JPH0469543B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 発明の目的 （産業上の利用分野） 本発明は車輌の内装品や住宅の室内装飾品等に
利用される軟質加飾成形品に関するものである。

（従来の技術） 車輌内装品、例えば、インストルメントパネ
ル、アームレストあるいはピラガーニツシユ等の
成形品の基材を保護したり、装飾したりするため
に同基材の表面にビース含有塗料を塗装する方法
（塗装法）、パイルを植毛する方法（植毛法）、成
形品基材の表面にスウエード調の合成皮革等を貼
付する方法（貼付法）等による各種の加飾が施さ
れている。

又、住宅用各種内装品においても前記同様の目
的からその表面に加飾が施されている。

ところが、前記各種の表面加飾法で得られた加
飾成形品には次の問題点がある。

すなわち、塗装法のみで得られた加飾成形品
は、低廉な価格で製造されるが、塗膜そのものが
硬質なため、柔かな感触が得られず、植毛法によ
る加飾成形品にはソフト感があるが、シツトリし
たぬめり感がない。

又、貼付法ではシツトリしたぬめり感のある成
形品が得られるが、合成皮革を別個の複雑な工程
で製造しなければならないので、この方法で得ら
れた加飾成形品はどうしても高価になる。

（発明が解決しようとする問題点） そこで、前記三種の方法の利点を生かして植毛
法によつて得られた加飾成形品のパイルものもの
に特定の塗料を塗付してシツトリしたぬめり感の
ある加飾成形品を製造することが考えられ、本出
願人等はすでにその方法を案出した。

しかしながら、この方法で得た加飾成形品はシ
ツトリしたぬめり感を示すものの、同成形品に手
を触れて少し押したときその軟質感が満足できる
ものでなく、この加飾成形品をより高品位なもの
にするには軟質感を高めなければならないという
手触り特性上の微妙な問題がある。

従つて、本発明は手で触れたときシツトリした
ぬめり感を感じさせ、しかも手を押し当てたとき
軟質感を満足させる軟質加飾成形品を安価に提供
することを目的とするものである。

発明の構成 （問題点を解決するための手段） 本発明は前記の目的を達成するために基材と、
同基材の表面に接合された軟質中間層と、同軟質
中間層の表面に植毛されたパイルと、同パイルの
表面に付着され、内部に微細な気泡を有している
ポリウレタン樹脂発泡塗料層とからなる軟質加飾
成形品なる手段を採用する。

（作用） パイルが軟質加飾成形品にソフト感をもたら
し、そのパイルに付着している塗料層が軟質加飾
成形品にシツトリしたぬめり感をもたらす。

パイルの上から軟質加飾成形品を手で押したと
き、軟質中間層がソフトな当たりを示して、同成
形品全体が軟質であると感じさせる。

（実施例） 第一実施例 本発明を自動車内装品であるインストルメント
パネルに具体化した第一実施例を第１〜３図に基
づいて説明する。

この実施例においては軟質加飾成形品であるイ
ンストルメントパネル１の基材２は横断面がほぼ
コ字形のポリプロピレン樹脂製射出成形体からな
つている。基材２の上面と外側面には内部可塑化
されたポリ塩化ビニル樹脂製の軟質中間層３が被
覆されている。

前記軟質中間層３の表面にはポリウレタン系接
着剤によつて接着剤層４が形成され、その接着剤
層４に長さ0.4mm、繊度１デニールのポリアミド
短繊維からなる着色されたパイル５が植毛されて
いる。

第２図に示すようにパイル５にはポリウレレタ
ン樹脂発泡塗料組成物からなるポリウレタン樹脂
発泡塗料層（以下単に塗料層と略称する）６が付
着し、パイル５の表面の全部又は一部を被覆して
いる。

前記ポリウレタン樹脂発泡塗料組成物は、ブロ
ツク型ポリイソシアネートとポリエステルポリオ
ール等のポリオールとのブロツク型ポリイソシア
ネートプレポリマーを主成分とし、この主成分と
後述する種々の添加物とからなつている。

前記ブロツク型ポリイソシアネートプレポリマ
ーはヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレ
ンジイソシアネート、ジフエニールメタン−４、
4′−ジイソシアネート等のポリイソシアネートの
末端−NCO基を、ブタノール等のアルコールや
フエノール化合物、アセト酢酸エチルエステル、
ε−カプロラクタム、MEKオキシム、マロン酸
ジエチルエステル、アセトアセトン、青酸、酸性
亜硫酸ソーダ等のブロツク剤で封鎖して得られる
常温で不活性なポリイソシアネートである。

上記ブロツク型ポリイソシアネートプレポリマ
ーは水中でデイスパージヨンにして使用するのが
望ましく、この場合、プロツク型ポリイソシアネ
ートプレポリマーと水との重量比は１：１程度が
適当である。

さらに、上記ブロツク型ポリイソシアネートプ
レポリマーを形成するためのポリエステルポリオ
ールは飽和又は不飽和脂肪族ポリエステルと過剰
のポリオールとの反応生成物であつて、その数平
均分子量が300〜7000、好ましくは700〜5000の低
分子のものである。

第３図に示すように前記塗料層６は発泡により
微細な気泡７を有し、ソフト感のあるパイル５の
ぬめり感を醸し出している。

又、前記塗料層６は種々の添加物を含有してい
る。かかる添加物としては加飾のための染料・顔
料、パイル５に塗付された塗料を膜状に保持させ
るためのタレ防止剤、塗料の塗膜面を平滑にする
ためのレベリング剤、気泡７とともに塗料層６を
シツトリしたぬめり感のあるものにいるための充
填剤等がある。

前記染料・顔料としてはパイル５の色調と同じ
色調の染料又は顔料、とりわけ顔料が使用され
る。そして、その添加量はポリウレタン樹脂100
重量部に対して10〜50重量部の割合である。前記
充填剤としては平均粒径が６〜200ミクロンのポ
リスチレンビーズがポリウレタン樹脂100重量部
に対し１〜20重量部の割合で使用される。

このインストルメントパネル１は、例えば、次
のようにして製造される。

まず、公知の方法、例えば、インモールド射出
成形法により基材２と軟質中間層３との積層体が
形成される。

次に、その積層体における軟質中間層３の表面
側にポリウレタン接着剤が塗付され、接着剤層４
が形成される。

それから、この接着剤層４の上にパイル５が植
毛されるが、植毛は前記接着剤層４の上に前記し
た長さと繊度のパイル５を振りかけてパイル５を
接着剤層４に接着し、次いで、接着されなかつた
パイル５を接着剤層４から除去することにより行
なわれる。

次に、パイル５の上にスプレーにより発泡剤含
有のポリウレタン樹脂発泡塗料が塗付されるが、
このポリウレタン樹脂発泡塗料は前記ブロツク型
ポイソシアネートプレポリマー、前記添加剤、鎖
延長剤、発泡剤、乳化剤等を水に混合したデイス
パージヨンである。

前記鎖延長剤としてはステアリン酸、ベヘニン
酸等の高級脂肪酸にアミノエチルエタノールアミ
ン、ジエチルトリアミン、ポリエチレンポリアミ
ン等のアミン化合物を反応させて得たカチオン界
面活性剤が主に使用されるが、他にアニオン界面
活性剤又は非イオン界面活性剤等も使用できる。

前記発泡剤は熱分解してN₂、CO₂等のガスを
発生する化学発泡剤、又は同ガスを含有している
マイクロカプセル等で、これらは前記ポリウレタ
ン塗料に通常３〜15重量％程度配合される。

パイル５にポリウレタン樹脂発泡塗料組成物が
スプレー塗付されたら、その塗料組成物が予備乾
燥される。この予備乾燥工程では水が蒸発し、パ
イル５の表面に塗料層６が形成される。予備乾燥
は前記塗料組成物中の水等を蒸発させる温度であ
つて、発泡剤の発泡を引き起こさない温度で行な
われる。

前記予備乾燥後、植毛された成形品は遠赤外線
ヒータ、熱風乾燥機等により約130℃の温度で４
〜40秒間かけて表面のみ加熱される。

すると、アセト酢酸エチルエステルがブロツク
型ポリイソシアネートプレポリマーから外れて、
該プレポリマーと前記鎖延長剤とが反応してウレ
タン反応が進むとともに、塗料層６中の発泡剤が
発泡して同塗料層６中に別細な気泡７が形成され
る。

しかしながら、気泡７が形成された塗料層６は
パイル５同志をくつつけているので、パイル５を
１本〜数本ずつに分離するためにパイル５にブラ
ツシングが施される。

すると、第１〜３図に示すように軟質中間層３
の表面のパイル５が１本〜数本ずつに分離してい
る軟質加飾成形品１になる。

この実施例で得られたインストルメントパネル
１のパイル５はパイル５そのものが有するソフト
感と塗料層６によるシツトリしたぬめり感との相
乗的効果により、スウイード調の特異な外観と感
触が醸し出される。又、前記パイル５の上からイ
ンストルメントパネル１に手を当てて押した時、
前記軟質中間層３は温い軟質感を示す。従つて、
このインストルメントパネル１を装着した自動車
の室内は特異な外観と内的又は外的感触により高
品位なものになる。

第二実施例 本発明を自動車のピラガーニツシユに具体化し
た第二実施例を第４図に基づいて説明する。

ピラガーニツシユ１においては基材２は横断面
ほぼコ字形のポリプロピレン樹脂製射出成形体か
ら形成されている。基材２の上面と外側面にはポ
リウレタン樹脂の発泡体からなる軟質中間層３が
被覆・形成されている。

前記軟質中間層３の表面にはポリウレタン系接
着剤の接着剤層４が形成され、その接着剤層４に
長さ1.2mm、繊度３デニールのポリアミド短繊維
からなるパイル５の一端部が接着されている。

そして、前記パイル５には内部に気泡（図示な
し）を有する塗料層６が形成され、そのパイル５
は前記第一実施例と同様にシツトリとしたぬめり
感を発揮している。

この実施例のピラガーニツシユ１の軟質中間層
３も第一実施例と同様の効果を発揮しているが、
この軟質中間層３が発泡体から形成されているの
で、ピラガーニツシユ１全体はより軟質なものに
なつている。

第三実施例 本発明をコンソールリツドに具体化した第三実
施例を第５図に基づいて説明する。

コンソールリツド１には横断面ほぼコ字形の
ABS樹脂製射出成形体が基材２として使用され
ている。

基材２の上面と外側面にはポリ塩化ビニル樹脂
の発泡体３ａ、同発泡体３ａを被覆するためのポ
リ塩化ビニル樹脂製のスキン層８とからなる軟質
中間層３が形成されている。

前記スキン層８の表面にはポリウレタン系接着
剤の接着剤層４が形成され、その接着剤層４に長
さ0.7mm、繊度５デニールのポリアミド短繊維か
らなるパイル５の一端部が接着されている。

そして、前記パイル５の表面には内部に気泡
（図示なし）を有する塗料層６が付着され、パイ
ル５にシツトリしたぬめり感が発揮されるように
なつている。

この実施例のコンソールリツド１における軟質
中間層３は発泡体３ａとスキン層８とから形成さ
れ、軟質性を受け持つ発泡体３ａは薄いスキン層
８によつて保護されている。従つて、この実施例
のコンソールリツド１は第二実施例と同様の軟質
感を示す上に、第二実施例のピラガーニツシユよ
りも人の手が触れたり又は物体が接触したとき優
れた耐久性を発揮する。

第四実施例 本発明をインストルメントパネルコアーに具体
化した第四実施例を第６図に基づいて説明する。

この実施例のインストルメントパネルコアー１
において横断面ほぼコ字形のポリプロピレン樹脂
製射出成形体が基材２として使用されている。基
材２の上面と外側面にはポリプロピレン不織布か
らなる軟質中間層３が被覆されている。ポリプロ
ピレン不織布が被覆された基材２は公知の方法、
例えば、金型のキヤビテイにセツトされたポリプ
ロピレン不織布の上にポリプロピレンをインモー
ルド成形することによつて得られる。

前記軟質中間層３の表面にはポリウレタン系接
着剤の接着剤層４が形成されており、その接着剤
層４に長さ0.5mm、繊度１デニールのポリアミド
短繊維からなる着色されたパイル５の一端部が接
着されている。

そして、接着剤層４上のパイル５には内部に気
泡（図示なし）を有する塗料層６が付着され、パ
イル５の表面の全部又は一部が前記塗料層６によ
つて被覆されている。

この実施例で得られたインストルメントパネル
コアー１においても第一実施例と同様にパイル５
の表面に形成されている塗料層６はシツトリとし
たぬめり感を有するとともに、軟質中間層３とし
ての不織布がパイル５の上からインストルメント
パネルコアー１を押えたとき軟質感を感じさせ
る。

第五実施例 本発明を前記第二実施例と異なる態様でピラガ
ーニツシユに具体化した第五実施例を第７図に基
づいて説明する。

このピラガーニツシユ１においては横断面ほぼ
コ字形のポリプロピレン樹脂製射出成形体が基材
２として使用されている。基材２の上面と外側面
には、ポリエステル繊維から得られた織物３ｂ
と、ポリ塩化ビニル樹脂の発泡体３ａとの積層体
である軟質中間層３が被覆・形成されている。

この積層体は予め別個の工程で製造される。そ
して金型の中にこの積層体をセツトしてからポリ
プロピレン樹脂をインモールド成形することによ
つて、基材２の上面に前記軟質中間層３が形成さ
れる。

前記軟質中間層３の表面にはポリウレタン樹脂
接着剤の接着剤層４が形成され、その接着剤層４
に繊度１デニール、長さ0.4mmのポリアミド短繊
維からなるパイル５の一端部が接着されている。

そして、前記パイル５には内部に気泡（図示な
し）を有する塗料層６が被覆されている。

この実施例のピラガーニツシユ１の軟質中間層
３も第一実施例と同様の効果を発揮しているが、
軟質中間層３が発泡体３ａと織物３ｂの２種類か
ら形成されているので、この実施例のピラガーニ
ツシユ１は第二実施例のそれより軟質なものにな
つている。

第六実施例 本発明をサンバイザに具体化した第六実施例を
第８図に示す。

この実施例のサンバイザ１においてはハードボ
ード又は金属板等から形成され、２枚相並べられ
ている板状の基材２を発泡ポリウレタン樹脂の軟
質中間層３が包囲した板状部材が形成されてい
る。

そして、その板状部材の外表面がポリ塩化ビニ
ール樹脂のスキン層８で被覆され、そのスキン層
８の上面に形成されている接着剤層４に前記各実
施例と同様にパイル５が植毛されている。

又、パイル５には内部に微細な気泡（図示な
し）を有する塗料層６が形成されている。このサ
ンバイザ１に触れたときシツトリとしたぬめり感
が伝わつてくる。

又、この実施例のサンバイザ１においてもスキ
ン層８の表面上に塗料層６が付着したパイル５が
植毛されているので、運転者が遮光したり、又は
遮光を解いたりするために、このサンバイザ１を
操作すると、手にシツトリとした心地よりぬめり
感と温い軟質感が伝わる。

本発明は前記各実施例に限定されることなく、
例えば、次の態様で実施することができる。

(1) この発明を自動車の内装品以外に、住宅の室
内調度品、装飾品等に適用すること。

この発明が適用される成形品は基材が使用さ
れている成形品であつて、その成形品の品位を
高めるのに成形品表面にスウエード調のシツト
リとしたぬめり感と軟質感が必要な成形品であ
ればよい。

かかる成形品として最も適しているのは自動
車の内装品であり、前記実施例以外にステアリ
ングホイールのリング部とパツド部、グラブド
ア、アームレスト、スカイトリム、その他天井
部材等がある。

(2) 基材１として合成樹脂以外に金属、木材等を
利用すること。

(3) 軟質中間層３として、ポリプロピレン樹脂や
ポリウレタン樹脂等の発泡体を使用すること。

(4) 植毛するための接着剤としてポリウレタン樹
脂接着剤以外にポリエステル樹脂接着等の他の
接着剤を使用すること。

(5) 植毛されるパイル５用繊維としてパイル化可
能な種々の繊維、例えば、羊毛等を選ぶこと。

そして、成形品の用途、ソフト感等を考慮し
て0.1〜７デニールの繊度と0.1〜1.2mmの長さの
パイル５を使用すること。

(6) 塗料をパイル５に付着させる方法としてスプ
レー法以外に刷毛塗り法等の方法を選択するこ
と。

(7) 発泡剤の使用量は微細な気泡７の含有量、発
泡効率等によつても異なるが、ポリウレタン樹
脂（固形分）100重量部を基準にして３〜40重
量部の範囲で使用すること。

発明の効果 以上詳述したように、本発明は軟質加飾成形品
の表面をシツトリとしたぬめり感のあるものに
し、そのぬめり感がパイル及び軟質中間層を有す
るソフト感に相乗されてスウイード調の外観と感
触を醸し出すという優れた効果を発揮する。

又、本発明の軟質加飾成形品はスウエード調合
成皮革を成形品基材の表面に貼付することによつ
て得られる従来の加飾成形品と異なり、安価な製
造コストで得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は第一実施例の部分斜視図、第２図は第
一実施例の部分拡大断面図、第３図はポリウレタ
ン樹脂発泡塗料層の拡大断面図、第４図は第二実
施例の部分斜視図、第５図は第三実施例の部分斜
視図、第６図は第四実施例の部分斜視図、第７図
は第五実施例の部分斜視図、第８図は第六実施例
の部分斜視図である。 基材……２、軟質中間層……３、パイル……
５、ポリウレタン樹脂発泡塗料層……６、気泡…
…７。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 基材２と、同基材２の表面に接合された軟質
   中間層３と、同軟質中間層３の表面側に植毛され
   ているパイル５と、同パイル５の表面に付着さ
   れ、内部に微細な気泡７を有しているポリウレタ
   ン樹脂発泡塗料層６とからなることを特徴とする
   軟質加飾成形品。