JPH05101989A - 固体電解コンデンサ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 小型化とともに外装構造の簡略化を実現し、
静電容量の増大が可能な固体電解コンデンサを提供す
る。 【構成】 固体電解質層（１２）が形成された陽極体
（２）と、この陽極体の前記固体電解質層の上に導体層
（１４）を介在させて接続された陰極端子（１６）とを
備えた固体電解コンデンサであって、前記固体電解質層
の形成面を表裏面に持つ前記陽極体に、一部に窓部
（８）を設けて前記形成面を包囲する立壁部（６）を形
成し、前記窓部から前記陽極体の表裏面側に跨がらせて
前記陰極端子を設置するとともに、前記固体電解質層に
前記導体層を介在させて接続し、前記立壁部で包囲され
た空間内に封止樹脂（１８）を充填させたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、電解質層に有機導電ポ
リマー等の固体電解質を用いた固体電解コンデンサに関
する。

【０００２】

【従来の技術】固体電解コンデンサは、チップ上の陽極
体を用いて微細化されており、混成集積回路上の実装等
に向けて開発されたものである。この種の固体電解コン
デンサは、例えば、アルミニウム板を陽極体に用いてそ
の表面にエッチングにより拡面化処理を行い、さらに、
その表面に電解処理によって誘電体層を形成し、この誘
電体層の上面に有機半導体層を成長させて固体電解質層
を形成したものであり、この固体電解質層の上には実質
的な陰極を成す導体層を重ね、その上に陰極端子が接続
される。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、この固体電
解コンデンサでは、固体電解質層の劣化防止のため、気
密封止をする必要がある。この気密封止を高度に設定す
ると、外装構造が複雑になり製造コストに影響を与える
他、小型化を妨げる等の原因となる。また、ハンダリフ
ローに対する耐熱性や、空気中の水分による劣化を防止
するための耐湿性等を高めて生産コストを低減させる必
要がある。

【０００４】また、この固体電解コンデンサでは、微細
な陽極体上に固体電解質層を形成しているため、静電容
量が固体電解質層の形成面の大きさに依存しており、容
量の増大が一つの課題でもある。

【０００５】そこで、本発明は、小型化とともに外装構
造の簡略化を実現した固体電解コンデンサを提供するこ
とを目的とする。

【０００６】また、本発明は、外装構造の簡略化及び気
密性の強化とともに静電容量を増大させ、外部端子の引
出しを容易にした固体電解コンデンサを提供することを
目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の固体電解コンデ
ンサは、固体電解質層（１２）が形成された陽極体
（２）と、この陽極体の前記固体電解質層の上に導体層
（１４）を介在させて接続された陰極端子（１６）とを
備えた固体電解コンデンサであって、前記固体電解質層
の形成面を表裏面に持つ前記陽極体に、一部に窓部
（８）を設けて前記形成面を包囲する立壁部（６）を形
成し、前記窓部から前記陽極体の表裏面側に跨がらせて
前記陰極端子を設置するとともに、前記固体電解質層に
前記導体層を介在させて接続し、前記立壁部で包囲され
た空間内に封止樹脂（１８）を充填させたことを特徴と
する。

【０００８】また、本発明の固体電解コンデンサは、固
体電解質層（１２）が形成された陽極体（２）と、この
陽極体の前記固体電解質層の上に導体層（１４）を介在
させて接続された陰極端子（１６）とを備えた固体電解
コンデンサであって、前記固体電解質層の形成面を表裏
面に持つ前記陽極体に、一部に窓部（８）を設けて前記
形成面を包囲する立壁部（６）を形成し、前記窓部から
前記陽極体の表裏面側に跨がらせて前記陰極端子を設置
し、前記立壁部で包囲された空間内に封止樹脂（１８）
を充填させてコンデンサセル（２０）とし、このコンデ
ンサセルを複数段に積層するとともに前記陽極体間に陽
極側外部端子（２６）を接続し、前記陰極端子間に陰極
側外部端子（２８）を接続したことを特徴とする。

【０００９】

【作用】本発明の固体電解コンデンサは、一部に窓部を
形成した立壁部が陽極体に形成され、固体電解質層の形
成面は立壁部によって包囲されている。そして、固体電
解質層は陽極体の表裏面側に形成されており、陰極端子
は立壁部に形成されている窓部から陽極体の表裏面側の
固体電解質層に跨がって臨ませられ、その表面に導体層
を介在させて電気的に接続される。立壁部で包囲された
空間内には、陰極端子の上から封止樹脂が充填されてい
る。即ち、この封止樹脂と陽極体とを以て固体電解質層
及びその接続部を封止する外装構造が形成されている。
したがって、この固体電解コンデンサでは、外装構造の
簡略化、固体電解コンデンサの小型化に寄与するととも
に、製造コストの低減を図ることができる。

【００１０】また、本発明の固体電解コンデンサは、固
体電解質層の形成面を表裏面に持つ陽極体に立壁部を形
成し、この立壁部の一部に形成された窓部から陰極端子
を陽極体の表裏面側の固体電解質層上に臨ませ、導体層
を介して接続した上、陽極体の立壁部で包囲された空間
内に封止樹脂を充填させてコンデンサセルとし、このコ
ンデンサセルを複数段積層し、各コンデンサセルの陰極
端子間に跨がる陰極側外部端子を接続し、陽極体間に跨
がる陽極側外部端子を接続したものである。したがっ
て、この固体電解コンデンサでは、積層に応じて各コン
デンサセル間の気密性が助長されて気密性が強化される
上、外部端子の引出しが簡略化され、しかも、セルの積
層段数に比例した静電容量が得られて大容量化を図るこ
とができる。

【００１１】

【実施例】図１及び図２は、本発明の固体電解コンデン
サの第１実施例を示している。この第１実施例の固体電
解コンデンサには、アルミニウム等の皮膜形成金属で形
成された、例えば直方体状を成す陽極体２が用いられて
いる。この陽極体２は、例えば、長方形を成す平板部４
を備えており、その三辺部に一定の高さを持った立壁部
６が形成されているとともに、その一辺部に窓部８を形
成したものである。換言すれば、陽極体２は、平板部４
を立壁部６を以て包囲するとともに、その一部に窓部８
を形成したものであり、窓部８に平行な断面Ｈ字形を成
す溝形状を成し、かつ、窓部８に直交した断面Ｔ字形を
成している。

【００１２】また、陽極体２の平板部４には、その表裏
面側に化成処理によって誘電体酸化皮膜１０が形成さ
れ、各誘電体酸化皮膜１０の上面には気相重合、化学重
合又は電解重合によってポリピロール等のポリマー膜か
らなる固体電解質層１２が形成されている。各固体電解
質層１２の上面には、実質的な陰極層を成す導体層１４
が導電性接着剤を以て形成されている。

【００１３】この固体電解質層１２の形成面上には、陽
極体２の平板部４を挟む断面Ｃ字形を成す陰極端子１６
が設置されている。即ち、陰極端子１６は、各固体電解
質層１２間に跨がって設置されて各固体電解質層１２間
に導体層１４を以て電気的に接続されている。

【００１４】そして、陽極体２の立壁部６によって包囲
された空間部には、アクリル、エポキシ樹脂等からなる
封止樹脂１８が充填され、陽極体２上の固体電解質層１
８が封止樹脂１２によって封止されている。

【００１５】このように構成された固体電解コンデンサ
では、封止樹脂１８から露出している陽極体２の立壁部
６と、陰極端子１６との間に静電容量が得られる。即
ち、陽極体２の立壁部６及び封止樹脂１８を以て固体電
解質層１２を封止すべき外装体が得られており、小型で
十分な封止強度が得られる固体電解コンデンサが実現さ
れている。

【００１６】なお、本実施例では、陽極端子を陽極体２
に代用させているが、半田付け可能な金属板を以て陽極
体２の立壁部６の表面に陽極端子を形成してもよい。

【００１７】図３及び図４は、本発明の固体電解コンデ
ンサの第２実施例を示している。この実施例の固体電解
コンデンサは、第１実施例の固体電解コンデンサを１つ
のコンデンサセル２０とし、このコンデンサセル２０を
２段積層したものである。即ち、各コンデンサセル２０
は、固体電解質層１２の形成面を表裏面に持つ陽極体２
に、一部に窓部８を設けて固体電解質層１２の形成面を
包囲する立壁部６を形成し、窓部８から陽極体２の表裏
面側に跨がらせて陰極端子１６を設置し、立壁部６で包
囲された空間内に封止樹脂１８を充填させたものであ
り、静電容量形成の単位を成している。

【００１８】各コンデンサセル２０は、窓部８側を同一
方向にして積層し、最上部側のコンデンサセル２０の上
面には陽極体２の上面部を覆う蓋板として絶縁板２２が
設置されているとともに、最下部のコンデンサセル２０
の下面側には絶縁のために絶縁板２４が設置されてい
る。そして、陽極体２の立壁部６側には陽極体２間に跨
がるＬ字形を成す陽極側外部端子２６、陰極端子１６側
には各陰極端子１６間に跨がるＬ字形を成す陰極側外部
端子２８がそれぞれ溶接や導電性接着剤等によって電気
的に接続され、陽極側外部端子２６及び陰極側外部端子
２８の一部は絶縁板２４の表面に接着されて、フェイス
ボンディング用端子部を構成している。また、絶縁板２
２、２４及び陰極側外部端子２８で包囲された各コンデ
ンサセル２０と陰極端子１６側の空間には外部ポッティ
ング樹脂３０が充填され、この外部ポッティング樹脂３
０によって封止が強化されている。

【００１９】このようにコンデンサセル２０を２段、又
はそれ以上の段数を以て積層すれば、コンデンサセル２
０が持つ静電容量とコンデンサセル２０の積層段数に応
じた静電容量が得られ、固体電解コンデンサの大容量化
が実現される。また、このようにすれば、陽極側外部端
子２６及び陰極側外部端子２８は、平板状を成す単純な
構造であり、しかも、陽極側外部端子２６は陽極体２
に、また、陰極側外部端子２８は陰極端子１６に単純に
接続するだけでよいため、外部端子構造及び引出しを簡
略化することができる。また、各コンデンサセル２０の
積層化は、各陽極体２の積層を行うため、コンデンサセ
ル２０間の気密性の強化を助長させ、固体電解コンデン
サの気密性を向上させてコンデンサ特性の劣化を防止で
きる効果がある。

【００２０】なお、第２実施例では、コンデンサセル２
０の段数を２段としたが、３段以上の積層段数としても
よく、また、各コンデンサセル２０を横方向に並設する
ようにしてもよい。

【００２１】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
次の効果が得られる。 ａ．陽極体の表裏面側に固体電解質層を形成し、陽極体
の立壁部の窓部から固体電解質層間に跨がる陰極端子を
設置し、陽極体の立壁部によって形成された空間部に封
止樹脂を充填したので、固体電解コンデンサの小型化と
ともに外装構造の簡略化を実現することができる。 ｂ．陽極体の表裏面側に固体電解質層を形成し、陽極体
の立壁部の窓部から固体電解質層間に跨がる陰極端子を
設置し、陽極体の立壁部によって形成された空間部に封
止樹脂を充填して１つのコンデンサセルとし、このコン
デンサセルを複数段積層して固体電解コンデンサを構成
するので、その積層によって外装構造の簡略化及び気密
性の強化を図ることができるとともに、積層段数に応じ
た静電容量を得ることができ、静電容量の増大を図るこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の固体電解コンデンサの第１実施例を示
す縦断面図である。

【図２】図１に示した固体電解コンデンサにおける封止
樹脂の部分を省略した分解斜視図である。

【図３】本発明の固体電解コンデンサの第２実施例を示
す縦断面図である。

【図４】図３に示した固体電解コンデンサにおける封止
樹脂の部分を省略した分解斜視図である。

【符号の説明】

２ 陽極体 ６ 立壁部 ８ 窓部 １２ 固体電解質層 １４ 導体層 １６ 陰極端子 １８ 封止樹脂 ２０ コンデンサセル ２６ 陽極側外部端子 ２８ 陰極側外部端子

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 固体電解質層が形成された陽極体と、こ
   の陽極体の前記固体電解質層の上に導体層を介在させて
   接続された陰極端子とを備えた固体電解コンデンサであ
   って、 前記固体電解質層の形成面を表裏面に持つ前記陽極体
   に、一部に窓部を設けて前記形成面を包囲する立壁部を
   形成し、前記窓部から前記陽極体の表裏面側に跨がらせ
   て前記陰極端子を設置するとともに、前記固体電解質層
   に前記導体層を介在させて接続し、前記立壁部で包囲さ
   れた空間内に封止樹脂を充填させたことを特徴とする固
   体電解コンデンサ。
2. 【請求項２】 固体電解質層が形成された陽極体と、こ
   の陽極体の前記固体電解質層の上に導体層を介在させて
   接続された陰極端子とを備えた固体電解コンデンサであ
   って、 前記固体電解質層の形成面を表裏面に持つ前記陽極体
   に、一部に窓部を設けて前記形成面を包囲する立壁部を
   形成し、前記窓部から前記陽極体の表裏面側に跨がらせ
   て前記陰極端子を設置し、前記立壁部で包囲された空間
   内に封止樹脂を充填させてコンデンサセルとし、このコ
   ンデンサセルを複数段に積層するとともに前記陽極体間
   に陽極側外部端子を接続し、前記陰極端子間に陰極側外
   部端子を接続したことを特徴とする固体電解コンデン
   サ。