JPH049263Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、車輌の前後の車軸を同期回転させ
ながら互いに相反する方向に操舵する車輌用ステ
アリング装置に関する。

〔従来の技術〕

従来、車輌台車の前後に操向車軸を備え、これ
ら前後の車軸を、前部左右のステアリングレバー
及び後部左右のステアリングレバーを介して取付
けた前部左右一対の油圧シリンダ及び後部左右一
対の油圧シリンダを同期駆動制御して互いに相反
する方向に操舵するステアリング装置が公知であ
る。

かかるステアリング装置を備えた車輌では、前
後の車軸は同期旋回されかつ互いに相反する方向
に操舵されるため、旋回半径が小さくなり、作業
性がよいという利点がある。

このようなステアリング装置の一例として、特
開昭56−43063号公報のものがある。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、上述した従来のステアリング装
置では、各油圧シリンダを同期作動させることに
より前後のステアリングレバーを同期させて前後
の車軸が同時に同角度旋回しかつ互いに相反する
方向に旋回するようにするため、油圧回路に種々
の切換弁を設け複雑な油圧配管を配備する必要が
あり、そのため装置が極めて複雑となり、保守、
点検も容易でないという問題があつた。

この考案は、上述した従来のステアリング装置
の問題点に留意して出来るだけ簡易な油圧回路に
より前後の車軸を同期回転させかつ互いに相反す
る方向に操舵自在とするステアリング装置を提供
することを課題とする。

〔問題点を解決するための手段〕

上記問題点を解決するためこの考案は、台車の
下部に旋回自在に取付けた前部車軸及び後部車軸
を旋回させる前部ステアリングレバーと後部ステ
アリングレバーを回転自在に設け、各レバー両端
に左右一対の前部油圧シリンダと左右一対の後部
油圧シリンダをそれぞれ取付け、前記油圧シリン
ダのうち同一側シリンダのヘツド側を配管により
結びこれに油圧源を供給する配管をそれぞれ独立
に設けて前部車軸及び後部車軸を相反する方向に
旋回させる油圧回路と、前記油圧シリンダの対角
位置にあるもののロツド側を配管により結び各油
圧シリンダを同期させる閉回路とを備えて成る車
輌用ステアリング装置の構成としたものである。

〔作用〕

この考案は上記のように構成したから、台車の
走行中にステアリングハンドルを操作すると、油
圧源を供給する配管の一方に油圧が送られ同一側
の油圧シリンダヘツドにより前後のステアリング
レバーが互いに相反する方向に回動され、これに
連動する前部車軸と後部車軸が相反する方向に旋
回して台車を旋回走行させる。

上記車軸の旋回中に、閉回路により結ばれた対
角線上にある油圧シリンダのロツド側に封入され
ている作動油は一方から他方へ移動流入して油圧
シリンダの作動を同期させ、これにより車軸が同
期旋回する。

〔実施例〕

第２図、第３図はこの考案を実施した車輌の一
例を示すもので、１は台車、２はその前部の操舵
室、３は左右一対の前部車軸、４は左右一対の後
部車軸である。

上記の各車軸３，４は、それぞれ縦軸５，６を
中心に旋回自在な一本の車軸とその両端の走行輪
７，８により構成され、かつ所定のものに駆動手
段を設ける。

第１図において、１１，１２は台車１の前部お
よび後部に設けた前部ステアリングレバーと後部
ステアリングレバーで、軸１３，１４を中心とし
て旋回する。

前部ステアリングレバー１１は左右一対の前部
油圧シリンダ１５により旋回させ、後部ステアリ
ングレバー１２は左右一対の後部油圧シリンダ１
６により旋回させる。すなわち、各油圧シリンダ
１５，１６は台車１に回動自在に取付け、各油圧
シリンダ１５，１６から突出したピストンロツド
１７，１８をレバー１１，１２の両端に回動自在
に連結する。

各図の左方が台車１の前部であり、右側の前部
油圧シリンダ１５を１位ａとし、左側の前部油圧
シリンダ１５を２位ｂとし、右側の後部油圧シリ
ンダ１６を３位ｃとし、左側の後部油圧シリンダ
１６を４位ｄとする。

この配置において、１位ａと３位ｃおよび２位
ｂと４位ｄの油圧シリンダ１５，１６のロツドの
ない側、すなわち、ヘツド側を配管２１，２２で
連通させ、これらの配管２１，２２を図示省略し
てある油圧源やステアリングハンドルにより操作
する切換弁などからなる油圧制御装置に連結す
る。

また、前記の各油圧シリンダ１５，１６におい
て、１位ａと４位ｄのロツド側を配管２３で連通
させ、２位ｂと３位ｃのロツド側を配管２４によ
り連通させる。

さらに、前部のステアリングレバー１１の両端
は第４図のように左右の前部車軸３の内側レバー
２５にリンク２６により連結する。

後部ステアリングレバー１２は前部ステアリン
グレバー１１の回動方向と逆の方向に回動して各
車軸４も前部の車軸３と逆の方向に同角度回るよ
うにする。その機構は前部の各車軸３の旋回機構
を反対勝手にしたものであるから図示は省略す
る。

上記の構成において、いま例えば図示省略して
あるステアリングハンドルを左に切ると、制御回
路の作用で、２位ｂと４位ｄの油圧シリンダ１
５，１６のヘツド側に圧油が流れ、１位ａと３位
ｃの油圧シリンダ１５，１６のヘツド側は油タン
クに通じるので前部ステアリングレバー１１は右
へ回動し、後部ステアリングレバー１２は左へ回
動するので、第２図のように前部の各車軸３は左
へ旋回し、後部の各車軸４は右へ旋回する。

このため、台車１は小さい旋回半径で左旋回す
る。

上記のさい、２位ｂの油圧シリンダ１５のロツ
ド側の油は配管２４を経て３位ｃの油圧シリンダ
１６のロツド側に流入し、４位ｄの油圧シリンダ
１６のロツド側の油は配管２３を経て１位ａの油
圧シリンダ１５のロツド側に流入する。

上記のように各油圧シリンダ１５，１６のロツ
ド側は閉回路になつていて、ステアリングレバー
１１，１２の回動に伴つて１位ａと４位ｄの油圧
シリンダ１５，１６のロツド側の間と２位ｂと３
位ｃのロツド側間において油が流動するが、これ
によりステアリングレバー１１，１２を機械的に
連結せずに同期させることができる。

〔効果〕

この考案は上記のように前後のステアリングレ
バーを操作する油圧シリンダの対角位置上のもの
のロツド側を連通させて閉回路を構成することに
よりステアリングレバーを同期させることができ
るので従来の機械的な同期装置や油圧制御による
同期装置に比較して構造や回路が著しく簡単とな
り、作動も確実であるなどの特有の効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す配管図、第
２図はこの考案を実施した車輌の平面図、第３図
は同上の側面図、第４図は同上の前部車軸の連結
機構の一実施例を示す拡大平面図である。 １……台車、３……前部車軸、４……後部車
軸、１１……前部ステアリングレバー、１２……
後部ステアリングレバー、１５……前部油圧シリ
ンダ、１６……後部油圧シリンダ、２１，２２，
２３，２４……配管。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 台車の下部に旋回自在に取付けた前部車軸及び
   後部車軸を旋回させる前部ステアリングレバーと
   後部ステアリングレバーを回転自在に設け、各レ
   バー両端に左右一対の前部油圧シリンダと左右一
   対の後部油圧シリンダをそれぞれ取付け、前記油
   圧シリンダのうち同一側シリンダのヘツド側を配
   管により結びこれに油圧源を供給する配管をそれ
   ぞれ独立に設けて前部車軸及び後部車軸を相反す
   る方向に旋回させる油圧回路と、前記油圧シリン
   ダの対角位置にあるもののロツド側を配管により
   結び各油圧シリンダを同期させる閉回路とを備え
   て成る車輌用ステアリング装置。