JPH0453807Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ａ 考案の目的 （産業上の利用分野） この考案に係る蓄圧式自動消火装置用消火ノズ
ルは、火災発生時に自動的に起動して消火剤を噴
出し、火災の初期消火を行なう自動消火装置に組
み込み、火災発生時には火災による熱で開口部を
自動的に開いて消火剤の噴出を行なうものであ
る。

（従来の技術） 例えば厨房のコンロ上、或は暖房器の設置場所
等は、他の場所に比較して火災が発生する危険性
が高い。この為、この様な火災発生の危険性が高
い場所には、火災発生時に自動的に起動して消火
剤噴出による消火活動を行なう自動消火装置を設
置する場合が多い。

この様な自動消火装置の構造として、火災によ
る熱によつて低温溶融半田を溶かし、ノズルの噴
出を塞いでいる塞板を吹き飛ばして上記ノズルか
ら消火剤を噴出するものがある。

自動消火装置の起動時に消火剤は、予めコンロ
上や暖房器に向けて固定されたノズルから噴出し
て消火活動を行なうが、この消火剤噴出用のノズ
ルは従来から第２図に示す様に構成されていた。

即ち、消火剤移送管１の端部に固定した金属製
のエルボ２の下端開口部に、ブラケツト３を介し
て金属製の拡散傘４を固定し、この拡散傘４の下
面に、陣傘状の封板５を、低温で溶融する半田８
によつて固定する事で構成されている。上記ブラ
ケツト３の内周面に装着したパツキング６の内側
に嵌装したロツド７の下端部は、上記封板５の上
面中央部に当接させ、消火剤移送管１を通じてブ
ラケツト３の内側に導入される圧力により、この
ロツド７が封板５を下方に押圧する様にしてい
る。封板５の受けた熱が、半田８を通つて拡散傘
４に流れるように、拡散傘４の下部には熱抵抗の
大きな空気を密閉した空間９が形成されている。

火災が発生した場合、この火災に伴なう熱によ
つて封板５の温度が上昇し、この封板５を拡散傘
４に対し固定している半田８が溶けて封板５の保
持力が失われ、この封板５がロツド７によつて下
方に飛ばされて、消火剤移送管１からエルボ２を
介してブラケツト３内に送り込まれていた消火剤
が拡散傘４から噴出する。

（考案が解決しようとする問題点） ところが、上述の様に構成され作用する従来の
蓄圧式自動消火装置用消火ノズルに於いては、次
に述べる様な不都合を生じる。

即ち、先端部にノズルを設けた消火剤移送管１
の基端は、圧力ガスによつて常に消火剤を押し出
そうとする消火剤容器の吐出口に接続されている
が、この吐出口から押し出される消火剤は、火災
の未発生時に於いても消火剤移送管１、エルボ２
を介してブラケツト３の内側に進入した状態とな
つている。

この様にブラケツト３の内側に進入した消火剤
が、パツキング６よりも上方にのみ存在し、消火
剤と封板５の上面とが接触する事がなければ特に
問題は生じないが、消火剤が強化液の様な液状の
ものである場合で、この液状消火剤がロツド７の
外周面とパツキング６の内周縁との間からパツキ
ング６の下方に漏出した場合に問題が生じる。

即ち、パツキング６の内周縁やロツド７の外周
面に微小な傷があつた場合、上述の様な漏出が生
じるが、この場合に於ける漏出量は年間1ccにな
るかならないかの微量であり、消火剤容器内の圧
力低下や消火材料の不足の原因となる様な事はな
いが、液状の消火剤が封板５の上面に接触する結
果、火災発生時に封板５に伝わつた熱が伝熱性が
高く熱容量も大きい液状消火剤に逃げ、この封板
５の温度上昇が遅れてしまう。

封板５の温度上昇が遅れると、それだけ半田８
が溶けるのが遅れ、自動消火装置の起動が遅れ
て、火災の初期消火に重要な時間が浪費される事
になる為、好ましくない。

本考案の蓄圧式自動消火装置用消火ノズルは、
この型の消火ノズルに於いて封板の上面に液状の
消火剤が溜るのを防止する事により、上述の様な
不都合を解消するものである。

ｂ 考案の構成 （問題を解決するための手段） 本考案の蓄圧式自動消火装置用消火ノズルは、
第１図に示した様に構成されている。

即ち、前述した従来の消火ノズルと同様に、消
火剤移送管１の端部に必要に応じて固定した金属
製のエルボ２の下端開口部に、ブラケツト３を介
して金属製の拡散傘４を固定し、この拡散傘４の
下面に、例えば陣傘状に形成された封板５を、低
温で溶融する半田８によつて固定する事で構成さ
れている。

上記ブラケツト３の内周面に装着したパツキン
グ６の内側に嵌装したロツド７の下端部は、上記
封板５の上面中央部に当接させ、消火剤移送管１
を通じてブラケツト３の内側に導入される圧力に
よつて、このロツド７が封板５を下方に押圧する
様にしている。

更に本考案の消火ノズルに於いては、拡散傘４
の側面で、封板５の上面の直上に位置する部分、
或は封板５のロツド７の当接部から外れた部分
に、少なくとも１個の通孔１０（図面に於いては
拡散傘４の側面に形成した状態のみを示してい
る。）を穿設して、上記拡散傘４の内側で封板５
の上方に存在する空間９の内外を連通させてい
る。

（作 用） 上述の様に構成される本考案の蓄圧式自動消火
装置用消火ノズルの火災発生時に於ける作用自体
は、前述した従来の消火ノズルの場合と同様であ
り、火災に伴なう熱によつて封板５の温度が上昇
し、この封板５を拡散傘４に対し固定している半
田８が溶けて封板５の保持力が失われると、この
封板５がロツド７によつて下方に飛ばされて、消
火剤移送管１からエルボ２を介してブラケツト３
内に送り込まれていた消火剤が拡散傘４から噴出
する。

本考案の消火ノズルの場合、待機時（火災未発
生時）にロツド７の外周面とパツキング６の内周
縁との間から空間９に向けて液状消火剤が漏出し
た場合でも、この液状消火剤は、拡散傘４の側
面、或は封板５に穿設した通孔１０からこの空間
９外に排出され、この空間９内に溜まる事はな
い。

通孔１０から排出された微量の漏洩消火剤は、
上方に大きく開いた皿状の封板５の上に落ち、迅
速に蒸発乾涸してしまうから、封板５の温度上昇
が漏洩消火剤のため遅れてしまうこともない。

ｃ 考案の効果 本考案の蓄圧式自動消火装置用消火ノズルは以
上に述べた通り構成され作用する為、漏洩消火剤
のため封板の温度上昇が遅れることがなく、即ち
受熱感度がよくなり、火災発生時にノズルの噴出
口が開く迄に要する時間の短縮を図る事が出来、
確実な初期消火を行なえる効果は大きい。

又、空間９内への消火剤漏出により、待機時に
この空間９内の圧力が高くなる事を防止出来る
為、封板５を拡散傘４に半田付けする強度を必要
以上に強くする必要がなくなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の、第２図は従来の、それぞれ
消火ノズルを示す縦断面図である。 １……消火剤移送管、２……エルボ、３……ブ
ラケツト、４……拡散傘、５……封板、６……パ
ツキング、７……ロツド、８……半田、９……空
間、１０……通孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 消火剤移送管の端部にブラケツト３を介して金
   属製の拡散傘４を固定し、この拡散傘の下面に、
   中央部を上方に隆起させた皿状の封板５を、低温
   で溶融する半田によつて固定し、上記ブラケツト
   の内周面にパツキング６を介して嵌装したロツド
   ７の下端部を、上記封板の隆起した上面中央部に
   当接させて支持し、拡散傘４の下部に、封板の上
   面により下部を塞がれる空間９を密閉状に形成し
   た蓄圧式自動消火装置用消火ノズルに於いて、空
   間９の下部を封板の上方に於いて開口し外気に通
   じさせる少なくとも１個の通孔１０を、拡散傘の
   下部側面に形成した事を特徴とする蓄圧式自動消
   火装置用消火ノズル。