JPH0463204B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、１気筒について２個の吸気弁と２個
の排気弁とを有する４弁式エンジン、特にこれら
の弁を１本の頭上カム軸で駆動するようにした４
弁式エンジンに関する。

（従来技術） 自動車用等のエンジンとして、１気筒について
２個の吸気弁と２個の排気弁とを備えた４弁式の
エンジンが実用化されている。このエンジンによ
れば、吸気充填効率や排気効率が向上して燃焼状
態が改善されることにより、エンジンの高出力化
が実現される。一方、吸気弁と排気弁とを夫々異
なるカム軸で駆動するようにした２頭上カム軸式
エンジンが実用化されている。このエンジンによ
れば、動弁機構におけるロツカーアームが廃止さ
れることにより、高回転化の妨げとなる往復慣性
質量が低減されてエンジンの高回転化が可能とな
る。しかし、この２頭上カム軸式エンジンは、構
造が著しく複雑化するのでコストが高く付く難点
がある。

そこで、高出力は要するが、特に高回転を要し
ないエンジンの場合には、１気筒において吸気弁
及び排気弁を夫々２個備えると共に、これらの弁
を１本の頭上カム軸で駆動する構造として、所要
の出力を確保し且つコストを低減することが考え
られるが、このエンジンの場合、点火プラグ（デ
イーゼルエンジンの場合は燃料噴射ノズル）をど
のように配置するかの問題がある。つまり、１気
筒について吸、排気弁を各２個備える場合、良好
な吸排気性能や混合気の着火性等を得るために
は、各弁を燃料室に対して四角形状に配置すると
共に、これらの中央部に点火プラグを配置するこ
とが必要であるが、カム軸が１本の場合は、該カ
ム軸が燃焼室の中央部上方を通過することになる
ので、点火プラグの直上方にカム軸が位置するこ
とになる。そのため、該点火プラグとカム軸とが
干渉し、或いはカム軸が点火プラグの取付け取外
しの邪魔となつてエンジンのサービス性が悪化す
るのである。これに対しては、点火プラグを燃焼
室の側部に配置することも考えられるが、このよ
うにすると燃焼室内における混合気の着火性が火
炎の伝播性が悪くなり、良好な燃焼状態が得られ
ないことになる。

ところで、４弁１頭上カム軸式エンジンに関す
る上記のような問題に対しては、例えば、特開昭
57−10250号公報に開示されたエンジンがある。
このエンジンは、第８，９図に示すように、１つ
の燃焼室１について２個の吸気弁２，２と２個の
排気弁３，３とを四角形状に配置し、且つ燃焼室
１の中央部上方に１本のカム軸４を配設した構成
において、点火プラグ５を２個の排気弁３，３間
に傾斜状に配置することにより、その先端の着火
部５ａを燃焼室１の中央に位置させると共に、そ
の上部５ｂをカム軸４の側方から斜め上方に臨ま
せたものである。これによれば、良好な着火性が
得られ、また点火プラグ５とカム軸４との干渉が
避けられる。しかし、このエンジンにおいては、
点火プラグ５が排気弁３，３に略平行に配置され
る関係で、該プラグ５の上部５ｂが上記カム軸４
と排気弁３，３のステム部上部との間に跨るロツ
カーアーム６，６の軸７の直下方に位置すること
になる。そのため、該点火プラグ５の取付け取外
しを可能にする必要上、ロツカーアーム軸７を各
ロツカーアーム６，６毎に２分割し、点火プラグ
５の上方に空所を設けている。従つて、このエン
ジンによると、１気筒について排気弁側のロツカ
ーアーム軸が２本必要となり、特にこの構成を多
気筒エンジンに適用しようとすると、該ロツカー
アーム軸が多数個必要となつて、その取付け構造
等が著しく複雑化する。これに対しては、点火プ
ラグのシリンダ中心線に対する傾斜角を第８図に
示すものより大きくし、該プラグをシリンダヘツ
ドの側部から取付け取外しするように構成するこ
とが考えられるが、この場合、点火プラグと２つ
の排気ポートとの干渉が新たな問題となる。そし
て、これを避けるためには、両排気ポートの間隔
を広くしなければならくなり、これに伴つて、両
ポートの外側に配置される一対のヘツドボルト穴
の間隔が広くなつて、シリンダヘツドとシリンダ
ブロツクとの合せ部における燃焼室周囲のシール
性が悪化し、また特に多気筒エンジンの場合には
該エンジンのクランク軸方向の寸法が増大し、更
に両排気ポートの燃焼室側の開口部の面積が制限
されて、排気ガスの良好な掃気性が得られなくな
る、等の不具合が発生するのである。

（発明の目的） 本発明は４弁１頭上カム軸式エンジンにおける
上記のような実情に対処するもので、特に吸、排
気ポートがシリンダヘツドの異なる側部に夫々導
かれた所謂クロスフロータイプのエンジンにおい
て、ロツカーアーム軸を２個の排気弁毎に分割す
る等の動弁機構の複雑化を生じることなく、点火
プラグ又は燃料噴射ノズルの先端部を燃焼室の中
央部に位置させ、且つ該プラグ等の取付け取外し
を容易に行える新たな構造を実現し、これによ
り、この種のエンジンとして、動弁機構の構成が
簡素であり、しかも燃焼室内における着火性や火
炎の伝播性及びサービス性に優れていると共に、
燃焼室周囲の良好なシール性及び排気ガスの良好
な掃気性が得られ、しかもシリンダ列方向の寸法
の増大が抑制されたエンジンを実現することを目
的とする。

（発明の構成） 本発明に係る４弁式エンジンは、上記目的達成
のため次のように構成したことを特徴とする。

即ち、１気筒について２個の吸気弁と２個の排
気弁とを備え、これらの弁により夫々開閉される
吸気ポート及び排気ポートを各々シリンダヘツド
の異なる側部に導くと共に、１本の頭上カム軸に
より、１本の第１ロツカーアーム軸に揺動自在に
支持された吸気弁用ロツカーアームを介して上記
２個の吸気弁を駆動し、また１本の第２ロツカー
アーム軸に揺動自在に支持された排気弁用ロツカ
ーアームを介して上記２個の排気弁を駆動するよ
うにした４弁式エンジンにおいて、点火プラグ又
は燃料噴射ノズルの挿入孔を、一端がシリンダヘ
ツド下面における燃焼室の中央部に開口し且つ他
端が該ヘツドの側部における排気ポートの開口部
と排気弁のスプリングシート部との間に開口する
ように、２個の排気ポート間に傾斜状に設けると
共に、これらの排気ポートの燃料室側の開口部を
上記挿入孔のボス部の下方へ一部が潜り込むよう
に設け、且つ両排気ポートを、上記開口部から下
流側に向けて一旦カム軸の軸方向に離反し且つそ
の後再び接近するように屈曲する屈曲部を設ける
ことにより、上記挿入孔に近接して該孔を取囲む
形状とする。そして、これらの排気ポートの上記
屈曲部より下流側のカム軸の軸方向の外側に、両
ポートに夫々隣接させて一対のヘツドボルト穴を
設けたこと特徴とする。

このような構成によれば、上記挿入孔に挿入さ
れる点火プラグもしくは燃料噴射ノズルの先端部
が燃焼室の中央に位置して、良好な着火性や火炎
の伝播性が得られると共に、該点火プラグもしく
は燃料噴射ノズルのシリンダ中心線に対する傾斜
角が大きくなつて、その挿入孔が排気弁の動弁機
構配設部より外側から斜め上方を臨むことになる
ので、シリンダヘツド上部に配置された排気弁側
のロツカーアーム軸を分割することなく、該点火
プラグもしくは燃料噴射ノズルに対する良好なサ
ービス性が確保されることになる。そして、点火
プラグ等の挿入孔が２つの排気ポート間に大きな
傾斜角で設けられるにも拘らず、両排気ポートが
挿入孔を取囲むように設けられ、且つ両ポートの
再び接近した部位の外側に隣接して一対のヘツド
ボルト穴が設けらるれので、両排気ポート間の間
隔ないし一対のヘツドボルト穴の間隔の増大が回
避され、従つてエンジンのシリンダ列方向の寸法
の増大や、燃焼室周囲のシール性の悪化等が防止
されることになる。また、両排気ポートの燃焼室
側の開口部が上記挿入孔のボス部の下方へ一部が
潜り込むように設けられるので、これらの開口部
の面積を十分に確保することができるようにな
る。

（実施例） 以下、本発明の実施例について説明する。

第１〜３図に示すように、エンジン１０は複数
のシリンダを列状に配置したシリンダブロツク１
１と、該ブロツク１１の上面にガスケツト１２を
介して配置されたシリンダヘツド１３とを有し、
シリンダブロツク１１におけるシリンダ１４の内
周面と、該シリンダ１４内に嵌合されたピストン
１５の上面と、シリンダヘツド１３の上方に窪ま
された下面１３ａとで燃焼室１６が画成されてい
る。また、シリンダヘツド１３には、一方の側面
１３ｂから上記燃焼室１６に通じる２つの吸気ポ
ート１７，１７と、他方の側面１３ｃから燃焼室
１６に通じる２つの排気ポート１８，１８とが設
けられ、これら各ポートの燃焼室１６への開口部
１７ａ，１７ａ，１８ａ，１８ａがシリンダヘツ
ド下面１３ａに四角形状に配設されていると共
に、各開口部１７ａ，１７ａ，１８ａ，１８ａを
夫々開閉する２個の吸気弁１９，１９と２個の排
気弁２０，２０とが備えられている。これらの各
弁の上方に延びるステム部１９ａ，１９ａ，２０
ａ，２０ａはシリンダヘツド１３の上面１３ｄか
ら上方に突出され、その上端部に夫々固着された
スプリングリテーナ２１，２１，２２，２２と、
シリンダヘツド１３の上面１３ｄにおける各ステ
ム部１９ａ，１９ａ，２０ａ，２０ａの突出部に
形成されたスプリングシート部２３，２３，２
４，２４との間には、各バルブ１９，１９，２
０，２０を夫々閉方向に付勢するバルブスプリン
グ２５，２５，２６，２６が装着されている。

一方、シリンダヘツド１３の上部中央における
上記吸気弁１９，１９と排気弁２０，２０とに挟
まれた位置には、エンジン１０のクランク軸方向
に延びる１本のカム軸２７が配設されている。こ
のカム軸２７のジヤーナル部２７ａ…２７ａは、
第１図及び第４，５図に示すように、シリンダヘ
ツド１３の上面中央部における隣接気筒間及びヘ
ツド両端部に立設された軸受壁２８…２８と、各
軸受壁２８…２８に夫々２本のボルト２９，２９
を用いて固着された軸受キヤツプ３０…３０とで
形成された軸受孔に回転自在に軸承されていると
共に、該カム軸２７における隣接ジヤーナル部２
７ａ，２７ａ間には、１気筒分の２個の吸気カム
２７ｂ，２７ｂと２個の排気カム２７ｃ，２７ｃ
とが交互に形成されている。そして、該カム軸２
７の上部両側には第１、第２の２本のロツカーア
ーム軸３１，３２が平行に架設されていると共
に、これらの軸３１，３２に１気筒について各２
個の吸気弁用ロツカーアーム３３，３３及び排気
弁用ロツカーアーム３４，３４が揺動自在に支持
され、各ロツカーアーム３３，３３，３４，３４
の両端が対応するカム２７ｂ，２７ｂ，２７ｃ，
２７ｃの周面と吸排気弁のステム部１９ａ，１９
ａ，２０ａ，２０ａの上端との夫々対接されてい
ることにより、クランク軸に同期するカム軸２７
の回転によつて該ロツカーアーム３３，３３，３
４，３４を介して各弁１９，１９，２０，２０が
所定のタイミングで開動されるようになつてい
る。ここで、第５図に示すように第１、第２ロツ
カーアーム軸３１，３２は、軸受キヤツプ３０の
上面に設けられた半円状凹部３０ａ，３０ａに下
半部を嵌合され、且つ上方から軸受キヤツプ３０
を軸受壁２８に固着する上記のボルト２９，２９
によつて挾持部材３５，３５を介して締め付けら
れることにより固定されている。

以上の構成に加えて、シリンダヘツド１３には
点火プラグ挿入孔３６が設けられ、該孔３６内に
点火プラグ３７が装着されている。この挿入孔３
６は、第１〜３図に示すように、各気筒における
２個の排気ポート１８，１８間において排気弁２
０，２０に交差するように傾斜状に設けられ、そ
の先端部３６ａがシリンダヘツド１３の下面１３
ａにおける各ポートの開口部１７ａ，１７ａ，１
８ａ，１８ａに囲まれた位置、即ち燃焼室１６の
上部中央に開口されていると共に、該孔３６の後
端部３６ｂは、シリンダヘツド１３の一側面１３
ｃにおける排気ポート１８，１８の開口部１８
ｂ，１８ｂと、該ヘツド１３の上面１３ｄにおけ
る排気弁２０，２０のスプリングシート部２４，
２４との間から該ヘツド１３の上部外側方を臨む
ように開口されている。つまり、この挿入孔３６
はシリンダ中心線に対する傾斜角が比較的大きく
されて、その後端部３６ｂが、シリンダヘツド１
３の上部側壁１３ｅを挟んで、上記スプリングシ
ート部２４，２４ないしその上方に位置するバル
ブスプリング２６，２６やロツカーアーム３４，
３４等でなる排気弁側の動弁機構３８の外側に開
口されているのである。ここで、該挿入孔３６の
先端部３６ａは半球状の凹部とされていると共
に、該凹部３６ａに続く部分はメネジ部３６ｃと
され、該メネジ部３６ｃに点火プラグ３７のオネ
ジ部３７ａを螺合した時に該プラグ先端の着火部
３７ｂが上記半球状凹部３６ａから燃焼室１６内
に突出されるようになつている。また、該挿入孔
３６の後半部は、火角プラグの六角部３７ｃに工
具を係合し得るように径が大きくされている。

更に、点火プラグ挿入孔３６を２個の排気ポー
ト１８，１８間に大きな傾斜角で設けた関係で、
第１図に明らかなように、挿入孔３６は正面視で
排気ポート１８の屈曲部１８ｃに一部オーバーラ
ツプするが、このオーバーラツプ量を小さくして
両排気ポート１８，１８をできるだけ接近させる
ために、上記屈曲部１８ｃの曲率半径を排気ガス
の流動性を悪化させない範囲で小さくして、該屈
曲部１８ｃを下方に寄せている。また、第２図に
示すように、排気ポート１８，１８は、挿入孔３
６との干渉を回避するために、上記屈曲部１８
ｃ，１８ｃの近傍で、燃焼室側開口部１８ａ，１
８ａから略中間部にかけてカム軸２７の軸方向に
互いに離反するように平面視においても屈曲され
ていると共に、挿入孔３６の下流側で再び接近す
るように屈曲されて、該挿入孔３６に近接してこ
れを取囲む形状とされている。そして、上記屈曲
部１８ｃ，１８ｃの下流側の再び接近した部位の
カム軸２７の軸方向の外側に、両排気ポート１
８，１８に夫々隣接させて一対のヘツドボルト穴
３９，３９が設けられていると共に、両排気ポー
ト１８，１８の上記燃焼室側開口部１８ａ，１８
ａが、挿入孔３６のボス部３６ｄの下方へ一部が
潜り込むように設けられている。これらの構成に
より、シリンダヘツド１３ないしエンジン１０の
クランク軸方向の寸法が長くならないようにさ
れ、また排気ポート１８，１８の下流側を接近さ
せることにより、隣接気筒間における排気ポート
側のヘツドボルト穴３９，３９の間隔を吸気ポー
ト側のヘツドボルト穴４０，４０と同じ間隔にす
ることを可能とし、全体として燃焼室１６を囲む
正方形状にヘツドボルト穴３９，３９，４０，４
０を配置することにより、該燃焼室１６の全周囲
が良好にシールされるように図られており、更に
排気ポート１８，１８の燃焼室側開口部１８ａ，
１８ａの一部を挿入孔３６のボス部３６ｄの下方
へ潜り込ませることにより、該ボス部３６ｄとの
干渉を避けながら、これらの開口部１８ａ，１８
ａの面積をできるだけ大きく取り得るように図ら
れている。

上記の構成によれば、シリンダヘツド１３の上
部中央に配置した１本のカム軸２７によつて１気
筒について各２個備えられた吸気弁１９，１９及
び排気弁２０，２０を駆動するようにしたエンジ
ン１０において、点火プラグ３７の先端の着火部
３７ｂが燃焼室１６の中央に位置することになつ
て、該燃焼室１６内における混合気の着火や火炎
の伝播が良好に行われることになる。これによ
り、良好な燃焼状態が得られ、各２個の吸、排気
弁１９，１９，２０，２０を設けたことによる吸
排気効率の向上と相俟つて、優れた出力性能と、
良好な燃費及び排気性能が得られることになる。
特に、この実施例では、点火プラグ３７の着火部
３７ｂの近傍におけるプラグ挿入孔３６の先端部
３６ａが半球状凹部とされて該着火部３７ｂの周
囲に空間が確保されているから、一層良好な火炎
の伝播性が得られる。

また、上記点火プラグ挿入孔３６の後端部３６
ｂがシリンダヘツド１３の側面１３ｃにおける排
気ポート１８，１８の開口部１８ｂ，１８ｂと排
気弁２０，２０のスプリングシート部２４，２４
との間に開口されているので、上記点火プラグ３
７をシリンダヘツド１３の当該側部における排気
弁用動弁機構３８の外側から、該動弁機構３８に
邪魔されることなく取付け取外しすることが可能
となり、これにより当該エンジン１０の優れたサ
ービス性が得られることになる。その場合に、上
記動弁機構３８におけるロツカーアーム軸３２を
分割する等の構造が必要であつて、該動弁機構３
８として従来と同様の、或いは吸気弁側の動弁機
構と同様の構成を用いることができ、従つて該動
弁機構３８の複雑化やこれに伴う組立性の悪化或
いは部品点数の増加によるコストの上昇等を生ず
ることがない。このようにして、４弁１頭上カム
軸式エンジンとして、構造が簡素で、しかも優れ
た燃焼性とサービス性とを備えたエンジンが実現
されることになる。そして、特に上記のような排
気ポート１８，１８の形状により、シリンダヘツ
ド１３ないしエンジン１０のクランク軸方向の寸
法の増大や、燃焼室周囲のシール性の悪化、更に
は排気ガスの掃気性の悪化等を来たさないメリツ
トが得られる。

尚、第６，７図は本発明の他の実施例を示すも
ので、この実施例においては、シリンダヘツド１
３′における２個の排気ポート１８′，１８′が下
流側で合流され、該ヘツド１３′の側面１３c′に
１個の開口部１８b′として開口されている。しか
し、この実施例においても、点火プラグ挿入孔３
６′が２個の排気ポート１８′，１８′の分岐して
いる部分の間に傾斜状に配設されて、該挿入孔３
６′の先端部３６a′が燃焼室１６′の中央に、後端
部３６b′が上記排気ポート１８′の開口部１８
b′とスプリングシート部２４′，２４′との間に開
口されており、また上記排気ポート１８′，１
８′の燃焼室側開口部１８a′，１８a′が、挿入孔
３６′のボス部３６d′の下方へ一部が潜り込むよ
うに設けられていると共に、両ポート１８′，１
８′の略中間部の屈曲部１８c′，１８c′より下流
側の再び接近する部位に隣接させて一対のヘツド
ボルト穴３９′，３９′が設けられている。従つ
て、この実施例によつても前記実施例と同じ効果
が得られる。

また、本発明は点火プラグの代わりに燃料噴射
ノズルが備えられたデイーゼルエンジンにも同様
に適用され、同様の効果が得られる。

（発明の効果） 以上のように本発明によれば、クロスフロータ
イプの４弁１頭上カム軸式エンジンにおいて、点
火プラグ又は燃料噴射ノズルの先端部が燃焼室の
中央に位置することにより、良好な着火性ないし
火炎の伝播性等が得られると共に、上記点火プラ
グ等の上部がシリンダヘツドにおける排気弁の動
弁機構配設部より外側から斜め上方を臨むので、
上記動弁機構におけるロツカーアーム軸を分割す
る等の複雑な構造を要すことなく、該点火プラグ
等を取付け取外しすることが可能となる。これに
より、この種のエンジンとして、動弁機構の構造
が簡素で且つ良好な燃焼性が得られ、しかもサー
ビス性に優れたエンジンが実現されると共に、特
に本発明によれば、排気ガスの掃気性の悪化や燃
焼室周囲のシール性の悪化等を招くことがなく、
しかもエンジン全長の増大が防止されることにな
る。

【図面の簡単な説明】

第１〜５図は本発明の１実施例を示すもので、
第１図は燃焼室の中央で切断したシリンダヘツド
及びその周辺の縦断正面図、第２図は第１図−
線で切断したシリンダヘツド単体の横断平面
図、第３図は第１図−線で切断したシリンダ
ヘツド単体の要部斜視図、第４図は動弁機構の平
面図、第５図は第４図−線で切断したカム軸
の軸受部の縦断正面図である。第６，７図は本発
明の他の実施例を示すもので、第６図はシリンダ
ヘツド単体の横断平面図、第７図は同じく要部斜
視図である。第８，９図は従来例を示すシリンダ
ヘツド及びその周辺の縦断正面図及び横断平面図
である。 １３，１３′……シリンダヘツド、１６，１
６′……燃焼室、１７……排気ポート、１８，１
８′……排気ポート、１８ａ，１８a′……燃焼室
側開口部、１８ｂ，１８b′……開口部、１８ｃ，
１８c′……屈曲部、１９……吸気弁、２０……排
気弁、２４，２４′……スプリングシート部、２
７……カム軸、３１，３２……第１、第２ロツカ
ーアーム軸、３３……吸気弁用ロツカーアーム、
３４……排気弁用ロツカーアーム、３６，３６′
……挿入孔、３６ｄ，３６d′……ボス部、３７…
…点火プラグ、３９，３９′……ヘツドボルト穴。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ １気筒について２個の吸気弁１９と２個の排
   気弁２０とを備え、これらの弁により夫々開閉さ
   れる吸気ポート１７及び排気ポート１８，１８′
   を各々シリンダヘツド１３，１３′の異なる側部
   １３ｂ，１３ｃに導くと共に、１本の頭上カム軸
   ２７により、１本の第１ロツカーアーム軸３１に
   揺動自在に支持された吸気弁用ロツカーアーム３
   ３を介して上記２個の吸気弁１９を駆動し、また
   １本の第２ロツカーアーム軸３２に揺動自在に支
   持された排気弁用ロツカーアーム３４を介して上
   記２個の排気弁２０を駆動するようにした４弁式
   エンジンにおいて、 点火プラグ３７又は燃料噴射ノズルの挿入孔３
   ６，３６′を、一端３６ａがシリンダヘツド下面
   １３ａにおける燃焼室１６，１６′の中央部に開
   口し且つ他端３６ｂが該ヘツドの側部１３ｃにお
   ける排気ポート１８，１８′の開口部１８ｂと排
   気弁２０のスプリングシート部２４，２４′との
   間に開口するように、２個の排気ポート１８，１
   ８′間に傾斜状に設けると共に、 これらの排気ポート１８，１８′の燃焼室側の
   開口部１８ａ，１８a′を上記挿入孔３６，３６′
   のボス部３６ｄ，３６d′の下方へ一部が潜り込む
   ように設け、 また両排気ポート１８，１８′を、上記燃焼室
   側の開口部１８ａ，１８a′から下流側に向けて一
   旦カム軸２７の軸方向に離反し且つその後再び接
   近するように屈曲する屈曲部１８ｃ，１８c′を設
   けることにより、上記挿入孔３６，３６′に近接
   して該孔３６，３６′を取囲む形状とし、 且つこれらの排気ポート１８，１８′の上記屈
   曲部１８ｃ，１８′より下流側のカム軸２７の軸
   方向の外側に、両ポート１８，１８′に夫々隣接
   させて一対のヘツドボルト穴３９，３９′を設け
   たことを特徴とする４弁式エンジン。