JPH0498805A - 原子炉停止機構の電磁石 - Google Patents
原子炉停止機構の電磁石Info
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Abstract
め要約のデータは記録されません。
Description
に制御を行わなくても保持している制御棒を自動的に炉
心に挿入し、原子炉を緊!停止させるキュリー点電磁石
に関するものである。
機構を備えている。この炉停止機構として、環境温度に
よって磁力が変化する電磁石を用いて制御棒の保持−切
り離しを行う方式が提案されている。第8図及び第9図
はその概念図である。
部鉄芯14、及び上部鉄芯12に巻装したコイル16を
具備し、下部鉄芯14の一部に適当なキュリー点をもつ
温度感知磁性材l8を組み込んだものである。上部鉄芯
12は制御棒駆動装置20から吊り下げられ、下部鉄芯
14に制御棒22が連結される。電磁石10の環境温度
が温度感知磁性材18のキュリー点を超えると、該温度
感知磁性材18が非磁性になるため磁気回路の磁気抵抗
が大きくなり、コイル16に給電し続けていても磁力が
低下する。
、炉心24の中に挿入される。
に常に原子炉内の状況を計測し、異常が検知された場合
、それを判断して制御棒挿入の指令を与えるという過程
が不要な点で、信幀性が穫めて高いと考えられている。
認されているが、実際の原子炉プラントに通用するには
いくつかの問題がある。第一に1磁石は既設の制御棒案
内管内に設置されるため厳しい寸法制限(例えば百方k
W級の高速増殖炉では90m−一)を受け、その寸法制
限下で制御棒重量より十分に大きな磁力を確保する必要
がある。理論的には制御棒重量を超える磁力があればよ
いが、余裕が少ないと定常運転中の小規模地震や流体振
動等より誤作動する危険性が高く、プラント運転上支障
が大きい。
ュリー点以上では磁力が制御棒重量より十分に低下する
必要がある。磁気は電気と異なり空間でもある程度の磁
化率を有するため、温度感知磁性材が非磁性となっても
基本的にはある程度の磁力が残留する。残留磁力を小さ
くするには温度感知磁性材の部分を大きくすればよいが
、温度感知磁性材の最大磁化率は一般に鉄芯材(鉄)の
それより小さいため、温度感知磁性材の部分をあまり大
きくすると磁気回路の磁気抵抗が増大し、定常温度時の
磁力が低下する。特に炉停止機構の電磁石では限られた
空間内で大きな磁力を発生させる必要上、定常運転温度
では鉄の飽和磁束密度に近い状態で使用されるため、温
度感知磁性材の磁気抵抗、特に鉄と温度感知磁性材との
接合面の確保は大きな問題となる。つまり定常運転温度
では磁束は温度感知磁性材中を通るため、磁気抵抗は電
気抵抗と同じく温度感知磁性材の断面積及び長さで決ま
るが、キュリー点以上では温度感知磁性材が非磁性とな
るため、磁束は温度感知磁性材の部分に無関係に空間を
通るので鉄芯全体の磁気抵抗は温度感知磁性材を除いた
鉄芯の形状、配置で決まる。従って優れた磁力特性を発
現させるためには温度感知磁性材の形状及び空間的な配
置を工夫する必要がある。
している。温度感知磁性材18aは外周部下隅に設置さ
れており、温度応答性向上のためスリ7)26aを設け
である。この構造では鉄芯材28aと温度感知磁性材2
8aの外周側での接合面F1を内側に広げること(接合
面拡張部f)で接合面積を確保しており、その結果、定
常運転温度では制御棒重量の約3倍の保持力が得られる
。キュリー点以上での残留磁力については、温度感知磁
性材が非磁性になった場合、前記接合面F1が中央鉄芯
に対して垂直になるため両者が効果的に遮断され、制御
棒重量の1/6程度になり炉停止機構としては十分な磁
力特性が得られる。
ー点を超えた場合に磁力が迅速に低下して制御棒を速や
かに切り離す温度応答性能が要求される。高速増殖炉等
で最も厳しい条件下では2〜3秒程度の時間遅れで作動
することが求められている。上記の設計例■は温度応答
性があまり良くない、その理由は、鉄芯材と温度感知磁
性材の接合面積を確保するため深いスリットが切れず、
温度感知磁性材に温度応答性の悪い厚肉部分が残ること
による。−船釣にフィンそのものは環境温度の変化に対
して速やかに昇温する(温度応答性が高い)が、厚肉部
の応答性は著しく悪い、磁界解析結果によれば、温度応
答性が高いフィン部のみがキュリー点を超えただけでは
t611石の磁力は制御棒重量より低くはならず、厚肉
部のかなりの部分がキュリー点まで昇温する必要がある
ことが分かった。
要な温度まで昇温するには、冷却材が理想的にスリット
に流入すると仮定しても6秒以上かかることが判明した
。
造にすればよいが薄肉構造になり、磁束の通る面積が減
少し磁力の不足を招く、特に温度感知磁性材は飽和磁化
率が鉄より小さいため影響が顕著に現れる。構造的に最
もネ、りとなるのは鉄芯材と温度感知磁性材の接合面積
の不足である。これを補うため考えられたのが第11図
に示す設計例■である。温度感知磁性材18bを内外の
長い鉄芯材28bで挾み、接合面Ftの面積を確保して
いる。この構造では温度感知磁性材全体にスリ7)26
bを切っているため温度応答性は良いが、キュリー点以
上で残留する磁力が大きくなる欠点が現れる。第1表に
前記設計例■と比較した保持力試験の結果を示す。
設計例■より著しく大きくなる。因に設計例■と同じ保
持力を得るためには更に大きな電流をコイルに供給する
必要があり、これに伴い残留磁力は60kg(制御棒重
量と同等)になるため、環境温度がキュリー点を超えて
も切り離しが困難になる。これは対向する鉄芯材の面積
が大きいため、温度感知磁性材がキュリー点以上で非磁
性となっても対向する鉄芯材間を遣って流れる磁束の総
量が多くなることによる0本設計例■の磁力によって制
御棒の保持及び切り離し動作は原理的には可能であるが
、設計例■に比べれば余裕が少なく、定常運転時の誤作
動及び異常温度時の不作動に対する危険性が大きい。設
計例■は温度応答性を改善するために磁力特性が犠牲に
なっている。
ために特殊な振動9収機構が開発されている。試験室に
おける理想条件下では制御棒重量の2倍の130kg程
度の磁力があればS2相当の強地震下でも誤作動しない
ことが確認されているが、実際の原子炉プラント中の状
況や経年変化の影響を考慮すると、初期状態では余裕を
見込んで少なくとも2.5倍(約160kg)の磁力を
有することが望ましい。
く求められている大型高速増殖炉では最も厳しい要求と
して次の条件が想定されている。それは、電磁石回りの
冷却材温度が30℃/秒で昇温した場合に電磁石の作動
遅れ時間が3秒以下であることである。ここで昇温速度
は流量喪失事故と炉停止失敗が重なった場合を想定した
もので、事故事象の中でも最も急激な温度上昇である。
設定温度(冷却材温度が無限にゆっくり昇温した場合の
作動温度)に達してから実際に作動するまでの時間であ
る。
。
持力特性と温度応答性のどちらがが犠牲となり、両特性
が同時に大型高速増殖炉で求められる最も厳しい性能を
満足することはできなかった。
能要求を同時に満たすことができ、且つ温度感知磁性材
が変わっても所望の性能を発揮できるように容易に設計
できる構造の電磁石を提供することにある。
部鉄芯と下部鉄芯、及び上部鉄芯に巻装したコイルを具
備し、下部鉄芯はフィン構造で且つその一部に鉄芯材よ
り低いキュリー点をもつ温度感知磁性材を有し、環境温
度の上昇時に上部鉄芯と下部鉄芯を分離して該下部鉄芯
に連結されている1111w1棒の切り離しを行う原子
炉停止機構の電磁石である。
可能な鉄芯のうち、制御棒と連結される下部鉄芯の構造
を改良したものである。即ち第1図A、Bに示すように
、温度感知磁性材32を下部鉄芯30の外周部下隅に組
み込み、下部鉄芯30の外周部での温度感知磁性材32
と外側鉄芯材34との接合面Fが対称軸を中心軸c−c
とする円錐の側面形状とし、その円錐の頂部開き角θを
60度以上で120度以下の範囲内に設定したものであ
る。なお符号35は内側鉄芯材を表している。また下部
鉄芯30の外周側、即ち温度感知磁性材32とそれに接
する外側鉄芯材34の一部がフィン構造になっている。
部分が40以上81以下、フィン間のスリット36の幅
が2譜譜以上4ms以下で、スリット36は温度感知磁
性材32の最も奥まで切り込まれ、温度感知磁性材32
全部をフィン構造にすることである。なお第1図Aに示
す斜視図では複雑になるためスリットは省いて描いであ
る。
れた。初めにフィン形状は温度応答性能を確保する観点
から決定される。ここでは応答性能の目標値として現時
点で大型高速増殖炉で想定される最も厳しい値を採用し
た。即ち冷却材流量喪失事故を想定し、冷却材の温度が
30℃/秒で昇温した場合に2秒以下の時間遅れで作動
する応答性能である。設計はフィン部のみの温度変化に
よって必要な磁力特性が得られることを前提とし、熱伝
導解析によりフィン厚みを決定した0本目標を満足する
にはフィン部の最も厚い部分の板厚は8ms+以下にす
ればよいことが簡単な熱伝導理論より導かれる。下限値
については薄いほど応答性は良いが、清くなるとフィン
の枚数が増え、スリットが狭くなりナトリウム流入量の
点で不利となる。具体的な厚みは要求される保持力、温
度感知磁性材の飽和磁化率で決まるが、百方に一級高速
増殖炉を想定した第2表の条件では、次に示す手順で決
まるスリット幅の下限値2■を採るとフィン厚みは約4
端一となる。
込むという観点から決定される。スリット中の流量はス
リット奥行き、高さ等に加え、冷却材の粘性等によって
変わるため、第2表の条件を基にスリット中に流入した
ナトリウムからフィンへの熱伝導量を評価し2mm以上
とした(第2図参照)。上限値はフィンの育効断面積を
確保する点から決定される。具体的な値は要求される保
持力と温度感知磁性材の飽和磁化率で異なるが、フィン
の最大厚み8m−の場合で約4−一となる。
磁性材の接合面積を求める。先に決定したフィン形状に
おいて、必要な接合面積を確保できるように接合面形状
を決める円錐の開き角を決定する。を磁石の磁力にとっ
て最も大きな障害となるのは温度感知磁性材部分の磁気
抵抗である。飽和磁化率が鉄芯材より小さくスリ7)が
切られるため、断面積が鉄芯付部分より小さくなるから
である。温度感知磁性材は作動さセたい温度、即ちキュ
リー点で決まるので、飽和磁化率は採用する温度感知磁
性材の磁化率として自動的に定まり、一方、温度応答性
能の要求の観点から温度感知磁性材のフィン形状が決ま
れば、磁気抵抗を決める残された因子は鉄芯材と温度感
知磁性材の接合面の面積である。
き角によって調整できる。ここで開き角が大きく180
度に近い場合、前記設計例■のように接合面が水平であ
る場合に比べて接合面積の増加は僅かであり、円錐形状
の接合面方式を導入する効果は小さい、比較的明瞭な1
5%以上の接合面積増加が得られる120度を開き角の
上限に採用した(第3図参照)。逆に開き角があまり小
さくなると、キュリー点以上で温度感知磁性材が非磁性
になった時の鉄芯材間の対向面積が増大し、前記設計例
■のように残留磁力が増加する。第4図に示すように、
磁界解析によれば60度以下になると残留磁化が急激に
増大する。そこで開き角の下限を60度とした。
接合面は、その頂部開き角を適当な値に選定することで
接合面積を変え、定常運転時の磁力に対する異常発生時
の残留磁力の比を最適状態に調整される。またこれによ
ってフィン構造を構成するスリットを温度感知磁性材の
奥深くまで形成可能となり、温度応答特性が改善される
。
の電磁石の例である。電磁石40は互いに吸着−分離可
能な上部鉄芯42と下部鉄芯44との組合せからなる。
部で連続した形状をなし全て鉄芯材からなり、その空間
部分にコイル46を巻装した構造である。上部鉄芯42
は制御棒駆動装置(図示せず)から吊り下げられる。下
部鉄芯44は中央部とそれを取り囲む外周部とが下部で
連続した形状をなし、外周部下隅に適当なキュリー点を
もつ温度感知磁性材48を組み込み、それ以外は鉄芯材
45からなる。下部鉄芯44の外周側部分での温度感知
磁性材48と鉄芯材45との接合面Fが頂部開き角θの
円錐の側面形状になっている。そして外周部、即ち温度
感知磁性材48とそれに接する鉄芯材45には放射状に
多数のスリット50が形成されたフィン構造になってい
る。下部鉄芯44からは制御棒(図示せず)が吊り下げ
られる。なお上部鉄芯42と下部鉄芯44との対向面に
は自己融着防止金具54.55がそれぞれ組み込まれて
いる。
和磁化率は約0.7テスラで、鉄芯材(鉄)のそれの約
172である。フィン52は中心から半径方向に放射状
に厚くなっており最外周部の厚みは6−である、またス
リ、ト幅は3−一であり、温度感知磁性材48のほぼ全
域にわたって深く切り込まれている。鉄芯材45と温度
感知磁性材48の接合面Fの円錐の頂部開き角θは、前
記第2表の条件で磁力として制御棒重量の約3倍(19
5kg程度)が得られるように、磁界解析により90度
に設定した。スリット50は温度感知磁性材48のほぼ
全域まで深く切り込まれているが、前記円錐状接合面の
ため接合面積(磁路面積)は十分に確保されている。試
験結果によれば磁力は定常運転温度では制御棒重量の約
2.8倍の185kg、500℃ではl/6以下の10
kgであり、磁力の点では前記設計例■に遜色ないもの
になっている。
のみ温度がキュリー点を超えたと仮定した場合、保持力
は約35kgまで低下するという結果が得られた。これ
は制御棒重量の約1/2であり、フィン部のみの温度応
答で制御棒を切り離せることを示している。実際には残
された僅かな厚肉部の表面部分もある程度昇温するので
、残留磁力は更に低くなる。厚肉部をもう少し減じて全
体の磁力を15kg程度下げることにより、フィン部の
温度変化だけで170kg−= 20kgとバランスの
良い磁力特性の電磁石が得られる0本実施例の電磁石は
ナトリウム中で実際に温度応答性能が試験され、30℃
/秒の昇温速度を与えた結果、1.5秒以内の時間遅れ
で作動することが確認された(第7図参照)、なお同図
において曲線Aは最小2乗法による近似曲線を表してい
る。
温度応答性が顕著に改善されることが分かる。
と鉄芯材との接合面を円錐側面状にしたから、水平面に
する方式に比べて同し半径方向の距離でも接合面積を大
きくでき、磁気回路の磁気抵抗が増大することなく温度
感知磁性材にスリットを深く切り込むことができ、厚肉
部を小さくできる。これによって電磁石の磁力を犠牲に
することなく環境の温度変化に対する電磁石の作動応答
性能を改善できることになる。
せて温度感知磁性材を選択する必要があるが、温度感知
磁性材によって飽和磁化率は興なっているので、従来の
方式では飽和磁化率が低い場合は応答性か磁力のどちら
かが犠牲になる。しかし本発明では温度感知磁性材の最
大磁化率が変わっても必要な接合面積の確保には円錐の
開き角を変えるだけでよく、原理的に同し保持力特性と
温度応答性が得られるので設吐が容易となり、適用範囲
が拡大する。
はその断面図、第2図はナトリウムからフィンへの伝熱
量とスリット幅の関係を示すグラフ、第3図は接合面積
増加率と円錐頂部開き角との関係を示すグラフ、第4図
は残留磁力と円錐頂部開き角との関係を示すグラフであ
る。第5図は本発明の一実施例の一部破断斜視図、第6
図はその下部鉄芯の構造説明図、第7図は温度応答性能
の試験結果を示すグラフである。 第8図は原子炉停止機構の概念図、第9図はその部分拡
大図、第1O図は設計例■の下部鉄芯構造図、第11図
は設計例■の下部鉄芯構造図である。 30・・・下部鉄芯、32・・・温度感知磁性材、34
・・・外側鉄芯材、35・・・内側鉄芯材。 第1f!11 特許出願人 動力炉・核燃料開発事業団代 理 人 茂 見 檀 第 図 ア スリット幅(綽) 第 区 第 図 5゜ 第 図 第 図 頂部1lFIき角θ(度) 第 国 ナトリウム昇温遣eft (’e−/秒)第 図 第 図 第10図 第 図
Claims (2)
- 1.軸対称構造をとり互いに吸着−分離可能な上部鉄芯
と下部鉄芯、及び上部鉄芯に巻装したコイルを具備し、
下部鉄芯はフィン構造で且つその一部に鉄芯材より低い
キュリー点をもつ温度感知磁性材を有し、環境温度の上
昇時に上部鉄芯と下部鉄芯を分離して該下部鉄芯に連結
されている制御棒の切り離しを行う電磁石において、温
度感知磁性材は下部鉄芯の外周部下隅に組み込まれ、下
部鉄芯の外周部での温度感知磁性材と鉄芯材との接合面
は対称軸を中心とする円錐の側面形状をなし、その円錐
の頂部開き角が60度以上120度以下の範囲にあるこ
とを特徴とする原子炉停止機構の電磁石。 - 2.下部鉄芯の外周部がフィン構造であり、フィンの肉
厚の最も厚い部分が4mm以上8mm以下、フィン間の
スリット幅が2mm以上4mm以下である請求項1記載
の電磁石。
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