JP5296824B2 - 超音波診断装置 - Google Patents

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Description

この発明は、超音波診断装置に係り、特に、超音波プローブの振動子アレイから超音波を送受信することによりBモード画像の生成と音速測定の双方を行う超音波診断装置に関する。
従来から、医療分野において、超音波画像を利用した超音波診断装置が実用化されている。一般に、この種の超音波診断装置は、振動子アレイを内蔵した超音波プローブと、この超音波プローブに接続された装置本体とを有しており、超音波プローブから被検体内に向けて超音波ビームを送信し、被検体からの超音波エコーを超音波プローブで受信して、その受信信号を装置本体で電気的に処理することにより超音波画像が生成される。
また、近年、被検体内の診断部位をより精度よく診断するために、診断部位における音速を測定することが行われている。
例えば、特許文献1には、診断部位の周辺に複数の格子点を設定し、各格子点に対して超音波ビームを送受信することにより得られる受信データに基づいて、局所音速値の演算を行う超音波診断装置が提案されている。
特開2010−99452号公報
特許文献1の装置では、超音波プローブから被検体内に向けて超音波ビームを送受信することで、診断部位における局所音速値を求めることができ、例えばBモード画像に局所音速値の情報を重畳させて表示することが可能となる。
ところで、診断部位に病変部が存在すると、その病変部からの超音波エコーの強度が低くなり、Bモード画像上で黒く表示される低輝度領域を形成することがある。このような低輝度領域については、Bモード画像だけでなく、局所音速値の測定を行うことが診断に際して有効になることが多い。
しかしながら、低輝度領域は、超音波エコーの強度が低いために、受信信号がノイズからの影響を受けやすく、正確な音速を測定することが困難になるおそれがある。
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、Bモード画像上に特定された低輝度領域の局所音速値を正確に測定することができる超音波診断装置を提供することを目的とする。
この発明に係る超音波診断装置は、送信回路から供給された駆動信号に基づいて超音波プローブの振動子アレイから被検体に向けて超音波ビームが送信されると共に被検体による超音波エコーを受信した超音波プローブの振動子アレイから出力される受信信号を受信回路で処理することで得られる受信データに基づいてBモード画像を生成する超音波診断装置であって、Bモード画像上で関心領域を設定するための関心領域設定部と、関心領域設定部で設定された関心領域内で所定値以下の輝度を有する低輝度領域を検出する低輝度領域検出部と、低輝度領域検出部により検出された低輝度領域より浅い位置および深い位置にそれぞれ格子点を設定し、これらの格子点に送信焦点を形成してそれぞれ超音波ビームの送受信を行うことにより音速測定用の受信データを取得するように送信回路および前記受信回路を制御する制御部と、取得された音速測定用の受信データに基づき前記浅い位置と前記深い位置との間の音速が一定と仮定して低輝度領域の局所音速値を演算する音速演算部とを備えたものである。
制御部は、深い位置に設定された格子点よりも多数の格子点を浅い位置に設定することが好ましい。
また、制御部は、低輝度領域検出部により検出された低輝度領域の深さ方向の長さが長いほど多数の格子点を浅い位置に設定することができる。
制御部は、関心領域内で且つ低輝度領域外に複数の音速マップ用格子点を設定し、これらの音速マップ用格子点に送信焦点を形成してそれぞれ超音波ビームの送受信を行うことにより音速マップ用の受信データを取得するように送信回路および前記受信回路を制御し、音速演算部は、音速マップ用の受信データに基づいて複数の音速マップ用格子点の局所音速値を演算し、低輝度領域の局所音速値と併せて関心領域内の音速マップを生成することもできる。
この発明によれば、関心領域内で低輝度領域を検出し、低輝度領域より浅い位置および深い位置にそれぞれ格子点を設定し、格子点に送信焦点を形成してそれぞれ超音波ビームの送受信を行うことにより音速測定用の受信データを取得するので、低輝度領域の局所音速値を正確に測定することが可能となる。
この発明の実施の形態1に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。 実施の形態1における音速演算の原理を模式的に示す図である。 実施の形態1において設定された格子点を示す図である。 実施の形態1の変形例において設定された格子点を示す図である。 実施の形態1の他の変形例において設定された格子点を示す図である。 実施の形態2において設定された格子点を示し、(A)は深さ方向に短い低輝度領域を有する場合、(B)は深さ方向に長い低輝度領域を有する場合を示す図である。 実施の形態3において設定された格子点を示す図である。
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1
図1に、この発明の実施の形態1に係る超音波診断装置の構成を示す。超音波診断装置は、振動子アレイ1を備え、この振動子アレイ1に送信回路2および受信回路3が接続されている。受信回路3には、信号処理部4、DSC(Digital Scan Converter)5、画像処理部6、表示制御部7および表示部8が順次接続されている。画像処理部6には、画像メモリ9が接続されると共に低輝度領域検出部10が接続されている。さらに、受信回路3に素子データメモリ11および音速演算部12が接続されている。
そして、信号処理部4、DSC5、表示制御部7、低輝度領域検出部10、素子データメモリ11および音速演算部12に制御部13が接続されている。また、制御部13には、操作部14と格納部15がそれぞれ接続されている。
振動子アレイ1は、1次元又は2次元に配列された複数の超音波トランスデューサを有している。これらの超音波トランスデューサは、それぞれ送信回路2から供給される駆動信号に従って超音波を送信すると共に被検体からの超音波エコーを受信して受信信号を出力する。各超音波トランスデューサは、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)に代表される圧電セラミックや、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)に代表される高分子圧電素子、PMN−PT(マグネシウムニオブ酸・チタン酸鉛固溶体)に代表される圧電単結晶等からなる圧電体の両端に電極を形成した振動子によって構成される。
そのような振動子の電極に、パルス状又は連続波の電圧を印加すると、圧電体が伸縮し、それぞれの振動子からパルス状又は連続波の超音波が発生して、それらの超音波の合成により超音波ビームが形成される。また、それぞれの振動子は、伝搬する超音波を受信することにより伸縮して電気信号を発生し、それらの電気信号は、超音波の受信信号として出力される。
送信回路2は、例えば、複数のパルサを含んでおり、制御部13からの制御信号に応じて選択された送信遅延パターンに基づいて、振動子アレイ1の複数の超音波トランスデューサから送信される超音波が超音波ビームを形成するようにそれぞれの駆動信号の遅延量を調節して複数の超音波トランスデューサに供給する。
受信回路3は、振動子アレイ1の各超音波トランスデューサから送信される受信信号を増幅してA/D変換することにより受信データを生成する。
信号処理部4は、受信回路3で生成された受信データに対し、制御部13からの制御信号に応じて選択された受信遅延パターンに基づいて設定される音速または音速の分布に従い、各受信データにそれぞれの遅延を与えて加算することにより受信フォーカス処理を行って、超音波エコーの焦点が絞り込まれた音線信号を生成し、超音波の反射位置の深度に応じて距離による減衰の補正を施した後、包絡線検波処理を施すことにより、被検体内の組織に関する断層画像情報であるBモード画像信号を生成する。
DSC5は、信号処理部4で生成されたBモード画像信号を通常のテレビジョン信号の走査方式に従う画像信号に変換(ラスター変換)する。
画像処理部6は、DSC5から入力されるBモード画像信号に階調処理等の各種の必要な画像処理を施した後、Bモード画像信号を表示制御部7に出力する、あるいは画像メモリ9に格納する。
これら信号処理部4、DSC5、画像処理部6および画像メモリ9により画像生成部16が形成されている。
表示制御部7は、画像処理部6によって画像処理が施されたBモード画像信号に基づいて、表示部8に超音波診断画像を表示させる。
表示部8は、例えば、LCD等のディスプレイ装置を含んでおり、表示制御部7の制御の下で、超音波診断画像を表示する。
低輝度領域検出部10は、画像処理部6によって画像処理が施されたBモード画像信号に基づいて、Bモード画像上で所定値以下の輝度を有する低輝度領域を検出する。
素子データメモリ11は、受信回路3から出力される受信データを順次格納する。また、素子データメモリ11は、制御部13から入力されるフレームレートに関する情報(例えば、超音波の反射位置の深度、走査線の密度、視野幅を示すパラメータ)を上記の受信データに関連付けて格納する。
音速演算部12は、制御部13による制御の下で、素子データメモリ11に格納されている受信データに基づいて、低輝度領域検出部10により検出された低輝度領域における局所音速値を演算する。
制御部13は、操作者により操作部14から入力された指令に基づいて超音波診断装置各部の制御を行う。
操作部14は、操作者が入力操作を行うためのもので、この発明の関心領域設定部を構成し、キーボード、マウス、トラックボール、タッチパネル等から形成することができる。
格納部15は、動作プログラム等を格納するもので、ハードディスク、フレキシブルディスク、MO、MT、RAM、CD−ROM、DVD−ROM等の記録媒体を用いることができる。
なお、信号処理部4、DSC5、画像処理部6、表示制御部7および音速演算部12は、CPUと、CPUに各種の処理を行わせるための動作プログラムから構成されるが、それらをデジタル回路で構成してもよい。
操作者は操作部13から次の3つの表示モードのいずれかを選択することができる。すなわち、Bモード画像を単独で表示するモード、Bモード画像に低輝度領域の局所音速値を重畳して表示するモード、Bモード画像と低輝度領域の局所音速値とを並べて表示するモードのうち、所望のモードによる表示を行うことができる。
Bモード画像を表示する際には、まず、送信回路2から供給される駆動信号に従って振動子アレイ1の複数の超音波トランスデューサから超音波が送信され、被検体からの超音波エコーを受信した各超音波トランスデューサから受信信号が受信回路3に出力され、受信回路3で受信データが生成される。さらに、この受信データを入力した信号処理部4でBモード画像信号が生成され、DSC5でBモード画像信号がラスター変換されると共に画像処理部6でBモード画像信号に各種の画像処理が施された後、このBモード画像信号に基づいて表示制御部7により超音波診断画像が表示部8に表示される。
一方、局所音速値の演算は、例えば本願の出願人により出願された特開2010−99452号公報に記載の方法により行うことができる。
この方法は、図2(A)に示されるように、被検体内に超音波を送信した際に、被検体の反射点となる格子点Xから振動子アレイ1に到達する受信波Wxに着目したとき、図2(B)に示されるように、格子点Xよりも浅い位置、すなわち振動子アレイ1に近い位置に複数の格子点A1、A2、・・・を等間隔に配列し、格子点Xからの受信波を受けた複数の格子点A1、A2、・・・からのそれぞれの受信波W1、W2、・・・の合成波Wsumが、ホイヘンスの原理により、格子点Xからの受信波Wxに一致することを利用して、格子点Xにおける局所音速値を求める方法である。
まず、すべての格子点X、A1、A2、・・・に対する最適音速値をそれぞれ求める。ここで、最適音速値とは、各格子点に対し、設定音速に基づきフォーカス計算をして撮影を行うことにより超音波画像を形成し、設定音速を種々変化させたときに画像のコントラスト、シャープネスが最も高くなる音速値であり、例えば特開平8−317926号公報に記載のように、画像のコントラスト、スキャン方向の空間周波数、分散等に基づいて最適音速値の判定を行うことができる。
次に、格子点Xに対する最適音速値を用いて、格子点Xから発せられる仮想的な受信波Wxの波形を算出する。
さらに、格子点Xにおける仮定的な局所音速値Vを種々変化させて、それぞれ格子点A1、A2、・・・からの受信波W1、W2、・・・の仮想的な合成波Wsumを算出する。このとき、格子点Xと各格子点A1、A2、・・・との間の領域Rxaが所定値以下の輝度を有する低輝度領域であるものとすると、この領域Rxaにおいては、反射強度が小さく、すなわち、音響インピーダンスZ=ρ・c(ρは密度、cは音速)の変化が小さく、音速cはほぼ一定とみなすことができる。これは、一般に被検体内の密度ρは大きく変化することがなく、また、音速cが変化したときに、その変化に伴って密度ρが変化することにより、Z=ρ・cの値が変化しない可能性が極めて低いからである。このため、領域Rxaにおける音速cは一様で、格子点Xにおける局所音速値Vに等しいものと仮定する。
格子点Xから伝播した超音波が格子点A1、A2、・・・に到達するまでの時間はXA1/V、XA2/V、・・・となる。ここで、XA1、XA2、・・・は、それぞれ格子点A1、A2、・・・と格子点Xとの間の距離である。そこで、格子点A1、A2、・・・からそれぞれ時間XA1/V、XA2/V、・・・だけ遅延して発した反射波を合成することにより、仮想的な合成波Wsumを求めることができる。
次に、このように格子点Xにおける仮定的な局所音速値Vを種々変化させて算出された複数の仮想的な合成波Wsumと格子点Xからの仮想的な受信波Wxとの誤差をそれぞれ算出し、誤差が最小になる仮定的な局所音速値Vを格子点Xにおける局所音速値と判定する。ここで、仮想的な合成波Wsumと格子点Xからの仮想的な受信波Wxとの誤差の算出方法としては、互いの相互相関をとる方法、受信波Wxに合成波Wsumから得られる遅延を掛けて位相整合加算する方法、合成波Wsumに受信波Wxから得られる遅延を掛けて位相整合加算する方法等を採用することができる。
以上のようにして、受信回路3で生成された受信データに基づき、被検体内の局所音速値を高精度に演算することができる。さらに、同様にして、設定された関心領域内の局所音速値の分布を示す音速マップを生成することができる。
ここで、図3を参照して実施の形態1における格子点の設定方法について説明する。図3では、簡略化のため、振動子アレイ1は、9個の超音波トランスデューサが配列されたものとして示されており、これら超音波トランスデューサの配列ピッチで音線S1〜S9が形成される様子が示されている。そして、音線S4〜S6上にまたがるように低輝度領域Lが存在している。
このような低輝度領域Lに対して、低輝度領域Lよりも浅い位置すなわち振動子アレイ1に近い位置と低輝度領域Lよりも深い位置すなわち振動子アレイ1とは反対側の音線上にそれぞれ格子点が設定される。図3では、低輝度領域Lよりも浅い深度D1の位置の音線S3〜S7上にそれぞれ「●」で示される複数の格子点E1が設定されると共に、低輝度領域Lよりも深い深度D2の位置の音線S5上に「▲」で示される1つの格子点E2が設定されている。そして、深度D1の浅い位置と深度D2の深い位置との間の領域の音速が一定と仮定して低輝度領域Lの局所音速値の演算が行われる。
次に、実施の形態1の動作について説明する。
まず、送信回路2からの駆動信号に従って振動子アレイ1の複数の超音波トランスデューサから超音波ビームが送信され、被検体からの超音波エコーを受信した各超音波トランスデューサから受信信号が受信回路3に出力されて受信データが生成され、さらに、画像生成部16で生成されたBモード画像信号に基づいて表示制御部7によりBモード画像が表示部8に表示される。
ここで、操作者が操作部14を操作することにより、表示部8に表示されているBモード画像上に関心領域Rが設定されると、低輝度領域検出部10は、画像生成部16で生成されたBモード画像信号に基づいて関心領域R内における所定値以下の輝度を有する低輝度領域Lの検出を行う。そして、関心領域R内に低輝度領域Lが検出されると、図3に示したように、制御部13により、低輝度領域Lよりも浅い深度D1の位置に複数の格子点E1が設定されると共に低輝度領域Lよりも深い深度D2の位置に1つの格子点E2が設定される。すなわち、低輝度領域Lを深さ方向に挟むように、格子点E1と格子点E2が設定される。
次に、このようにして設定された格子点E1およびE2のそれぞれに送信焦点を形成して順次音速測定用の超音波ビームの送受信を行い、これらの格子点E1およびE2からの受信波を捉えるように、制御部13により送信回路2および受信回路3が制御される。
超音波ビームを受信する毎に受信回路3で生成される音速測定用の受信データは順次素子データメモリ11に格納される。すべての格子点E1およびE2に送信焦点を形成して超音波ビームの送受信を行うことで取得された音速測定用の受信データが素子データメモリ11に格納されると、音速演算部12は、深度D1の格子点E1と深度D2の格子点E2との間の領域の音速が一定と仮定し、素子データメモリ11に格納されている音速測定用の受信データを用いて、この深度D1と深度D2との間の領域の局所音速値を演算する。
このとき、図2(B)を参照して説明したように、深度D2の深い位置に存在する格子点E2からの受信波を受けた深度D1の浅い位置に存在する複数の格子点E1からの受信波の合成波が、ホイヘンスの原理により、格子点E2からの受信波に一致することを利用して、深度D1と深度D2との間の領域の局所音速値が演算される。
音速演算部12は、このようにして演算された深度D1と深度D2との間の領域の局所音速値を低輝度領域Lの局所音速値とする。
このように、超音波エコーの強度が低い低輝度領域Lを避けて、低輝度領域Lより浅い位置と低輝度領域Lより深い位置にそれぞれ設定された格子点に送信焦点を形成して超音波ビームの送受信を行うことで取得された音速測定用の受信データを用いることにより、低輝度領域Lの局所音速値を正確に測定することが可能となる。
なお、上述したように、深い位置の格子点E2からの受信波を受けた浅い位置の複数の格子点E1からの受信波の合成波が、格子点E2からの受信波に一致することを利用して低輝度領域Lの局所音速値を求めているため、深い位置に設定された格子点E2よりも多数の格子点E1を浅い位置に設定することが好ましい。
また、図3では、深度D1の複数の格子点E1のすべてが低輝度領域Lよりも浅い位置に存在していたが、図4に示されるように、低輝度領域Laの形状によっては、複数の格子点E1のうち一部の格子点E1aが低輝度領域La内に位置していてもよい。ただし、低輝度領域La内に位置する格子点E1aからの超音波エコーの強度が低いため、この格子点E1aに送信焦点を形成して超音波ビームの送受信を行うことで取得された音速測定用の受信データは、深度D1と深度D2との間の領域の局所音速値の演算に対する貢献度が低いものとなる。
低輝度領域Laのように、局部的に浅い方向に向かって突出している形状の低輝度領域に対しては、例えば図5に示されるように、突出部に対応する格子点E1bのみを他の格子点E1よりさらに浅い位置に設定することもできる。このような格子点E1およびE1bを用いても、同様にして深度D1と深度D2との間の領域の局所音速値を演算することが可能となる。
実施の形態2
上述した実施の形態1において、低輝度領域の深さ方向の長さに応じて低輝度領域よりも浅い位置に設定される格子点の個数を調整することができる。
例えば、図6(A)に示されるように、深さ方向の長さz1の低輝度領域L1に対して、浅い位置に3個の格子点E1が設定されるものとする。このとき、3個の格子点E1は、低輝度領域L1よりも深い位置に設定された格子点E2に送信焦点を形成する振動子アレイ1からの超音波ビームBの領域内に設定されることが好ましい。これは、深い位置の格子点E2からの受信波を受けた浅い位置の複数の格子点E1からの受信波の合成波が、ホイヘンスの原理により、格子点E2からの受信波に一致することを利用して、低輝度領域L1の局所音速値を演算するからである。
このため、図6(B)に示されるように、低輝度領域L1と同程度の深さに位置して低輝度領域L1より長い、深さ方向の長さz2の低輝度領域L2に対しては、深い位置に設定された格子点E2に送信焦点を形成する振動子アレイ1からの超音波ビームBの領域内に5個の格子点E1を設定することができる。
このように、低輝度領域の深さ方向の長さが長いほど多数の格子点E1を浅い位置に設定することで、より正確に低輝度領域の局所音速値を測定することが可能となる。
実施の形態3
上述した実施の形態1および2において、低輝度領域の局所音速値を測定するだけでなく、関心領域R内の音速マップを生成するように構成することもできる。
例えば、図7に示されるように、操作部14からの操作によりBモード画像上に関心領域Rが設定され、低輝度領域検出部10によって関心領域R内に低輝度領域Lが検出されると、制御部13は、低輝度領域Lよりも浅い位置と深い位置に格子点E1およびE2を設定すると共に、関心領域R内で且つ低輝度領域L外にそれぞれ「○」で示される複数の音速マップ用格子点E3を設定する。
さらに、これらの格子点E1およびE2と音速マップ用格子点E3のそれぞれに送信焦点を形成して順次音速測定用の超音波ビームの送受信を行うように、制御部13により送信回路2および受信回路3が制御され、受信回路3で生成される音速測定用の受信データが順次素子データメモリ11に格納される。そして、音速演算部12は、素子データメモリ11に格納されている格子点E1およびE2に関する受信データを用いて、実施の形態1および2と同様にして低輝度領域Lの局所音速値を演算する一方、格子点E1およびE2に関する受信データと音速マップ用格子点E3に関する音速マップ用の受信データとを用いて、格子点E1、E2およびE3のそれぞれの局所音速値を演算し、低輝度領域Lの局所音速値と併せて関心領域R内の音速マップを生成する。
音速演算部12で生成された音速マップに関するデータは、DSC5でラスター変換され、画像処理部6で各種の画像処理が施された後、表示制御部7に送られる。そして、操作者により操作部14から入力された表示モードに従って、Bモード画像に音速マップを重畳した状態(例えば、局所音速値に応じて色分けまたは輝度を変化させる表示、あるいは局所音速値が等しい点を線で結ぶ表示)で表示部8に表示される、あるいは、Bモード画像と音速マップ画像とが並べて表示部8に表示される。
このようにして、関心領域R内の低輝度領域Lの局所音速値を測定するだけでなく、Bモード画像の生成と音速マップの生成の双方を行うことが可能となる。
なお、上記の実施の形態1〜3では、受信回路3から出力される受信データを一旦素子データメモリ11に格納し、音速演算部12が素子データメモリ11に格納された受信データを用いて関心領域R内の低輝度領域における局所音速値を演算したが、音速演算部12が受信回路3から出力される受信データを直接入力して低輝度領域の局所音速値を演算することもできる。
上記の実施の形態1〜3では、簡略化のため、図示された振動子アレイ1の開口数すなわち音線の本数、関心領域R内の格子点の個数等が小さな値で示されていたが、これに限るものではなく、Bモード画像による診断および音速の測定に適した開口数および格子点の個数とすることが好ましい。
1 振動子アレイ、2 送信回路、3 受信回路、4 信号処理部、5 DSC、6 画像処理部、7 表示制御部、8 表示部、9 画像メモリ、10 低輝度領域検出部、11 素子データメモリ、12 音速演算部、13 制御部、14 操作部、15 格納部、16 画像生成部、X,A1,A2 格子点、W1,W2,Wx 受信波、Wsum 合成波、R 関心領域、L,La,L1,L2 低輝度領域、E1,E1b 低輝度領域よりも浅い位置の格子点、E1a 低輝度領域内の格子点、E2 低輝度領域よりも浅い位置の格子点、E3 音速マップ用格子点、D1,D2 深度、z1,z2 低輝度領域の深さ方向の長さ、B 超音波ビーム。

Claims (4)

  1. 送信回路から供給された駆動信号に基づいて超音波プローブの振動子アレイから被検体に向けて超音波ビームが送信されると共に被検体による超音波エコーを受信した前記超音波プローブの振動子アレイから出力される受信信号を受信回路で処理することで得られる受信データに基づいてBモード画像を生成する超音波診断装置であって、
    前記Bモード画像上で関心領域を設定するための関心領域設定部と、
    前記関心領域設定部で設定された関心領域内で所定値以下の輝度を有する低輝度領域を検出する低輝度領域検出部と、
    前記低輝度領域検出部により検出された低輝度領域より浅い位置および深い位置にそれぞれ格子点を設定し、前記格子点に送信焦点を形成してそれぞれ超音波ビームの送受信を行うことにより音速測定用の受信データを取得するように前記送信回路および前記受信回路を制御する制御部と、
    取得された前記音速測定用の受信データに基づき前記浅い位置と前記深い位置との間の音速が一定と仮定して前記低輝度領域の局所音速値を演算する音速演算部と
    を備えたことを特徴とする超音波診断装置。
  2. 前記制御部は、前記深い位置に設定された前記格子点よりも多数の格子点を前記浅い位置に設定する請求項1に記載の超音波診断装置。
  3. 前記制御部は、前記低輝度領域検出部により検出された低輝度領域の深さ方向の長さが長いほど多数の格子点を前記浅い位置に設定する請求項1または2に記載の超音波診断装置。
  4. 前記制御部は、前記関心領域内で且つ前記低輝度領域外に複数の音速マップ用格子点を設定し、これらの音速マップ用格子点に送信焦点を形成してそれぞれ超音波ビームの送受信を行うことにより音速マップ用の受信データを取得するように前記送信回路および前記受信回路を制御し、
    前記音速演算部は、前記音速マップ用の受信データに基づいて前記複数の音速マップ用格子点の局所音速値を演算し、前記低輝度領域の局所音速値と併せて前記関心領域内の音速マップを生成する請求項1〜3のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
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