JPH047221B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、超音波信号の送受信によつて被検体
内の検査を行う超音波検査装置に関するものであ
る。

従来例の構成とその問題点 従来の超音波検査装置で特に口腔内に使用でき
るものは少ない。口腔内用として本出願人らは、
第１図に示す超音波探触子を用いた口腔内の検査
法を例示している。第１図において、超音波探触
子１は超音波振動子２を超音波伝搬媒質３で満た
した超音波セル４内に収納した構造を有し、超音
波振動子２を駆動器５に結合した運動伝達軸６に
連結し、駆動器５によつて扇形走査と直線走査を
行うものである。超音波探動子２は送信器７と受
信器８に接続されており、超音波セル４の前面の
音響窓９より被検体１０内に超音波１１を送信
し、被検体１０内から反射信号を再び超音波探動
子２で受信し、受信器８で増幅され、信号処理部
１２で処理された後、超音波断層像を表示部１３
に表示し、被検体１０を検査するものである。こ
のような超音波探触子１を用いた検査方法では、
機械式な走査であるため断層像を得るために１秒
近くの時間が必要な上に、運動伝達軸６を介して
の超音波伝搬媒質３の液漏れが発生しやすい。更
に口腔内、特に歯牙部や歯周部の歯列方向全域を
検査するためには超音波探触子１を何回も移動さ
せ、その都度断層像を観察し、記録しておく必要
がある。

更に、歯ならび等の計測を定量的に行う場合に
は殆んど不可能に近くなる。従つて歯肉の状態、
歯槽骨の状態を観察するにも極めて不便である。

発明の目的 本発明は、以上のような従来の問題点を解決す
るためになされたもので、歯牙、歯周部の歯列方
向の情報が極めて高速に得られ、かつ、液もれ等
の操作時の欠点をなくし、安全に使用することの
できる超音波検査装置を提供することを目的とす
る。

発明の構成 この目的を達成するために本発明は、超音波探
触子として、Ｕ字形に超音波振動子を配列し、こ
のＵ字形の内側或いは外側に被検体、例えば上顎
部、或いは下顎部を入れ、超音波振動子を送受信
器で電子走査し、被検体内に超音波信号を導き、
その反射信号を受信して、歯列方向の情報を瞬時
に得るものである。

実施例の説明 以下に本発明の実施例を図面を用いて説明す
る。

第２図は本発明の一実施例を示すブロツク図で
ある。超音波探触子１はＵ字形をした音波放射面
１４を有し電子スイツチ群３３を経て送信器７と
受信器８に接続されている。超音波探触子１の構
造は第３図に示すように複数個の超音波振動子２
をその音波放射側を内側にしたＵ字形に配列さ
れ、その音波放射側には音響整合層１５と保護膜
或いは音響レンズ１６を設け、背面には背面負荷
１７を設けている。これらはカバー１８で被れ、
Ｕ字形の内側は被検体に接触させている。また、
超音波振動子２は短冊状に分割された圧電振動
子、或いは電極部だけが短冊状に分割された圧電
セラミツクス板やPVDFのような有機圧電膜でも
よい。これらは図示していないがそれぞれ個別に
リード線が付けられ把持部１９の中を通り、本体
部４０内の電子スイツチ群３３で電子的に走査さ
れ、送信器７と受信器８に接続されている。第２
図において受信器８の出力は信号処理部１２、走
査交換部２０を得て表示部１３に接続されてい
る。２１は送信器７、受信器８、信号処理部１
２、走査変換部２０、電子スイツチ群３３を制御
する制御系である。

以上のような超音波検査装置では、Ｕ字形をし
た超音波探触子１の内側に被検体１０を挿入し、
送信器７からの送信信号を電子的に走査して順次
超音波振動子列に印加し、被検体１０内に超音波
信号を印加する。順次被検体１０内で反射して再
び送信と同じ超音波振動子列で受信された反射信
号は受信器８で増巾され、信号処理部１２で検波
された後、走査変換器２０で超音波走査とTV走
査の変換を受けて表示部１３上にＵ字形をした超
音波断層像、或いは超音波反射信号として表示さ
れる。

以上のような超音波検査装置を使用すると、超
音波探触子の走査は電子的に行われるため高速
に、かつ可動部がないため寿命も長い。また、Ｕ
字形に接触した被検体の断層情報も超音波探触子
を移動することなく得られ、被検体の外形輪かく
も容易に作業性良く得られる。

更にまた、第４図に示すように、被検体として
口腔内、歯顎部２２などのように表面の凹凸が激
しい対象物の場合には超音波探触子１と歯顎部２
２の間に水のような超音波伝搬媒質３を満した水
袋２３を設け、接着を密にすることができる。こ
の場合の電子走査によつて表示部１３で得られる
映像は第５図のようになる。ここでＵ字曲線２４
は超音波探触子前面の位置を示し、曲線２５は送
信信号の最初の反射信号であり、これは水袋２３
の内側より反射されたものであるが、水袋２３が
薄い膜、例えばラテツクスゴムなどでできている
場合には歯表面からの反射にほぼ等しく、その曲
線は歯ならびを示す。従つて、この超音波探触子
を用い、歯列矯正を行う場合の矯正経過を知るこ
とができる。

更にまた、被検体として歯槽骨欠損のある歯周
病患者の歯周域を対象とすると、第６図に示すよ
うなＵ字形の超音波断層像が得られる。ここで２
６は歯肉表面、２７は歯周部、２８は歯槽骨辺
縁、２９は歯根の一部、３０は歯槽骨欠損部であ
るこの図に示すように本装置によつて、歯肉の様
子やその厚さ、歯槽骨の状態、歯根までの距離な
どが容易に判明する。

本実施例の他の表示法として、第７図に示すよ
うに表示部１３上に直線上に左半分の超音波断層
像３１、右半分の超音波断層像３２を表示するこ
とができる。２４ａ，２４ｂは超音波探触子前面
の位置、２６ａ，２６ｂは歯肉表面、２７ａ，２
７ｂは歯周部、２８ａ，２８ｂは歯槽骨、２９
ａ，２９ｂは歯根の一部、３０は歯槽骨欠損部で
ある。この場合、表示法が簡単になると共に、画
面内の表示面積を有効に利用でき、診断が容易な
ように大きく断層像を表示することができる。

第８図は本発明の他の実施例を示す図である。
超音波探触子１はＵ字形をし、音波放射面１４は
Ｕ字形の外側であり、ここに被検体を押し当てて
超音波断層像を得るものである。この場合、圧電
振動子２の内側に背面負荷１７があり、外側に音
響整合層１５と保護膜或いは音響レンズ１６を具
備している。この超音波探触子の把持部１９は図
に示されているようにＵ字部に段差を設けて取り
つけられている。これは口腔内で用いる場合に舌
側の歯や歯周部により密着させやすくするためで
ある。本超音波探触子１を用いて第一の実施例と
同様にして、歯や歯周部舌片側の超音波断層像を
得ることができる。第９図は本実施例によつて得
られると超音波断層像の一例を示すものであり、
第６図と同様に歯肉表面２６、歯周部２７、歯槽
骨２８、歯根部２９が観察できる。

発明の効果 以上要するに本発明は、Ｕ字形に配列された超
音波振動子列を内包する超音波探触子の内周面又
は外周面を音波放射面とする超音波探触子部と、
前記超音波探触子部に結合され、前記超音波振動
子列を電子的に走査する送受信器を備えた本体部
とを有する超音波検査装置を提供するもので、高
速度に歯列方向全域の検査を行えると同時に、歯
ならびや歯肉状態、歯槽骨の状態などを検査する
ことができる。更に可動部もなく寿命が長く、か
つ水袋を設けても可動部からの液漏れなどの欠点
がない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本出願人が以前に提案した口腔内探触
子とその送受信系を示す図、第２図は本発明の一
実施例である超音波検査装置の概略図、第３図は
本発明の超音波探触子の一構成例を示す概観図、
第４図は本実施例の歯顎域への適用例を示す図、
第５図は第４図の歯顎域の観測例を示す図、第６
図及び第７図は、歯周部の状態の観測例を示す
図、第８図は本発明の超音波探触子の他の構成例
を示す概観図、第９図は第８図に示した超音波探
触子による歯周部の観測例を示す図である。 １…超音波探触子、２…圧電振動子、７…送信
器、８…受信器、１２…信号処理部、１３…表示
部、１４…音波放射面、２０…走査変換部、２１
…制御部、４０…本体部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ Ｕ字形に配列された超音波振動子列を備え、
   Ｕ字形の内周面又は外周面を音波放射面とする超
   音波探触子部と、前記超音波探触子部に結合さ
   れ、前記超音波振動子列を電子的に走査し被検体
   内に超音波を送受信させる送受信器を備えた本体
   部とを有することを特徴とする超音波検査装置。 ２ 超音波探触子部が、音波放射面に沿つて水袋
   を設けた構成であることを特徴とする特許請求の
   範囲第１項記載の超音波検査装置。 ３ 超音波探触子部が、Ｕ字形外周面の中央部に
   把持部を有する構成であることを特徴とする特許
   請求の範囲第１項記載の超音波検査装置。 ４ 本体部には表示手段を有し、超音波走査時の
   最初のエコー信号を前記表示手段に表示するよう
   にしたことを特徴とする特許請求の範囲第１項記
   載の超音波検査装置。