JPH0475305B2 - - Google Patents
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- JPH0475305B2 JPH0475305B2 JP60296955A JP29695585A JPH0475305B2 JP H0475305 B2 JPH0475305 B2 JP H0475305B2 JP 60296955 A JP60296955 A JP 60296955A JP 29695585 A JP29695585 A JP 29695585A JP H0475305 B2 JPH0475305 B2 JP H0475305B2
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- Hard Magnetic Materials (AREA)
Description
(産業上の利用分野)
本発明は、電気機器、電子機器等における非磁
性部品や構造材料のための高強度非磁性冷延鋼板
に関し、特に、冷間圧延ままで高強度及びすぐれ
た磁気特性を有する冷延鋼板に関する。 (従来の技術) 強い磁場内で用いられる電気機器、電子機器
等、おける非磁性部品や構造材料は、磁場を乱さ
ず、また、渦電流を発生させないために、非磁性
鋼が用いられている。また、かかる部品や材料に
錆が発生すると、透磁率が上昇したり、周囲の精
密部品に有害な影響を与えるので、すぐれた耐食
性も要求される。更に、最近においては、機器の
小型化や軽量化の傾向が強く、このために、上記
特性に加えて、高い耐力を有することも要求され
るに至つている。 従来、上記のような非磁性部品や構造材料に
は、SUS304やSUS316鋼に代表されるオーステ
ナイト系ステンレス鋼が使用されている。これら
のステンレス鋼は、耐食性にすぐれ、且つ、磁気
特性にもすぐれて、透磁率は1.002と低いが、し
かし、耐力が低く、20〜30Kgf/mm2程度であるの
で、使用肉厚を厚くせざるを得ず、従つて、各種
機器の小型化や軽量化に対処できない。 他方、上記ステンレス鋼は、加工硬化性が非常
に高いので、冷間加工によつて容易に高耐力化し
得るが、反面、これに伴つて強磁性体であるα′マ
ルテンサイトが生成しやすく、このα′マルテンサ
イトによつて、非磁性鋼の生命ともいうべき透磁
率が悪化する。従つて、上記ステンレス鋼は、磁
気特性の安定化のために、冷間圧延後に溶体化処
理を施すことを余儀なくされており、冷間圧延ま
までは使用することができないので、耐力を高く
することができないという問題点を有している。 (発明の目的) 本発明は、非磁性鋼として用いられている上記
した従来のSUS304鋼や316鋼に代表されるオー
ステナイト系ステンレス鋼板における問題を解決
するためになされたものであつて、高い耐力とす
ぐれた磁気特性を兼ね備えた高強度非磁性ステン
レス冷延鋼板、特に、冷間圧延ままで高強度及び
すぐれた磁気特性を有する冷延鋼板を提供するこ
とを目的とする。 (発明の構成) 本発明による冷間圧延ままで高強度及びすぐれ
た磁気特性を有する冷延鋼板は、重量%で C 0.01〜0.15%、 Si 0.10〜2.00%、 Mn 16〜30%、 Ni 0.1〜15.0%、 Cr 12〜20%、 Mo 0.01〜3.00%、 P 0.035%以下、 S 0.010%以下、及び N 0.10〜0.35%を含有し、且つ、 X=Cr+1.5(Mo+Si) Y=30C+0.5Mn+Ni+40N (但し、上式において元素記号は鋼における当該
元素の重量%を示す。) とするとき、 Y≧−0.8X+32、且つ、 Y≧1.2X−2 を満足することを特徴とする。 先ず、本発明鋼において化学成分を限定した理
由を説明する。 Cは、オーステナイトの安定化と耐力の向上に
有効な元素である。添加量が0.01%よりも少ない
ときは、上記効果に乏しく、他方、0.15%を越え
て過多に添加するときは、耐食性や延性が低下す
るので、添加量の上限を0.15%とする。 Siは、鋼溶製時の脱酸に必要であると共に、耐
力の向上にも有効である。かかる効果を有効に発
現させるために0.10%以上を添加することが必要
である。しかし、2.00%を越えて過多に添加する
ときは、熱間加工性を阻害し、また、延性を低下
させるので、添加量は2.00%以下の範囲とする。 Mnも、Cと同様に、オーステナイトの安定化
効果を有すると共に、延性を向上させ、また、N
の固溶限を増大させる。更に、冷間加工に伴う
α′マルテンサイトの生成を抑制し、常磁性体であ
るε′マルテンサイト変態に移行させるのに非常に
有効である。かかる効果を有効に得るためには、
16%以上の添加を必要とする。しかし、30%を越
えて過多に添加するときは、熱間加工性が劣化
し、また、延性を劣化させるので、Mnの添加量
は30%以下の範囲とする。 Pは、鋼の熱間加工性及び靭性を損なうので、
本発明鋼においては、その含有量を極力抑えるこ
とが好ましいが、経済性を考慮して、含有量は
0.03%以下とする。 Sは、鋼の熱間加工性、冷間加工性及び延性を
損なうが、特に、冷間圧延材では延性を著しく損
なう。従つて、その含有量を極力抑えることが好
ましく、含有量は0.010%以下とする。 Niは、オーステナイトの安定化と靭性、延性
の向上に有効であり、かかる効果を有効に発現さ
せるためには、少なくとも0.1%の添加を要する。
しかし、過多に添加するときは、Nの固溶限を小
さくし、また、経済性を損なうので、Niの添加
量は0.1〜15.0%の範囲とする。 Crは、鋼に耐銹性を付与すると共に、耐力の
向上に有効な元素であり、これらの効果を有効に
得るために、本発明鋼においては、少なくとも12
%を添加することが必要である。他方、20%を越
える多量の添加は、δフエライトの生成を促し、
磁気特性を劣化させるので、添加量は12〜20%の
範囲とする。 Moは、冷間圧延ままでの耐食性を改善するた
めに有効であり、また、Mo炭化物を生成して、
Cr炭化物の粒界析出を抑制し、延性を向上させ
る効果を有する。かかる効果を有効に得るために
は、少なくとも0.01%の添加を要するが、しか
し、過多に添加するときは、熱間加工性を損なう
ので、添加量の上限は3.00%とする。 Nは、Cと同様に、オーステナイトの安定化と
耐力の向上に極めて有効である。更に、Mnと同
様に、冷間加工によるα′マルテンサイトの生成を
抑制し、常磁性体であるε′マルテンサイト変態に
移行させるのに非常に有効である。かかる効果を
有効に得るためには、0.10%の添加を必要とす
る。しかし、過多に添加するときは、熱間加工性
及び延性を劣化させるので、添加量の上限は0.35
%とする。 本発明鋼においては、上記した所定の化学成分
を有すると共に、 X=Cr+1.5(Mo+Si) ……(1) Y=30C+0.5Mn+Ni+40N ……(2) (但し、上式において元素記号は鋼における当該
元素の重量%を示す。) とするとき、 Y≧−0.8X+32 ……(3) Y≧1.2X−2 ……(4) を満足することが必要である。 小型溶解により得た表に示す化学組成を有する
鋼を厚さ4.0mmに熱間圧延した後、酸洗し、厚さ
2.0mmに冷間圧延して冷延鋼板を製造し、これら
について磁気特性を調査した結果を第1図に示
す。図中、付記した記号は表における鋼種を示
し、数値は50%冷間圧延後の透磁率を示す。 上記式(3)及び(4)を満足する斜線領域内にある本
発明鋼は、いずれも50%の冷間加工を施した後に
も、透磁率が1.01以下であつて、すぐれた磁気特
性を有する。尚、本発明においては、鋼の延性の
観点から、冷間加工率は50%以下とするのが好ま
しい。 更に、本発明鋼は、上記した化学成分に加え
て、Cuを0.01〜3.00%の範囲で含有することがで
きる。Cuは、オーステナイトの安定化と耐食性
の向上に有効である。しかし、添加量が0.01%よ
りも少ないときは上記効果がなく、他方、3.00%
を越える過多量の添加は、鋼の熱間加工性を劣化
させるので、添加量は0.01〜3.00%の範囲とす
る。 尚、本発明鋼がCuを含有する場合は、上記(2)
式にはCuが含まれるので、Yは次式(5)で表わさ
れる。 Y=30C+0.5Mn+Ni+Cu+40N ……(5) 更に、本発明鋼は、Cuと共に、又はCuとは別
に、 Nb 0.01〜0.30%、 V 0.01〜0.30%、及び Ti 0.01〜0.30% よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を
含有することができる。 Nb、V及びTiは、いずれも炭窒化物を形成
し、析出強化によつて耐力を向上させるのに効果
を有し、かかる効果を有効に発現させるために
は、それぞれの元素について、0.1%以上添加す
ることが必要である。しかし、その添加量がそれ
ぞれの元素について、0.30%を越えるときは、延
性を損なうのみならず、固溶C及びN量を低減
し、オーステナイトの安定度を低くする。従つ
て、各元素の添加量は、上記のように、0.01〜
0.30%の範囲とする。 また、本発明鋼は、上記した諸元素と共に、又
は独立して、Al、Ca、Ce及びZrよりなる群から
選ばれる1種又は2種以上の元素を総量にて
0.001〜0.100%含有することができる。これらの
元素は、鋼の清浄度を向上させるのに有効であ
る。また、Ca、Ce及びZrは、硫化物を球状化さ
せて、延性を向上させるのにも有効である。かか
る効果を有効に発現させるためには、上記1種又
は2種以上の元素を総量にて0.001%以上添加す
ることが必要である。しかし、過多に添加する場
合は、却つて鋼の洗浄度を劣化させ、また、延性
及び靭性を阻害するので、添加量は総量にて
0.100%以下とする。 (発明の効果) 以上のように、本発明によれば、化学成分を調
整することによつて、冷間加工による組織変化を
α′マルテンサイト変態から常磁性体であるε′マル
テンサイト変態に移行させることによつて、磁気
特性を損なうことなく、高耐力化を実現した非磁
性冷延鋼板を得ることができ、この冷延鋼板は、
従来、非磁性鋼として広く用いられている
SUS304オーステナイト系ステンレス鋼に比較し
て、3〜7倍の高耐力を有している。従つて、例
えば、SUS304鋼を使用すると、2.0mmの厚さが必
要な部材において、本発明鋼を適用すれば、厚さ
は0.3〜0.6mmでよく、各種電気機器、電子機器等
の小型化及び軽量化を達成することができる。 (実施例) 以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本
発明はこれら実施例によつて何ら限定されるもの
ではない。 実施例 1 表に示す化学組成を有する本発明鋼A〜E及び
比較鋼F〜Lについて、前記(3)式及び(4)式によつ
て規定する化学成分と、50%冷間圧延後の透磁率
との関係を図面に示す。 次に、表に示す化学成分を有する本発明鋼A〜
E及び比較鋼F〜Lを小型真空溶解炉にて溶製し
た鋼塊を鍛造後、熱間圧延して、厚さ4.0mmの熱
延板を製造した。次いで、これを酸洗した後、厚
さ1.6〜3.8mmの冷延鋼板を製造した。また、一部
の冷延鋼板は、これを950〜1200℃で溶体化処理
した。 冷間加工率、製造履歴、引張特性、透磁率及び
耐食性を表に示す。 本発明鋼A〜Eは、いずれも冷間圧延ままにて
耐力が70Kgf/mm2以上、伸びが5%以上であつて
引張特性にすぐれるのみならず、透磁率が1.01と
低く、更に、耐食性にもすぐれている。 一方、比較鋼FはSUS304L鋼であり、冷間圧
性部品や構造材料のための高強度非磁性冷延鋼板
に関し、特に、冷間圧延ままで高強度及びすぐれ
た磁気特性を有する冷延鋼板に関する。 (従来の技術) 強い磁場内で用いられる電気機器、電子機器
等、おける非磁性部品や構造材料は、磁場を乱さ
ず、また、渦電流を発生させないために、非磁性
鋼が用いられている。また、かかる部品や材料に
錆が発生すると、透磁率が上昇したり、周囲の精
密部品に有害な影響を与えるので、すぐれた耐食
性も要求される。更に、最近においては、機器の
小型化や軽量化の傾向が強く、このために、上記
特性に加えて、高い耐力を有することも要求され
るに至つている。 従来、上記のような非磁性部品や構造材料に
は、SUS304やSUS316鋼に代表されるオーステ
ナイト系ステンレス鋼が使用されている。これら
のステンレス鋼は、耐食性にすぐれ、且つ、磁気
特性にもすぐれて、透磁率は1.002と低いが、し
かし、耐力が低く、20〜30Kgf/mm2程度であるの
で、使用肉厚を厚くせざるを得ず、従つて、各種
機器の小型化や軽量化に対処できない。 他方、上記ステンレス鋼は、加工硬化性が非常
に高いので、冷間加工によつて容易に高耐力化し
得るが、反面、これに伴つて強磁性体であるα′マ
ルテンサイトが生成しやすく、このα′マルテンサ
イトによつて、非磁性鋼の生命ともいうべき透磁
率が悪化する。従つて、上記ステンレス鋼は、磁
気特性の安定化のために、冷間圧延後に溶体化処
理を施すことを余儀なくされており、冷間圧延ま
までは使用することができないので、耐力を高く
することができないという問題点を有している。 (発明の目的) 本発明は、非磁性鋼として用いられている上記
した従来のSUS304鋼や316鋼に代表されるオー
ステナイト系ステンレス鋼板における問題を解決
するためになされたものであつて、高い耐力とす
ぐれた磁気特性を兼ね備えた高強度非磁性ステン
レス冷延鋼板、特に、冷間圧延ままで高強度及び
すぐれた磁気特性を有する冷延鋼板を提供するこ
とを目的とする。 (発明の構成) 本発明による冷間圧延ままで高強度及びすぐれ
た磁気特性を有する冷延鋼板は、重量%で C 0.01〜0.15%、 Si 0.10〜2.00%、 Mn 16〜30%、 Ni 0.1〜15.0%、 Cr 12〜20%、 Mo 0.01〜3.00%、 P 0.035%以下、 S 0.010%以下、及び N 0.10〜0.35%を含有し、且つ、 X=Cr+1.5(Mo+Si) Y=30C+0.5Mn+Ni+40N (但し、上式において元素記号は鋼における当該
元素の重量%を示す。) とするとき、 Y≧−0.8X+32、且つ、 Y≧1.2X−2 を満足することを特徴とする。 先ず、本発明鋼において化学成分を限定した理
由を説明する。 Cは、オーステナイトの安定化と耐力の向上に
有効な元素である。添加量が0.01%よりも少ない
ときは、上記効果に乏しく、他方、0.15%を越え
て過多に添加するときは、耐食性や延性が低下す
るので、添加量の上限を0.15%とする。 Siは、鋼溶製時の脱酸に必要であると共に、耐
力の向上にも有効である。かかる効果を有効に発
現させるために0.10%以上を添加することが必要
である。しかし、2.00%を越えて過多に添加する
ときは、熱間加工性を阻害し、また、延性を低下
させるので、添加量は2.00%以下の範囲とする。 Mnも、Cと同様に、オーステナイトの安定化
効果を有すると共に、延性を向上させ、また、N
の固溶限を増大させる。更に、冷間加工に伴う
α′マルテンサイトの生成を抑制し、常磁性体であ
るε′マルテンサイト変態に移行させるのに非常に
有効である。かかる効果を有効に得るためには、
16%以上の添加を必要とする。しかし、30%を越
えて過多に添加するときは、熱間加工性が劣化
し、また、延性を劣化させるので、Mnの添加量
は30%以下の範囲とする。 Pは、鋼の熱間加工性及び靭性を損なうので、
本発明鋼においては、その含有量を極力抑えるこ
とが好ましいが、経済性を考慮して、含有量は
0.03%以下とする。 Sは、鋼の熱間加工性、冷間加工性及び延性を
損なうが、特に、冷間圧延材では延性を著しく損
なう。従つて、その含有量を極力抑えることが好
ましく、含有量は0.010%以下とする。 Niは、オーステナイトの安定化と靭性、延性
の向上に有効であり、かかる効果を有効に発現さ
せるためには、少なくとも0.1%の添加を要する。
しかし、過多に添加するときは、Nの固溶限を小
さくし、また、経済性を損なうので、Niの添加
量は0.1〜15.0%の範囲とする。 Crは、鋼に耐銹性を付与すると共に、耐力の
向上に有効な元素であり、これらの効果を有効に
得るために、本発明鋼においては、少なくとも12
%を添加することが必要である。他方、20%を越
える多量の添加は、δフエライトの生成を促し、
磁気特性を劣化させるので、添加量は12〜20%の
範囲とする。 Moは、冷間圧延ままでの耐食性を改善するた
めに有効であり、また、Mo炭化物を生成して、
Cr炭化物の粒界析出を抑制し、延性を向上させ
る効果を有する。かかる効果を有効に得るために
は、少なくとも0.01%の添加を要するが、しか
し、過多に添加するときは、熱間加工性を損なう
ので、添加量の上限は3.00%とする。 Nは、Cと同様に、オーステナイトの安定化と
耐力の向上に極めて有効である。更に、Mnと同
様に、冷間加工によるα′マルテンサイトの生成を
抑制し、常磁性体であるε′マルテンサイト変態に
移行させるのに非常に有効である。かかる効果を
有効に得るためには、0.10%の添加を必要とす
る。しかし、過多に添加するときは、熱間加工性
及び延性を劣化させるので、添加量の上限は0.35
%とする。 本発明鋼においては、上記した所定の化学成分
を有すると共に、 X=Cr+1.5(Mo+Si) ……(1) Y=30C+0.5Mn+Ni+40N ……(2) (但し、上式において元素記号は鋼における当該
元素の重量%を示す。) とするとき、 Y≧−0.8X+32 ……(3) Y≧1.2X−2 ……(4) を満足することが必要である。 小型溶解により得た表に示す化学組成を有する
鋼を厚さ4.0mmに熱間圧延した後、酸洗し、厚さ
2.0mmに冷間圧延して冷延鋼板を製造し、これら
について磁気特性を調査した結果を第1図に示
す。図中、付記した記号は表における鋼種を示
し、数値は50%冷間圧延後の透磁率を示す。 上記式(3)及び(4)を満足する斜線領域内にある本
発明鋼は、いずれも50%の冷間加工を施した後に
も、透磁率が1.01以下であつて、すぐれた磁気特
性を有する。尚、本発明においては、鋼の延性の
観点から、冷間加工率は50%以下とするのが好ま
しい。 更に、本発明鋼は、上記した化学成分に加え
て、Cuを0.01〜3.00%の範囲で含有することがで
きる。Cuは、オーステナイトの安定化と耐食性
の向上に有効である。しかし、添加量が0.01%よ
りも少ないときは上記効果がなく、他方、3.00%
を越える過多量の添加は、鋼の熱間加工性を劣化
させるので、添加量は0.01〜3.00%の範囲とす
る。 尚、本発明鋼がCuを含有する場合は、上記(2)
式にはCuが含まれるので、Yは次式(5)で表わさ
れる。 Y=30C+0.5Mn+Ni+Cu+40N ……(5) 更に、本発明鋼は、Cuと共に、又はCuとは別
に、 Nb 0.01〜0.30%、 V 0.01〜0.30%、及び Ti 0.01〜0.30% よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を
含有することができる。 Nb、V及びTiは、いずれも炭窒化物を形成
し、析出強化によつて耐力を向上させるのに効果
を有し、かかる効果を有効に発現させるために
は、それぞれの元素について、0.1%以上添加す
ることが必要である。しかし、その添加量がそれ
ぞれの元素について、0.30%を越えるときは、延
性を損なうのみならず、固溶C及びN量を低減
し、オーステナイトの安定度を低くする。従つ
て、各元素の添加量は、上記のように、0.01〜
0.30%の範囲とする。 また、本発明鋼は、上記した諸元素と共に、又
は独立して、Al、Ca、Ce及びZrよりなる群から
選ばれる1種又は2種以上の元素を総量にて
0.001〜0.100%含有することができる。これらの
元素は、鋼の清浄度を向上させるのに有効であ
る。また、Ca、Ce及びZrは、硫化物を球状化さ
せて、延性を向上させるのにも有効である。かか
る効果を有効に発現させるためには、上記1種又
は2種以上の元素を総量にて0.001%以上添加す
ることが必要である。しかし、過多に添加する場
合は、却つて鋼の洗浄度を劣化させ、また、延性
及び靭性を阻害するので、添加量は総量にて
0.100%以下とする。 (発明の効果) 以上のように、本発明によれば、化学成分を調
整することによつて、冷間加工による組織変化を
α′マルテンサイト変態から常磁性体であるε′マル
テンサイト変態に移行させることによつて、磁気
特性を損なうことなく、高耐力化を実現した非磁
性冷延鋼板を得ることができ、この冷延鋼板は、
従来、非磁性鋼として広く用いられている
SUS304オーステナイト系ステンレス鋼に比較し
て、3〜7倍の高耐力を有している。従つて、例
えば、SUS304鋼を使用すると、2.0mmの厚さが必
要な部材において、本発明鋼を適用すれば、厚さ
は0.3〜0.6mmでよく、各種電気機器、電子機器等
の小型化及び軽量化を達成することができる。 (実施例) 以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本
発明はこれら実施例によつて何ら限定されるもの
ではない。 実施例 1 表に示す化学組成を有する本発明鋼A〜E及び
比較鋼F〜Lについて、前記(3)式及び(4)式によつ
て規定する化学成分と、50%冷間圧延後の透磁率
との関係を図面に示す。 次に、表に示す化学成分を有する本発明鋼A〜
E及び比較鋼F〜Lを小型真空溶解炉にて溶製し
た鋼塊を鍛造後、熱間圧延して、厚さ4.0mmの熱
延板を製造した。次いで、これを酸洗した後、厚
さ1.6〜3.8mmの冷延鋼板を製造した。また、一部
の冷延鋼板は、これを950〜1200℃で溶体化処理
した。 冷間加工率、製造履歴、引張特性、透磁率及び
耐食性を表に示す。 本発明鋼A〜Eは、いずれも冷間圧延ままにて
耐力が70Kgf/mm2以上、伸びが5%以上であつて
引張特性にすぐれるのみならず、透磁率が1.01と
低く、更に、耐食性にもすぐれている。 一方、比較鋼FはSUS304L鋼であり、冷間圧
【表】
【表】
延ままでは透磁率が悪く、一方、溶体化処理材は
耐力が低い。比較鋼G〜Lは、いずれも化学成分
組成が本発明で規定する範囲をはずれており、透
磁率及び/又は耐食性が悪い。
耐力が低い。比較鋼G〜Lは、いずれも化学成分
組成が本発明で規定する範囲をはずれており、透
磁率及び/又は耐食性が悪い。
図面は、本発明鋼及び比較鋼の50%冷間圧延後
の透磁率と化学成分との関係を示すグラフであ
る。
の透磁率と化学成分との関係を示すグラフであ
る。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 重量%で C 0.01〜0.15%、 Si 0.10〜2.00%、 Mn 16〜30%、 Ni 0.1〜15.0%、 Cr 12〜20%、 Mo 0.01〜3.00%、 P 0.035%以下、 S 0.010%以下、及び N 0.10〜0.35%を含有し、且つ、 X=Cr+1.5(Mo+Si) Y=30C+0.5Mn+Ni+40N (但し、上式において元素記号は鋼における当該
元素の重量%を示す。) とするとき、 Y≧−0.8X+32、且つ、 Y≧1.2X−2 を満足することを特徴とする冷間圧延ままで高強
度及びすぐれた磁気特性を有する冷延鋼板。 2 重量%で (a) C 0.01〜0.15%、 Si 0.10〜2.00%、 Mn 16〜30%、 Ni 0.1〜15.0%、 Cr 12〜20%、 Mo 0.01〜3.00%、 P 0.035%以下、 S 0.010%以下、及び N 0.10〜0.35%を含有し、更に、 (b) Cu 0.01〜3.00%を含有し、且つ、 X=Cr+1.5(Mo+Si) Y=30C+0.5Mn+Ni+Cu+40N (但し、上式において元素記号は鋼における当
該元素の重量%を示す。) とするとき、 Y≧−0.8X+32、且つ、 Y≧1.2X−2 を満足することを特徴とする冷間圧延ままで高
強度及びすぐれた磁気特性を有する冷延鋼板。 3 重量%で (a) C 0.01〜0.15%、 Si 0.10〜2.00%、 Mn 16〜30%、 Ni 0.1〜15.0%、 Cr 12〜20%、 Mo 0.01〜3.00%、 P 0.035%以下、 S 0.010%以下、及び N 0.10〜0.35%を含有し、更に、 (b) Nb 0.01〜0.30%、 V 0.01〜0.30%、及び Ti 0.01〜0.30% よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素
を含有し、且つ、 X=Cr+1.5(Mo+Si) Y=30C+0.5Mn+Ni+40N (但し、上式において元素記号は鋼における当該
元素の重量%を示す。) とするとき、 Y≧−0.8X+32、且つ、 Y≧1.2X−2 を満足することを特徴とする冷間圧延ままで高強
度及びすぐれた磁気特性を有する冷延鋼板。 4 重量%で (a) C 0.01〜0.15%、 Si 0.10〜2.00%、 Mn 16〜30%、 Ni 0.1〜15.0%、 Cr 12〜20%、 Mo 0.01〜3.00%、 P 0.035%以下、 S 0.010%以下、及び N 0.10〜0.35%を含有し、更に、 (b) Al、Ca、Ce及びZrよりなる群から選ばれる
1種又は2種以上の元素を総量にて0.001〜
0.100%含有し、且つ、 X=Cr+1.5(Mo+Si) Y=30C+0.5Mn+Ni+40N (但し、上式において元素記号は鋼における当
該元素の重量%を示す。) とするとき、 Y≧−0.8X+32、且つ、 Y≧1.2X−2 を満足することを特徴とする冷間圧延ままで高
強度及びすぐれた磁気特性を有する冷延鋼板。 5 重量%で (a) C 0.01〜0.15%、 Si 0.10〜2.00%、 Mn 16〜30%、 Ni 0.1〜15.0%、 Cr 12〜20%、 Mo 0.01〜3.00%、 P 0.035%以下、 S 0.010%以下、及び N 0.10〜0.35%を含有し、更に、 (b) Cu 0.01〜3.00%と、 (c) Nb 0.01〜0.30%、 V 0.01〜0.30%、及び Ti 0.01〜0.30% よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素
と、 (d) Al、Ca、Ce及びZrよりなる群から選ばれる
1種又は2種以上の元素とを総量にて0.001〜
0.100%含有し、且つ、 X=Cr+1.5(Mo+Si) Y=30C+0.5Mn+Ni+Cu+40N (但し、上式において元素記号は鋼における当
該元素の重量%を示す。) とするとき、 Y≧−0.8X+32、且つ、 Y≧1.2X−2 を満足することを特徴とする冷間圧延ままで高
強度及びすぐれた磁気特性を有する冷延鋼板。 6 重量%で (a) C 0.01〜0.15%、 Si 0.10〜2.00%、 Mn 16〜30%、 Ni 0.1〜15.0%、 Cr 12〜20%、 Mo 0.01〜3.00%、 P 0.035%以下、 S 0.010%以下、及び N 0.10〜0.35%を含有し、更に、 (b) Cu 0.01〜3.00%と、 (c) Al、Ca、Ce及びZrよりなる群から選ばれる
1種又は2種以上の元素を総量にて0.001〜
0.100%含有し、且つ、 X=Cr+1.5(Mo+Si) Y=30C+0.5Mn+Ni+Cu+40N (但し、上式において元素記号は鋼における当
該元素の重量%を示す。) とするとき、 Y≧−0.8X+32、且つ、 Y≧1.2X−2 を満足することを特徴とする冷間圧延ままで高
強度及びすぐれた磁気特性を有する冷延鋼板。 7 重量%で (a) C 0.01〜0.15%、 Si 0.10〜2.00%、 Mn 16〜30%、 Ni 0.1〜15.0%、 Cr 12〜20%、 Mo 0.01〜3.00%、 P 0.035%以下、 S 0.010%以下、及び N 0.10〜0.35%を含有し、更に、 (b) Nb 0.01〜0.30%、 V 0.01〜0.30%、及び Ti 0.01〜0.30% よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素
と、 (c) Al、Ca、Ce及びZrよりなる群から選ばれる
1種又は2種以上の元素を総量にて0.001〜
0.100%含有し、且つ、 X=Cr+1.5(Mo+Si) Y=30C+0.5Mn+Ni+40N (但し、上式において元素記号は鋼における当
該元素の重量%を示す。) とするとき、 Y≧−0.8X+32、且つ、 Y≧1.2X−2 を満足することを特徴とする冷間圧延ままで高
強度及びすぐれた磁気特性を有する冷延鋼板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP60296955A JPS62156257A (ja) | 1985-12-27 | 1985-12-27 | 高強度非磁性冷延鋼板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP60296955A JPS62156257A (ja) | 1985-12-27 | 1985-12-27 | 高強度非磁性冷延鋼板 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS62156257A JPS62156257A (ja) | 1987-07-11 |
JPH0475305B2 true JPH0475305B2 (ja) | 1992-11-30 |
Family
ID=17840345
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP60296955A Granted JPS62156257A (ja) | 1985-12-27 | 1985-12-27 | 高強度非磁性冷延鋼板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS62156257A (ja) |
Families Citing this family (5)
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JPH0759723B2 (ja) * | 1988-12-07 | 1995-06-28 | 新日本製鐵株式会社 | 高硬度非磁性ステンレス鋼の製造方法 |
US8535606B2 (en) * | 2008-07-11 | 2013-09-17 | Baker Hughes Incorporated | Pitting corrosion resistant non-magnetic stainless steel |
JP5597006B2 (ja) * | 2010-03-26 | 2014-10-01 | 新日鐵住金ステンレス株式会社 | 構造部材用高強度および高延性オーステナイト系ステンレス鋼板およびその製造方法 |
JP6259621B2 (ja) | 2012-09-27 | 2018-01-10 | 新日鐵住金ステンレス株式会社 | 冷間加工性、耐食性に優れた超非磁性軟質ステンレス鋼線材及びその製造方法、鋼線、鋼線コイル並びにその製造方法 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6013022A (ja) * | 1983-07-04 | 1985-01-23 | Kobe Steel Ltd | 非磁性鋼板の製造方法 |
-
1985
- 1985-12-27 JP JP60296955A patent/JPS62156257A/ja active Granted
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPS6013022A (ja) * | 1983-07-04 | 1985-01-23 | Kobe Steel Ltd | 非磁性鋼板の製造方法 |
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JPS62156257A (ja) | 1987-07-11 |
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