JPH0479293B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明はドラム缶のような大型の合成樹脂製容
器の把持部を成形する方法に関するものである。

［従来の技術］ ドラム缶のような大型容器の樹脂化は軽量化、
耐久性向上、防錆性向上等を図る場合に極めて有
効とされ、欧米では既に各種の合成樹脂製容器が
使用されている。我国においても現在のところそ
のほとんどが金属製であるクローズドドラムの樹
脂化の検討が急速に進められている。

しかしながら、既存の鋼製ドラムが普及してい
るため、樹脂化の価値は前記の内容で認識されて
いるもののハンドリングにおいて既存な把持具に
適合させるため本発明者はドラム本体の上部に別
途準備された合成樹脂製リングを係合して金属製
ドラム缶と同様のハンドリングが出来る合成樹脂
製ドラム缶を開発した。

［発明が解決しようとする問題点］ このような合成樹脂化されたドラム缶では、ハ
ンドリングのためのリングを別途準備しなければ
ならず、またそのリングを係合するための手段を
ドラム本体側に形成しなければならず、金属製の
場合に比べて構造が複雑となり、更にリングを係
合する手間などをも要することから、コスト高と
なり易い。

更にまた、ドラム本体がブロー成形により成形
されるのに対し、リングは射出成形によることか
ら、そこに使用される樹脂もハイフローグレード
（MFR2.0以上）に限定され、ローフローグレー
ド（HLMFR10以下）の樹脂をもつて成形された
ドラム本体と比較した場合、耐衝撃性、剛性等の
物性低下の要因となつている。

そこで合成樹脂製ドラム缶でありながら容器本
体と一体の把持部を備え、金属製ドラム缶と極め
て近いハンドリングを可能とする新たな構成の合
成樹脂製容器が望まれる。

しかしながら、容器本体の成形と同時に、容器
を形成する材料の一部をもつて、ハンドリングが
可能な把持部、例えば第６図及び第７図に示すよ
うに、容器本体１の胴部２と天板３との境にあつ
て、天板周縁から上方に突出し、上端外側に突縁
４ａを有する把持部４を成形することは、従来の
ブロー成形技術をもつてしては困難とされてい
る。

［問題点を解決するための手段］ 本発明は上記事情から考えられたものであつ
て、その目的は容器本体と同様に耐衝撃性及び剛
性に優れた把持部を、合成樹脂製容器のブロー成
形時に、容器の天板を成形する金型の移動をもつ
て確実に成形することができる新たな合成樹脂製
容器の把持部成形方法を提供することにある。

また本発明は、容器本体を形成する材料の一部
をもつて、胴部と天板との境に把持部を突出成形
するものでありながら、把持部周辺の肉厚が薄肉
化せず、また成形品の離型もきわめて容易な合成
樹脂製の把持部成形方法を提供するものでもあ
る。

本発明の把持部成形方法は、パリソンを金型内
にて容器本体にブロー成形したときに、そのパリ
ソンの一部をもつて把持部を成形する。把持部の
成形は、容器の胴部と天板との境に位置するパリ
ソンの一部を、把持部成形のために形成される胴
部成形用金型と天板成形用金型との間の隙間に当
接する工程と、そのパリソンの一部を天板成形用
金型の内方移動により、胴部成形用金型の型面と
の間にて所望の断面形状を有する把持部に加圧成
形する工程とからなる。

上記把持部を成形するための隙間は、胴部成形
用金型の一端部に、可動自在に嵌装した天板成形
用金型の側部に段部を設けることによつて形成さ
れる。また隙間の巾及び深さは、そこに成形され
る把持部の肉厚及び高さによつて異なり、把持部
の外側先端の突縁は、天板成形用金型の段部と対
向する段部を胴部成形用金型の型面に設けること
によつて加圧成形することができる。

この把持部の加圧成形を確実になすためには、
上記天板成形用金型に移動し、更に単独移動する
加圧用の金型を、天板成形用金型の外型として胴
部成形用金型との間に設け、外型先端を上記天板
成形用金型の段部として、その上部に把持部成形
用の隙間を形成すればよい。

更に本発明を第１図から第５図に示す実施例に
より詳説する。

図中１１は底板成形型１２を一体に有する胴部
成形用金型、１３は天板成形用金型で周囲に外型
１４が可動自在に嵌装してある。この天板成形用
金型１３は外型１４と共に胴部成形用金型１１の
開口部に内方へ移動自在嵌込まれており、外型先
端１４ａが天板成形用金型１３段部となつて、そ
の上に把持部成形用の隙間１５が形成されてい
る。

また胴部成形用金型１１の隙間１５に臨む型面
には、突縁成形用の段部１６が外型先端１４ａに
対向させて設けてある。

上記金型のすべては、通常のブロー金型と同様
に分割型をもつて構成され、天板成形用金型１３
は胴部成形用金型１１と共に開閉する一方、型閉
じの前または後にエアーまたは油圧シリンダなど
により内方へ移動する。なお１７はダイ、１８は
パリソン、１９は金型取付板、２０は型開閉用ロ
ツドである。

次に第６図及び第７図に示すドラム状の容器と
把持部の成形工程を図面ごとに順に説明する。

第１図 上記天板成形用金型１３と共に型開きした胴部
成形用金型１１の間に、上方のダイ１７からパリ
ソン１８を押出または射出成形する。の際天板成
形用金型１３と外型１４は胴部成形用金型１１の
下方に位置している。

第２図 パリソン１８が一定の長に達したならば、型閉
じを行いながら、または型閉じ前または後にブロ
ーピン（図は省略）からエアブローして、パリソ
ン１８のプリブローを行う。このプリブローによ
り胴部成形用金型１１と天板成形用金型１３との
境に位置するパリソン１８の一部１８ａを、上記
隙間１５に当接する。

第３図 上記プリブローに引続いて、上記天板成形用金
型１３と外型１４とを一緒に内方へ移動する。こ
れにより胴部２と天板３及び底板５とが一体形成
された密閉型の容器本体１が成形されると同時
に、上記隙間１５に押圧したパリソンの一部１８
ａが、胴部成形用金型１１の型面と天板成形用金
型１３の側面とにより加圧されて、天板３の縁部
から上方に突出した把持部４に形成される。更に
外型１４だけを内方へ移動して、そこに形成され
た把持部４の端面を加圧する。

この加圧によつて把持部４は圧縮され、天板成
形用金型１３による側方の押圧力とによつて肉厚
分布が均一化されるとともに、胴部成形用金型１
１の段部１６により突縁４ａが外側に形成され
る。

第４図、第５図 成形が完了したならば、まず天板成形用金型１
３を外方へ移動して元の位置に戻し、次に外型１
４を戻して天板側の離型を先に行い、しかるのち
型開きを行つて容器本体１の離型を行う。

上記工程ではブローアツプ中に把持部の成形を
行つているが、ブローアツプ後に天板成形用金型
側を移動して把持部４の成形を行うこともでき
る。

上記成型法では、把持部４の肉厚を容器本体１
よりも肉厚に形成することができ、また天板３と
の交差部を曲面に、内側を緩傾斜とする形状設計
により、ブロー成形時の金型動作、容器表面の平
滑化が好適になされる。

なお、ブロー成形時に薄肉化し易いパーテイン
グラインと直角の方向に向つて把持部の断面積は
減少する形状が望ましい。

［発明の効果］ 本発明は上述のように、容器本体のブロー成形
時に、天板成形用金型の移動をもつて、容器の胴
部と天板との境にパリソンの一部による把持部を
加圧成形するものであるから、同一樹脂により容
器本体と把持部とを成形することができる。また
成形された把持部をパリソンの一部をもつて形成
したにもかかわらず、容器本体よりも厚肉に形成
もでき、加圧によつて肉厚分布も均一化し、厚肉
成形にありがちな歪みの発生もなく、突縁の成形
も容易であるなどの多くの利点を有する。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係る合成樹脂製容器の把持部成
形方法の１実施例を示すもので、第１図から第５
図は工程を順に示す金型の略示縦断面図、第６図
は成形された合成樹脂製容器の半部縦断正面図、
第７図は把持部の縦断面図である。 １……容器本体、２……胴部、３……天板、４
……把持部、４ａ……突縁、１１……胴部成形用
金型、１３……天板成形用金型、１４……外型、
１５……隙間、１６……段部、１８……パリソ
ン。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ パリソンを容器本体にブロー成形するととも
   に、胴部成形用金型と天板成形用金型との境に位
   置するパリソンの一部を、上記胴部成形用金型と
   天板成形用金型との間に形成される隙間に当接
   し、ブローアツプ中またはブローアツプ後に上記
   天板成形用金型を内方へ移動して、上記パリソン
   の一部を把持部に加圧成形してなることを特徴と
   する合成樹脂製容器の把持部成形方法。