JPH0450962Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、継目無金属管の製造に際し、その穿
孔圧延工程に用いられる傾斜ロール圧延機、特に
ガイドシユーとしてローラガイドシユーを用いた
傾斜ロール圧延機の改良に関する。

〔従来の技術〕

被圧延管の外面にガイドシユーマークと称され
る引掻疵が発生するのを防止するとともに、ガイ
ドシユーの寿命延長を図るため、駆動圧延ロール
対間にミルセンターラインを隔てて対設するガイ
ドシユーを、その回転軸心をミルセンターライン
方向に延在させたローラガイドシユーとした傾斜
ロール圧延機としては次の〜のものが公知で
ある。

第５図イに示されるように、駆動圧延ロール
対１，１間のミルセンターラインC₁を隔てた
一方の側にはその回転軸心をミルセンターライ
ンと直交する方向に延在させた円盤状の駆動デ
イスクロールガイドシユー７を設ける一方、他
方の側にはその回転軸心をミルセンターライン
方向に平行に延在させた１〜３本の直円柱状の
ローラガイドシユー４を対設配置するととも
に、その圧延パスラインC₂を前記直円柱状の
ローラガイドシユー４の側に偏位させて構成し
たもの（特公昭59−47605号公報）。

第５図ロに示されるように、駆動圧延ロール
対１，１間のミルセンターラインC₁を隔てた
軸対象位置に、その回転軸心をミルセンターラ
イン方向に延在させ、かつ駆動圧延ロールと同
態様でミルセンターラインに対して傾斜させた
直円柱状あるいは圧延機出側に向かつて外径が
増大するテーパ状の無駆動又は駆動ローラガイ
ドシユー４を、片側に２本以上計４本以上対設
配置して構成したもの（特公昭58−48243号）。

第５図ハに示されるように、駆動圧延ロール
１，１間のミルセンターラインC₁を隔てた軸
対象位置に、軸長方向中央部が最大外径で両端
に向うに従つて外径が単一テーパで減少する樽
型の駆動ローラガイドシユー４を、片側に１本
ずつ計２本のみミルセンターラインに対する回
転軸心の設置態様を前記のローラガイドシユ
ーと同じ態様にして対設配置して構成したもの
（特開昭60−68104号公報）。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、前記の傾斜ロール圧延機は、
一方の側のガイドシユーが駆動デイスクロールガ
イドシユー７であるため、この駆動デイスクロー
ルガイドシユー７に対する被圧延管３の円周方向
の摩擦が完全な滑り摩擦となる。また、他方の側
のローラガイドシユー４もその回転軸心がミルセ
ンターラインに平行に設けられているため、この
ローラガイドシユーに対する被圧延管の軸長方向
の摩擦が完全な滑り摩擦となる。したがつて、被
圧延管３の外面に発生する引掻疵の防止並びにガ
イドシユーの寿命延長を充分に図ることができな
い。

また、通常多用されている板状のガイドシユー
を備える傾斜ロール圧延機を改造しようとする場
合には、スタンドハウジングの大改造もしくは更
新が必要であるばかりか、通常のデイスクロール
ガイドシユーの外径は駆動圧延ロールの最大外径
の３倍程度の大きなものが必要であるので、費用
が嵩み、しかも設置スペースに余裕がないと採用
することができない。

これに対し、前記およびの傾斜ロール圧延
は、駆動圧延ロール対間のミルセンターラインを
隔てた両側のローラガイドシユー４を、その回転
軸心をミルセンターラインに対して傾斜配置して
あるので、このローラガイドシユー４に対する被
圧延管３の円周方向と軸方向の摩擦が共にころが
り摩擦となり、被圧延管３の外面に発生する引掻
の低減およびガイドシユー４の寿命延長図ること
ができるものの次のような不都合があつた。

すなわち、前記の傾斜ロール圧延機は、ミル
センターラインに圧延パスラインが一致するよう
に片側に２本以上計４本以上のローラガイドシユ
ー４を対設設置する関係上、ローラガイドシユー
４が強度の弱い細いものとなり、この強度不足を
補うためにその背面にバツクアツプロール５ある
いはバツクーアツプブロツク６を必ず設けなけれ
ばならない。しかし、この種圧延機は、加熱され
て表面に酸化スケールが付着する中実ビレツトあ
るいは中空素管を圧延対象とするから、圧延時に
脱落した酸化スケールが前記ローラガイドシユー
４とバツクアツプロール５あるいはバツクアツプ
ブロツク６間に巻き込まれて焼付き堆積し、脱落
酸化スケールの排出が円滑に行われない。特にバ
ツクアツプがブロツクである場合、前記現象は著
しく、ローラガイドシユー４の回転が早期に行わ
れなくなるか、行ないにくくなり、かえつてその
寿命が低下するのに加え、被圧延管３外面に疵を
発生させることになる。

また、前記の傾斜ロール圧延機は、そのロー
ラガイドシユー４として、軸長方向中央部を最大
径とし、両端に向うに従つて外径が単一テーパー
で減少する樽型形状のものを片側に１本ずつ計２
本のみ設けるから、そのローラガイドシユー４の
径を可及的に大きくできて高強度なものとできる
結果、前記の圧延機が必要としたバツクアツプ
ロール５あるいはバツクアツプブロツク６を設け
る必要がなく、脱落酸化スケールの排出も問題な
く行われる。しかし、駆動圧延ロール対１，１の
間隔を大きくして外径の大きい管を圧延する場合
には、駆動圧延ロール１，１とローラガイドシユ
ー４との間〓が大きくなつて被圧延管３を安定な
姿勢に維持しえず実質的に圧延ができなくなる。
このため、例えば特開昭61−67512号公報の第１
図および第９図に見られる如き特殊な形状寸法の
補助ブロツク８の設置を必要とし、この補助ブロ
ツク８の所定位置へのセツトが極めて困難かつ煩
わしいという問題を生じる。

いずれにしても、前述した従来公知のローラガ
イドシユーを用いた傾斜ロール圧延機は、簡素な
機構でかつ引掻疵発生防止、ガイドシユー寿命延
長および安定圧延を同時に達成しうるものでなか
つた。

本考案は、かかる事情に鑑みてなされたもので
あつて、構造簡素にして引掻疵発生防止、ガイド
シユー寿命延長および安定圧延を同時に達成する
ことのできる傾斜ロール圧延機を提供することを
目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案の傾斜ロール圧延機は、実施例図面第１
図に示されるように、駆動圧延ロール１，１間
に、ミルセンターラインC₁を隔ててその回転軸
をミルセンターライン方向に延在させたローラガ
イドシユー４の如き補助圧延ロールを対設した傾
斜ロール圧延機において、ミルセンターライン
C₁を隔てた一方の側には２本の補助圧延ロール
４₁，４₂を並列して設ける一方、他方の側には補
助圧延ロール４₃を１本のみ設けると共に、圧延
パスラインC₂をミルセンターラインC₁に対して
前記２本の補助圧延ロール４₁，４₂を並列して設
けた側に偏位させて構成したものである。

〔作用〕

本考案の傾斜ロール圧延機においては、駆動圧
延ロール対１，１間のミルセンターラインC₁を
隔てたいずれの側にも補助圧延ロール４₁，４₂，
４₃を設け、補助圧延ロール４₁，４₂，４₃のみで
被圧延管３のガイドを行うようにしてあるので、
その回転軸心をミルセンターラインC₁に対して
傾斜配置することにより、ガイドシユーに対する
被圧延管３の摩擦が円周方向、軸方向のいずれに
おいてもころがり摩擦となり、被圧延管３の外面
に発生する引掻疵の低減およびガイドシユーとし
ての補助圧延ローラ４₁，４₂，４₃の寿命延長を
図ることができる。

しかも、補助圧延ローラ４₁，４₂，４₃はミル
センターラインC₁を隔てた一方の側に１本、他
方の側に２本設けられており、また、圧延パスラ
インC₂はミルセンターラインC₁に対して２本の
補助圧延ロール４₁，４₂を設けた側に偏位させて
あるので、２本の補助圧延ロール４₁，４₂を設け
た側においてはロール４₁，４₂により被圧延管３
が駆動圧延ロール対１，１間で確実に支持され、
１本の補助圧延ロール４₃を設けた側においては
１本の補助圧延ロール４₃と駆動圧延ロール対１，
１とにより被圧延管３が３方向から確実に支持さ
れ、いずれの側においても被圧延管３の確実な支
持がなされる結果、駆動圧延ロール対１，１の間
隔を大きくして外径の大きい管を圧延する場合に
あつても被圧延管３が安定な姿勢に維持され、補
助ブロツク８の設置を必要としない。

そして更に、１本の補助圧延ロール４₃を設け
た側においては、ローラ径が大きくでき、ローラ
強度を充分に確保できるので、バツクアツプロー
ル５やバツクアツプブロツク６が不要となり、こ
の側から脱落酸化スケールの円滑な排出が保証さ
れ、脱落酸化スケールの堆積に起因する補助圧延
ロール４₃の運動障害および被圧延管３の表面疵
が防止される。なお、２本の補助圧延ロールを設
けた側においては、脱落酸化スケールの排除を考
慮する必要がないので、バツクアツプロール５や
バツクアツプブロツク６でローラ強度不足を補つ
ても何ら支障が生じない。

また、ガイドシユーとしては補助圧延ロール４
_１，４₂，４₃しか設けておらず、しかもその本数
は全部で３本にしかすぎないので、構造も簡素と
なる。

このように、本考案の傾斜ロール圧延機は補助
圧延ロールの使用により被圧延管と補助圧延ロー
ルとの間に滑り摩擦を生じさせ得ないことは勿論
のこと、巧妙なローラ配置により僅かのローラ本
数で被圧延管を安定な姿勢に確実に支持し、その
結果として更に、脱落酸化スケールの円滑な排出
も保証されるという二重の効果を奏し、斯かる複
合効果は前記，，の従来圧延機では得るこ
とができないものである。

〔実施例〕

第１図によると、２個の駆動圧延ロール１，１
が左右に配設されている。駆動圧延ロール１，１
は樽型等の周知構造ロールであつて、ロール１，
１間のミルセンターラインC₁に対し所定の進み
角で傾斜配置されている。駆動圧延ロール１，１
間には、ミルセンターラインC₁に対し上方へ偏
位してプラグ２が配置され、ロール１，１とプラ
グ２との間で素管がロール１，１の回転により圧
延され、被圧延管３が螺旋回転をしながらロール
１，１間より進出するようになつている。圧延パ
スラインC₂とはプラグ２の軸心が位置するとこ
ろである。

ミルセンターラインC₁に対する圧延パスライ
ンC₂の偏位量Ｘは、被圧延管３の外径をｄ、駆
動圧延ロール１の外径をＤ、駆動圧延ロール１，
１のロール軸心間隔をＨとすると、 １／２√（＋）²−² で求められ、その値は実験の結果によれば10〜25
mmとするのが好ましい。その理由は被圧延管３の
安定的な拘束、特に圧延ボトム側における安定拘
束を得て、管端フレアリング現象とプラグの心振
れ防止を図り、もつて偏肉率の改善を図るためで
ある。

駆動圧延ロール１，１間の圧延パスラインC₂
上方には２本の補助圧延ロール４₁，４₂が、また
圧延パスラインC₂下方には１本の補助圧延ロー
ル４₃がそれぞれ回転軸心を圧延パスラインC₂方
向に延在させて配設されている。補助圧延ロール
４₁，４₂，４₃は、圧延パスラインC₂回りに内接
円を形成し、被圧延管３に外周３箇所より当接す
るものとなつている。

補助圧延ロール４₁，４₂，４₃としては直円柱
状のものを基本とするが、圧延機出側に向かつて
外径が増大するテーパ状のものでも、圧延機入側
および出側の両側に向かつて外径が増大する樽型
のものでもよい。補助圧延ロール４₁，４₂，４₃
は又、駆動圧延ロール１，１間より螺旋回転をし
ながら進出する被圧延管３との間ですべり摩擦を
生じない角度で、その回転軸心を圧延パスライン
C₂に対し傾斜させるのがよい。また、被圧延管
３の螺旋回転に同調して強制駆動するものが好ま
しいが、非駆動のフリーロールとすることも可能
である。

補助圧延ロール４₁，４₂，４₃のうち圧延パス
ラインC₂上方に位置するロール４₁，４₂は、等径
でも異径でもよいが、第２図に示されるように、
圧延パスラインC₂上方における被圧延管３回転
方向上流側のロール４₁を下流側のロール４₂より
大径とするのが特に望ましい。これは被圧延管３
の回転力が主に上流側のロール４₁に加わり、こ
の側のロール４₁を大径とすることにより駆動圧
延ロール１，１間の限られた空間内でロール４₁，
４₂間の強度バランスがとれるためである。

また、補助圧延ロール４₁，４₂に対しては、第
３図および第４図に示すようにバツクアツプロー
ル５₁，５₂，５₃やバツクアツプブロツク６を設
けることが許される。しかし、圧延パスライン
C₂下方に位置する補助圧延ロール４₃については、
被圧延管３から脱落する酸化スケールを外部へ円
滑に排除するために、バツクアツプロールやバツ
クアツプブロツクを付設してはならない。ロール
４₃はロール４₁，４₂と異なり駆動圧延ロール１，
１間に１本しか設けられないので、外径を大きく
設定し得、バツクアツプロールやバツクアツプブ
ロツクを設けなくても充分なロール強度が確保で
きる。

第１図より本考案の傾斜ロール圧延機の動作を
説明すると、駆動圧延ロール１，１間で圧延され
る被圧延管３は、圧延パスラインC₂がミルセン
ターラインC₁に対して上方へ偏位していること
から、上方への逃げ力が働く。しかし、圧延パス
ラインC₂上方には２本の補助圧延ロール４₁，４₂
が圧延パスラインC₂回りに配設されているので、
被圧延管３の上方への逃げが阻止され、また周方
向においても２点支持がなされる。

圧延パスラインC₂下方においては、１本の補
助圧延ロール４₃しか設けられていないが、圧延
パスラインC₂ミルセンターラインC₁に対して上
方へ偏位していることから、駆動圧延ロール１，
１が被圧延管３の左右の位置決めに加担し、補助
圧延ロール４₃と合せて３点支持がなされる。

被圧延管３は、この圧延パスライン上方および
下方における確実な支持により、駆動圧延ロール
１，１間で安定な姿勢を保持し得る。

圧延中、補助圧延ロール４₁，４₂，４₃は、被
圧延管３の回転に同調して回転するので、被圧延
管３の外面に引掻疵が発生するのを防ぎ、かつ補
助圧延ロールの摩耗を抑える。特に、補助圧延ロ
ール４₁，４₂，４₃の回転軸心を被圧延管３の螺
旋回転に同調させるべく傾斜させた場合は、この
効果が顕著となる。

また、圧延中に被圧延管３から脱落する酸化ス
ケールは、駆動圧延ロール１，１と補助圧延ロー
ル４₃との間から下方へ排出され、補助圧延ロー
ル４₃のところに滞留することがないので、被圧
延管３の外面疵がこの面からも防止される。

なお、脱落酸化スケールの排出は、第１図〜第
４図に示すように、駆動圧延ロール１，１を左右
配置し、ロール１，１間の圧延パスライン下方に
１本の補助圧延ロール４₃を設けた場合に特に効
果的に行われる。

〔考案の効果〕

以上の説明から明らかなように、本考案の傾斜
ロール圧延機は、３本の補助圧延ロール４₁，４
_２，４₃と、圧延パスラインC₂のミルセンターライ
ンC₁に対する偏心設置との組合せにより、次の
複合効果を奏する。第１に、駆動圧延ロール１，
１と被圧延管３との間のすべり摩耗を排除し得、
これにより被圧延管３の外面に引掻疵が生じるの
を防ぐとともに補助圧延ロール４₁，４₂，４₃の
寿命延長を図る。第２に、駆動圧延ロール１，１
間で被圧延管３を効果的に支持し、補助ブロツク
の使用なしに安定圧延を保証し、ローラ強度も充
分なものを確保する。第３に、安定圧延、充分な
ローラ強度を保証するにもかかわらず、酸化スケ
ールが外部に円滑に排出され、被圧延管３の表面
性状を一層向上させ、補助圧延ロール４₃の運動
障害も防止する。第４に、補助圧延ロール４₁，
４₂，４₃は本数が少なく、駆動圧延ロール１，１
間に効率的に収容されるとともに、本数が少ない
にもかかわらず補助ブロツク等を必要としないの
で、装置構成簡素なものとなり、改造も簡単で経
費も少なく、スペースも僅かで済む。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第４図は本考案の傾斜ロール圧延機の
ロール配置列を示す正面図、第５図イ〜ハは従来
の傾斜ロール圧延機のロール配置列を示す正面図
である。 図中、１……駆動圧延ロール、２……プラグ、
３……被圧延管、４……補助圧延ロール（ローラ
ガイドシユー）、５……バツクアツプロール、６
……バツクアツプブロツク、７……デイスクロー
ルガイドシユー、８……補助ブロツク。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 駆動圧延ロール対１，１間に、ミルセンターラ
   インを隔ててその回転軸をミルセンターライン方
   向に延在させた補助圧延ロール４を対設した傾斜
   ロール圧延機において、ミルセンターラインを隔
   てた一方の側には２本の補助圧延ロール４₁，４₂
   を並列して設ける一方、他方の側には補助圧延ロ
   ール４₃を１本のみ設けるとともに、圧延パスラ
   インをミルセンターラインに対して前記２本の補
   助圧延ロール４₁，４₂を並列して設けた側に偏位
   させて構成したことを特徴とする傾斜ロール圧延
   機。