JPH0472561B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の利用分野］ 本発明は、水中に混入した油分や水面上の油膜
などを除去するための油吸着材に関する。

［従来の技術］ 従来、油吸着材としてポリエチレンやポリプロ
ピレン等の繊維あるいはポリウレタン等の発泡樹
脂等をマツト状に形成したものが知られている。
しかしながらこれら従来のマツト状油吸着材は、
多量の流出油や水面上などに層状に多量に浮遊す
る油の回収には効果があるが、水面上などに微量
に浮遊する油膜に対しては、油の吸着力が小さい
ためこれを浮べているだけでは周囲の油膜を十分
に吸い寄せることはできず、油の効果的な回収は
きわめて困難であり、ましてや水中に混入してい
る油分の回収はほとんど不可能であつた。

かかる微量の油膜や水中の油分の回収除去手段
としては、油吸着材による吸着濾過手段がすぐれ
ており、このため種々の油吸着材が提案されてい
る。しかしながらマツト状の油吸着材は通水性が
悪いため、特に水中に含まれる油分の吸着濾過に
は余り効果がなく、また破砕溶融粒塊化した油吸
着材は保油力が小さいためにせつかく吸着した油
が水に洗い流されるなどして流出してしまいやす
く、またマツト状、帯状の油吸着材は特殊な装置
との組合せが必要であつたり、さらにマツト状の
油吸着材は形状の制限などの使用上の様々な制約
があり、種々の装置等に自由に適用し難いなど、
その取扱い性には多くの問題点があつた。また、
吸着材の交換作業を容易にするために不織布、連
続気泡性スポンジシート等を所定の形に成形し、
その外面の一部に熱溶融加工を施してカセツト化
する提案もなされている（実開昭52−33650）。し
かし、カセツト化により交換作業は容易になるも
のの、熱溶融加工は非常に難しい欠点を有する。

更には微粉や油吸着材を形成する物質の一部が
流出しやすく、これが食品衛生上や取り扱い保守
管理上の問題あるいは二次公害を惹起する原因と
なるなど種々の欠点があつた。

［発明の目的］ 本発明は上記事情に鑑みなされたもので、本発
明は種々のすぐれた諸性質を具備する油吸着材を
提供するものである。本発明の第一の目的は、吸
油性と疎水性にすぐれ、これを水中に配置した場
合に、水中に混入する油分のみを効果的に吸着
し、水を不要に吸収することのない油吸着材を提
供することにある。また第二の目的は、その内部
に吸着した油の保持性にすぐれ、これを流水管内
などの流水中に配設したような場合に、流水によ
りその内部に吸着された油が容易に流出すること
がない油着材を提供することにある。更に第三の
目的は、形状保持性に優れ、水圧が作用しても油
吸着材自身や油吸着材間の間隙が押しつぶされ
ず、十分な給油性と通水性を維持できる油吸着材
を提供することにある。次いで第四の目的は、こ
れを流水中などに配設してもその一部がちぎれる
などして流れ去る虞れの少ない形状保持性に優れ
た油吸着材を提供することにある。また本発明の
第五の目的は、どのような場所にも自由に配設で
き、簡単に回収できるなど、取り扱い性にすぐれ
た油吸着材を提供することにある。更に本発明の
第六の目的は、製造が簡単であつて低コストにて
大量に生産する事が可能な油吸着材を提供するこ
とにある。

［発明の構成］ 本発明の構成は、親油疎水性の解繊状、布状、
糸状等の繊維状物集合体を溶断即ち溶融切断する
ことにより製造された、表面の一部が融着された
溶断面を形成してなる油吸着材であり、形状は帯
状、紐状、チツプ状等である。

このようにして形成された油吸着材は、その親
油性繊維状物による毛管作用のために油の吸着性
にきわめて優れ、またその疎水性のために水分を
不要に吸着することがない。また溶着部により固
化、シールを行なつているので形状保持性があり
油吸着材自身が水圧により押しつぶされてその油
吸着能が低下したり、油吸着材内部の空隙が押し
つぶされて通水性が低下するのを防止できるとと
もに、油吸着材の一部がはがれて流出することが
ないようにしたものである。なお親油疎水性の原
料としてはポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタ
レート、ポリスチレンなどが挙げられる。

［実施例］ 次に図面を参照しながら本発明の実施例の説明
を行なう。

第１図は本発明に係る油吸着材の製造工程を示
す斜視図であつて、１はシート状繊維状物であつ
て、油吸着材の素材となるものである。２は溶断
ヒーターであり、矢印の方向に送られる１のシー
ト状繊維状物を溶断シールするものである。３は
２のヒーターにより溶断された帯状物を小片に切
断する切断刃である。

第２図はこのようにして形成された小片の油吸
着材４の斜視図を示すものであり、５は上記工程
において溶断されて、油吸着材４の表面の一部に
形成された溶断面であり、固化しシール面となつ
ている。油吸着材４の大きさは任意であるが巾、
流さは５〜30mm程度、厚さは２〜10mm程度の大き
さのものが一般的には望ましい。

第３図は本発明に係る油吸着材の別態様の製造
工程を示す斜視図であつて、６は紐状繊維状物で
あつて油吸着材の素材となるものである。７は溶
断刃であり、矢印の方向に送られる６の紐状繊維
状物を小片に切断する。

第４図はこのようにして形成された小片の油吸
着材８の斜視図を示すものであり、９は上記工程
において溶断されて、油吸着材８の表面の一部に
形成された溶断面であり、固化しシール面となつ
ている。

［発明の効果］ 以上説明したように本発明に係る油吸着材は親
油疎水性の繊維状物集合体を溶断して、表面の一
部に溶断面を形成してなる油吸着材であつて、下
記のような種々のすぐれた効果を有する。

(1) 親油疎水性の繊維状物を素材としているので
油を吸着し、水は吸着しにくい。

(2) 油吸着材の表面の一部が固化して形成されて
いるので、形状保持性に優れ、水中に配設して
も、水圧により押しつぶされて油の吸着力が低
下したり、油吸着材同士の間の間隙が押しつぶ
されて通水性が大巾に低下することがない。

(3) 親油疎水性の繊維状物の集合体なので一旦内
部に吸着された油は容易に外部に流出せず油の
保持力はきわめて大きい。

(4) 小片にすれば水面上などの油膜上にまとめて
投入するだけで油吸着材は水面に広がり、油吸
着材同士の重なりが生じにくくより効果的に油
を吸着できる。

(5) 油吸着材の表面の一部が固化し、シールされ
ているのでその断片が水中などに流出しにく
く、食品衛生上や保守管理上、二次公害の防止
上きわめて有利である。

(6) 小片にすれば、プラスチツクネツト等に充填
し、管内のような場所にも配設しやすくまた回
収しやすいなど、取り扱い性にきわめてすぐれ
ている。

(7) 表面の一部が溶断面なので吸油性に優れてい
る。

【図面の簡単な説明】

図は本発明の実施例を示すものであつて、第１
図は油吸着性の製造工程の斜視図、第２図は第１
図の製造方法で得られた油吸着材の斜視図、第３
図は別態様の製造方法の説明図、第４図は第３図
の製造方法で得られた油吸着材の斜視図である。 １……シート状繊維状物、２……溶断ヒータ
ー、３……切断刃、４……油吸着材、５……溶断
面、６……紐状繊維状物、７……溶断刃、８……
油吸着材、９……溶断面。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 親油疎水性の繊維状物集合体を溶融切断する
   ことにより製造された、表面の一部が溶断面で切
   断されてなる油吸着材。