JPH0456907B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、例えばエアクラツチ等の空気圧機器
に圧縮空気を供給するエア回転継手のシール装置
に関するものである。

（従来技術及びその問題点） この種のエア回転継手は、第３図に示すように
構成されている。

空気圧機器の１種である自動車用エアクラツチ
を示す第３図において、１０はエンジン側のフラ
イホイールである。このフライホイール１０には
クラツチカバー１２が固定されており、クラツチ
カバー１２の環状をなす空気圧式アクチユエータ
ー１４（空気圧機器）で発生する圧接力をプレツ
シヤープレート１６に伝えて、プレツシヤープレ
ート１６とフライホイール１０の間にクラツチデ
イスク１８を挟み付けるようになつている。

クラツチデイスク１８はエアクラツチの後段に
配置される変速機（図示せず）の入力軸２０にス
プライン嵌合している。入力軸２０の外周にはブ
ツシユ２２を介して筒軸２４が嵌合している。筒
軸２４の図中の右端部にはクラツチカバー１２が
嵌合している。

筒軸２４の左端部はカバー２６で囲まれてお
り、カバー２６の内部には室２８が形成されてい
る。カバー２６と筒軸２４の間には２個のエアシ
ール３０ａ〜３０ｂが介装されており、詳しくは
後述するようにエアシール３０ａ〜３０ｂでエア
漏れを防止するようになつている。

一方、カバー２６にはクラツチペダル３１で操
作される制御弁３２が繋がつており、制御弁３２
でコンプレツサー３４から調圧弁３６を介して流
れる圧縮空気は、エアシール３０ａとエアシール
３０ｂの間の室３８を通つて、筒軸２４の入口孔
４０から通路４２に流通するようになつている。
また、通路４２の左端部には出口孔４４が連通し
ており、出口孔４４はクラツチカバー１２の肉厚
内に形成された通路４６を通つて空気圧式アクチ
ユエーター１４の空気室４８に繋がつている。

しかしながら、高回転時にリツプ部の周速が上
昇し、空気圧の高圧化でリツプ部の圧接力が増大
して、PV値（Ｐ：圧力、Ｖ：周速）が大きくな
り、遂には摩擦熱でエアシールが損傷する恐れが
ある。

一方、リツプ部の損傷を防止するために、多量
の潤滑油を供給した場合には、エアクラツチに潤
滑油が流れ込んでしまうという問題がある。

しかしながら、高回転時にエアシールのリツプ
部の周速が上昇し、空気圧の高圧化でリツプ部の
圧接力が増大して、PV値（Ｐ：圧力、Ｖ：周速）
が大きくなり、遂には摩擦熱でエアシールが損傷
する恐れがある。

一方、リツプ部の摩擦を軽減するために、多量
の潤滑油を供給した場合にはエアクラツチに潤滑
油が流れ込んでしまうという問題がある。

（発明の目的） 本発明は、エアシールの回転軸への圧接力を低
減して、摩擦熱によるエアシールの損傷を防止し
ながら、空気圧機器に潤滑油が流れ込むことを防
止できるエア回転継手のシール装置を提供するこ
とを目的としている。

（発明の構成） (1) 技術的手段 本発明は、回転する軸を通じて空気圧機器に外
部から圧縮空気を供給するエア回転継手におい
て、回転軸の内部に圧縮空気を供給する空気室に
面する１対のゴム製の内側エアシールと、内側エ
アシールに軸方向の間隔を隔てた外側エアシール
とを組合せて設け、両エアシールの間の空間に潤
滑油を封入した潤滑油室を形成し、この潤滑油室
に前記圧縮空気と同じ圧力をかける圧縮空気通路
を接続し、両室間の圧力バランスを取るととも
に、空気室への潤滑油の侵入を防止したことを特
徴とするエア回転継手のシール装置である。

(2) 作用 潤滑油室に空気室と同じ圧力の圧縮空気を供給
し、両室の圧力バランスによつてエアシールが回
転軸に圧接する力を低減し、潤滑油室から空気室
側へ潤滑油が流れることを防止する。

（実施例） (1) 第１実施例 本発明を採用した第１実施例である自動車用エ
アクラツチのエアシール装置を第１図で説明す
る。第１図は第３図の部拡大図であり、他の部
分は略同じ構造であるので、第１図中で第３図と
同一符号で示す。なお、第１図は中心線Ｏを挟ん
で上半分だけを示している。

第１図中で、筒軸２４（回転軸）の外周面には
室３８の左右両側に３個づつ、合計６個のゴム製
エアシールが軸方向に間隔を隔てて配置されてい
る。前記室３８には圧縮空気通路６０が繋がつて
おり、圧縮空気通路６０から室３８に流入した圧
縮空気は筒軸２４の通路４２（第３図）からエア
クラツチに供給されるようになつている。

ゴム製環状のエアシールＳ１は室３８側に向か
つてリツプ部６１を開いた向きに配置されてお
り、エアシールＳ２も同様である。エアシールＳ
３は反対に、室３８の反対側（図中の左側）に向
かつてリツプ部６１が開いている。このエアシー
ルＳ３とエアシールＳ２の間に潤滑油室（以下油
室と略す）６２を形成している。また、エアシー
ルＳ１とエアシールＳ２の間にも油室６４が形成
され、油室６４には潤滑油通路６６から潤滑油が
所定の圧力で供給されるようになつている。

室３８の図中の右方には、エアシールＳ１〜Ｓ
３と左右対象にエアシールＳ４〜Ｓ６が配置さ
れ、同様に油室６２′，６４′が形成されている。

油室６２は封入油面６８で仕切られ、圧縮空気
通路６０に分岐接続した通路７２が油室６２に連
通し、油室６２内に封入された封入油７０を圧縮
空気通路６０からの圧力で加圧するようになつて
いる。

以上のエアシールＳ１〜Ｓ６の半径方向外方に
は、第３図と同様のカバー２６で囲まれている。

次に作用を説明する。第１図の第１実施例装置
では油室６２，６２′に封入油７０が封入され、
油室６４，６４′には潤滑油が供給されているの
で、各リツプ部６１の先端部には油膜が形成さ
れ、この油膜で室３８内の圧縮空気が漏れること
を防止するとともに、リツプ部６１の摩擦力を低
減する。

また、油室６２，６２′内の封入油７０には、
通路７２から室３８内と同じ圧力の圧縮空気が供
給されているので、油室６２，６２′内の封入油
７０は室３８と同じ圧力で加圧される。したがつ
て、エアシールＳ３，Ｓ４のリツプ部６１は封入
油７０の圧力で、筒軸２４に押付けられるが、封
入油７０の圧力は室３８の圧縮圧と圧力バランス
しており、エアシールＳ３，Ｓ４のリツプ部６１
が筒軸２４に強く押し付けられることを防止す
る。

したがつて、エアシールＳ３，Ｓ４のリツプ部
６１の筒軸２４に対する緊縛力がリツプ部６１に
内蔵されているワイヤー６３とリツプ部６１の締
付力だけに低減し、リツプ部６１と筒軸２４の間
の摩擦力が減少し、発生する摩擦熱も減る。

室３８と油室６２，６２′の圧力は、前述のよ
うに圧力バランスしているので、エアシールＳ
３，Ｓ４のリツプ部６１の緊縛力が軽くなつてい
ても、油室６２，６２′内の封入油７０が室３８
へ流出することもない。

油室６４，６４′にも所定の圧力で潤滑油が供
給されているので、同様である。

なお、本発明を実施する場合には、エアシール
Ｓ１，Ｓ６は必ずしも必要ではなく、筒軸２４の
外周面に油膜が付着している場合には、エアシー
ルＳ２，Ｓ５のリツプ部６１を筒軸２４に付着し
た油膜で潤滑できるので、エアシールＳ１，Ｓ６
を削減することもできる。

(2) 第２実施例 本発明の第２実施例を示す第２図で、室３８に
面したエアシールＳ３，Ｓ４のリツプ部６１は第
１図とは反対に、室３８に向かつて開いている。

また、油室６２，６２′の半径方向外方には冷
却室８０が形成され、冷却室８０の右側面は圧力
遮断伝熱板８２を介して潤滑油通路６６の潤滑油
に接しており、この潤滑油通路６６からの潤滑油
で冷却室８０内の封入油７０が冷却されるように
なつている。

油室６４、油室６４′には通路８４が形成され、
通路８４からミツシヨン内の室５２（第３図）へ
潤滑油をドレンするようになつている。

この実施例では、冷却室８０内の封入油７０が
潤滑油通路６６によつて冷却されるので、油室６
２，６２′内の封入油７０の油温上昇を防止する。

また、エアシールＳ３，Ｓ４のリツプ部６１は
第１図と逆向きに開いているが、リツプ部６１の
筒軸２４への緊縛力は同様に軽減している。

（発明の効果） 以上説明したように本発明によるエア回転継手
のシール装置は、回転軸（例えば筒軸２４）の内
部に圧縮空気を供給する空気室３８に面する１対
のゴム製の内側エアシールＳ３，Ｓ４と、内側エ
アシールＳ３，Ｓ４に軸方向の間隔を隔てた外側
ゴム製エアシールＳ２，Ｓ５とを組合せて設け、
両エアシールＳ３とＳ２，Ｓ４とＳ５の間の空間
に潤滑油を封入した油室６２，６２′を形成し、
この油室６２，６２′に前記圧縮空気と同じ圧力
をかける圧縮空気通路７２を接続したので、次の
効果を奏する。

エアシールＳ３，Ｓ４のリツプ部６１は封入油
７０の圧力で、筒軸２４に押付けられるが、封入
油７０の圧力は室３８の圧縮圧と圧力バランスし
ており、エアシールＳ３，Ｓ４のリツプ部６１が
筒軸２４に強く押し付けられることを防止でき、
エアシールＳ３，Ｓ４のリツプ部６１の筒軸２４
に対する緊縛力が低減し、リツプ部６１と筒軸２
４の間の摩擦力が減少し、発生する摩擦熱を減少
することができる。

したがつて、エアシールＳ３，Ｓ４のリツプ部
６１のPV値を高くしても、リツプ部６１が損傷
することはなく、エアシールＳ３，Ｓ４の耐久性
が向上する。

室３８と油室６２，６２′の圧力は、前述のよ
うに圧力バランスしているので、エアシールＳ
３，Ｓ４のリツプ部６１の緊縛力が軽くなつてい
ても、油室６２，６２′内の封入油７０が室３８
へ流出することを防止できる。

（別の実施例） (1) 本発明は、第１図、第２図のように自動車用
のエアクラツチに限らず、一般の空気圧機器に
適用することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による第１実施例を示す構造略
図、第２図は第２実施例を示す構造略図、第３図
は従来例を示す縦断面図である。２４…筒軸、Ｓ
１〜Ｓ６…エアシール、６１…リツプ部、６２，
６２′…油室、７２…通路。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 回転する軸を通じて空気圧機器に外部から圧
   縮空気を供給するエア回転継手において、回転軸
   の内部に圧縮空気を供給する空気室に面する１対
   のゴム製の内側エアシールと、内側エアシールに
   軸方向の間隔を隔てた外側エアシールとを組合せ
   て設け、両エアシールの間の空間に潤滑油を封入
   した潤滑油室を形成し、この潤滑油室に前記圧縮
   空気と同じ圧力をかける圧縮空気通路を接続し、
   両室間の圧力バランスを取るとともに、空気室へ
   の潤滑油の侵入を防止したことを特徴とするエア
   回転継手のシール装置。