JPH048350Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は、標準ガスを封入した二つのセルを赤
外線透過窓を介し直列接続した検出器に、サンプ
ルセルからの赤外線を直列透過させて測定を行う
赤外線式ガス分析計に関する。〈従来の技術〉 第３図は前記直列透過方式の検出器を具備する
赤外線式ガス分析計の断面図である。図中、１は
サンプル導入口１ａ並びに排出口１ｂを有し、内
部にサンプルガスが流されるサンプルセルであ
る。２は赤外線部で、内部に加熱ニクロム線を用
いた赤外線源２ａ、並びにこの赤外線源からの光
を反射させ平行光線とする凹面鏡２ｂが設けられ
ている。

３は赤外線部２とサンプルセル１との間の区画
部４に取付けられた赤外線透過窓である。

５は検出器で、中央部の区画部５ａに取付けら
れた赤外線透過窓５ｂによつて内容積が略等しい
二つのセル部分５ｃ，５ｄに分割されている。こ
れらセル部分には、例えば前記サンプルガスと同
種の標準ガスが封入されている。セル部分５ｃ，
５ｄは導圧管５ｅ，５ｆによつてセル外部に設け
られたセンサ５ｇに接続され、コンデンサマイク
ロフオン等を用いた検出エレメントによつてこれ
らセル部分の圧力の差が検出される。

６は、サンプルセル１と検出器５との間の区画
部７に取付けられた赤外線透過窓である。

このような構成で、先ず、サンプルセル１にサ
ンプルガスを流さない状態で測定を行う。この状
態では、サンプルセル１において赤外線の吸収は
なく、検出器５部分で吸収が行われる。赤外線の
大部分は前段のセル部分５ｃで吸収される為、後
段のセル部分５ｄでの吸収はない。この赤外線吸
収のアンバランスは、セル部分５ｃ，５ｄの内圧
の差となつて現われ、センサ５ｇに出力が発生す
る。このとき得られる信号はゼロ点調整用に利用
される。

次に、サンプルセル１に既知濃度のサンプルガ
スを導入して測定を行う。この状態では、サンプ
ルセル１内においてサンプルガス濃度に応じて赤
外線が吸収され、検出器５部分へ与えられる赤外
線量はその分少なくなる。検出器５において、与
えられた赤外線は前段のセル部分５ｃで大部分吸
収され、後段のセル部分５ｄで吸収は起らない。
この赤外線吸収のアンバランスにより、先のサン
プルガスを流さないときよりは小さいが、セル部
分５ｃ，５ｄに圧力差が生じ、センサ５ｇは出力
を発生する。このとき得られる信号はスパン調整
用に利用される。

このようにしてゼロ点調整、スパン調整を行つ
た後、濃度未知のサンプルガスをサンプルセル１
に導入すれば、センサ５ｇよりこのサンプルガス
の濃度に比例した電気信号出力を得ることができ
る。

しかしながら、このような装置では、セル部分
５ｃ，５ｄの圧力を導く為の導圧管５ｅ，５ｆを
設け、検出器本体の外部に設けたセンサ５ｇで差
圧の検出を行つていた。この為、構造が複雑にな
り、また導圧管５ｅ，５ｆ部分が長くなり容積が
増加すると、センサ５ｇにおける検出感度が低下
する欠点があつた。

〈考案が解決しようとする問題点〉 本考案の解決しようとする技術的課題は、前記
直列透過方式の検出器を用いた赤外線式ガス分析
計において、構造が簡単で、感度の優れた検出器
を実現することにある。

〈問題点を解決するための手段〉 本考案の構成は、前記赤外線式ガス分析計にお
いて、前記サンプルセルからの赤外線が与えられ
る検出器セルを、水晶板を用いた窓によつて二つ
のセル部分に分割し、これらセル部分に標準ガス
を封入し、この窓の前記赤外線が透過しない部分
に変位−電気量変換素子を設けたことにある。

〈作用〉 前記の技術手段は次のように作用する。即ち、
前記検出器の二つのセル部分における透過赤外線
の吸収のアンバランスによる圧力差に基づき、前
記窓を変位させ、この窓の変位を前記変位−電気
量変換素子によつて検出するようにした。

〈実施例〉 以下図面に従い本考案の実施例を説明する。第
１図は本考案の実施例装置を示す断面図である。
図中、第３図における要素と同じ要素には同一符
号を付し、これらについての説明は省略する。８
は検出器で、中央部に取付けられた水晶板を用い
た窓８ａによつて、内容積の等しい二つのセル部
分８ｂ，８ｃに分割されている。これらセル部分
には前記サンプルガスと同種の標準ガスが封入さ
れている。

第２図は本考案実施例装置の部分拡大断面図で
ある。窓８ａは窓３，６より径が大きく、窓８ａ
の周辺部分には歪素子、可変容量素子を用いた変
位−電気量変換素子８ｄが設けられている。赤外
線源２ａからの赤外線は凹面鏡２ｂによつて平行
光線にされ、この平行光線はサンプルセル１を通
過する際、区画部４，７においてその一部が遮ら
れ、変位−電気量変換素子８ｄが設けられた部分
には赤外線が照射されないようになつている。

このような構成で、窓８ａに、例えば厚さ
100μm以下の水晶板を用いた場合、この部分にお
いて、波長４〜5μmの赤外線を50〜80％透過させ
る（波長6μm以上の赤外線は透過させない。）。

前記サンプルガスが、HC、CO、CO₂ガスの場
合、これらガスの吸収波長は夫々3.3μm、4.7μm、
4.3μmであり、前記水晶板はこれらガスの測定に
支障とならない。

測定に先立ち、ゼロ点調整、スパン調整を行つ
た後、サンプルセル１にサンプルガスを導入す
る。従来装置におけると同様、セル部分８ｂ，８
ｃにおいて赤外線吸収量がアンバランスとなり、
セル部分８ｂ，８ｃに圧力差が生じる。これによ
つて窓８ａの水晶板が変形し、これを変位−電気
量変換素子８ｄによつて抵抗値変化、或は容量変
化として検出する。尚、この場合、変位−電気量
変換素子８ｄは赤外線通過領域より外れた所に設
けられている為、この部分が測定の支障となるこ
とはない。

セル部分８ｂ，８ｃには同種の標準ガスが封入
されている為、窓３，６の汚れのような干渉成分
の影響は、これらセル部分に等しく現われ、圧力
差をとつた場合、干渉成分による影響を大幅に低
減することが出来る。

〈考案の効果〉 本考案によれば、従来装置において必要であつ
た、検出器から外部のセンサへ圧力を導く為の導
圧管が要らず、装置全体を簡単な構造とすること
が出来、また本考案によれば、検出器セルを分割
する窓の変位を、この窓に直接取付けられた変位
−電気量変換素子によつて検出するものである
為、最大の感度を引出すことが出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例装置を示す断面図、第
２図は本考案実施例装置の部分拡大断面図、第３
図は従来装置の断面図である。 １……サンプルセル、２……赤外線部、２……
赤外線源、８……検出器、８ａ……水晶板を用い
た窓、８ｂ，８ｃ……セル部分、８ｄ……変位−
電気量変換素子。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 赤外線源と、サンプルガスが流され前記赤外線
   源からの赤外線が通過するサンプルセルと、この
   サンプルセルを通過した赤外線が与えられ、水晶
   板を用いた窓によつて二つに分割されたセル部分
   に標準ガスが封入され、前記窓のうち前記赤外線
   が透過しない部分に変位−電気量変換素子を設け
   た検出器とを具備し、前記検出器の二つのセル部
   分における透過赤外線の吸収のアンバランスによ
   る圧力差に基づき前記窓を変位させ、これを前記
   変位−電気量変換素子によつて検出し、前記サン
   プルガス濃度に応じた電気信号出力を得るように
   した赤外線式ガス分析計。