JPH049615Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案は、電流を複数の所望の値に変えうる可
変電流源に関する。

〔従来技術とその問題点〕

電流源はフアンクシヨン・ジエネレータ
（function・generator）、オーム・メータなど
種々の電子機器に用いられているが、発振周波
数、測定レンジなどを変えるには電流源の電流値
を変えなければならない。このため、一般には、
スイツチ切換えにより電流源に直列に接続する抵
抗値を選択して電流値を変えている。

ところで、機械的スイツチは、オン抵抗が０、
オフ抵抗が∞（無限大）でスイツチとして理想的
であるが、かさ張るだけでなく、スイツチの場所
も操作可能な位置に限定される。更に、電子制御
ができず、遠隔制御が不可能である。また、機械
的スイツチと電磁リレーとの組合わせは、遠隔制
御に好都合であるが、やはりかさ張り、電子スイ
ツチに比べると大電力を必要とする。

したがつて、電子スイツチを用いれば、これら
の欠点を解消することができるが、電子スイツチ
には次のような問題がある。すなわち、電子スイ
ツチのうち、バイポーラ・トランジスタは、オン
抵抗は小さくて無視できるが、オフ抵抗が余り大
きくないという欠点がある。FETは、オフ抵抗
は非常に大きいが、オン抵抗が数十ないし数百オ
ームもあつて無視できないため、精度が下がる欠
点がある。

〔考案の目的〕

したがつて本考案の目的は、オン抵抗の大きな
電子スイツチを用いても、このオン抵抗に影響さ
れない可変電流源の提供にある。

〔考案の概要〕

本考案の可変電流源は、複数の抵抗値を選択す
る複数の選択端及び共通端を有する抵抗回路網
と、比較器と、抵抗回路網の共通端及び比較器の
非反転入力端間に接続した定電圧回路と、抵抗回
路網の複数の選択端及び比較器の反転入力端間に
接続した複数の第１電子スイツチと、抵抗回路網
の複数の選択端及び比較器の出力端間に接続され
第１電子スイツチと連動する複数の第２電子スイ
ツチとを具えている。そして比較器の負帰還作用
と、比較器の入力抵抗が非常に大きい（理論的に
は∞）ことを利用し、第１及び第２電子スイツチ
で選択された抵抗回路網の選択端と共通端との電
位差を電子スイツチのオン抵抗に関係なく定電圧
回路の定電圧として、抵抗回路網の共通端から定
電流を得ている。

〔考案の実施例〕

以下、添付図を参照して本考案の好適な実施例
を説明する。

第１図Ａは、本考案に用いる電子スイツチの略
図で、４個のスイツチS₁〜S₄を図示しているが、
もつと多くてもよいことは勿論である。Ｃは、制
御端子を示す。第１図Ｂは、第１図Ａの１つの具
体例を示す構成図で、接合型FETと復号器（４
個のアンド・ゲートより成る。）とで構成した場
合を示す。第１図Ｃは、第１図Ａの他の具体例を
示す構成図で、CMOS型FETを用いた場合を示
す。ただし、なかの２個は省略して図示してい
る。本例は、温度特性及び信号の双方向性がよい
という特長がある。

第２図は本考案の第１実施例を示す回路図であ
る。図において、直列接続されたr₁，r₂，r₃及び
r₄は電流源の電流値を変えるために選択される複
数の抵抗器であり、抵抗器r₁の左端が共通端で、
抵抗器r₁，r₂，r₃及びr₄の各右端が選択端となる
抵抗回路網を形成する。２及び３は第１及び第２
電子スイツチ群であり、第１図に示したように夫
夫複数の電子スイツチS₁〜S₄を備えている。また
これら電子スイツチは、制御端子C₁及びC₂に供
給される制御信号により連動して動作するもので
ある。これら複数の第１電子スイツチを抵抗回路
網の各選択端及び比較器４の反転入力端間に接続
し、複数の第２電子スイツチを抵抗回路網の各選
択端及び比較器４の出力端間に接続する。比較器
６の非反転入力端及び出力端を夫々抵抗回路網の
共通端及び比較器４の非反転入力端に接続する。
基準定電流源１を比較器６の反転入力端に接続
し、抵抗器ｒを比較器６の反転入力端及び出力端
間に接続する。なお、５は可変出力電流を取出す
出力端子である。

比較器６の入力抵抗は非常に大きい（理論的に
は∞：以下単に∞という）ので、基準定電流源１
の電流Irefは抵抗器ｒを流れる。よつて、Ａ点及
びＢ点間の電位差はIref・ｒで一定となる。ま
た、比較器６の負帰還作用により、Ａ点及びＥ点
の電位が等しくなるので、Ｂ点及びＥ点間の電位
差もIref・ｒで一定となる。よつて、比較器６、
基準定電流源１及び抵抗器ｒはＢ点及びＥ点間に
所定の定電圧を発生する定電圧回路となる。

第１及び第２電子スイツチ群２及び３の各々に
おいて対応する１個の電子スイツチがオンとなる
ので、比較器４の負帰還作用によりＢ点及びＣ点
の電位が等しくなる。また、第１電子スイツチ群
２の各電子スイツチのオン抵抗が無視できないも
のであつても、比較器４の入力抵抗が∞なので、
電流が第１電子スイツチを介して比較器４に流れ
込まないので、Ｃ点及びＤ点の電位は等しくな
る。ただし、Ｄ点は選択する抵抗値によつて図示
のように位置が変わる。よつて、Ｂ点及びＤ点の
電位が等しくなり、Ｄ点及びＥ点間の電位は
Iref・ｒに常に等しくなり、出力端子５から電子
スイツチのオン抵抗に影響されない定電流が得ら
れる。

第１及び第２電子スイツチ群２及び３の電子ス
イツチS₁をオンした場合、出力端子５から得られ
る定電流値はIref・ｒ／r₁となる。以下同様に、
電子スイツチS₂をオンした場合はIref・ｒ／（r₁
＋r₂）、電子スイツチS₃をオンした場合はIref・
ｒ（r₁＋r₂＋r₃）、電子スイツチS₄をオンした場合
はIref・ｒ／（r₁＋r₂＋r₃＋r₄）となる。

第３図は本考案の第２実施例の回路図である。
この実施例は抵抗回路網を除いて第２図の第１実
施例と同じなので、抵抗回路網についてのみ説明
する。抵抗回路網は並列接続した抵抗器R₁，R₂，
R₃及びR₄で構成し、これら抵抗器の共通接続点
が共通端で、各抵抗器の右端が選択端となる。

本考案に使用する電子スイツチは、ICでも、
またスイツチング素子が独立のものでもよく、ス
イツチング素子としてFETを用いるものに限定
されない。

〔考案の効果〕

以上説明したとおり、本考案によれば、FET
のようにオフ抵抗は非常に大きいけれどもオン抵
抗が小さくないものをスイツチング素子に使用す
る電子スイツチを用いても、それらのオン抵抗の
影響を受けない精度のよい可変電流源を得ること
ができる。そして、電子スイツチであるから、消
費電力は小さく、遠隔制御が可能であり、したが
つて、機器の任意所望の場所に配置することがで
きる。また、可変電流源のフローテイング
（floating）が容易となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に用いる電子スイツチの構成
図、第２図は本考案の第１実施例を示す回路図、
第３図は本考案の第２実施例を示す回路図であ
る。 図において、R₁〜R₄及びr₁〜r₄は抵抗回路網を
形成する抵抗器、２は第１電子スイツチ群、３は
第２電子スイツチ群、４は比較器、１，６及びｒ
は定電圧回路を形成する素子である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 複数の抵抗値を選択する複数の選択端及び共通
   端を有する抵抗回路網と、比較器と、上記抵抗回
   路網の共通端及び上記比較器の非反転入力端間に
   接続した定電圧回路と、上記抵抗回路網の複数の
   選択端及び上記比較器の反転入力端間に接続した
   複数の第１電子スイツチと、上記抵抗回路網の複
   数の選択端及び上記比較器の出力端間に接続され
   上記第１電子スイツチと連動する複数の第２電子
   スイツチとを具え、上記抵抗回路網の共通端より
   出力電流を得るようにした可変電流源。