JPH0454731Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、圃場において肥料の散布及び散布肥
料の土中への掻き込み等の施肥耕耘作業を行う歩
行型農作業機に関する。

〔従来の技術〕

野菜類を栽培する圃場では、栽培中に施肥作業
を行うことがある。

この場合には先ず畝間に肥料を散布して、その
次に、歩行型耕耘機で畝間を耕耘し表土と肥料を
掻き混ぜ、畝に寄せると言う作業が行われてい
る。

〔考案が解決しようとする問題点〕

前述の施肥作業では肥料を散布する工程と、土
の中に掻き込む工程の２工程で構成されており、
この２工程を繰り返すような作業内容となる。従
つて、作業能率の面から見て、手数を必要を要す
る作業となつていたので、改善の余地があつた。

本考案は、歩行型農作業機を利用して前述の施
肥作業を１つの工程で行えるように、且つ、この
歩行型農作業機も構造簡単に構成できるようにす
ることを目的としている。

〔問題点を解決するための手段〕

歩行型農作業機においては、エンジンの動力で
駆動される自走用の単一の車輪を、機体下部の左
右中央に備え、機体後部に耕耘装置を備えた型式
のものが多くなる。本考案は、このような歩行型
農作業機を利用して、次のように構成することを
特徴としている。つまり、 機体上部の左右に亘り一体形成されて振り分け
られたタンクと、タンクの下部左右に連結された
一対の繰出し機構と、繰出し機構の各々から下方
に延出された肥料散布用の左右一対の施肥パイプ
とを備えて施肥装置を構成して、この施肥装置を
機体前端部に着脱可能に装備し、且つ、左右の施
肥パイプを下方ほど機体左右中央側に位置するよ
うに配置すると共に、車輪の前端側において車輪
に設けた突部に接当して揺動する揺動部材と、繰
出し機構とを連動連結する連係部材を、左右の繰
出し機構及び左右の施肥パイプの間に設けてあ
る。

〔作用〕

前述のように構成すると、機体を進行させるに
従い、施肥装置の繰出し機構からの肥料が左右の
施肥パイプにより、機体前部左右に散布されてい
くと共に、散布された肥料が機体後部の耕耘装置
で表土と掻き混ぜられる。従つて、本考案の歩行
型農作業機では、肥料の散布及び肥料の土中への
掻き込みの２つの工程を同時に行うことができ
る。

又、施肥装置の繰出し機構用の動力を走行用の
車輪より得る構造としたので、エンジン及びその
伝導装置などに特別な施肥装置用の動力取出機構
等を設ける必要はなく、既存の走行型農作業機の
構造をそのまま流用できる。

施肥装置のタンクを機体前部左右に亘り一体形
成したので、このタンクが施肥装置全体を支持す
るフレームの機能を持つことになる。これによ
り、施肥装置全体を支持する専用のフレーム等が
不要になる。そして、機体正面視において施肥装
置全体が略左右対称になるので、機体の左右のバ
ランスの面でも有利になる。

施肥装置のタンクを機体前部左右に亘り一体形
成して配置し、車輪からの動力を伝達する連係部
材を略左右中央に配置したので、畝間を走行して
施肥作業を行う場合、タンクが作物除けとなつ
て、畝上の作物が機体に接触したり、作動してい
る連係部材に巻き込まれたりして、作物が傷めら
れることも防止できる。又、左右の施肥パイプも
下方ほど機体左右中央に寄つているので、施肥パ
イプの下端が畝に接触するようなこともない。

さらに、繰出し機構用の連係部材が車輪の前端
側にある点、及び施肥装置が機体前端部で着脱で
きる点により、この施肥装置全体及び連係部材
を、機体の前側から容易に着脱できるようにな
る。

これは、機体の前部に施肥装置の着脱の邪魔に
なるものが特にない歩行型農作業機の特徴であ
り、施肥装置の装着時と非装備時との仕様切換作
業が簡単に行える。

〔考案の効果〕

以上のように、畝上の作物を傷めたり畝に接触
したりすることなく、肥料の散布及び土中への掻
き込みが同時に行える歩行型農作業機が得られ
て、施肥作業の能率を向上させることができた。

そして、施肥装置全体を支持する専用フレーム
等が不要な点、繰出し機構用の動力を走行用の車
輪から得ている点、及び機体正面視において施肥
装置全体が略左右対称になる点により、構造が簡
単で左右バランスの良い操縦し易い歩行型農作業
機が得られた。

又、施肥装置及び連係部材が容易に着脱できる
ので、施肥装置の装備及び非装備の切換作業が楽
になり、作業性も向上させることができた。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例である歩行型農作業機に
ついて図面に基づいて説明する。

第１図に示すように、エンジン１を１つの走行
用の車輪２で支持し、機体前端部にタンク３ａ、
繰出し機構３ｂ及び施肥パイプ３ｃで構成された
施肥装置３，３を装備すると共に、機体後部にロ
ータリ式の耕耘装置４、耕耘装置４で砕かれた土
を左右に振り分ける畝立て板５及び操縦ハンドル
６を備えて歩行型農作業機を構成している。

施肥装置３，３は第２図に示すように、機体上
部の左右に亘り一体形成されて振り分けられたタ
ンク３ａ，３ａ、このタンク３ａ，３ａの下部左
右に連結された一対の繰出し機構３ｂ，３ｂと、
繰出し機構３ｂ，３ｂの各々から下方に延出され
た肥料散布用の左右一対の施肥パイプ３ｃ，３ｃ
とを備えて構成されている。そして、左右の施肥
パイプ３ｃ，３ｃを下方ほど機体左右中央側に位
置するように配置している。

次に施肥装置３，３の繰出し機構３ｂ，３ｂに
ついて説明する。第４図に示すように粉粒体とし
ての肥料Ｃを貯めるタンク３ａの下側に形成され
る吐出筒部に、筒状の繰出しケース１５を取付
け、この繰出しケース１５内に横架される断面六
角形状の駆動軸７に、外周面の周方向に適宜間隔
を隔てて、回転軸芯方向に沿う複数個の肥料貯留
用の凹部１２ａを形成した繰出しロール１２を外
嵌固定している。そして、繰出しロール１２の外
周面に摺設する一対の掻取用のブラシ１３を、繰
出しケース１５に対してセツトボルト１４により
取付けている。

肥料Ｃの繰出しは、繰出しローレル１２に設け
た２つの凹部１２ａの間の部分が、一対の掻取用
のブラシ１３の一方から他方までの範囲を往復揺
動するように繰出しロール１２を一定角度で正逆
駆動することにより、一つの凹部１２ａに入る分
だけの肥料Ｃが断続的に送り出されて行くことに
より行われる。

この正逆駆動の動力は２つの繰出しロール１
２，１２の共通の駆動軸７と走行用の車輪２とを
連動させて、車輪２の回転より得るようにしてお
り、次にその構造について説明する。

第３図に示すように、エンジン１下部に機体横
幅方向の横軸芯P₁周りで揺動自在なへ字状の揺
動部材８を、その端部が車輪２の前端部側におい
て、車輪２の外周部に設けた複数個の突部２ａ…
…に接当するように設けている。そして、この揺
動部材８の他端と繰出しロール１２の駆動軸７に
取付けた揺動アーム７ａとをロツド９（連係部材
に相当）を介して連動連結すると共に、揺動アー
ム７ａをバンパー１０に設けたバネ１１により下
方に付勢してる。そして、ロツド９が左右の繰出
し機構３ａ，３ａ及び左右の施肥パイプ３ｃ，３
ｃの間に配置されている。

従つて、機体を走行させると、車輪２の突部２
ａと揺動部材８との接当揺動作用、及びバネ１１
の付勢作用により、駆動軸７がその軸芯周りで揺
動駆動されて、肥料Ｃが間欠的に送り出されて行
くのである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る歩行型農作業機の実施例を
示し、第１図は歩行型農作業機の全体側面図、第
２図は歩行型農作業機の正面図、第３図は車輪と
施肥装置との連係状態を示す部分拡大側面図、第
４図は施肥装置における繰出し機構の縦断面側面
図である。 １……エンジン、２……車輪、２ａ……車輪の
突部、３……施肥装置、３ａ……施肥装置のタン
ク、３ｂ……施肥装置の繰出し機構、３ｃ……施
肥装置の施肥パイプ、４……耕耘装置、８……揺
動部材、９……連係部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジン１の動力で駆動される自走用の単一の
   車輪２を、機体下部の左右中央に備え、機体後部
   に耕耘装置４を備えた歩行型農作業機であつて、
   機体上部の左右に亘り一体形成されて振り分けら
   れたタンク３ａと、前記タンク３ａの下部左右に
   連結された一対の繰出し機構３ｂと、前記繰出し
   機構３ｂの各々から下方に延出された肥料散布用
   の左右一対の施肥パイプ３ｃとを備えて施肥装置
   ３を構成して、この施肥装置３を機体前端部に着
   脱可能に装備し、且つ、前記左右の施肥パイプ３
   ｃを下方ほど機体左右中央側に位置するように配
   置すると共に、前記車輪２の前端側において車輪
   ２に設けた突部２ａに接当して揺動する揺動部材
   ８と、前記繰出し機構３ｂとを連動連結する連係
   部材９を、前記左右の繰出し機構３ｂ及び左右の
   施肥パイプ３ｃの間に設けてある歩行型農作業
   機。