JPH0453480B2 - - Google Patents
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- JPH0453480B2 JPH0453480B2 JP2016968A JP1696890A JPH0453480B2 JP H0453480 B2 JPH0453480 B2 JP H0453480B2 JP 2016968 A JP2016968 A JP 2016968A JP 1696890 A JP1696890 A JP 1696890A JP H0453480 B2 JPH0453480 B2 JP H0453480B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- sound
- reverberation
- signal
- delay time
- reflected
- Prior art date
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- Expired - Lifetime
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- Measurement Of Mechanical Vibrations Or Ultrasonic Waves (AREA)
- Stereophonic System (AREA)
- Circuit For Audible Band Transducer (AREA)
Description
この発明は音楽などを聴く音場の音響特性を評
価しやすい物理量および心理量の形に変換するこ
とに着目し、より好ましい音楽聴取を可能たらし
めるように物理量を可変することのできる音響装
置に関するものである。 従来から好ましい音や音場に関する研究が行な
われているが、今回行こなつた研究により、音響
装置の再生音の基準となるコンサートホートにお
ける良い音場を決めるために必要なパラメータと
しては、次に示すようなものがあることが、次第
に明らかになつた来た。 即ち、両耳の音の特徴を表わす重要な客観的な
パラメータとしては聴取音圧・第1反射音の遅れ
時間・後続残響音の残響時間および両耳間相互相
関係数の4つの要素で有ることが、一連の模擬音
場におけるプリフアレンス(聴感上の心地良さ)
の試験によつて明らかとなつた。 次に上記4つの要素に関して詳しく説明する。 まず、第1図に反射壁の存在する空間における
音源と人頭との関係を示す。図において11は人
頭、12は音源、13,14は反射壁である。こ
こで、音源信号をp(t)、音源から左耳および右耳
へのインパルス応答をそれぞれhl(t)・hr(t)とした
とき、左耳および右耳の信号l(t)とr(t)とはそれ
ぞれl (t)=∫0 tp(ν)hl(t−ν)dν =p(t)*hl(t) …(式1a)r (t)=∫0 tp(ν)hr(t−ν)dν p(t)*hr(t) …(式1b) と表わされる。上記式の中の*印はコンポリユー
シヨンを示している。 なお図においてはhonのn=0は直接耳に入る
場合を、n=1は反射壁13で反射した音が耳に
入る場合を、n=2は反射壁14で反射した音が
耳に入る場合を、m=lは左の耳に音が入つてく
る場合を、m=rは右の耳に音が入つてくる場合
をそれぞれ示している。 ところで第1図においては、反射壁13,14
で反射した後耳に入る音は1つの反射壁に対して
2つしか示していないが、この反射が多数起こつ
ているとして、この反射壁13,14における反
射時のインパルス応答をWo(t)とすると、左の耳
及び右の耳へ達するインパルス応答hl(t),hr(t)は
それぞれ hl(t)=∞ 〓n=0 GoWo(t−△to)*hol(t) …(式2a) hr(t)=∞ 〓n=0 GoWo(t−△to)*hor(t) …(式2b) と表わすことができる。この(式2a)と(式2b)
を用いると上記の(式1a)と(式1b)はそれぞ
れl (t)=∞ 〓n=0 p(t)*GoWo(t−Δto)*ho(t) …(式3a)r (t)=∞ 〓n=0 p(t)*GoWo(t−Δto)*hol(t) …(式3b) と表わされる。 ここで音源p(t)が一様な輻射特性を持たない場
合には、各々の方向別の輻射パターンを考慮し
て、p(t)をpo(t)で置換できる。 ところで両耳へ入つてくる音響信号の中の情報
として、独立で客観的な音響パラメータが含まれ
ており、その第1のパラメータとして音源信号p
(t)をあげることができる。その音源信号を用い
て、その長時間の自己相関関数Φp(τ)を Φp(τ)= limT →∞1/2TT ∫-T p′(t)p′(t+τ)dt …(式4) と表わすことができる。ここでp′(t)=p(t)*s(t)
であり、s(t)は耳の感度に対応し、論理上は中耳
と外耳の特性で表されるが、実用上は聴感特性を
近似したものとしてよく知られているGフイルタ
のインパルス応答として表わすことができる。当
然ながらp′(t)のパワーΦp(o)で(式4)を割り
算することによつて正規化自己相関関数φp(τ)
は φp(τ)=Φp(τ)/Φp(o) …(式5) と表わすことができる。 第2図a,bは上記(式5)に対応する正規化
自己相関関数の測定値を図に示したものである。
第2図aはギーボンス(Gibbons)による音楽
“ローヤルパベーン(Royal Pavane)”に対応し
た測定値を表わしたものであり、この音楽を以後
音楽Aと称する。第2図bはアーノルド
(Arnold)による音楽“シンホニエツタ、品48:
ムーブメント、アレグロコンブリオ
(Synfornietta,Opus48: Movement,
Allegro con brio)”に対応した測定値を表わし
たものであり、この音楽を以後音楽Bと称する。 次に、第2の客観的なパラメータとしては壁な
どの境界における反射によつて生ずるインパルス
応答があげられる。これは直接音と第一反射音と
の間の初期時間遅れに関係するとともに、初期反
射音や後続残響音さらに反射に基づくスペクトラ
ムの変化などにも関係するものである。 第3の客観的なパラメータとしては左右の耳へ
のインパルス応答hol(t),hor(t)があげられる。こ
のインパルス応答は音の定位に重要な役割を演じ
るものであり、それぞれ互いに独立な関係にはな
い。そのことは、中央定位する信号の場合には、
hol(t)、hor(t)となることから明らかある。 次に、2つのインパルス応答hol(t)とhor(t)の間
の相互の従属関係を導びき出す。 まず、両耳の信号l(t)、r(t)の間の長時間の両
耳相互相関関数Φlr(τ)をl(t)、r(t)を用いて表
わすと、 Φlr(τ)= limT →∞1/2TT ∫-T l (t)r(t+τ)dt, |τ|≦1ms ……(式6) となる。 ところで、拡がり感あるいは方向のない感覚
は、両耳間相互相関が小さい値の場合に発生する
ものであり、定まつた方向からの信号だけの場合
には|τ|<1msにおいて、両耳間相互相関関数
は大きなピークを持つ。ここで|τ|<1msとし
ているのは、両耳の信号l(t)、r(t)の間の時間差
は、両耳間距離と音速との関係より、通常1ms以
上にはなり得ないことによるものである。 まず、直接音のみによる両耳間相互相関関数
Φ(o) lr(τ)はl(t)=p(t)*hpl(t)、r(t)=p(t
)*hpr(t)
として(式6)に代入すれば得られる。ところ
で、直接音のみの正規化自己相互相関関数φ(o) lr
(τ)は と表わすことができる。なおφlr(τ)(o)仮にhpl(t)
hpr(t)ならばほぼ1になる。ここでΦ(o) ll(o)と
Φ(o) rr(o)は左と右ののそれぞれの耳における信
号のτ=0の自己相関関数を示している。次に直
接波の自己相関関数が小さくなる時間以後に別の
反射音が直接音に加わるものとすれば、そのとき
の正規化自己相関関数φ(N) lr(τ)は、Wo(t)がデイ
ラツクのデルタ関数δ(t)に等しい場合には、 と表わされる。ここで、Φ(o) lr(τ)はn番目の反
射の耳間相互相関関数をΦ(n) ll(o)、Φ(n) rr(o)
はそ
れぞれの左、右の耳のn番目の反射音のτ=0に
おける自己相関関数を示している。なお、通常の
部屋で音源が正面にある場合には、両耳間相互相
関関数の最大値はτ=0に極めて近い所で得られ
る。 ところで、正規化両耳間相互相関の強さを
IAACとして IAAC=|φlr(τ)|max or|τ|1ms (式9) と定義する。なお、φlr(τ)=Φlr(τ)/√ll
(o)Φrr(o)であり、Φll(o)、Φrr(o)はそ
れ
ぞれ左右の耳の信号音のτ=0における自己相関
関数を示している。 以上において、音源信号の長時間の自己相関関
数と、音が壁などで反射することによつて生ずる
複数のインパルス応答と、両耳の信号の相関関数
を示す両耳間相互相関関数とに関して述べたが、
つぎにこれらの物理量から、両耳の音の信号の特
徴を表わす重要な客観的なパラメータである4つ
の要素、即ち、聴取音圧、第1反射音の遅れ時
間、後続残響音の残響時間、および両耳間相関関
数の値のそれぞれの最適値のもとめ方について述
べる。 前述の音楽Aおよび音楽Bを用いて行つたプリ
フアレンステストの結果を第3図abに示す。横
軸はIACC、縦軸は聴取音圧〔単位、dBA〕であ
る。聴取音圧は自己相関関数のτ=0の値である
と考えることができ、グラフの横軸の値はプリフ
アレンスを示している。第3図a,bより明らか
に最適な聴取音圧〔p〕pはIACCにさほど依存
しておらず、ややスローテンポの音楽Aの場合に
は77〜76dBA、テンポの速い音楽Bの場合には
79〜80dBAであることがわかる。いずれの場合
も聴取音圧の最適値は79dBA前後の値を取つて
いることがわかる。 次に、音楽とスピーチを用いてスピーカ再生時
の直接音と単一反射音からなる合成音場をプリフ
アレンスで評価した結果によれば、音源信号の正
規化された自己相関関数φp(τ)を求め、反射音
のレベルを直接音の±6dBに亘つて変化させたと
き、その反射音の最適遅れ時間は、|Φp(τ)|が
第1反射音のレベルG1の1/10に相当するその
時間に対応することが明らかになつた。そこで|
Φp(τ)|が第1反射音のレベルG1の1/10に相
当する時間τdを横軸に取り、プリフアレンスが
最大となる単一反射音の遅れ時間〔△t1〕pを縦
軸にして表わした図が第4図である。図中に示さ
れた範囲は、プリフアレンスの最大値より0.1低
い時の遅れ時間を示したもので、図中の記号〇は
第1反射音のレベルG1=6dB、●はG1=0dB、□
はG1=−6dBの時のそれぞれを示している。とく
に|φp(τ)|がφp(o)の0.1倍になる時間をτp
とするとG1=0dBの場合τd=τpと表現できる。
なお前述の音楽AとBのτpは第2図aとbから
も類推できるようにそれぞれ127msと35msであ
る。ここで、第4図から明らなように、図中の各
点に近似させて直線を引くことができ、その直線
に対応する両軸を見てみるとτdはプリフアレン
スが最大となる単一反射音の遅れ時間〔△t1〕p
にほぼ一致することがわかる。同時に|Φp(τ)
|がΦp(o)の0.1倍になる時間τpとほぼ一致す
る。即ち、これを数式で表現すれば、最も好まし
い第一反射音の遅延時間〔△t1〕pは 〔△t1〕p=τp
…(式10)を表わすことができる。 なお、τ>τpにおいて、 |Φp(τ)|≦KGC …(式11) であり、この時K=const(=0.1)、C=const(=
1.0)、
価しやすい物理量および心理量の形に変換するこ
とに着目し、より好ましい音楽聴取を可能たらし
めるように物理量を可変することのできる音響装
置に関するものである。 従来から好ましい音や音場に関する研究が行な
われているが、今回行こなつた研究により、音響
装置の再生音の基準となるコンサートホートにお
ける良い音場を決めるために必要なパラメータと
しては、次に示すようなものがあることが、次第
に明らかになつた来た。 即ち、両耳の音の特徴を表わす重要な客観的な
パラメータとしては聴取音圧・第1反射音の遅れ
時間・後続残響音の残響時間および両耳間相互相
関係数の4つの要素で有ることが、一連の模擬音
場におけるプリフアレンス(聴感上の心地良さ)
の試験によつて明らかとなつた。 次に上記4つの要素に関して詳しく説明する。 まず、第1図に反射壁の存在する空間における
音源と人頭との関係を示す。図において11は人
頭、12は音源、13,14は反射壁である。こ
こで、音源信号をp(t)、音源から左耳および右耳
へのインパルス応答をそれぞれhl(t)・hr(t)とした
とき、左耳および右耳の信号l(t)とr(t)とはそれ
ぞれl (t)=∫0 tp(ν)hl(t−ν)dν =p(t)*hl(t) …(式1a)r (t)=∫0 tp(ν)hr(t−ν)dν p(t)*hr(t) …(式1b) と表わされる。上記式の中の*印はコンポリユー
シヨンを示している。 なお図においてはhonのn=0は直接耳に入る
場合を、n=1は反射壁13で反射した音が耳に
入る場合を、n=2は反射壁14で反射した音が
耳に入る場合を、m=lは左の耳に音が入つてく
る場合を、m=rは右の耳に音が入つてくる場合
をそれぞれ示している。 ところで第1図においては、反射壁13,14
で反射した後耳に入る音は1つの反射壁に対して
2つしか示していないが、この反射が多数起こつ
ているとして、この反射壁13,14における反
射時のインパルス応答をWo(t)とすると、左の耳
及び右の耳へ達するインパルス応答hl(t),hr(t)は
それぞれ hl(t)=∞ 〓n=0 GoWo(t−△to)*hol(t) …(式2a) hr(t)=∞ 〓n=0 GoWo(t−△to)*hor(t) …(式2b) と表わすことができる。この(式2a)と(式2b)
を用いると上記の(式1a)と(式1b)はそれぞ
れl (t)=∞ 〓n=0 p(t)*GoWo(t−Δto)*ho(t) …(式3a)r (t)=∞ 〓n=0 p(t)*GoWo(t−Δto)*hol(t) …(式3b) と表わされる。 ここで音源p(t)が一様な輻射特性を持たない場
合には、各々の方向別の輻射パターンを考慮し
て、p(t)をpo(t)で置換できる。 ところで両耳へ入つてくる音響信号の中の情報
として、独立で客観的な音響パラメータが含まれ
ており、その第1のパラメータとして音源信号p
(t)をあげることができる。その音源信号を用い
て、その長時間の自己相関関数Φp(τ)を Φp(τ)= limT →∞1/2TT ∫-T p′(t)p′(t+τ)dt …(式4) と表わすことができる。ここでp′(t)=p(t)*s(t)
であり、s(t)は耳の感度に対応し、論理上は中耳
と外耳の特性で表されるが、実用上は聴感特性を
近似したものとしてよく知られているGフイルタ
のインパルス応答として表わすことができる。当
然ながらp′(t)のパワーΦp(o)で(式4)を割り
算することによつて正規化自己相関関数φp(τ)
は φp(τ)=Φp(τ)/Φp(o) …(式5) と表わすことができる。 第2図a,bは上記(式5)に対応する正規化
自己相関関数の測定値を図に示したものである。
第2図aはギーボンス(Gibbons)による音楽
“ローヤルパベーン(Royal Pavane)”に対応し
た測定値を表わしたものであり、この音楽を以後
音楽Aと称する。第2図bはアーノルド
(Arnold)による音楽“シンホニエツタ、品48:
ムーブメント、アレグロコンブリオ
(Synfornietta,Opus48: Movement,
Allegro con brio)”に対応した測定値を表わし
たものであり、この音楽を以後音楽Bと称する。 次に、第2の客観的なパラメータとしては壁な
どの境界における反射によつて生ずるインパルス
応答があげられる。これは直接音と第一反射音と
の間の初期時間遅れに関係するとともに、初期反
射音や後続残響音さらに反射に基づくスペクトラ
ムの変化などにも関係するものである。 第3の客観的なパラメータとしては左右の耳へ
のインパルス応答hol(t),hor(t)があげられる。こ
のインパルス応答は音の定位に重要な役割を演じ
るものであり、それぞれ互いに独立な関係にはな
い。そのことは、中央定位する信号の場合には、
hol(t)、hor(t)となることから明らかある。 次に、2つのインパルス応答hol(t)とhor(t)の間
の相互の従属関係を導びき出す。 まず、両耳の信号l(t)、r(t)の間の長時間の両
耳相互相関関数Φlr(τ)をl(t)、r(t)を用いて表
わすと、 Φlr(τ)= limT →∞1/2TT ∫-T l (t)r(t+τ)dt, |τ|≦1ms ……(式6) となる。 ところで、拡がり感あるいは方向のない感覚
は、両耳間相互相関が小さい値の場合に発生する
ものであり、定まつた方向からの信号だけの場合
には|τ|<1msにおいて、両耳間相互相関関数
は大きなピークを持つ。ここで|τ|<1msとし
ているのは、両耳の信号l(t)、r(t)の間の時間差
は、両耳間距離と音速との関係より、通常1ms以
上にはなり得ないことによるものである。 まず、直接音のみによる両耳間相互相関関数
Φ(o) lr(τ)はl(t)=p(t)*hpl(t)、r(t)=p(t
)*hpr(t)
として(式6)に代入すれば得られる。ところ
で、直接音のみの正規化自己相互相関関数φ(o) lr
(τ)は と表わすことができる。なおφlr(τ)(o)仮にhpl(t)
hpr(t)ならばほぼ1になる。ここでΦ(o) ll(o)と
Φ(o) rr(o)は左と右ののそれぞれの耳における信
号のτ=0の自己相関関数を示している。次に直
接波の自己相関関数が小さくなる時間以後に別の
反射音が直接音に加わるものとすれば、そのとき
の正規化自己相関関数φ(N) lr(τ)は、Wo(t)がデイ
ラツクのデルタ関数δ(t)に等しい場合には、 と表わされる。ここで、Φ(o) lr(τ)はn番目の反
射の耳間相互相関関数をΦ(n) ll(o)、Φ(n) rr(o)
はそ
れぞれの左、右の耳のn番目の反射音のτ=0に
おける自己相関関数を示している。なお、通常の
部屋で音源が正面にある場合には、両耳間相互相
関関数の最大値はτ=0に極めて近い所で得られ
る。 ところで、正規化両耳間相互相関の強さを
IAACとして IAAC=|φlr(τ)|max or|τ|1ms (式9) と定義する。なお、φlr(τ)=Φlr(τ)/√ll
(o)Φrr(o)であり、Φll(o)、Φrr(o)はそ
れ
ぞれ左右の耳の信号音のτ=0における自己相関
関数を示している。 以上において、音源信号の長時間の自己相関関
数と、音が壁などで反射することによつて生ずる
複数のインパルス応答と、両耳の信号の相関関数
を示す両耳間相互相関関数とに関して述べたが、
つぎにこれらの物理量から、両耳の音の信号の特
徴を表わす重要な客観的なパラメータである4つ
の要素、即ち、聴取音圧、第1反射音の遅れ時
間、後続残響音の残響時間、および両耳間相関関
数の値のそれぞれの最適値のもとめ方について述
べる。 前述の音楽Aおよび音楽Bを用いて行つたプリ
フアレンステストの結果を第3図abに示す。横
軸はIACC、縦軸は聴取音圧〔単位、dBA〕であ
る。聴取音圧は自己相関関数のτ=0の値である
と考えることができ、グラフの横軸の値はプリフ
アレンスを示している。第3図a,bより明らか
に最適な聴取音圧〔p〕pはIACCにさほど依存
しておらず、ややスローテンポの音楽Aの場合に
は77〜76dBA、テンポの速い音楽Bの場合には
79〜80dBAであることがわかる。いずれの場合
も聴取音圧の最適値は79dBA前後の値を取つて
いることがわかる。 次に、音楽とスピーチを用いてスピーカ再生時
の直接音と単一反射音からなる合成音場をプリフ
アレンスで評価した結果によれば、音源信号の正
規化された自己相関関数φp(τ)を求め、反射音
のレベルを直接音の±6dBに亘つて変化させたと
き、その反射音の最適遅れ時間は、|Φp(τ)|が
第1反射音のレベルG1の1/10に相当するその
時間に対応することが明らかになつた。そこで|
Φp(τ)|が第1反射音のレベルG1の1/10に相
当する時間τdを横軸に取り、プリフアレンスが
最大となる単一反射音の遅れ時間〔△t1〕pを縦
軸にして表わした図が第4図である。図中に示さ
れた範囲は、プリフアレンスの最大値より0.1低
い時の遅れ時間を示したもので、図中の記号〇は
第1反射音のレベルG1=6dB、●はG1=0dB、□
はG1=−6dBの時のそれぞれを示している。とく
に|φp(τ)|がφp(o)の0.1倍になる時間をτp
とするとG1=0dBの場合τd=τpと表現できる。
なお前述の音楽AとBのτpは第2図aとbから
も類推できるようにそれぞれ127msと35msであ
る。ここで、第4図から明らなように、図中の各
点に近似させて直線を引くことができ、その直線
に対応する両軸を見てみるとτdはプリフアレン
スが最大となる単一反射音の遅れ時間〔△t1〕p
にほぼ一致することがわかる。同時に|Φp(τ)
|がΦp(o)の0.1倍になる時間τpとほぼ一致す
る。即ち、これを数式で表現すれば、最も好まし
い第一反射音の遅延時間〔△t1〕pは 〔△t1〕p=τp
…(式10)を表わすことができる。 なお、τ>τpにおいて、 |Φp(τ)|≦KGC …(式11) であり、この時K=const(=0.1)、C=const(=
1.0)、
【式】である。正規化自己相
関関数φp(τ)を用いた(式11)は
τ>τpおいて、|φp(τ)|≦0.1
…(式12)
と表現できる。
さらに、音源信号の自己相関関数は最適残響時
間とも密接な関係があり、この関係を第5図に示
した。縦軸は後続残響音の最適残響時間〔Tsub〕
pであり、横軸はτpである。ここで言う残響時
間とは直接音が60dB減衰する時間ではなく、残
響部の信号が60dB減衰する時間として表現して
いる。図中、音楽Aと音楽Bは先に述べたものと
同様であるが、音楽Eはモーツアルト(Mozart)
による“交響曲ハ長調K、551ジユピター第4楽
章、モルトアレグロ”であり、スピーチSは国木
田独歩の“利根川の瀬の音”の「空はどこまでも
青く、明るく高いのに驚きます。」(τp=12ms)
である。図から明らかなように、第5図に示され
た関係は〔Tsub〕p≒(23±10)τpなる関数で
ほぼ近似することができる。 次に、第6図は直接音と単一反射音からなる合
成音場において測定した結果を図に表わしたもの
であつて、横軸に反射音の到来方向ξを、縦軸に
正規化されたプリフアレンスとIACCの値を示し
ている。この第6図からプリフアレンスはIACC
の値が減少するに従つて増加することがわかる。
即ち、プリフアレンスのスコアとIACCの値との
間の相関関数は負(−0.76:1%有意水準)であ
つて、このことはIACCがτ=0で最大値をとる
場合に成立するものである。最も効果的にICAA
を小さくするには正面から±(55゜±20゜)の範囲
に初期反射音が到来するようにすればよいことも
図から読み出すことができる。 次に、上述の4つのパラメータによるプリフア
レンスの尺度について述べる。ところでこのプリ
フアレンスの尺度は比較試験によつて求められた
ものであり、各々のパラメータはプリフアレンス
の尺度に対して独立に影響をあたえる。この結
果、重畳の理が適用できるので各々に客観的なパ
ラメータを最適値によつて正規化することによ
り、コンサートホールなどにおいて得られた音場
のプリフアレンスのデータを一般化することが可
能となる。以下に比較試験によつて得られたプリ
フアレンスの尺度について説明する。 まず、聴取音圧の関数としてのプリフアレンス
の尺度S1を第7図に示す。この図において、最適
聴取音圧における尺度は零に設定されている。S1
の値は、最も好ましい聴取音圧(0dB)を中心と
して左右ほぼ対象であるが、弱い聴取音圧の方に
ずれた方が、強い音圧の方にずれたときよりもや
やプリフアレンスの尺度が良い傾向がある。この
ことを数式によつて表現すれば、 S1(LL)≦S1(−LL) (式13) となる。ここで、LL=20log(p/〔p〕p)で
あり、pは聴取音圧、〔p〕pは最適な聴取音圧
である。なお、図中〇は音楽A、Xは音楽Bの値
を示している。 次に、直接音と第1反射音の間の遅れ時間(第
1反射音遅れ時間)の関数としてのプリフアレン
スの尺度S2を第8図に示す。この図の横軸は最も
好ましい時間遅れ〔△t1〕pによつて正規化され
ている。ところで、第2反射音の遅れ時間は、そ
の最適値〔△t2〕pが〔△t2〕p1.8τpであるこ
とが知られているので、測定を行うにあたつては
第2反射音の遅れ時間としてはこの最適値を用い
た。もちろん、(式10)の条件があることは言う
までもない。図において、〇,a,A,△のそれ
ぞれは音楽Aによる個々の測定結果であり、X,
b,B△のそれぞれは音楽Bによる個々の測定結
果であり、Cは音楽C、Dは音楽D、□は音楽
E、●はスピーチSによる測定結果である。音楽
A,B,Eについてはすでに先に述べたが、音楽
Cはハイドンの交響曲第102番変ロ長調第2楽章
アダージヨ(τp=65ms)であり、音楽Dはワー
グナーのジークフリートイデイル(Siegfried
Idyll)332小節(τp=40ms)である。なお第6
図と同様最適な第1反射音の遅れ時間における尺
度は零に設定されている。 さらに、後続残響音の残響時間を関数としたプ
リフアレンスの尺度S3を第9図に示す。図におい
て実線は反射音の全ての音圧
間とも密接な関係があり、この関係を第5図に示
した。縦軸は後続残響音の最適残響時間〔Tsub〕
pであり、横軸はτpである。ここで言う残響時
間とは直接音が60dB減衰する時間ではなく、残
響部の信号が60dB減衰する時間として表現して
いる。図中、音楽Aと音楽Bは先に述べたものと
同様であるが、音楽Eはモーツアルト(Mozart)
による“交響曲ハ長調K、551ジユピター第4楽
章、モルトアレグロ”であり、スピーチSは国木
田独歩の“利根川の瀬の音”の「空はどこまでも
青く、明るく高いのに驚きます。」(τp=12ms)
である。図から明らかなように、第5図に示され
た関係は〔Tsub〕p≒(23±10)τpなる関数で
ほぼ近似することができる。 次に、第6図は直接音と単一反射音からなる合
成音場において測定した結果を図に表わしたもの
であつて、横軸に反射音の到来方向ξを、縦軸に
正規化されたプリフアレンスとIACCの値を示し
ている。この第6図からプリフアレンスはIACC
の値が減少するに従つて増加することがわかる。
即ち、プリフアレンスのスコアとIACCの値との
間の相関関数は負(−0.76:1%有意水準)であ
つて、このことはIACCがτ=0で最大値をとる
場合に成立するものである。最も効果的にICAA
を小さくするには正面から±(55゜±20゜)の範囲
に初期反射音が到来するようにすればよいことも
図から読み出すことができる。 次に、上述の4つのパラメータによるプリフア
レンスの尺度について述べる。ところでこのプリ
フアレンスの尺度は比較試験によつて求められた
ものであり、各々のパラメータはプリフアレンス
の尺度に対して独立に影響をあたえる。この結
果、重畳の理が適用できるので各々に客観的なパ
ラメータを最適値によつて正規化することによ
り、コンサートホールなどにおいて得られた音場
のプリフアレンスのデータを一般化することが可
能となる。以下に比較試験によつて得られたプリ
フアレンスの尺度について説明する。 まず、聴取音圧の関数としてのプリフアレンス
の尺度S1を第7図に示す。この図において、最適
聴取音圧における尺度は零に設定されている。S1
の値は、最も好ましい聴取音圧(0dB)を中心と
して左右ほぼ対象であるが、弱い聴取音圧の方に
ずれた方が、強い音圧の方にずれたときよりもや
やプリフアレンスの尺度が良い傾向がある。この
ことを数式によつて表現すれば、 S1(LL)≦S1(−LL) (式13) となる。ここで、LL=20log(p/〔p〕p)で
あり、pは聴取音圧、〔p〕pは最適な聴取音圧
である。なお、図中〇は音楽A、Xは音楽Bの値
を示している。 次に、直接音と第1反射音の間の遅れ時間(第
1反射音遅れ時間)の関数としてのプリフアレン
スの尺度S2を第8図に示す。この図の横軸は最も
好ましい時間遅れ〔△t1〕pによつて正規化され
ている。ところで、第2反射音の遅れ時間は、そ
の最適値〔△t2〕pが〔△t2〕p1.8τpであるこ
とが知られているので、測定を行うにあたつては
第2反射音の遅れ時間としてはこの最適値を用い
た。もちろん、(式10)の条件があることは言う
までもない。図において、〇,a,A,△のそれ
ぞれは音楽Aによる個々の測定結果であり、X,
b,B△のそれぞれは音楽Bによる個々の測定結
果であり、Cは音楽C、Dは音楽D、□は音楽
E、●はスピーチSによる測定結果である。音楽
A,B,Eについてはすでに先に述べたが、音楽
Cはハイドンの交響曲第102番変ロ長調第2楽章
アダージヨ(τp=65ms)であり、音楽Dはワー
グナーのジークフリートイデイル(Siegfried
Idyll)332小節(τp=40ms)である。なお第6
図と同様最適な第1反射音の遅れ時間における尺
度は零に設定されている。 さらに、後続残響音の残響時間を関数としたプ
リフアレンスの尺度S3を第9図に示す。図におい
て実線は反射音の全ての音圧
【式】の場合の後続残響音
の残響時間を関数としたプリフアレンスの尺度S3
であり、破線はG=1.1の場合のそれである。図
において、〇,aは音楽Aについて、X,bは音
楽Bについて、□は音楽Eについて、●はスピー
チSについてのそれぞれ実験結果であり、いずれ
もG=4.1の場合のものである。G=4.1はコンサ
ートホールの後方にいる場合のような残響音が多
い場合に相当し、G=1.1は、ホールの前席にお
けるような直接音の多い場合に対応している。最
も好まれる残響時間におけるプリフアレンスの尺
度は零に設定されている。 次にIACCの関数としてのプリフアレンスの尺
度S4を第10図に示す。図において、〇は音楽A
のとき、X,bは音楽Bのときの実験結果であ
る。IACCの性格上τ=0においてその最大値を
とれば、音像は正面方向にある。図から明らかな
ように、ISCCが1に近づくとプリフアレンスの
尺度S4は急激に小さくなる。したがつて、できる
限りIACCは0.5より小さくなるようにする必要が
ある。これまでにプリフアレンスの4つの尺度S1
からS4までについて述べたが、これらの4つの尺
度についてそれぞれ以下に示す近似式で近似する
ことができる。 まず、第7図に示した聴取音圧のプリフアレン
スの尺度S1は S1=−α1|X1|3/2 …(式14) ただし、 X1=20log(p/〔p〕p) …(式15) と表わすことができる。なお、 α1=0.07±0.03,X1>0 0.04±0.02,X1<0 ……(式16) 次に、第8図に示した第一反射音の遅れ時間の
プリフアレンスの尺度S2は S2=−α2|X2|3/2 …(式17) ただし、 X2=log(△t1/[△t1]p) …(式18) と表わすことができる。なお、 α2=1.42±0.6,X2>0 1.11±0.5,X2<0 ……(式19) である。 さらに、第9図に示した後続残響音の残響時間
のプリフアレンスの尺度S3は S3=−α3|X3|3/2 …(式20) ただし、 X3=log〔Tsub/〔Tsud〕p) …(式21) を表わすことができる。なお、 α30.74±0.25)G+(0.45±0.15),X3>
0 α30.74±0.25)G+(0.45±0.15),X3>
0 −(0.42±0.14)G+(2.36±0.79),X3<0…(式22
) であり もし、(式22)においてα3が負となるときには
α3=0…(式22′)とする。 残りの第10図に示したIACCのプリフアレン
スの尺度S4は S4=−α4X4 3/2 …(式23) ただし、 X4=IACC …(24式) と表わすことができる。なお α4=1.45±0.44
…(式25) である。 重畳の理に基づいて、コンサートホールなどに
おけるプリフアレンスの全体の尺度Sとして S=4 〓i=1 Si …(式26) で表わすことができる。もちろん、Si(i=1,
2,3,4)は前述の4つのプリフアレンスの尺
度を示している。 このようにして得られたプリフアレンスの尺度
S及びSi(i=1,2,3,4)を用いることに
よつて音場の正確な評価を行うことができる。 この発明はコンサートホールや室内におけるプ
リフアレンスを測定するために音場における聴取
音圧、第1反射音の遅れ時間、後続残響音の残響
時間、および両耳間相互相関係数の4つのパラメ
ータより、それぞれのプリフアレンスの尺度及び
全体のプリフアレンス尺度を求めることができる
ことに着目し、それぞれのパラメータに基づいて
音場を補正して、より好ましい音場をることので
きる音響装置とを提供することが目的である。 (1) 本発明に関連する音場評価計測器 先ず、本発明に関連する音場評価計測器に一実
施例を用いて説明する。 第11図及び第12図は音場評価計測器の概略
の構成を示したブロツク図である。第12図は4
つのパラメータごとに示したブロツク図である。
図において1は人頭またはダミーヘツド、2l,
2rは外耳、道入口部に挿入されたマイクロフオ
ン、3,3l,3rは前置増幅器、4は物理量解
析器、5は比較器、6は心理量変換器、7は総合
評価器、8はプリフアレンスの出力端子、9はプ
リフアレンスを記録するための記録器、10は音
場評価計測器、40は加算器、41は聴取音圧解
析器、42は第1反射音遅れ時間解析器、43は
後続残響音残響時間解析器、44は両耳間相互相
関関数解析器、51は聴取音圧心理量変換器、5
2は第1反射音遅れ時間心理量変簡換器、53は
後続残響音残響時間心理量変換器、54は両耳間
相互相関係数心理量変換器、y,y1,y2,y3,y4
は比較データ入力端子である。その比較データ入
力端子y,y1,y2,y3,y4にはそれぞれの最適値
が入力されており、入力端子y1からは最適聴取音
圧(〔p〕p)に対応する信号が、入力端子y2か
らは最適第1反射音遅れ時間(〔△t1〕p)に対
応する信号が、入力端子y3から最後後続残響音残
響時間(〔Tsub〕p)に対応する信号が入力端子
y4からは最適両耳間相互相関係数に対応する信号
が入力する。 なお、第12図の聴取音圧解析器41・第1反
射音遅れ時間解析器42・後続残響音残響時間解
析器43・両耳間相互相関関数解析器44は第1
1図の物理量解析器4に対応する物理量解析部に
相当する。第12図の聴取音圧心理量変換器5
1・第1反射音遅れ時間心理量変換器52・後続
残響音残響時間心理量変換器53・両耳間相互相
関係数心理量変換器54は第11図の比較器5と
心理量変換器6とに対応する比較及び心理量変換
部に相当する。同様に総合評価器7は総合評価部
に相当する。 まず、最初に11図を用いてこの音場評価計測
器の一実施例の簡単な流れを説明明する。第1に
コンサートホールやリスニングルームなど、音場
評価を行いたい場所にタミーヘツドまたは人頭1
を設置する。その左右の外耳道入口に取付けられ
たマイクロホン2l,2rによつて両耳の音圧信
号が検出され、前置増巾器3のよつて増巾し加算
されたのち、物理量解析器4によつて両耳の音圧
信号から物理量即ち聴取音圧、第1反射遅れ時
間、後続残響音残響時間および両耳間相互相関係
数IACCを求め、そのそれぞれの値を比較器5に
おいて入力端子yより比較データとして入力され
るそれぞれの最適値と比較し、次にすでに説明し
た(式14)(式17)(式20)(式23)に基づいた処
理を行なう心理量変換器6によつて心理量つまり
プリフアレンスに対応した量に変換し、その後総
合評価器7において総合評価して音場におけるプ
リフアレンスを出力端子8より出力するものであ
る。この計算器によつてコンサートホールやリス
ニングルームの音場評価を行こなうことができ
る。 次に第11図に示した一実施例をさらに4つの
個々のパラメータの流れにまで示した第12図に
より、詳細に説明する。 前述の通り、マイクロフオン2l,2rより検
出された音圧信号は、前置増巾器3l,3rによ
り増幅され、加算器40で加算された後、物理量
解析部に相当する聴取音圧解析器41、第1反射
音遅れ時間解析器42、後続残響音残響時間解析
器43のそれぞれに入力されそれぞれの解析器に
おいて聴取音圧p、第1反射音遅れ時間△t1、後
続残響音残響時間Tsubのそれぞれが解析測定さ
れ出力される。また、この3つの流れとは別に、
加算器40で加算される前の2つの前置増巾器3
l,3rからの出力が、物理量解析部に相当する
両耳間相関関数解析器44へ入力され、両耳間相
互相関係数の最大値IACCが解析され、出力され
る。次に、物理量解析部に相当する4つの解析器
41,42,43,44のそれぞれから出力され
る聴取音圧p、第1反射音遅れ時間△t1、後続残
響音残響時間Tsub、最大両耳間相互相関係数
IACCはそれぞれ、比較及び心理量変換部に相当
する聴取音圧心理量変換器51、第1反射音遅れ
時間心理量変換器52、後続残響音残響時間心理
量変換器53に入力され、他の比較データ入力端
子y1,y2,y3,y4のそれぞれから入力された最適
聴取音圧〔p〕p、最適第1反射音遅れ時間〔△
t1〕p、最適後続残響音残響時間〔Tsub〕p、
最適両耳間相互相関係数と比較される。最適両耳
間相互相関係数は0と考えてもよいが、実用上は
0.4〜0.5以下に設定しても問題ない場合が多いの
で、この実施例では0.4に設定している。 この比較及び心理量変換部における心理量変換
のための計算式は、聴取音圧心理量変換部51に
おいては前述の(式14)〜(式16)、第1反射音
遅れ時間心理量変換器52においては前述の(式
17)〜(式19)、後続残響音残響時間心理量変換
器53においては前述の(式20)〜(式22′)、両
耳間相互相関係数心理量変換器54においては
(式23)〜(式25)、の通りであつて、この比較お
よび心理量変換部より得られる出力であるところ
のプリフアレンスの尺度S1とS2とS3とS4をマイコ
ンプログラム等による計算処理によつて求めるこ
とができる。しかし、あまり精度を問題としない
ような場合は、下記に示すような変換テーブルを
用いて行つても良い。
であり、破線はG=1.1の場合のそれである。図
において、〇,aは音楽Aについて、X,bは音
楽Bについて、□は音楽Eについて、●はスピー
チSについてのそれぞれ実験結果であり、いずれ
もG=4.1の場合のものである。G=4.1はコンサ
ートホールの後方にいる場合のような残響音が多
い場合に相当し、G=1.1は、ホールの前席にお
けるような直接音の多い場合に対応している。最
も好まれる残響時間におけるプリフアレンスの尺
度は零に設定されている。 次にIACCの関数としてのプリフアレンスの尺
度S4を第10図に示す。図において、〇は音楽A
のとき、X,bは音楽Bのときの実験結果であ
る。IACCの性格上τ=0においてその最大値を
とれば、音像は正面方向にある。図から明らかな
ように、ISCCが1に近づくとプリフアレンスの
尺度S4は急激に小さくなる。したがつて、できる
限りIACCは0.5より小さくなるようにする必要が
ある。これまでにプリフアレンスの4つの尺度S1
からS4までについて述べたが、これらの4つの尺
度についてそれぞれ以下に示す近似式で近似する
ことができる。 まず、第7図に示した聴取音圧のプリフアレン
スの尺度S1は S1=−α1|X1|3/2 …(式14) ただし、 X1=20log(p/〔p〕p) …(式15) と表わすことができる。なお、 α1=0.07±0.03,X1>0 0.04±0.02,X1<0 ……(式16) 次に、第8図に示した第一反射音の遅れ時間の
プリフアレンスの尺度S2は S2=−α2|X2|3/2 …(式17) ただし、 X2=log(△t1/[△t1]p) …(式18) と表わすことができる。なお、 α2=1.42±0.6,X2>0 1.11±0.5,X2<0 ……(式19) である。 さらに、第9図に示した後続残響音の残響時間
のプリフアレンスの尺度S3は S3=−α3|X3|3/2 …(式20) ただし、 X3=log〔Tsub/〔Tsud〕p) …(式21) を表わすことができる。なお、 α30.74±0.25)G+(0.45±0.15),X3>
0 α30.74±0.25)G+(0.45±0.15),X3>
0 −(0.42±0.14)G+(2.36±0.79),X3<0…(式22
) であり もし、(式22)においてα3が負となるときには
α3=0…(式22′)とする。 残りの第10図に示したIACCのプリフアレン
スの尺度S4は S4=−α4X4 3/2 …(式23) ただし、 X4=IACC …(24式) と表わすことができる。なお α4=1.45±0.44
…(式25) である。 重畳の理に基づいて、コンサートホールなどに
おけるプリフアレンスの全体の尺度Sとして S=4 〓i=1 Si …(式26) で表わすことができる。もちろん、Si(i=1,
2,3,4)は前述の4つのプリフアレンスの尺
度を示している。 このようにして得られたプリフアレンスの尺度
S及びSi(i=1,2,3,4)を用いることに
よつて音場の正確な評価を行うことができる。 この発明はコンサートホールや室内におけるプ
リフアレンスを測定するために音場における聴取
音圧、第1反射音の遅れ時間、後続残響音の残響
時間、および両耳間相互相関係数の4つのパラメ
ータより、それぞれのプリフアレンスの尺度及び
全体のプリフアレンス尺度を求めることができる
ことに着目し、それぞれのパラメータに基づいて
音場を補正して、より好ましい音場をることので
きる音響装置とを提供することが目的である。 (1) 本発明に関連する音場評価計測器 先ず、本発明に関連する音場評価計測器に一実
施例を用いて説明する。 第11図及び第12図は音場評価計測器の概略
の構成を示したブロツク図である。第12図は4
つのパラメータごとに示したブロツク図である。
図において1は人頭またはダミーヘツド、2l,
2rは外耳、道入口部に挿入されたマイクロフオ
ン、3,3l,3rは前置増幅器、4は物理量解
析器、5は比較器、6は心理量変換器、7は総合
評価器、8はプリフアレンスの出力端子、9はプ
リフアレンスを記録するための記録器、10は音
場評価計測器、40は加算器、41は聴取音圧解
析器、42は第1反射音遅れ時間解析器、43は
後続残響音残響時間解析器、44は両耳間相互相
関関数解析器、51は聴取音圧心理量変換器、5
2は第1反射音遅れ時間心理量変簡換器、53は
後続残響音残響時間心理量変換器、54は両耳間
相互相関係数心理量変換器、y,y1,y2,y3,y4
は比較データ入力端子である。その比較データ入
力端子y,y1,y2,y3,y4にはそれぞれの最適値
が入力されており、入力端子y1からは最適聴取音
圧(〔p〕p)に対応する信号が、入力端子y2か
らは最適第1反射音遅れ時間(〔△t1〕p)に対
応する信号が、入力端子y3から最後後続残響音残
響時間(〔Tsub〕p)に対応する信号が入力端子
y4からは最適両耳間相互相関係数に対応する信号
が入力する。 なお、第12図の聴取音圧解析器41・第1反
射音遅れ時間解析器42・後続残響音残響時間解
析器43・両耳間相互相関関数解析器44は第1
1図の物理量解析器4に対応する物理量解析部に
相当する。第12図の聴取音圧心理量変換器5
1・第1反射音遅れ時間心理量変換器52・後続
残響音残響時間心理量変換器53・両耳間相互相
関係数心理量変換器54は第11図の比較器5と
心理量変換器6とに対応する比較及び心理量変換
部に相当する。同様に総合評価器7は総合評価部
に相当する。 まず、最初に11図を用いてこの音場評価計測
器の一実施例の簡単な流れを説明明する。第1に
コンサートホールやリスニングルームなど、音場
評価を行いたい場所にタミーヘツドまたは人頭1
を設置する。その左右の外耳道入口に取付けられ
たマイクロホン2l,2rによつて両耳の音圧信
号が検出され、前置増巾器3のよつて増巾し加算
されたのち、物理量解析器4によつて両耳の音圧
信号から物理量即ち聴取音圧、第1反射遅れ時
間、後続残響音残響時間および両耳間相互相関係
数IACCを求め、そのそれぞれの値を比較器5に
おいて入力端子yより比較データとして入力され
るそれぞれの最適値と比較し、次にすでに説明し
た(式14)(式17)(式20)(式23)に基づいた処
理を行なう心理量変換器6によつて心理量つまり
プリフアレンスに対応した量に変換し、その後総
合評価器7において総合評価して音場におけるプ
リフアレンスを出力端子8より出力するものであ
る。この計算器によつてコンサートホールやリス
ニングルームの音場評価を行こなうことができ
る。 次に第11図に示した一実施例をさらに4つの
個々のパラメータの流れにまで示した第12図に
より、詳細に説明する。 前述の通り、マイクロフオン2l,2rより検
出された音圧信号は、前置増巾器3l,3rによ
り増幅され、加算器40で加算された後、物理量
解析部に相当する聴取音圧解析器41、第1反射
音遅れ時間解析器42、後続残響音残響時間解析
器43のそれぞれに入力されそれぞれの解析器に
おいて聴取音圧p、第1反射音遅れ時間△t1、後
続残響音残響時間Tsubのそれぞれが解析測定さ
れ出力される。また、この3つの流れとは別に、
加算器40で加算される前の2つの前置増巾器3
l,3rからの出力が、物理量解析部に相当する
両耳間相関関数解析器44へ入力され、両耳間相
互相関係数の最大値IACCが解析され、出力され
る。次に、物理量解析部に相当する4つの解析器
41,42,43,44のそれぞれから出力され
る聴取音圧p、第1反射音遅れ時間△t1、後続残
響音残響時間Tsub、最大両耳間相互相関係数
IACCはそれぞれ、比較及び心理量変換部に相当
する聴取音圧心理量変換器51、第1反射音遅れ
時間心理量変換器52、後続残響音残響時間心理
量変換器53に入力され、他の比較データ入力端
子y1,y2,y3,y4のそれぞれから入力された最適
聴取音圧〔p〕p、最適第1反射音遅れ時間〔△
t1〕p、最適後続残響音残響時間〔Tsub〕p、
最適両耳間相互相関係数と比較される。最適両耳
間相互相関係数は0と考えてもよいが、実用上は
0.4〜0.5以下に設定しても問題ない場合が多いの
で、この実施例では0.4に設定している。 この比較及び心理量変換部における心理量変換
のための計算式は、聴取音圧心理量変換部51に
おいては前述の(式14)〜(式16)、第1反射音
遅れ時間心理量変換器52においては前述の(式
17)〜(式19)、後続残響音残響時間心理量変換
器53においては前述の(式20)〜(式22′)、両
耳間相互相関係数心理量変換器54においては
(式23)〜(式25)、の通りであつて、この比較お
よび心理量変換部より得られる出力であるところ
のプリフアレンスの尺度S1とS2とS3とS4をマイコ
ンプログラム等による計算処理によつて求めるこ
とができる。しかし、あまり精度を問題としない
ような場合は、下記に示すような変換テーブルを
用いて行つても良い。
【表】
【表】
上記変換テーブル,はそれぞれ聴取音圧心
理量変換器51と第1反射音遅れ時間心理量変換
器52の変換テーブルの一例である。この変換テ
ーブル,には聴取音圧Pと最適聴取音圧
〔p〕p、第1反射音遅れ時間△t1と最適第1反
射音遅れ時間との値に対応したそれぞれのプリフ
アレンスの尺度S1,S2が記憶されている。ここで
は聴取音圧心理量変換器51と第1反射音遅れ時
間心理量変換器52の変換テーブルしか示してい
ないが、後続残響音残響時間心理量変換器53と
両耳間相互相関関係数心理量変換器54に関して
も同様な変換テーブルを作成して行なうことがで
きる。 このようにして比較及び心理量変換器の変換器
51〜54から出力されたプリフアレンス尺度S1
〜S4は、総合評価器7に入力させられ、総合評価
を行なつた結果として得られた全体のプリフアレ
ンスの尺度Sが出力端子8に出力される。この出
力は記録器9に記録される。ただし、この一実施
例においては記録器9を含んでいるが、かならず
しも含んでいる必要はなくまた、なくても良い
し、表示器に変えても良いことはいうまでもな
い。 つぎに、第12図の音場評価計測器10に用い
られている物理量解析部の聴取音圧解析器41、
第1反射音遅れ時間解析器42、後続残響音残響
時間解析器43および両耳間相互相関関数解析器
44のそれぞれの構成の一例について第13図a
〜eを用いて説明する。 第13図aは相関計を変形したM.R.シユレー
ダー(M.R.Schroeder)による2乗積分形残響計
を用いた第1反射音遅れ時間解析器42あるいは
後続残響音残響時間解析器43の基本構成を示し
た図であつて、音圧に対応した出力も含まれてい
るという聴取音圧解析器41の機能を有するもの
である。第13図bは第1反射音遅れ時間解析器
42あるいは後続残響音残響時間解析器43の第
1反射音または残響時間に対応したコードを出力
するために用いられるプライオリテイエンコーダ
の一例を示した図である。第13図cとdは聴取
音圧解析器の他の構成例を示した図である。第1
3図eは両耳間相互相関係数を求める回路の構成
例を示す図である。 第13図aにおいて、400は2乗積分形残響
計を用いた第1反射音遅れ時間解析器あるいは後
続残響音残響時間解析器として用いられる回路の
入力端子、401,402,403は遅延回路、
404〜411は乗算器、412〜415は積分
器、416〜418は加算器、419〜421は
比較器、422は自己相関係数φ0の出力端子、
423〜425はそれぞれ第1反射音の遅れ時間
または後続残響音残響時間の情報を出力するO1
〜Oo-1の出力端子、426は、減衰器第13図
bにおいて、430は出力端子423〜425か
ら出力されるO1〜Oo-1が入力するプライオリテ
イーエンコーダ、x1〜xo-1は第1反射音遅れ時間
または後続残響音残響時間に対応したコード出
力、第13図c,dにおいて、435は整流回
路、436は低域通過フイルタ、437は乗算
器、第13図eにおいて、441は両耳間相互相
関係数を求める回路の左側入力信号Linの入る入
力端子、442は同じく右側入力信号Rinの入る
入力端子、443,444は加算器、445〜4
48は自乗平均回路RMS、449は演算回路、
450は相互相関係数に対応した出力をとり出す
出力端子である。 なお第13図aの回路においては、遅延回路、
加算器及び比較器をそれぞれ(n−1)個、遅延
回路からの出力信号が入力する乗算器、積分器、
積分器からの出力信号が入力する乗算器及び出力
端子をそれぞれn個備えているが、図面上では
(n−1)個のものは代表して3個、n個のもの
は代表して4個だけ描いてあり、残りのものは省
略してあり、図中に描いたものに連続符号を取つ
てある。したがつて2番目の遅延回路402の次
に(n−1)番目の遅延回路403として3番目
から(n−2)番目の遅延回路には便宜上、符号
を取つていない。 まず、第13図aについて説明する。入力端子
400に信号が与えられるとその入力信号は、乗
算器404〜407に与えられ、また遅延回路4
01にも与えられる。遅延回路401の出力は乗
算器405へ与えられるとともに次の遅延回路4
02にも与えられる順次遅れた信号を(n−1)
番目の遅延回路403の出力までをり出す。それ
ぞれの遅延回路401〜402の出力は乗算器4
05〜407によつて掛算される。乗算器404
は入力信号そのものの自乗演算を行つている。次
に、その乗算器404〜407の出力信号はそれ
ぞれ積分器412〜415において積分されその
出力信号はさらに乗算器408〜411によつて
自乗される。なお、積分器412の出力信号は乗
算器408への入力とは別にそのまま端子422
に出力される。この信号は自己相関係数φ(o)
つまり入力信号のパワーの自乗であり、音圧信号
に対応した情報を含んでいる。パワーの自乗の処
理は単に絶対値化としても等価な機能をもたせる
ことができる。ところで乗算器408〜411の
出力信号は、つまり、自己相関係数の自乗φ2,
φ1 2,……,φ2 o-1の信号は加算器416〜418
に加えられ、加算器416〜417の出力はそれ
ぞれ次の加算器に加えられ、(n−1)番目の加
算器418まで行なわれる。ところで、乗算器4
08からの出力信号と、加算器416〜417か
らの出力信号とは、それぞれ、比較回路419〜
421において、最後尾の加算器418の出力信
号を減衰器426で減衰させた後の信号と比較さ
れ、出力端子423〜425にそれぞれの出力信
号O1〜423〜Oo-1425を出力する。なお減
衰器426の減衰比は第1反射音遅れ時間を求め
る場合には(0.1)2に、後続残響音残響時間を求
める場合には(0.001)2に設定されたものが使用
される。これはすでに最適遅れ時間検出器として
知られたものと同様のものであつて、自己相関関
数の値が1/10あるいは1/1000になる遅れ時間
を求めるものである。また遅延回路401から遅
延回路403までの遅延時間の合計は第1反射音
遅れ時間及び後続残響音残響時間の長さ程度、つ
まりそれぞれ100〜200ms及び3〜5sec程度必要
である。当然ながら、この時間の経過に伴なつ
て、積分回路412〜415はリセツトされる必
要がある。ただし、リセツト回路は図示していな
い。次に第13図bに示すプライオリテイーエン
コーダ430は、第13図aに示した比較器41
9〜421の出力信号O1423〜Oo-1425を
エンコードするもので、第13図aの減衰器42
6の減衰比(0.1)2または(0.001)2に対応した遅
れ時間τ(=τp)(最初に減衰比以下に小さくな
つた遅れ時間)に対応したコードx1…xo-1を表
示、又は出力する。 次の第13図cとdとは聴取音圧解析器として
用いる他の回路例を示す図であるが、これの場合
も第13図aの出力端子422から出力信号φ0
得るのと同様に、聴取音圧を知ることができる。
この構成は、第13図cに示した通り低域通過フ
イルタ436と整流回路435又は自乗乗算器4
37を組み合わせた回路である。 次の第13図eの両耳間相互相関関係数を求め
る回路519は正規化相関係数を求めるための回
路方式の1例を用いている。まず入力端子411
から入力信号Linが、もう一方の入力端子442
から入力信号Rinがそれぞれ入力されると、入力
信号Lin,Rinはそれぞれ直接自乗平均回路44
5,448に入りそれぞれの自乗平均値γ,δと
なり出力される。また入力信号LinとRinとの間
の和信号を加算器443より、差信号を一方の信
号を負にして他方の信号に加える加算器444よ
り、それぞれ取り出して自乗平均回路446,4
47に入力して、同様に和信号、差信号をそれぞ
れの自乗平均値α,βを出力する。このようにし
て得られた4つの自乗平均値の信号α,β,γ,
δは演算回路449において演算処理つまり(α2
−β2)/(4γδ)を行ない、出力端子450に相
互相関係数に対応した出力φ(o) lrつまり両耳間相互
相係数IACCが得られる。ただし、第13図eの
回路を用いる場合には、入力信号LinとRinが入
力端子441,442に入力する前に0〜1msの
遅延回路を設け、その遅れ時間を変化させ、その
最大値を求めるように構成すると、前述の(式
9)に対応する回路構成となり、その回路より
(式9)に忠実な値が求められることになる。そ
のための遅延回路は第13図e中には図示してい
ない。なお、より精度の高い両耳間相互相関係数
IACCの演算を行うには前述の(式7)〜(式
9)までの式を用いて数値演算を実行するとよ
い。 ここまでに説明してきた一実施例においては聴
取音圧解析器41、第1反射音遅れ時間解析器4
2及び後続残響音残響時間解析器43への入力
は、ダミーヘツドまたは人頭1の左右の耳に入つ
てくる2つの音響信号の加算信号を用いてきた
が、通常、その2つの信号間の遅れ時間は1ms以
下であり、これらの3つの解析器41〜43の解
析結果に大きい差異を与えることはないので、左
右いずれか一方の音響信号を使用しても十分な解
析結果を得ることはできる。これまでに説明して
きた第1発明の一実施例であるところの音場評価
計測器10の最適聴取音圧〔P〕pは音源の種類
によつても異なるが、それらはほぼ(79±5)
dB程度であるので、ここでは代表して76dBを用
いた。また、最適第1反射音遅れ時間〔△t1〕p
と最適後続残響音残響時間〔Tsub〕pとは実際
の音源そのものから第1反射音遅れ時間解析器4
2により最初に減衰比以下に小さくなつた遅れ時
間τpを求めてこれを最適第1反射音遅れ時間
〔△t1〕pとすると良く、その(23±10)倍をし
て最適後続残響音残響時間〔Tsub〕pとして用
いればよい。この一実施例では〔Tsub〕p=
23τpを用いた。 以上のようにこの音場評価計測器によれば1個
または2個のマイクロホンと、このマイクロホン
から得られた音響信号を増巾するための増巾器
と、この増巾信号から聴取音圧pを計測するため
の聴取音圧計測手段と、同様に増巾信号から第1
反射遅れ時間△t1を計測するための第1反射音遅
れ時間計測時間と、また同様に増巾信号から後続
残響音残響時間Tsubを計測するための後続残響
音残響時間計測手段と、さらに同じく増巾信号か
ら両耳間相互相関係数IACCを計測するための両
耳間相互相関係数計測手段と、上記聴取音圧pと
最適聴取音圧〔P〕pとの比の10を底とする対数
の20倍の値の絶対値の3/2乗の値に、上記聴取
音圧が最適聴取音圧より大きいときには−(0.07
±0.03)を、小さいときには−(0.04±0.02)を乗
じてなる値をプリフアレンス(聴感上の心理良
さ)の尺度S1として出力する。つまり、前述の
(式14)〜(式16)に対応する出力を出す第1の
比較変換手段と、上記第1反射遅れ時間△t1と最
適第1反射音遅れ時間〔△t1〕pとの比の10を底
とする対数の絶対値の3/2乗の値に、上記第1
反射遅れ時間が最適適第1反射音遅れ時間より大
きいときには−(1.42±0.6)を、小さいときには
−(1.11±0.5)を乗じてなる値をプリフアレンス
の尺度S2として出力する。つまり、前述の(式
17)〜(式19)に対応する出力を出す第2の比較
変換手段と、上記後続残響音残響時間Tsubと最
適後続残響音残響時間〔Tsub〕pとの比の10を
底とする対数の絶対値の3/2乗の値に、上記後
続残響音残響時間が最適後続残響音残響時間より
大きいときには、反射音全体の音圧の−(0.74±
0.25)倍の値と−(0.45±0.15)との加算値を、小
さいときには反射音全体の音圧の−(0.42±0.14)
倍の値と−(2.36±0.79)との加算値を乗じたの
ちの値が負となるときにはそのままの値を、正な
るときには零をプリフアレンスの尺度S3として出
力する、つまり前述の(式20)〜(式22′)に対
応する出力を出す第3の比較変換手段と、上記両
耳間相互相関係数の3/2乗の値に−(1.45±
0.44)を乗じた値をプリフアレンスの尺度S4とし
て出力する、つまり前述の(式23)〜(式25)に
対応する出力を出す第4の比較変換手段と、第1
から第4までの比較変換手段より出力されたプリ
フアレンスの尺度S1,S2,S3,S4を総合評価して
プリフアレンスの全体の尺度Sを出力する総合評
価手段とを備えているので忠実な音場評価を行な
うことができる。 (2) 本発明の音響装置 次に音場における聴取音圧、第1反射音の遅れ
時間、後続残響音の残響時間、および両耳間相互
相関係数の4つの物理的パラメータに基づいて、
音場を補正し、より好ましい音場を作ることので
きる本発明の音響装置の一実施例を図を用いて説
明する。 (2‐1) 本発明の音響装置 第14図aは音場を補正し、より好ましい音場
を作ることのできる本発明の音響装置の一実施例
の構成ブロツク図であつて、第14bは第14図
aの音響装置に含まれる音場拡大装置の1例、第
14図cは第14図aの音響装置に含まれる残響
装置の他の例を示したものである。 まず第14図aにおいて、501は入力端子
INR、502は入力端子INL、503a〜503
dは加算器、504a,504bは残響装置、、
505a,505b,505r,505lは減衰
器、506a,506bは遅延回路、507は1
種の分周回路であるスケーラ、508a,508
bはアツプダウンカウンタ、509はデイジタル
−アナログ変換器、510a,510cは第1反
射音遅れ時間解析器、510bは後続残響音残響
時間解析器、511a〜511cはエンコーダ、
512a,512b,513a,513bは比較
器、514a,514b,514cは平滑回路、
515a,515bは目標値を設定するための可
変抵抗器、516は音場拡大装置、517r,5
17lはスピーカを駆動するためのパワーアン
プ、518r,518lはスピーカ、519は両
耳間相互相関係数IACC計算器、520は乗算
器、531,532は残響装置504a,504
bから音場拡大装置516への入力端子inr,
inl、521はCLOCK信号入力端子、533,5
43は音場拡大装置516の出力端子outr,
outl、535は比較器513bら音場拡大装置5
16への入力端子attmである。第14図bにお
いて、530a〜530dは加算器、263は減
衰器、537は低域通過フイルター、538は高
域通過フイルター、539は移相回路又は遅延回
路である。第14図cにおいて、504cはM.
R.シユレーダー(Schroeder)とB.S.アタル
(Atal)による残響器54a〜540iは加算
器、541a,451bは位相反転回路、542
a,542bはボルテージフオロー、543a〜
543fは遅延回路、544a〜544fは減衰
器、545は減衰器504cの入力端子、546
は減衰器504cの出力端子である。なお、図
中、他の図面中の符号と同一符号は同一または相
当部分を示している。 次に第14図a,b,cを用いて、本発明の音
響装置の一実施例の動作を説明する。まず、入力
端子INR501とINL502にレコード、テープ、
マイク、ラジオ等からの音響信号が与えられる。
この音響信号は加算器503cによつて加算さ
れ、第1反射音遅れ時間解析器510cに入力さ
れる。この第1反射音遅れ時間解析器510cは
先に述べた第12図の42、つまり第13図aに
示された回路と同じ回路によつて構成されてお
り、この場合、第1反射音遅れ時間を測定できる
ように減衰比は1/10に設定されている。この第
1反射音遅れ時間解析器511の出力はエンコー
ダ511に入力され、エンコーダ511からは、
音源によつて最適な第1反射音の遅れ時間〔△
t1〕pをτpとして求めた出力(〔△t1〕p=τp)
が出る。このエンコーダ511cからの出力は比
較器512aに入力されるとともに、乗算器52
0にも入力され、23倍されて最適後続残響音残響
時間〔Tsub〕p(=23゜τp)として比較器512
bに与えられる。 一方、リスニングルームなどの音場に置かれた
ダミーヘツドまたは人頭1の左右の耳の所に設け
られたマイクロフオン2r,2lに入つてきた信
号を前記増巾器3l,3rで増巾し、その出力を
加算器503dによつて加算したのち、先と同様
に第12図の42と同じ第1反射音遅れ時間解析
器510aに入力し、かつ、後続残響音残響時間
解析器510bにも入力される。この後続残響音
残響時間解析器510bの構成は第12図の43
において述べたものと同じ回路構成のものであ
る。次に第1反射音遅れ時間解析器510aの出
力はエンコーダ511aに入力され、音場の影響
を付与された後の第1反射音の遅れ時間△t1に対
応した時間が得られる。この後、比較器512a
に入力される。また、後続残響音残響時間解析器
510bの出力はエンコーダ511bに入力さ
れ、音場の影響を付与された後の後続残響音残響
時間Tsubに対応した信号が得られ、この信号は
比較器512bに入力される。ところで、比較器
512aにおいて、エンコーダ511cからの最
適第1反射音遅れ時間〔△t1〕pと、エンコーダ
511aからの音場の影響を付与された後の第1
反射音の遅れ時間△t1とが比較され、もし最適第
1反射音遅れ時間〔△t1〕pに比して第1反射音
遅れ時間△t1の方が大きい場合には、第1反射音
遅れ時間△t1を小さくするために、比較器512
aからカウンタ508aにカウントダウンの信号
CDを与え、カウンタ508aの内容を小さくし、
そのために、カウンタ508aの内容に基づいて
分周を行うスケーラ507においては分周する値
が小さくなり、入力端子521からのCLOCK信
号を分周して得られるDBLAY CLOCK信号の周
波数が高くなり、そのDELAY CLOCK信号によ
り音響回路504a,504bの中のBBD(バケ
ツト・ブリゲート・デイバイス)などによつて構
成される遅延回路506a,506bの遅延時間
が小さくなるというように動作するものである。
しかし、もし最適第1反射音遅れ時間〔△t1〕p
に比して第1反射音遅れ時間△t1の方が小さい場
合には比較器512aからカウンタ508aにカ
ウントアツプの信号CUを与え、カウンタ508
aの内容が大きくなり、スケーラ507において
分割する値が大きくなり、そのためDELAY
CLOCK信号の周波数が低くなり、遅延回路50
6a,506bの遅延時間が大きくなるというよ
うに上述の場合と反対の動作をする。 また、比較器512bにおいては、乗算器52
0の最適後続残響音残響時間〔Tsub〕pと、エ
ンコーダ511bからの音場の影響を付与された
後の後続残響音残響時間Tsubとが比較され、も
し、最適後続残響音残響時間〔Tsub〕pに対し
て、後続残響音残響時間Tsubが大きい場合には、
カウンタ508bにカウントアツプの信号CUが
送出され、カウンタ508bの内容がデイジタル
−アナログ変換器509によつてアナログ値に変
換され、平滑回路514cを経て、残響α504
a,504bのそれぞれの減衰器505a,50
5bに与えられ、その信号によつて、減衰器50
5a,505bにおける減衰値が大きくなり、そ
のために後続残響音残響時間Tsubを小さくする
というように動作する。しかし、もし、後続残響
音残響時間〔Tsub〕pに対して後続残響音残響
時間Tsubが小さい場合には、カウンタ508b
にカウントダウンの信号CDが送出され、カウン
タ508bの内容がデイジタル−アナログ変換器
509によつてアナログ値に変換され、平滑回路
514cを経て減衰器505a,505bに与え
られ、その信号によつて減衰器505a,505
bにおける減衰値が小さくなり、そのために残響
時間Tsubを大きくするというように上述の場合
と反対の動作を行なう。 ところで前置増巾器3l,3rからの加算され
る前のそれぞれの増巾信号は、両耳間相互相関係
数計算器519に入力され、両耳間相互相関係数
IACCが求められてアナログ化され、次の平滑回
路514bに入力される。次に比較器513bに
おいて、平滑回路514bからの信号と、両耳間
相互相関係数IACCの目標値を設定する可変抵抗
器515bからの目標電圧信号とを比較する。も
し、平滑回路514bからの信号、つまり両耳相
互相関係数IACCに対応する信号の方が、可変抵
抗器515bからの目標信号より大きい場合は、
比較器513bからの出力信号は小さくなつて、
音場拡大装置516の入力端子att in535に入
力され、音場拡大装置516はより両耳相互相関
係数IACCを小さくするというように動作する。
しかし、もし、両耳相互相関係数IACCに対応す
る信号の方が、可変抵抗器515bからの目標信
号より小さい場合は、比較器513bからの出力
信号は大きくなつて、音場拡大装置の入力端子
att in535に入力され、音場拡大装置516は
より両耳相互相関係数IACCを大きくするという
ように上述の場合と反対の動作をする。 ところで加算器503dで加算された加算信号
を入力された第1反射音遅れ時間解析器510a
は、聴取音圧に対応した音圧信号φ0を出力して
おり、この音圧信号φ0を平滑回路514aを通
した後、比較器513aに入力させる。この比較
器513aにおいて、音量の目標値を設定する可
変抵抗器515aからの目標となる電圧信号と、
平滑回路514aからの信号とを比較して、も
し、聴取音圧に対応した平滑回路514からの出
力信号の方が、可変抵抗515aからの音量の目
標値よりも大きい場合は、比較器513aからの
出力が大きくなり、減衰器505r,505lの
減衰が大きくなつて聴取音圧を下げるというよう
に動作する。しかも、もし、聴取音圧に対応する
信号の方が、音量の目標値よりも小さい場合は、
比較器513aからの出力が小さくなり、減衰器
505r,505lの減衰が小さくなつて聴取音
圧を上げるというように上述の場合と反対の動作
をする。 なお、第14図a内に出てきた平滑回路514
a,514b,514cはいずれも、急激な信号
の変化による雑音の発生を防止するためと、残響
回路504a,504b内の遅延回路506a,
506bの遅延時間も急激な変化を起こさないよ
うにするために用いられている。 次に、音場拡大装置516の働きを、第14図
bに示す音場拡大装置を用いた場合で説明する。 まず残響装置504a,504bから入力端子
inr531及びinl532に入つた2つの信号の差
成分が、加算器530aによつて得られ、減衰器
536を経て低域通過フイルタ537を通つた
後、クロストークする位相が逆相になるような位
相で、加算器530b,530cにより入力端子
inr531から出力端子outr533までと、入力
端子inl532から出力端子outl534,4まで
のそれぞれの主経路に加算される。それとは別
に、低域通過フイルタ537の出力はさらに、高
域通過フイルタ538を経て、位相回路又は遅延
回路539において遅延または移相回転が与えら
れた後、同じく、クロストークする位相が逆相と
なるような位相で、上述のそれぞれの主経路に加
算器530d,530eのよつて加算され、その
加算後の信号は出力端子outr533とoutl534
にそれぞれ出力される。この音場拡大装置516
の減衰器536を変化することによつて両耳間相
互相関係数IACCを変化させることができる。ま
たこの減衰器536は、入力端子att in535か
らの信号の値つまり、比較器513bからの出力
信号が大きくなると減衰が大きくなるように設定
されている。 さらに第14図cに示してあるのはM.R.シユ
レーダー(Schroeder)とB.S.アセル(Atal)に
よる残響器504cで、第14図aに示してある
残響装置504a,504bの代りにこの残響器
504cを用いれば、より自然な残響感が得られ
る。 なお、上記一実施例において、マイクロホン2
r,2lをダミーヘツドまたは人頭1の外耳道入
口の音圧を得るように述べて来たが、両耳間相互
相関係数IACCの値を得る必要がないときは1本
のマイクロホンでもよいし、両耳間相互相関係数
IACCを求める場合でもダミーヘツドなどに取り
付けられたものでない2本のマイクロホンによつ
て行つてよい場合もある。音響信号については2
チヤンネルのステレオのように示したが、必ずし
も、2チヤンネル信号の必要のない場合もあるこ
とは言うまでもない。 以上のように、本発明の音響装置においては、
入力端子INR,INLとこの入力端子INR,INLから
入つてきた音響信号より最適第1反射音遅れ時間
〔△t1〕pを計測する最適第1反射音遅れ時間計
測手段と、その最適第1反射音遅れ時間〔△t1〕
pの(23±10)倍に対応する最適後続残響音残響
時間〔Tsub〕pを出力する最適後続残響音残響
時間出力手段と、音場におかれたマイクロフオン
からの音場信号より音場における聴取音圧φ0を
計測する聴取音圧計測手段と、その音場信号より
第1反射音遅れ時間△t1を計測する第1反射音遅
れ時間計測手段と、その音場信号より後続残響音
残響時間Tsubを計測する後続残響音残響時間計
測手段と、その音場信号より両耳間相互相関係数
IACCを計測する両耳間相互相関係数計測手段
と、上記最適第1反射音遅れ時間〔△t1〕pと上
記第1反射音遅れ時間△t1とを比較し、その差に
応じた信号を出力する第1の比較手段と、上記最
適後続残響音残響時間〔Tsub〕pと上記後続残
響音残響時間Tsubを比較し、その差に応じた信
号を出力する第2の比較手段と、上記第1の比較
手段の出力信号によつて遅延時間が変化し、上記
第2の比較趣段の出力信号によつてて残響時間が
変化し、かつ上記入力端子から入力する音響信号
に残響音を付加する残響手段と、あらかじめ目標
とする両耳間相互相関係数の値を設定できる両耳
間相互相関係数設定手段と、上記の両耳間相互相
関係数IACCと上記の両耳間相互相関係数設定手
段の設定値とを比較し、その差に応じた信号を出
力する第3の比較手段と、上記残響手段の出力信
号を受け、上記の第3の比較手段の出力信号に応
じて、音場の両耳間相互相関係数IACCを変化す
ることのできる出力を有する音場拡大手段と、あ
らかじめ目標とする聴取音圧の値を設定できる聴
取音圧設定手段と、上記の音場の聴取音圧φ0と
上記聴取音圧設定手段の設定値を比較し、その差
に応じた信号を出力する第4の比較手段と、上記
音場拡大手段の出力を入力として受け、上記第4
の比較手段の出力信号に応じて、減衰率を変化で
きる減衰手段と、上記減衰手段からの信号を増巾
し、空間に音響信号を放射する電気音響手段とを
備えているので、音場を補正し、より好ましい音
場を作ることができるというだけでなく、この本
発明の音響装置内で音源について最適な第1反射
音遅れ時間〔△t1〕pと最適残響時間〔Tsub〕
pが得られ、使用者の好みに応じて聴取音圧や両
耳間相互相関係数IACCの値を変えることができ
るという効果を奏するものである。 (2‐2) 本発明に関する他の音響装置 次に、比較的反射の少ない和室や反射が多くて
も、残響時間が極度に短い車室内のような音場に
おける音場装置においては、音場における聴取音
圧、第1反射音遅れ時間、後続残響音残響時間の
3つの物理的パラメータのみに基づいて音場を補
正しただかで、充分なより好ましい音場を作るこ
とができる。 なお、前述の本発明の音響装置をここで対象と
している音場での音響装置として用いることがで
きるのは言うまでもないが、使用音場がこのよう
に小さな部屋、比較的反射の少ない和室や車室内
に限定された場合、両耳間相互相関係数IACCの
パラメータを使用しなくてもこの本発明に関連す
る他音響装置は前述の本発明の音響装置と同一の
効果を得られるばかりでなく、音響装置がコンパ
クトになり、しかも安価で、その上、回路構成が
前述の音響装置より簡単になるため、作業性が良
く、しかも耐久性がよくなるなどの点で前述の音
響装置より以上の効果を奏することができる。 そこで、音場における聴取音圧、第1反射音遅
れ時間及び後続残響音残響時間の3つの物理的パ
ラメータを用いて音場を補正し、より好ましい音
場を作ることのできるこの音響装置の一実施例を
図を用いて説明する。 第15図が本発明に関連する他の音響装置の一
実施例のブロツク図である。 図において451〜453は絶対値化回路、5
11dはエンコーダ、551は入力端子INR、5
52は入力端子INL、553は積分リセツト信号
入力端子である。554は第1反射音遅れ時間解
析器で前述の第13図aの回路図及び第14図a
の第1反射音遅れ時間解析器510a,510
c、後続残響音残響解析器510bのものと内部
構成は多少変えているが、機能的にはほとんど同
じで、通常の自己相関器の構成に減衰器426と
比較器419を付加したことを特徴としている。
このような構成の場合も、前述の第1反射音遅れ
時間解析器510a,510cあるいは後続残響
音残響時間解析器510bと同様に動作する。な
お、図中第13図a及び第14図a中の符号と同
一符号は、同一または相当部分を示している。 まず入力端子INR551及びINL552から音
響信号が入力されると、その2つの信号は加算器
503cによつて加算せられ、第1反射音遅れ時
間解析器544に入力される。この第1反射音遅
れ時間解析器554において、第14図aの第1
反射音遅れ時間解析器510a,510cと同様
な動作を行ない、そこからの出力は前述の第14
図aの場合と同様にエンコーダ511dに入力さ
れ、音響信号にとつて最適の第1反射音遅れ時間
〔△t1〕pが出力される。この最適第1反射音遅
れ時間〔△t1〕pに対応した遅延時間が得られる
ようにスケーラ507にエンコーダ551dから
の信号が与えられる。スケーラ507は入力端子
521からのCLOCK信号を分周し、DELAY
CLOCK信号を作り、残響回路504a,504
bの遅延回路506a,506bにDELAY
CLOCK信号が送られる。音響信号は入力端子
INR551とINL552からそれぞれ残響回路5
04aと504bに入力され残響音が付与されて
減衰器505r,505lに送られる。一方、第
1反射音遅れ時間解析器554の音圧に対応した
信号φ0が、平滑回路514aを経て、比較器5
13aに与えられ、音圧の目標値を設定する可変
抵抗器515aの電圧と比較されて、もし、音圧
が、その目標値より小さい場合には、比較器51
3aの出力は小さくなり、減衰器505r,50
5lはその比較器513aより送られてきた信号
によつて減衰量を小さくするというように動作す
る。しかし、もし音圧が、その目標値より珍きい
場合には、比較器513aの出力は大きくなり、
減衰器505r,505lはその比較器513a
より送られてきた信号によつて減衰量を大きくす
るというように上述の場合と反対の動作をする。
そのようにして得られた減衰器505r,505
lの出力はパワーアンプ517r,517lを経
て、スピーカ518r,518lによつて再生さ
れる。 このとき、残響時間の最適値である最適後続残
響時間〔Tsub〕pは、先に述べたように最適第
1反射音遅れ時間〔△t1〕pの(23±10)倍であ
ることが望ましい。残響回路504a,504b
のような形で残響器が構成されているときには、
後続残響音残響時間Tsub=−ε・△t1/log(g)と
なることが知られている。なおgは減衰率であ
る。ここでTsub=(23±10)△t1なる関係を用い
れば、減衰率g=0.588〜0.811の範囲にしなけれ
ばならないことがわかる。なお、後続残響音残響
時間Tsub=23△t1のときは減衰率g=0.741であ
る。即ち、このように減衰率gを設定すれば、最
適第1反射音残響時間〔△t1〕pと最適後続残響
音残響時間〔Tsub〕pが得られる。もちろん、
このような処理を処しても、音場における影響が
付加されるが、和室など比較的反射の少ない空間
や、自動車車室など反射が多くても、残響時間が
極度に短い空間の場合には大変効果がある。 ところでこの音響装置においては、小さな部屋
や比較的反射の少ない和室や車室内のような音場
において、前述の音響装置と同一又はそれ以上の
効果を奏し、より簡単な音響装置を提供しようと
するものであるが、この音響装置は、小さな部屋
や車室内以外の音場で使用した場合、前述の音響
装置よりは多少性能はおちるが、それでも、聴取
音圧、第1反射音遅れ時間及び後続残響音残響時
間の3つの物理的パラメータにより音場を補正し
ているので、従来の音響装置よりははるかに好ま
しい音場を作ることができ、その上、この音響装
置の方が前述の音響装置より、コンパクトで安価
で回路構成が簡単で、作業性が良く耐久性も良い
という利点がある。 以上のように、この音響装置においては、入力
端子INR,INLと、この入力端子INR,INLから入
つてきた音響信号から最適第1反射音遅れ時間を
計測する最適第1反射音遅れ時間計測手段と、上
記音響信号から聴取音圧に対応する信号を計測す
る聴取音圧対応信号計測手段と、上記最適第1反
射音遅れ時間に対応する信号を制御信号として受
け、盾記音響信号を入力し、上記音響信号に上記
最適第1反射音遅れ時間に対応した遅延時間を付
加するとともに、その後続残響音残響時間が上記
最適第1反射音遅れ時間の(23±10)倍に設定さ
れた残響手段と、あらかじめ目標とする聴取音圧
の値を設定できる聴取音圧設定手段と、上記聴取
音圧対応信号計測手段の出力である聴取音圧と上
記聴取音圧設定手段の設定値とを比較し、その差
に対応する信号を出力する比較手段と、上記残響
手段の出力信号が入力され、上記比較手段の出力
信号に応じて、上記残響手段から入力された音響
信号に与える減衰率を変化させることのできる減
衰手段と、上記減衰手段からの信号を増巾し、空
間に音響信号を放射する電気音響変換手段とを備
えているので、音場を補正し、より好ましい音場
を作るだけでなく、この音響装置内で、最適な第
1反射音遅れ時間と最適後続残響音残響時間が得
られ、使用者の好みに応じて聴取音圧を変えるこ
とができる。 以上のように、この発明によれば、音楽などを
聞く音場の音響特性を測定して物理量および心理
量の音場における聴取音圧、第1反射音遅れ時
間、後続残響音残響時間、両耳間相互相関係数等
のパラメータで評価することに基づき、この物理
量の測定によつて、その物理量を変化させてより
好ましい音楽聴取を可能ならしめる音響装置を提
供することができるという効果を奏する。 また、上述の音響装置内で比較器512,41
9,420の出力を得て、スケーラ507によ
り、DELAY CLOCKを作るよう構成されてお
り、このDELAY CLOCKによつて第1反射音遅
れ時間が制御できるものである。このDELAY
CLOCKの値を外部から手動によつて制御可能に
することによつて様々の音楽などに対応させて変
えられるように構成することは、各種音楽につい
て〔△t1〕pをあらかじめ求めておいた場合など
には特に有益であつて、安価に製作できるという
長所がある。
理量変換器51と第1反射音遅れ時間心理量変換
器52の変換テーブルの一例である。この変換テ
ーブル,には聴取音圧Pと最適聴取音圧
〔p〕p、第1反射音遅れ時間△t1と最適第1反
射音遅れ時間との値に対応したそれぞれのプリフ
アレンスの尺度S1,S2が記憶されている。ここで
は聴取音圧心理量変換器51と第1反射音遅れ時
間心理量変換器52の変換テーブルしか示してい
ないが、後続残響音残響時間心理量変換器53と
両耳間相互相関関係数心理量変換器54に関して
も同様な変換テーブルを作成して行なうことがで
きる。 このようにして比較及び心理量変換器の変換器
51〜54から出力されたプリフアレンス尺度S1
〜S4は、総合評価器7に入力させられ、総合評価
を行なつた結果として得られた全体のプリフアレ
ンスの尺度Sが出力端子8に出力される。この出
力は記録器9に記録される。ただし、この一実施
例においては記録器9を含んでいるが、かならず
しも含んでいる必要はなくまた、なくても良い
し、表示器に変えても良いことはいうまでもな
い。 つぎに、第12図の音場評価計測器10に用い
られている物理量解析部の聴取音圧解析器41、
第1反射音遅れ時間解析器42、後続残響音残響
時間解析器43および両耳間相互相関関数解析器
44のそれぞれの構成の一例について第13図a
〜eを用いて説明する。 第13図aは相関計を変形したM.R.シユレー
ダー(M.R.Schroeder)による2乗積分形残響計
を用いた第1反射音遅れ時間解析器42あるいは
後続残響音残響時間解析器43の基本構成を示し
た図であつて、音圧に対応した出力も含まれてい
るという聴取音圧解析器41の機能を有するもの
である。第13図bは第1反射音遅れ時間解析器
42あるいは後続残響音残響時間解析器43の第
1反射音または残響時間に対応したコードを出力
するために用いられるプライオリテイエンコーダ
の一例を示した図である。第13図cとdは聴取
音圧解析器の他の構成例を示した図である。第1
3図eは両耳間相互相関係数を求める回路の構成
例を示す図である。 第13図aにおいて、400は2乗積分形残響
計を用いた第1反射音遅れ時間解析器あるいは後
続残響音残響時間解析器として用いられる回路の
入力端子、401,402,403は遅延回路、
404〜411は乗算器、412〜415は積分
器、416〜418は加算器、419〜421は
比較器、422は自己相関係数φ0の出力端子、
423〜425はそれぞれ第1反射音の遅れ時間
または後続残響音残響時間の情報を出力するO1
〜Oo-1の出力端子、426は、減衰器第13図
bにおいて、430は出力端子423〜425か
ら出力されるO1〜Oo-1が入力するプライオリテ
イーエンコーダ、x1〜xo-1は第1反射音遅れ時間
または後続残響音残響時間に対応したコード出
力、第13図c,dにおいて、435は整流回
路、436は低域通過フイルタ、437は乗算
器、第13図eにおいて、441は両耳間相互相
関係数を求める回路の左側入力信号Linの入る入
力端子、442は同じく右側入力信号Rinの入る
入力端子、443,444は加算器、445〜4
48は自乗平均回路RMS、449は演算回路、
450は相互相関係数に対応した出力をとり出す
出力端子である。 なお第13図aの回路においては、遅延回路、
加算器及び比較器をそれぞれ(n−1)個、遅延
回路からの出力信号が入力する乗算器、積分器、
積分器からの出力信号が入力する乗算器及び出力
端子をそれぞれn個備えているが、図面上では
(n−1)個のものは代表して3個、n個のもの
は代表して4個だけ描いてあり、残りのものは省
略してあり、図中に描いたものに連続符号を取つ
てある。したがつて2番目の遅延回路402の次
に(n−1)番目の遅延回路403として3番目
から(n−2)番目の遅延回路には便宜上、符号
を取つていない。 まず、第13図aについて説明する。入力端子
400に信号が与えられるとその入力信号は、乗
算器404〜407に与えられ、また遅延回路4
01にも与えられる。遅延回路401の出力は乗
算器405へ与えられるとともに次の遅延回路4
02にも与えられる順次遅れた信号を(n−1)
番目の遅延回路403の出力までをり出す。それ
ぞれの遅延回路401〜402の出力は乗算器4
05〜407によつて掛算される。乗算器404
は入力信号そのものの自乗演算を行つている。次
に、その乗算器404〜407の出力信号はそれ
ぞれ積分器412〜415において積分されその
出力信号はさらに乗算器408〜411によつて
自乗される。なお、積分器412の出力信号は乗
算器408への入力とは別にそのまま端子422
に出力される。この信号は自己相関係数φ(o)
つまり入力信号のパワーの自乗であり、音圧信号
に対応した情報を含んでいる。パワーの自乗の処
理は単に絶対値化としても等価な機能をもたせる
ことができる。ところで乗算器408〜411の
出力信号は、つまり、自己相関係数の自乗φ2,
φ1 2,……,φ2 o-1の信号は加算器416〜418
に加えられ、加算器416〜417の出力はそれ
ぞれ次の加算器に加えられ、(n−1)番目の加
算器418まで行なわれる。ところで、乗算器4
08からの出力信号と、加算器416〜417か
らの出力信号とは、それぞれ、比較回路419〜
421において、最後尾の加算器418の出力信
号を減衰器426で減衰させた後の信号と比較さ
れ、出力端子423〜425にそれぞれの出力信
号O1〜423〜Oo-1425を出力する。なお減
衰器426の減衰比は第1反射音遅れ時間を求め
る場合には(0.1)2に、後続残響音残響時間を求
める場合には(0.001)2に設定されたものが使用
される。これはすでに最適遅れ時間検出器として
知られたものと同様のものであつて、自己相関関
数の値が1/10あるいは1/1000になる遅れ時間
を求めるものである。また遅延回路401から遅
延回路403までの遅延時間の合計は第1反射音
遅れ時間及び後続残響音残響時間の長さ程度、つ
まりそれぞれ100〜200ms及び3〜5sec程度必要
である。当然ながら、この時間の経過に伴なつ
て、積分回路412〜415はリセツトされる必
要がある。ただし、リセツト回路は図示していな
い。次に第13図bに示すプライオリテイーエン
コーダ430は、第13図aに示した比較器41
9〜421の出力信号O1423〜Oo-1425を
エンコードするもので、第13図aの減衰器42
6の減衰比(0.1)2または(0.001)2に対応した遅
れ時間τ(=τp)(最初に減衰比以下に小さくな
つた遅れ時間)に対応したコードx1…xo-1を表
示、又は出力する。 次の第13図cとdとは聴取音圧解析器として
用いる他の回路例を示す図であるが、これの場合
も第13図aの出力端子422から出力信号φ0
得るのと同様に、聴取音圧を知ることができる。
この構成は、第13図cに示した通り低域通過フ
イルタ436と整流回路435又は自乗乗算器4
37を組み合わせた回路である。 次の第13図eの両耳間相互相関関係数を求め
る回路519は正規化相関係数を求めるための回
路方式の1例を用いている。まず入力端子411
から入力信号Linが、もう一方の入力端子442
から入力信号Rinがそれぞれ入力されると、入力
信号Lin,Rinはそれぞれ直接自乗平均回路44
5,448に入りそれぞれの自乗平均値γ,δと
なり出力される。また入力信号LinとRinとの間
の和信号を加算器443より、差信号を一方の信
号を負にして他方の信号に加える加算器444よ
り、それぞれ取り出して自乗平均回路446,4
47に入力して、同様に和信号、差信号をそれぞ
れの自乗平均値α,βを出力する。このようにし
て得られた4つの自乗平均値の信号α,β,γ,
δは演算回路449において演算処理つまり(α2
−β2)/(4γδ)を行ない、出力端子450に相
互相関係数に対応した出力φ(o) lrつまり両耳間相互
相係数IACCが得られる。ただし、第13図eの
回路を用いる場合には、入力信号LinとRinが入
力端子441,442に入力する前に0〜1msの
遅延回路を設け、その遅れ時間を変化させ、その
最大値を求めるように構成すると、前述の(式
9)に対応する回路構成となり、その回路より
(式9)に忠実な値が求められることになる。そ
のための遅延回路は第13図e中には図示してい
ない。なお、より精度の高い両耳間相互相関係数
IACCの演算を行うには前述の(式7)〜(式
9)までの式を用いて数値演算を実行するとよ
い。 ここまでに説明してきた一実施例においては聴
取音圧解析器41、第1反射音遅れ時間解析器4
2及び後続残響音残響時間解析器43への入力
は、ダミーヘツドまたは人頭1の左右の耳に入つ
てくる2つの音響信号の加算信号を用いてきた
が、通常、その2つの信号間の遅れ時間は1ms以
下であり、これらの3つの解析器41〜43の解
析結果に大きい差異を与えることはないので、左
右いずれか一方の音響信号を使用しても十分な解
析結果を得ることはできる。これまでに説明して
きた第1発明の一実施例であるところの音場評価
計測器10の最適聴取音圧〔P〕pは音源の種類
によつても異なるが、それらはほぼ(79±5)
dB程度であるので、ここでは代表して76dBを用
いた。また、最適第1反射音遅れ時間〔△t1〕p
と最適後続残響音残響時間〔Tsub〕pとは実際
の音源そのものから第1反射音遅れ時間解析器4
2により最初に減衰比以下に小さくなつた遅れ時
間τpを求めてこれを最適第1反射音遅れ時間
〔△t1〕pとすると良く、その(23±10)倍をし
て最適後続残響音残響時間〔Tsub〕pとして用
いればよい。この一実施例では〔Tsub〕p=
23τpを用いた。 以上のようにこの音場評価計測器によれば1個
または2個のマイクロホンと、このマイクロホン
から得られた音響信号を増巾するための増巾器
と、この増巾信号から聴取音圧pを計測するため
の聴取音圧計測手段と、同様に増巾信号から第1
反射遅れ時間△t1を計測するための第1反射音遅
れ時間計測時間と、また同様に増巾信号から後続
残響音残響時間Tsubを計測するための後続残響
音残響時間計測手段と、さらに同じく増巾信号か
ら両耳間相互相関係数IACCを計測するための両
耳間相互相関係数計測手段と、上記聴取音圧pと
最適聴取音圧〔P〕pとの比の10を底とする対数
の20倍の値の絶対値の3/2乗の値に、上記聴取
音圧が最適聴取音圧より大きいときには−(0.07
±0.03)を、小さいときには−(0.04±0.02)を乗
じてなる値をプリフアレンス(聴感上の心理良
さ)の尺度S1として出力する。つまり、前述の
(式14)〜(式16)に対応する出力を出す第1の
比較変換手段と、上記第1反射遅れ時間△t1と最
適第1反射音遅れ時間〔△t1〕pとの比の10を底
とする対数の絶対値の3/2乗の値に、上記第1
反射遅れ時間が最適適第1反射音遅れ時間より大
きいときには−(1.42±0.6)を、小さいときには
−(1.11±0.5)を乗じてなる値をプリフアレンス
の尺度S2として出力する。つまり、前述の(式
17)〜(式19)に対応する出力を出す第2の比較
変換手段と、上記後続残響音残響時間Tsubと最
適後続残響音残響時間〔Tsub〕pとの比の10を
底とする対数の絶対値の3/2乗の値に、上記後
続残響音残響時間が最適後続残響音残響時間より
大きいときには、反射音全体の音圧の−(0.74±
0.25)倍の値と−(0.45±0.15)との加算値を、小
さいときには反射音全体の音圧の−(0.42±0.14)
倍の値と−(2.36±0.79)との加算値を乗じたの
ちの値が負となるときにはそのままの値を、正な
るときには零をプリフアレンスの尺度S3として出
力する、つまり前述の(式20)〜(式22′)に対
応する出力を出す第3の比較変換手段と、上記両
耳間相互相関係数の3/2乗の値に−(1.45±
0.44)を乗じた値をプリフアレンスの尺度S4とし
て出力する、つまり前述の(式23)〜(式25)に
対応する出力を出す第4の比較変換手段と、第1
から第4までの比較変換手段より出力されたプリ
フアレンスの尺度S1,S2,S3,S4を総合評価して
プリフアレンスの全体の尺度Sを出力する総合評
価手段とを備えているので忠実な音場評価を行な
うことができる。 (2) 本発明の音響装置 次に音場における聴取音圧、第1反射音の遅れ
時間、後続残響音の残響時間、および両耳間相互
相関係数の4つの物理的パラメータに基づいて、
音場を補正し、より好ましい音場を作ることので
きる本発明の音響装置の一実施例を図を用いて説
明する。 (2‐1) 本発明の音響装置 第14図aは音場を補正し、より好ましい音場
を作ることのできる本発明の音響装置の一実施例
の構成ブロツク図であつて、第14bは第14図
aの音響装置に含まれる音場拡大装置の1例、第
14図cは第14図aの音響装置に含まれる残響
装置の他の例を示したものである。 まず第14図aにおいて、501は入力端子
INR、502は入力端子INL、503a〜503
dは加算器、504a,504bは残響装置、、
505a,505b,505r,505lは減衰
器、506a,506bは遅延回路、507は1
種の分周回路であるスケーラ、508a,508
bはアツプダウンカウンタ、509はデイジタル
−アナログ変換器、510a,510cは第1反
射音遅れ時間解析器、510bは後続残響音残響
時間解析器、511a〜511cはエンコーダ、
512a,512b,513a,513bは比較
器、514a,514b,514cは平滑回路、
515a,515bは目標値を設定するための可
変抵抗器、516は音場拡大装置、517r,5
17lはスピーカを駆動するためのパワーアン
プ、518r,518lはスピーカ、519は両
耳間相互相関係数IACC計算器、520は乗算
器、531,532は残響装置504a,504
bから音場拡大装置516への入力端子inr,
inl、521はCLOCK信号入力端子、533,5
43は音場拡大装置516の出力端子outr,
outl、535は比較器513bら音場拡大装置5
16への入力端子attmである。第14図bにお
いて、530a〜530dは加算器、263は減
衰器、537は低域通過フイルター、538は高
域通過フイルター、539は移相回路又は遅延回
路である。第14図cにおいて、504cはM.
R.シユレーダー(Schroeder)とB.S.アタル
(Atal)による残響器54a〜540iは加算
器、541a,451bは位相反転回路、542
a,542bはボルテージフオロー、543a〜
543fは遅延回路、544a〜544fは減衰
器、545は減衰器504cの入力端子、546
は減衰器504cの出力端子である。なお、図
中、他の図面中の符号と同一符号は同一または相
当部分を示している。 次に第14図a,b,cを用いて、本発明の音
響装置の一実施例の動作を説明する。まず、入力
端子INR501とINL502にレコード、テープ、
マイク、ラジオ等からの音響信号が与えられる。
この音響信号は加算器503cによつて加算さ
れ、第1反射音遅れ時間解析器510cに入力さ
れる。この第1反射音遅れ時間解析器510cは
先に述べた第12図の42、つまり第13図aに
示された回路と同じ回路によつて構成されてお
り、この場合、第1反射音遅れ時間を測定できる
ように減衰比は1/10に設定されている。この第
1反射音遅れ時間解析器511の出力はエンコー
ダ511に入力され、エンコーダ511からは、
音源によつて最適な第1反射音の遅れ時間〔△
t1〕pをτpとして求めた出力(〔△t1〕p=τp)
が出る。このエンコーダ511cからの出力は比
較器512aに入力されるとともに、乗算器52
0にも入力され、23倍されて最適後続残響音残響
時間〔Tsub〕p(=23゜τp)として比較器512
bに与えられる。 一方、リスニングルームなどの音場に置かれた
ダミーヘツドまたは人頭1の左右の耳の所に設け
られたマイクロフオン2r,2lに入つてきた信
号を前記増巾器3l,3rで増巾し、その出力を
加算器503dによつて加算したのち、先と同様
に第12図の42と同じ第1反射音遅れ時間解析
器510aに入力し、かつ、後続残響音残響時間
解析器510bにも入力される。この後続残響音
残響時間解析器510bの構成は第12図の43
において述べたものと同じ回路構成のものであ
る。次に第1反射音遅れ時間解析器510aの出
力はエンコーダ511aに入力され、音場の影響
を付与された後の第1反射音の遅れ時間△t1に対
応した時間が得られる。この後、比較器512a
に入力される。また、後続残響音残響時間解析器
510bの出力はエンコーダ511bに入力さ
れ、音場の影響を付与された後の後続残響音残響
時間Tsubに対応した信号が得られ、この信号は
比較器512bに入力される。ところで、比較器
512aにおいて、エンコーダ511cからの最
適第1反射音遅れ時間〔△t1〕pと、エンコーダ
511aからの音場の影響を付与された後の第1
反射音の遅れ時間△t1とが比較され、もし最適第
1反射音遅れ時間〔△t1〕pに比して第1反射音
遅れ時間△t1の方が大きい場合には、第1反射音
遅れ時間△t1を小さくするために、比較器512
aからカウンタ508aにカウントダウンの信号
CDを与え、カウンタ508aの内容を小さくし、
そのために、カウンタ508aの内容に基づいて
分周を行うスケーラ507においては分周する値
が小さくなり、入力端子521からのCLOCK信
号を分周して得られるDBLAY CLOCK信号の周
波数が高くなり、そのDELAY CLOCK信号によ
り音響回路504a,504bの中のBBD(バケ
ツト・ブリゲート・デイバイス)などによつて構
成される遅延回路506a,506bの遅延時間
が小さくなるというように動作するものである。
しかし、もし最適第1反射音遅れ時間〔△t1〕p
に比して第1反射音遅れ時間△t1の方が小さい場
合には比較器512aからカウンタ508aにカ
ウントアツプの信号CUを与え、カウンタ508
aの内容が大きくなり、スケーラ507において
分割する値が大きくなり、そのためDELAY
CLOCK信号の周波数が低くなり、遅延回路50
6a,506bの遅延時間が大きくなるというよ
うに上述の場合と反対の動作をする。 また、比較器512bにおいては、乗算器52
0の最適後続残響音残響時間〔Tsub〕pと、エ
ンコーダ511bからの音場の影響を付与された
後の後続残響音残響時間Tsubとが比較され、も
し、最適後続残響音残響時間〔Tsub〕pに対し
て、後続残響音残響時間Tsubが大きい場合には、
カウンタ508bにカウントアツプの信号CUが
送出され、カウンタ508bの内容がデイジタル
−アナログ変換器509によつてアナログ値に変
換され、平滑回路514cを経て、残響α504
a,504bのそれぞれの減衰器505a,50
5bに与えられ、その信号によつて、減衰器50
5a,505bにおける減衰値が大きくなり、そ
のために後続残響音残響時間Tsubを小さくする
というように動作する。しかし、もし、後続残響
音残響時間〔Tsub〕pに対して後続残響音残響
時間Tsubが小さい場合には、カウンタ508b
にカウントダウンの信号CDが送出され、カウン
タ508bの内容がデイジタル−アナログ変換器
509によつてアナログ値に変換され、平滑回路
514cを経て減衰器505a,505bに与え
られ、その信号によつて減衰器505a,505
bにおける減衰値が小さくなり、そのために残響
時間Tsubを大きくするというように上述の場合
と反対の動作を行なう。 ところで前置増巾器3l,3rからの加算され
る前のそれぞれの増巾信号は、両耳間相互相関係
数計算器519に入力され、両耳間相互相関係数
IACCが求められてアナログ化され、次の平滑回
路514bに入力される。次に比較器513bに
おいて、平滑回路514bからの信号と、両耳間
相互相関係数IACCの目標値を設定する可変抵抗
器515bからの目標電圧信号とを比較する。も
し、平滑回路514bからの信号、つまり両耳相
互相関係数IACCに対応する信号の方が、可変抵
抗器515bからの目標信号より大きい場合は、
比較器513bからの出力信号は小さくなつて、
音場拡大装置516の入力端子att in535に入
力され、音場拡大装置516はより両耳相互相関
係数IACCを小さくするというように動作する。
しかし、もし、両耳相互相関係数IACCに対応す
る信号の方が、可変抵抗器515bからの目標信
号より小さい場合は、比較器513bからの出力
信号は大きくなつて、音場拡大装置の入力端子
att in535に入力され、音場拡大装置516は
より両耳相互相関係数IACCを大きくするという
ように上述の場合と反対の動作をする。 ところで加算器503dで加算された加算信号
を入力された第1反射音遅れ時間解析器510a
は、聴取音圧に対応した音圧信号φ0を出力して
おり、この音圧信号φ0を平滑回路514aを通
した後、比較器513aに入力させる。この比較
器513aにおいて、音量の目標値を設定する可
変抵抗器515aからの目標となる電圧信号と、
平滑回路514aからの信号とを比較して、も
し、聴取音圧に対応した平滑回路514からの出
力信号の方が、可変抵抗515aからの音量の目
標値よりも大きい場合は、比較器513aからの
出力が大きくなり、減衰器505r,505lの
減衰が大きくなつて聴取音圧を下げるというよう
に動作する。しかも、もし、聴取音圧に対応する
信号の方が、音量の目標値よりも小さい場合は、
比較器513aからの出力が小さくなり、減衰器
505r,505lの減衰が小さくなつて聴取音
圧を上げるというように上述の場合と反対の動作
をする。 なお、第14図a内に出てきた平滑回路514
a,514b,514cはいずれも、急激な信号
の変化による雑音の発生を防止するためと、残響
回路504a,504b内の遅延回路506a,
506bの遅延時間も急激な変化を起こさないよ
うにするために用いられている。 次に、音場拡大装置516の働きを、第14図
bに示す音場拡大装置を用いた場合で説明する。 まず残響装置504a,504bから入力端子
inr531及びinl532に入つた2つの信号の差
成分が、加算器530aによつて得られ、減衰器
536を経て低域通過フイルタ537を通つた
後、クロストークする位相が逆相になるような位
相で、加算器530b,530cにより入力端子
inr531から出力端子outr533までと、入力
端子inl532から出力端子outl534,4まで
のそれぞれの主経路に加算される。それとは別
に、低域通過フイルタ537の出力はさらに、高
域通過フイルタ538を経て、位相回路又は遅延
回路539において遅延または移相回転が与えら
れた後、同じく、クロストークする位相が逆相と
なるような位相で、上述のそれぞれの主経路に加
算器530d,530eのよつて加算され、その
加算後の信号は出力端子outr533とoutl534
にそれぞれ出力される。この音場拡大装置516
の減衰器536を変化することによつて両耳間相
互相関係数IACCを変化させることができる。ま
たこの減衰器536は、入力端子att in535か
らの信号の値つまり、比較器513bからの出力
信号が大きくなると減衰が大きくなるように設定
されている。 さらに第14図cに示してあるのはM.R.シユ
レーダー(Schroeder)とB.S.アセル(Atal)に
よる残響器504cで、第14図aに示してある
残響装置504a,504bの代りにこの残響器
504cを用いれば、より自然な残響感が得られ
る。 なお、上記一実施例において、マイクロホン2
r,2lをダミーヘツドまたは人頭1の外耳道入
口の音圧を得るように述べて来たが、両耳間相互
相関係数IACCの値を得る必要がないときは1本
のマイクロホンでもよいし、両耳間相互相関係数
IACCを求める場合でもダミーヘツドなどに取り
付けられたものでない2本のマイクロホンによつ
て行つてよい場合もある。音響信号については2
チヤンネルのステレオのように示したが、必ずし
も、2チヤンネル信号の必要のない場合もあるこ
とは言うまでもない。 以上のように、本発明の音響装置においては、
入力端子INR,INLとこの入力端子INR,INLから
入つてきた音響信号より最適第1反射音遅れ時間
〔△t1〕pを計測する最適第1反射音遅れ時間計
測手段と、その最適第1反射音遅れ時間〔△t1〕
pの(23±10)倍に対応する最適後続残響音残響
時間〔Tsub〕pを出力する最適後続残響音残響
時間出力手段と、音場におかれたマイクロフオン
からの音場信号より音場における聴取音圧φ0を
計測する聴取音圧計測手段と、その音場信号より
第1反射音遅れ時間△t1を計測する第1反射音遅
れ時間計測手段と、その音場信号より後続残響音
残響時間Tsubを計測する後続残響音残響時間計
測手段と、その音場信号より両耳間相互相関係数
IACCを計測する両耳間相互相関係数計測手段
と、上記最適第1反射音遅れ時間〔△t1〕pと上
記第1反射音遅れ時間△t1とを比較し、その差に
応じた信号を出力する第1の比較手段と、上記最
適後続残響音残響時間〔Tsub〕pと上記後続残
響音残響時間Tsubを比較し、その差に応じた信
号を出力する第2の比較手段と、上記第1の比較
手段の出力信号によつて遅延時間が変化し、上記
第2の比較趣段の出力信号によつてて残響時間が
変化し、かつ上記入力端子から入力する音響信号
に残響音を付加する残響手段と、あらかじめ目標
とする両耳間相互相関係数の値を設定できる両耳
間相互相関係数設定手段と、上記の両耳間相互相
関係数IACCと上記の両耳間相互相関係数設定手
段の設定値とを比較し、その差に応じた信号を出
力する第3の比較手段と、上記残響手段の出力信
号を受け、上記の第3の比較手段の出力信号に応
じて、音場の両耳間相互相関係数IACCを変化す
ることのできる出力を有する音場拡大手段と、あ
らかじめ目標とする聴取音圧の値を設定できる聴
取音圧設定手段と、上記の音場の聴取音圧φ0と
上記聴取音圧設定手段の設定値を比較し、その差
に応じた信号を出力する第4の比較手段と、上記
音場拡大手段の出力を入力として受け、上記第4
の比較手段の出力信号に応じて、減衰率を変化で
きる減衰手段と、上記減衰手段からの信号を増巾
し、空間に音響信号を放射する電気音響手段とを
備えているので、音場を補正し、より好ましい音
場を作ることができるというだけでなく、この本
発明の音響装置内で音源について最適な第1反射
音遅れ時間〔△t1〕pと最適残響時間〔Tsub〕
pが得られ、使用者の好みに応じて聴取音圧や両
耳間相互相関係数IACCの値を変えることができ
るという効果を奏するものである。 (2‐2) 本発明に関する他の音響装置 次に、比較的反射の少ない和室や反射が多くて
も、残響時間が極度に短い車室内のような音場に
おける音場装置においては、音場における聴取音
圧、第1反射音遅れ時間、後続残響音残響時間の
3つの物理的パラメータのみに基づいて音場を補
正しただかで、充分なより好ましい音場を作るこ
とができる。 なお、前述の本発明の音響装置をここで対象と
している音場での音響装置として用いることがで
きるのは言うまでもないが、使用音場がこのよう
に小さな部屋、比較的反射の少ない和室や車室内
に限定された場合、両耳間相互相関係数IACCの
パラメータを使用しなくてもこの本発明に関連す
る他音響装置は前述の本発明の音響装置と同一の
効果を得られるばかりでなく、音響装置がコンパ
クトになり、しかも安価で、その上、回路構成が
前述の音響装置より簡単になるため、作業性が良
く、しかも耐久性がよくなるなどの点で前述の音
響装置より以上の効果を奏することができる。 そこで、音場における聴取音圧、第1反射音遅
れ時間及び後続残響音残響時間の3つの物理的パ
ラメータを用いて音場を補正し、より好ましい音
場を作ることのできるこの音響装置の一実施例を
図を用いて説明する。 第15図が本発明に関連する他の音響装置の一
実施例のブロツク図である。 図において451〜453は絶対値化回路、5
11dはエンコーダ、551は入力端子INR、5
52は入力端子INL、553は積分リセツト信号
入力端子である。554は第1反射音遅れ時間解
析器で前述の第13図aの回路図及び第14図a
の第1反射音遅れ時間解析器510a,510
c、後続残響音残響解析器510bのものと内部
構成は多少変えているが、機能的にはほとんど同
じで、通常の自己相関器の構成に減衰器426と
比較器419を付加したことを特徴としている。
このような構成の場合も、前述の第1反射音遅れ
時間解析器510a,510cあるいは後続残響
音残響時間解析器510bと同様に動作する。な
お、図中第13図a及び第14図a中の符号と同
一符号は、同一または相当部分を示している。 まず入力端子INR551及びINL552から音
響信号が入力されると、その2つの信号は加算器
503cによつて加算せられ、第1反射音遅れ時
間解析器544に入力される。この第1反射音遅
れ時間解析器554において、第14図aの第1
反射音遅れ時間解析器510a,510cと同様
な動作を行ない、そこからの出力は前述の第14
図aの場合と同様にエンコーダ511dに入力さ
れ、音響信号にとつて最適の第1反射音遅れ時間
〔△t1〕pが出力される。この最適第1反射音遅
れ時間〔△t1〕pに対応した遅延時間が得られる
ようにスケーラ507にエンコーダ551dから
の信号が与えられる。スケーラ507は入力端子
521からのCLOCK信号を分周し、DELAY
CLOCK信号を作り、残響回路504a,504
bの遅延回路506a,506bにDELAY
CLOCK信号が送られる。音響信号は入力端子
INR551とINL552からそれぞれ残響回路5
04aと504bに入力され残響音が付与されて
減衰器505r,505lに送られる。一方、第
1反射音遅れ時間解析器554の音圧に対応した
信号φ0が、平滑回路514aを経て、比較器5
13aに与えられ、音圧の目標値を設定する可変
抵抗器515aの電圧と比較されて、もし、音圧
が、その目標値より小さい場合には、比較器51
3aの出力は小さくなり、減衰器505r,50
5lはその比較器513aより送られてきた信号
によつて減衰量を小さくするというように動作す
る。しかし、もし音圧が、その目標値より珍きい
場合には、比較器513aの出力は大きくなり、
減衰器505r,505lはその比較器513a
より送られてきた信号によつて減衰量を大きくす
るというように上述の場合と反対の動作をする。
そのようにして得られた減衰器505r,505
lの出力はパワーアンプ517r,517lを経
て、スピーカ518r,518lによつて再生さ
れる。 このとき、残響時間の最適値である最適後続残
響時間〔Tsub〕pは、先に述べたように最適第
1反射音遅れ時間〔△t1〕pの(23±10)倍であ
ることが望ましい。残響回路504a,504b
のような形で残響器が構成されているときには、
後続残響音残響時間Tsub=−ε・△t1/log(g)と
なることが知られている。なおgは減衰率であ
る。ここでTsub=(23±10)△t1なる関係を用い
れば、減衰率g=0.588〜0.811の範囲にしなけれ
ばならないことがわかる。なお、後続残響音残響
時間Tsub=23△t1のときは減衰率g=0.741であ
る。即ち、このように減衰率gを設定すれば、最
適第1反射音残響時間〔△t1〕pと最適後続残響
音残響時間〔Tsub〕pが得られる。もちろん、
このような処理を処しても、音場における影響が
付加されるが、和室など比較的反射の少ない空間
や、自動車車室など反射が多くても、残響時間が
極度に短い空間の場合には大変効果がある。 ところでこの音響装置においては、小さな部屋
や比較的反射の少ない和室や車室内のような音場
において、前述の音響装置と同一又はそれ以上の
効果を奏し、より簡単な音響装置を提供しようと
するものであるが、この音響装置は、小さな部屋
や車室内以外の音場で使用した場合、前述の音響
装置よりは多少性能はおちるが、それでも、聴取
音圧、第1反射音遅れ時間及び後続残響音残響時
間の3つの物理的パラメータにより音場を補正し
ているので、従来の音響装置よりははるかに好ま
しい音場を作ることができ、その上、この音響装
置の方が前述の音響装置より、コンパクトで安価
で回路構成が簡単で、作業性が良く耐久性も良い
という利点がある。 以上のように、この音響装置においては、入力
端子INR,INLと、この入力端子INR,INLから入
つてきた音響信号から最適第1反射音遅れ時間を
計測する最適第1反射音遅れ時間計測手段と、上
記音響信号から聴取音圧に対応する信号を計測す
る聴取音圧対応信号計測手段と、上記最適第1反
射音遅れ時間に対応する信号を制御信号として受
け、盾記音響信号を入力し、上記音響信号に上記
最適第1反射音遅れ時間に対応した遅延時間を付
加するとともに、その後続残響音残響時間が上記
最適第1反射音遅れ時間の(23±10)倍に設定さ
れた残響手段と、あらかじめ目標とする聴取音圧
の値を設定できる聴取音圧設定手段と、上記聴取
音圧対応信号計測手段の出力である聴取音圧と上
記聴取音圧設定手段の設定値とを比較し、その差
に対応する信号を出力する比較手段と、上記残響
手段の出力信号が入力され、上記比較手段の出力
信号に応じて、上記残響手段から入力された音響
信号に与える減衰率を変化させることのできる減
衰手段と、上記減衰手段からの信号を増巾し、空
間に音響信号を放射する電気音響変換手段とを備
えているので、音場を補正し、より好ましい音場
を作るだけでなく、この音響装置内で、最適な第
1反射音遅れ時間と最適後続残響音残響時間が得
られ、使用者の好みに応じて聴取音圧を変えるこ
とができる。 以上のように、この発明によれば、音楽などを
聞く音場の音響特性を測定して物理量および心理
量の音場における聴取音圧、第1反射音遅れ時
間、後続残響音残響時間、両耳間相互相関係数等
のパラメータで評価することに基づき、この物理
量の測定によつて、その物理量を変化させてより
好ましい音楽聴取を可能ならしめる音響装置を提
供することができるという効果を奏する。 また、上述の音響装置内で比較器512,41
9,420の出力を得て、スケーラ507によ
り、DELAY CLOCKを作るよう構成されてお
り、このDELAY CLOCKによつて第1反射音遅
れ時間が制御できるものである。このDELAY
CLOCKの値を外部から手動によつて制御可能に
することによつて様々の音楽などに対応させて変
えられるように構成することは、各種音楽につい
て〔△t1〕pをあらかじめ求めておいた場合など
には特に有益であつて、安価に製作できるという
長所がある。
第1図は反射壁と音源と人頭との関係を示す
図、第2図a,bは実際の音楽を用いて測定した
正規化自己相関関数の例を示す図、第3図a,b
は音楽Aおよび音楽Bを用いて行つたプリフアレ
ンステストの結果を示す図、第4図はτdと〔△
t1〕pとの関係を示す図、第5図はτpと〔Tsub〕
pとの関係を示す図、第6図は正規化されたプリ
フアレンスとIACCの値の関係を示す図、第7図
は相対聴取音圧とプリフアレンスの尺度S1との関
係を示す図、第8図は直接音と第1反射音の間の
遅れ時間とプリフアレンスの尺度S2との関係を示
す図、第9図は後続残響音の残響時間とプリフア
レンスの尺度S3との関係を示す図、第10図は
IACCとプリフアレンスの尺度S4との関係を示す
図、第11図および第12図はこの発明に関連す
る音場評価計測器の一実施例を示す概略の構成を
示すブロツク図、第13図a,bは2乗積分形残
響計を用いた第1反射音遅れ時間解析器あるいは
後続残響音残響時間解析器の基本構成を示した
図、第13図c,dは聴取音圧解析器の他の構成
例を示す図、第13図eは両耳間相互相関係数を
求める回路の構成例を示す図、第14図aはこの
発明による音響装置の一実施例の構成ブロツク
図、第14図bとcは音場拡大装置と残響器の構
成図、第15図はこの発明に関連する他の音響装
置の一実施例の構成ブロツク図である。 図において、1は人頭またはダミーヘツド、2
r,2lはマイクロフオン、3.3r,3lは前
置増巾器、4は物理量解析器、5は比較器、6は
心理量変換器、7は総合評価器、8は出力端子、
9は記録器、10は音場評価計測器、41は聴取
音圧解析器、42,501a,510c,554
は第1反射音遅れ時間解析器、43,510bは
後続残響音残響時間解析器、44は両耳間相互相
関関数解析器、51は聴取音圧心理量変換器、5
2は第1反射音遅れ時間心理量変換器、53は後
続残響音残響時間心理量変換器、54は両耳間相
互相関係数心理量変換器、451〜453は絶対
値化回路、501,502,521,531,5
32,535,551,552は入力端子、50
3a〜503dは加算器、504a,504bは
残響装置、505a,505b,505r,50
5lは減衰器、506a,506bは遅延回路、
507はスケーラ、508a,508bはアツプ
ダウンカウンタ、509はデイジタル−アナログ
変換器、511a〜511dはエンコーダ、51
2a,512b,513b,513bは比較器、
514a〜514cは平滑回路、515a,51
5bは可変抵抗器、516は音場拡大装置、51
7r,517lはパワーアンプ、518r,51
8lはスピーカ、519は両耳間相互相関係数計
算器、520は乗算器、533,534は出力端
子である。なお、図中、同一符号は同一又は相当
部分を示す。
図、第2図a,bは実際の音楽を用いて測定した
正規化自己相関関数の例を示す図、第3図a,b
は音楽Aおよび音楽Bを用いて行つたプリフアレ
ンステストの結果を示す図、第4図はτdと〔△
t1〕pとの関係を示す図、第5図はτpと〔Tsub〕
pとの関係を示す図、第6図は正規化されたプリ
フアレンスとIACCの値の関係を示す図、第7図
は相対聴取音圧とプリフアレンスの尺度S1との関
係を示す図、第8図は直接音と第1反射音の間の
遅れ時間とプリフアレンスの尺度S2との関係を示
す図、第9図は後続残響音の残響時間とプリフア
レンスの尺度S3との関係を示す図、第10図は
IACCとプリフアレンスの尺度S4との関係を示す
図、第11図および第12図はこの発明に関連す
る音場評価計測器の一実施例を示す概略の構成を
示すブロツク図、第13図a,bは2乗積分形残
響計を用いた第1反射音遅れ時間解析器あるいは
後続残響音残響時間解析器の基本構成を示した
図、第13図c,dは聴取音圧解析器の他の構成
例を示す図、第13図eは両耳間相互相関係数を
求める回路の構成例を示す図、第14図aはこの
発明による音響装置の一実施例の構成ブロツク
図、第14図bとcは音場拡大装置と残響器の構
成図、第15図はこの発明に関連する他の音響装
置の一実施例の構成ブロツク図である。 図において、1は人頭またはダミーヘツド、2
r,2lはマイクロフオン、3.3r,3lは前
置増巾器、4は物理量解析器、5は比較器、6は
心理量変換器、7は総合評価器、8は出力端子、
9は記録器、10は音場評価計測器、41は聴取
音圧解析器、42,501a,510c,554
は第1反射音遅れ時間解析器、43,510bは
後続残響音残響時間解析器、44は両耳間相互相
関関数解析器、51は聴取音圧心理量変換器、5
2は第1反射音遅れ時間心理量変換器、53は後
続残響音残響時間心理量変換器、54は両耳間相
互相関係数心理量変換器、451〜453は絶対
値化回路、501,502,521,531,5
32,535,551,552は入力端子、50
3a〜503dは加算器、504a,504bは
残響装置、505a,505b,505r,50
5lは減衰器、506a,506bは遅延回路、
507はスケーラ、508a,508bはアツプ
ダウンカウンタ、509はデイジタル−アナログ
変換器、511a〜511dはエンコーダ、51
2a,512b,513b,513bは比較器、
514a〜514cは平滑回路、515a,51
5bは可変抵抗器、516は音場拡大装置、51
7r,517lはパワーアンプ、518r,51
8lはスピーカ、519は両耳間相互相関係数計
算器、520は乗算器、533,534は出力端
子である。なお、図中、同一符号は同一又は相当
部分を示す。
Claims (1)
- 1 入力端子と、上記入力端子から入つてきた音
響信号より最適第1反射音遅れ時間を計測する最
適第1反射音遅れ時間計測手段と、上記最適第1
反射音遅れ時間の(23±10)倍に対応する最適後
続残響音残響時間を出力する最適後続残響音残響
時間出力手段と、音場におかれたマイクロフオン
からの音場信号より音場における聴取音圧を計測
する聴取音圧計測手段と、上記音場信号より第1
反射音遅れ時間を計測する第1反射音遅れ時間計
測手段と、上記音場信号より後続残響音残響時間
を計測する後続残響音残響時間計測手段と、上記
音場信号より両耳間相互相関係数を計測する両耳
間相互相関係数計測手段と、上記最適第1反射音
遅れ時間と上記第1反射音遅れ時間とを比較し、
その差に応じた信号を出力する第1に比較手段
と、上記最適後続残響音残響時間と上記後続残響
音残響時間とを比較し、その差に応じた信号を出
力する第2のの比較手段と、上記第1の比較手段
の出力信号によつて遅延時間が変化し、上記第2
の比較手段の出力信号によつて後続残響音残響時
間が変化し、上記入力端子から入力する音響信号
に残響音を付加する残響手段と、あらかじめ目標
とする両耳間相互相関係数の値を設定できる両耳
間相互相関係数設定手段と、上記両耳間相互相関
係数と上記両耳間相互相関係数設定手段の設定と
を比較し、その差に対応した信号を出力する第3
の比較手段と、上記残響手段の出力信号を受け、
上記の第3の比較手段の出力信号に応じて、音場
の両耳間相互相関係数を変化することのできる出
力を有する音場拡大手段と、あらかじめ目標とす
る聴取音圧の値を設定できる聴取音圧設定手段
と、上記の音場の聴取音圧と上記聴取音圧設定手
段の設定値を比較し、その差に対応した信号を出
力する第4の比較手段と、上記音場拡大手段の出
力を入力として受け、上記第4の比較手段の出力
信号に応じて、減衰率を変化できる減衰手段と、
上記減衰手段からの信号を増巾し、空間に音響信
号を放射する電気音響変換手段とを具備したこと
を特徴とする音響装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2016968A JPH039226A (ja) | 1990-01-26 | 1990-01-26 | 音響装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2016968A JPH039226A (ja) | 1990-01-26 | 1990-01-26 | 音響装置 |
Related Parent Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP9297383A Division JPH0237971B2 (ja) | 1983-05-24 | 1983-05-24 | Onbahyokakeisokuki |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH039226A JPH039226A (ja) | 1991-01-17 |
| JPH0453480B2 true JPH0453480B2 (ja) | 1992-08-26 |
Family
ID=11930893
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2016968A Granted JPH039226A (ja) | 1990-01-26 | 1990-01-26 | 音響装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH039226A (ja) |
-
1990
- 1990-01-26 JP JP2016968A patent/JPH039226A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH039226A (ja) | 1991-01-17 |
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