JPH0457879B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本発明は核物理研究用の粒子加速器、核融合研
究実験装置、電子顕微鏡、表面分析装置、半導体
製造装置としてのイオン注入装置やスパツタリン
グ装置等種々の装置において、高真空を得るため
に用いられるターボ分子ポンプのガスパージ機構
に関する。

(ロ) 従来の技術 ターボ分子ポンプにより吸引排気するガスが、
腐食性ガスやダスト等を含む有毒ガスである場
合、このような有毒ガスにより、モータ等の駆動
装置やその配線等が腐食すると、ポンプの寿命が
著しく短かくなる。

そこで従来は、第２図及び第３図に示す如く外
周面に動翼ａを形成したキヤツプ状のロータｂ内
に嵌入するように内部ハウジングｃを形成し、該
内部ハウジングｃ上端部又は該内部ハウジングｃ
内に開口するように形成したガス吐出孔ｄ又は
d′から不活性ガスを吐出して該吐出孔ｄ又はd′の
開口の周辺を陽圧にすると共に、該内部ハウジン
グｃの外周面に、前記ロータｂの回転方向と同回
転方向のねじ溝ｅよりなるいわゆるネジパッキン
を形成し、前記ガス吐出孔ｄ又はd′から吐出した
不活性ガスを前記ロータｂの回転により前記ねじ
溝ｅ内で圧縮し、上方から下方即ち矢印Ｆ又は
F′の方向に圧送して、有害ガスが前記内部ハウジ
ングｃ内に侵入するのを防止していた。

(ハ) 発明が解決しようとする問題点 上記の従来の技術によれば、第２図示の如くガ
ス吐出孔ｄの開口を内部ハウジングｃ上端に形成
したものの場合は、該操作等により有害ガスが内
部ハウジング内に侵入した場合、これを除去する
ことが不可能で、モータ等の駆動装置やその配線
寿命を著しく短かくする欠点があり、又第３図示
の如くガス吐出孔d′の開口を内部ハウジングｃ内
に形成したものの場合には、内部ハウジングｃ内
の潤滑油の蒸気が不活性ガスに同伴されて、内部
ハウジングｃ外へ流出し、潤滑油から分別される
炭化水素が高真空室内へ侵入して、各種実験にお
いて著しく不都合を生ずる欠点があつた。

本発明はこのような従来技術の欠点を解消し、
モータ等の駆動装置やその配線がターボ分子ポン
プにより吸引排気される有毒ガスによる悪影響を
受けず、しかも内部ハウジング内から油蒸気が流
出しないガスパージ機構を提供することを目的と
する。

(ニ) 発明の構成 上記目的を達成するため本発明のターボ分子ポ
ンプのガスパージ機構は前記内部ハウジングに、
該内部ハウジング内に開口する第１ガス吐出孔を
設けると共に該内部ハウジングの前記ロータ内へ
の嵌入部の外周面に開口する第２ガス吐出孔を設
け、該内部ハウジングの外周面で該第２ガス吐出
孔の開口の下方部と上方部には互に逆ねじのねじ
溝を形成し、前記ロータの回転によれば前記第２
ガス吐出孔からのガスが前記下方部では下方に前
記上方部では上方に圧縮するようにしたことを特
徴とする。

(ホ) 作用 ロータ回転時には、内部ハウジング外周面に設
けた第２ガス吐出孔から吐出したパージガスが、
吐出孔の開口の下方部に形成したねじ溝内で下方
に圧送され、有毒ガスが内部ハウジング内へ侵入
するのを防止すると共に、前記第２ガス吐出孔の
開口の上方部に形成したねじ溝内ではパージガス
が上方向に圧縮され、内部ハウジング内に形成し
た第１ガス吐出孔から吐出したパージガスの圧力
とつりあつてパージガスの流れを止め、内部ハウ
ジング内から油蒸気が流出するのを防止する。
又、ロータ停止時には前記ねじ溝によるガスの圧
縮作用が生じないので、前記内部ハウジング内に
設けた第１ガス吐出孔から吐出するパージガスの
吐出量が増大し、内部ハウジング内への有毒ガス
の侵入を防止し、さらに誤操作等によつて有毒ガ
スが内部ハウジング内に侵入した場合にも、これ
を容易に排出することができる。

(ヘ) 実施例 本発明の１実施例を第１図に従つて説明する。

１は静翼２を内周面に形成した筒状の外部ハウ
ジングを示し、該外部ハウジング１内には動翼３
を外周面に形成したキヤツプ状のロータ４を回転
自在に配設した。

５は前記外部ハウジング１の下端部に固着した
内部ハウジングを示し、該内部ハウジング５は前
記ロータ４の凹部にその下方から嵌入すると共
に、その内部に電動モータ６を配設し、該電動モ
ータ６と前記ロータ４とを回転軸７により連結し
た。６ａはモータステータ、６ｂはモータロータ
を示す。

８は前記内部ハウジング５内の下部に設けた油
槽を示し、該油槽８内に貯留した潤滑油９によつ
て、前記回転軸７を支える軸受１０ａ，１０ｂの
潤滑をするようにした。１１は前記潤滑油９を上
方の前記軸受１０ａの近傍に輸送する為に前記回
転軸７内に形成した給油孔、１１ａはその潤滑油
吐出孔を示す。

１２は前記内部ハウジング５内に開口する第１
ガス吐出孔、１３は前記ロータ４内に嵌入した位
置の該内部ハウジング５の外周面に開口する第２
ガス吐出孔を示し、これらガス吐出孔１２，１３
は共に前記内部ハウジング下部に設けたガス供給
孔１４に連通させ、該供給孔１４にガス供給管１
５を接続して外部から不活性ガスを供給するよう
にした。

１６は前記内部ハウジング５の外周面に形成し
たねじ溝を示し、該ねじ溝１６は、前記ガス吐出
孔１３の開口の下方部分１６ａと上方部分１６ｂ
を互に逆ねじに形成し、前記ロータ４の回転によ
れば前記第２ガス吐出孔１３から吐出した不活性
ガスが、前記下方部分１６ａでは矢印Ａの如く下
方向に前記上方部分１６ｂでは矢印Ｂの如く上方
向に各々圧縮されるようにした。

１７は吸気口、１８は排気口を示す。

次に上記実施例の動作について説明する。

電動モータ６によりロータ４を回転させると、
静翼２と動翼３の圧縮作用によつて吸気口１７か
ら気体が吸引され排気口１８へ排出されると共
に、回転軸７に設けた潤滑油吐出孔１１ａから、
遠心力により潤滑油９が吐出し、軸受１０ａの潤
滑を行ない、これと同時に、ガス供給孔１４に不
活性ガスを供給し、ガス吐出孔１２，１３から不
活性ガスを吐出させる。

内部ハウジング５外周面に設けた第２ガス吐出
孔１３から吐出した不活性ガスは、ロータ４の回
転によりねじ溝１６ａ，１６ｂ内で前記第２吐出
孔１３の上下方向すなわち第１図矢印Ａ及びＢの
方向に圧縮され、下方すなわち矢印Ａ方向に圧縮
された不活性ガスはその方向に流出して前記吸引
される気体中の有毒ガスが内部ハウジング５内に
侵入するのを防止すると共に、上方すなわち矢印
Ｂ方向に圧縮された不活性ガスは内部ハウジング
５内の第１吐出孔１２から吐出した不活性ガスの
圧力とつりあつてほぼ停止し、内部ハウジング５
内から油蒸気が流出するのを防止する。尚、上側
のねじ溝１６ｂは、内部ハウジング５内の不活性
ガスがわずかに流出する程度、すなわち矢印Ｂと
反対方向にわずかに流れが生ずる程度に形成する
のが有毒ガスの流入防止にとつて最も好ましい。

次に電動モータ６を停止した場合には、内部ハ
ウジング５の外周において上記の圧縮作用が生じ
ないので、内部ハウジング５内の第１ガス吐出孔
１２から吐出する不活性ガスの吐出量が増大し
て、該不活性ガスが内部ハウジング５の外周を下
方に向けて即ち矢印Ｃの方向に流れ、有毒ガスの
内部ハウジング内への流入を防止する。尚、電動
モータ６停止時には潤滑油吐出孔１１ａに遠心力
が作用せず、潤滑油の吐出がないので、油蒸気が
不活性ガスの流れに混入して排出されることはな
い。

(ト) 発明の効果 このように本発明によると、内部ハウジングの
前記ロータ内への嵌入部の外周面に開口する第２
ガス吐出孔を設け、該内部ハウジングの外周面で
該第２ガス吐出孔の開口の下方部と上方部には互
に逆ねじのねじ溝を形成し、前記ロータの回転に
よれば前記第２ガス吐出口からのガスが前記下方
部では下方に前記上方部では上方に圧縮するよう
にしたので、ロータ回転時に、吸引排気ガスに含
まれる有毒ガスの内部ハウジング内への侵入、及
び内部ハウジング内からの油蒸気の流出を防止
し、されに内部ハウジング内に第１ガス吐出孔を
設けたので、ロータ停止時においても内部ハウジ
ング内への有毒ガスの侵入を防止すると共に、有
毒ガスが誤つて侵入した場合にもこれを容易に排
出することができ、かくて、モータ等の駆動装置
やその配線が長期の寿命を得ることができると共
に、油蒸気による悪影響が生じないで各種実験や
製造を行なうことができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の１実施例の縦断面図、第２図
及び第３図は各々従来例の縦断面図である。 １…外部ハウジング、２…静翼、３…動翼、４
…ロータ、５…内部ハウジング、６…モータ、７
…回転軸、１２…第１ガス吐出孔、１３…第２ガ
ス吐出孔、１６ａ，１６ｂ…ねじ溝。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 静翼を内周面に形成した外部ハウジング内に
   回転自在に配設され外周面に動翼を形成したキヤ
   ツプ状のロータと、前記外部ハウジングの下端部
   に固着され前記ロータ内に嵌入するように形成し
   た内部ハウジングと、該内部ハウジング内に配置
   され回転軸を介して前記ロータを駆動するモータ
   より成るターボ分子ポンプにおいて、前記内部ハ
   ウジングに、該内部ハウジング内に開口する第１
   ガス吐出孔を設けると共に該内部ハウジングの前
   記ロータ内への嵌入部の外周面に開口する第２ガ
   ス吐出孔を設け、該内部ハウジングの外周面で該
   第２ガス吐出孔の開口の下方部と上方部には互に
   逆ねじのねじ溝を形成し、前記ロータの回転によ
   れば前記第２ガス吐出孔からのガスが前記下方部
   では下方に前記上方部では上方に圧縮するように
   したことを特徴とするガスパージ機構。