JPS6228990Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は厨房等の天井に吊り下げ、火災発生
時にその熱を感知して自動的に起動し、消火剤を
散布して消火を行なう自動消火装置の改良に関
し、火災発生時に於ける起動が確実かつ迅速で、
しかも起動後に於ける消火剤の散布も良好に行な
える自動消火装置を提供せんとするものである。

扁平な消火剤容器の下面に、熱による開弁機構
とノズルとを設け、上記消火剤容器中に消火剤と
ともに圧力ガスを充填した自動消火装置が、従来
から厨房等の天井に吊り下げて使用されている。
このような自動消火器は、火災が発生するとその
熱により弁を自動的に開け、容器下面のノズルか
ら消火剤を散布する。ところが、従来のこのよう
な自動消火装置は、装置全体を扁平にする必要上
から、自動開弁機構やノズルの構造にも制約があ
り、火災発生後その熱を感知して起動するまでの
時間が長くかかつたり、或は消火剤の効果的な散
布が行なえない等の不都合があつた。

本考案の自動消火装置は以上のような従来装置
の有する不都合を解消すべく考案されたもので、
装置全体の高さを特に大きくする必要もなく、起
動が確実かつ迅速で消火剤の効果的な散布を可能
としたものである。

以下、実施例を示す図面により、本考案を説明
する。

第１図は本考案の自動消火装置の全体構成を示
している。木ねじ１により天井に吊り下げられた
扁平な消火剤容器３の下面中央部に形成した開口
４（第２〜３図）の周縁部には内周面に雌ねじを
刻設した短円筒状の口金５が固定されており、こ
の口金５の内側に金属製の蓋体６が気密に螺合し
ている。この蓋体６には、消火剤容器３内に圧力
ガス充填するための充填口（図示せず。）の他、
上下方向に貫通する２個の円孔７，８が穿設され
ている。一方の円孔７には、消火剤容器３内の圧
力を表示するための圧力計９が気密に装着されて
おり、他方の円孔８には、通常時は通路を閉じて
おり、火災発生時には通路を開いて消火剤を散布
する散布機構１０が組込まれている。次に、この
散布機構１０について説明する。散布機構１０を
付設する円孔８の中間部内面には、内フランジ状
の段部１１が形成されており、この段部１１の上
面には第４図に示すような円輪状のガイド片１２
が載置されている。このガイド片１２は、円孔８
内にがたつきなく挿入できる外輪１３と、後述す
る拡散片１４の杆部１４ａを摺動自在に挿通でき
る内輪１５とを連結部１６，１６により同心に結
合したもので内輪１５の上面は円錐面状の傾斜面
としている。杆部１４ａの下端部に円錐状の裾部
１４ｂを形成した拡散片１４の上記杆部１４ａは
ガイド片１２の内輪１５に下方から挿通し、その
上端部にストツパ１７を固定している。一方、段
部１１よりも下方の円孔８内には、合成樹脂のよ
うに熱伝導率の小さな材料により造られた短円筒
状の保持筒１８が固着されている。更に、この保
持筒１８の内側には、金属製の拡散傘１９の上端
部の円筒部１９ａが気密に固定されている。この
拡散傘１９は、円筒部１９ａの下側に、ラツパ状
の拡散部を設けたもので、この拡散部１９ｂの下
面には、金属製で逆摺鉢状の封板２０が、半田の
ような低温で溶融する金属により気密に固定され
ている。このように拡散部１９ｂの下面に封板２
０を固定した状態で、上記した拡散片１４の下端
の裾部１４ｂは、封板２０の上面に押し上げられ
て拡散傘１９の上端の円筒部１９ａ内に位置し、
拡散片１４の上端のストツパ１７はガイド片１２
の円輪１５よりも少し上方に位置している。

次に上述のように構成される本考案の自動消火
装置の火災発生時に於ける作用について説明す
る。

火災が発生すると、その際の熱により封板２０
の温度が上昇し、この封板２０の温度が一定以上
になると、封板２０を拡散傘１９の下面に固定し
ていた半田が溶融する。この際、封板２０を固定
した拡散片１４を蓋体６に固定した保持筒１８は
合成樹脂のような熱伝動率の小さな材料により造
られているため、封板２０の熱が金属製で熱容量
の大きな蓋体６や消火剤容器３にまで伝わること
はほとんどなく、半田を溶融させるには熱容量の
小さな封板２０と拡散傘１９とを熱するだけで良
い。このため、封板２０による受熱面積が大きい
ことと併せて火災発生時に半田が溶けるまでの時
間が短くて済む。更に、封板２０の下面を黒色に
すれば、封板２０が輻射熱を吸収し易くなり、半
田が溶融するまでの時間を一層短縮できる。半田
の溶融により封板２０の保持力がなくなると、こ
の封板２０は消火剤容器３内の圧力に押されて、
下方に飛ばされ、消火剤容器３内の消火剤がこの
容器３内の圧力に押され、円孔８を通じて下方に
噴出する。この際、ガイド片１２に支持された拡
散片１４は、第３図に示すように、ストツパ１７
の下面が内輪１５の上面に当接するまで下降し、
下端の裾部１４ｂが拡散傘１９の拡散部１９ｂ内
に位置する。このため、円孔８を通じて下方に噴
出する消火剤はこの裾部１４ｂの上面と拡散部１
９ｂの下面とに案内されて周囲に拡散し、広い範
囲に於ける火災を有効に消火する。このように拡
散片１４が下降する際、ガイド片１２の内輪１５
の上面は円錐面をなしているため、消火剤として
粉末のものを使用した場合でも、消火剤がこの内
輪１５の上面とストツパ１７の下面との間に挾ま
つて拡散片１４の下降を阻害することはなく、裾
部１４ｂは常に拡散部１９ｂの内側の所定位置に
停止し、消火剤の散布が安定して効率良く行なわ
れる。

本考案の自動消火装置は以上に述べた様に構成
され作用するので、火災発生時に迅速に起動して
消火剤を安定して散布することができ、しかも散
布機構が消火剤容器の下方に大きく突出しないた
め、天井に吊した場合でも違和感が少ない等、実
用上の効果が大きい。

なお、消火剤容器中に充填する消火剤として
は、液状のものでも良いが、火災発生時に封板２
０の熱が消火剤中に逃げることを少なくし、消火
装置の起動を早くするためには、液状消火剤に比
べて熱伝動率の小さな粉末消火剤が好ましい。但
し、通常時に封板２０の中央部上面に当接する拡
散片１４を合成樹脂のように熱伝動率の小さな材
料により造れば、液状の消火剤を用いた場合で
も、封板２０の熱が消火剤中に逃げるのを最少に
抑えることができ、消火装置の起動を十分迅速に
することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は総て本考案の実施例を示しており、第１
図は全体構成を示す一部縦断側面図、第２図は未
作働時に於ける第１図のＡ部拡大縦断面図、第３
図は作働時に於ける第２図同様の断面図、第４図
はガイド片の斜視図である。 １：木ねじ、２：天井、３：消火剤容器、４：
開口、５：口金、６：蓋体、７，８：円孔、９：
圧力計、１０：散布機構、１１：段部、１２：ガ
イド片、１３：外輪、１４：拡散片、１４ａ：杆
部、１４ｂ：裾部、１５：内輪、１６：連結部、
１７：ストツパ、１８：保持筒、１９：拡散傘、
１９ａ：円筒部、１９ｂ：拡散部、２０：封板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 扁平な金属製の消火剤容器３の下面の開口４に
   気密に固着した金属製の蓋体６に上下方向に貫通
   して設けた円孔８の中間部内周面に設けた内フラ
   ンジ状の段部１１の上面に、外輪１３と内輪１５
   とを連結部１６，１６で同心に結合した円輪状の
   ガイド片１２を載置し、このガイド片１２の内輪
   １５の内側に杆部１４ａの下端に円錐状の裾部１
   ４ｂを形成した拡散片１４の杆部１４ａを摺動自
   在に挿通するとともに、内輪１５の上方に突出し
   たこの杆部１４ａの上端にストツパ１７を固定
   し、段部１１よりも下方の円孔８内には、保持筒
   １８を固定し、この保持筒１８の下側に金属製の
   拡散傘１９を固定し、更にこの拡散傘１９の下面
   に封板２０を低温で溶融する金属で固定して成る
   自動消火装置であつて、上記保持筒１８を熱伝動
   率の小さい材料製としたことを特徴とする自動消
   火装置。