JPH0477198B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （技術分野） 本発明は加圧流体配管系に用いるプラスチツク
製の配管接続継手であつて、スリーブ部分と、こ
れらスリーブ部分の相互間に配置された中央部分
とを具え、スリーブ部分が接続すべき配管を流体
密にシールされた状態で受入れ可能であり、中央
部分が相互に偏心させて配置した円形断面形状の
外面および内面を有することにより、中央部分の
肉厚が円周方向に連続的に変化する配管接続継手
に関するものである。

（背景技術） 上述の構成に係る配管接続継手は、ドイツ連邦
共和国特許出願公告第2223529号公報（あるいは
対応の特開昭48−5016号公報）に記載されてお
り、既知である。

この配管接続継手における中央部分および中央
部分からスリーブ部分に至る移行領域は、特にそ
の外面において補強されている。外周が補強され
ていることにより、配管接続継手の特定の領域
は、配管接続継手の所要の強度を確保するために
必要とされる以上の材料をもつて形成される。そ
の結果、射出材料が相当に不均一なものとなり、
かえつて配管接続継手の強度が低下することにな
る。上述した既知の配管接続継手は、臨界的領域
のみが補強されるものではないので、その製造に
絶対的に必要とされる以上の材料が用いられる欠
点を有している。

（発明の目的） したがつて本発明の目的は、射出成型品として
製造される上述した構成の配管接続継手を改良し
て、所要の強度を実現するための材料の使用量を
最小限のものとし、しかも配管接続継手の全領域
が荷重の作用下で均一に応力が負荷される構成を
提案することにある。この場合、配管接続継手の
外面は平滑な形状とし、また配管接続継手自体は
射出成型に際して材料が均一に分布するに適した
構造とすることが重要である。

（発明の開示） 本発明による配管接続継手は、前述した構成の
ものにおいて、中央部分の内面を２つの内面部分
により形成し、これら内面部分の半径の中心点
を、外面の半径の中心点の両側に配置すると共に
全スリーブ軸線を含む平面内に位置させ、該平面
内に中央部分の最小肉厚領域を配置したことを特
徴とするものである。

本発明の上記の構成によれば、配管接続継手の
中央部分における内面補強材料によつて配管接続
継手の臨界的部分を部分的に補強すると共に、外
面も補強されている場合に必要とされる材料の使
用量と対比して、より少量の材料で配管接続継手
を製造することが可能となる。これと同時に、内
面部分の寸法が減少するので、流体の等しい内圧
の作用下で配管接続継手に作用する荷重を低減さ
せることができ、補強のための材料の必要量を低
減しうると共に射出成型によつて均一な製品を製
造することができる。さらに、内面を中央部分の
外面に対して偏心的に配置したことによつて、最
小肉厚部分から最大肉厚部分への材料の転移が定
常的なものとなり、残留内部応力の低い製品を射
出成型することも可能となるものである。

本発明の上記の構成によれば、成形時あるいは
使用時に最大応力が実際に作用する臨界的領域の
みが効果的に補強され、同時に、さほど苛酷な応
力が作用しない残余の領域の肉厚を必要最小限に
維持し得る。

（実施例） 以下、本発明を図示の好適な実施例について説
明する。

第１図〜第３図は、本発明の一実施例による配
管接続継手としてのＴ字形状の分岐部材１を示す
ものである。この接続継手は、適宜のプラスチツ
ク材料製とすることができる。

分岐部材１は、相互に逆向きに配置された同一
形状の一対のスリーブ部分２ａ，２ｂと、これら
一対のスリーブ部分２ａ，２ｂから分岐するスリ
ーブ部分２ｃとを有している。上記３つのスリー
ブ部分は、中央部分３を介して相互に接続されて
いる。そのうち、対をなすスリーブ部分２ａ，２
ｂは軸線４に対して、また分岐スリーブ部分２ｃ
は軸線４と直交する軸線５に対して、それぞれ同
軸的に配置されている。軸線４，５を含む平面
は、参照数字６で表す。

第３図に示すとおり、分岐部材１の中央部分の
外面は半径R1の円形断面形状のものとして形成
する。半径R1の曲率中心は、軸線４と一致する。

中央部分の内面８は、中央部分の外面に対して
偏心的に延在する２つの内面部分８ａ，８ｂを有
する。これら内面部分８ａ，８ｂの半径R3、R4
は相互に異ならせる。半径R3、R4の中心は、軸
線４の両側でこれより相互に異なる距離を隔てた
平面６内に含まれる。スリーブ部分２ｃから離間
した側における半径R3の偏心量E1は、半径R4の
偏心量E2よりも大とし、２つの内面部分８ａ，
８ｂが異なる偏心量をもつて配置される構成とす
る。

中央部分３の壁の肉厚は、中央部分３が平面６
と交差する位置において最小値S1となり、この
位置から半径R1−R3の差に相当する厚さS2に至
るまで連続的に増加する。厚さの比S2／S1は、
1.2〜1.3とするのが好適である。

半径R3、R4によつて形成される２つの内面部
分８ａ，８ｂ間の接続面９は、平坦で狭い平面を
なすものである。

さらに、第３図に示すとおり、分岐スリーブ２
ｃおよび中央部分３の接続部分１０はテーパ状に
拡開させ、内側スリーブ端の領域における外径
D2が中央部分３の外径D1×R1よりも大となり、
ここに中央部分３の肉厚S3が肉厚S2よりも大で
あつて肉厚S1の約1.34〜1.4倍となる構成とする。

上述のごとく構成された中央部分３の連続的に
増加する肉厚は、接続部分１０において分岐スリ
ーブ２ｃに向けて更に増加するので、最大応力の
作用する面は、肉厚のステツプ状変化を伴うこと
なく、換言すれば外面の平滑性を確保しつつ所要
の補強を施すことが可能となる。

スリーブ２ａ，２ｂの外周１１は、中央部分３
の外径D1から挿入端１２に向けてテーパ状に外
径を減少させる。分岐スリーブ２ｃの外周は、最
大直径D2を有する接続部分１０からテーパ状に
直径を減少させる。各スリーブ２ａ，２ｂ，２ｃ
は、円筒状を呈する受座部分１３において外径の
公称値がｄである配管１５を受けるものである。
各スリーブ部分は、その内端に停止面１４を有し
ている。円筒状の各受座部分１３は、その内端１
２において僅かに円錐状またはアーチ状を呈する
拡開面を有するので、配管の挿入が容易に行える
ものである。

第４図および第５図は、本発明によるエルボ状
の接続継手２１を示すものである。図示例におけ
る接続継手２１の曲がり角は90°であるが、45°と
しても良い。両スリーブ部分２２ａ，２２ｂの形
状は、Ｔ字形状の接続継手１について前述したス
リーブ部分２ａ，２ｂに対応するものである。

２つのスリーブ軸線２４ａ，２４ｂは中央部分
における弧状中心軸線２５によつて相互に接続
し、スリーブ軸線２４ａ，２４ｂおよび中心軸線
２５を含む平面は参照数字２６で表す。

中央部分２３の外面２７は、半径R1の円形断
面形状のものとして構成し、その半径R1の中心
点は中心軸線２上に位置させる。

内面２８の２つの内面部分２８ａ，２８ｂは、
外面に対して偏心させて配置する。内面部分２８
ａ，２８ｂの半径R3、R4は相互に異ならせ、外
側を指向する半径R3を僅かに大とするのが好適
である。これらの半径の中心点は、中心軸線２５
の両側で相互に異なる距離を隔てた平面２６内に
配置する。ここに、外向きに指向する半径R3の
偏心量E1は半径R4の偏心量E2よりも小とするも
のである。内面部分２８ａ円周方向における寸
法、すなわち半径の中心に対してなす角度を180°
を越えるもの、すなわちＵ＝180°＋2aとする。
90°のエルボ状接続継手の場合にはａは約15〜16°
とし、45°のエルボ状接続継手の場合にはａは約
５〜6°とする。

本例の配管接続継手は、両内面部分２８ａ，２
８ｂの間の移行領域において最大肉厚S2を有し
ており、接続部分は狭い平坦面２９により形成さ
れるものである。壁の肉厚S2は、中央部分２３
の壁が平面２６と交差する外側領域における最小
肉厚S1に対して、その1.18〜1.25倍とする。

内面２８の上述の偏心形状により、エルボ状接
続継手の中央部分は、座屈を生じさせる力が作用
する領域において最も効果的に補強されるもので
ある。これは、本発明による配管接続継手を射出
成型法によつて製造する場合に特に重要である。

最大所要肉厚S2が中央部分の最小肉厚S1の約
1.3倍であり、また内面が連続的に補強されこと
により、従来既知の方法によつて製造さた配管接
続継手と対比して相当量の材料を節減しうるのみ
ならず、外面を平滑なものとして形成したことに
よつて配管接続継手を特に射出成型に適した形状
とすることが可能となる。

本発明は、上述の好適な実施例のみならず、多
くの態様をもつて実施しうることは勿論である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明をＴ字形状の配管接続継手に適
用した実施例を示す断面図、第２図は第１図の継
手の左側部分を示す半裁平面図、第３図は、第１
図の−線に沿う断面図、第４図は本発明をエ
ルボ状配管接続継手に適用した実施例を示す断面
図、第５図は第４図の継手の平面図である。 １……分岐部材、２ａ，２ｂ，２ｃ……スリー
ブ部分、３……中央部分、６……平面、８……中
央部分の内面、８ａ，８ｂ……内面部分、９……
接続面、１０……接続部分、１１……スリーブの
外周、１２……挿入端、１３……受座部分、１４
……停止面、１５……配管、２１……接続継手、
２２ａ，２２ｂ……スリーブ部分、２４ａ，２４
ｂ，２５……軸線、２６……平面、２７……外
面、２８ａ，２８ｂ……内面部分、２９……平坦
面。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 加圧流体配管系に用いるプラスチツク製の配
   管接続継手であつて、スリーブ部分と、これらス
   リーブ部分の相互間に配置された中央部分とを具
   え、スリーブ部分が接続すべき配管を流体密にシ
   ールされた状態で受入れ可能であり、中央部分が
   相互に偏心させて配置した円形断面形状の外面お
   よび内面を有することにより、中央部分の肉厚が
   円周方向に連続的に変化する配管接続継手におい
   て、 中央部分の内面を２つの内面部分により形成
   し、これら内面部分の半径の中心点を、外面の半
   径の中心点の両側に配置すると共に全スリーブ軸
   線を含む平面内に位置させ、該平面内に中央部分
   の最小肉厚領域を配置したことを特徴とする配管
   接続継手。 ２ 特許請求の範囲第１項記載の配管接続継手に
   おいて、 中央部分の最大肉厚を、その最小肉厚の1.18〜
   1.3倍としたことを特徴とする配管接続継手。 ３ 特許請求の範囲第１項記載の配管接続継手で
   あつて、同一外径の配管を接続するためのＴ字状
   を呈する継手において、 分岐スリーブ部分の内端における外径を中央部
   分の外径より大とし、分岐スリーブ部分の壁の肉
   厚を中央部分の壁の最大肉厚より大としたことを
   特徴とする配管接続継手。 ４ 特許請求の範囲第３項記載の配管接続継手に
   おいて、 ２つの内面部分の半径を相互に一致させ、か
   つ、外面に対して異なる偏心量をもつて延在さ
   せ、分岐スリーブ部分から離間して外側に向けて
   指向する半径の偏心量を、分岐スリーブ部分に向
   けて指向する半径の偏心量よりも大としたことを
   特徴とする配管接続継手。 ５ 特許請求の範囲第１項記載の配管接続継手に
   おいて、 該継手を外向きの壁部分を有するものとして形
   成し、この外向きの壁部分に向けて指向する内面
   部分の半径を内向きに指向する半径よりも小と
   し、外側の半径の偏心量を内側の半径の偏心量よ
   りも小としたことを特徴とする配管接続継手。 ６ 特許請求の範囲第５項記載の配管接続継手に
   おいて、 外向きに指向する半径によつて形成される内面
   部分の円周方向の長さを180°よりも大としたこと
   を特徴とする配管接続継手。 ７ 特許請求の範囲第６項記載の配管接続継手に
   おいて、 該継手を90°のエルボ継手として構成し、外向
   きに指向する半径が形成する内面部分がその半径
   の中心に対してなす角度を210〜212°としたこと
   を特徴とする配管接続継手。 ８ 特許請求の範囲第６項記載の配管接続継手に
   おいて、 該継手を45°のエルボ継手として構成し、外向
   きに指向する半径が形成する内面部分がその半径
   の中心に対してなす角度を190〜192°としたこと
   を特徴とする配管接続継手。 ９ 特許請求の範囲第３項記載の配管接続継手に
   おいて、 各スリーブ部分に挿入端を設け、各スリーブ部
   分の外面を挿入端に向けてテーパ状に直径が減少
   する形状に形成し、各スリーブ部分の内面によつ
   て停止面を限定することを特徴とする配管接続継
   手。 １０ 特許請求の範囲第９項記載の配管接続継手
   において、 挿入端をテーパ状に拡開する形状に形成したこ
   とを特徴とする配管接続継手。 １１ 特許請求の範囲第９項記載の配管接続継手
   において、 挿入端をアーチ状に拡開する形状に形成したこ
   とを特徴とする配管接続継手。