JPH0467597B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本発明は、油圧機器分野等において利用可能な
油圧ポンプに関する。

(ロ) 従来技術 一般の油圧ポンプでは、歯車の歯光とケーシン
グの内周面との間、および、歯外面と側板との間
に微小な隙間を設けて歯車の円滑な作動を確保し
ている。そのため、吐出圧力が高くなると前記隙
間からの漏れが増大するという不都合があり、と
りわけ、前記歯側部における漏洩が問題となつて
いる。そのため、近時の油圧ポンプにおいては、
前記側板の裏側に吐出圧を導いて該側板を前記歯
車の端面に押し付けるようにしている。すなわ
ち、このものは、前記側板の背面に対向するエン
ドカバーの内面にガスケツト溝を、低圧域と高圧
域との境界部に位置させて設け、このガスケツト
溝に装着したガスケツトと前記ケーシングの内周
面とにより囲繞される高圧域に吐出側の高圧流体
を導入するようにしている。ところが、このよう
な構成のものは、前記高圧域の規制範囲の一部に
前記ガスケツトの端部が前記ケーシングの内周面
に接触する部分が存在するものであり、その接触
部分のシール性の向上が重要な問題になつてい
る。ガスケツトをケーシングの内周面に精密に密
着させるには、いわゆる成形ガスケツトを用いる
必要があるが、この種のものは高価である。ま
た、成形ガスケツトに代えて安価な線状のガスケ
ツトを用いることも考えられている。すなわち、
このものは、該ガスケツトの端部を弾性変形を利
用して鉤形に折り返し、その折曲部を前記ケーシ
ングの内周面に弾接させてシールを行なうように
している。しかしながら、単にこれだけのもので
は、組立て時にガスケツトの折曲部が弾性復帰力
によつて外方へとびだすため、該ガスケツトを保
持したエンドカバーの印ろう部をケーシングの内
周に嵌合させるのが難しいという問題が生じる。

(ハ) 目的 本発明は、このような事情に着目してなせれた
もので、、側板背面側に形成される高圧域の範囲
規制を安価な線状のガスケツトを用いて確実に行
なうことができ、しかも、線状のガスケツトを用
いたために組立てが難しくなるというような不都
合の生じない歯車ポンプを提供することを目的と
する。

(ニ) 構成 本発明は、かかる目的を達成するために、側板
の背面側に形成される高圧域の範囲規制を、端部
を折り返してケーシングの内周面に密着させた線
状のガスケツトを用いて行なうようにした歯車ポ
ンプにおいて、前記ガスケツト溝の端部に、前記
ガスケツトの折曲部の内側に位置する島状の第１
係止壁と、この第１係止壁と協働して前記折曲部
の先端を挟持し前記ケーシングの内周面よりも内
側の位置に仮保持する第２係止壁とを設け、前記
高圧流体の前記高圧域への初期導入時に前記折曲
部が前記両係止壁間から外れて前記ケーシングの
内周面に密着し得るように構成したことを特徴と
するものである。

(ホ) 実施例 以下、本発明の一実施例を図面を参照して説明
する。

第１図に示すように本発明に係る歯車ポンプ
は、送油用の対をなす歯車１，２を収容したポン
プケーシング３と、印ろう部４ａ，５ａをこのポ
ンプケーシング３の内周に嵌合させて、、該ポン
プケーシング３の開口蝶部に蓋着したエンドカバ
ー４，５を備えており、前記各歯車１，２の支軸
６，７は前記エンドカバー４，５に設けた滑り軸
受８により支承されている。また、これら、各エ
ンドカバー４，５の内面４ｂ，５ｂと前記歯車
１，２の歯側面１ａ，２ａとの間に側板９をそれ
ぞれ介設している。そして、前記エンドカバー
４，５の内面４ｂ，５ｂにおける高圧域Ａと低圧
域Ｂとの境界部分にガスケツト溝１１を設け、こ
のガスケツト溝１１内に前記側板９に密着する線
状のガスケツト１２を装着している。高圧域Ａ
は、第２図に斜線で示すように吐出ポート１３に
連通する側の領域であり、この高圧域Ａに導入さ
れる高圧流体Ｆの圧力によつて前記側板９を前記
歯車１，２の歯車面１ａ，２ａに押し付けるよう
になつている。一方、低圧域Ｂは第２図に示すよ
うに吸込ポート１４に連通する側の領域である。
また、ガスケツト１２は、ゴム等の材料を横断面
四角形の線状体に成形してなるもので、端部を弾
性変形を利用して鉤形に折返しており、その折曲
部１５を前記ケーシング３の内周面３ａに弾接さ
せている。そして、前記ガスケツト溝１１の端部
１１ａに、第３図、第４図に示すように前記ガス
ケツトの折曲部１５の内側に位置する島状の第１
係止壁１６と、この、第１係止壁１６と協働して
前記折曲部１５の先端１５ａを挟持し該折曲部１
５を前記ケーシング１の内周面１ａよりも若干内
側の位置に仮保持する第２係止壁１７を設けてい
る。

このような構成のものであれば、まず、組立時
には、エンドカバーの内面に設けたガスケツト溝
１１に線状のガスケツト１２を装着し、その折曲
部１５の先端１５ａを第１係止壁１６と第２係止
壁１７との間に挟持させる（第５図参照）。この
ようにすれば、前記ガスケツト１２の折曲部１５
が弾性復帰力によつて前記印ろう部４ａの外周面
よりも外方へとび出すという不都合がなく、該印
ろう部４ａを円滑にケーシング１の開端部内周に
嵌合させることができる。したがつて、線状のガ
スケツト１２を用いたためにエンドカバー４，５
のケーシング３に対する組付けが難しくなるとい
う不都合は生じない。しかも、このようにして組
立てた後、この歯車ポンプの試運転を行なうと、
吐出ポー菟ト１３の高圧流体Ｆが側板９の背面側
に形成された高圧域Ａにも導入されることになる
が、その初期導入時の高圧流体Ｆの力によつて、
前記ガスケツト１２の折曲部１５が記両係止壁１
６，１７間から外れ、自らの弾性復帰力と高按圧
域Ａの流体圧とによつてケーシング３の内周面３
ａ密着することになる。その結果、高圧域Ａの範
囲規制が確実に行なわれることになり、容積効率
の高い運転が可能となる。

なお、ガスケツトは、断面四角形のものに限ら
ず、断面円形のもの等であつてもよく、また、材
質もゴムに限らず合成樹脂その他のガスケツト材
料を用いてもよい。また、ガスケツト溝に収容す
るガスケツトの本数は、一本に限らず、複数本で
あつてもよい。

(ヘ) 効果 本発明は、以上のような構成であるから、側板
背面側に形成される高圧域の範囲規制を安価な線
状のガスケツトを用いて確実に行なうことがで
き、しかも、線状のガスケツトを用いたために組
立てが難しくなるというような不都合の生じない
歯車ポンプを提供できるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示し、第１図は正断
面図、第２図は第１図における−線断面図、
第３図は要部を示す斜視図、第４図はエンドカバ
ーをケーシングに嵌合させた場合におけるガスケ
ツト溝を示す部分正面図、第５図、第６図は作用
説明図である。 １，２…歯車、１ａ，２ａ…歯側面、３…ケー
シング、３ａ…内周面、４，５…エンドカバー、
４ａ，５ａ…印ろう部、４ａ，５ｂ…内面、９…
側板、１１…ガスケツト溝、１２…ガスケツト、
１５…折曲部、１６…第１の係止壁、１７…第２
の係止壁。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 送油用の歯車を収容したポンプケーシング
   と、印ろう部をこのポンプケーシングの内周に嵌
   合させて該ポンプケーシングの開口端に該着した
   エンドカバーと、このエンドカバーの内周と前記
   歯車の端面との間に介設したシール用の側板と、
   前記エンドカバーの内面における高圧域と低圧域
   との境界部分に設けたガスケツト溝と、このガス
   ケツト溝内に収容され端部を鉤形に折り返して形
   成した折曲部を前記ケーシングの内周面に密着さ
   せた線状のガスケツトとを具備し、このガスケツ
   トと前記ケーシングの内周面とによつて囲まれた
   高圧域に高圧流体の一部を導入して前記側板を前
   記歯車の端面に押し付け得るように構成した歯車
   ポンプであつて、前記ガスケツト溝の端部に、前
   記ガスケツトの折曲部の内側に位置する島状の第
   １係止壁と、この第１係止壁と協働して前記折曲
   部の先端を挟持し前記ケーシングの内周面よりも
   内側の位置に仮保持する第２係止壁とを設け、前
   記高圧流体の前記高圧域への初期導入時に前記折
   曲部が前記両係止壁間から外れて前記ケーシング
   の内周面に密着し得るように構成したことを特徴
   とする歯車ポンプ。