JPH0474973B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は脱穀後の藁稈の稈身方向にそつて回転
軸を装架しこの回転軸に円形刃を適当間隔おきに
取付けて藁稈を切断する藁稈切断装置において、
その切断長を変更可能にする装置に関するもので
あり、 その目的とするところは藁稈の切断長の変更を
簡単且つ容易に行なえるようにすると共にその何
れにおいては藁稈の姿勢を乱すことなく切断作用
を円滑確実に行なわせようとするものであり、こ
の目的遂行のために、上下に低速回転軸とこの両
低速回転軸の間でこれら低速回転軸に対向する高
速回転軸とを夫々平行に横架し、高速回転軸には
取付間隔小なる円形刃を備え、上記低速回転軸の
うち下方のものには取付間隔大にして高速の円形
刃と幾つかおきに重合せしめて常時切断状態とな
し、上方の低速回転軸には高速の円形刃と取付間
隔同一なる円形刃を備え高速の円形刃と重合また
は離間して切断状態と非切断状態とに変更可能に
し非切断状態のとき上方の低速の円形刃と高速の
円形刃の間を下方の低速円形刃への藁稈通路とし
たことを要旨とするものである。

従来、この種の藁稈切断装置において、切断長
を変更するには、一対の高低両回転刃軸を取出し
て円形刃の取付間隔変更のための組替えを行なう
ものや、大小の円形刃を交互に双方の回転刃軸に
取付け一方の回転刃軸を軸方向に移動させたり、
また回転刃軸を中心にして円形刃の取付間隔を異
にした周辺回転軸を公転変位させることにより行
なわせるものなどであつたが、それらのものにあ
つてはそのそれぞれに不具合点が存していたので
ある。

本発明は上述の如き技術構成のものを創作する
ことによつてその目的を遂行しようとするもので
ある。

以下、本発明を実施例図に基づいて説明する。

第１図はコンバインの後部に本発明による藁稈
切断装置を装着せる状態を示した側面図であり、
１は吸塵機などを配備する排塵室でその上方には
脱穀済の排藁を後方に移送する搬送装置２が設け
られている。３は切断装置を内蔵する機筐であつ
て左右の両側壁４，５は上下の横杆６，７によつ
て対設し上壁８前壁９後壁１０によつて筐状に形
成している。１１，１２は前壁９側において上下
に平行に横架せる各低速回転軸であり、１３は後
壁１０側に位置し各低速回転軸１１，１２の間で
これら各回転軸１１，１２に対向して平行に横架
せる高速回転軸である。これらの各回転軸１１，
１２，１３は第２図と第３図に示す如くこの高速
回転軸１３と下方の低速回転軸１２は左右の両側
壁４，５の軸受１４，１４ａ，１５，１５ａによ
つて回動自在に横架し上方の低速回転軸１１は後
述する左右の変位板１７，１７ａの上部に取着せ
る軸受１６ａによつて横架してある。１８は高速
回転軸１３の左端に取着せるプーリー、１９，２
０はこの高速回転軸１３から下方の低速回転軸１
２に動力を伝達するギヤー、２１，２２は下方の
低速回転軸１２から上方の低速回転軸１１を伝動
する同径のスプロケツトであり、プーリー１８と
非塵室１側部に設けた駆動プーリー２３にベルト
２４を掛渡し、スプロケツト２１，２２にはチエ
ン２５が懸回されている。

また、上方の低速回転軸１１と高速回転軸１３
には藁稈の株元側となる左側に翼板２６，２７を
取着し他の部分には等間隔に円形刃２８，２９を
取付け、各円形刃２８の取付間隔P₁と各円形刃
２９の取付間隔P₂は共に小にして同一である。

しかして上記変位板１７，１７ａの下部は下方
の低速回転軸１２に回転自在に嵌合せる軸受３
０，３０ａに取着してこの低速回転軸１２を中心
に高速回転軸１３に近かづいたり遠ざかつたりす
る如く揺動可能にしてある。第１図及び第７図に
仮想線３１で示すものは上記の上方の低速回転軸
１１が揺動するため左右両側壁に設けた長穴であ
り、３２，３３は下方の低速回転軸１２と高速回
転軸１３を側方に引出す際容易にするための長穴
である。

次に上記の上方の低速回転軸１１を揺動させる
構成について述べる。

この揺動は上方の低速回転軸１１を高速回転軸
１３に対して平行状態のまま近づけたり遠ざけた
りするもので第４図に示す如く、右側に設けた切
換杆３４の操作によつてワイヤー３５を介して左
右同時に変位させる構成であり、その構成は左右
対象的に構成されている。３６，３６ａは前記上
方の横杆６近傍において両端を両側壁４，５に貫
通して回動可能に横設した作動パイプ３７の両端
部に溶着せる揺動杆で下端は外方に屈曲した折曲
部３８，３８ａを形設しこの折曲部３８，３８ａ
の上方寄りには変位板１７，１７ａの上端近くに
外側に向け突設せる突部３９，３９ａに係合する
やや上下方向に長い係合孔４０，４０ａを突設す
る。また上下方向の中程部には内側に向け揺動固
定板４１，４１ａを固設しこの揺動固定板４１，
４１ａは後述する縦杆４２，４２ａが挿通する係
止孔４３，４３ａを設け、さらに上端近くには外
側に向け支持板３６ｂ，３６ｃを突設する。上記
変位板１７，１７ａの上端における前側部には第
７図に示すように側方から見てヘの字形の軸固定
板４４，４４ａを上記揺動固定板４１，４１ａと
同様内側に向け固設し、左右両側壁４，５には揺
動固定板４１，４１ａと軸固定板４４，４４ａの
間に外側に向け逆ヘの字形の固定板４５，４５ａ
を固設する。そして上記軸固定板４４，４４ａと
固定板４５，４５ａがそれぞれヘの字形に形成せ
る各辺に上記縦杆４２，４２ａが挿通する係止孔
４６，４６ａ，４７，４７ａを穿設する。

この縦杆４２，４２ａの上端部は四角体をなし
第５図に示す如くコの字形の切換金４８，４８ａ
の開放部にピン４９，４９ａを介して係合し、切
換金４８，４８ａは前記揺動杆３６，３６ａ及び
支持板３６ｂ，３６ｃを摺動自在に挾扼し、外端
部は支持板３６ｂ，３６ｃの先端部に挿通した支
点軸５０，５０ａに嵌合せしめてこの支点軸５
０，５０ａを軸に上下動可能に構成する。尚、５
１，５１ａと５１ｂ，５１ｃは縦杆４２，４２ａ
の上端部を摺動自在に左右から挾持する案内杆で
あり、５２，５２ａは前記揺動杆３６，３６ａの
下端の折曲部３８，３８ａと切換金４８，４８ａ
の適所とを連結する弾機である。

そして右側の切換金４８ａは支持軸５０ａ部か
ら上方に延出しこれに前記切換杆３４を連結し前
記ワイヤー３５は作動パイプ３７内を左側に挿通
して先端を切換金４８の左右方向中程部に係着し
右側の基端は切換金４８ａの上方に延出せる上端
部に連繋してある。

なお、切換杆３４は第６図に示す前後の案内溝
５３，５４とこれを連結する移動溝５５にそつて
切換操作可能に構成してある。

本発明における上方の低速回転軸１１を揺動さ
せる構成は以上の通りであり、切換杆３４を弾機
５２，５２ａに抗して右方に移動すれば第４図実
線に示す状態から仮想線に示す状態となる。

即ち、左側においてはワイヤー３５が切換金４
８を支点軸５０を軸にして上方に引上げられ縦杆
４２は係止孔４６，４７より脱して変位板１７と
揺動杆３６は固定状態が解除された状態となり、
これに連動して右側においても切換金４８ａが支
点軸５０ａを軸にて上方に引上げられ変位板１７
ａと揺動杆３６ａは固定状態を解除される。

そこで、切換杆３４を移動溝５５にそつて第６
図矢印イ方向の後側に移動すれば切換金４８，４
８ａは挾扼状態の揺動杆３６，３６ａを作動パイ
プ３７を支点にして前方に向つて揺動させるから
変位杆１７，１７ａは突部３９，３９ａによつて
軸受３０，３０ａを軸にて共に前方に移動し上方
の低速回転軸１１は高速回転軸１３より遠ざかる
こととなり、さらに弾機５２，５２ａの引張力に
より後案内溝５４を左方に移動すると縦杆４２，
４２ａが係止孔４７，４７ａ，４６，４６ａに挿
通して変位板１７，１７ａと揺動杆３６，３６ａ
は固定され第７図に実線に示す状態となり上方の
低速回転軸１１に取付けた円形刃２８は高速回転
軸１３に取付けた円形刃２９から離間し両円形刃
２８，２９の間に下方の低速の円形刃５７への藁
稈通路Ｒを形成する。

前記の下方の低速回転軸１２には上方の低速回
転軸１１と高速回転軸１３と同様藁稈の株元側と
なる左側に翼板５６を取着し他の部分には等間隔
に円形刃５７を取付け各円形刃５７の取付間隔
P₃は大にして高速の円形刃２９と幾つかおきに
重合せしめて常時切断状態に配置してある。実施
例のものは第２図に示す如くその取付間隔P₃は
高速の円形刃２９の取付間隔P₂の４倍にしてあ
る。

５７ａは円形刃５７間に取着せる掻出板であ
り、５８は機筐３の後壁１０上部を開閉し且つ前
倒可能にもして搬送装置２により送られてくる藁
稈を切断することなく後方に排出する切替板であ
る。

そこで、切替板５８を第１図実線に示す状態に
しておいて、駆動プーリー２３の動力をベルト３
４・ギヤ１９，２０・チエン２５を介して各回転
軸１３，１２，１１に伝達し夫々の円形刃２９，
５７，２８を矢印ロに示す方向に回動させるか
ら、搬送装置２によつて送られてくる藁稈は上方
の低速の円形刃２８によつてその稈身が乱される
ことなく各回転軸１１，１２，１３に平行姿勢を
保つて藁稈通路Ｒを落下し取付間隔P₃の長さに
長く切断され掻出板５７ａに跳出されて機筐３下
方に落下する。

次ぎに、藁稈を短かく切断するには、後案内溝
５４に位置する切換杆３４を後案内溝５４にそつ
て右方に移動すれば前述と同様第４図に仮想線で
示す状態となりこの状態から切換杆３４を移動溝
５５にそい前記矢印イとは逆方の前側に移動すれ
ば切換金４８，４８ａは揺動杆３６，３６ａを後
方に向けて揺動して変位板１７，１７ａを変位せ
しめ上方の低速回転軸１１は高速回転軸１３に近
かづきその円形刃２８は第２図仮想線に示す如く
夫々高速側の円形刃２９にそれぞれ重合して切断
状態となる。

この場合は搬送装置２によつて送られてくる藁
稈は上方の低速なる円形刃２８に受継がれて稈身
の姿勢を乱すことなく高速の円形刃２９との共働
によつて（P₁＝P₂）の長さに短かく切断されて
この切断された藁稈は掻出板５７ａにより下方に
跳出される。

本発明は以上詳述せるが如く、藁稈の稈身方向
にそつて回転軸を装架しこの回転軸に円形刃を適
当間隔おきに取付けて藁稈を切断する藁稈切断装
置において、上下に低速回転軸とこの低速回転軸
の間でこれら低速回転軸に対向する高速回転軸と
を夫々平行に横架し、高速回転軸には取付間隔小
なる円形刃を備え上記低速回転軸のうち下方のも
のには取付間隔大にして高速の円形刃と幾つかお
きに重合せしめて常時切断状態となし、上方の低
速回転軸には高速の円形刃と取付間隔同一なる円
形刃を備え高速の円形刃と重合または離間して切
断状態と非切断状態とに変更可能にし非切断状態
のとき上方の低速の円形刃と高速の円形刃の間を
下方の低速の円形刃への藁稈通路に形成した構成
としたから、切換杆を切換え操作するだけで上方
の低速回転軸が高速回転軸に近かづいたり遠ざか
つたりして切断長の短かい切断状態と非切断状態
とに切替でき、上方の低速の円形刃と高速の円形
刃によつて短かく切断するから下方の低速の円形
刃と高速の円形刃は長く切断する切断状態に常に
配置してあるに拘らず一向に切断作用の支障とは
ならない。また切断長を長短何れに変更する場合
でも藁稈は低速の円形刃によつて切断位置まで送
られるから稈身方向が乱れず構成を簡単にしなが
ら容易且つ円滑確実に切断できる等の効果を奏す
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施態様を例示せるものにし
て、第１図はコンバインの後部に本発明装置を装
着せる状態の側面図、第２図は本装置における要
部の左半部を示す図であり、第３図は同右半部を
示したものである。第４図は本装置の要部の抽出
図、第５図及び第６図は第４図における一部の平
面図、第７図は同要部の左側面図である。 主要部の符号説明、１１，１２……低速回転
軸、１３……高速回転軸、P₁，P₂，P₃……取付
間隔、２８，２９，５７……円形刃、Ｒ……藁稈
通路。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 藁稈の稈身方向にそつて回転軸を装架しこの
   回転軸に円形刃を適当間隔おきに取付けて藁稈を
   切断する藁稈切断装置において、上下に低速回転
   軸とこの両低速回転軸の間でこれら低速回転軸に
   対向する高速回転軸とを夫々平行に横架し、高速
   回転軸には取付間隔小なる円形刃を備え、上記低
   速回転軸のうち下方のものには取付間隔大にして
   高速の円形刃と幾つかおきに重合せしめて常時切
   断状態となし、上方の低速回転軸には高速の円形
   刃と取付間隔同一なる円形刃を備え高速の円形刃
   と重合または離間して切断状態と非切断状態とに
   変更可能にし非切断状態のとき上方の低速の円形
   刃と高速の円形刃の間を下方の低速円形刃への藁
   稈通路としたことを特徴とする切断長変更可能な
   藁稈切断装置。