JPH0468963B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はフイルタ素材上にフイルタケーキを堆
積させる方法及びこれに好適なフイルタ素材に関
する。

〔従来の技術〕

従来より、下水処理場や食品製造工場等におい
て懸濁液を濾過して脱水を行うことが行われてい
る。すなわち、下水処理場においては、発生する
スラツジを処分する工程として脱水・乾燥工程が
あり、ここにおいて濾過脱水が行われ、食品工場
においては、所望の含水率の製品等を得るために
濾過脱水が利用されている。この濾過の方法とし
て、フイルタ素材の両側空間のガス圧を異なら
せ、濾過液をフイルタ素材中を通過させ、固体粒
子をフイルタ素材上に分離堆積させる方法（例え
ば、一方側を減圧する真空濾過など）が知られて
いる。そして、この方法によれば、濾過作用によ
つてフイルタ素材上に堆積された固体粒子（フイ
ルタケーキ）中にガスを通過させることによつ
て、フイルタケーキを乾燥させることもできる。

このような方法は、米国特許2332917号公報な
どに示されている。なお、この装置では、比較的
目の粗いスクリーンをフイルタクロスの下に配置
し、これによつてフイルタクロスを補強してい
る。このため、フイルタクロス上に形成されたフ
イルタケーキを排出する場合には、圧縮空気のシ
ヨツクを利用するが、この際にフイルタクロスの
脹らみを抑制することができる。

〔発明が解決しようとする問題点〕

従来の方法において、ガス圧によつて、濾過、
乾燥が促進されるが、乾燥時において、フイルタ
ケーキにクラツクが生じてしまう場合がある。す
なわち、フイルタケーキは乾燥によつて収縮する
ため、ケーキ表面側よりクラツクが生じる。

そして、このクラツクが生じると、空気は抵抗
の小さいクラツクを介しフイルタクロスを通過す
るようになり、フイルタケーキ内には空気が流通
しなくなつてしまう。そこで、フイルタケーキの
乾燥が行われなくなり、十分な乾燥処理が行えな
くなる。また、フイルタクロスの一方側を真空状
態に保つ真空濾過の場合には、クラツクの形成に
より真空状態が保たれなくなり、濾過が十分に行
えなくなる。

また、クラツクが形成されると、これを洗い落
す場合にも不利となる。すなわち、クラツクは抵
抗が最も小さい通路となつているので、洗浄液の
ほとんどがこのクラツクを通つてしまい、十分な
洗浄が行えなくなるからである。

なお、クラツクは、上述のようにケーキの表面
側から形成されるが、同じフイルタケーキの場合
には、薄いフイルタケーキの方が厚いものよりも
クラツクを生じにくい。いずれにしてもクラツク
は表面側から形成され、次第にフイルタケーキの
奥へと進行し、最後にフイルタクロスに達する。
従つて、このようなクラツクの発生を抑制するこ
とが望まれる。

懸濁液を既に乾燥されクラツクの入つたフイル
タケーキ上に供給し、クラツクを修復することも
行われている。しかしながら、後から懸濁液を供
給した部分は、他の部分とは通気性が異なり、得
られるフイルタケーキが不均一なものとなつてし
まうという問題点がある。

また、クラツク発生を防止するために、プレス
ロールまたはベルトによつて、フイルタケーキを
押え付ける連続フイルタ（ドラム／ベルトフイル
タ）が知られている。このドラム／ベルトを用い
た圧力式のフイルタによれば、クラツク生成を抑
止できるが、この装置のコストが非常に高く、通
常２倍程度の高価なものとなつてしまうという問
題点があつた。

さらに、クラツク発生防止の方法として、懸濁
液にパルプやグラスフアイバーなどを添加するこ
とが考えられる。しかし、この方法では、得られ
るフイルタケーキの組成が変わつてしまい、また
コストが増加するという問題点がある。

本発明は上記問題点を解決されるためになされ
たものであり、簡単な構成でクラツクの発生を防
止することができるフイルタケーキを形成する方
法及びこれに用いるフイルタ素材を提供すること
を目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は、面状のフイルタ素材の両側空間のガ
ス圧を異ならせフイルタ素材に濾過液を通過させ
ることによつて懸濁液から固体粒子を分離してフ
イルタ素材上に堆積させるとともに堆積された固
体粒子にガスを通過させて乾燥させるフイルタケ
ーキを形成する方法において、フイルタ素材に所
定の間隔をおいて濾過液を透過させない不透過領
域を形成してフイルタ素材を複数の所定形状の透
過領域に分割し、上記不透過領域上に実質的にフ
イルタケーキを堆積させず上記透過領域上のみに
フイルタケーキを堆積させ隣接する透過領域上の
フイルタケーキブロツクから分離されたフイルタ
ケーキブロツクを各透過領域毎にそれぞれ形成し
フイルタ素材上に複数に分割されたフイルタケー
キブロツクを形成することを特徴とする。

また、本発明は、濾過液を通過させ懸濁液から
固体粒子を分離してフイルタケーキを堆積させる
と共に、堆積されたフイルタケーキにガスを通過
させて乾燥するためのフイルタ素材であつて、所
定の領域に形成され、濾過液を透過させないこと
により、その領域上に実質的にフイルタケーキを
堆積させない不透過領域と、この不透過領域に取
り囲まれることによつて複数の領域に分割され、
それぞれ隣接する透過領域から分離されたフイル
タケーキを堆積させる透過領域と、を有すること
を特徴とする。

〔作用〕

本発明の方法及び装置によれば、フイルタ素材
の両側におけるガス圧差によつて濾過が促進され
るとともに、フイルタケーキ内にガスが流通さ
れ、フイルタケーキの乾燥が促進される。

フイルタ素材には、濾過が行われる透過領域
と、濾過が行われない不透過領域が形成されてお
り、不透過領域によつて透過領域が分割されてい
る。そして、不透過領域においては実質的にフイ
ルタケーキが堆積しないため、フイルタケーキは
各透過領域毎に分割され、比較的小さなフイルタ
ケーキブロツクとなり、乾燥によつてフイルタケ
ーキの収縮が起こつても、フイルタケーキブロツ
ク中においては、クラツクが発生しない。

〔実施例〕

以下、本発明の実施例について図面に基づいて
説明する。

第１図は本発明の基本的構成を示す説明図であ
り、この例ではフイルタケーキブロツク１７は円
形に形成され、この直径はＤである。一方、実際
に濾過を行う濾過面（透過領域）の直径はｄであ
る。

このように直径ｄの透過領域における濾過によ
つて、これより若干大きな直径Ｄのフイルタケー
キブロツクが同心円状に形成される。このため、
フイルタケーキブロツク１７は透過領域の周囲の
不透過領域上にも一部かぶさつて位置する。

そして、不透過領域は十分な幅を有しているた
め、第２図に示すように、１つの透過領域２上に
形成されたフイルタケーキブロツク１は、隣接す
る透過領域２上に形成されたフイルタケーキブロ
ツク１から分離されている。このようにして、フ
イルタ素材上のフイルタケーキは、フイルタケー
キブロツク１ごとに分割される。なお、第２図の
例では、透過領域２をすべて６角形状として、複
数配置した場合の面積効率の向上を図つている。

ここで、フイルタ素材として、非常に薄いフイ
ルタクロスが用いられた場合には、このフイルタ
クロスの厚みの中では、濾液が斜め方向に流れる
ことはない。そこで、第２図のような分割された
フイルタケーキブロツクを形成するために、フイ
ルタ素材自体を不透過性とするのではなく、薄い
フイルタクロスを例えば不透過領域を形成できる
幅を持つ蜂の巣状の基板で支えてもよい。すなわ
ち、この蜂の巣状の基板上のフイルタクロスでは
濾過が行われず、この上に位置する部分のフイル
タクロスを不透過領域とすることができる。

第３図に示したのは、この場合に好適な例であ
り、六角形の窓の部分にのみ穴４が配置された支
持円盤またはシム（薄物はさみ金）３を使用して
いる。このシム３により、薄いフイルタクロスを
支持することによつて、穴４をもたない部分が不
透過領域５となる。

さらに、不透過領域はフイルタ素材に濾液不透
過性を与える防水材料、例えばシリコンやゴム材
を使用することによつて形成してもよい。また、
フイルタ素材に金属箔片を使用して不透過領域を
形成してもよい。

第４図は断面図であり、不透過性材料でできた
部材６は、フイルタ８上に所定距離おいて配置さ
れ、これによつて不透過領域が形成されている。
そして、懸濁液を供給して、フイルタ８の部材６
が配置されていない領域（透過領域）より濾液を
排除し、フイルタケーキ７がフイルタ８上に形成
するが、このフイルタケーキ７は部材６により形
成される不透過領域によつて透過領域ごとに分割
されている。ここで、図４から明らかなように、
部材６の配置間隔（１つの部材６と隣接する部材
６の間隔）は各透過領域ごとに形成されるフイル
タケーキ７の高さの1/2程度に設定されている。
これによつて、フイルタケーキのブロツクごとの
分割を効果的に行え、フイルタケーキブロツク内
におけるクラツクの発生を防止することができ
る。

さらに、第５図に他の実施例を示す。この例
は、フイルタケーキを蜂の巣状の構造物によつ
て、押え付け、フイルタケーキの圧縮部の型を作
るものである。すなわち、フイルタ１２上にフイ
ルタケーキが全体的に堆積された後、蜂の巣状の
構造物を例えばローラなどによつて押し付ける。
これによつて、フイルタ素材上に形成されたフイ
ルタケーキが部分的に押え付けられる。そして、
この押し付け（押印）によつて、この部分に構造
的に強化された硬い押印強化領域１１が形成され
る。従つて、この押印強化領域１１の表面９は不
透過領域となる。そこで、上述の例と同様にフイ
ルタケーキはこの不透過領域によつて分割され、
透過領域ごとに分割されたフイルタケーキブロツ
ク１６が構成される。

また、この方法によれば、不透過領域の大きさ
を自由に制御することができる。すなわち、押し
付ける蜂の巣状の構造物を他の大きさのものに交
換することにより、任意の大きさの不透過領域を
形成できる。そこで、フイルタケーキの性状に応
じて、不透過領域の大きさを設定し、隣接する濾
過面に形成されるフイルタケーキブロツク同士が
重複しないように範囲で不透過領域を小さくし、
透過領域を大きくして、濾過能力を増大すること
も可能である。

また、透過領域の形状は、円、楕円又は六角形
が好適である。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明によれば、フイル
タケーキが濾過部分（透過領域）についてのみ形
成され、比較的小さなフイルタケーキブロツクに
分割される。従つて、フイルタケーキにおけるク
ラツク発生を防止することができ、効果的な濾過
乾燥作用を達成することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は円形のフイルタ素材およびその上に形
成されるフイルタケーキの概略平面図、第２図は
第１図と同じ図であるが、フイルタ作用を行う面
が六角形の形状を有している場合の図、第３図は
縁部が穿孔されておらず、特に極めて薄いフイル
タクロスに使用することができる蜂の巣状に穿孔
されたシムの概略平面図、第４図はフイルタケー
キブロツク間に設けらた濾過不能な部材６により
不透過領域を構成した例のフイルタ素材上のフイ
ルタケーキを断面で示した原理図、第５図は間隔
をもつて押印されて形成された不透過領域を備え
た例におけるフイルタケーキがフイルタケーキブ
ロツクに分割されている状態を示すフイルタケー
キの概略断面図である。 １…フイルタケーキの輪郭、２…六角形の透過
領域、３…シム、５…不透過領域、６…部材、７
…フイルタケーキ、８，１２…フイルタ、９…表
面、１０…フイルタケーキブロツク、１１…押印
強化領域、１６…フイルタケーキブロツク。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 面状のフイルタ素材の両側空間のガス圧を異
   ならせ、フイルタ素材に濾過液を通過させること
   によつて懸濁液から固体粒子を分離してフイルタ
   素材上に堆積させるとともに、堆積された固体粒
   子にガスを通過させて乾燥させるフイルタケーキ
   を形成する方法において、 フイルタ素材に所定の間隔をおいて、濾過液を
   透過させない不透過領域を形成して、フイルタ素
   材を複数の所定形状の透過領域に分割し、 上記不透過領域上に実質的にフイルタケーキを
   堆積させず、上記透過領域上のみにフイルタケー
   キを堆積させ、隣接する透過領域上のフイルタケ
   ーキブロツクから分離されたフイルタケーキブロ
   ツクを各透過領域毎にそれぞれ形成し、フイルタ
   素材上に複数に分割されたフイルタケーキブロツ
   クを形成することを特徴とするフイルタケーキを
   形成する方法。 ２ 特許請求の範囲１記載の方法において、透過
   領域を円、楕円又は六角形とし、これらの形に対
   応したフイルタケーキブロツクを形成することを
   特徴とするフイルタケーキ形成方法。 ３ 特許請求の範囲１又は２記載の方法におい
   て、 前記不透過領域をフイルタ素材上のフイルタケ
   ーキ自体を押印強化して形成することを特徴とす
   るフイルタケーキを形成する方法。 ４ 特許請求の範囲１〜３のいずれかに記載の方
   法において、 透過領域の幅の約1/2の高さのフイルタケーキ
   ブロツクを形成することを特徴とするフイルタケ
   ーキを形成する方法。 ５ 濾過液を通過させ懸濁液から固体粒子を分離
   してフイルタケーキを堆積させると共に、堆積さ
   れたフイルタケーキにガスを通過させて乾燥する
   ためのフイルタ素材であつて、 所定の領域に形成され、濾過液を透過させない
   ことにより、その領域上に実質的にフイルタケー
   キを堆積させない不透過領域と、 この不透過領域に取り囲まれることによつて複
   数の領域に分割され、それぞれ隣接する透過領域
   から分離されたフイルタケーキを堆積させる透過
   領域と、 を有することを特徴とするフイルタ素材。 ６ 特許請求の範囲５記載のフイルタ素材におい
   て、 不透過領域は防水材によつて形成されているこ
   とを特徴とするフイルタ素材。 ７ 特許請求の範囲５〜６のいずれかに記載のフ
   イルタ素材において、 不透過領域は金属片によつて形成することを特
   徴とするフイルタ素材。 ８ 特許請求の範囲５〜７のいずれかに記載のフ
   イルタ素材において、 フイルタ素材上に濾過液を通さない材料からな
   る部材を配置してここを不透過領域とし、この不
   透過領域によつて透過領域を分割することを特徴
   とするフイルタ素材。