させ、
負の出力(A4 ,A5 に対する負の電源電圧)−HVe
をei の負部分(e0 の負部分)にほぼ比例して変化さ
せる。A5 のトランジスタQ4 ,Q5 等にかかる正味の
電圧は、従来の±HVeが一定の場合に比べてきわめて
小さくなるので、同一の出力e0 を得るのに耐圧、許容
損失の低い素子を用いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子ビーム加工超LS
I製造装置、走査式トンネル顕微鏡のピエゾアクチュエ
ータ駆動装置、イオンビーム加工装置等、各種の制御技
術に用いられる高出力増幅回路に係り、特に、比較的耐
圧、許容電流、許容損失の低い半導体素子を用いて高出
力の得られる高出力増幅回路に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、科学技術の高度化、装置の精細化
の要望が高まり、超LSI製造装置に代表される微細加
工技術や、走査トンネル顕微鏡に代表されるピエゾアク
チュエータ駆動技術、イオンビーム加工技術等、多くの
分野で制御用の高出力増幅器が利用されるようになって
来ている。それらの分野で要求される高出力増幅器の性
能は多岐にわたっており、出力電圧が数100Vから数
1000Vへ、出力電流が数mAから数Aへ、極性が単
極性から双極性へと拡大している。
【0003】従来、いわゆるオペレーショナルアンプリ
ファイアを始め、アナログ信号を扱う増幅回路は、トラ
ンジスタ、FETなどの製造上の困難さから、±10V
程度の出力が得られるものを基準として発達して来てい
る。一般機器や測定器などではそれでも必要充分な条件
を満たしていたのであるが、上記のように、電子ビーム
の偏向制御やピエゾ素子の駆動など、数100Vを越え
る出力のものの要求が増してくると、そのような一般機
器用などのものでは対応できなくなった。
【0004】従来技術で、このような仕様を満たす増幅
器の実現が困難なのは、個々の能動素子であるトランジ
スタやFETの使用電圧を必要な値まで高めることがで
きないことによる。残念ながら、これまで半導体メーカ
などから供給される素子は、耐圧、許容電流、許容損失
等いずれも上記従来の増幅回路用のものがほとんどで、
そのような素子を用いて所要の性能を得ることはむずか
しい。周知のように、トランジスタ及びFETにおい
て、耐圧を500V以上に高めることはきわめて困難で
あり、特に、p型素子(pnpトランジスタやp型FE
T)では500V以下に限られている。しかし、直流増
幅型高出力増幅器では、これらp型素子が回路構成上不
可欠である。
【0005】従来、このような要求にある程度応える代
表的な高出力増幅回路として、以下の図6ないし図9に
示す回路が考案されている。
【0006】図6は最も一般的な増幅器の構成図で、同
図において、A1は前置増幅器、CI61は定電流源、Q
61〜Q65はトランジスタ、R61〜R64は抵抗で、R61
62及びQ61により出力段(出力増幅段)のバイアス回
路を構成し、Q62,Q63,R63及びR64により出力電流
制限回路を構成し、Q64、及びQ65により出力段(出力
増幅段)を構成する。+HVは正の高圧電源電圧、−H
Vは負の高圧電源電圧、±ei は入力電圧、e0 は出力
電圧である。出力段Q64,Q65は、増幅回路を低歪で効
率よく動作させるために、バイアス回路によってB級の
動作点に設定されている。入力電圧を印加し、出力を例
えば正に振ってゆくと、Q64に掛かる電圧は、(HV−
0 )と減少するが、Q65は掛かる電圧は、(HV+e
0 )になり、eomax(e0 の最大値)がほぼHVに等し
いとすると、Q65には電源電圧のほぼ2倍の電圧が掛か
ることになる。すなわち、この回路構成で高出力増幅器
を作成する場合、すべての能動素子に2×HV以上の耐
圧が必要である。特に最終段は大電流出力を必要とする
ことが多く、温度上昇に伴う耐圧低下にも配慮する必要
がある。
【0007】出力トランジスタの耐圧がそれぞれ500
Vであったとすると、温度上昇に伴う耐圧低下を考慮し
安全度を見込むとすれば、供給可能な電源電圧は±20
0V程度とし、最大出力電圧は±190V程度とせざる
を得ない。このような理由で、従来のオペレーショナル
アンプの最大使用電圧は、せいぜい±200Vとされて
いる。
【0008】図7は従来の増幅器の第2例の構成図で、
71〜Q72はトランジスタ、Q73〜Q76はFET,R71
〜R76は抵抗、CI1 は定電流源、Gは接地であり、そ
の他の符号は図6と同様である。全体の回路は、Q71
72及びR71〜R73からなる段部Iと、Q73〜Q74,R
74〜R76及びCI1 から成る段部IIと、Q75〜Q76から
なる段部III とにより構成されている。図7の回路は、
基本的に図6の回路と同じであるが、図7では、前置増
幅器を構成する段部Iがレベルコンバータを兼ねてい
て、入力電圧を正の電源電圧(+HV)に近いレベルに
シフトさせるように構成されている。この段部Iは、利
得を得ることが目的ではなく、信号電圧の0レベル(中
心レベル)を正または負の電源電圧のいずれか一方に近
いレベルにシフトさせるものである。(図では、正の電
源側にシフトさせているが、負の側にシフトさせてもよ
い)。段部IIは、電圧増幅段として機能し、図6に比べ
て定電流源CI1 の位置が変わり、またトランジスタに
代えFETを用いており、図6と同様な動作をする。段
部III は出力段として機能する。この例では電流制限回
路は省略してある。
【0009】図8は、従来の増幅器の第3例の構成図
で、Q81〜Q85はトランジスタ、R81〜R83は抵抗、C
81,CI82は定電流源であり、その他の符号は図7と
同様である。図8では、全体の回路は3つの段部I,I
I,III からなり、段部Iのレベルコンバータはエミッ
タ入力のトランジスタ増幅器Q81により構成され、入力
信号レベルが負の電源側にシフトされた場合を示してい
る。
【0010】以上の3例は、いずれも出力段及びその前
段で、少なくとも電源電圧の2倍以上の耐圧が必要とさ
れる。これらの回路例によれば、出力電圧の大きさが2
00V程度までのものは実現可能であるが、それ以上の
出力電圧を得ることは困難である。
【0011】より高出力が得られる増幅回路として、図
9に示す回路(第4例)がある。本例は、1素子当りに
かかる電圧を分散させることにより、高出力を得るよう
にしたもので、1素子当りの耐圧が500Vのトランジ
スタをカスケード接続して総合耐圧を高め、±600V
以上の出力を得ている。図9で、詳細な説明は省略する
が、全体の回路は、基本的には図8と同様な構成をとる
ものであり、前置増幅器A1 の次のエミッタ入力のレベ
ルコンバータ機能を持つ段部Iと、その次の定電流回路
機能を持つ段部IIと、電圧増幅器機能を持つ段部III
と、B級出力段の機能を持つ段部IV,Vにより構成さ
れている。各段部は、いずれも3個の高耐圧トランジス
タの縦続接続により構成され、印加される電源電圧が各
トランジスタに等分に配分されるようになっている。使
用トランジスタの耐圧を400V(PNPパワートラン
ジスタではこの程度が限界になっている)としたとき、
縦続接続されたトランジスタ3個で1200Vであるか
ら、原理的には電源電圧としてその1/2の600Vま
でかけることができ、最大出力が±590V位の高出力
増幅器を作ることができる。しかし、実際には温度上昇
に伴う実効耐圧の低下や、素子のばらつきによる電源電
圧の均等配分の誤差、高周波特性の偏差などから、安全
性を見込んで電源電圧は30%程度下げておく必要があ
る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上記図1〜図3に示す
従来技術では、耐圧が500V程度のトランジスタをシ
ングルエンデットプッシュプル接続した出力増幅器を用
いて、せいぜい±190V程度の出力電圧しか得られ
ず、また、図4のように耐圧が400V程度のトランジ
スタを複数個(例えば3個)縦続接続して各トランジス
タにかかる電圧を分散した場合でも、せいぜい±590
V程度の出力電圧しか得られない。
【0013】このように、従来技術で高出力増幅器を構
成する場合、SEPP(シングルエンデッドプッシュプ
ル接続)出力増幅器の正側または負側のアーム当り(例
えば図9の各アームすなわち各段部II,III ,IVまたは
V当り)、使用電源電圧の少なくとも2倍以上、安全性
を見込めば3倍程度の耐圧を必要とする。このことは、
単にトランジスタ素子数が増加するという問題だけでな
く、非常に高い電圧で動作する回路部品数が多くなるた
め、その部分に多大のスペースと配線工数をかけること
になり、特に出力電圧が大きいときには絶縁対策及び安
全対策に多くの経済的負担を生じ、コストを引き上げる
最大の要因ともなっている。
【0014】本発明者等は、色々と検討を重ねた結果、
上記図1〜図4に示す従来技術において十分高い出力が
得られないのは、いずれも各増幅段に対する電源として
固定の高圧源(±HV)を用いていたためであることに
着目し、この電源として入力信号とともに変化する(可
変の)電圧を用いるようにすることによって、アーム当
りの耐圧が従来技術と同程度でも出力電圧を飛躍的に高
めることができ、もしくは従来技術と同程度の出力電圧
を得るためのアーム当りの耐圧を十分に引き下げること
ができることを見出したものである。
【0015】従って、本発明の目的は、上記従来技術の
問題点を解決し、比較的耐圧、許容電流及び許容損失の
低い半導体素子を用いて、個々の素子にかかる電圧負荷
を最小とし、また損失を最小とする高出力増幅回路を提
供することにある。
【0016】本発明の他の目的は、終段増幅段を含む各
増幅段の各アームの耐圧が比較的低くても十分に高い双
極性出力の得られる高出力増幅回路を提供することにあ
る。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、B級またはAB級出力増幅段と、この出
力増幅段の電源回路とを有する高出力増幅回路におい
て、この電源回路が、前記出力増幅段の出力信号のレベ
ル変化にほぼ比例する出力電圧を発生して前記出力増幅
段に供給される電源電圧を抑制するように構成する。
【0018】この電源回路は、前記出力増幅段の出力信
号の正の部分にほぼ比例する正の出力電圧を発生する第
1の電源と、前記出力増幅段の出力信号の負の部分にほ
ぼ比例する負の出力電圧を発生する第2の電源とにより
構成し、前記出力増幅段は前記第1及び第2の電源の出
力電圧により駆動するように構成する。
【0019】また、前記出力増幅段をシングルエンデッ
ドプッシュプル出力増幅器で構成し、更に、入力信号電
圧のオフセットレベルを前記第1または第2の電源によ
る正または負の出力電圧に近いレベルにシフトさせるレ
ベルコンバータ回路と、このレベルコンバータ回路と前
記出力増幅段との間に接続される電圧増幅段とを設ける
ことができる(図1)。
【0020】あるいは、前記出力増幅段をシングルエン
デッドプッシュプル出力増幅器で構成し、更に、前記出
力増幅段の入力側に接続される電圧増幅段を設け、この
電圧増幅段を、主として入力信号電圧の正の部分を増幅
する第1の電圧増幅器と、主として入力信号電圧の負の
部分を増幅する第2の電圧増幅器とにより構成すること
もできる(図2)。
【0021】第1及び第2の電源自体は直流増幅器で構
成することができ、その出力電圧は増幅回路の入力信号
により制御される。第1及び第2の電源の出力電圧は、
出力増幅段だけでなくその前段の電圧増幅段の電源とし
ても利用できる。
【0022】
【作用】上記構成に基づく作用を説明する。
【0023】本発明によれば、入力信号によってB級ま
たはAB級出力増幅段の出力信号のレベルが上昇して行
くときには、この出力増幅段に供給される電源電圧(電
源の出力電圧)も上昇し、出力増幅段の出力信号のレベ
ルが下降して行くときには、電源電圧も下降して行くよ
うに制御される。これにより、出力増幅段に実質的に印
加される電圧(電源から供給される電圧と出力信号のレ
ベルとの差に関係する)は、従来技術のように電源電圧
を常に最高の一定値に維持する場合に比べてきわめて低
くなるので、出力増幅段を構成する半導体素子などの素
子の耐圧は小さいものですませることができる。
【0024】具体的には、出力増幅段は、SEPP(シ
ングルエンデッドプッシュプル増幅器)で構成され、入
力信号の正の部分と負の部分によって正の出力信号を発
生する部分と負の出力信号を発生する部分とを含んでい
る。また電源回路は、この出力増幅段の出力信号の正の
部分にほぼ比例する出力電圧を発生する第1の電源と、
この出力増幅段の出力信号の負の部分にほぼ比例する出
力電圧を発生する第2の電源とで構成され、それぞれの
出力電圧(正の電源電圧及負の電源電圧)がSEPP出
力増幅段の正側増幅段部と負側増幅段部に対称的に供給
されるようになっている。
【0025】このような対称回路の場合、出力増幅段の
最大出力電圧(出力信号のレベル変化範囲)をeomax
1アーム当りの供給電源電圧と出力信号レベルとの差
(最大値)をεとすると、増幅回路全体にかかる実質的
な電源電圧は、eomax+2εであり、従来技術に比べて
きわめて低くなる。
【0026】なお、電源電圧は、必ずしも出力増幅段の
出力信号レベルに厳密に比例させる必要はなく、要は出
力信号レベルの変化する方向に合わせて変化させること
により、電源電圧と出力信号レベルの差を低く抑えるよ
うにすればよい。
【0027】
【実施例】以下に、本発明の実施例を図面により説明す
る。
【0028】図1は、本発明の第1実施例の高出力直流
増幅回路の構成図である。本例は、図9の回路例に本発
明を適用したもので、Q1 ,Q2 ,Q3 ,Q4 ,Q5
6はトランジスタ、R1 ,R2 ,R3 ,R4 ,R5
抵抗、IC1 は定電流源である。トランジスタQ1 ,Q
2 ,Q4 ,Q5 は、必要に応じて多段構成とすることが
できるが、説明の煩雑化を避けるためそれぞれ1つのト
ランジスタで置換して表現してある。勿論トランジスタ
で図示された増幅素子はFET等その他の能動素子で置
換することが可能である。
【0029】A1 は、低い電源電圧(+LV,−LV)
で動作する前置増幅器、例えば±15Vの電源で動作す
る通常の演算増幅器で、利得を大きくとり、負帰還によ
る特性を保証するためのものである。LCは、図9のI
に示したのと同様なエミッタ入力型レベルコンバータ
で、トランジスタQ1 、抵抗等で構成される。A2 は増
幅回路の入力信号ei によって出力電圧が制御される正
の高圧電源で、出力が正の電圧の場合入力信号に比例す
る(従って後述の出力e0 にも比例する)正の電源電圧
(+HVe)を回路に供給し、出力が負になるような極
性の入力信号(入力電圧)に対しては回路が動作するの
に必要な最低レベルに近い出力電圧を発生する。なお、
+HVは、電源A2 を動作させる高圧源で、出力(+H
Ve)を得るのに必要な値(+HVeの最大値より僅か
に大きい)を持っている。A3はA 2 と対照的な負の高
圧電源で、同様に入力信号eiによって出力電圧が制御
され、出力が負の電圧の場合入力信号に比例する(後述
の出力e0 にも比例する)負の電源電圧(−HVe)を
回路に供給し、出力が正になるような極性の入力信号
(入力電圧)に対しては回路が動作するのに必要な最低
レベル(絶対値)に近い出力電圧を発生する。−HV
は、電源A3 を動作させる高圧源で、絶対値が正側(+
HV)と同一の値である。
【0030】A4 は電圧増幅器で、トランジスタQ1
3 、抵抗R1 ,R2 ,R3 、定電流源CI1 で構成さ
れている。A5 は出力増幅器(出力増幅段)で、トラン
ジスタQ4 ,Q5 ,Q6 ,Q7 、及び抵抗R4 ,R5
より、シングルエンデッドプッシュプル増幅器を構成し
ている。ei は増幅回路の入力信号(入力電圧)、e0
は増幅回路(出力増幅器A5 )の出力信号(出力電
圧)、EB はバイアス電圧である。
【0031】図3ないし図5は、本実施例の動作を説明
するための図で、図3は入力信号に対する電源A2 及び
増幅回路の出力特性、図4は入力信号に対する電源A3
及び増幅回路の出力特性、図5は増幅回路の総合入出力
特性を示す。
【0032】図3で、実線A2 は電源A2 の出力特性を
示し、入力信号ei が正の場合、電源A2 の出力電圧は
入力信号に比例して上昇する様を示している。一方出力
増幅段A5 の出力は入力信号に比例して同図一点鎖線の
ごとく上昇する。この2本の直線がほぼ平行になるよう
に(すなわち、ほぼ比例するように)電源2の利得と増
幅器A1 →A4 →A5 の利得をほぼ等しく設定し、電源
2 の出力(+HVe)と出力増幅段A5 の出力(e
0 )との差電圧εが増幅器A4 及びA5 の動作を保証す
る最低必要限度の電圧になるようにすることが可能であ
る。更に入力電圧が負になった場合、増幅器A4 の出力
がこの最低電圧εを維持するようにする(図3)。
【0033】電源A3 は、電源A2 と逆に入力電圧ei
が出力電圧e0 を負にする極性のとき、負の電源電圧
(−HVe)を入力電圧ei に比例して発生する電源で
ある。図4にその特性を示す。
【0034】本実施例では、電圧増幅器A4 及び出力増
幅器A5 はいずれも、電源A2 及びA3 の出力(±HV
e)により動作するようになっている。なお、定電流源
CI1 は電圧増幅器A4 の負荷を与え、トランジスタQ
3 及び抵抗R1 ,R2 は出力増幅段に対するバイアスE
B を与える。出力増幅段A5 は、電圧増幅段A4 内のバ
イアス回路によって、B級あるいはAB級にバイアスさ
れている。
【0035】入力信号ei は、前置増幅器A1 により増
幅され、レベルコンバータLCにより負の実効電源電圧
の近傍までバイアスされる。電圧増幅段A4 の利得は、
定電流源CI1 の高い等価抵抗値により充分大きいの
で、前置増幅器A1 の出力により出力増幅段A5 を±H
Ve近傍まで振り切ることができる。バイアス回路
1,R2 ,Q3 は信号の大きさに無関係に一定のバイ
アス電圧EB を維持し、出力段A5 の動作点をB級ある
いはAB級の一点に固定する。バイアス点は、抵抗R1
とR2 の値により任意に設定できる。
【0036】いま、動作点をB級動作に設定したとす
る。この条件下では、出力段A5 の上半分のアームQ4
は信号の正の部分のみを出力し、図3の一点鎖線に示す
入出力特性を示す。下半分のアームQ5 は同様に図4の
一点鎖線A5 の特性となる。また、この構成により、出
力e0 が正の場合、電圧増幅段A4 及び出力段A5の+
側電源A2 の出力はe0 +ε,−側電源A3の出力は−
εとなる。従って、全体の回路に印加される電源電圧
は、(e0max +2εでよいことになる。ここで、
(e0max は出力電圧e0 の最大値を表わす。出力が
負の場合は、逆に−側電源電圧(A3 の出力)がe0
εとなり+側電源電圧(A2 の出力)はεとなる。この
場合も回路全体にかかる電源電圧は、(e0max +2
εとなる。εは必ずしも一定値である必要はない。
【0037】このように、従来技術では、例えば図9か
ら理解されるように、2HV=2(e0 +ε)以上必要
としていたのに対し、本実施例によれば、(e0max
+2εとなるので、より低い電源電圧で高出力が得られ
るものである。ここでεが変動したとしても、増幅器が
線形動作領域内にあるならば差し支えないことはいうま
でもない。
【0038】以上では、入力信号が正のとき出力信号も
正である場合に付いて説明したが、入力信号と出力信号
の位相が反転する場合、すなわち入力信号が正のとき出
力信号が負となる反転増幅器の場合も全く同様で、電源
2 とA3 が反転すればよいことになる。いずれの場合
でも、出力増幅段の出力信号e0 と、電源A2 ,A3
出力電圧(±HVe)との関係でみれば、ほぼ比例関係
となるようにされている。
【0039】以上の動作を要約すると、入力信号によっ
て制御される電源回路A2 ,A3 を導入し、その出力
(可変電源)を常に増幅器の出力電圧e0 より絶対値に
おいてεだけ大きく設定し、εがそれぞれ線形動作部分
の所要動作電圧を保証するのに充分な大きさであれば、
この回路は従来の技術による高出力増幅器と全く同様に
働くものである。εの大きさは、トランジスタでもFE
Tでも数V(N段カスケード接続でもN×数V)で充分
である。
【0040】従来技術による増幅器、例えば図8の場
合、出力段の熱損失Wは、e0 =HV/2のとき最大
で、負荷抵抗をRL とすると、W=(HV)2 /4RL
となる。これに対し、本発明の実施例によれば、最大出
力電圧のとき最大損失が発生し、(e0 )maxのとき
(HVe)maxとなり、この(HVe)maxはHV
より数V低いだけであるから、これをHVと近似すると
すれば、 W=εIomax=ε(HV−ε)/RL となる。ここで、Iomaxは最大負荷電流である。例
えば、HV=500V,ε=10Vとしたとき、本発明
の実施例の場合の熱損失は従来型の約8%まで低減され
る。また、従来型では、出力段A5 の半分のアームにか
かる最大電圧が2×HV、すなわち上例で1000Vで
あるのに対し、本実施例ではe0 +εすなわち上例で5
10Vと半減し、効果が著しいことがわかる。
【0041】図5は、本実施例による高出力増幅回路の
入出力特性を示し、図3と図4の一点鎖線の部分を、原
点を重ね合わせて合成することにより得られたものであ
る。入出力特性は、±eomax=±Kei で示され、Kは
増幅回路全体の利得である。また、この回路で、A2
3 の外部制御電源にかかる最大電圧はHVで、実用上
HVはHVe+3〜5Vである。
【0042】また、この回路が有効に動作するために
は、電源A2 ,A3 の応答特性が電圧増幅段A4及び出
力増幅段A5 の応答特性と同等であるかあるいはこれを
上回る高速性を備えていることが望ましい。電源A2
3 の応答速度が増幅段のそれよりも遅い場合は、全体
としての応答特性は電源A2 ,A3 の速度で決まること
になるが、この場合であっても本実施例の回路による低
消費電力、耐圧特性の低減の効果が損なわれることはな
い。実際上、電源A2 ,A3 は一種の直流増幅器として
機能するもので、半導体素子などを含んでおり、その耐
圧を考慮しなければならないが、この電源に外部から加
わる電圧はHVだけであり、従来装置の出力増幅段にお
けるような高い電圧が印加されるものではないことや、
電源での応答特性は増幅段に比べて若干ゆるやかでもよ
いことなどから、電源回路用の半導体素子としては、増
幅回路用の半導体素子に比べて耐圧などの性能面で多少
低いものでも差し支えないものである。
【0043】次に、図2により、本発明の第2実施例を
説明する。図2は、前置増幅器A1に続く電圧増幅器と
して、正方向のみに出力を生じる第1の電圧増幅器A4a
と、負方向のみに出力を生じる第2の増幅器A4bを設け
たものである。本実施例で、例えばB級の条件で動作さ
せた場合、入力信号が正のときには、増幅段A4a及びA
6 の上半分(B級動作で正の信号の増幅に寄与する部
分)にかかる電源電圧は(+HVe−e0 )=εであ
り、増幅段A4b及びA6 の下半分にかかる電源電圧は−
εである。しかも、出力電圧e0 は、図3及び図4の一
点鎖線のグラフを継ぎ合わせた図5のようになるので、
図1の第1実施例で説明した動作は本実施例にもそのま
まあてはまる。
【0044】図1の第1実施例も図2の第2実施例も、
出力段A5 はB級あるいはAB級動作を前提としている
ので、上下のアームの動作が切り替わる点での非線形性
は負帰還によって軽減してやる必要がある。このこと
は、本発明の本質にはかかわらない問題であるが、図1
及び図2では、例えば出力段A5 の出力側と前置増幅器
の間にNFで示す負帰還をかけるようにしている。
【0045】
【発明の効果】以上詳しく説明したように、本発明によ
れば、B級またはAB級出力増幅段と、この出力増幅段
の電源回路を有する高出力増幅回路において、電源回路
が出力増幅段の出力信号のレベル変化にほぼ比例する出
力電圧を発生するようにして出力増幅段に供給される電
源電圧を抑制するように構成したので、出力増幅段に実
質的に印加される電圧は、従来技術のように常に最高の
一定値の電源電圧を用いるものに比べて著しく低くなる
結果、出力増幅段を構成する半導体素子等の部品の耐
圧、許容損失を小さいものとすることができる。また同
じ程度の耐圧、許容損失の部品を用いて、従来技術より
も高い出力電圧を得ることができる。それによって、高
出力増幅器のコストを低く抑えることができる。
【0046】また、上記電源回路を、出力増幅段の出力
信号の正の部分にほぼ比例する正の出力電圧を発生する
第1の電源と、出力増幅段の出力信号の負の部分にほぼ
比例する負の出力電圧を発生する第2の電源とにより構
成し、各々の電源によりSEPPのようなB級またはA
B級出力増幅段の正の出力信号発生側(正のアーム)と
負の出力信号発生側(負のアーム)を駆動するようにし
たので、出力増幅段を構成する部品の耐圧、許容損失を
小さいものとすることができると共に、電源自体を構成
する半導体素子等の部品の耐圧、許容損失も小さいもの
で済ませることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の高出力増幅回路の構成図で
ある。
【図2】本発明の他の実施例の高出力増幅回路の構成図
である。
【図3】本発明の実施例の動作の一部の説明図である。
【図4】本発明の実施例の動作の他部の説明図である。
【図5】本発明の実施例の動作の更に他部の説明図であ
る。
【図6】従来の高出力増幅回路の第1例の構成図であ
る。
【図7】従来の高出力増幅回路の第2例の構成図であ
る。
【図8】従来の高出力増幅回路の第3例の構成図であ
る。
【図9】従来の高出力増幅回路の第4例の構成図であ
る。
【符号の説明】
1 前置増幅器 A2,A3 電源 A4,A4a,A4b 電圧増幅段(電圧増幅器) A5 出力増幅段(出力増幅器) CI1 定電流源 LC レベルコンバータ Q1〜Q7 トランジスタ R1〜R5 抵抗 ei 入力信号(入力電圧) e0 出力信号(出力電圧) +HVe 正電源出力電圧 −HVe 負電源出力電圧

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 B級またはAB級出力増幅段と、前記出
    力増幅段の電源回路とを有する高出力増幅回路におい
    て、前記電源回路は、前記出力増幅段の出力信号のレベ
    ル変化にほぼ比例する出力電圧を発生するようにして前
    記出力増幅段に供給される電源電圧を抑制するように構
    成したことを特徴とする高出力増幅回路。
  2. 【請求項2】 前記電源回路は、前記出力増幅段の出力
    信号の正の部分にほぼ比例する正の出力電圧を発生する
    第1の電源と、前記出力増幅段の出力信号の負の部分に
    ほぼ比例する負の出力電圧を発生する第2の電源とによ
    り構成し、前記出力増幅段は前記第1及び第2の電源の
    出力電圧により駆動するように構成したことを特徴とす
    る請求項1記載の高出力増幅回路。
  3. 【請求項3】 前記出力増幅段は、シングルエンデッド
    プッシュプル出力増幅器から成り、更に、入力信号電圧
    のオフセットレベルを前記第1または第2の電源による
    正または負の出力電圧に近いレベルにシフトさせるレベ
    ルコンバータ回路と、このレベルコンバータ回路と前記
    出力増幅段との間に接続される電圧増幅段とを備えたこ
    とを特徴とする請求項2記載の高出力増幅回路。
  4. 【請求項4】 前記出力増幅段は、シングルエンデッド
    プッシュプル出力増幅器から成り、更に、前記出力増幅
    段の入力側に接続される電圧増幅段を備え、前記電圧増
    幅段は、主として入力信号電圧の正の部分を増幅する第
    1の電圧増幅器と、主として入力信号電圧の負の部分を
    増幅する第2の電圧増幅器とにより構成したことを特徴
    とする請求項2記載の高出力増幅回路。
JP28553991A 1991-10-07 1991-10-07 高出力増幅回路 Pending JPH05102745A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28553991A JPH05102745A (ja) 1991-10-07 1991-10-07 高出力増幅回路

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28553991A JPH05102745A (ja) 1991-10-07 1991-10-07 高出力増幅回路

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05102745A true JPH05102745A (ja) 1993-04-23

Family

ID=17692848

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28553991A Pending JPH05102745A (ja) 1991-10-07 1991-10-07 高出力増幅回路

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05102745A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010109884A (ja) * 2008-10-31 2010-05-13 Shindengen Electric Mfg Co Ltd 電圧振幅回路
JP2010161595A (ja) * 2009-01-07 2010-07-22 Denso Corp 入力バイアス電圧供給回路
CN105743444A (zh) * 2016-02-01 2016-07-06 广州市微龙电子科技有限公司 功放电路

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010109884A (ja) * 2008-10-31 2010-05-13 Shindengen Electric Mfg Co Ltd 電圧振幅回路
JP2010161595A (ja) * 2009-01-07 2010-07-22 Denso Corp 入力バイアス電圧供給回路
CN105743444A (zh) * 2016-02-01 2016-07-06 广州市微龙电子科技有限公司 功放电路
CN105743444B (zh) * 2016-02-01 2018-06-05 广州市微龙电子科技有限公司 功放电路

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100353295B1 (ko) 동적 보상 증폭기 및 그 방법
US7292098B2 (en) Operational amplifier
JPH0629761A (ja) 同相モード安定性が強化された差動増幅器
JP4784818B2 (ja) 四端子二重絶縁ゲート電界トランジスタを用いたcmos増幅器、それを用いた多入力cmos増幅器、高利得多入力cmos増幅器、高利得高安定多入力cmos増幅器および多入力cmos差動増幅器
US6489848B2 (en) Linear and multi-sin h transconductance circuits
US7521998B2 (en) Operational amplifier and scanning electron microscope using the same
EP0797867B1 (en) Low voltage linear output buffer operational amplifier
US7602248B2 (en) Power amplifier and its idling current setting circuit
JPWO2007105282A1 (ja) ゲイン可変増幅器
US6710654B2 (en) Bipolar class AB folded cascode operational amplifier for high-speed applications
JP7278306B2 (ja) Ab級アンプおよびオペアンプ
JPH05102745A (ja) 高出力増幅回路
JP2013524665A (ja) レール・ツー・レール入力電圧範囲を有する差動増幅器
US6542032B2 (en) Extremely linear, high speed, class AB rail to rail bipolar amplifier output stage with high output drive
JPH11340753A (ja) 演算増幅器
CN108964619B (zh) 可提升负载电流与输入电压差间线性度的运算放大器电路
US11095258B2 (en) Class AB amplifier and operational amplifier
US6188284B1 (en) Distributed gain line driver amplifier including improved linearity
US10965252B2 (en) Broadband driver with extended linear output voltage
JP6470736B2 (ja) Ab級増幅器の出力段
JP6866637B2 (ja) 増幅器
JPH10190373A (ja) 増幅回路
US6542034B2 (en) Operational amplifier with high gain and symmetrical output-current capability
JP7480473B2 (ja) 増幅回路
WO2011069231A1 (en) No load amplifier