JP5296824B2 - 超音波診断装置 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、診断部位の周辺に複数の格子点を設定し、各格子点に対して超音波ビームを送受信することにより得られる受信データに基づいて、局所音速値の演算を行う超音波診断装置が提案されている。
ところで、診断部位に病変部が存在すると、その病変部からの超音波エコーの強度が低くなり、Bモード画像上で黒く表示される低輝度領域を形成することがある。このような低輝度領域については、Bモード画像だけでなく、局所音速値の測定を行うことが診断に際して有効になることが多い。
しかしながら、低輝度領域は、超音波エコーの強度が低いために、受信信号がノイズからの影響を受けやすく、正確な音速を測定することが困難になるおそれがある。
また、制御部は、低輝度領域検出部により検出された低輝度領域の深さ方向の長さが長いほど多数の格子点を浅い位置に設定することができる。
制御部は、関心領域内で且つ低輝度領域外に複数の音速マップ用格子点を設定し、これらの音速マップ用格子点に送信焦点を形成してそれぞれ超音波ビームの送受信を行うことにより音速マップ用の受信データを取得するように送信回路および前記受信回路を制御し、音速演算部は、音速マップ用の受信データに基づいて複数の音速マップ用格子点の局所音速値を演算し、低輝度領域の局所音速値と併せて関心領域内の音速マップを生成することもできる。
実施の形態1
図1に、この発明の実施の形態1に係る超音波診断装置の構成を示す。超音波診断装置は、振動子アレイ1を備え、この振動子アレイ1に送信回路2および受信回路3が接続されている。受信回路3には、信号処理部4、DSC(Digital Scan Converter)5、画像処理部6、表示制御部7および表示部8が順次接続されている。画像処理部6には、画像メモリ9が接続されると共に低輝度領域検出部10が接続されている。さらに、受信回路3に素子データメモリ11および音速演算部12が接続されている。
そして、信号処理部4、DSC5、表示制御部7、低輝度領域検出部10、素子データメモリ11および音速演算部12に制御部13が接続されている。また、制御部13には、操作部14と格納部15がそれぞれ接続されている。
DSC5は、信号処理部4で生成されたBモード画像信号を通常のテレビジョン信号の走査方式に従う画像信号に変換(ラスター変換)する。
画像処理部6は、DSC5から入力されるBモード画像信号に階調処理等の各種の必要な画像処理を施した後、Bモード画像信号を表示制御部7に出力する、あるいは画像メモリ9に格納する。
これら信号処理部4、DSC5、画像処理部6および画像メモリ9により画像生成部16が形成されている。
表示部8は、例えば、LCD等のディスプレイ装置を含んでおり、表示制御部7の制御の下で、超音波診断画像を表示する。
素子データメモリ11は、受信回路3から出力される受信データを順次格納する。また、素子データメモリ11は、制御部13から入力されるフレームレートに関する情報(例えば、超音波の反射位置の深度、走査線の密度、視野幅を示すパラメータ)を上記の受信データに関連付けて格納する。
音速演算部12は、制御部13による制御の下で、素子データメモリ11に格納されている受信データに基づいて、低輝度領域検出部10により検出された低輝度領域における局所音速値を演算する。
制御部13は、操作者により操作部14から入力された指令に基づいて超音波診断装置各部の制御を行う。
格納部15は、動作プログラム等を格納するもので、ハードディスク、フレキシブルディスク、MO、MT、RAM、CD−ROM、DVD−ROM等の記録媒体を用いることができる。
なお、信号処理部4、DSC5、画像処理部6、表示制御部7および音速演算部12は、CPUと、CPUに各種の処理を行わせるための動作プログラムから構成されるが、それらをデジタル回路で構成してもよい。
この方法は、図2(A)に示されるように、被検体内に超音波を送信した際に、被検体の反射点となる格子点Xから振動子アレイ1に到達する受信波Wxに着目したとき、図2(B)に示されるように、格子点Xよりも浅い位置、すなわち振動子アレイ1に近い位置に複数の格子点A1、A2、・・・を等間隔に配列し、格子点Xからの受信波を受けた複数の格子点A1、A2、・・・からのそれぞれの受信波W1、W2、・・・の合成波Wsumが、ホイヘンスの原理により、格子点Xからの受信波Wxに一致することを利用して、格子点Xにおける局所音速値を求める方法である。
さらに、格子点Xにおける仮定的な局所音速値Vを種々変化させて、それぞれ格子点A1、A2、・・・からの受信波W1、W2、・・・の仮想的な合成波Wsumを算出する。このとき、格子点Xと各格子点A1、A2、・・・との間の領域Rxaが所定値以下の輝度を有する低輝度領域であるものとすると、この領域Rxaにおいては、反射強度が小さく、すなわち、音響インピーダンスZ=ρ・c(ρは密度、cは音速)の変化が小さく、音速cはほぼ一定とみなすことができる。これは、一般に被検体内の密度ρは大きく変化することがなく、また、音速cが変化したときに、その変化に伴って密度ρが変化することにより、Z=ρ・cの値が変化しない可能性が極めて低いからである。このため、領域Rxaにおける音速cは一様で、格子点Xにおける局所音速値Vに等しいものと仮定する。
格子点Xから伝播した超音波が格子点A1、A2、・・・に到達するまでの時間はXA1/V、XA2/V、・・・となる。ここで、XA1、XA2、・・・は、それぞれ格子点A1、A2、・・・と格子点Xとの間の距離である。そこで、格子点A1、A2、・・・からそれぞれ時間XA1/V、XA2/V、・・・だけ遅延して発した反射波を合成することにより、仮想的な合成波Wsumを求めることができる。
以上のようにして、受信回路3で生成された受信データに基づき、被検体内の局所音速値を高精度に演算することができる。さらに、同様にして、設定された関心領域内の局所音速値の分布を示す音速マップを生成することができる。
このような低輝度領域Lに対して、低輝度領域Lよりも浅い位置すなわち振動子アレイ1に近い位置と低輝度領域Lよりも深い位置すなわち振動子アレイ1とは反対側の音線上にそれぞれ格子点が設定される。図3では、低輝度領域Lよりも浅い深度D1の位置の音線S3〜S7上にそれぞれ「●」で示される複数の格子点E1が設定されると共に、低輝度領域Lよりも深い深度D2の位置の音線S5上に「▲」で示される1つの格子点E2が設定されている。そして、深度D1の浅い位置と深度D2の深い位置との間の領域の音速が一定と仮定して低輝度領域Lの局所音速値の演算が行われる。
まず、送信回路2からの駆動信号に従って振動子アレイ1の複数の超音波トランスデューサから超音波ビームが送信され、被検体からの超音波エコーを受信した各超音波トランスデューサから受信信号が受信回路3に出力されて受信データが生成され、さらに、画像生成部16で生成されたBモード画像信号に基づいて表示制御部7によりBモード画像が表示部8に表示される。
超音波ビームを受信する毎に受信回路3で生成される音速測定用の受信データは順次素子データメモリ11に格納される。すべての格子点E1およびE2に送信焦点を形成して超音波ビームの送受信を行うことで取得された音速測定用の受信データが素子データメモリ11に格納されると、音速演算部12は、深度D1の格子点E1と深度D2の格子点E2との間の領域の音速が一定と仮定し、素子データメモリ11に格納されている音速測定用の受信データを用いて、この深度D1と深度D2との間の領域の局所音速値を演算する。
音速演算部12は、このようにして演算された深度D1と深度D2との間の領域の局所音速値を低輝度領域Lの局所音速値とする。
なお、上述したように、深い位置の格子点E2からの受信波を受けた浅い位置の複数の格子点E1からの受信波の合成波が、格子点E2からの受信波に一致することを利用して低輝度領域Lの局所音速値を求めているため、深い位置に設定された格子点E2よりも多数の格子点E1を浅い位置に設定することが好ましい。
低輝度領域Laのように、局部的に浅い方向に向かって突出している形状の低輝度領域に対しては、例えば図5に示されるように、突出部に対応する格子点E1bのみを他の格子点E1よりさらに浅い位置に設定することもできる。このような格子点E1およびE1bを用いても、同様にして深度D1と深度D2との間の領域の局所音速値を演算することが可能となる。
上述した実施の形態1において、低輝度領域の深さ方向の長さに応じて低輝度領域よりも浅い位置に設定される格子点の個数を調整することができる。
例えば、図6(A)に示されるように、深さ方向の長さz1の低輝度領域L1に対して、浅い位置に3個の格子点E1が設定されるものとする。このとき、3個の格子点E1は、低輝度領域L1よりも深い位置に設定された格子点E2に送信焦点を形成する振動子アレイ1からの超音波ビームBの領域内に設定されることが好ましい。これは、深い位置の格子点E2からの受信波を受けた浅い位置の複数の格子点E1からの受信波の合成波が、ホイヘンスの原理により、格子点E2からの受信波に一致することを利用して、低輝度領域L1の局所音速値を演算するからである。
このように、低輝度領域の深さ方向の長さが長いほど多数の格子点E1を浅い位置に設定することで、より正確に低輝度領域の局所音速値を測定することが可能となる。
上述した実施の形態1および2において、低輝度領域の局所音速値を測定するだけでなく、関心領域R内の音速マップを生成するように構成することもできる。
例えば、図7に示されるように、操作部14からの操作によりBモード画像上に関心領域Rが設定され、低輝度領域検出部10によって関心領域R内に低輝度領域Lが検出されると、制御部13は、低輝度領域Lよりも浅い位置と深い位置に格子点E1およびE2を設定すると共に、関心領域R内で且つ低輝度領域L外にそれぞれ「○」で示される複数の音速マップ用格子点E3を設定する。
このようにして、関心領域R内の低輝度領域Lの局所音速値を測定するだけでなく、Bモード画像の生成と音速マップの生成の双方を行うことが可能となる。
上記の実施の形態1〜3では、簡略化のため、図示された振動子アレイ1の開口数すなわち音線の本数、関心領域R内の格子点の個数等が小さな値で示されていたが、これに限るものではなく、Bモード画像による診断および音速の測定に適した開口数および格子点の個数とすることが好ましい。
Claims (4)
- 送信回路から供給された駆動信号に基づいて超音波プローブの振動子アレイから被検体に向けて超音波ビームが送信されると共に被検体による超音波エコーを受信した前記超音波プローブの振動子アレイから出力される受信信号を受信回路で処理することで得られる受信データに基づいてBモード画像を生成する超音波診断装置であって、
前記Bモード画像上で関心領域を設定するための関心領域設定部と、
前記関心領域設定部で設定された関心領域内で所定値以下の輝度を有する低輝度領域を検出する低輝度領域検出部と、
前記低輝度領域検出部により検出された低輝度領域より浅い位置および深い位置にそれぞれ格子点を設定し、前記格子点に送信焦点を形成してそれぞれ超音波ビームの送受信を行うことにより音速測定用の受信データを取得するように前記送信回路および前記受信回路を制御する制御部と、
取得された前記音速測定用の受信データに基づき前記浅い位置と前記深い位置との間の音速が一定と仮定して前記低輝度領域の局所音速値を演算する音速演算部と
を備えたことを特徴とする超音波診断装置。 - 前記制御部は、前記深い位置に設定された前記格子点よりも多数の格子点を前記浅い位置に設定する請求項1に記載の超音波診断装置。
- 前記制御部は、前記低輝度領域検出部により検出された低輝度領域の深さ方向の長さが長いほど多数の格子点を前記浅い位置に設定する請求項1または2に記載の超音波診断装置。
- 前記制御部は、前記関心領域内で且つ前記低輝度領域外に複数の音速マップ用格子点を設定し、これらの音速マップ用格子点に送信焦点を形成してそれぞれ超音波ビームの送受信を行うことにより音速マップ用の受信データを取得するように前記送信回路および前記受信回路を制御し、
前記音速演算部は、前記音速マップ用の受信データに基づいて前記複数の音速マップ用格子点の局所音速値を演算し、前記低輝度領域の局所音速値と併せて前記関心領域内の音速マップを生成する請求項1〜3のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
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