JPH0463145B2 - - Google Patents

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JPH0463145B2
JPH0463145B2 JP4971785A JP4971785A JPH0463145B2 JP H0463145 B2 JPH0463145 B2 JP H0463145B2 JP 4971785 A JP4971785 A JP 4971785A JP 4971785 A JP4971785 A JP 4971785A JP H0463145 B2 JPH0463145 B2 JP H0463145B2
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JP
Japan
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less
temperature
solution treatment
steel
recrystallization
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JP4971785A
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JPS61210156A (ja
Inventor
Makoto Horiuchi
Kazuhiko Kuribayashi
Akihiro Matsuzaki
Kyohiko Nohara
Osamu Tanigawa
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Publication date
Application filed by Kawasaki Steel Corp filed Critical Kawasaki Steel Corp
Priority to JP4971785A priority Critical patent/JPS61210156A/ja
Publication of JPS61210156A publication Critical patent/JPS61210156A/ja
Publication of JPH0463145B2 publication Critical patent/JPH0463145B2/ja
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21DMODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
    • C21D6/00Heat treatment of ferrous alloys
    • C21D6/001Heat treatment of ferrous alloys containing Ni

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  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Thermal Sciences (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
産業上の利用分野 この発明は、固体燃料ロケツトチヤンバー、深
海潜水艇、ウラン遠心分離機などの如く、高強度
と高靱性を要求される部材に使用される18%Ni
系のマルエージング鋼およびその製造方法に関
し、特に高強度を損うことなく破壊靱性値を高め
た強靱性の18%Ni系マルエージング鋼、および
それを簡単な熱処理で得る方法に関するものであ
る。 従来の技術 一般に18%Ni系マルエージング鋼は、各種の
マルエージング鋼のうちでも比較的簡単な熱処理
によつて高い強度と良好な靱性を得ることができ
るものであつて、従来から固体燃料ロケツトチヤ
ンバーや、深海潜水艇あるいはウラン遠心分離機
の回転円筒などに使用されている。 この種の18%Ni系マルエージング鋼は、18%
前後のNiを含有するとともに、CoとMoを主な時
効硬化元素として添加し、かつ小量のTi,A
などを添加したものであつて、通常は熱間加工後
に、800〜950℃の範囲内の温度に加熱後常温に空
冷する溶体化処理を行なつて時効硬化元素を充分
に固溶させ、その後500℃前後に1〜10時間程度
加熱して常温に空冷する時効処理を施して金属間
化合物を析出させ、その後使用に供される。この
ような熱処理が施された状態で18%Ni系マルエ
ージング鋼は175〜245Kgf/mm2の引張り強さと
100〜450Kgf/mm2/2の破壊靱性値(KIC)を有す
る。 しかるに18%Ni系マルエージング鋼において
は、破壊靱性値は引張り強さが高くなるにつれて
低下し、引張り強さ175Kgf/mm2で破壊靱性値
(KIC)380〜450Kgf/mm2/2であつたものが、引張
り強さ200Kgf/mm2では破壊靱性値が250〜300Kg
f/mm2/2に低下し、さらに引張り強さが245Kg
f/mm2となれば破壊靱性値が100〜140Kgf/mm2/2
まで低下する。このような高強度化に伴なう破壊
靱性値の低下に起因して、18%Ni系マルエージ
ング鋼を前述の如き諸機器に使用する際において
は、破壊に対する信頼性、安全性の観点から強度
をある程度で抑えざるを得ず、その結果、高強度
が容易に得られるという18%Ni系マルエージン
グ鋼の最大の特徴を充分に発揮させることができ
なかつたのが実情である。 従来の18%Ni系マルエージング鋼の中でも引
張強さ200Kgf/mm2クラス以下のものでは、冷間
加工等による強度増加を行なつてそれに伴い破壊
靱性が低下しても、元来充分な破壊靱性を有して
いることから、構造部材への実用化が可能であ
る。しかしながら、引張強さ245Kgf/mm2の18%
Ni系マルエージング鋼では破壊靱性が低いため、
例えば冷間加工等により強度増加を図つた場合、
さらに破壊靱性の低下を招いてその実用化が困難
となる。そこで、18%Ni系マルエージング鋼の
うちでも特に引張強さ245Kgf/mm2クラスのマル
エージング鋼に関して、靱性を下げることなく強
度増加を図る手法の開発が望まれていた。 ちなみに、マルエージング鋼の中には18%Ni
系よりもさらに強度の高いものが開発(例えば
13Ni−15Co−10Mo−0.2Ti系、米国特許第
3359094号)されているが、破壊靱性が大幅に低
下するために構造部材への実用化は困難であつ
た。したがつてマルエージング鋼の強度、靱性の
バランスから考えて、構造部材への実用化の限度
は引張強さ245Kgf/mm2クラスが現状と考えられ
る。 ところで従来から、18%Ni系マルエージング
鋼については、強度を抑えることなく、靱性を向
上させる試みが種々なされており、それらの方法
は次の(1)〜(4)に大別される。 (1) 溶体化処理後冷却してマルテンサイト組織と
した状態で冷間加工を加え、それに続いてオー
ステナイト域へ再加熱する方法。 (2) 再結晶温度以下のオーステナイト域で加工
し、それに続いてオーステナイト域へ再加熱す
る方法。 (3) オーステナイト化とマルテンサイト化とを繰
返す方法。 (4) 再結晶温度以上のオーステナイト域へ加熱
し、続いて再結晶温度以下のオーステナイト域
へ再加熱する方法、すなわち再結晶溶体化処理
後、未再結晶溶体化処理を行なう方法。 上記の(1)〜(3)の方法は、いずれもオーステナイ
ト粒の微細化を通じて延性の向上を図るものであ
る。しかしながら近年構造物の設計に取り入れら
れるようになつた破壊靱性に対しては、オーステ
ナイト粒の微細化の寄与は小さいことが認められ
ており、したがつて(1)〜(3)の方法では充分な破壊
靱性値の向上は期待できない。また(1)および(2)の
方法における加工工程は、薄板に対しては適用可
能であるが、厚板もしくは特殊形状の鋼材に対し
ては現実には適用困難である。 一方(4)の方法は、実験室的にはその効果が認め
られているものの、従来一般のマルエージング鋼
では工業的規模での実施は困難であつた。 発明が解決すべき問題点 既に述べたように、18%Ni系マルエージング
鋼においては強度および靱性の改善の試みが種々
なされている。それらのうちでも特に前記(4)の方
法は、比較的簡単な処理によつて強度、靱性の改
善を図り得るものとして期待されるが、未だ工業
的な規模での適用は困難であるのが現状であつ
た。すなわち前記(4)の方法は、再結晶温度以上の
オーステナイト域でいわゆる再結晶溶体化を行な
つた後、オーステナイト温度域のうちでも特に再
結晶温度よりも低い温度域に加熱して、未再結晶
溶体化処理を行なうものであるが、従来の通常の
マルエージング鋼では未再結晶溶体化のための温
度域、すなわちマルテンサイトからオーステナイ
トへの逆変態温度と溶体化下限温度とのうちの高
い方の温度以上、再結晶温度未満の温度域の幅が
20〜30℃程度と著しく狭く、そのため実際の部材
に使用される程度の大きさの鋼材を量産的に製造
するにあたつては、その鋼材を均一かつ安定して
未再結晶溶体化温度域内で加熱保持することが困
難であつた。 この発明は以上の事情を背景としてなされたも
ので、前述のように強度の増加が強く望まれてい
る引張強さ245Kgf/mm2クラスの18%マルエージ
ング鋼に対する未再結晶溶体化処理を工業的に容
易に実施可能とするべく、その鋼の成分組成に再
検討を加えて未再結晶溶体化温度域を拡大した成
分系とし、これによつて実際に商用材として使用
される鋼材においても未再結晶溶体化処理の適用
により強度および靱性の大幅な向上を図り得るよ
うにすることを目的とするものである。 問題点を解決するための手段 本発明者等は、上述の目的を達成するべく、引
張強さ245Kgf/mm2クラスの18%Niマルエージン
グ鋼に対する合金元素について種々実験・検討を
重ねた結果、未再結晶溶体化温度域を拡大し得る
元素、すなわちマルテンサイトからオーステナイ
トへの逆変態温度には影響を及ぼさずに再結晶温
度のみを上昇させる元素として、硼素Bが有効で
あることを見出した。すなわち、硼素を0.0005%
以上添加することにより未再結晶溶体化温度域の
幅が50℃〜70℃以上の幅となり、工業的に未再結
晶溶体化温度内での加熱が可能となることを見出
したものである。 一方、硼素は多量に添加すれば靱性に有害な析
出物を生成するが、それを回避するためには硼素
の添加量を0.0020%以下に制限すれば良いことが
判明した。 さらに、一層の強度向上を図るためには、前述
のような未再結晶溶体化処理を適用することが有
効であることを見出した。 したがつて本願の第1発明のマルエージング鋼
は、C0.05%以下、Si0.2%以下、Mn0.1%以下、
P0.05%以下、S0.05%以下、Ni16%以上18.8%以
下、Co9.5%を越え15%未満、Mo4%以上5.2%以
下、Ti0.2%以上1.6%以下、Al0.15%以下、
B0.0005%以上0.0020%以下を含有し、残部がFe
および不可避的不純物よりなることを特徴とする
ものである。 また本願の第2発明の方法は、上記第1発明の
成分組成の鋼に対して実際に未再結晶溶体化処理
を施して高強度、高靱性のマルエージング鋼を製
造する方法を提供するものである。すなわち第2
発明の方法は、C0.05%以下、Si0.2%以下、
Mn0.1%以下、P0.05%以下、S0.05%以下、Ni16
%以上18.8%以下、Co9.5%を越え15%未満、
Mo4%以上5.2%以下、Ti0.2%以上1.6%以下、A
0.15%以下、B0.0005%以上0.0020%以下を含
有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなる
鋼を780℃以上850℃以下の温度範囲内に加熱して
溶体化処理し、その後時効処理を行なうことを特
徴とするものである。 発明の具体的説明 先ず本発明者等の知見について説明する。 第1表に示す化学組成を有するマルエージング
鋼(但し硼素は無添加)を30Kg真空溶解炉で溶製
した。さらに1250℃に加熱後、熱間圧延を施して
15mm厚さの鋼板とし、続いて1200℃で1時間保持
後水冷する均質化処理を行なつた後、900℃に1
時間保持後空冷する溶体化処理を施した。このサ
ンプルについて、750℃から850℃までの種々の温
度に1時間保持後空冷する溶体化処理を施し、さ
らに500℃に5時間保持後空冷する時効処理を行
なつた後、引張試験および破壊靱性試験を実施し
た。第1図にその結果を示す。なお、本鋼のマル
テンサイトからオーステナイトへの逆変態温度お
よび再結晶開始温度はそれぞれ775℃,805℃であ
つた。 第1図から、未再結晶域で溶体化処理を行なう
ことにより強度が向上し、かつ靱性は低下しない
ことが明らかである。しかしながら本鋼の場合未
再結晶溶体化のための温度範囲はわずか30℃に過
ぎず、工業的な適用は困難である。すなわち、工
業的に未再結晶溶体化処理を可能とするために
は、マルテサイトからオーステナイトへの逆変態
温度から再結晶開始温度までの幅が50℃程度以
上、望ましくは70℃程度以上必要であるが、本鋼
ではその鋼が30℃であるため、確実かつ均一にそ
の温度域内で加熱することは工業的に困難であつ
た。そこで本発明者等は、このような未再結晶溶
体化処理を工業的に可能とするべく、以下の実験
を行なつた。 第1表に示す化学組成を有するマルエージング
鋼を基本組成とし、硼素含有量を無添加(<
0.0001%),0.0003%,0.0007%,0.0013%,
0.0018%,0.0025%,0.0032%,0.0042%に変化
させた鋼を30Kg真空溶解炉にて溶製した。さらに
1250℃に加熱後熱間圧延を施して15mm厚さの鋼板
とし、続いて1200℃で1時間保持後水冷する均質
化処理を行なつたものを供試材とした。 本供試材について先ずその再結晶開始温度およ
びマルテンサイト→オーステナイト逆変態温度を
調べた。第2図に、供試材を種々の温度で1時間
保持後空冷した後の鋼板の組成観察の結果求めら
れた再結晶開始温度と、加熱中の熱膨張変化から
求められた逆変態温度とを、鋼中硼素量と対応し
て示す。第2図から理解されるように、硼素の添
加によつて逆変態温度は変化しないが、再結晶開
始温度は上昇する。ここで、工業的に未再結晶溶
体化を可能とするためには前述のように逆変態温
度と再結晶開始温度との間の幅が50℃以上望まし
くは70℃以上必要であるが、そのためには鋼中に
硼素が0.0005%以上、望ましくは0.0007wt%以上
存在すれば充分であることがわかる。 ところで、工業的にマルエージング鋼の溶体化
処理を行なう場合には、時効硬化元素の固溶およ
び加工組織の解消を目的として、未再結晶溶体化
処理の前に再結晶溶体化処理を施すのが望まし
い。但し、この場合の再結晶溶体化処理は、結晶
粒の粗大化を防止するために通常は900℃前後で
行なわれる。そこで、前述の各種の硼素量の供試
材を用いて、900℃で1時間保持後空冷する再結
晶溶体化処理を施した後、800℃で1時間保持後
水冷する未再結晶溶体化処理を施し、さらに500
℃で5時間保持後空冷する時効処理を行なつたも
のについて、引張試験および破壊靱性試験を行な
つた。その結果を第3図に示す。第3図から、硼
素量が0.0014%を越えれば破壊靱性値が低下し、
特に0.0020%を越えれば破壊靱性値が著しく低下
することがわかる。このように硼素量が多い場合
に破壊靱性値が低下する理由としては、溶体化処
理時に硼素の関与した析出相が出現するためと考
えられる。 以上の実験結果から明らかなように、18%Ni
系マルエージング鋼において硼素を0.0005%以
上、0.0020%以下の範囲内、望ましくは0.0007%
以上、0.0014%以下の範囲内で添加することによ
つて、工業的に未再結晶溶体化処理を容易に行な
うことができるとともに、過剰硼素による破壊靱
性低下の問題を回避することができ、したがつて
未再結晶溶体化処理の適用により引張強度および
破壊靱性ともに優れた鋼を量産的規模で製造する
ことが可能となつたのである。 なおここで、硼素を0.0005〜0.0020%含有する
18%i系マルエージング鋼においては、第2図に
示されるようにマルテンサイトからオーステナイ
トへの逆変態温度は780℃より低く、また再結晶
開始温度は850℃程度以上であるから、780℃以
上、850℃以下の温度域に加熱保持することによ
つて未再結晶溶体化を行なうことができる。 次にこの発明のマルエージング鋼における硼素
以外の合金成分についての限定理由を説明する。 C,Si,Mn,P,Sはいずれもマルエージン
グ鋼の靱性に悪影響をおよぼすため、それぞれの
上限は0.05%,0.2%,0.1%,0.05%,0.05%とし
た。 Niはマルエージング鋼におけるマルテンサイ
ト母相を形成するために必須の元素であり、靱性
に優れたマルテンサイトを生成させるためには16
%以上が必要でありかつ18.8%以下であれば充分
である。したがつてNiは16〜18.8%の範囲内とし
た。 Coは析出効果に寄与するMoの固溶度を低下さ
せてNi3Moなどの析出を促進させ、これにより
強度の向上を図るに有効な元素である。この発明
のマルエージング鋼ではCoの上記効果を充分に
発揮させて高強度を得るために、9.5%を越える
多量のCoを添加することとした。但しCoが15%
以上となると脆化傾向を示し、充分な高靱性が得
られなくなるから、Coは9.5%を越え15%未満の
範囲内とした。 Moはマルエージング鋼において時効処理によ
り析出強化に寄与する重要な元素であり、そのた
めには4%以上のMo添加が必要である。一方
Moの析出物は溶体化時に固溶しにくいから、
Mo量が多いと溶体化のために必要な下限温度が
上昇する可能性がある。そこで本発明者等は、第
4表に示すようにMo量を種々変化させたマルエ
ージング鋼を溶製後熱間圧延を施し、さらに種々
の温度に加熱、保持、冷却処理を行つて、Moの
残留析出物の量を測定した。第4図に、各温度で
Moの残留析出物が認められなくなるための下限
温度、すなわちMo固溶下限温度(溶体化のため
に必要な下限温度)を示す。Mo含有量が増加す
ればMo固溶下限温度が上昇する。Moは時効熱
処理により金属間化合物を析出して強度上昇に寄
与する重要な元素であることは周知の事実である
が、Mo固溶下限温度より低い温度で溶体化すれ
ば、Moの残留析出物が増加し、析出強化に有効
に作用するMo量が減少して強度の低下を招くの
みならず、残留析出物により靱性が低下してしま
う。したがつてこの発明における未再結晶溶体化
温度域の下限としては、マルテンサイトからオー
ステナイトへの変態温度のみではなく、それと
Moの固溶下限温度との高い方で決定されるべき
であるが、Moが4%以上ではMoの固溶下限温
度が律速となつてしまう。未再結晶域溶体化処理
を工業的に実施可能とするためには、その温度範
囲が少なくとも約50℃以上は必要であるが、未再
結晶溶体化温度域の上限となる再結晶開始温度は
約850℃であるから、未再結晶溶体化温度域を50
℃以上とするためには、Moの固溶下限温度が
800℃以下である必要がある。第4図から明らか
なように、Mo量が5.2%以下でMoの固溶下限温
度は800℃以下となり、したがつてMo量の下限
は5.2%とした。 TiはMoと同様に析出硬化元素であるが、0.2%
未満ではその効果が少なく、また1.6%を越えれ
ば脆化を招くから、0.2〜1.6%の範囲内に限定し
た。 Aも時効硬化に寄与する元素であるが、0.15
%を越えれば脆化を招くため、上限を0.15%に規
制することとした。 次に上述のような成分を含有する18%Ni系マ
ルエージング鋼の製造方法について説明する。 前記成分に調整されて鋳造された鋼片に対し、
通常は先ず熱間圧延、熱間鋳造等の熱間加工によ
り所要寸法、所要形状の厚板等に加工する。次い
で通常は1200℃程度の高温に加熱して均質化処理
を行なう。その後、溶体化処理を行なうのである
が、この溶体化処理としては、前述のような未再
結晶温度域での溶体化処理(未再結晶溶体化処
理)に先立つて、再結晶温度域に加熱して空冷す
る1次溶体化処理(再結晶溶体化処理)を行なう
のが望ましい。この1次溶体化処理は、Mo,
Co,Ti,A等の析出硬化元素を鋼マトリツク
ス中に充分に固溶させるとともに、加工組織を消
失させるべく再結晶させるためのものであり、通
常は850℃〜950℃の範囲内で1分〜3時間程度行
なう。この1次溶体化温度が950℃を越えれば再
結晶粒が粗大成長して靱性の低下を招き、また
850℃未満では未再結晶域となるため前述の加工
組織の消失ができない。 1次再結晶溶体化処理後は、前述のように780
℃〜850℃の温度域に加熱して空冷する未再結晶
溶体化処理(2次溶体化処理)を行なう。この溶
体化処理は、再結晶開始温度よりも低い温度でな
されるため再結晶が生じず、その前の1次溶体化
処理の空冷過程で生じたマルテンサイト相がオー
ステナイト相に逆変態するだけであるから、その
オーステナイト組織は、1次溶体化処理の際に生
成される再結晶オーステナイト組織と比較して高
転位密度を有する組織であり、その結果空冷過程
で生成されるマルテンサイト相の下部組織が極め
て微細となり、靱性および強度の向上に大きく寄
与すると考えられる。もちろんこの未再結晶溶体
化処理は、その前の1次溶体化処理で固溶せずに
残つた析出硬化元素、あるいは1次溶体化処理の
空冷過程で析出してしまつた析出硬化元素を充分
に固溶もしくは再固溶させる効果もある。 上述のようにして未再結晶溶体化を行なつた
後、常法にしたがつて時効処理を行なう。すなわ
ち420℃〜550℃程度、望ましくは450℃〜520℃程
度の温度域に1〜10時間加熱して、マルテンサイ
ト母相中にMo,Co,Ti,A等の金属間化合物
からなる微細析出物を析出させ、析出硬化による
強度上昇を図る。なお時効処理前には必要に応じ
て冷間加工を行なつても良いことはもちろんであ
る。 以上のようにして得られた18%Ni系マルエー
ジング鋼は、未再結晶溶体化処理の効果によつて
マルテンサイト母相が著しく微細となつており、
そのため靱性および強度がともに著しく高いもの
となつている。 なお未再結晶溶体化処理は、780℃〜850℃とい
う広い温度域で行なえるから、量産的規模での実
施でも確実かつ均一にその温度域内に加熱保持し
てその処理を行なうことができ、またもちろん厚
板や特殊形状の鋼材の場合でも実施可能である。 実施例 第2表の鋼番A〜Eに示すような種々の組成を
有する18%Ni系マルエージング鋼を溶製後コン
セルアーク炉にて真空再溶解し、1250℃に加熱後
熱間圧延して15mm厚さの鋼板を得た。さらに1200
℃で1時間加熱する均質化処理を行なつた後、
900℃で1時間保持後空冷する再結晶溶体化処理
(1次溶体化処理)を施し、続いて第3表中に示
す温度に1時間保持後空冷する2次溶体化処理を
施し、その後500℃×5時間保持の時効処理を行
なつた。これらの鋼について求められた再結晶温
度、引張強さ、および破壊靱性値を第3表に示
す。 以上の実施例において、鋼A〜Cはこの発明の
組成範囲内の鋼(本発明対象鋼)であり、これら
は第3表に示すようにいずれも未再結晶溶体化の
温度域(逆変態温度以上、再結晶開始温度未満)
の幅が70℃以上と広いことが明らかである。 そしてこれらの本発明対象鋼について、770〜
850℃の温度域内での2次溶体化処理、すなわち
未再結晶溶体化処理を行なつた場合(第3表の製
法No.1〜No.3、No.5)には、いずれも著しく高い
引張強さと破壊靱性値が得られていることがわか
る。 一方、鋼Dは、硼素含有量がこの発明で規定す
る下限(0.0005%)より少ない比較対象鋼であ
り、この場合未再結晶溶体化の温度域が34℃と狭
く、この範囲内で2次溶体化を行なえば第3表の
製法No.6で示すように高強度、高靱性が得られる
ものの、実際の工業的規模での実施は困難であ
る。 また鋼Eは硼素含有量が0.0024%と高い比較対
象鋼であるが、この場合第3表の製法No.7で示す
ように破壊靱性値が低下することが判る。 一方、本発明対象鋼Bについて、2次溶体化処
理を未再結晶溶体化温度域より高い温度、すなわ
ち再結晶温度域で行なつた場合(製法No.4)に
は、充分な引張強さが得られないことが判明し
た。 発明の効果 以上の説明で明らかなように第1発明のマルエ
ージング鋼は、広い未再結晶溶体化温度域を有す
るものであるから、量産的規模での商用材の製造
にあたつても、強度および靱性の改善のために未
再結晶溶体化処理を容易に施すことができ、また
第2発明の方法によれば、実際にその未再結晶溶
体化処理を適用して、簡単な熱処理で強度および
靱性が著しく優れた鋼材を製造することができ
る。特に従来冷間加工等の強化手段を適用し難か
つた厚物あるいは特殊形状のマルエージング鋼の
用途においても、その機械的性質を改善するに極
めて有効であり、したがつてマルエージング鋼の
信頼性を従来よりも一層高め得るとともに、その
利用分野をさらに拡大することができる。
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】 【図面の簡単な説明】
第1図は硼素を含有しない18%Niマルエージ
ング鋼における溶体化処理温度と機械的性質(引
張強さおよび破壊靱性値KIC)との関係を示すグ
ラフ、第2図は18%Ni系マルエージング鋼にお
いて鋼中硼素量が再結晶開始温度およびマルテン
サイト→オーステナイト逆変態温度に及ぼす影響
を示すグラフ、第3図は18%Ni系マルエージン
グ鋼において鋼中硼素量が機械的性質(引張強さ
および破壊靱性値KIC)に及ぼす影響を示すグラ
フ、第4図は硼素を含有する18%Ni系マルエー
ジング鋼におけるMo含有量とMoの固溶下限温
度との関係を示すグラフである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 C0.05%(重量%、以下同じ)以下、Si0.2%
    以下、Mn0.1%以下、P0.05%以下、S0.05%以
    下、Ni16%以上18.8%以下、Co9.5%を越え15%
    未満、Mo4%以上5.2%以下、Ti0.2%以上1.6%以
    下、A0.15%以下、B0.0005%以上0.0020%以
    下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物よ
    りなることを特徴とする、強度および靱性に優れ
    たマルエージング鋼。 2 C0.05%以下、Si0.2%以下、Mn0.1%以下、
    P0.05%以下、S0.05%以下、Ni16%以上18.8%以
    下、Co9.5%を越え15%未満、Mo4%以上5.2%以
    下、Ti0.2%以上1.6%以下、A0.15%以下、
    B0.0005%以上0.0020%以下を含有し、残部がFe
    および不可避的不純物よりなる鋼を780℃以上850
    ℃以下の温度範囲内に加熱して溶体化処理し、そ
    の後時効処理を行なうことを特徴とする、強度お
    よび靱性に優れたマルエージング鋼の製造方法。
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