JPH0457431B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

（産業上の利用分野） 本発明は、遠心鋳造製ラジアントチユーブの再
生修理方法に関する。 （従来の技術） 一般に熱処理炉、例えば加熱炉の加熱手段とし
て用いられるラジアントチユーブは、炉内架設状
態でその管内に送給される燃焼火炎により高温に
加熱され、その外表面からの幅射熱にて炉内を加
熱するものであるから、長期の使用による熱影響
で材質が劣化し、亀裂や変形等が生じて一定期間
後に廃棄されることになる。しかし、該ラジアン
トチユーブは高価な耐熱鋼製品であり、かつまた
一炉当たりの設置数も多いので、そのまま廃棄処
分したのでは経済的な負担が大きく、ために各種
の再生修理方法が摸索されている。 例えば特公昭58−53049号公報に開示のもので
は、古いラジアントチユーブを各部ごとに切断分
離し、それぞれを固溶化熱処理（再固溶化急冷処
理）によつて材質の回復を図り、ついでこれらを
形状矯正加工に付し、しかるのち各部を組立て、
各接合部を溶接して原形に復元し再使用に耐えう
るようにする。 （発明が解消しようとする問題点） しかし乍ら上記先行技術のものでは、Ｃ、Si、
Ｎの含有量の多い遠心鋳造製耐熱鋳鋼よりなるラ
ジアントチユーブの場合、固溶化熱処理を施して
も勒性の回復が認められず、故にその後の形状矯
正加工時、例えば真円矯正や直管矯正時に割れが
生じるので、上記方法では到底ラジアントチユー
ブの再生が不可能であつた。 従つて本発明は上記固溶化熱処理することな
く、古いラジアントチユーブのうち、良質な再使
用可能部分を選び出し、これらによつて新たにラ
ジアントチユーブを製作することで耐熱鋳製ラジ
アントチユーブの再生を可能とするものである。 （問題点を解決するための手段） 本発明は、長期使用後のラジアントチユーブを
従来のように固溶化熱処理することなくまず500
〜800℃の高温で形状矯正したのち、適宜切断し
て上記形状矯正後の再使用可能な良品部分を選び
出し、この良品部品の相互を突合わせて裏波溶接
して所定寸法に組立て、次に1000〜1150℃に加
熱、衝風急冷する遠心ラジアントチユーブの再生
修理方法を特徴とする。 （作用） 上記手段によれば、長期使用法のラジアントチ
ユーブをまず形状矯正することによつて、該矯正
ラジアントチユーブのうち再使用に耐えうる良品
部分のみを切出し、これら良品部分を集めて新た
なラジアントチユーブを製作し、かつこれを再使
用するものであるから、固溶化熱処理によつても
材質の回復ができなかつた遠心鋳造製ラジアント
チユーブにあつても、不都合なく再生使用ができ
る。 （実施例） 以下、本発明方法を図面により説明する。 第１図に示すように、まず熱処理炉内にて、長
期使用したラジアントチユーブ１を取外しできる
ようにアークエアガウジング等の切断機２にて３
〜５分割に切断する（）。これら分割されたラ
ジアントチユーブ１ａを取出して、それぞれをハ
ンドバーナー等の加熱バーナー３にて500〜800℃
に加熱してこの温度に保持する（）。この加熱
処理には加熱炉を使用しても良い。この500〜800
℃に保持されたラジアントチユーブ１ａをプレス
成形金型４ａ，４ｂにて成形矯正し、真円度、芯
角度を復元する（）（）。この矯正されたラジ
アントチユーブ１のうち矯正が完全な良品部分５
ａを切断して選択取出しし、良品部品５ａ同士を
溶接機６で突合わせ裏波溶接して原形の所定寸法
に合わせて組立てる（）。原形に復元されたラ
ジアントチユーブ５を加熱炉７に入れ、1000〜
1150℃に加熱し、フアン８にて衝風冷却し、溶接
部位の残留応力を除去する（）。そして、該熱
処理完了後、ラジアントチユーブ内部に圧縮空気
を入れ、水槽９中に浸漬させてリークテストを行
う（）。以上のようにして再使用できる新しい
ラジアントチユーブ５が得られるものである。 ちなみに、本発明では500〜800℃の高温で矯正
加工する理由として、500℃未満の低温では、扁
平状等の変形品を真円化する際、亀裂が発生す
る。それは、475℃前後で特に顕著に現れるよう
であり、俗に云う475脆性とみなされる。又、800
℃を越えての高温で矯正する場合、とくに、脆化
が目立つて進行するようである。それは、恐ら
く、マトリツクス中のCrがマトリツクス中に固
溶されているＣと結合し、Crカーバイドとなつ
てバウンダリーへ析出するためであると考察され
る。従つて、本方法では矯正温度域として500〜
800℃がベストリコメンデーシヨンとなる。 一方、フアイナルアセンブリーと化したのちに
1000〜1150℃に加熱、衝風急冷の処理を加える理
由として、1000℃未満の低温ではデイフエージヨ
ン効果が十分発揮できないので、品質の均一化安
定化が計れない。また、1150℃を越える高温で
は、熱処理炉の炉体破損が起こる危険性があるこ
と、及び品質改善効果が1050〜1100℃当たりから
サーチレートするため1000〜1150℃とするのが最
も好ましい。 このように本発明は、長期使用したラジアント
チユーブのうち、形状矯正不可能部分、つまり再
使用ができない程傷んだ部分を切り捨て、形状矯
正できた、かつ再使用できる部分を集めて新たな
ラジアントチユーブ再生するので、品質的に機械
的に安定したものが得られる。 第２図は、本発明の理解を助けるためにラジア
ントチユーブを用いる熱処理炉の一例を示したも
ので、図中、１０が炉体、１１が軸受１２で支承
されたハースロール、１３は熱処理材、１４はラ
ジアントチユーブ１または５の吊金具であつて、
ラジアントチユーブ１または５にはその一端より
バーナー１５にて燃焼火炎が通され、他端から廃
気管１６で熱風が排出される。 尚、本発明方法は第１図および第２図に示す直
管状のラジアントチユーブの他、専用のプレス成
形金型を製作することによつてＵ字管タイプのも
のの再生をも可能とできる。 （発明の効果） 以上詳述したように本発明は、従来不可能であ
る遠心鋳造製ラジアントチユーブの再生使用が可
能になるので、大幅なコストの低減が図れる。 次に、表−１に固溶化熱処理を実施した場合と
回収のままにおける偏平試験及び断面硬さ試験結
果を示す。この表をみてもわかるように遠心鋳造
製ラジアントチユーブは、固溶化熱処理をしても
靱性の回復はみとめられなかつた。

【表】 また、試験温度は常温であつた。供試材の化学
成分は次表の通りである。

【表】 そこで常温では矯正できないため、延性のでて
くる高温にて偏平試験を実施した。その試練結果
を表−３に示す。

【表】 この表をみてもわかるように偏平試験温度400
℃までは、偏平率が低く、500℃以上だと急激に
延性が出てきて、偏平率も高くなつている。した
がつて500℃以下では矯正時、われ発生の恐れが
ある。 また、偏平試験温度は、高くなればなるほど偏
平率が上がるが、温度の保持力が困難であるた
め、800℃が限度と考えられる。

【図面の簡単な説明】

第１図は〜は本発明にかかる遠心鋳造製ラ
ジアントチユーブの再生修理方法の一実施例を示
す図、第２図はラジアントチユーブを使用する熱
処理炉の一例を示す断面図、第３図は偏平試験要
領を示す図である。 １……古いラジアントチユーブ、３……加熱バ
ーナ、４ａ，４ｂ……プレス成形金型、５……再
生されたラジアントチユーブ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 長期使用により亀裂、変形劣化したラジアン
   トチユーブを再生するために、該ラジアントチユ
   ーブを固溶化熱処理することなく500〜800℃の高
   温で形状矯正したのち、適宜切断して上記矯正後
   の再使用可能な良品部分を選び出し、この良品部
   分の相互を突合わせて裏波溶接して所定寸法に組
   立て、次に1000〜1150℃に加熱、衝風急冷するこ
   とを特徴とする遠心ラジアントチユーブの再生修
   理方法。