JPH0450980Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、中空角パイプに関するが、詳しくは
溝型切欠部付の中空角パイプに関するものであ
る。

〔従来の技術〕

従来の中空角パイプは、一次加工されたものを
そのまま所望の長さにパイプを切断して使用され
ていた。最近では中空角パイプの需要は、これを
二次加工して多目的に使用されるようになつてき
た。

従来、挿入芯金型無しで通常の刃稜金型では中
空角パイプには溝型切欠部を成形加工することは
不可能とされていた。そのため、中空角パイプを
十文字に嵌合することができず、また中空角パイ
プに電気、電信等の配線コードを装着する場合に
は線止め具を用いるなど作業上に多くの工数がか
かり、一方、スペースを取り製品の大きさにも影
響を及ぼしていた。

〔考案が解決しようとする課題〕

このような従来の中空角パイプを多目的に利用
できるようにするところに、本考案が解決しよう
とする課題がある。すなわち、中空角パイプの本
体に一定間隔で一定形状の溝型切欠部を成形加工
するところに本考案が解決しようとする課題があ
る。

〔課題を解決するための手段〕

本考案はかかる課題を解決するために開発した
ものであつて、硬質性の金属素材から成形してな
る中空角パイプ本体であつて、前記中空角パイプ
本体に長手方向に一定間隔をなして中空角パイプ
本体の断面形状の半分を切欠すると共に長手方向
に中空角パイプ本体の径長さ相当を切欠した形状
の溝型切欠部を成形加工してなることを特徴とす
る溝型切欠部付の中空角パイプの提供にあり、ま
た、複数の中空角パイプ本体を前記溝型切欠部に
より嵌合してなる溝型切欠部付の中空角パイプの
提供にある。

〔実施例〕

第１図は、本考案からなる溝型切欠部付の中空
角パイプを示したものであり、１はその中空角パ
イプ本体である。中空角パイプ本体１は、通常硬
質性の金属素材から成形されており、正方形若し
くは長方形状に一体成形されている。３は本考案
の要部である溝型切欠部であり、この溝型切欠部
３は、中空角パイプ本体１の断面形状のほぼ半分
を切欠すると共に長手方向に中空角パイプ本体１
の径に相当する長さを切欠してなり、中空角パイ
プ本体１に一定間隔で成形している。なお２は中
空部である。

第２図は、本考案からなる溝型切欠部付の中空
角パイプの使用方法を図示したものである。ま
ず、２本の中空角パイプ本体１をその溝型切欠部
３で嵌合すれば、第２図イに示すように十文字状
に嵌合される。４はその嵌合部である。つまり、
溝型切欠部３の巾Ｗが各中空角パイプ本体１のそ
れぞれ同寸法、同形状に成形されているので、こ
の２本の中空角パイプ本体１の溝型切欠部３を互
いに嵌合すれば、両溝型切欠部３が嵌合されるこ
とになる。そして、この溝型切欠部３は、中空角
パイプ本体１の断面形状のほぼ半分を切欠したも
のであるから、中空角パイプ本体１自体の強度を
ある程度確保しており、十文字状に嵌合したもの
では元の強度に近くなり、レデイーメードで溝型
切欠部３を設ければ、格子体を容易に製作でき、
中空角パイプの需要を大きく増すことが可能であ
る。なお、本実施例では十文字状の嵌合方法を図
示したが、この溝型切欠部３の形状を自在に成形
することによつて、十文字以外の形状に嵌合する
ことも可能となるので、いかなる組合せの嵌合で
もできる。

また、第２図ロは本考案の他の実施例を図示し
たものであり、中空角パイプ本体１の中空部２に
電気、電信等の配線コードを内装した場合に、こ
の溝型切欠部３があれば工事や作業が簡単となる
と共に、スペースに余裕が生じる。

第３図は、本考案からなる中空角パイプの溝型
切欠成形法の工程を示したものである。図中１１
は中空角パイプであり、１２が中空部、１３がパ
イプ面部である。通常の中空角パイプ１１は、硬
質性の金属素材を正方形、長方形等の角パイプ状
に成形加工されている。したがつて、角パイプ全
体を切断するのは簡単であるが、角パイプの任意
個所に切削工具なしで溝型の切欠部分を成形加工
することは困難若しくは不可能である。以下、本
考案からなる溝型切欠部の成形方法について説明
する。

まず、第３図イに示すように雄金型の先端刃部
によりパイプ面部１３の上面に刃型部１４を成形
させる。この刃型部は、従来公知のプレス加工用
金型装置を用いて、中空角パイプ１の上面のパイ
プ面部１３に対して垂直状態に雄金型を当接させ
て上方部から加圧すれば、雄金型の先端刃部がパ
イプ面部１３に付き刺さり第３図イに示すような
刃型部４が成形される。次に、刃型部１４に雄金
型の先端刃部を付き刺したままの状態で、更に雄
金型を加圧すれば、先端刃部がパイプ面部１３に
食込まれて刃型部１４が切断される。そうすれば
第３図ロに示すように、パイプ面部１３の上面と
片側面に切断部１５が成形されると共に切欠部１
６が成形されることになる。この場合、切欠部１
６は中空部１２内の方向、すなわちパイプ内部に
向つてカール状に成形されるように構成されてい
る。更に、第３図ロの状態で雄金型を加圧進行す
ると、第３図ハに示すようにパイプ面部１３の下
面も切断されて切欠部１６が雄金型R₁に導かれ
てカール状になつて下方向に切り落されることに
なる。その結果、パイプ面部１３の上面片側面、
下面の各１３面に切断部１５が成形されて中空角
パイプ１１のほぼ半分位の位置に溝型切欠部Ｍを
陥没させることなく成形加工することができる。
なお、切欠部１６はスクラツプとして廃棄処理さ
れる。

第４図は、本考案の成形方法に使用した雄金型
の刃稜形状とその特徴について図示したものであ
る。第４図ハ及びロに示すように刃部の突先は雄
金型の型刃巾Ｗの両端より左右それぞれ内方向で
あつて、Ａ−Ａ線、Ｂ−Ｂ線、Ｘ−Ｘ線の交点及
びＡ−Ａ線、Ｃ−Ｃ線、Ｘ−Ｘ線の交点であるａ
点とｂ点で示し、更に次の条件の刃稜形状とす
る。

ア ａ勾配とｂ勾配はＸ−Ｘ線となす角θ₁とす
る。

イ ｃ勾配はＳ−Ｓ線となす角θ₂とする。

ウ ｅ勾配はＳ−Ｓ線となす角θ₃とする。

上記、Ｃ勾配、ab勾配の刃長V₁及びV₁₁は中空
角パイプ１１の材質、肉厚寸法等により適宜に変
化させて、突先が強度不足で破損することを防止
してある。また、放物線で描かれているR₁₁は、
刃稜がパイプの切欠面に同時に作用しないように
時間差があるように構成されており、鋏の原理
と、更に切欠部１６がカール状に成形されるよう
にカスつまりを防止してガイドラインとすると共
に型の破裂を防止させている。また、R₁₁の頂点
ＫはＵ−Ｕ線より1/3Ｗを目安として、R₁₁は1/2
Ｗ×1.5＝0.75Wを目安にして構成されている。
また、ｅ勾配は、Ｓ−Ｓ線に対して角θ₃であり、
V₁₁とR₁との交点をそれぞれP₂，P₃となるように
構成されている。なお、このｅ勾配はパイプ切欠
描き線の深さとパイプの上面を中空部１２へ向け
て垂直壁面と底面とを外部に向けて切り開くため
に設けた勾配である。

このように構成された雄金型を用いているの
で、中空角パイプ１に雄金型の突先の刃稜をくい
込ませると、刃稜は立ち気味になるので、いわゆ
る「くさびの原理」により切り開く力は弱められ
るが切欠く部分を押圧する力はプレス機の加圧と
等圧で大きくなるから、切口を裂こうとする刃部
切開力が加わり、更に切込みが進んで切欠部６が
カール状になつて切り落されるのである。この点
の原理については、本願出願人が開発した特公昭
55−50737号の角パイプ屈曲機構と同じ原理であ
る。

〔考案の効果〕

硬質性の金属素材から成形してなる中空角パイ
プであつて、前記中空角パイプの一定個所に一定
形状の溝型切欠部を予め成形加工してなることを
特徴とする溝型切欠部付の中空角パイプを提供す
るものであるから、従来不可能とされていた溝型
切欠部を施した中空角パイプを提供することがで
きる。したがつて、本考案からなる中空角パイプ
であれば、両パイプを自在に嵌合させることがで
き、しかも強度的に弱くなることもない。また、
この溝型切欠部を施した中空角パイプ内に所望の
部材、用材等を収納できると共に作業が簡便とな
るので、中空角パイプを広範囲の用途に多用する
ことができ、その需要増を見込むことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の溝型切欠部付の中空角パイプ
を示した一部切欠斜視図、第２図は本考案の使用
状態を示した説明概要図、第３図は本考案の成形
方法を示した説明概略図、第４図は本考案の成形
に使用した金型とその特徴を示した説明図であ
る。 １……中空角パイプ、１４……溝型切欠部、５
……嵌合部、６……配線コード部、１１……中空
角パイプ、１４……刃型部、１５……切断部、１
６……切欠部、Ｍ……溝型切欠部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 硬質性の金属素材から成形してなる中空角パ
   イプ本体であつて、前記中空角パイプ本体に長
   手方向に一定間隔をなして中空角パイプ本体の
   断面形状の半分を切欠すると共に長手方向に中
   空角パイプ本体の径長さ相当を切欠した形状の
   溝型切欠部を成形加工してなることを特徴とす
   る溝型切欠部付の中空角パイプ。 (2) 複数の中空角パイプ本体を前記溝型切欠部に
   より嵌合してなることを特徴とする溝型切欠部
   付の中空角パイプ。