JPH0452743Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈考案の技術分野〉 この考案は、学校、研究機関などで学習用、研
究用の諸種の映像を投写し、あるいは娯楽用の映
像を投写するために利用されるスクリーンないし
映写幕に関する。

〈考案の背景〉 従来、縦横それぞれ数メートルにおよぶ大型の
映写幕を製作するにあたつては、定尺幅の帯状体
を平行に数枚継ぎ合わせるのが一般的である。と
ころが各帯状体は、第４図に示すように、白色の
ビニールシートなどより成る表地８′と、光透過
を防ぐ黒色の布地より成る裏地９′とで構成され
ているから、帯状体の継ぎ合わせ部７′において
厚みが急に２倍となり、この部分に段差が生じる
と共に、裏地９′の端縁が目立ち、映像に悪影響
をおよぼすという問題があつた。

また継ぎ合わせ部７′では、上側の帯状体の裏
地９′と下側の帯状体の表地８′とが接着されてお
り、両者間には布地とビニールシートという材質
の差異と表面粗度の差異とがあるため、完全な接
着状態が得にくく、巻取ドラムへの収納と引出し
とを反復することにより、継ぎ合わせ部７′の端
縁に「めくれ」が生じ易い。これにより映写幕に
黒色の「すじ」が現れ、特に精密さが要求される
医学上の像などを映写するときには重大な欠点と
なる。

〈考案の目的〉 この考案は、上記問題に着目してなされたもの
で、帯状体間の継ぎ合わせ構造を工夫することに
よつて、継ぎ合わせ部が映像に悪影響をおよぼす
ことのない映写幕を提供することを目的とする。

〈考案の構成および効果〉 この考案の映写幕は、プラスチツクシートより
成る白色の表地と、布地より成る黒色の裏地とが
貼り合わされた帯状体をその側縁に沿い互いに平
行に継ぎ合わせて構成される。前記帯状体間の継
ぎ合わせ部は、一方の帯状体の側縁部分の裏地
を、継ぎ合わせ部の重ね合わせ幅以下の任意の幅
で前記側縁部分の端縁から削り取り、その削り取
つた部分を他方の帯状体の側縁部分上へ重合接着
すると共に、削り取り後の一方の帯状体の裏地の
端縁を前記側縁部分の端縁の内側に位置させて成
るものである。

この考案によれば、継ぎ合わせ部において、一
方の側縁部分の裏地を削り取り、その裏地端縁が
表地により完全におおいかくされているので、継
ぎ合わせ部の厚みはなだらかに増大して、厚みの
急変が避けられると共に、映写部分に継ぎ合わせ
部の裏地の端縁が現出することがない。したがつ
て製作上がりの状態はもちろんのこと、経時的に
も、白い映写部分に黒色のすじが現出するおそれ
がない。しかも継ぎ合わせ部のうち外から見える
領域では表地と表地とが強固に接着されるから、
継ぎ合わせ部におけるめくれが防止できる。さら
に帯状体の一方の側縁部のみを削り取るだけであ
るから、製作手数もかからない。

〈実施例の説明〉 第１図は、この考案の一実施例にかかる映写幕
を示すもので、支え軸１と巻取り軸２との間に上
黒部分３と映写部分４とが張設されている。映写
部分４は黒色の耳５，５を除いて白色であつて、
この映写幕は吊り索１０により吊りさげられる。

前記映写部分４は３枚の帯状体６をその側縁に
沿い互いに平行に継ぎ合わせて構成されており、
各帯状体６は、可撓性のプラスチツクシート、例
えばポリ塩化ビニルシートより成る白色の表地８
と、布地より成る黒色の裏地９とが貼り合わされ
たものである。

前記耳５，５は、映写部分４の白色のポリ塩化
ビニルシートに黒色ペイントをスプレーないし塗
布して形成される。

前記帯状体６間の継ぎ合わせ部７は、第３図に
示すごとく、上側の帯状体６の側縁部分６ａの裏
地９を、継ぎ合わせ部７の重ね合わせ幅よりも小
さい幅で、前記側縁部分６ａの端縁６ｂから削り
取り、その削り取つた部分を下側の帯状体６の側
縁部分６Ａ上へ重合接着すると共に、削り取り後
の上側の帯状体６の裏地９の端縁１１を前記側縁
部分６ａの端縁６ｂの内側に位置させている。

下側の帯状体６は継ぎ合わせ部７においても裏
地９は除去されていないから、裏地が２重になつ
た領域も形成され、この領域により幕体の自重と
巻取り軸２の荷重などを支えている。

前記上黒部分３は黒色のビニールシートに黒地
の布地を裏貼りしたものである。また巻取り軸２
は黒色ビニールシートで被覆されている。

なお最上段の帯状体６と上黒部分３とは、任意
の構造で継ぎ合わされる。

この映写幕を製作するには、第２図に示すごと
く、あらかじめ裏地を回転カツターなどにより削
り取つた一方の帯状体６の側縁部分６ａを、他の
帯状体６の通常の側縁部分６Ａへ常法に従い接着
して形成する。この回転カツターでの削り取りは
簡単かつ極めて短時間で行える作業であり、また
一方の側縁部のみを削り取るだけでよいから、製
作手数もかからない。

上記構成の映写幕は、継ぎ合わせ部７において
裏地９の端縁を２枚の表地８の奥に位置させ、２
枚の表地８どうしが強固に接着されているから、
映写部分４に継ぎ合わせ部７の裏地９の端縁が現
出して映像に悪影響をおよぼすことがなく、また
収納や引出しの反復による継ぎ合わせ部７のめく
れが防止される。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例に係る映写幕の正
面図、第２図は製作過程を示した斜視図、第３図
は第１図中−線に沿う拡大断面図、第４図は
従来の映写幕の継ぎ合わせ部の断面である。 ６……帯状体、６ａ，６Ａ……側縁部分、６ｂ
……端縁、８……表地、９……裏地、１１……端
縁。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 プラスチツクシートより成る白色の表地８と、
   布地より成る黒色の裏地９とが貼り合わされた帯
   状体６をその側縁に沿い互いに平行に継ぎ合わせ
   た映写幕において、 前記帯状体間の継ぎ合わせ部７は、一方の帯状
   体６の側縁部分６ａの裏地９を、継ぎ合わせ部７
   の重ね合わせ幅以下の任意の幅で前記側縁部分６
   ａの端縁６ｂから削り取り、その削り取つた部分
   を他方の帯状体６の側縁部分６Ａ上へ重合接着す
   ると共に、削り取り後の一方の帯状体６の裏地９
   の端縁１１を前記側縁部分６ａの端縁６ｂの内側
   に位置させて成る映写幕。